官報資料版 平成11




                 ▽ 運輸白書のあらまし…………………………………………運 輸 省

                 ▽ 平成十年九月分家計収支……………………………………総 務 庁

                 ▽ 平成十年七〜九月期平均家計収支…………………………総 務 庁

                 ▽ 卯年生まれは九百九十二万人………………………………総 務 庁

                 ▽ 税金365日 消費税・地方消費税(個人事業者)の
                            確定申告が必要な人は……………………国 税 庁

                 ▽ 本付録 平成十年下半期(7・1〜12・24)の総目次











運輸白書のあらまし


 平成10年度「運輸経済年次報告(運輸白書)」は、平成10年11月24日の閣議に報告され、公表された。

運 輸 省


◇概 要

 本年度の運輸白書の第1部は、テーマを「新しい視点に立った交通運輸政策」として、経済社会情勢の著しい変化の中で、重大な変革期にある交通運輸政策について、その新たな展開に向けた取り組みを、需給調整規制の廃止と市場原理の活用のための環境整備、あるいは市場原理によっては克服できない課題への対応という観点から概括している。
 また、「地球環境との共生」として、地球温暖化防止に関する昨年の京都議定書を踏まえ、我が国の二酸化炭素排出の約二割を占める交通運輸分野からの排出現況分析と、その削減のための諸施策について述べている。
 さらに、「交通運輸のバリアフリー化」として、高齢化社会の進展や国際交流の拡大といった状況の中で、高齢者・障害者はもとより、我が国を訪れる外国人の方等を含めて、誰もがいつでも利用しやすい公共交通システムの構築が必要となっていること、及びそのための諸施策について述べている。
 第2部では、平成九年度の輸送の動向、運輸における経済対策、国鉄長期債務の処理等のほか、国際運輸、物流、観光等や、陸・海・空の各モードごとの施策について述べている。

<第1部> 新しい視点に立った交通運輸政策

<第1章> 交通運輸政策の新たな展開に向けて

<第1節> 交通運輸をめぐる環境の変化

1 我が国経済の成熟化と社会情勢の変化
 近年の我が国経済は、バブルの崩壊を経て、長引く景気停滞の時期を迎えているが、これを力強い回復軌道に乗せ、二十一世紀に向けて活力ある経済社会を実現するためには、民間部門がその活力を最大限に発揮できるようにするための条件の整備等、経済構造改革の強力な推進が必要となっている。
 また、我が国社会の情勢変化として、国民の価値観・意識の多様化の進行により、豊かさやゆとりがより重視されるようになったこと、世界に例のない高齢社会への移行とバリアフリーの重要性が認識されるようになったこと、交流の拡大による地域活性化の動きが盛んになったこと等が挙げられる。

2 グローバリゼーション及び情報化の進展
 対外的には、輸送技術の発達、情報通信の高度化等に伴って、国際的な大競争時代が到来しており、また、地球温暖化問題をはじめ全地球的規模で取り組むべき課題が出てきている。

3 需給調整規制をめぐる環境の変化
 交通運輸に係る環境の変化として、市場の成熟、マイカー交通の顕著な普及拡大等に伴って、需給調整規制の当初の有効性が減少し、市場原理を活用した事業の効率化・活性化及び利用者利便の向上の必要性等が指摘されるようになってきた。

4 中央省庁改革の動きの中での交通運輸行政
 平成九年十二月の行政改革会議の最終報告において、交通運輸行政は新たに設置される国土交通省が担うこととなり、十年六月に成立した中央省庁等改革基本法において、国土交通省は国土の総合的・体系的な開発及び利用、そのための社会資本の整合的な整備、交通政策の推進等を主要な任務とするとされた。
 新たな体制への移行は、できれば十三年一月一日を目標として開始されることとされている。

<第2節> 交通運輸政策の新たな展開に向けて

 交通運輸は国民生活上あるいは社会経済活動上の根本的な基盤であり、総合的な交通政策の展開や整合的・効率的な交通インフラの整備という新しい視点により、これを適切に二十一世紀という新しい時代に対応させていくことが必要となっている。

1 需給調整規制の廃止と市場原理の活用のための環境整備
 需給調整規制の下では、多様化したニーズへの対応や効率的な事業運営の確保が十分に行い得ないおそれがあること、また、経済の停滞の中で我が国全体の経済社会システムの抜本的な構造改革が必要となってきたこと等から、八年十二月、需給調整規制の原則廃止の方針が表明された。
 市場原理と自己責任原則の下で交通運輸が活性化・高度化していくために、規制廃止の効果を十分に引き出すための次のような市場環境の整備により、事業者間の競争を促進する必要がある。
 @ 総合的な交通インフラの整備
 鉄道、空港、港湾等の交通インフラは、利用者が交通運輸サービスを享受するための基盤だが、その整備には多額の投資を要し、その回収に長期間を要する等のため、民間単独による投資は望みにくい。したがって、行政が主導・支援して整備する必要がある。その際、
・ 計画策定に際して、各交通インフラの整備を整合的に位置付けること
・ 空港・港湾とアクセス手段である鉄道等の一体的整備等、各モードの有機的連携に配慮すること
・ 事業の効率的・効果的な実施等のため、投資の重点化・効率化、事業採択時の費用対効果分析等、総合的・体系的評価の実施、採択後の再評価、建設コストの縮減等に努めること
・ PFI方式の導入により、民間の資金力、技術力等を活用すること
・ 利用者ニーズによく合致するよう、ソフト面の施策との一体性を確保すること
・ その他の社会資本整備と相まって、国土の総合的・体系的な開発及び利用に資すること
などに留意する必要がある。
 A 新たなニーズに対応した創造性豊かなサービスの提供
 事業者による新たなサービスの創造に資するため、社会におけるニーズの変化、規制の緩和等の情報の提供、新技術の開発等に対する支援等が必要となる。
 B 公正な競争の促進のための環境整備
 市場原理を有効に活用するため、市場の特性を踏まえつつ、航空・海運の分野における公正な競争を図るための国際交渉、機器等の国際標準化等への対応、空港スロットの調整ルールの設定等、競争促進のための環境の整備が必要である。

2 市場原理によっては克服できない課題への対応
 @ 過密・過疎地域等における円滑な交通運輸の確保
 過密地域においては、自動車の走行環境の整備、公共輸送機関の利用促進、通勤混雑対策等を他の都市政策との連携を図りつつ、ハード・ソフト両面から推進するとともに、過疎地域においては、バス・離島交通等の生活路線を確保するため、地方公共団体等と適切に分担・共同しつつ、経営効率化に配慮した各種支援措置を講じる等により、域内の円滑な交通運輸を確保していく必要がある。
 A 利用者が安心して利用できる交通運輸の確保
 市場原理の活用による競争の激化に伴うサービスの質の低下や、運賃の高騰等に対して十分な注意を払い、適切に対応する必要がある。また、サービス等の多様化による利用者の混乱を避けるため、その判断の基礎となる情報の開示を促進する必要がある。
 B モード間の連携調整の強化
 移動の連続性や高い利便性を確保するため、空港ターミナルへの鉄道の乗り入れ等のモード間の結節点の整備や、自家用交通も含めた総合的な視野に立った交通運輸サービスを確保するための高度道路交通システム(ITS)や、交通需要マネジメント(TDM)の開発・展開が必要となる。
 C 交通運輸における中小企業対策と雇用の確保
 中小企業の経営が需給調整規制の廃止等によって受ける影響を緩和するため、公的融資・信用保険制度・税制特例等の活用が図られるようにする。また、雇用を確保するため、雇用保険制度等の各種支援措置の活用が図られるようにする。
 D 安全で災害に強い交通運輸の確保
 交通運輸の最も基本的な課題である安全を確保するため、諸施策に取り組むとともに、施設の耐震性の向上、代替輸送手段の確保等により、災害時の交通運輸ネットワークを確保していく必要がある。
 E 環境と共生し、誰にでも使いやすい交通運輸の実現
 大きな問題となっている地球温暖化問題等に交通運輸分野として適切に対応するため、低公害車の開発・普及や公共交通機関への需要の誘導等に取り組み、環境にやさしい交通運輸体系を整備していくとともに、高齢化社会の進展や障害者の社会参加の拡大等を踏まえて、ハード・ソフトともにバリアフリー化を図っていくことが必要である。
 F 先端技術の研究開発及び導入のための環境整備
 目覚ましく進歩する情報通信技術を活用した交通運輸サービスの高度化・効率化のため、規格の標準化や交通弱者支援システムの開発等の面において、行政が主導的あるいは調整的役割を果たす必要がある。
 G 人的交流拡大のための環境整備
 盛んになっている人的交流を今後さらに拡大するため、行政の主導・支援により関係者間の連携協力を深め、海外における我が国の観光宣伝、総合的な観光情報提供システムの構築、「住んで良し訪ねて良し」の魅力あるまちづくり、複数観光地間の広域連携、旅行取引の公正確保等の諸施策を推進する必要がある。
 H 都市公共交通サービスの新たな構築
 市街地内外の人の往来の活発化を通じて活力ある都市の再創造に資するため、個別の公共交通機関において利用者利便の増進を図るとともに、交通ターミナルについて、モード間の連携強化のための整備を、周辺整備と一体となって、また、関係地方公共団体、事業者等と連携して、総合的に取り組んでいく必要がある。
 この一環として、十年七月から「中心市街地における市街地の整備改善及び商業等の活性化のための一体的推進に関する法律」を施行している。

*      *

 交通運輸が今後とも安全、円滑かつ効率的なサービスを提供していくためには、市場原理の活用を通じて利用者ニーズに沿ったサービスの向上と事業経営の効率化を図っていく必要があるが、交通運輸行政は、そのための環境づくりや市場原理に委ねていては解決できない問題について、主導的な役割を果たしていく必要がある。

<第2章> 地球環境と共生する交通運輸

<第1節> 地球温暖化問題の顕在化から京都議定書の採択まで

 二酸化炭素をはじめとする温室効果ガスによる地球温暖化問題が、世界的に危機感を持って認識されはじめたのは一九八〇年代に入ってからである。こうしたガスの大気中の濃度の増加が観測され、取り組みの必要性が主張される中で、一九八八年に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が国際連合に設置され、温暖化のメカニズムの解明(第1図参照)や、これによる影響等温暖化防止に向けた科学的検討が行われてきた。
 その成果を踏まえ、一九九二年に国際連合会議「地球サミット」において、「気候変動枠組条約」が署名された。この条約は先進国に二酸化炭素等の排出抑制を求める画期的なものであったが、拘束力がなく、また、二〇〇〇年以降の具体的な抑制目標もない等の問題があった。
 こうした状況の中で、一九九七年十二月に京都において開催された同条約第三回締約国会議(COP3)において、「京都議定書」が採択された。主な内容として、先進国による温室効果ガスの排出量を二〇〇八〜二〇一二年の平均で一九九〇年より五%削減するための各先進国別削減目標、現在世界第四位の排出量の我が国は六%を削減すること、各国間の排出権取引について今後指針を定めること、また、各国に対する拘束力について履行のための制度を議定書を改正して設けること等を定めている。

<第2節> 交通運輸分野(運輸部門)からの二酸化炭素の排出の現況

1 我が国における交通運輸分野からの二酸化炭素の排出量の現状
 交通運輸分野からの二酸化炭素の排出は、近年、民生部門と並び、高い増加傾向を示しており、現在我が国の排出量全体の二割を占めるに至っている。輸送機関別には、自動車からの排出がその九割を占めている。

2 自動車による二酸化炭素の排出の増加とその背景
 モータリゼーションの進展に伴い自動車による輸送量が増加しており、旅客・貨物とも、全輸送量に占める自動車の割合は高い。
 輸送量増加の背景として、自家用乗用車を中心とした自動車保有台数の増加(現在約七千三百万台)、運転免許保有者数の増加(現在約七千百万人)、高速道路網等道路整備の進展等がある。特に、保有台数の増加についての近年の傾向として、大型車(3ナンバーの普通乗用車)の増加及び野外レジャーブーム等によるRV車の増加(第2図参照)が挙げられ、こうした排気量の大型化が二酸化炭素排出の増加に拍車をかけている。
 こうした自動車利用の増加により、国民生活上、自動車利用を前提とした購買スタイルや余暇活動等を、また、経済活動上、自動車による小口・多頻度輸送を前提とした製造・流通システムをもたらしており、我が国社会において自動車利用は当然の前提となっている。

3 自然体で推移した場合の二酸化炭素排出量
 以上の状況を踏まえ、今後もこのままで推移した場合、二〇一〇年における我が国の交通運輸分野からの二酸化炭素排出量は、一九九〇年に比べて四〇%増加すると試算されている。

<第3節> 交通運輸分野の二酸化炭素の排出の抑制

 京都議定書の採択に伴い、政府に「地球温暖化対策推進本部」が設置され、運輸省においても十年一月「運輸省地球温暖化対策推進本部」が設置された。さらに、政府の本部により、同年六月「地球温暖化対策推進大綱」が決定された。
 また、十年十月、国・都道府県・市町村による温室効果ガス排出抑制計画の策定や公表、及び事業者・国民の温暖化防止の責務等について定める「地球温暖化対策の推進に関する法律」が成立した。
 京都議定書による我が国の削減目標六%の達成に向け、運輸省においては、交通運輸分野について前記四〇%増加を一七%増加に抑制すべく努力することとしている(第3図参照)。そのため、二〇一〇年までに、以下の諸施策により、交通運輸分野として年間約一千三百万トンの二酸化炭素排出量の削減を行う必要がある。

1 自動車等単体からの二酸化炭素の排出抑制
 低公害車の開発・普及及び従来車の低燃費化が進められている。現在、実用段階にある低公害車は、メタノール自動車・ハイブリッド自動車・圧縮天然ガス(CNG)自動車・電気自動車の四種であり、集配トラックや路線バス等の一部に導入されているが、専用の燃料供給や充電のための施設の問題、動力性能や走行距離の制約、高コストの問題等があり、こうした低公害車の普及のため、その購入等についての補助制度、税制特例等の支援を行っている。
 このうち、ハイブリッド自動車については、専用の燃料供給施設を必要としないため、大量普及について最も現実的といえ、九年末には乗用車として量販されるものも登場し、注目されている。
 また、従来のガソリン車やディーゼル車の燃費性能の向上については、「エネルギーの使用の合理化に関する法律(省エネ法)」の改正に基づき、十一年四月から、トップランナー方式(燃費基準を従来の最高性能以上をめざす方式)へと強化することとし、二十二年度までの燃費向上目標を設定している(七年度比一五〜二〇%超の向上)。
 さらに、低燃費車への代替を促進するため、消費者がより低燃費の自動車を選択するよう税制面で誘導する等、あらゆる政策手段についての検討が必要である。十年九月に低燃費自動車の一層の普及促進策について運輸政策審議会に諮問を行い、十年度末を目途に答申を得ることとしている。
 自動車以外については、鉄道車両・船舶・航空機において、制御方法や動力性能の高効率化や車体等の軽量化等を行っている。

2 公共交通機関への需要の誘導
 地球環境への負荷のより少ない交通運輸システムを構築するためには、自家用車に係る需要を大量輸送機関へと誘導していくことが必要となる。
 鉄道の利用促進方策として、幹線鉄道の整備(北陸新幹線の開業、整備新幹線三区間の着工、高徳線の高速化等)、都市鉄道の整備・輸送力増強等のハード面の整備や、相互乗り入れの推進(羽田空港・成田空港間直通列車の運行)等のソフト面の施策により、鉄道の利便性を高めている。
 バスについては、自家用交通からの転換の受け皿として最も現実的であるが、慢性化する都市交通問題等により、その活性化が強く望まれている。四年から開催しているバス活性化委員会における成果も踏まえた都市新バスシステムの推進(専用・優先レーンの設置、バスロケ・システムの導入等)に加え、九年からバス交通システムの活用を中心としたまちづくりを支援するオムニバスタウン構想を進めている。また、高速バスネットワークの整備・改善も進めている。
 また、エコ定期券(定期券保有者に休日における家族特典等を付与。九年に神奈川中央交通が初めて導入)、初乗り百円運賃のバス、鉄道車両への自転車の持ち込みの検討・試行等の公共交通機関の利用促進のためのアイディアが登場している。

3 物流の効率化
 長距離貨物(雑貨)輸送について、二〇一〇年に鉄道・海運が占める割合を約五〇%に高める(現在約四〇%)ことを目標に、鉄道貨物輸送力の増強(京葉線・武蔵野線の貨物列車走行対応事業等)、内航コンテナ船・RORO船の整備、複合一貫輸送に対応した内貿ターミナルへの陸上半日往復圏の人口カバー率を、二十一世紀初頭に約九割に向上させることを目標にした、内貿ターミナルの整備等のモーダルシフトのための各種施策を推進するとともに、国際海上コンテナ貨物の国内陸上輸送距離削減のために、中核国際港湾における拠点的コンテナターミナルの整備を推進している。
 また、トラック輸送については、二十一世紀初頭までにトラック全体の積載効率を約五〇%に高めることを目標に、共同集配システムの整備、幹線共同運行の実施を講じているほか、車両総重量規制の緩和、車両の大型化・トレーラー化を進め、効率的なトラック輸送をめざしている。

4 道路交通の円滑化
 地球温暖化防止の観点から、渋滞を解消し道路交通の円滑化を図ることにより、二酸化炭素の排出を抑制することが必要である。
 道路交通の需要サイドに働きかける交通需要マネジメント(TDM)については、六年に「総合渋滞対策支援モデル事業」を創設し、現在、札幌市、北九州市等十三都市において、パーク・アンド・ライド、企業の通勤シャトルバスの運行、時差通勤・フレックスタイム制度の導入等の諸施策を推進している。
 また、最先端の情報通信技術により人・車両・道路を一体的なシステムとして構築し、道路交通の円滑化を図る高度道路交通システム(ITS)については、八年に関係五省庁により、その推進に関する全体構想を策定し、これに基づき運輸省においても先進安全自動車(ASV)の開発等に取り組んでいる。
 不要な二酸化炭素の排出を削減するという点では、エコドライブ(駐停車時の無用なアイドリングの停止・適正速度での走行等)の励行を通じた国民各人の自覚が欠かせない。運輸省でも、関係団体等からなるエコドライブ推進のための協議会を設立し、普及啓発活動を行っている。

5 環境対策に対する国際協力
 急速な工業化の進む途上国による二酸化炭素の排出を抑制するため、我が国を含む先進国による技術や資金の面での協力が必要であるが、運輸省においても、九年度から、二酸化炭素観測地点の空白地域である、東アジアにおける最適な観測ネットワークの設計のための調査を開始する等、各分野における国際協力を進めている。

6 観測・監視体制の整備
 温室効果ガスの濃度の観測や監視については、気象庁において、世界気象機関(WMO)の計画に基づき、全世界からの観測データを一元的に収集・管理の上、データベース化して提供する「温室効果ガス世界資料センター」を開設する等、世界的に重要な役割を果たしている。
 また、海上保安庁等においても、国連教育科学文化機関(UNESCO)の委員会による西太平洋海域調査に参加する等、海洋と地球温暖化の関係の解明に資する観測調査を行っている。

<第3章> 交通運輸のバリアフリー化に向けて

<第1節> 高齢者・障害者等にも利用しやすい公共交通

1 高齢者・障害者の社会参加の増大
 現在、我が国社会は世界に例のない高齢社会へと進行しており、二〇一五年には四人に一人が六十五歳以上となる(第4図参照)。また、身体障害者は人口の二・八%程度であるが、高齢になるほど増加する傾向にある。
 今後、高齢者・障害者の増加と社会参加の増大に伴い、公共交通機関の利用機会も増加していくことになるが、その施設整備の現状に、不便を感じている人の割合も高い。

2 公共交通機関における移動制約者に配慮した施設整備の現状
 交通ターミナルにおける段差の解消、ノンステップバス・リフト付きバスの導入等の垂直移動対策等が進められているが、さらに計画的な整備促進が求められている(九年度末現在、JR・大手民鉄・営団・公営地下鉄の駅における整備率は、エレベーター九・〇%、エスカレーター一六・二%等)。
 また、各交通モードにおける施設整備に併せて、モード乗り継ぎの際の駅前広場、周辺道路等のターミナル周辺部における段差の解消や、利用できる公共交通がない移動制約者に対応する新たな輸送サービスの設定など、地域の取り組みとも連携しつつ、バリアフリーの諸施策を幅広く推進することが望まれる。

3 交通バリアフリー化に向けた施設整備の取り組み
 (1) 交通ターミナルのバリアフリー化
 運輸省において施設整備ガイドラインを策定し、交通エコロジー・モビリティ財団(以下「エコ・モ財団」という)を通じた助成措置や、法人税の特別償却制度等の支援措置を活用して、エレベーター等移動の円滑化のための施設整備が進められている。また、視覚・聴覚障害者のために、音声ガイドアナウンス・誘導警告ブロック・LED(発光ダイオード)による案内表示板等、各種施設の整備が進められている。今後とも、例えば誘導警告ブロックの色をホームとコンコースで統一し連続性に配慮する等、きめ細やかな整備が望まれる。
 (2) 交通ターミナル周辺のバリアフリー化
 各モードの結節点となるターミナル内外の関連施設、駅前広場・道路等を含めてバリアフリー化を図る必要がある。例えば、バス停留所から鉄道改札口までの乗り継ぎ通路における上屋の設置等、地域のまちづくりとも一体となって、公共交通システム全体を通じた利便性・快適性の向上が望まれる。
 (3) バス車両等のバリアフリー化
 移動制約者にとって最も身近な交通機関であるバスのノンステップ化等への取り組みとして、運輸省の補助金、エコ・モ財団による助成措置、法人税の特別償却制度等の支援措置を活用して、ノンステップバス、スロープ付きバス、リフト付きバス・タクシー等の導入が進められている。

4 交通バリアフリー化に向けたソフト面の取り組み
 施設整備を中心としたハード面の諸施策のほか、特別の交通サービスや情報の提供等のソフト面での対応が重要である。
 (1) STS(スペシャル・トランスポート・サービス)
 STSとは、乗合バスやタクシー等、従来の公共交通機関を利用できない移動制約者に対して、個別的にきめの細やかな輸送を提供する交通サービスであり、現在、ドア・ツー・ドア型、公共施設等巡回型、定時定路線型の三つの形態が運行されている(第1表参照)。
 事業者が福祉タクシーとして運行する場合や、地方公共団体等の主導により運行する場合があるが、今後の普及拡大のために、事業としての採算性や公的支援のあり方、福祉団体等が運行する場合の体制のあり方等の検討を踏まえて、地方公共団体を含めた関係者間で連携協力して取り組む必要がある。
 (2) わかりやすい交通運輸情報の提供
 移動制約者が公共交通を円滑に利用できるよう、駅やターミナルについての地理的情報や、運賃・乗り換え方法等の交通運輸情報を十分に事前提供しておくことが望ましい。地方公共団体によるガイドマップの作成のほか、運輸省においても、九年度に四ッ谷駅をモデルとして、情報提供の内容・方法の標準化等について検討し、モデルガイドマップを作成した。
 わかりやすく利用しやすい公共交通をめざした取り組み例としては、@事業者や施設により必ずしも同一でないピクトグラム(図形表示)の統一化、A複数事業者が運行するバス路線網について、系統番号・路線名を統一するとともに、鉄道駅等において、簡便なバスマップ等により周知、B複雑な大都市地下鉄網の各路線・駅について、体系的な通し番号を併記して整理、C複数事業者が乗り入れる鉄道駅におけるホーム番線名の通し番号化などが考えられるが、行政をはじめ関係者が連携して、また、幅広い観点からこうした施策の推進について論議を進めていく必要がある。
 (3) 国民のバリアフリーに向けた意識の向上
 我が国社会においても、欧米諸国のように国民の一人一人が移動制約者に対する意識の向上に努め、ターミナル等において介助、助言その他の支援を行うことが望ましい。エコ・モ財団では、「交通ボランティア育成講座」の開催により、ボランティア活動の普及促進等に努めている。
 (4) 移動制約者に対する運賃等の割引
 移動制約者に対する運賃等の割引は、移動制約者のコスト負担を軽減し、社会参加を拡大する一つの方策として、事業者の自主的な判断により行われているが、厳しい事業経営状況や一般利用者からの内部補助には限界があること等から、福祉政策として対応すべきとの議論もある。
 また、JRや一部バス事業者においては、シルバー市場の拡大の中で、高齢者の新たな需要を喚起する営業政策的な割引を行っている。

5 公共交通の新たな取り組みにおけるバリアフリー化への配慮
 (1) コミュニティバス・オムニバスタウン構想・LRT(ライトレール・トランジット)
 地域住民の日常の移動のため新しく運行するコミュニティバスの多くは、バリアフリー化したものとなっており、運輸省において推進しているオムニバスタウン構想においても、九年度に浜松市でノンステップバスを導入した。
 また、移動制約者も使いやすく、環境にもやさしい新しいタイプの路面電車システムとして、LRTが欧米で導入されているが、我が国でも熊本市で導入されているほか、広島電鉄も国の補助を活用して導入する予定である。
 (2) 情報通信技術の活用
 PHS(簡易無線端末)関連技術を活用した移動制約者支援システムの開発が進められている(第5図参照)。
 また、ICカードを活用した非接触式自動改札システム、各モードや事業者に共用できる共通カードシステム等の開発が進められており、これらの導入により、改札口等での時間短縮による混雑緩和や、移動制約者の利便性の向上が期待されている。

6 バリアフリー化に向けた今後の課題
 エレベーターの整備等の垂直移動対策は、設置空間の確保が困難なケースがあり、また、施設費用も多額となり、物理的・資金的に容易でない。今後、国、地方公共団体等の補助制度等の支援措置を活用するとともに、公的主体との連携により、ニーズに沿った効果的・効率的な対策を進める必要がある。
 また、事業者にあっては、高齢化社会の進行に伴うシルバー市場の拡大をビジネスチャンスとしてとらえ、サービス改善やニューサービスの創出による事業展開を工夫していく必要がある。

<第2節> 混雑というバリアの解消

1 大都市圏における通勤・通学の混雑状況
 大都市圏における通勤通学時間帯の鉄道混雑の状況は、各種対策により緩和されつつあるが、移動制約者等がいつでも利用できる状況にはなく(東京圏で現在約一八〇%の混雑率)、今後とも混雑緩和対策を進め、バリアフリーをめざしていく必要がある。

2 混雑緩和をめざす取り組み
 都市鉄道においては、通勤通学時間帯の輸送力増強を図る観点から、地下鉄等の新線建設、複々線化、ホーム延伸・列車長編成化及び運行本数の増加等が進められており、混雑緩和とともに、所要時間の短縮等を図っている。
 また、交通ターミナルにおいても、ホームの立体構造化、乗り継ぎ連絡通路の増設、エレベーター・エスカレーターの設置等により、混雑の緩和や乗り継ぎ利便の向上を図っている(例えば、東武・営団北千住駅)。
 混雑緩和のため需要の時間的平準化を図るオフピーク通勤運動については、関係各者により、時差通勤・フレックスタイムの導入等を推進しており、九年度首都圏において、いずれかを導入している事業所は二割近くとなっている。
 また、快適な通勤通学等のため、座席指定列車(JRホームライナー等)の設定・増便や、車両冷房化を推進している。

<第3節> 言語の違いによるバリアの解消(外国人に利用しやすい交通運輸)

1 訪日外国人の増加と受け入れに係る課題
 訪日外国人は平成九年に四百万人を超えたが、我が国の受け入れ外国人数は諸外国に比べてなお低い水準にあり、今後、「ウェルカムプラン21」による外客受け入れ体制の整備等により、十年間で倍増させることとしている。
 すべての人に利用しやすい公共交通をめざすためには、今後我が国において増加していく外国人に対しても利用しやすいものである必要があり、言語の違いによる障害を除去するためのハード・ソフト両面にわたる施策を推進することとしている。

2 外国人がひとり歩きしやすい街をめざす取り組み
 訪日外国人が遭遇した困難や問題についての調査によると、言葉が通じない、英語標識が少ない等が、個人旅行客を中心に挙げられている。
 外国人が不自由なくひとり歩きできるように、鉄道駅等ターミナルにおける情報案内板へのローマ字表記・英文併記(九州地区では中国語・韓国語も表示)や、ピクトグラム(図形表示)の表示、さらに、車内における英語案内の実施等、外国人へのわかりやすい情報を提供するための施設等の整備が進められている。
 また、観光案内所については、我が国初の外国人向け観光案内所として、東京・京都に開設されたTIC(ツーリスト・インフォメーション・センター:現在JNTOが運営)のほか、地方公共団体や地方観光協会による「i」案内所(現在九十三か所)等が設置されている。
 高度情報通信技術を活用して、各種観光情報を我が国内外において提供する先進的システムの構築が、外客誘致、旅行需要喚起、地域活性化等に有効であり、課題となっている。
 さらに、外国人向けガイドの全国的な充実のため、外客誘致法に基づき地域限定通訳案内業制度が導入され、十年に九州地域において中国語に係る通訳案内業の免許交付を行った。
 このほか、訪日外国人の旅行費用の低廉化対策として、国内航空・鉄道における外国人向け割引運賃の導入、地方公共団体におけるウェルカムカードの導入等が進められている。

<第2部> 運輸の動き

<第1章> 平成九年度の運輸の概況と最近の動向

<第1節> 国内・国際経済の動向と運輸活動

 平成九年度の国内旅客輸送量は、景気の低迷等により、航空を除く営業用輸送機関が減少したものの、自家用旅客自動車が引き続き増加したことにより、八百四十六億人(対前年度比〇・三%増)、一兆四千百八十五億人キロ(同比〇・七%増)となった。
 九年度の国内貨物輸送量は、航空と年度前半に好調であった営業用自動車が増加したものの、景気の低迷等により自家用乗用車、鉄道、内航海運がいずれも減少したため、六十六億八千万トン(同比一・八%減)、五千六百八十八億八千万トンキロ(同比〇・八%減)となった。
 九年の国際旅客輸送量は、出国日本人数は、一千六百八十万人(同比〇・六%増)、訪日外客数は、四百二十二万人(同比九・九%増)と、いずれも過去最高を更新したものの、伸び率は鈍化した。
 九年の国際貨物輸送量は、トンベースで、我が国の海上貿易量は、輸出が同比七・五%増、輸入が同比二・四%増となり、航空輸送量は、輸出が同比二一・三%増、輸入が同比一・三%増と、いずれも増加した。
 なお、十年に入り、長引く景気の低迷、アジア諸国の経済危機の影響等により、国内・国際輸送ともに、航空の一部を除き減少傾向にある。

<第2節> 運輸における経済対策

 長引く景気低迷の影響もあって、運輸事業者の九年度収支は減収・減益となるところが多く、九年度の景況感についても、極めて厳しいものとなっている。十年度の設備投資計画は、対前年度比四・九%の減少であり、金融機関の貸し渋りもあって資金調達も厳しい状況にある。
 政府としては、総事業費十六兆円超の過去最大規模の「総合経済対策」を実施しつつあり、さらに、一刻も早い景気回復を図るために、第三次補正予算の編成等を行うこととしている。運輸関連では同経済対策等に基づき、中小企業者たる運輸事業者について、中小企業信用保険の限度額の拡充、中小企業の範囲拡大による公的融資の拡充、中小企業投資促進税制の創設等の施策を実施している。
 雇用対策については、雇用調整助成金制度、労働移動雇用安定助成金制度等を活用することにより、失業の予防を図っている。また、同経済対策により、十年度当初予算の前倒し執行を図るほか、第一次補正予算に基づき、成田、羽田等の大都市圏拠点空港の整備、中枢・中核国際港湾の整備、都市鉄道による広域的都市ネットワークの整備等を推進し、特に都市部における内需拡大(当省所管公共事業費の約六割を三大都市圏に充当)と、これによる景気回復に資することとしている。さらに、運輸関係社会資本の重点的・効率的な整備による内需拡大等を内容とする十一年度概算要求を行ったところである。
 こうした総合的な経済対策が奏功し、我が国経済が早期に景気の自律的回復軌道に乗ることが期待される。

<第3節> 需給調整規制の廃止とこれに伴う環境整備方策

 運輸省は八年十二月、市場原理を最大限活用した交通システムを構築し、利用者の利便増進を図るため、原則として、目標期限を定めて需給調整規制を廃止し、そのための環境又は条件を整備するとともに、利用者保護、安全確保等の観点から必要な措置を講ずることとした。需給調整規制の廃止は、従来の事業秩序等に大きな影響を与えることから、九年四月、運輸政策審議会に対し、需給調整規制の廃止に向けて必要となる環境整備方策について諮問がなされ、十年六月、同審議会総合部会は「需給調整規制廃止後の交通運輸政策の基本的な方向について」答申した。
 同総合部会答申の中で、生活交通の維持方策、安全の確保、消費者の保護方策等に関する基本的な考え方が示されている。また、この総合部会の答申のほか、鉄道部会、自動車交通部会、海上交通部会及び航空部会において、各モードの実態を踏まえ、需給調整規制の廃止に伴う環境整備方策等について、十年四月及び六月にそれぞれ答申が出されており、今後これらの答申を踏まえて適切に対応することとしている。

<第4節> 国鉄長期債務の処理

1 清算事業団による債務の処理
 昭和六十二年四月の国鉄改革により、日本国有鉄道清算事業団に残された国鉄長期債務は、改革後に新たに負担したものも含め平成十年首には約二七・七兆円に達し、清算事業団の土地や株式といった資産処分収入で金利や年金等の負担を賄いつつ債務の償還を行うという、これまでの処理スキームはもはや破綻するに至り、その処理の実施が緊急の課題とされた。

2 処理方策の検討
 こうした状況に対処するため、国鉄長期債務の処理方策の検討が、八年十一月から与党内で、九年十月からは政府・与党で構成される財政構造改革会議で進められ、九年十二月十七日の財政構造改革会議において、「国鉄長期債務及び国有林野累積債務の処理のための具体的方策」が決定された。
 政府は、九年十二月二十五日、この決定に基づき十年度から国鉄長期債務の処理の実施を図ることを閣議決定し、十年二月二十日、「日本国有鉄道清算事業団の債務等の処理に関する法律案」を国会に提出した。

3 処理方策の実施
 同法案は、十年十月十五日に成立し、十月二十二日に施行された。
 同法により、@有利子債務(十年度首一五・二兆円)の一般会計による承継、A無利子債務(同八・三兆円)の政府による免除、B国鉄改革時の年金等負担金(同三・五兆円)の日本鉄道建設公団による負担、Cいわゆる厚生年金移換金(同〇・八兆円)の鉄道公団及びJR等による負担等の措置が講じられ、清算事業団は十年十月二十二日に解散した(第6図第7図参照)。

<第2章> 変貌する国際社会と運輸

<第1節> 国際運輸サービスの充実

 航空分野では、九年度に五か国一地域との間で輸送力等を拡大し、十年五月には二か国との間で新規協定を締結したほか、海運分野では「海運自由の原則」を基本とし、国際機関・二国間での海運政策調整を通じて自由化を図る等、国際運輸サービスの充実に努めている。

<第2節> 国際的課題に対応した運輸行政の展開

 APEC(アジア太平洋経済協力)、東アジア運輸フォーラム等の各種運輸関連フォーラム、運輸ハイレベル協議等の多国間・二国間の政策調整・協議、及び自動車、海運、航空分野等における個別経済問題への対応を精力的に行い、国際的課題に対応した運輸行政を展開している。

<第3節> 国際社会への貢献

 技術協力や資金協力等の幅広い国際協力、マラッカ・シンガポール海峡での航行安全対策や、IMO(国際海事機関)における船舶の安全基準の見直し作業等の海上安全対策、共同研究・専門家交流等による国際科学技術協力を積極的に推進している。

<第3章> 効率的な物流体系の構築

<第1節> 総合物流施策大綱に基づく施策の推進

 総合物流施策大綱の策定を受けて、十年六月には第一回のフォローアップが行われ、物流効率化特別枠(一千五百億円)の創設、「規制緩和推進三か年計画」による一層の規制緩和の推進、「物流拠点の整備を進める上での指針」の策定等、各施策項目について進展や具体化が確認された。

<第2節> 物流構造改革に対応した物流拠点の整備

 十年六月に「物流拠点の整備を進める上での指針」を決定したほか、地域における物流効率化についての総合的かつ計画的な取り組み(「地域物流マネジメント」)の推進方策のあり方について検討している。また、FAZ地域における各種支援措置を今後とも実施していく。

<第3節> 物流サービスの向上、物流システム高度化への取り組み

 物流業に係る規制緩和措置を推進しているほか、物流サービスの向上、物流システムの高度化への取り組みとして、複合一貫輸送・物流EDI等の推進を図っている。また、高度道路交通システム(ITS)の活用によるトラック輸送の情報化についても、調査研究を進めている。

<第4章> 二十一世紀に向けた観光政策の推進

<第1節> 国際観光交流の促進

 「ウェルカムプラン21」及び外客誘致法に基づいて、外国人旅行者の訪日の促進及び地方圏への誘致を推進するため、国際観光テーマ地区の整備等の諸施策に取り組んでいる。また、観光を通じた国際交流・国際協力の推進を図るため、二国間観光協議の定期開催を行っている。

<第2節> 観光による地域の活性化

 観光による地域の活性化を図るため、観光地づくり推進モデル事業の実施、広域連携観光振興会議の開催、旅フェア’98の開催等、関係者一体となった観光振興施策を行うとともに、国際交流村、家族キャンプ村及び総合保養地域の整備等、魅力のある観光地づくりに取り組んでいる。

<第3節> 旅行・レクリエーションの振興

 コンビニエンスストア等における主催旅行商品等の販売解禁等により旅行の振興に取り組んでいる。また、旅行業者等を通じ、海外危険情報の旅行者への周知徹底を図っている。

<第5章> 国民のニーズに応える鉄道輸送の展開

<第1節> 鉄道整備の推進

 整備新幹線については、八年十二月の政府与党合意及び十年一月二十一日の政府・与党整備新幹線検討委員会における検討結果を踏まえ、整備を推進する。
 また、都市間移動の高速化、都市圏内の混雑緩和及びモーダルシフトの推進等のため、在来線の高速化、都市鉄道の整備、地方鉄道の近代化及び貨物鉄道の整備等に対する補助等を行っている。

<第2節> 鉄道輸送サービスの充実

 旅客鉄道分野における需給調整規制の廃止に向けて必要となる環境整備方策等について、十年六月十五日、運輸政策審議会鉄道部会より答申され、今後の鉄道技術行政のあり方については、十年十一月十三日、運輸技術審議会鉄道部会より答申された。
 また、利用者利益の増進、経営効率化の促進等に資する運賃制度の実施を図るとともに、利便性の向上等の観点から、快適な駅施設及び車両の整備等の施策を講じている。

<第6章> より安全で快適な車社会の形成へ向けて

<第1節> 安全な車社会の形成に向けた総合的な取り組みの推進

 安全と環境に配慮した今後の自動車交通政策のあり方について、運輸技術審議会において検討を進めるとともに、先進安全自動車(ASV)の開発促進や、自動車安全情報の提供等により、自動車交通の安全対策を推進する。

<第2節> 利用者ニーズに対応した輸送サービスの確保

 バス、タクシー、トラック輸送等に係る諸課題に取り組むとともに、高度化・多様化する利用者ニーズに対応するため、規制緩和への取り組みやバス利用促進等総合対策事業(オムニバスタウン構想等)等の助成措置の充実を図る。

<第3節> 高度道路交通システムの推進に向けて

 道路交通の安全性、輸送効率等の向上や渋滞の軽減等、交通の円滑化に資する高度道路交通システム(ITS)に係る取り組みを推進する。

<第7章> 海運、造船、船員対策の新たな展開

<第1節> 活力ある海上交通に向けての取り組み

 外航海運事業については、国際船舶制度等の充実により、国際競争力の強化を図っている。暫定措置事業の導入により、船腹調整事業を解消した内航海運事業のほか、国内旅客船事業及び港湾運送事業についても、事業の活性化を図っている。

<第2節> 魅力ある造船・舶用工業をめざして

 我が国造船・舶用工業が、海上物流の効率化等に必要な高度な船舶の供給等の社会的なニーズに応え、「魅力ある産業」として存立するために必要な研究開発の活性化を進めるとともに、内航海運不況の影響を強く受けている中小造船業及び関連する舶用工業対策を推進していく。

<第3節> 船員対策の新たな展開

 外航海運については、国際船舶制度の拡充に向けた施策として、日本人の若年船員を対象とした実践的な教育訓練スキームの導入や、外国資格受有者が船舶職員として船舶に乗り組める制度を創設するとともに、高齢化の著しい内航海運における若年船員確保対策、本州四国連絡橋の供用等に伴う離職船員対策等を推進している。
 また、船員教育体制の整備充実、船員の労働時間の短縮及び船員災害防止対策の推進等を図っている。

<第8章> 二十一世紀の暮らしを明るく豊かにする「みなと」
    ――物流の効率化と国民生活の質の向上をめざして――

<第1節> 物流コストの削減に資する港湾整備の推進

 港湾整備において、投資の重点化や事業の透明性の確保を図りつつ、国際海上コンテナターミナル、複合一貫輸送対応内貿ターミナル等の拠点的整備を推進し、物流コストの削減を実現する。

<第2節> 港湾の効率的な利用の促進

 港湾の効率的な利用を促進するため、入出港手続の簡素化や、港湾諸手続のEDI化(電子情報化)を進めている。また、港湾諸料金の改善にも取り組んでいる。

<第3節> 安全で豊かな暮らしを支える港湾空間の形成

 潤いのある生活空間を形成するため、エコポートの形成、廃棄物処分場の整備、プレジャーボートの係留・保管対策を進めている。また、地震に強い港づくりを推進している。

<第4節> 安全で親しみやすい海辺の生活空間づくり

 海岸整備事業において、国土保全に資する質の高い海岸保全施設の整備や、生活環境の改善に資する海岸の整備を効率的・効果的に実施している。

<第9章> 増大する人・ものの流れを支える航空

<第1節> 空港整備等の推進

 増大する航空需要に対応するため、第七次空港整備七箇年計画に基づき、拠点空港の整備を最優先課題として推進するとともに、一般空港・航空保安施設についても整備を行っている。

<第2節> 利用者利便の一層の向上に向けて

 利用者利便のより一層の向上を図るため、様々な規制緩和策を推し進めるとともに、公正な競争市場をつくるためのルールづくりに取り組んでいる。

<第3節> 航空輸送サービスの充実

 国際・国内航空ネットワークの充実を図るとともに、離島路線の確保のための方策について検討している。また、航空安全規制のあり方についても、航空審議会の答申を踏まえ、所要の措置を講じていく。

<第10章> 運輸における環境問題への取り組み

<第1節> 海洋汚染等への対応

 ナホトカ号事故等、大規模油流出事故を教訓として、再発防止策、流出油防除対策、国際協力体制の構築等の施策を進めている。また、発生する海洋汚染の低減を図るため、海上環境の保全指導等を実施している。

<第2節> 地域的環境問題への対応

 自動車排出ガス等による大気汚染等の地域的な環境問題へ対応するため、自動車の排出ガス規制・騒音対策、船舶の排出ガス・騒音対策、鉄道及び航空機の騒音対策等の個別の交通機関ごとの対策を行っている。

<第11章> 運輸における安全対策、技術開発等の推進

<第1節> 交通安全対策の推進

 陸・海・空における九年の交通事故による死亡・行方不明者は一万百七十四人であり、今後とも確実な交通安全対策を講じ、各輸送機関の安全の確保に努めることが重要である。

<第2節> 災害対策の推進

 各種の災害に対処するため、災害防止のための予報体制の強化、輸送施設及び交通機関の予防対策、津波・高潮・浸食対策、災害復旧事業を総合的かつ計画的に推進している。

<第3節> 技術開発の推進

 我が国が今後とも活力を維持し持続的な発展を遂げるため、安全性・利便性の向上や環境の保全等、交通サービスの飛躍的な向上に資する基礎的な研究開発が重要である。

<第4節> 情報化の推進

 消費者利便の向上や安全性の向上等のため、EDIの導入や、ICカードを活用した汎用電子乗車券、移動制約者支援システム等の研究開発、気象サービスの高度化、運輸行政の情報化を推進している。



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消費支出(全世帯)は実質一・五%の減少


―平成十年九月分家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成九年九月、十月は実質増加となったが、十一月以降十一か月連続の実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成九年十一月以降六か月連続の実質減少となった後、十年五月は実質増加、六月、七月は実質減少、八月は実質増加となり、九月は実質減少となった。
 消費支出は、平成九年十月以降七か月連続の実質減少となった後、十年五月、六月は実質増加となったが、七月以降三か月連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は二十六万九千二百九十六円で、名目二・一%、実質一・八%の減少となり、平成九年十一月以降十一か月連続の実質減少

◇財・サービス区分別の消費支出(全世帯)

 財(商品)は、実質〇・三%の増加
  <耐 久 財> 実質四・九%の増加
  <半耐久財> 実質〇・一%の減少
  <非耐久財> 実質〇・三%の減少
 サービスは、実質三・五%の減少





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平成十年七〜九月期平均家計収支


―消費支出(全世帯)は実質二・五%の減少――


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成九年七〜九月期は実質増加となったが、十〜十二月期以降四期連続の実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成九年十〜十二月期以降四期連続の実質減少となった。
 消費支出は、平成九年十〜十二月期、十年一〜三月期に二期連続して実質減少となった後、四〜六月期は実質増加となったが、七〜九月期は実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は二十七万九千三百八十三円で、名目二・二%、実質一・九%の減少

◇財・サービス区分別の消費支出(全世帯)

 財(商品)は、実質〇・一%の減少
  <耐久財> 実質一・四%の増加
  <半耐久財> 実質二・八%の減少
  <非耐久財> 実質〇・四%の増加
 サービスは、実質四・六%の減少




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卯(う)年生まれは九百九十二万人


―平成十一年一月一日現在―


総 務 庁


 総務庁統計局では、卯(う)年にちなんで、卯(う)年生まれの人口を公表した。その概要は次のとおりである。
 平成十一年の卯(う)年の年男、年女は、推計で九百九十二万人(総人口一億二千六百四十三万人に占める割合七・八%)となっている。男女別にみると、男性は四百八十六万人、女性は五百六万人で、女性の方が二十万人多くなっている。
 卯(う)年生まれの人口を出生年別にみると、第一次ベビーブーム期(昭和二十二年から二十四年)後の昭和二十六年生まれ(平成十一年中に四十八歳になる人)が百九十四万人で最も多く、次いで第二次ベビーブーム期(昭和四十六年から四十九年)直後の昭和五十年生まれ(同二十四歳になる人)が百八十九万人、昭和三十八年生まれ(同三十六歳になる人)が百六十二万人、還暦を迎える昭和十四年生まれが百四十八万人、昭和六十二年生まれ(同十二歳になる人)が百三十四万人となっている(第1表参照)。
 総人口を十二支別にみると、丑(うし)年の一千百六十八万人が最も多く、次いで子(ね)年(一千百四十三万人)、寅(とら)年(一千百二十九万人)、亥(い)年(一千百二十七万人)、未(ひつじ)年(一千三十一万人)の順となっている(第2表参照)。


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税金365日


消費税・地方消費税(個人事業者)の確定申告が必要な人は


国 税 庁


【個人事業者の方の消費税及び地方消費税の確定申告受付中】

 消費税の課税事業者(注)に該当する個人事業者の方は、平成十一年三月三十一日(水)までに平成十年分の「消費税及び地方消費税確定申告書」を作成して所轄の税務署に提出するとともに、その消費税額及び地方消費税額を納付してください。
 なお、「消費税及び地方消費税確定申告書」には簡易課税用と一般用の二種類があります。
 @ 平成八年中の課税売上高が、二億円以下の課税事業者で、平成九年中までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している方は、「消費税及び地方消費税確定申告書(簡易課税用)」を提出してください。
 A @以外の方
 簡易課税制度を選択していない課税事業者又は簡易課税制度を選択していても平成八年中の課税売上高が二億円を超える個人事業者の方は、「消費税及び地方消費税確定申告書(一般用)」を提出してください。
 (注) 「課税事業者」とは、次の方をいいます。
  ・平成八年中の課税売上高が三千万円を超える事業者。
  ・平成八年中の課税売上高が三千万円以下の事業者で、平成九年中までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している事業者。
○ 課税事業者に該当することとなった場合は、速やかに「消費税課税事業者届出書」を提出する必要があります。
○ 消費税及び地方消費税の確定申告書には、課税期間中の課税売上げの額及び課税仕入れ等の税額の明細等を記載した書類(付表)の添付が必要です。
○ 平成十年分から限界控除制度が廃止されました。
○ 平成十年分からは、簡易課税制度の適用に当たっては、簡易課税制度を適用できる基準期間の課税売上高の上限が二億円に引き下げられるとともに、これまで第四種事業とされていた事業のうち、不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業を除きます。)は第五種事業とされ、そのみなし仕入率は五〇%となりました。
○ 基準期間(個人事業者は前々年)の課税売上高が二億円を超えるため、簡易課税制度を適用できなくなる事業者の方が仕入税額控除を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載した「帳簿及び請求書等」の保存が必要となります。
○ 納税は、振替納税が便利です。
○ 消費税及び地方消費税の申告・納付の手続き等についてお分かりにならない点がありましたら、最寄りの税務相談室又は税務署にお尋ねください。


 
    <1月13日号の主な予定>
 
 ▽国民生活白書のあらまし…………経済企画庁 

 ▽消費者物価指数の動向……………総 務 庁 
 



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〔国 会 関 係〕


第百四十二回国会で審議された
 法律案・条約の一覧表(内閣官房)…7・15…H
  

〔白 書 関 係〕


高齢社会白書(総務庁)…………………7・1…@
防災白書(国土庁)………………………7・8…@
観光白書(総理府)………………………7・15…@
厚生白書(厚生省)………………………7・22…@
交通安全白書(総務庁)…………………8・5…@
通商白書(通商産業省)…………………8・12…@
通信白書(郵政省)………………………8・19…@
原子力白書(原子力委員会)……………8・19…I
環境白書(環境庁)………………………8・26…@
防衛白書(防衛庁)………………………9・2…@
労働白書(労働省)………………………9・9…@
建設白書(建設省)………………………9・16…@
原子力安全白書
(原子力安全委員会)…………………9・30…@
経済白書(経済企画庁)…………………10・7…@
規制緩和白書(総務庁)…………………10・14…@
犯罪白書(法務省)………………………10・21…@
公害紛争処理白書
(公害等調整委員会事務局)…………10・28…@
警察白書(警察庁)………………………11・4…@
我が国の文教施策(文部省)……………11・25…@
独占禁止白書(公正取引委員会)………12・9…@
海上保安白書(海上保安庁)……………12・16…@
世界経済白書(経済企画庁)……………12・24…@
  

総理府関係


<総 理 府>
男女共同参画の現状と施策の
 あらまし………………………………9・24…@
<宮 内 庁>
天皇誕生日一般参賀について…………12・9…K
新年一般参賀について…………………12・16…O
<総 務 庁>
平成九年度平均
 全国消費者物価指数の動向…………7・1…J
世帯属性別にみた家計収支の概況……7・8…M
平成九年平均
 消費者物価地域差指数の概況………8・12…N
平成九年人口移動の概況………………9・9…J
平成十年一〜六月期平均家計収支……9・24…J
統計からみた我が国の高齢者…………10・7…L
単身世帯収支調査結果の概況
(平成十年一〜六月期平均速報)……10・14…I
平成九年
 就業構造基本調査結果の概要………11・11…@
  

文部省関係


平成十年度学校基本調査………………11・18…@
平成九年度
 体力・運動能力調査の結果…………12・2…@
  

農林水産省関係


平成十年度農業観測……………………7・29…@
  

労働省関係


平成九年賃金構造基本統計調査
 結果の概要……………………………9・9…S

  〔毎月公表されるもの〕

▽消費者物価指数の動向………………総 務 庁

平成十年五月の消費者物価指数………7・8…J
平成十年六月の消費者物価指数………9・2…S
  〃 七月    〃   ………9・16…G
  〃 八月    〃   ………10・7…S
  〃 九月    〃   ………11・18…J
  〃 十月    〃   ………12・16…L

▽家計収支………………………………総 務 庁

平成十年四月分家計収支………………7・22…N
  〃 五月分 〃  ………………8・19…N
  〃 六月分 〃  ………………9・16…N
  〃 七月分 〃  ………………10・21…N
  〃 八月分 〃  ………………11・18…N

▽労働力調査(雇用・失業の動向)……総 務 庁

平成十年五月結果の概要………………8・12…K
  〃 六月  〃  ………………8・26…M
  〃 七月  〃  ………………9・24…G
  〃 八月  〃  ………………10・28…J
  〃 九月  〃  ………………12・9…H
  〃 十月  〃  ………………12・24…I

▽月例経済報告…………………………経済企画庁

平成十年七月報告………………………8・5…L
  〃 八月報告………………………9・2…Q
  〃 九月報告………………………9・30…M
  〃 十月報告………………………10・28…L
  〃 十一月報告……………………12・2…L
  〃 十二月報告……………………12・24…L

▽毎月勤労統計調査
 (賃金、労働時間、雇用の動き)
……労 働 省

平成十年四月分結果……………………8・12…H
  〃 五月分結果……………………9・2…H
  〃 六月分結果……………………9・16…K
  〃 七月分結果……………………10・21…K
  〃 八月分結果……………………11・11…H

  〔四半期ごとに公表されるもの〕

▽法人企業動向調査……………………経済企画庁

平成十年三月実施調査結果……………7・22…G
  〃 六月  〃   ……………9・30…G

▽普通世帯の消費動向調査……………経済企画庁

平成十年六月実施調査結果……………10・14…F
  〃 九月  〃   ……………12・16…I

▽法人企業の経営動向…………………大 蔵 省

平成十年一〜三月期……………………9・2…K
  〃 四〜六月期……………………12・2…F

▽景気予測調査…………………………大 蔵 省

平成十年二月調査………………………7・8…E
  〃 五月調査………………………8・26…H
  〃 八月調査………………………11・4…G

  〔そ の 他〕

▽税金365日…………………………国 税 庁



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