官報資料版 平成1120




                 ▽ 平成十年科学技術研究調査結果の概要……………………総 務 庁

                 ▽ 毎月勤労統計調査(九月分結果速報)……………………労 働 省

                 ▽ 平成九年度法人企業統計年報………………………………大 蔵 省

                 ▽ 税金365日 サラリーマンの確定申告…………………国 税 庁










平成10年


科学技術研究調査結果の概要


―我が国の科学技術研究の現況―


総 務 庁


 総務庁統計局では、平成十年科学技術研究調査の結果を公表した。
 この調査は、我が国の科学技術に関する研究活動の状態を調査し、科学技術の振興に必要な基礎資料を得ることを目的として、昭和二十八年以降、毎年四月一日現在で実施している。
 調査の内容は、資本金、売上高、研究関係従事者数、研究費(人件費・有形固定資産購入費等の別、基礎研究・応用研究等の別、製品分野別など)、国際技術交流の状況などである。
 なお、売上高、研究費等の財務事項は、四月一日前の最近の決算日をさかのぼる一年間について調査している。
 平成十年調査は、会社等約一万二千五百、研究機関約一千四百、大学等約二千六百を対象としており、会社等については、資本金十億円以上の会社及び前年調査で研究を実施していた会社は全数調査、それ以外は標本調査で行い、研究機関、大学等については、全数調査で行った。
 また、附帯調査として、エネルギー研究調査(昭和五十二年開始)及びライフサイエンス研究調査(昭和五十七年開始)を同時に実施しており、これら附帯調査の結果数値は、科学技術研究調査結果の内数となっている。
 なお、平成九年調査から、調査対象産業としてソフトウェア業を追加した。

◇科学技術研究調査

 (1) 研究費
<平成九年度の研究費は引き続き増加>
 平成九年度の我が国の科学技術研究費は十五兆七千四百十五億円となり、前年度に比べ四・四%の増加となっている。
 研究費の推移をみると、昭和六十一年度には景気後退の影響を受けて三・四%増と大きく伸びが低下した。その後、景気の回復に伴い、増加幅は拡大し、平成元年度及び二年度は一〇%を超える伸びとなった。景気の調整過程に入った平成三年度は五・三%増、四年度は一・〇%増と伸びが低下し、五年度には調査開始以来初めて対前年度比マイナスを記録し、六年度も〇・八%減と二年連続の減少となった。平成七年度は六・〇%増と三年ぶりに増加に転じ、八年度は三・四%増、九年度は四・五%増(ソフトウェア業を除く対前年度比。ソフトウェア業を含む対前年度比四・四%増)となっている。
 また、実質研究費(平成七年度基準)は十五兆四千六十五億円となり、前年度に比べ三・四%の増加となっている(第1図参照)。
 科学技術研究費のうち、自然科学部門についてみると、平成九年度の研究費は十四兆四千九百二十一億円で、前年度に比べ四・七%の増加となっている。
 研究費全体に占める自然科学部門の研究費の割合は九二・一%で、前年度に比べ〇・三ポイント上昇している。この割合の推移をみると、平成二年度までの拡大傾向から、三年度は横ばい、四年度以降は三年連続の縮小となったが、七年度は拡大に転じ、八年度以降も引き続き拡大傾向となっている。
<研究費の対国内総生産比は引き続き上昇>
 研究費の国内総生産(GDP)に対する比率は、三・一二%となり、前年度に比べ〇・一二ポイントの上昇となっている。
 この比率の推移をみると、平成二年度まではおおむね研究費の伸びがGDPの伸びを上回っていたため、上昇傾向で推移し、二年度には二・九八%となった。その後、研究費の伸びの低迷から、平成三年度以降、四年連続で前年度を下回ったが、七年度は五年ぶりに前年度を上回って二・九四%となり、八年度は三・〇〇%、九年度は三・一二%と引き続き上昇している(第2図参照)。
 (2) 研究主体別研究費
<会社等の研究費は高い伸び>
 平成九年度の研究費を研究主体別にみると、会社等が十兆六千五百八十四億円(対前年度比六・〇%増)、研究機関が二兆二百三十九億円(同〇・八%増)及び大学等が三兆五百九十二億円(同一・五%増)となっている(第1表参照)。
 研究主体別に研究費の推移をみると、会社等は、昭和六十年度までの一〇%を超える増加から六十一年度及び六十二年度は景気後退の影響により増加幅は大きく低下した。昭和六十三年度以降は、景気回復に伴い再び一〇%を超える高い伸びを示したが、平成三年度は五・一%増と伸びが鈍化し、四年度には一・九%減と減少に転じた。その後、平成六年度まで三年連続の減少となったが、七年度は四年ぶりに四・六%増となり、八年度は五・二%増となり、九年度は六・一%増(ソフトウェア業を除く対前年度比。ソフトウェア業を含む対前年度比六・〇%増)と、前年度を上回る伸びとなっている。
 研究機関は、昭和六十二年度までは六〜一二%台の比較的高い伸びで推移しており、六十三年度には〇・七%増と伸びが大きく低下したものの、平成元年度以降は引き続き四〜九%台の安定した伸びで推移していた。その後、平成六年度は一・八%減と減少に転じ、七年度は九・〇%増となったものの、八年度は一・一%減と再び減少に転じ、九年度は〇・八%増となっている。
 大学等は、会社等や研究機関に比べ、各年度における増加の振幅は小さく、比較的安定した動きを示しており、平成五年度までは堅調な増加を続け、その後、六年度は〇・二%減とわずかに減少したが、七年度は八・三%増、八年度は一・〇%増、九年度は一・五%増となっている。
 (3) 支出源別研究費
<民間の研究費の割合は増加>
 平成九年度の研究費を支出源別にみると、民間が十二兆四千九百三十九億円、国・地方公共団体が三兆二千三十九億円となっており、前年度に比べ民間は四・九%増と引き続き増加となり、国・地方公共団体も一・四%の増加となった。この結果、研究費支出に占める割合は国・地方公共団体が二〇・四%、民間が七九・四%となり、民間の研究費割合は、前年度に比べ〇・五ポイント上昇している(第2表参照)。
 支出源別の割合の推移をみると、民間の研究費割合は、昭和五十五年度以降は、六十年代前半の円高不況期を除き上昇を続けた後、平成二年度の八二・〇%をピークとして、おおむね低下傾向にあったが、八年度以降は上昇に転じた。
 (4) 性格別研究費
<基礎研究費の支出割合は引き続き低下>
 自然科学に使用した研究費を基礎、応用、開発の三部門の性格別にみると、基礎研究費が一兆九千八百七十一億円(対前年度比二・八%増)、応用研究費が三兆五千二百十六億円(同五・三%増)、開発研究費が八兆八千七百二十四億円(同五・〇%増)となっている(第3表参照)。
 性格別研究費の構成比の推移をみると、昭和五十年代以降は、基礎研究費はおおむね低下傾向、応用研究費は横ばい又はわずかな低下傾向、開発研究費は上昇傾向で推移していた。平成三年度以降は、基礎研究費比率が上昇傾向にあったものの、八年度以降は、再び低下している。
 (5) 費目別研究費
<すべての費目で増加>
 研究費を費目別にみると、人件費が七兆二千九十四億円(対前年度比三・二%増)、原材料費が二兆六千九百四十八億円(同五・二%増)、有形固定資産購入費が一兆八千九百七十二億円(同一・五%増)、事務費、通信費、図書費、光熱費などの「その他の経費」が三兆九千四百一億円(同七・六%増)と、すべての費目で増加している。
 費目別研究費の推移をみると、人件費は、平成三年度までは研究関係従事者の持続的増加と給与水準の上昇を背景として、五%を上回る増加を示していたが、四年度には四・七%増、五年度以降四%以下の低い伸びで推移している。
 原材料費は、昭和六十三年度から平成二年度までの一三%台の高い伸びから、三年度は〇・二%増、四年度及び五年度はそれぞれ三・四%減、七・五%減と低迷し、六年度以降は堅調な増加となっており、九年度は五・三%増(ソフトウェア業を除く対前年度比。ソフトウェア業を含む対前年度比五・二%増)と、引き続き増加となっている。有形固定資産購入費は、平成三年度まではおおむね増加傾向で推移していたが、四年度から六年度は減少している。平成七年度は一五・五%増と増加に転じ、八年度は五・四%減と再び減少したものの、九年度は一・六%増(同一・五%増)となった。また、「その他の経費」は平成四年度まで増加が続き、五年度及び六年度は減少したが、七年度以降は再び増加に転じている(第4表参照)。
 (6) 特定目的別研究費
<海洋開発研究費が減少>
 平成九年度の研究費支出のうち、宇宙開発、海洋開発、情報処理、環境の保護の特定目的について支出した研究費をみると、情報処理が一兆五千七百二十六億円(対前年度比一一・四%増)、環境の保護が三千六百六十七億円(同七・二%増)、宇宙開発は二千五百八十六億円(同六・四%増)と増加しているが、海洋開発が七百八十億円(同八・一%減)と減少している。
 それぞれの特定目的別研究費について、研究費全体に占める割合をみると、宇宙開発は一・六%、海洋開発は〇・五%、情報処理は一〇・〇%、環境の保護は二・三%となっている。
 これらについて、最近の推移をみると、宇宙開発は昭和六十年度以後一・七%前後で推移しているが、平成七年度の一・九%から八年度及び九年度は一・六%と低下している。
 海洋開発は平成二年度及び三年度に〇・四%まで低下した後、増加傾向で推移し、七年度及び八年度は〇・六%となったが、九年度は〇・五%となっている。
 情報処理は平成三年度までは急速に拡大し、三年度には八・七%となったが、四年度及び五年度は情報処理研究費が減少したことにより、それぞれ七・九%、七・八%と低下した。その後、六年度は横ばい、七年度は七・九%、八年度は九・四%、九年度は一〇・〇%に拡大している。また、環境の保護はわずかずつではあるが拡大傾向にある(第5表参照)。
 (7) 研究関係従事者数
<研究関係従事者は微増>
 平成十年四月一日現在の研究関係従事者は百二万二千九百人で、前年に比べ〇・三%増とわずかながら増加している。
 職種別にみると、研究者が七十五万四千四百人(対前年比一・二%増)、研究補助者が八万三千五百人(同〇・四%減)、技能者が八万九千百人(同五・一%減)、研究事務その他の関係者が九万五千九百人(同〇・七%減)となっており、研究者では伸びを示したものの、研究補助者、技能者及び研究事務その他の関係者では、いずれも減少している。
<研究者比率は引き続き上昇>
 研究関係従事者の職種別割合の推移をみると、研究者の割合は、昭和五十年代後半以降上昇傾向で推移し、平成十年には七三・七%と、研究関係従事者の七割強が研究者となっている。これに対し、研究補助者、技能者の割合は低下傾向で推移し、平成十年にはそれぞれ八・二%、八・七%となっている。
 また、研究事務その他の関係者は、昭和六十年以降一〇%台で推移していたが、平成七年は九・九%、八年は九・七%、九年は九・五%、十年は九・四%と、四年連続低下している。
 (8) 研究本務者数
<研究本務者の女性比率は引き続き上昇>
 研究者を本務者(所属の組織で研究を主とする者)と兼務者(外部に本務をもつ研究者)とに分けてみると、本務者が七十万四千五百人(研究者に占める割合九三・四%)、兼務者が四万九千八百人(同六・六%)となっている。
 研究本務者を男女別にみると、男性が六十三万三千五百人(本務者に占める割合八九・九%)、女性が七万一千人(同一〇・一%)となっている。
 過去からの推移をみると、女性の研究本務者の伸びは、昭和五十七年以降、男性研究本務者の伸びを上回って推移している。この結果、女性の本務者全体に占める割合は、昭和五十七年の六・〇%から平成十年には一〇・一%へと拡大している(第6表参照)。
 (9) 研究本務者一人当たり研究費
<一人当たり研究費は増加>
 平成九年度の研究本務者一人当たり研究費(平成九年度の研究費を平成十年四月一日現在の研究本務者で除して算出)は二千二百三十四万円で、前年度に比べ三・一%の増加となっている。
 対前年度比の推移をみると、昭和六十年度まではおおむね五〜一〇%台の高い伸びで推移したが、六十一年度から六十三年度は、景気後退の影響を受けて伸びが鈍化した。その後、平成元年度から三年度は二〜六%台の伸びで推移したが、四年度から六年度は減少を続けた。しかし、平成七年度は景気の緩やかな回復に伴い四年ぶりに三・七%増となり、八年度は二・四%増、九年度は二・八%増(ソフトウェア業を除く対前年度比。ソフトウェア業を含む対前年度比三・一%増)となっている(第3図参照)。
 (10) 会社等研究費
<会社等の研究費は引き続き増加>
 平成九年度の会社等における研究費は十兆六千五百八十四億円で、前年度に比べ六・〇%増となっている。研究費の最近の動きをみると、平成四年度の一・九%減、五年度の五・三%減、六年度の〇・八%減と、三年連続の減少から、七年度四・六%増、八年度五・二%増、九年度六・一%増(ソフトウェア業を除く対前年度比。ソフトウェア業を含む対前年度比六・〇%増)と、三年連続の増加となっている。
 会社等から特殊法人を除いた会社の研究費十兆六千二百七億円を資本金階級別にみると、資本金百億円以上の会社が七兆九千五百二十三億円(会社等研究費全体の七四・六%)、十億〜百億円未満が一兆五千三百六十八億円(同一四・四%)、一億〜十億円未満が七千四百七十二億円(同七・〇%)、一億円未満が三千八百四十四億円(同三・六%)となっている。
 (11) 産業別研究費
<農林水産業、鉱業、運輸・通信・公益業などの産業で増加>
 平成九年度の研究費を産業大分類別にみると、製造業が九兆八千百六十四億円(会社等研究費に占める割合九二・一%)と最も多く、次いで、運輸・通信・公益業が四千七十二億円(同三・八%)、建設業が二千二百五十二億円(同二・一%)、ソフトウェア業が一千七百三十五億円(同一・六%)、鉱業が二百五十二億円(同〇・二%)、農林水産業が百八億円(同〇・一%)となっている。
 これを前年度と比較してみると、農林水産業(対前年度比二〇・七%増)、鉱業(同一六・四%増)、運輸・通信・公益業(同一二・二%増)、製造業(同六・〇%増)、建設業(同〇・三%増)が増加しているのに対し、ソフトウェア業(同二・一%減)は減少している。
<電気機械工業、輸送用機械工業、化学工業で会社等研究費の六五・五%>
 製造業の研究費を産業中分類別にみると、電気機械工業が三兆七千百九十四億円(会社等研究費に占める割合三四・九%)と最も多く、次いで、輸送用機械工業が一兆六千五百四十億円(同一五・五%)、化学工業が一兆六千九十三億円(同一五・一%)となっており、この上位三産業で会社等研究費の六五・五%を占めている。
 主な産業について研究費の対前年度比をみると、精密機械工業(一六・三%増)が一〇%を超える大幅な増加となっているほか、輸送用機械工業(九・四%増)、非鉄金属工業(八・二%増)、機械工業(七・七%増)、電気機械工業(六・五%増)、鉄鋼業(六・〇%増)が六〜九%台の増加となっており、石油製品・石炭製品工業(四・五%増)なども増加している。
 特に産業小分類でみると、通信・電子・電気計測器工業及び自動車工業の研究費は、それぞれ一千七百七十三億円(七・四%増)、一千二百九十八億円(九・九%増)増加しており、この二つの産業の増加額だけで会社等の研究費全体の増加額五千九百九十九億円の五一・二%を占めている。
 (12) 売上高に対する研究費の比率
<売上高比率は引き続き上昇>
 研究を実施している会社の平成九年度の売上高に対する研究費の比率(売上高比率)は二・八五%となっている。この比率の推移をみると、昭和五十九年度以降上昇を続け、平成四年度には研究費が減少に転じたものの、売上高がそれを上回る減少を示したことから、売上高比率は引き続き上昇した。
 その後、平成五年度は売上高が前年度に引き続き減少したが、研究費の減少がそれを上回ったため前年度に比べ〇・〇七ポイント低下、六年度は売上高が増加に転じたが、研究費が引き続き減少したことから、前年度に比べ〇・〇四ポイント低下と二年連続の低下となり、七年度は研究費の伸びが売上高の伸びを上回ったため〇・〇一ポイント上昇し、八年度は〇・〇四ポイント、九年度は〇・〇八ポイントの上昇となり、三年連続の上昇となっている。
<売上高比率は化学工業の中の医薬品工業で高い>
 平成九年度の売上高比率を主な産業別にみると、ソフトウェア業が七・八四%で最も高く、次いで、精密機械工業が六・二八%、電気機械工業が六・〇五%、化学工業が五・二四%、輸送用機械工業が三・九七%、機械工業が三・四一%、ゴム製品工業が三・三七%などとなっており、とりわけ、化学工業の中の医薬品工業が引き続き八・〇六%と高い割合を示している。
 これを前年度と比較してみると、売上高比率が上昇しているのは、精密機械工業(〇・五四ポイント上昇)、窯業(〇・四二ポイント上昇)、輸送用機械工業(〇・三八ポイント上昇)などである。一方、売上高比率が低下しているのは、ソフトウェア業(一・九九ポイント低下)などとなっている。
 (13) 国際技術交流(技術貿易)
<技術輸出の受取額は引き続き増加>
 平成九年度における会社等の技術貿易(諸外国との特許、ノウハウなどの技術の提供及び受入れ)についてみると、技術輸出は、件数が一万八件、受取額が八千三百十六億円で、前年度に比べ件数では三千百八十六件(二四・一%減)の減少、受取額は一千二百八十五億円(一八・三%増)の増加となっている。また、技術輸入は、件数が七千八百八十八件、支払額が四千三百八十四億円で、前年度に比べ、それぞれ二百二十九件(三・〇%増)の増加、百二十八億円(二・八%減)の減少となっている。この結果、受取額が支払額を三千九百三十二億円上回り、受取額超過は前年度よりも更に拡大している。
 技術輸出の一件当たりの受取額は八千三百九万円(平成八年度五千三百二十八万円)、技術輸入の一件当たりの支払額は五千五百五十八万円(同五千八百九十一万円)となっている。
 支払額に対する受取額の倍率(技術貿易収支比率)の推移をみると、昭和四十六年度から次第に上昇し、五十九年度には〇・九七となった。その後は平成四年度まではおおむね一・〇〇を下回る水準で推移したが、五年度には受取額が堅調な伸びを示したのに加え、支払額が大幅に減少したことから一・一〇となり、六年度以降、支払額の増加よりも受取額の増加が大きいことから、支払額に対する受取額の倍率は、九年度が一・九〇と上昇を続けている(第7表参照)。
<受取額、支払額とも三産業に集中>
 技術貿易額を主な産業別にみると、受取額では、輸送用機械工業が三千五百九億円と最も多く、次いで、電気機械工業が二千四百六十億円、化学工業が一千六十八億円となっている。一方、支払額は電気機械工業が二千百八十九億円、化学工業が六百七十三億円、輸送用機械工業が三百四十八億円となっており、これら三産業で受取額、支払額のそれぞれ八五%、七三%を占めている。
 この三産業について、受取額、支払額を前年度と比較してみると、受取額では、輸送用機械工業、化学工業及び電気機械工業がそれぞれ六六・三%増、一二・三%増、五・五%増と増加し、支払額では、輸送用機械工業、化学工業及び電気機械工業がそれぞれ一八・二%減、三・六%減、一・五%減と減少している。
<技術輸入はアメリカ合衆国が七割を占める>
 技術貿易額を相手国先別にみると、受取額、支払額ともアメリカ合衆国が最も多く、受取額は三千六百五十三億円(受取額全体に占める割合四三・九%)、支払額は三千百十億円(支払額全体に占める割合七一・〇%)となっている。
 このほか、受取額の多いのは中国が九百四十四億円(受取額全体に占める割合一一・四%)[うち台湾が五百八億円(同六・一%)]、イギリスが五百七十八億円(同七・〇%)、韓国が四百六十億円(同五・五%)、タイが四百十五億円(同五・〇%)、シンガポールが二百八十九億円(同三・五%)、マレーシアが二百八十六億円(同三・四%)などとなっており、近隣のアジア諸国からの受取額が多くなっている。
 また、支払額はアメリカ合衆国が七割を占めるが、このほかではドイツが二百七十一億円(支払額全体に占める割合六・二%)、オランダが二百三十七億円(同五・四%)、フランスが二百二億円(同四・六%)、スイスが百七十九億円(同四・一%)など、ヨーロッパ諸国で多くなっている。
 地域別にみると、受取額では北アメリカが三千九百四十五億円(受取額全体に占める割合四七・四%、対前年度比六七・六%増)で最も多く、次いでアジアが二千八百七十八億円(同三四・六%、同一六・七%減)、ヨーロッパが一千二百四十六億円(同一五・〇%、同一六・四%増)となっている。一方、支払額は、北アメリカが三千百三十五億円(支払額全体に占める割合七一・五%、対前年度比五・二%減)で最も多く、次いでヨーロッパが一千百九十八億円(同二七・三%、同三・二%増)となっている(第4図参照)。

◇エネルギー研究調査

 (1) 研究費
<エネルギー研究費の伸びは低下>
 平成九年度のエネルギー研究費は一兆一千八百六十億円で、前年度に比べ一・五%の増加となっており、前年度に比べ伸びが低下している(第8表参照)。
 過去からの推移をみると、平成二年度までは、毎年、科学技術研究費全体の伸びを下回る伸びにとどまっていたが、三年度及び四年度は全体の伸びを上回り、五年度及び六年度は全体が前年度比減少となる中で、わずかではあるが増加を示していた。平成七年度及び八年度は全体の伸びとほぼ同水準の伸びであったが、九年度は全体の伸びを下回っている。
 この結果、科学技術研究費全体に占めるエネルギー研究費の割合は、平成二年度の七・〇%を底に上昇に転じ、六年度には七・八%となったが、七年度から八年度にかけて横ばいとなり、九年度は七・五%まで低下している。
 (2) 研究主体別研究費
<研究機関及び大学等でエネルギー研究費が減少>
 平成九年度のエネルギー研究費を研究主体別にみると、会社等が四千二百九十九億円(対前年度比八・〇%増)、研究機関が六千九百八十五億円(同一・一%減)、大学等が五百七十五億円(同一〇・〇%減)となり、研究機関は七年ぶり、大学等は九年ぶりの減少となっている。
 (3) 研究テーマ別研究費
<省エネルギー研究費及び自然エネルギー研究費が大幅な増加>
 平成九年度のエネルギー研究費を研究テーマ別にみると、省エネルギー研究費が五千三百八十二億円(対前年度比一二・九%増)、原子力エネルギー研究費が四千四百九十六億円(同一一・六%減)、化石エネルギー研究費が一千百三十億円(同〇・九%増)、自然エネルギー研究費が四百六十七億円(同一一・五%増)となっており、省エネルギー研究費及び自然エネルギー研究費が大幅な増加となっている。
 エネルギー研究費の九五・二%を占める会社等と研究機関について、前年度からの動きをみると、会社等は自然エネルギー研究費(対前年度比一九・二%増)、省エネルギー研究費(同一一・八%増)の伸びが大きく、前年度伸びの大きかった化石エネルギー研究費(同〇・八%増)は微増となっている。一方、研究機関も自然エネルギー研究費(同八・三%増)と省エネルギー研究費(同一四・四%増)の伸びが大きく、化石エネルギー研究費(同一・八%増)は微増となっている。原子力エネルギー研究費については会社等、研究機関ともに減少しているが、特に研究機関において大幅な減少(同一二・八%減)となっている。
<会社等のエネルギー研究費は三産業に集中>
 会社等のエネルギー研究費を主な産業別にみると、輸送用機械工業が一千四百四十四億円、電気機械工業が一千二十二億円、運輸・通信・公益業が六百五十六億円となっており、これら三産業でエネルギー研究費全体の七二・六%を占めている。
 前年度からの動きをみると、鉄鋼業が一六・五%増、化学工業が一一・八%増となっている一方、石油製品・石炭製品工業が一一・七%減、運輸・通信・公益業が〇・二%減となっている。
 また、各産業別の研究テーマ別研究費をみると、化学工業、鉄鋼業、電気機械工業、輸送用機械工業では省エネルギー研究費、非鉄金属工業では原子力エネルギー研究費、石油製品・石炭製品工業では化石エネルギー研究費の割合が大きくなっている。
 (4) 研究関係従事者数
<研究関係従事者、研究本務者はともに増加>
 平成十年四月一日現在のエネルギー研究にかかわる研究関係従事者は四万四千七百人で、前年に比べ三・一%の増加となっている。
 研究主体別にみると、会社等が一万七千九百人(対前年比九・三%増)、研究機関が二万一千四百人(同〇・八%減)、大学等が五千四百人(同〇・〇%)となり、会社等は増加しているが、研究機関は微減、大学等は前年並みとなっている。
 また、研究関係従事者のうち研究本務者は二万六千六百人で、前年に比べ五・八%の増加となっている。
 研究主体別にみると、会社等が一万二千七百人(対前年比一一・七%増)、研究機関が一万百人(同二・一%増)、大学等が三千九百人(同一・七%減)と、会社等及び研究機関では増加しているが、大学等では減少となっている。
 (5) 研究本務者一人当たり研究費
<一人当たり研究費は各研究主体とも減少>
 平成九年度の研究本務者一人当たり研究費は四千四百五十三万円で、前年度に比べ四・〇%の減少となっている。
 研究主体別にみると、会社等が三千三百九十三万円(対前年度比三・二%減)、研究機関が六千九百二十三万円(同三・一%減)、大学等が一千四百八十五万円(同八・五%減)と、いずれも減少となっている。
 研究テーマ別にみると、原子力エネルギー研究費が六千四百一万円(対前年度比一〇・八%減)と減少しているが、化石エネルギー研究費が五千五百八十万円(同一二・二%増)、省エネルギー研究費が三千六百三十万円(同〇・一%増)、自然エネルギー研究費が二千四百七十八万円(同四・五%増)となっており、原子力エネルギー研究費の減少のみが目立つ結果となっている。

◇ライフサイエンス研究調査

 (1) 研究費
<ライフサイエンス研究費の伸びが低下>
 平成九年度のライフサイエンス研究費は一兆八千五十六億円で、前年度に比べ〇・四%の増加となっている(第9表参照)。
 過去からの推移をみると、昭和六十二年度から平成二年度までは一〇%前後の高い伸びで推移していたが、三年度から五年度は伸びに低下がみられ、六年度は調査を開始した昭和五十六年度以来初めて前年度を下回った。その後、平成七年度に六・八%増と再び増加に転じたが、八年度は二・八%増、九年度は〇・四%増と、伸びがしだいに低下している。
 これを科学技術研究費全体の伸びと比較してみると、平成三年度から七年度まではライフサイエンス研究費の伸びが全体の伸びを上回っていたが、八年度、九年度は逆に全体の伸びを下回っている。
 この結果、科学技術研究費全体に占めるライフサイエンス研究費の割合は、平成二年度の一〇・三%を底に上昇に転じ、七年度には一二・一%まで上昇したが、九年度は一一・五%まで低下している。
 (2) 研究主体別研究費
<会社等のライフサイエンス研究費が減少>
 平成九年度のライフサイエンス研究費を研究主体別にみると、会社等が八千二百四十二億円(対前年度比五・〇%減)、研究機関が二千八百七十四億円(同四・二%増)、大学等が六千九百四十億円(同五・九%増)となっている。
 伸び率を前年度と比較してみると、会社等では前年度の四・八%増から一転して減少となり、研究機関では堅調な増加が続き、大学等では前年度の減少から再び増加に転じている。
 (3) 研究目的別研究費
<環境保全研究費が引き続き伸びる>
 平成九年度のライフサイエンス研究費を研究目的別にみると、保健・医療に関する研究開発が一兆一千六百六十四億円(対前年度比〇・四%減)、生命現象全般及び生物機能の解明が二千四百一億円(同一・一%増)、食糧資源の確保に関する研究開発が一千三百七十五億円(同〇・五%増)、環境保全に関する研究開発が一千百三十一億円(同四・四%増)、生物及びその機能の鉱工業利用に関する研究開発が六百八十三億円(同一・四%増)などとなっている。
 最近の動きをみると、ライフサイエンス研究費全体の伸びが低下する中で、環境保全に関する研究開発が高い伸びを維持している。
<化学工業が四分の三を占める会社等のライフサイエンス研究費>
 会社等のライフサイエンス研究費を主な産業別にみると、化学工業が六千三百二十六億円で、会社等におけるライフサイエンス研究費全体の七六・八%を占めており、次いで多い食品工業(八百三十億円)を大きく引き離している。
 前年度からの動きをみると、電気機械工業が一二四・五%増、精密機械工業が三一・七%増、輸送用機械工業が一四・三%増となっている一方、その他の工業が二八・一%減、化学工業が八・〇%減、建設業が六・五%減となっている。
 また、各産業の研究目的別研究費をみると、食品工業、繊維工業、化学工業、窯業、電気機械工業、精密機械工業、その他の工業では保健・医療に関する研究開発、建設業、輸送用機械工業では環境保全に関する研究開発の割合が大きくなっている。
<遺伝子組換え研究費は堅調な伸び>
 平成九年度のライフサイエンス研究費のうち、遺伝子組換えの研究に使用した研究費は一千三百六十九億円で、前年度に比べ五・八%の増加となっている。
 過去からの推移をみると、平成元年度までの二けたの高い伸びが、二年度には二・九%増と大きく低下したが、以後は上昇し、五年度には一九・一%増と高い伸びを示した。平成六年度は〇・八%減と減少となったものの、七年度は再び大幅な増加となった。その後、ライフサイエンス研究費全体の伸びが低下する中で、遺伝子組換え研究費は平成八年度、九年度と続いて堅調な伸びとなっている。
 (4) 研究関係従事者数
<会社等の研究本務者数が減少>
 平成十年四月一日現在のライフサイエンス研究にかかわる研究関係従事者は十六万六千五百人で、前年に比べ〇・五%の増加となっている。
 研究主体別にみると、会社等が三万八千八百人(対前年比五・一%減)、研究機関が二万五千二百人(同一・六%増)、大学等が十万二千五百人(同二・五%増)となっている。
 また、研究関係従事者のうち研究本務者は十一万四千人で、前年に比べ〇・八%の増加となっている。
 研究主体別にみると、会社等が二万五千九百人(対前年比四・一%減)、研究機関が一万一千百人(同一・五%増)、大学等が七万七千百人(同二・四%増)と、会社等が減少となっているが、研究機関及び大学等では増加となっている。
 (5) 研究本務者一人当たり研究費
<一人当たり研究費は減少>
 平成九年度の研究本務者一人当たり研究費は一千五百八十四万円で、前年度に比べ〇・四%の減少となっている。
 研究主体別にみると、会社等が三千百八十四万円(対前年度比〇・九%減)、研究機関が二千五百九十四万円(同二・六%増)、大学等が九百一万円(同三・四%増)と、会社等は減少しているが、研究機関及び大学等では増加となっている。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十年九月分結果速報


労 働 省


 「毎月勤労統計調査」平成十年九月分結果の主な特徴点は、次のとおりである。

◇賃金の動き

 九月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万百四十三円、前年同月比は〇・七%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万六千七百三十八円、前年同月比〇・六%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十六万九千六百三十五円、前年同月比〇・〇%で前年と同水準、所定外給与は一万七千百三円、前年同月比は八・九%減となっている。
 また、特別に支払われた給与は三千四百五円、前年同月比一一・三%減となっている。
 実質賃金は、前年同月比〇・五%減であった。
 産業別にきまって支給する給与の動きを前年同月比によってみると、伸びの高い順に電気・ガス・熱供給・水道業〇・三%増、サービス業〇・一%増、鉱業〇・〇%、運輸・通信業〇・一%減、製造業〇・二%減、金融・保険業一・〇%減、卸売・小売業、飲食店一・四%減、建設業一・九%減、不動産業五・九%減であった。

◇労働時間の動き

 九月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は一五五・一時間、前年同月比一・八%減であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は一四五・九時間、前年同月比一・三%減、所定外労働時間は九・二時間、前年同月比八・九%減、季節調整値は前月比一・八%減であった。
 製造業の所定外労働時間は一一・七時間で、前年同月比は一七・〇%減、季節調整値は前月比一・九%減であった。

◇雇用の動き

 九月の規模五人以上事業所の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・三%減、常用労働者のうち一般労働者では一・一%減、パートタイム労働者では三・六%増であった。常用労働者全体の季節調整値は前月比〇・〇%と前月と同水準であった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、サービス業一・七%増、建設業〇・五%増、電気・ガス・熱供給・水道業〇・一%増と、これらの産業は前年を上回っているが、不動産業〇・四%減、運輸・通信業〇・六%減、卸売・小売業、飲食店〇・七%減、製造業一・八%減、鉱業二・九%減、金融・保険業三・二%減と、前年同月を下回った。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・一%減、パートタイム労働者一・三%減、卸売・小売業、飲食店では一般労働者二・八%減、パートタイム労働者四・四%増、サービス業では一般労働者〇・八%増、パートタイム労働者六・二%増となっている。

◇     ◇     ◇

◇     ◇     ◇

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平成9年度


法人企業統計年報


大 蔵 省


 この調査は、統計法(昭和二十二年法律第一八号)に基づく指定統計第一一〇号として、我が国における金融・保険業を除く営利法人を対象に、企業の決算期における資産、負債及び資本、損益、利益処分等を調査し、企業活動の動向を把握することを目的としている。
 なお、本調査は、標本調査であり(計数等は、標本法人の調査結果に基づいて調査対象法人全体の推計値を算出したもの)、標本法人は層別無作為抽出法により抽出している。
 今回の調査対象法人数等は次のとおりである。
  調査対象法人  二、四三三、九五一社
  標本法人数      三〇、六七八社
  回答率          八二・八%
 当調査結果から平成九年度の企業動向をみると、売上高については、製造業では四年連続で増収となり、非製造業では二年ぶりに増収となった。
 経常利益については、製造業では四年ぶりの減益となり、非製造業では二年ぶりに増益となった。
 また、設備投資については、製造業は三年連続の増加となり、非製造業は三年ぶりの減少となった。在庫投資については、製造業は前年度を上回り、非製造業は引き続き前年度を下回った。

一 収益の状況

 (1) 売上高第1表第1図参照

 売上高は、一千四百六十七兆四千二百四十億円であり、前年度(一千四百四十八兆三千八百三十億円)を十九兆四百十億円上回った。対前年度増加率(以下「増加率」という。)は一・三%(前年度△二・四%)と、二年ぶりに増収となった。
 業種別にみると、製造業の売上高は四百十九兆二千百三十億円で、増加率は二・六%(同〇・二%)となった。また、非製造業の売上高は一千四十八兆二千百十億円で、増加率は〇・八%(同△三・四%)となった。
 製造業では、「輸送用機械」「化学」等が減収となったものの、「食料品」「電気機械」等が増収となった。一方、非製造業では、「建設業」「運輸・通信業」等が減収となったものの、「サービス業」「卸・小売業」等が増収となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は五百五十兆六千七百五十五億円で、増加率は〇・五%(同三・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は二百九兆八千九百四十四億円で、増加率は△二・五%(同五・七%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は五百八十八兆八千二百九億円で、増加率は一一・五%(同△七・〇%)、資本金一千万円未満の階層は百十八兆三百三十三億円で、増加率は△二四・九%(同△一三・六%)となった。

 (2) 営業利益第2表参照

 営業利益は、三十三兆七百四十二億円であり、前年度(三十四兆四千百六億円)を一兆三千三百六十四億円下回り、増加率は△三・九%(前年度△三・〇%)となった。
 業種別にみると、製造業の営業利益は十四兆五千三十七億円で、増加率は△一・三%(同七・七%)となった。一方、非製造業の営業利益は十八兆五千七百五億円で、増加率は△五・八%(同△九・七%)となった。
 製造業では、「一般機械」「電気機械」等が増益となったものの、「食料品」「輸送用機械」等が減益となった。一方、非製造業では、「不動産業」等が増益となったものの、「建設業」「卸・小売業」等が減益となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は十八兆七千十一億円で、増加率は△四・五%(同七・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は四兆九百八十四億円で、増加率は△七・九%(同三・一%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は九兆七千五百三十億円で、増加率は三・八%(同△一九・四%)、資本金一千万円未満の階層は五千二百十六億円で、増加率は△四七・二%(同△二一・一%)となった。

 (3) 経常利益第3表第2図参照

 経常利益は、二十七兆八千五十八億円であり、前年度(二十七兆七千八百七十八億円)を百八十億円上回り、増加率は〇・一%(前年度五・八%)と四年連続の増益となった。
 業種別にみると、製造業の経常利益は十三兆七千四百七十五億円で、増加率は△〇・四%(同一五・四%)となった。また、非製造業の経常利益は十四兆五百八十三億円で、増加率は〇・六%(同△二・三%)となった。
 製造業では、「一般機械」「電気機械」等が増益となったものの、「食料品」「輸送用機械」等が大幅な減益となった。一方、非製造業では、「建設業」「運輸・通信業」などで減益となったものの、「不動産業」で赤字縮小となったほか、「サービス業」などで増益となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は十五兆一千百十一億円で、増加率は△四・二%(同一三・五%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は三兆五千八百三十八億円で、増加率は△四・七%(同二一・六%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は八兆四千七百九十八億円で、増加率は一三・四%(同△一四・五%)、資本金一千万円未満の階層は六千三百十億円で、増加率は△一七・八%(同四六・三%)となった。

 (4) 諸比率第4表参照

 売上高営業利益率は二・三%(前年度二・四%)で、前年度を〇・一ポイント下回り、売上高経常利益率は一・九%(同一・九%)と前年度と同水準となった。
 売上高営業利益率を業種別にみると、製造業は前年度を〇・一ポイント下回り、非製造業も前年度を〇・一ポイント下回った。
 また、売上高経常利益率を業種別にみると、製造業は前年度を〇・一ポイント下回り、非製造業は前年度と同水準であった。

 (5) 利益処分第5表参照

 当期純利益は八兆二千七百五十八億円で、前年度(八兆八千五百九十一億円)を五千八百三十三億円下回った(増加率△六・六%)。
 利益処分の構成比をみると、役員賞与は〇・三ポイント前年度を下回り、配当金は一〇・五ポイント前年度を下回ったことから、内部留保は前年度を一〇・八ポイント上回った。

二 付加価値第6表第3図参照

 付加価値は二百七十五兆六千六百七億円で、前年度(二百六十九兆七千二百六億円)を五兆九千四百一億円上回った(増加率二・二%)。
 付加価値の構成比をみると、人件費は〇・八ポイント、租税公課は〇・一ポイント、それぞれ前年度を上回り、支払利息・割引料は〇・九ポイント、動産・不動産賃借料は〇・二ポイント、それぞれ前年度を下回ったことから、営業純益は前年度を〇・二ポイント上回った。
 また、付加価値率は一八・八%と前年度を〇・二ポイント上回り、労働生産性は七百三十四万円で、前年度(七百三十四万円)と同水準となった。

三 投資の動向

 (1) 設備投資第7表参照

 設備投資額は四十六兆二千七百六十三億円であり、前年度(四十五兆五千九百三十四億円)を六千八百二十九億円上回った(増加率一・五%)。
 業種別にみると、製造業の設備投資額は十五兆四千九百四十六億円で、増加率は八・〇%(前年度三・六%)となった。また、非製造業の設備投資額は三十兆七千八百十六億円で、増加率は△一・五%(同三・六%)となった。
 製造業では、「鉄鋼」「石油・石炭製品」などで減少となったものの、「輸送用機械」「化学」等の業種で増加となった。一方、非製造業では、「不動産業」「卸・小売業」等で増加となったものの、「建設業」「運輸・通信業」等の業種で減少となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二十五兆四千二百九十五億円で、増加率は一・一%(同九・八%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は六兆八千百五十一億円で、増加率は△一・一%(同一八・九%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は十一兆一千七百二十五億円で、増加率は九・二%(同△一一・六%)、資本金一千万円未満の階層は二兆八千五百九十二億円で、増加率は△一三・九%(同△一一・一%)となった。

 (2) 在庫投資第8表参照

 在庫投資額は△三兆八千三百五十八億円で、前年度(△一兆二千三百七十九億円)を二兆五千九百七十九億円下回った。
 業種別にみると、製造業の在庫投資額は一兆六千四百二十三億円、非製造業の在庫投資額は△五兆四千七百八十一億円となった。製造業では「化学」「鉄鋼」等が増加となり、非製造業では「建設業」「不動産業」等がそれぞれ前年に比べて減少となった。
 在庫投資額を種類別にみると、製品・商品が△五千九百八十四億円、仕掛品が△三兆五千二百七十八億円、原材料・貯蔵品が二千九百四億円となっている。
 在庫率は一〇・〇%で、前年度(九・七%)を〇・三ポイント上回った。

四 資金事情

 (1) 資金関連項目の状況第9表参照

 受取手形・売掛金は前年度比で減少(増加率△一・八%)し、支払手形・買掛金も減少(同△一・七%)となった。
 短期借入金は減少(同△一・九%)し、長期借入金は増加(同三・四%)となった。また、現金・預金は増加(同三・七%)し、一時保有の有価証券は減少(同△二三・八%)となった。
 手元流動性は一一・六%で、前年度より減少となった。

 (2) 資金調達の状況第10表参照

 資金調達額は、四十八兆三千百八十九億円であり、前年度(四十八兆三千四百八十一億円)を二百九十二億円下回った。
 外部資金は、増資が減少となったものの、長期借入金の減少幅が縮小し、社債、短期借入金が増加したため前年度を上回り、全調達額に占める割合は一二・九%と前年度を六・九ポイント上回った。
 内部資金は、減価償却が増加したものの、留保利益が減少したため前年度を下回り、全調達額に占める割合は八七・一%と低下した。

五 自己資本比率第11表参照

 自己資本比率は一九・九%で、前年度(一九・九%)と同水準となった。
 業種別にみると、製造業は前年度を〇・八ポイント上回り、非製造業は前年度を〇・六ポイント下回った。


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税金365日


サラリーマンの確定申告


国 税 庁


 サラリーマンの給与についての所得税は、毎月の給料やボーナスから源泉徴収されることになっています。その源泉徴収された所得税の一年間の合計額と、その年の給与総額について納めなければならない税額(年税額)との過不足額は、その年最後の給料やボーナスが支払われる際に、「年末調整」によって精算されることになっています。
 大部分のサラリーマンは、この「年末調整」によってその年の納税が完了しますので、改めて確定申告をする必要はありません。しかし、サラリーマンでも確定申告をしなければならない場合や、確定申告をしなくてよい人でも確定申告をすると源泉徴収された所得税が還付される場合があります。

【確定申告をしなければならない場合】

 平成十年中の所得から配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除その他の所得控除の合計額を差し引き、その金額を基として算出した税額が配当控除額と年末調整の際に控除を受けた住宅取得等特別控除額、年調給与特別減税額の合計額よりも多い人で、次のような場合には、確定申告をしなければなりません。
 @ 平成十年分の給与の収入金額が二千万円を超える場合
 A 給与を一か所から受けている人の場合で、給与所得や退職所得以外の所得金額(地代、家賃、原稿料など)の合計額が二十万円を超える場合
 B 給与を二か所以上から受けている場合で、年末調整されなかった給与の収入金額と給与所得や退職所得以外の所得金額との合計額が二十万円を超える場合
   ただし、すべての給与の収入金額が、「百五十万円+社会保険料控除額+小規模企業共済等掛金控除額+生命保険料控除額+損害保険料控除額+障害者・老年者・寡婦(寡夫)・勤労学生の各控除額+配偶者控除額+配偶者特別控除額+扶養控除額」以下で、しかも、給与所得や退職所得以外の所得金額の合計額が二十万円以下であるときは、申告する必要がありません。
 C 同族会社の役員やその親族などで、その法人から給与のほかに貸付金の利子、店舗・工場などの賃貸料、機械・器具の使用料などの支払を受けている場合
 D 災害により被害を受けたことにより、平成十年分の給与について災害減免法に基づく源泉徴収税額の徴収猶予や還付を受けた場合
 平成十年分の所得税の確定申告と納税の期間は、平成十一年二月十六日(火)から三月十五日(月)までです。正しい申告と納税を期間内に済ませましょう。
 なお、納税が三月十五日の期限を過ぎますと、未納となっている税額に対し年一四・六%(ただし、五月十五日までは年七・三%)の延滞税がかかります。

【確定申告をすると所得税が還付される場合】

 確定申告をしなくてよい人でも、次のような場合には、確定申告をすれば源泉徴収された所得税が還付されます。

1 雑損控除の適用を受ける場合
 地震、火災、風水害などの災害や盗難、横領により住宅や家財に損害を受けた場合や災害等に関連してやむを得ない支出をした場合には、雑損控除として所得の控除が受けられます。
 この控除を受ける場合には、災害等に関連してやむを得ない支出をした金額についての領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要です。

2 医療費控除の適用を受ける場合
 病気やけがなどで多額の医療費を支払った場合は、次の算式によって計算した金額が医療費控除として所得金額から控除されます。


 平成十年分の医療費控除の対象となる医療費は、同年中に現実に支払ったものに限ります。したがって、未払となっている医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。
 この医療費控除を受ける場合は、医師などの領収書を確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要です。

3 住宅取得等特別控除の適用を受ける場合
 一定の要件に当てはまる家屋の新築、購入又は増改築等をして、平成五年一月一日から平成十年十二月三十一日までの間に居住の用に供した場合(新築、購入又は増改築等の日から六か月以内に居住の用に供した場合に限ります。)で、一定の要件に当てはまるときは、居住の用に供した時期及び居住の用に供した年以後六年間の各年の区分に応じ、住宅借入金等の年末残高の合計額を基として計算した金額が各年分の所得税の額から控除されます。
 平成十年分について初めてこの控除を受ける場合には、@家屋の登記簿の謄本・抄本や住民票の写しなどの所定の書類及びA金融機関等から交付を受けた「住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書」などを添付することが必要です。
 なお、サラリーマンが住宅取得等特別控除を受ける場合は、最初の年は確定申告をすることが必要ですが、その後の年については、年末調整で受けられることになっています。

4 特定支出控除の適用を受ける場合
 サラリーマンが特定支出をした場合において、その年中の特定支出額の合計額が給与所得控除額を超えるときは、その年分の給与所得の金額は、次の算式により求めた金額とすることができます。


 この特定支出とは、@通勤費、A転任に伴う引越費用、B研修費、C資格を得るための支出、D単身赴任者の帰宅のための往復旅費で、一定の要件に当てはまるものをいいます。
 なお、この特定支出控除を受ける場合は、特定支出に関する明細書及び給与等の支払者の証明書を確定申告書に添付するとともに、支出した金額を証する書類などを確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示することが必要です。

【給与所得がある人の特別減税】

 平成十年分の所得税について特別減税が実施されることになりましたが、給与所得がある人の特別減税は次のとおりとなります。
 「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人(いわゆる「甲欄適用者」)については、原則として、その給与の支払者のもとで次により特別減税額の控除が行われます。
 @ 平成十年二月以後最初に支払われる給与に係る源泉徴収税額からの控除(平成十年二月一日現在の甲欄適用者に対するもの)
 源泉徴収されるべき所得税額から当初の特別減税額(本人一万八千円・扶養親族等一人につき九千円として計算した金額)が控除されます(控除しきれない部分の金額は、以後平成十年中に支払われる給与について源泉徴収されるべき所得税額から順次控除されます。ただし、次のAにより加算される金額を除きます。)。
 A 平成十年八月以後最初に支払われる給与に係る源泉徴収税額からの控除(平成十年八月一日現在の甲欄適用者に対するもの)
 源泉徴収されるべき所得税額から特別減税額の引上額(本人二万円・扶養親族等一人につき一万円として計算した金額。なお、平成十年七月三十一日において前記@による控除の未済額がある場合には、その未済額を加算した金額)が控除されます(控除しきれない部分の金額は、以後平成十年中に支払われる給与について源泉徴収されるべき所得税額から順次控除されます。)。
 B 年末調整時における平成十年分の給与に係る年税額からの控除
 年末調整の際に、その年税額から特別減税額が控除(前記@及びAによる控除額を精算)されます。
※次の点にご注意ください。
○ 給与が二か所以上から支払われている場合の従たる給与については、源泉徴収の段階で特別減税の適用はありませんので、確定申告の際に特別減税額を精算することになります。
○ @給与の額が二千万円を超える人、A年の中途で退職した人で年末調整を受けなかった人、B労働した時間や日ごとに給与を受ける人(いわゆる「丙欄適用者」)は、確定申告によって特別減税の適用を受けることになります。
○ 年末調整によって特別減税額の控除を受けられる人でも、@給与所得以外の所得があるため確定申告の必要のある人、A医療費控除などを適用して還付を受けるための確定申告をする人は、確定申告によって特別減税額を精算することになります。

【退職所得がある人の特別減税】

 退職所得については、その支払を受ける際の源泉徴収の段階では特別減税の適用はありません。このため、その退職所得を含めて平成十年分所得税の確定申告の時期に確定申告書を提出することにより、退職所得から源泉徴収される所得税について特別減税の適用を受けることができる場合があります。

【申告書は早めに自分で書いてみましょう】

 申告書を書くときは、「所得税の確定申告の手引き」や「申告書の書きかた」を参考にしてください。「申告書の書きかた」に示されている番号順に記入していくと、所得や税額の計算が簡単にできるようになっています。
 また、サラリーマンが給与所得のほかに不動産所得や雑所得などを申告するときのために、「給与所得のある人の申告書(一般用)の記載例」も用意してありますのでご利用ください。
 なお、年末調整を受けた給与以外に申告する所得のないサラリーマンが、医療費控除や住宅取得等特別控除などを受けて源泉微収税額の還付を受けるときのために、簡易な申告書用紙(給与所得者の還付申告用)が用意してあります。
 申告書は、早めに書いて、できるだけ郵送で提出してください。所得や税額の計算の仕方、申告書の書き方などで分からない点がありましたら、お気軽に最寄りの税務相談室や税務署でお尋ねください。


 
    <1月27日号の主な予定>
 
 ▽障害者白書のあらまし……………総 理 府 

 ▽消費者物価指数の動向……………総 務 庁 
 



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