官報資料版 平成11




                 ▽ 公益法人に関する年次報告…………………………………総 理 府

                 ▽ 景気予測調査(十一月調査)………………………………大 蔵 省










公益法人に関する年次報告


総 理 府


 公益法人に関する年次報告は、「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」について(平成八年九月二十日閣議決定)に基づき、公益法人の実態及びこれらの基準の実施状況等を明らかにするために、平成九年度から作成することになったものである。
 今回の報告は、平成十年十二月八日の閣議に配布した。
 この報告は、二章から構成されており、第1章においては、公益法人に関する基本的な制度、公益法人に関する行政の沿革及び公益法人に関する最近の状況・施策についての解説を行い、第2章においては、公益法人の現況及び公益法人と行政とのかかわりを概観している。
 報告の概要は以下のとおりである。

<第1章> 公益法人制度の概要

<第1節> 公益法人の定義

一 公益法人の定義
 公益法人は、民法第三十四条に基づいて設立される社団法人又は財団法人のことであり、その設立には、@公益に関する事業を行うこと、A営利を目的としないこと、B主務官庁の許可を得ることが必要である。

二 社団法人と財団法人
 社団法人は、一定の目的のもとに結合した人の集合体であって、団体として組織、意思等を持ち、社員とは別個の社会的存在として団体の名において行動する団体である。
 財団法人は、一定の目的のもとに拠出され、結合されている財産の集まりであって、公益を目的として管理運営される団体である。

三 広義の公益法人等
 (一) 広義の公益法人
 民法以外の特別法に基づいて設立される公益を目的とする法人のことを広義の公益法人といい、学校法人(私立学校法)、社会福祉法人(社会福祉事業法)、宗教法人(宗教法人法)、医療法人(医療法)、更生保護法人(更生保護事業法)、特定非営利活動法人(特定非営利活動促進法)がある。
 (二) 中間法人
 公益も営利も目的としない中間的な団体は、特別法の規定がある場合に限り法人格を取得することができ、一般的に中間法人と呼ばれる。このような中間法人には、労働組合(労働組合法)、信用金庫(信用金庫法)、協同組合(各種の協同組合法)、共済組合(各種の共済組合法)がある。
 (三) 特殊法人等
 公益法人は、行政改革の観点から特殊法人等とともに議論されることがあるが、特殊法人は、「法律により直接に設立される法人又は特別の法律により特別の設立行為(政府が命じる設立委員が行う設立に関する行為)をもって設立すべきものとされる法人」のことである。

<第2節> 公益法人に関する法制度

 公益法人は、民法第三十四条に基づいて設立されるものであり、民法第一編第二章〔法人〕においては、公益法人の設立、公益法人の組織、定款の変更等、公益法人の登記、公益法人の能力、公益法人の解散等の事項に関しての規定が置かれている。

<第3節> 公益法人に対する指導監督等に関する制度

一 主務官庁制
 民法においては、公益法人の設立許可及び指導監督に関する権限は、主務官庁に与えられている。
 主務官庁とは、公益法人の目的・事業に関連する事務を所掌している総理府及び十二省の中央官庁を指し、その目的・事業が複数の中央官庁の所掌に関連する場合には、それらの中央官庁が共管として主務官庁となる。

二 都道府県知事等への機関委任等
 主務官庁の権限は、政令の定めるところにより、行政庁に委任することができる旨の規定が民法にあり、この規定に基づいて制定された公益法人に係る主務官庁の権限の委任に関する政令(平成四年政令第百六十一号)により、都道府県知事等に委任されている。

三 公益法人の所管官庁
 機関委任等により、公益法人の設立許可、指導監督等に係る事務を実際に担当している行政庁(所管官庁)は、@総理府及び各省(十三)、A総理府外局大臣庁(九)、B地方支分部局の長(百三十三)、C都道府県知事(四十七)、D都道府県教育委員会(四十七)の合計二百四十九となっている(第1図参照)。

四 統一的な指導監督等を行うための仕組み
 「公益」の概念が抽象的なものであること等から、主務官庁の間における設立許可、指導監督等の統一性が図られていない等の問題点が生じているので、その統一性を確保する必要がある。
 このため、現在では、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議(全閣僚)及び同閣僚会議幹事会(各省庁官房長クラス)を随時開催することにより、公益法人に対する指導監督の適正化等を強力に推進する体制となっている(平成八年七月十六日閣議口頭了解)。

五 公益法人に対する指導監督等の方法
 主務官庁は、民法第六十七条第一項及び第二項の規定に基づき、公益法人の事業の実施状況の監督を行うために、事業に関する報告書等の提出を求めている。また、民法第六十七条第三項により、職権をもっての調査(立入検査)を行っている。

<第4節> 公益法人行政の沿革

一 戦前・戦中・戦後の状況
 戦前は、主務官庁が民法に基づいて、簡素な内容の監督規則(省令等)を定め、設立許可等を行っていた。
 昭和十八年には、行政の簡素化を図るため、許可認可等臨時措置法(昭和十八年法律第七十六号)等が制定され、公益法人に関しては、主務官庁の許可・認可の権限等を府県知事等に行わせることができることになった。
 昭和二十年代後半、公益法人の設立許可及び指導監督に関する事務の増加等もあり、各省においては、戦前及び終戦直後に制定された設立許可及び指導監督に関する省令、訓令等の改正等を行うなど、公益法人に関する規定の整備が図られていった。

二 統一的な公益法人行政推進に向けての取組
 (一) 内閣審議室による対応
 昭和四十二年、公益法人に関連して、休眠法人の売買、閣僚等の役員就任等、公益法人等に関する問題点が提起されるようになったこと等を受け、内閣審議室(現内閣内政審議室)において調査を行うとともに、同年十月、「公益法人に対する監督強化方策に関する要綱」の閣議口頭了解が行われた。
 (二) 公益法人監督事務連絡協議会の設置
 昭和四十六年十二月の行政管理庁(現総務庁)の勧告を受けて、昭和四十六年十二月二十二日、各府省庁文書課長会議決定により「公益法人監督事務連絡協議会」(主催:内閣総理大臣官房管理室長)が設置され、「公益法人設立許可審査基準等に関する申し合せ」、「公益法人会計基準」等が策定された。
 (注) 昭和六十年に「公益法人指導監督連絡会議」が設置されたことに伴い、「公益法人監督事務連絡協議会」は廃止された。
 (三) 民法等の改正
 昭和五十四年十二月、公益法人関係の規定の改定を含む民法及び民法施行法の一部改正が行われた。これによって、正当な事由がなく引き続き三年以上事業を行わない公益法人(=休眠法人)の設立許可を取り消すことができることになった。

三 統一的な公益法人行政の一層の推進
 (一) 公益法人指導監督連絡会議の設置
 昭和六十年には、国会においても、個別の問題法人のほか公益法人行政全般に関して、その統一的改善、休眠法人の整理、補助金の交付、元公務員の役員就任状況等について質疑が行われた。
 このような状況のもとで、昭和六十年六月十日、事務次官等会議において、「公益法人行政の推進について」の申合せが行われ、「公益法人指導監督連絡会議」(議長:総理府次長)が設置された。
 (二) 公益法人の運営に関する指導監督基準等の策定
 昭和六十年九月の総務庁の勧告を受けて、公益法人指導監督連絡会議は、昭和六十年九月十七日、「休眠法人の整理に関する統一的基準」を決定し、昭和六十一年七月二十二日、「公益法人の運営に関する指導監督基準」を策定した。
 (三) 公益法人概況調査の実施
 公益法人の概況を把握することにより、公益法人行政の統一的改善に資するため、総理府において、昭和六十年十一月に国所管の法人に対する調査を実施し、昭和六十一年度からは、毎年十月一日現在における国所管及び都道府県所管の公益法人についての概況調査を実施している。
 (四) 委任政令の制定
 平成三年五月制定の行政事務に関する国と地方の関係等の整理及び合理化に関する法律(平成三年法律第七十九号)により、許可認可等臨時措置法(昭和十八年法律第七十六号)は廃止された。同時に、民法等に必要な規定が付加されたことにより、平成四年五月、公益法人に係る主務官庁の権限の委任等に関する政令(平成四年政令第百六十一号)が制定され、これに基づいて、都道府県知事等への権限の委任が改めて行われた。

四 公益法人行政の強力な推進と透明化
 (一) 公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議の開催等
 平成八年七月に政府に提出された与党行政改革プロジェクトチームの提言「公益法人の運営等に関する提言」を踏まえ、公益法人に対する指導監督等の一層の適正化、公益法人による行政代行的行為の実施の透明化等を強力に進めるため、平成八年七月十六日、「公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議」を随時開催することを閣議口頭了解した。
 (二) 新たな指導監督基準の閣議決定等
 平成八年九月二十日、公益法人等指導監督連絡会議等において決定していた従来の基準等を整理・強化した「公益法人の設立許可及び指導監督基準」及び「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」が閣議決定された。
 (三) 地方分権推進計画の閣議決定
 平成十年五月二十九日、地方分権推進法(平成七年法律第九十六号)第八条に基づいて、「地方分権推進計画」が閣議決定された。
 これによると、現在、機関委任事務とされている公益法人の設立許可等の事務は、都道府県の自治事務とされることになっている。
 なお、この計画においては、今後二年間を目途に公益法人制度の見直しを行い、その間は、公益法人の設立許可等の事務は、法定受託事務とする経過措置を検討することとされている。

<第5節> 公益法人に関する最近の施策

一 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」等の改正
 「公益法人の設立許可及び指導監督基準」(平成八年九月二十日閣議決定)の経過措置において、更に検討を進めることとされていた内部留保、株式保有及び情報公開に関して具体的基準を定めるために、平成九年十二月十六日、同基準の一部改正が行われた。
 改正の内容は、以下のとおりである。
 (一) 内部留保
 いわゆる「内部留保」とは、総資産額から、@財団法人における基本財産、A公益事業を実施するために有している基金、B法人の運営に不可欠な固定資産、C将来の特定の支払いに充てる引当資産等及びD負債相当額を差し引いたものと定義し、公益事業の適切かつ継続的な実施に必要な程度とすることとする。
 (二) 株式保有
 株式の保有等は、基準六―(一)の理由による保有〔ポートフォリオ運用又は財団法人において基本財産として寄附された場合〕を除いて、従来から原則として禁止していたが、以下の点が追加された。
 @ 保有を認められる場合であっても、全株式の二〇%以上を保有している場合は、事業報告書に当該営利企業の概要を記載することとする。
 A 保有を認められる理由以外の理由により、現在、株式の保有を行っている公益法人は、原則として、平成十一年九月末までに処分することとする。
 B 現在、株式を保有している公益法人で、必要な努力を行ったにもかかわらず処分が困難な株式を保有しているものの取扱いについては、原則禁止のもと、更に検討する。その際、処分が困難な株式を保有しているものについては、当該公益法人の名称、保有している株式、保有している理由等を、毎年度「公益法人に関する年次報告」に記載することにより、その実態を明らかにする。また、各公益法人においても、事業報告書に当該営利企業の概要を記載することとする。
 (三) 情報公開
 @ 公益法人は、以下の資料を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供することとする。
  ア 定款又は寄附行為、役員名簿、(社団法人の場合)社員名簿
  イ 事業報告書、収支計算書、正味財産増減計算書、貸借対照表、財産目録
  ウ 事業計画書、収支予算書
 A 所管官庁においても、@と同じ資料を備えて置き、閲覧させることとする。
 B 平成十年一月以降に始まる新事業年度から実施することとする。

二 法人制度研究会報告書
 (一) 法人制度研究会の設置及び検討の経緯
 閣議決定等を受け、平成八年十月、法務省民事局長が主催する研究会として「法人制度研究会」(座長:星野英一東大名誉教授)が発足し、公益法人の営利法人への転換に関する問題を中心とした検討を開始した。
 (二) 報告書の概要
 平成十年三月三十一日、公益法人の営利法人への転換に関する問題に関する報告書が公表された。
 この報告書では、公益法人の解散(解散後の清算の結了により法人は消滅する。)と公益法人から営利法人等への事業の移転(事業譲渡又は現物出資)とを組み合わせる方法等により、現行法制度のもとにおいても、公益法人から営利法人等への転換は、基本的に可能であるとしている。

三 休眠法人、所管不明法人の整理に関する取組
 正当な理由なく引き続き三年以上事業を行っていない休眠法人、登記はあるが所管官庁が不明である所管不明法人は、いわゆる「買収」等により役員に就任した者による目的外事業の実施や、税法上の特典を利用した収益事業の実施など、公益法人制度の悪用を招くおそれがあり、その対策が必要である。
 (一) 休眠法人
 昭和五十四年、民法の一部改正が行われ「正当ノ事由ナクシテ引続キ三年以上事業ヲ為サザル」法人について主務官庁は、その設立許可を取り消すことができることとなった。休眠法人の一層の整理促進を図るため、昭和六十年、「休眠法人の整理に関する統一的基準」等が策定された。
 休眠法人数の推移は、第2図のとおりである。
 (二) 所管不明法人
 平成七年度に、登記所の公益法人索引名簿と主務官庁の公益法人名簿等とを対照させ、前者に記載されているが後者には記載されていないものを抜き出すという「所管不明公益法人調査」を総理府が実施した。その結果、全国で約一千八百六十の所管不明法人が存在することが明らかとなり、平成八年一月に約一千六百法人(第一次分)が、総理府から各省庁又は都道府県に割り振られた。
 平成八年十二月十九日、公益法人等の指導監督等に関する関係閣僚会議幹事会において、「所管不明法人の所管確定作業の進め方について」を了解したことを受け、平成九年三月に約百法人(第二次分)、平成九年六月に約八十法人(第三次分)、平成九年十二月に約八十法人(第四次分)の割振を実施し、ひととおり割振を終了した。
 なお、第一〜三次分の割振についての整理状況をフォローアップした結果は、第1表のとおりである。

四 公益法人の指導監督等に関する研修会の実施
 公益法人に対する設立許可及び指導監督については、これらが統一性をもって実施されるように「公益法人の設立許可及び指導監督基準」等が定められている。これらの基準等の周知徹底を図る必要があるため、総理府、各都道府県等においては、公益法人行政担当者研修会、都道府県公益法人行政主管課長会議、公益法人地方講習会、全国都道府県文書法令主管課長研修会公益法人分科会、都道府県公益法人事務担当者ブロック会議、文教関係公益法人等事務担当者協議会等を実施している。

五 指定法人等の指導監督に関する行政監察
 平成九年九月九日、総務庁から、「指定法人等の指導監督に関する行政監察」に基づく勧告が行われ、個別指定法人等の在り方の見直し及び指定制度等、改革の基本方策が示された。

<第6節> 公益法人の会計処理

一 公益法人会計基準の策定
 昭和五十二年三月、公益法人会計基準が決定され、昭和五十三年四月一日以降、できるだけ速やかに適用することとした。その後、昭和六十年九月、旧会計基準を改正した新たな公益法人会計基準が決定され、昭和六十二年四月一日から適用することとした。

二 公益法人会計基準の適用
 公益法人会計基準は、民法第三十四条に基づいて設立されるすべての公益法人に適用されることが原則である。
 実際の公益法人会計基準の適用状況は、以下のとおりである。
 公益法人会計基準を完全に適用している
     一万六千五百五法人 六二・八%
 公益法人会計基準を一部に適用している
       六千二十二法人 二二・九%
 企業会計を適用している
       一千百四十五法人 四・四%
 その他(官庁会計等、他の会計基準を適用している)
        二千六百三法人 九・九%
 また、公認会計士の関与状況は、以下のとおりである。
 公認会計士は関与していない
    一万八千百九十九法人 六九・三%
 公認会計士の監査を受けている
        二千九十七法人 八・〇%
 公認会計士に経理業務を依頼している
      一千四百二十五法人 五・四%
 公認会計士の指導・相談等を受けている
       三千九百五法人 一四・八%
 公認会計士が役員になっている
        六百四十九法人 二・五%

<第7節> 公益法人に関する税制

一 公益法人に対する税制
 法人税、所得税、消費税、地価税等の国税、住民税、事業税、地方消費税、不動産取得税、固定資産税、都市計画税等の地方税がある。

二 公益法人に対する寄付に関する税制
 公益法人に対する寄付金のうち、教育や科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献等の公益性の高い事業を行う公益法人に対する一定の寄付金については、寄付金控除等の特別の配慮が行われている。

三 税法上の収益事業の状況
 公益法人が、法人税法上の収益事業を開始した場合には、その開始した日以後二か月以内に、収益事業開始届出書を所轄税務署長に提出しなければならない。
 総理府の調査によると、収益事業の届出を行っていると回答したものは八千百二十六法人(前年比二百八十五法人増加)となっている。

<第2章> 公益法人の現況

<第1節> 公益法人の現況

一 低金利の影響
 (一) 公定歩合の推移
 公定歩合は景気後退を受けて平成三年七月以降、順次引き下げられ、平成七年九月には〇・五%にまで引き下げられた。このような金利の低下は、利子収入の減少をもたらしている。
 (二) 公益法人の運営に対する影響
 金利の低下は、マクロ的にみた場合の利子及び配当収入の大幅な減少という影響を与えているが、個々の公益法人の運営にも大きな影響を与えていると考えられる。
 財団法人は、基本的に基本財産からの運用収入が収入の基礎となるものであり、影響は極めて大きいものと考えられる。社団法人は、社員からの会費収入が収入の基礎となるものであるが、基金等を有しているものもあり、相当な影響があるものと考えられる。
 (三) 公益法人に求められるべき対応
 低金利時代にあっては、事業内容や管理費の見直しを行うことが必要と考えられる。また、公益事業を適切かつ継続的に実施するためには、基本財産の積み増し、特定の事業に限定して使用する基金の造成等を行うことも必要であると考えられる。

二 公益法人概観
 (一) 公益法人の数
 平成九年十月一日現在の公益法人数は二万六千二百七十五であり、平成元年に比べて一五%増加している。このうち、社団法人数が一万二千七百四十三、財団法人数が一万三千五百三十二である(第2表参照)。
 最近四年間における、新設法人数は、平成六年が五百一、平成七年が四百三十一、平成八年が四百三十四、平成九年が三百三十二である。解散法人数は、平成六年が九十四、平成七年が百七十一、平成八年が三百四十一(うち更生保護法人への組織変更が百六十四)、平成九年が百七十二となっている(第3表参照)。
 (二) 主要データから見る公益法人
 公益法人の主要なデータについて法人全体の数値をみると、年間収入額は二十一兆五千四百三十九億円、年間支出額は二十二兆二百二十億円、資産額は百十九兆九千六百五十二億円、負債額は百二兆七千八十九億円、正味財産額は十七兆二千五百六十三億円、基本財産額(財団のみに存在)は四兆六千七百七十九億円に達している。
 年間支出額は、平成八年度のGDP(四百九十九兆八千六百十億円)比四・四%に当たり、平成八年度の一般政府総支出(百七十八兆八千六百三十八億円)比一二・三%に当たる。
 理事は四十二万五千二百九十八人、監事は五万七千六百七十七人、職員は五十三万三千五百七十三人、評議員は二十九万九千三百五十五人、民法上の社員(社団のみに存在)は一千八百九十九万三千百二十二人、賛助会員等は二千六百十五万三千八百五十七人となっている。
 職員数は全産業従業員数の〇・八五%に相当し、民法上の社員のうちの個人会員は約一千六百十五万人であり、単純計算では国民の七・八人に一人が社員になっていることになる。
 (三) 情報公開の状況
 情報公開は民法に規定がないこともあり、十分なものとはいえなかったため、今回の新指導監督基準には、「@定款又は寄附行為、A役員名簿、B(社団法人の場合)社員名簿、C事業報告書、D収支計算書、E正味財産増減計算書、F貸借対照表、G財産目録、H事業計画書及びI収支予算書を主たる事務所に備えて置き、原則として、一般の閲覧に供すること。」という規定が盛り込まれており、平成十年一月以降に始まる新事業年度から実施することとされている。
 なお、平成九年度公益法人概況調査によると、第4表のとおり、六割程度の法人が公開を行っている。

三 個別事項の分析
 (一) 基礎的事項
 @ 設立年別公益法人数
 設立された年代を調査した結果は、第3図のとおり、昭和四十一年以降に設立されたものが約七割を占めている。
 A 所在地別公益法人数
 主たる事務所の所在地別の公益法人数は、東京都が五千二百七十五(二〇%)、大阪府が一千二百七十三(五%)、北海道が一千六十(四%)となり、以下、神奈川県、福岡県、愛知県、兵庫県と続いており、大都市圏において数が多くなっている。
 B 主務官庁別公益法人数
 主務官庁(省庁)別の所管法人数は、第5表のとおり、文部省が六千八百十五(二四・九%)、厚生省が五千八百五十二(二一・三%)となっており、以下、通商産業省、農林水産省、労働省と続いている。
 C 設立目的別公益法人数
 設立目的を四つに分類すると、第6表のとおり、生活一般が五二・四%、教育・学術が三九・六%、政治・行政が一一・七%、産業が二八・二%となっている。
 D 事業種類別公益法人数
 事業種類を九種類に分類すると、第7表のとおり、多いものから順に、指導・育成が五七・九%、振興・奨励が四八・一%、調査・研究が四三・九%、普及・広報が三〇・一%となっている。
 (二) 役職員の状況
 @ 理 事
 総数は四十二万五千二百九十八人、平均一六・二人、メジアン(注)十三人となっている。
 規模別には、十〜十九人が一万二千九十一法人(四六・〇%)、〇〜九人が七千七百六十一法人(二九・五%)、二十〜二十九人が三千九百六十四法人(一五・一%)であり、これで全体の九割になる。
 常勤理事(理事のうち最低でも週三日以上出勤)の総数は二万一千二百三十二人、平均〇・八人となっている。なお、半数の法人は常勤理事が〇人である。
 (注) メジアン(中央値、中間値)
   変数を大きさの順に並べたとき、その中央で全変数を二群に等分する境界点の数値。
   例えば、全法人二万六千二百七十五の資産額を大きい順に並べたときに、中央=第一万三千百三十八位の法人の資産額がメジアンになる。
 A 理事のうち公務員出身者
 国所管法人の理事における国家公務員出身者(原則として本省庁課長相当職以上を経験し、退職後十年未満の間に当該法人の理事に就任し現在に至っている国家公務員出身者を指す。)は、第8表のとおり、理事数では六千九百三人(前年比百七十七人減少)、法人数では二千四百七十法人(前年比十三法人減少)になっている。
 都道府県所管法人の理事における都道府県公務員出身者は、理事数では一万五千六百五十七人(前年比一千二十四人増加)、法人数では五千五百九十一法人(前年比百四十八法人増加)になっている。
 B 所管する官庁出身理事
 所管する官庁出身理事は、第9表のとおり、法人数では、国所管が二千百四十一法人(前年比百二十六法人減少)、都道府県所管が五千二十九法人(前年比三百七十八法人増加)、合計が七千百七十法人、理事数では、国所管が五千三百十九人(前年比百三人減少)、都道府県所管が一万四千八十四人(前年比一千七百四十六人増加)、合計が一万九千四百三人となっている。
 また、新指導監督基準においては、所管する官庁出身者の占める割合を三分の一以下にするよう求めている(共管法人の場合は、全共管官庁出身者の合計が三分の一以下とする。)が、所管する官庁出身者の占める割合が三分の一を超えている公益法人は、第9表のとおりであり、国所管が百七十六法人(前年比六十三法人減少)、都道府県所管が八百四十一法人(前年比百三十一法人増加)、合計が一千十六法人となっている。
 C 同一業界関係者理事
 新指導監督基準においては、同一業界関係者の占める割合を二分の一以下にするように求めているが、同一業界関係者の占める割合が二分の一を超えている公益法人は、国所管が一千六百四法人(前年比二十七法人減少)、都道府県所管が六千百十法人(前年比八十一法人減少)、合計が七千六百六十六法人(前年比百八法人減少)となっている。
 D 監 事
 監事の総数は五万七千六百七十七人、平均二・二人である。
 規模別では、二人が一万九千二百十八法人(七三・一%)と大半を占めている(監事が置かれていない法人は百二十六)。一人から三人までにほとんどの法人が収まるが、五人以上というものも二百三十三存在している。
 E 現職公務員の役員就任状況
 現職公務員の役員への就任は、法人を指導監督する立場にあることから、適当でないと考えられており、国所管法人においては、ごくわずかの者のみが就任しているにとどまっている。
 しかしながら、都道府県所管の法人においては、地方自治体が直接出捐して設立した外郭団体的公益法人が多数存在し、業務の実施、監督のために、現在でも現職の公務員が多数役員に就任しているのが実情である。
 F 職 員
 職員の総数は五十三万三千五百七十三人、平均が二〇・三人、メジアンが三人である。
 規模別には、二〜九人が一万二千四百七十法人(四七・五%)、十〜四十九人が五千七十四法人(一九・三%)、一人が四千六百八十七法人(一七・八%)、〇人が二千二百六十二法人(八・六%)である。
 常勤職員の総数は四十六万九千七百五十九人であり、職員の総数の八八・〇%になる。
 G 評議員
 評議員とは、法人の重要事項について諮問を受けたり決定をしたりする役割を担う者であり、新指導監督基準においては、財団法人には原則として評議員会を設け、理事の選任及び予算・決算等の重要事項の諮問を行うことを求めている。
 評議員(会)制度がある法人は、一万四百五十五法人(三九・八%)、評議員の総数は二十九万九千三百五十五人、平均は一一・一人であるが、評議員制度がある法人に限っての平均は二八・六人になる。
 (三) 財務、会計の状況
 @ 年間収入額
 公益法人の収入は、大きく分けると、会費収入、財産運用収入、寄付・補助金等収入、事業収入等からなっており、総計は二十一兆五千四百三十九億円、平均は八億一千九百三十三万円、メジアンは五千七百五十四万円となっている(第10表参照)。
 A 年間支出額
 公益法人の支出は、大きく分けると、事業費、管理費、固定資産取得支出等からなっており、総計は二十二兆二百二十億円、平均は八億三千八百十三万円、メジアンは五千六百三十六万円である(第11表参照)。
 B 収益事業
 公益活動の実施に充てるために、収入確保の一方法として収益事業を行うことも認められている。収益事業収入の総計は一兆七千八百三億円、平均は六千七百七十六万円であり、収益事業費の総計は一兆六千八億円、平均は六千九十三万円である。
 規模別にみると、収益事業収入がないところが二万九百三十三法人(七九・七%)となっており、大半の法人が収益事業を行っていない。
 C 資産額
 資産額の総計は百十九兆九千六百五十二億円、平均は四十五億六千五百七十五万円、メジアンは九千四百六十万円であるが、総計のうち半分以上の六十五兆六千二百十八億円を一法人が占めている(第12表参照)。
 D 負債額
 負債額の総計は百二兆七千八十九億円、平均は三十九億九百万円、メジアンは五百七十七万円であるが、総計の半分以上の六十五兆六千百七十三億円を一法人が占めている(第13表参照)。
 E 正味財産額
 正味財産額の総計は十七兆二千五百六十三億円、平均は六億五千六百七十五万円、メジアンは五千九百七万円である。なお、正味財産増減額は、一千三百四十億円(平均五百十万円)の増加となっている(第14表参照)。
 F 株式保有
 新指導監督基準においては、運用財産の管理運用(公開市場を通じる等ポートフォリオ運用であることが明らかな場合)又は財団法人において基本財産として寄附された場合を除いて、株式を保有することを、原則として禁止しており、これ以外の性格の株式の保有を行っている場合には、平成十一年九月末までに処分することが必要になる。
 株式を保有している公益法人は、第15表のとおり、二千百十法人である。保有会社数別では、一社が一千二百三十八法人、二〜五社が六百四十法人、六〜九社が百一法人、十〜十九社が七十一法人、二十〜四十九社が四十二法人、五十社以上が十八法人である。
 また、一社以上の株式の過半数を保有している百八十八法人の保有会社数別では、一社が百五十三法人、二社が十六法人、三〜五社が十五法人、六〜九社が〇法人、十〜十九社が一法人、二十社以上が三法人である。

<第2節> 公益法人と行政とのかかわり

一 行政委託型法人等の状況
 平成八年度には、「指定法人」、「検査等の委託等を受けている公益法人」及び「検査等の推薦等を受けている公益法人」に分けて調査していた。
 平成九年度には、平成九年九月九日に行われた指定法人等の指導監督に関する行政監察に基づく勧告も踏まえ、検査等以外の事業についても調査対象とし、他官庁所管法人を指定している場合も調査対象に含めた上で調査を行い、その結果に基づく法人を、「行政委託型法人等」と総称することにした。
 その定義は、「特定の法令等により、各官庁から制度的に事業の委託等・推薦等を受けている公益法人」であり、@検査等事業の委託等、A検査等事業以外の事業の委託等、B検査等事業の推薦等、C検査等事業以外の事業の推薦等の四つに分類される。
 「委託等」とは、制度的に行政事務の一部を法人に委ねる等することであり、「推薦等」とは、法人が独自に行っている事業が一定の基準を満たす場合、その法人(当該法人が行っている事業の場合もある。)に対して推薦・認定等を行うことであり、「検査等」とは、あるものが有する能力、性能、技術等を調査・判定したり、また、その結果について評価・承認するような業務であると定義している。
 したがって、@とBについては、「検査等」を委託等・推薦等する場合に必要な要件を定めた「公益法人に対する検査等の委託等に関する基準」(平成八年九月二十日閣議決定)が適用される(都道府県にあっては、委託等・推薦等している検査等が機関委任事務である場合に限られる。)。
 (一) 制度面からみた行政委託型法人等
 @ 指定条項数と根拠法令のレベル
 指定根拠条項数は、第16表のとおり、四百十七(委託等二百七十九、推薦等百三十八)、根拠法令のレベルは、第17表のとおりとなっている。
 A 制度が作られた年次
 第4図のとおり、昭和五十年代後半以降、数が増加している。この理由としては、第二次臨時行政調査会最終答申(昭和五十八年三月)において、行政事務の簡素化等を推進する観点から、民間団体への委託や民間指定検査機関等の活用を図るべき旨の提言がなされていること等から、行政的な事務を担う民間機関として、公益法人が一層積極的に活用されるようになったためと考えられる。
 この答申が提出された昭和五十八年度以降とそれ以前を比較すると、昭和五十八年度以降が約六五%を占めている。
 B 行政委託型法人等が行う事務内容
 事務内容を性格から分類し根拠条項数により比較すると、第18表のとおり、委託等では、検査検定百十五(四一・二%)、試験四十六(一六・五%)、講習研修四十三(一五・四%)となっており、推薦等では、審査証明八十八(六三・八%)、講習研修三十九(二八・三%)、試験十二(八・七%)となっている。
 C 監督等に関する規定の整備状況
 監督等に関する規定の有無は、第19表のとおり、取消六四・五%、立入検査四一・〇%、区分経理一五・八%、計算書類等の徴収五八・五%、計算書類等の公開一・〇%となっている。
 (二) 法人面からみた行政委託型法人等
 @ 行政委託型法人等の数
 所管省庁別の行政委託型法人等の数は、第20表のとおり、合計六百二十五法人である。
 A 行政委託型法人等に対する監督状況
 実際の監督の状況は、自省庁所管法人を指定している場合、立入検査六〇・七%、区分経理五六・六%、計算書類等の徴収九〇・五%、計算書類等の公開六七・〇%となっている。
 一方、他省庁所管法人を指定している場合、立入検査三七・〇%、区分経理三七・〇%、計算書類等の徴収六五・二%、計算書類等の公開五二・二%となっている。
 (三) 都道府県指定の行政委託型法人等について
 各都道府県における行政委託型法人等の数は、第21表のとおり、合計五百九十七法人となっている。

二 公益法人に対する補助金・委託費
 (一) 国所管の公益法人に対する補助金・委託費
 補助金の交付額は三千一億円(前年比三百六十二億円増加)、交付法人数は四百四十二法人となっている。
 また、委託費の委託額は一千四百六十四億円(前年比四億円増加)、委託法人数は六百十九法人となっている(第22表参照)。
 (二) 都道府県所管の公益法人に対する補助金・委託費
 補助金の交付額は三千五百五億円(前年比百三十一億円増加)、交付法人数は四千七百六十九法人となっている。
 また、委託費の委託額は五千三百六十五億円(前年比二百二十五億円増加)、委託法人数は三千百四十八法人となっている(第23表参照)。

三 「公益法人の設立許可について」の実施状況
 平成七年三月、いわゆる「官主導」の公益法人の設立を抑制するため、「公益法人の設立許可について」が公益法人等指導監督連絡会議において決定された。
 当該決定日(平成七年三月二十九日)から平成九年十月一日までに設立を許可された公益法人は百八十二法人(延べ数)であった。
 このうち、@基本財産の造成等に当たって、許認可対象企業等の出捐等がある法人は六十六法人、A国又は特殊法人等からの委託事業が全事業の過半数となっている法人は三法人、B公務員経験者が常勤役員へ就任している法人は十法人(役員は十人)であった。










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景 気 予 測 調 査


―平成十年十一月調査―


大 蔵 省


<はじめに>

 大蔵省では、企業経営の現状と見通しを調査し、景気の動向を的確に把握することを目的として、金融・保険業を除く資本金一千万円以上(電気業、ガス・水道業は資本金十億円以上)の営利法人約百十七万社のうち約一万一千社を対象として、四半期ごとに大蔵省景気予測調査を実施している。
 以下は、平成十年十一月に実施した第六十三回調査結果の概要である。今回の調査では一万九百五十九社を対象とし、八千八百七十四社(回収率八一%)から回答を得ている。
 なお、本調査における大企業とは資本金十億円以上の企業を、中堅企業とは資本金一億円以上十億円未満の企業を、中小企業とは資本金一千万円以上一億円未満の企業をいう。

 景 況第1表第1図参照

 十年十〜十二月期の景況判断BSI(前期比「上昇」−「下降」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも引き続き「下降」超となっている。
 先行きを全産業でみると、いずれの規模においても「下降」超で推移する見通しとなっている。

 売上高第2表参照

 十年度下期の売上高は、全産業合計で前年比三・二%の減収見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも減収見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、食料品などが増収となるものの、金属製品、一般機械器具などが減収となり、全体では五・一%の減収見込みとなっている。
 非製造業では、映画・娯楽などが増収となるものの、卸売・小売、建設などが減収となり、全体では二・五%の減収見込みとなっている。
 十年度通期の売上高は、全産業合計で前年比四・一%の減収見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも減収見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、食料品が増収となるものの、金属製品、電気機械器具などが減収となり、全体では六・〇%の減収見込みとなっている。
 非製造業では、映画・娯楽などが増収となるものの、卸売・小売、建設などが減収となり、全体では三・四%の減収見込みとなっている。

 経常損益第3表参照

 十年度下期の経常損益は、全産業合計で前年比五・九%の減益見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも減益見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、その他の製造業が赤字縮小となるほか、木材・木製品が黒字転化となるものの、精密機械器具、電気機械器具などが減益となり、全体では三〇・二%の減益見込みとなっている。
 非製造業では、建設などが減益となるものの、不動産などが増益となるほか、旅館・その他の宿泊所が赤字縮小となり、全体では三・五%の増益見込みとなっている。
 十年度通期の経常損益は、全産業合計で前年比二二・〇%の減益見込みとなっている。
 これを規模別に前年比でみると、大企業、中堅企業、中小企業のいずれも減益見込みとなっている。
 業種別に前年比でみると、製造業では、食料品などが増益となるものの、電気機械器具、その他の製造業などが減益となり、全体では三二・八%の減益見込みとなっている。
 非製造業では、旅館・その他の宿泊所が赤字縮小となるほか、不動産などが増益となるものの、建設、卸売・小売などが減益となり、全体では一五・二%の減益見込みとなっている。

 中小企業の設備投資第4表参照

 設備投資については中小企業のみを調査対象としている。今回の調査における十年度の全産業の設備投資計画額を前年比でみると、土地購入費を含む場合(以下「含む」という)で三四・八%減、除く場合(以下「除く」という)で三二・〇%減の見込みとなっている。
 なお、前回調査時に比べ、「含む」で七・二%ポイントの上方修正、「除く」で八・〇%ポイントの上方修正となっている。
 十年十二月末時点の設備判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、全産業は「過大」超となっている。業種別では、製造業では「過大」超幅が拡大し、非製造業では「不足」超から「過大」超へと転じている。
 先行きについては、全産業は「過大」超で推移する見通しとなっている。業種別では、製造業は「過大」超で推移する見通しとなっており、非製造業は十一年六月末に「不足」超に転じる見通しとなっている。

 中小企業の販売製(商)品在庫

 十年十二月末時点の在庫判断BSI(期末判断「不足」−「過大」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業いずれも「過大」超となっているものの、「過大」超幅が縮小する見通しとなっている。

 中小企業の仕入れ価格

 十年十〜十二月期の仕入れ価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業ともに「低下」超幅が拡大している。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業いずれも「低下」超で推移する見通しとなっている。

 中小企業の販売価格

 十年十〜十二月期の販売価格判断BSI(前期比「上昇」−「低下」社数構成比・季節調整済)をみると、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超となっている。
 先行きについては、製造業、卸売業、小売業、サービス業いずれも「低下」超で推移する見通しとなっている。

 雇 用第5表参照

 十年十二月末時点の従業員数判断BSI(期末判断「不足気味」−「過剰気味」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「過剰気味」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「過剰気味」超で推移する見通しとなっている。
 十年十〜十二月期の臨時・パート数判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超で推移する見通しとなっている。
 十年十〜十二月期の所定外労働時間判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、いずれの規模においても「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超の見通しとなっている。

 企業金融第6表参照

 十年十〜十二月期の金融機関の融資態度判断BSI(前期比「ゆるやか」−「きびしい」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも引き続き「きびしい」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「きびしい」超で推移する見通しとなっている。
 十年十〜十二月期の資金繰り判断BSI(前期比「改善」−「悪化」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、いずれの規模においても引き続き「悪化」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「悪化」超で推移する見通しとなっている。
 十年十二月末時点の金融機関からの設備資金借入判断BSI(前期比「増加」−「減少」社数構成比・季節調整済)を全産業でみると、いずれの規模においても「減少」超となっている。
 先行きについては、いずれの規模においても「減少」超で推移する見通しとなっている。

 中期的な経営課題第2図参照

 中期的な経営課題(一社二項目以内回答)を全産業でみると、大企業、中堅企業、中小企業いずれも「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が最も多く、次いで、大企業、中堅企業では「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」、中小企業では「後継者、人材の確保、育成」の順となっている。
 業種別にみると、製造業では、大企業、中小企業では「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」が最も多く、次いで、大企業では「国内工場・営業所の再編、生産・流通工程の見直し等によるコストの低減」、中小企業では「国内販売体制、営業力の強化」の順となっている。中堅企業では「国内工場・営業所の再編、生産・流通工程の見直し等によるコストの低減」が最も多く、次いで、「新技術、新製品の開発、製品(サービス)の高付加価値化」の順となっている。非製造業では、いずれの規模においても「国内販売体制、営業力の強化」をあげる企業が多い。

◇     ◇     ◇

◇     ◇     ◇


 二月の気象


◇立 春

 二月四日は、二十四節気の一つ「立春」です。まだまだ寒い日が多いものの、日脚も延びて、かすかな春の訪れを感じ始める時期です。

◇気温の変化が大きい

 二月は寒暖の差の大きい月でもあります。
 冬型の気圧配置が強まって、大陸からの寒気が日本付近に流れ込み、気温の低い日が続いた後、冬型の気圧配置が緩んで、低気圧が日本付近を発達しながら通り、南からの暖かい空気を持ち込んで急激に気温を上昇させます。このように、急に暖かくなったときには、山岳部で大規模な雪崩が発生したり、雪の多い地方では雪解けによる洪水が起きたりすることがあります。

◇太平洋側での大雪

 低気圧が本州南岸を通過するときには、太平洋側の地方で大雪になることがあります。
 統計的にみると、東京でまとまった積雪を観測する日数は一年のうちで二月が一番多く、そのほとんどが南岸低気圧の影響によるものです。
 太平洋側でこうした大雪が降ると、交通がマヒしたり、農業用のビニールハウスが雪の重みで押しつぶされたりといった被害が発生します。また、雪が湿っているために電線や樹木へ雪が付着する`着雪´により、被害が起こることもあり、注意が必要です。(気象庁)


 
    <2月10日号の主な予定>
 
 ▽総務庁年次報告書のあらまし……総 務 庁 

 ▽家計収支……………………………総 務 庁 
 



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