官報資料版 平成1110




                 ▽ 総務庁年次報告書のあらまし………………………………総 務 庁

                 ▽ 月例経済報告(一月報告)…………………………………経済企画庁

                 ▽ 毎月勤労統計調査(十月分結果速報)……………………労 働 省

                 ▽ 単身世帯収支調査結果の概況(四〜九月期平均速報)…総 務 庁

                 ▽ 平成十年十月分家計収支……………………………………総 務 庁










総務庁年次報告書のあらまし


総 務 庁


 総務庁では、行政改革や総務庁の施策の動向を明らかにし、その推進について国民の理解と協力を得るため、総務庁設置(昭和五十九年)の翌年から年次報告書を毎年刊行している。その十四回目に当たる平成十年版の報告書を十二月十一日の閣議で配布の上、公表した。
 報告書は、トピックス、概要、第1部、第2部、及び資料編の五つの部分から構成されている。
・トピックス…行政改革や総務庁が所管する施策について、この一年間の主なトピック十五項目について、写真や図表を入れてビジュアルに一項目一ページでまとめてある。
・概 要…これを読むことで本書の全体を概観できるように配慮している。
・第1部「行政改革の推進」…行政改革の推進のための諸施策について記述している。
・第2部「総務庁の多様な施策の推進」…総務庁の行っている様々な施策について記述している。
・資料編…行政改革や総務庁の施策に関係する最近の閣議決定、調査結果等を収録している。
 以下に、その概要を紹介する。

≪トピックス≫(〔 〕は副題)

○行政改革委員会の活動
 〔最終意見の提出、解散〕
○国民の申請負担の軽減
 〔押印の見直し〕
○国民に開かれた行政の実現のために(トピックス参照
 〔情報公開法案の国会提出〕
○新たな人事管理システムの構築を目指して
 〔公務員制度調査会の活動状況〕
○高齢社会を見据えた新たな再任用制度の導入に向けて
 〔高齢者雇用問題検討委員会最終報告の取りまとめ〕
○国民に信頼される行政の実現
 〔公務員倫理問題の検討〕
○平成十年度秋の行政相談週間、インターネットによる行政相談の受付開始
 〔東京一日合同行政相談所に太田長官が出席〕
○インターネットの行政情報にアクセスできます
 〔行政情報提供端末を三か所に配置〕
○家と土地 暮らしのための 基礎調査
 〔平成十年十月一日 住宅・土地統計調査の実施〕
○問題行動への対策を中心とした青少年の育成方策について
 〔第十五期青少年問題審議会中間まとめ〕
○凶悪・粗暴な非行等問題行動の対策について
 〔青少年対策推進会議申合せ及び関連業界への要請〕
○北方領土問題に対する中学生の意識
 〔啓発ビデオ配布に伴う北方領土に関するアンケート調査〕
○阿部総務政務次官が北方四島を訪問
 〔四島交流の訪問団に同行〕
○百回目を迎えた全国交通安全運動
 〔総務庁長官から「交通安全メッセージ」を都道府県知事等に伝達〕
○すべての世代のための社会をめざして
 〔平成十一年(一九九九年)は国際高齢者年です〕

<第1部> 行政改革の推進

<第1章> 行政改革総論

<最近における行政改革の動向>
 急速な少子・高齢化、危機的な財政状況、長期化する景気の停滞、不祥事の発生による国民の行政に対する信頼の失墜など、行政を取り巻く環境は極めて厳しい状況にある。一方、高度情報化の進展などは、行政サービスの在り方の変革を求めている。現在、行政の役割を問い直した上で、国民本位の行政体制、行政システムをつくる行政改革を実現する必要性が従来以上に高まっているのは、このような状況によるものである。
 現在の行政改革の取組は、総合計画としての「行政改革プログラム」(平成八年十二月二十五日閣議決定)と中央省庁等改革基本法を基本としている。
 このうち、「行政改革プログラム」は、原則として今世紀中を対象期間とし、@どのような目的で、Aどのような改革を、Bいつまでに、Cどのように進めるかを国民に分かりやすく示したもので、「新時代に対応できる簡素で効率的な行政」、「国民の主体性が生かされる行政」、「国民に開かれた信頼される行政」、「国民に対し質の高いサービスを提供する行政」の四つの視点を示す総合計画として位置付けられている。
 現在進められている行政改革の特徴を整理してみると、@その内容が非常に幅が広く、また、行政システムの基本・根幹に係る改革を多く含んでいること、A内閣主導の改革推進体制がとられていること、B行政改革のための個々の政策について、スケジュールを明示して計画的な実施を図っていること、が挙げられる。
 行政改革委員会設置法に基づいて、平成六年十二月に総理府に設置された行政改革委員会は、二次にわたる「規制緩和の推進に関する意見」、情報公開法要綱案を柱とした「情報公開法制の確立に関する意見」、「行政関与の在り方に関する基準」に加え、九年十二月には三年間にわたる委員会活動を集大成した「最終意見」を内閣総理大臣に提出し、活動を終えた。

<中央省庁等改革>
 中央省庁等改革については、平成十年六月「中央省庁等改革基本法」が成立した。その内容は、内閣機能の強化、国の行政機関の再編成など、九年十二月の行政改革会議最終報告の内容を忠実に反映させたものとなっている。
 今後、内閣に設置された中央省庁等改革推進本部を中心に、関係法律の整備など、新体制への移行に必要な準備を進め、遅くとも基本法の施行後五年以内、できれば二十一世紀が始まる二〇〇一年(平成十三年)一月一日に移行を開始することを目指している(ポイント参照)。

<行政組織等の合理化等>
 総務庁では、行政機構の膨張の抑制を図りつつ、行政需要に即応した能率的、効率的な行政機構を確保するため、行政機構と定員の管理を行っている。平成十年度における行政機構の審査においても、九年十二月二十日に閣議決定された予算編成方針に基づいて、厳正な審査を行った。
 国家公務員の定員については、第九次定員削減計画に基づいて、定員削減を引き続き着実に実施する一方、新規増員を厳しく抑制するなどの措置を行うことにより、三千七百人の縮減措置をとることとしている。

<特殊法人等の整理合理化>
 特殊法人については、従来改革を進めてきたが、平成七年には、十六の法人を八法人に統合し、五法人について廃止、民営化などを行うことを、また九年には、中央省庁改革の議論と並行して、三次にわたり廃止、民営化、統合などの整理合理化事項を、閣議決定した。
 政府はこれらを着実に実行しており、最大で百十三法人あった特殊法人は、現在、八十一法人まで減少している。
 また、平成九年六月には、「特殊法人の財務諸表等の作成及び公開の推進に関する法律」が成立し、特殊法人のディスクロージャーを進める上での基本的枠組みが定められるとともに、併せて、事業報告書などの記載事項について整備が行われた。平成八事業年度の決算から、これまで以上に詳しい内容のディスクロージャーが行われている。

<規制緩和の推進>
 規制緩和に関しては、平成七年三月に定められた「規制緩和推進計画」に引き続き、十年三月に「規制緩和推進三か年計画」を閣議決定した。個別の十五分野六百二十四事項の規制緩和事項を盛り込んでいる同計画は、これまでの規制緩和の推進において見直しの俎上に載らなかった事項を新たな課題として発掘し、改革を進めるため、各行政分野を通じた横断的検討、見直しにも取り組むこととしたことを特徴としている。同計画は、内外からの意見・要望や行政改革推進本部規制緩和委員会の監視結果などを踏まえ、十年度内を目途に改定することとしている。また、総務庁では、十年八月に四回目の規制緩和白書を公表した。
 なお、平成九年三月三十一日現在の国の許認可等の総数は、一万一千三十二件となっており、前年に比べ四十九件の増加となっているが、規制緩和と許認可等の増減の関係については様々なケースがあり、必ずしも相関関係にはない。

<地方分権の推進>
 国と地方公共団体は、我が国の行政の仕組みの上で、いわば車の両輪にも例えられるべき存在である。行政改革を推進するに当たっては、国・地方を通ずる行政が最も合理的かつ効率的に機能するよう、国と地方公共団体の機能分担等の在り方を見直すことが極めて重要である。平成七年七月に施行された地方分権推進法を受けて設置された地方分権推進委員会は、九年十月までに四次にわたり、地方分権推進のための具体的指針についての勧告を、内閣総理大臣に提出している。政府は、これらの勧告を最大限に尊重しており、十年五月二十九日には、地方分権推進の基本的考え方、機関委任事務制度の廃止などを盛り込んだ「地方分権推進計画」を閣議決定した。
 総務庁は、各省庁の協力を得て、毎年地方公共団体に対する国の関与の実態把握を行っており、平成九年三月三十一日現在の総数は、三千三百四十四件と、前年に比べて二件の減少となっている。

<情報公開の推進>
 平成八年十二月十六日に、行政改革委員会から内閣総理大臣に「情報公開法制の確立に関する意見」が提出された。これを受けて、総務庁においては、直ちに情報公開法制定準備室を設け、法律案の立案作業に当たった。一年余りの調査・検討を経て、政府は、十年三月二十七日、「行政機関の保有する情報の公開に関する法律案」(情報公開法案)及び「行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」を閣議決定し、同日、国会に提出した。現在、衆議院において審議が行われている。

<行政情報化の推進>
 行政の情報化については、「行政情報化推進基本計画」に基づいて、平成七年度から総合的・計画的に推進してきた。この結果、各省庁LANや霞が関WANなどの情報通信基盤の整備が大きく進展したほか、インターネットの急速な普及や、申請・届出等手続に関する国民負担の軽減を求める要請が顕在化するなど、行政の情報化を取り巻く環境は大きく変化している。
 このような変化に対応し、新たな情報化の潮流に沿って行政情報化を推進するため、平成九年十二月に、「行政情報化推進基本計画の改定について」を閣議決定し、十年度を初年度とする新たな五か年計画として基本計画の改定を行った。
 この改定計画に基づいて、社会と行政の接点の情報化の推進、行政内部の情報化の推進及び行政情報化推進のための基盤整備を推進事項の柱として、行政の情報化をより一層強力に推進している。

<さわやか行政サービス運動の推進>
 平成十年度も引き続き、国民の声に耳を傾けながら総点検を実施し、行政サービスの改善を図る、さわやか行政サービス運動を行っている。総務庁においては、八管区行政監察局でさわやか行政サービス展示会を行うほか、雑誌、パンフレット等による広報を行うなど、運動についての周知を図った。

<第2章> 行政をめぐる諸環境の変化に対応した人事管理の推進

<公務員制度の改革>
 戦後の改革の中で国家公務員法が制定されてから五十年余を経過しており、我が国の行政及び公務員を取り巻く情勢が大きく変化している現在、公務員制度についても見直しが不可欠となっている。
 このため、総務庁は、平成九年四月に、現行の国家公務員に関する制度とその運用の在り方について、全般的な見直しを行うことを目的として、公務員制度調査会を設置した。同調査会は、十年七月に、それまで出された各委員の意見を整理した「公務員制度改革に向けての論点整理」を取りまとめ、この論点整理とそれに対する国民各界各層の意見を踏まえながら、十年度内に予定している答申において、公務員制度及びその運用の全般にわたる総合的な改革方策を提言するため、検討を行っている。

<人事交流・啓発事業の推進>
 総務庁では、広い視野に立った人材の養成、行政の一体性、総合性の確保等を目的として、平成六年十二月の閣議決定に基づいて、省庁間人事交流の積極的な推進を図っている。九年八月現在の他省庁への出向者数は、幹部職員(本省庁府省令職以上)六百二十三人(うち調整官庁等を除く省庁への出向は百七十六人)、一般職員一千三百九十二人の合計二千十五人に達している。

<高齢化に対応した人事管理の推進>
 国家公務員の六十歳代前半における雇用に積極的に取り組むとする、平成六年三月の閣議決定を受け、関係行政機関の局長クラスを構成員として総務庁に設置された「公務部門における高齢者雇用問題検討委員会」が、十年六月十九日に、六十歳代前半における新たな再任用制度の導入の基本的事項等についての考え方を示した最終報告を取りまとめた。総務庁では、今後同報告等を踏まえ、国家公務員法等の改正法律案を速やかに国会に提出するよう、準備をするとともに、各省庁における準備が円滑かつ着実に実施されるよう、必要な施策を講じていくことにしている。

<行政及び公務員に対する信頼回復>
 近年相次ぐ公務員の不祥事の根絶を図るため、政府は、内閣総理大臣の指示に基づいて、平成十年二月二日に事務次官等会議の構成員などをメンバーとする「公務員倫理問題に関する検討委員会」を設置し、与党と密接な連携を図りながら、公務員倫理の法制化についての検討を進めた。
 その結果、議員立法として「国家公務員倫理法案」及び「自衛隊員倫理法案」が取りまとめられ、同年六月九日に自民、社民、さきがけの与党三党から国会に提出され、現在、衆議院において審議が行われている。

<第3章> 行政監察・行政相談の展開

<行政監察>
 行政監察は、政府部内の自己改善機能として、全国調査網を活用し、国の行政全般について、業務の実態と問題点を実地に調査し、改善方策を関係行政機関に勧告するものである。
 本庁の行政監察局が計画する中央計画監察においては、平成九年度から、「行政改革プログラム」(八年十二月二十五日閣議決定)に基づいて、今後三年間に実施する予定の行政監察テーマを定める行政監察プログラムを策定し、これに沿って重点的かつ計画的に実施している。
 平成九年十月から十年六月までの間に、金融検査・金融機関のディスクロージャーの改革・充実、震災対策など二十二件の勧告等を行っている。
 各地域において、管区行政監察局や行政監察事務所が、地域住民の生活に密着した行政上の問題を、現地で具体的に改善することを目的として、地方監察を実施している。平成九年度の実施件数は、農林水産、厚生、建設行政に関するものを中心として九十三件となっている。

<行政相談>
 総務庁では、国の行政全般についての苦情や意見・要望を受け付け、公正・中立の立場から、その解決や実現の促進を図り、行政の制度及び運営の改善に反映させていくことを目的とする行政相談活動を推進している。ちなみに、平成九年度の相談総処理件数は、二十一万四百八十二件となっている(第1図参照)。

<第2部> 総務庁の多様な施策の推進

<第1章> 人事行政の推進

<人事管理運営方針の策定等>
 総務庁では、各省庁の人事管理官(人事担当課長など)からなる人事管理官会議を定期的に開催し、人事管理に関する協議、意見交換などを行うとともに、政府部内の統一的な人事管理を推進するための「人事管理運営方針」を、毎年度同会議総会の了承を得て決定している。平成十年度の人事管理運営方針においては、特に、昨今の不祥事への対応、国家公務員の人事管理の在り方についての改革の方針等についての記述がなされている。

<最近の給与改定の状況>
 平成十年度における国家公務員の給与改定については、十年八月十二日に出された平均〇・七六%の引上げ等を求める人事院勧告を受け、九月二十五日の給与関係閣僚会議において、勧告どおり実施するとの結論に達し、同日開催された閣議において、その旨の方針を決定した。これに基づいて、関係諸法案が国会に提出され、十月九日に成立した(ただし、特別職の職員の給与については、内閣総理大臣及び国務大臣並びに内閣官房副長官及び政務次官のうち、国会議員から任命されたものの給与の引上げを一年延伸することを内容とする議員修正が行われている。)。
 なお、平成九年度における給与改定については、人事院勧告(平均一・〇二%の引上げ等)どおり改定を行うものの、指定職俸給表の適用を受ける職員については、改定を一年延伸するとの方針が決定され、九年十二月三日、これに基づく法律が成立している(第2図参照)。

<第2章> 恩給行政の推進

<恩給の種類及び受給者数の現況>
 恩給の種類は、年金恩給と一時恩給、傷病賜金等の一時金とに大別され、本人又は遺族に対して支給される。
 平成十年度予算における年金恩給の受給者数は約百六十二万人、それに係る恩給費は一兆四千二百二十九億円(国会議員互助年金及び旧軍人一時恩給などを含めた総額は一兆四千二百五十八億円)となっている(第3図参照)。

<平成十年度における恩給の改善措置>
 平成十年度の恩給の改善措置については、公務員給与の改定、物価の動向などを総合的に勘案し、四月から、恩給年額の一・一九%引上げ(ただし、公務員給与の改定において、指定職相当の者のベアが一年間凍結されたことを勘案し、恩給年額計算の基礎となる仮定俸給が七十四号俸以上の者については、十一年三月分まで〇・三八%の引上げ)、普通扶助料受給者に支給される寡婦加算及び戦没者遺族等に支給される遺族加算の引上げ、短期在職の旧軍人等の仮定俸給について、その高齢化等の状況を考慮し、高齢者、寡婦等優遇の趣旨により、その格付けの一号俸引上げなどを行うこととし、これらの改善措置を盛り込んだ恩給法等の一部改正法案が、第百四十二回国会に提出され、十年三月二十日に成立した。

<第3章> 統計行政の推進

<統計行政の新中・長期構想の推進等>
 平成七年三月、統計審議会は、国際化・情報化の進展など、社会・経済の大きな変化に統計行政が的確に対応していくための統計行政全般にわたる具体的な指針となる「統計行政の新中・長期構想」を答申した。この推進のため、関係省庁による「統計行政の新中・長期構想推進協議会」が設けられており、総務庁は、各省庁と連携をとりつつ、同構想の推進を図っている。

<平成九年度に実施した主な統計調査>
 平成九年度には、主な統計調査としては、九年十月一日に全国及び地域別の就業構造を明らかにする就業構造基本調査を行うとともに、同年十一月二十日に、商品の販売価格及びサービスの料金並びに価格決定に関する様々な要素を幅広く調査する全国物価統計調査を実施した。また、十年度には、主な統計調査として、住宅・土地統計調査を実施した。

<第4章> 青少年対策の推進

<総合的な青少年対策の推進>
 総務庁では、内閣総理大臣の諮問機関である青少年問題審議会の審議などを通じて、青少年に関する基本的かつ総合的な施策を樹立するとともに、青少年対策が整合性をもって総合的に推進されるよう、関係省庁の施策の総合調整を行っている。

<総合的な施策の樹立と関係機関の連携>
 青少年問題審議会では、平成十年六月に審議から得られた基本的な認識を「問題行動への対策を中心とした青少年の育成方策について」(中間まとめ)として公表したが、更に審議を深め、十一年夏ごろまでに答申を取りまとめる予定となっている。
 また、「高度情報通信社会と青少年」を特集した平成九年度版青少年白書を十年一月に公表した。

<青少年問題に関する研究調査及び情報の収集・分析・提供>
 青少年の実態や意識などについての研究調査として、「第六回世界青年意識調査」、「青少年の薬物認識と非行に関する研究調査」などを行った。

<青少年の国際交流>
 国際交流を通じ、次代を担うにふさわしい国際性を備えた青年を育成することを目的として、「世界青年の船」、「東南アジア青年の船」、「国際青年育成交流」、「国際青年の村」など、様々な青年の国際交流事業を行っている。

<第5章> 北方領土問題対策の推進

<北方領土問題の沿革>
 歯舞群島、色丹島、国後島、択捉島の四島からなる北方領土は、戦後半世紀を経た今日、いまだロシアの不法な占拠の下に置かれたままになっている。

<国民世論の高揚>
 総務庁では、この問題の解決に向け、平成十年には、二月七日に、村岡内閣官房長官、小里総務庁長官を始めとして政府、国会、民間団体の代表等約一千五百人の参加を得て、第十八回北方領土返還要求全国大会を開催するなど、各種の広報啓発活動を行い、国民運動の推進に取り組んでいる。

<北方四島との交流>
 平成四年度から、北方四島との間で四島交流(いわゆるビザなし交流)を実施しており、十年度中には双方の訪問者が延べ五千人に達した。この四島交流により相互理解が格段に深まるなど、北方領土問題解決のための環境整備の一環として相当の成果が上がっている。
 なお、同年九月に行われた訪問事業には、阿部正俊総務政務次官が北方領土問題担当の政務次官として初めて北方領土を訪問した(第4図参照)。

<第6章> 交通安全対策の推進

<道路交通事故の現状>
 平成九年の我が国の道路交通事故による死者数は九千六百四十人で、二年連続で一万人を下回り、九年までに一万人以下にするという第六次交通安全基本計画の第一段階の目標を達成した。しかし、事故発生件数が七十八万三百九十九件と、五年連続で過去最悪の記録を更新し、負傷者数は九十五万八千九百二十五人と、三年連続で九十万人台となるなど、依然として厳しい状況が続いている。

<交通安全施策の調整・推進>
 平成九年には、関係する機関や団体などと協力して、春及び秋の全国交通安全運動を実施し、十一月二十七日に、第十六回交通安全シンポジウムを奈良県及び奈良市との共催で、「交通事故の減少を目指して―交通安全教育を考える」をテーマに行ったほか、交通安全フェアの開催、シートベルトの着用推進対策、高齢者や若者の交通事故防止対策などの交通安全施策を積極的に推進している。
 また、交通安全白書(平成十年版)を十年六月二日、国会に提出した。

<第7章> 高齢社会対策の推進

<高齢化の状況>
 我が国の高齢化は急速に進んでおり、高齢化率(総人口に占める六十五歳以上の人口の割合)は一五・七%(平成九年十月一日現在推計人口)に達している。急速な高齢化は更に続き、今後、先進諸国を引き離し、世界に例のない高齢社会になると見込まれている。

<高齢社会対策の推進体制>
 我が国の高齢社会対策の基本的枠組みは、平成七年に成立した高齢社会対策基本法に基づいている。同法は、高齢社会対策の総合的推進を図るため、基本的かつ総合的な高齢社会対策の大綱を定めること、国会に年次報告書を提出すること、高齢社会対策会議を設置することを定めており、総務庁は同会議の庶務を処理している。十年五月には、高齢社会白書(平成十年版)を国会に提出した。

<高齢社会に関する情報提供>
 高齢社会対策推進の参考とするため、関係省庁の予算や施策の概要を取りまとめるとともに、高齢社会対策に関連する統計資料集などを作成し、関係機関などに提供している。一般向けの情報提供としては、平成八年からインターネット上にホームページを設けている。

<国際高齢者年への取組>
 平成十一年は、国際連合の提唱する国際高齢者年であり、記念行事の開催などの各種の広報啓発活動を行っていくこととしている。

<第8章> 地域改善対策の推進

<これまでの地域改善対策の経緯とその現状>
 同和問題は、憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題であるという認識の下に、政府としては、昭和四十四年以来、三度にわたる特別措置法に基づいて、これまで関係諸施策の推進に努めてきた。
 総務庁が行った平成五年度同和地区実態把握等調査の結果によると、報告のあった三十六府県、一千八十一市町村の四千四百四十二地区における同和関係の世帯数は約三十万世帯、人口は約八十九万人となっている。

<平成九年経過措置法の制定と今後の取組>
 地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律(平成九年経過措置法)は、地域改善対策協議会の意見具申(平成八年五月十七日)を尊重するとともに、同年七月二十六日の閣議決定に基づいて、これまでの特別対策は九年三月末をもって終了することを基本としつつ、今後五年間に限って一般対策への円滑な移行のための必要最小限の経過措置を講ずるものとして、第百四十回国会において成立し、九年三月三十一日に公布され、即日施行された。
 この法律では、地域改善対策特定事業四十五事業のうち、特に必要と認められる十五の事業について、五年間に限り経過的措置を講じている。
 総務庁としては、今後とも地域改善対策協議会の意見具申を基本的な指針としつつ、平成九年経過措置法及び閣議決定に基づいて、地域改善対策特定事業の一般対策への円滑な移行や、適正化対策等の一層の推進を図ることとしている。

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月例経済報告(一月報告)


経 済 企 画 庁


 概 観

 我が国経済
 需要面をみると、個人消費は、値ごろ感のある商品を中心に一部に下げ止まりの動きがみられるものの全体としては低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、着工の伸びはこのところやや鈍化しているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 産業面をみると、鉱工業生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、厳しい状況が続いている。
 雇用情勢は、更に厳しくなっている。雇用者数の減少テンポは緩やかになってきたが、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 輸出は、アジア向けに下げ止まりの兆しがみられるものの、欧米向けの伸びが鈍化しているため、全体としては横ばい状態となっている。輸入は、おおむね横ばい状態となっている。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十二月月初の百二十二円台から上昇し、一月月央には一時百十円台となった。
 物価の動向をみると、国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。また、消費者物価は、基調として安定している。なお、量販店を中心に値引きなどの動きがみられる。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、十二月から一月月央にかけておおむね横ばいで推移した。長期金利は、十二月は大幅に上昇した後、一月月央にかけて低下した。株式相場は、十二月から一月月央にかけて下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、十一月は前年同月比四・四%増となった。また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っており、手元流動性確保に向けての動きを続けている。
 海外経済
 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大しているものの、先行きにやや不透明感がみられる。実質GDPは、九八年四〜六月期前期比年率一・八%増の後、七〜九月期は同三・七%増となった。個人消費、住宅投資は増加している。設備投資の伸びはマイナスとなった。鉱工業生産(総合)の伸びは鈍化している。雇用は拡大しているものの、製造業等では輸出減の影響もあり減少している。物価は安定している。十月の財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、前月から縮小したものの、依然として高水準にある。十二月の長期金利(三十年物国債)は、月下旬にやや上下したものの、ほぼ横ばいで推移した。株価(ダウ平均)は、月前半は総じて下落したが、後半は総じて上昇した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は拡大しているものの、そのテンポに鈍化懸念がみられる。フランスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきており、イギリスでは、景気は減速しつつある。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大テンポが緩やかになってきており、イギリスでは減少傾向にある。失業率は、ドイツでは低下傾向にあったが十二月にはやや上昇した。フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは低水準で推移している。物価は、安定している。九八年十二月三十一日には一ユーロ=約一・一七ドルの参照レートが設定され、九九年一月一日に単一通貨ユーロが誕生した。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところやや高まっているが、輸出は減少傾向にある。物価は下落している。韓国では、景気は後退している。失業率はこのところほぼ横ばいで推移している。物価の騰勢は鈍化している。貿易収支は、輸入減少により大幅な黒字が続いている。
 国際金融市場の九八年十二月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、総じて減価した。
 国際商品市況の九八年十二月の動きをみると、上旬は下落基調で推移したものの、中旬にイラク情勢緊迫を背景に一時上昇した。原油スポット価格(北海ブレント)は、上旬は総じてやや弱含んだが、中旬以降は英米軍によるイラク空爆などからやや強含んだ。

*     *     *

 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、値ごろ感のある商品を中心に一部に下げ止まりの動きがみられるものの全体としては低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、着工の伸びはこのところやや鈍化しているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 輸出は、アジア向けに下げ止まりの兆しがみられるものの、欧米向けの伸びが鈍化しているため、全体としては横ばい状態となっている。
 生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 雇用情勢は、更に厳しくなっている。雇用者数の減少テンポは緩やかになってきたが、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っており、手元流動性確保に向けての動きを続けている。
 こうしたなか、長期金利の急速な上昇などもあって、経済の先行きに対する不透明感は依然として強い。
 以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にあるものの、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入り混じり、変化の胎動も感じられる。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策を始めとする諸施策を強力に推進する。税制については、個人所得課税及び法人所得課税の恒久的な減税や、住宅借入金等に係る税額控除制度の改組(住宅ローン減税の実施)、情報通信機器の即時償却制度の創設等、国・地方あわせて九兆円超の減税を実施することとした。
 なお、一月十八日に平成十一年度の実質経済成長率を〇・五%程度と見込んだ「平成十一年度の経済見通しと経済運営の基本的態度」を閣議決定し、同日、八十一兆八千六百一億円(前年度当初比五・四%増)の平成十一年度一般会計予算を閣議決定した。また、十二月二十三日に経済戦略会議は、「日本経済再生への戦略」を発表した。

1 国内需要
―個人消費は、値ごろ感のある商品を中心に一部に下げ止まりの動きがみられるものの全体としては低調―

 個人消費は、値ごろ感のある商品を中心に一部に下げ止まりの動きがみられるものの全体としては低調である。これは、収入が減少していることに加え、消費者の財布のひもが依然として固いからである。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で十月一・〇%減の後、十一月は一・三%増(前月比一・四%増)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比二・〇%増、勤労者以外の世帯では同〇・一%増となった。形態別にみると、財・サービスともに増加となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比一・五%増、勤労者世帯では同二・〇%増となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で十月三・九%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で十月五・五%減の後、十一月は二・九%減(前月比一・五%増)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で十月四・六%減の後、十一月二・三%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で十月二・三%減の後、十一月〇・五%増となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で十二月は八・五%減となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で十一月は一一・三%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、十一月は前年同月比で国内旅行が〇・〇%減、海外旅行は七・二%減となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で十月〇・一%減の後、十一月は〇・一%増(事業所規模三十人以上では同〇・四%増)となり、うち所定外給与は、十一月は同九・二%減(事業所規模三十人以上では同九・七%減)となった。実質賃金は、前年同月比で十月〇・三%減の後、十一月は〇・七%減(事業所規模三十人以上では同〇・五%減)となった。なお、平成十年の民間主要企業の年末一時金妥結額(労働省調べ)は前年比一・八三%減(前年は同二・八%増)となった。
 住宅建設は、マンションの不振もあって低水準が続いている。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で十月一・七%増(前年同月比一二・九%減)となった後、十一月は七・八%減(同一六・〇%減)の八万九千戸(年率百七万戸)となった。十一月の着工床面積(季節調整値)は、前月比五・二%減(前年同月比一三・〇%減)となった。十一月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比〇・四%減(前年同月比一・四%減)、貸家は同一三・一%減(同一七・三%減)、分譲住宅は同〇・四%増(同二八・六%減)となっている。
 設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。
 日本銀行「企業短期経済観測調査」(十二月調査)により設備投資の動向をみると、主要企業の十年度設備投資計画は、製造業で前年度比七・七%減(九月調査比三・〇%下方修正)、非製造業で同〇・二%増(同一・〇%上方修正)となっており、全産業では同二・六%減(同〇・四%下方修正)となった。また、中堅企業では、製造業で前年度比一一・八%減(九月調査比一・七%下方修正)、非製造業で同九・五%減(同二・四%上方修正)となり、中小企業では製造業で同一八・一%減(同二・六%上方修正)、非製造業で同一三・七%減(同二・七%上方修正)となっている。
 なお、十年七〜九月期の設備投資を、大蔵省「法人企業統計季報」(全産業)でみると、前年同期比で一二・〇%減(うち製造業六・六%減、非製造業一四・九%減)となった。
 先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で九月は九・二%増(前年同月比一四・五%減)の後、十月は一二・五%減(同二六・一%減)となり、基調は減少傾向となっている。
 民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、十一月は前月比七・六%増(前年同月比一八・八%減)となったが、このところ弱い動きとなっている。内訳をみると、製造業は前月比六・九%減(前年同月比五三・八%減)、非製造業は同一一・九%増(同六・六%減)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資は、着工の伸びはこのところやや鈍化しているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 公共工事着工総工事費は、前年同月比で十月一三・三%増の後、十一月は七・二%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で十月二二・六%増の後、十一月は一・五%減となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で十月二・九%増の後、十一月は一四・七%減となった。

2 生産雇用
―更に厳しくなっている雇用情勢―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 鉱工業生産は、前月比で十月一・一%減の後、十一月(速報)は、化学、石油・石炭製品が増加したものの、輸送機械、一般機械等が減少したことから、二・〇%減となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で十二月は化学、鉄鋼等により〇・三%増の後、一月は機械、軽工業等により一・三%増となっている。鉱工業出荷は、前月比で十月一・三%減の後、十一月(速報)は、建設財が増加したものの、資本財、生産財等が減少したことから、二・二%減となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で十月〇・五%減の後、十一月(速報)は、化学、非鉄金属等が増加したものの、輸送機械、一般機械等が減少したことから、〇・八%減となった。また、十一月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は一一一・九と前月を〇・五ポイント上回った。
 主な業種について最近の動きをみると、輸送機械では、生産、在庫ともに十一月は減少した。一般機械では、生産は二か月連続で減少し、在庫は五か月連続で減少した。化学では、生産は二か月連続で増加し、在庫は十一月は増加した。
 雇用情勢は、更に厳しくなっている。雇用者数の減少テンポは緩やかになってきたが、勤め先や事業の都合による失業者が増加して、完全失業率はこれまでにない高さに上昇した。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、十月〇・四八倍の後、十一月〇・四七倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、十月〇・八六倍の後、十一月〇・八五倍となった。雇用者数は、減少テンポが緩やかになってきた。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、十一月は前年同月比〇・四%減(前年同月差十九万人減)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、十月前年同月比〇・四%減(季節調整済前月比〇・一%減)の後、十一月は同〇・六%減(同〇・二%増)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比〇・六%減)、産業別には製造業では同二・四%減となった。十一月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差十三万人増の三百二万人、完全失業率(同)は、十月四・三%の後、十一月四・四%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では十月前年同月比一四・一%減(季節調整済前月比〇・九%増)の後、十一月は同一五・九%減(同二・七%減)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比一六・七%減)。
 前記「企業短期経済観測調査」(全国企業、十二月調査)をみると、企業の雇用人員判断は、過剰感に高まりがみられる。
 企業の動向をみると、企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、厳しい状態が続いている。
 前記「企業短期経済観測調査」(十二月調査)によると、主要企業(全産業)では、十年度上期の経常利益は前年同期比二三・〇%の減益(除く電力・ガスでは同二三・九%の減益)の後、十年度下期には同一二・九%の減益(除く電力・ガスでは同一二・八%の減益)が見込まれている。産業別にみると、製造業では十年度上期に前年同期比二八・七%の減益の後、十年度下期には同一六・三%の減益が見込まれている。また、非製造業(除く電力・ガス)では十年度上期に前年同期比一三・七%の減益の後、十年度下期には同五・五%の減益が見込まれている。売上高経常利益率は、製造業では十年度上期に三・一三%になった後、十年度下期は三・〇四%と見込まれている。また、非製造業(除く電力・ガス)では十年度上期に一・五五%となった後、十年度下期は一・四〇%と見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業、非製造業ともに「悪い」超幅が拡大した。
 また、中小企業の動向を同調査(全国企業)でみると、製造業では、経常利益は十年度上期に前年同期比六七・六%の減益の後、十年度下期には同三五・〇%の減益が見込まれている。また、非製造業では、十年度上期に前年同期比一九・三%の減益の後、十年度下期には同一一・八%の減益が見込まれている。こうしたなかで、企業の業況判断をみると、製造業では「悪い」超幅が拡大し、非製造業では「悪い」超幅が縮小した。
 企業倒産の状況をみると、件数は、前年の水準を下回ってきた。
 銀行取引停止処分者件数は、十一月は九百四十五件で前年同月比八・二%減となった。業種別に件数の前年同月比をみると、建設業で一三・八%、製造業で九・四%の減少となった。

3 国際収支
―貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばい―

 輸出は、アジア向けに下げ止まりの兆しがみられるものの、欧米向けの伸びが鈍化しているため、全体としては横ばい状態となっている。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で十月二・四%増の後、十一月は八・八%減(前年同月比七・一%減)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、一般機械、電気機器等が減少した。同じく地域別にみると、アメリカ、アジア等が減少した。
 輸入は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で十月三・七%減の後、十一月四・八%増(前年同月比三・〇%増)となった。この動きを品目別(金額ベース)にみると、食料品、原料品等が増加した。同じく地域別にみると、EU、アジア等が増加した。
 通関収支差(季節調整値)は、十月に一兆四千五百四十五億円の黒字の後、十一月は八千八百八十六億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 十月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、八千二百十億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、経常移転収支の赤字幅が縮小したものの、貿易・サービス収支の黒字幅が縮小し、所得収支の黒字幅が縮小したため、その黒字幅は縮小し、一兆四千六百十八億円となった。投資収支(原数値)は、五千六百二十億円の赤字となり、資本収支(原数値)は、六千七十九億円の赤字となった。
 十二月末の外貨準備高は、前月比十三億ドル増加して二千百五十九億ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、十二月月初の百二十二円台から上昇し、一月月央には一時百十円台となった。一方、対マルク相場(インターバンク十七時時点)は、十二月月初の七十二円台から上昇し、一月月央には一時六十五円台となった。(なお、平成十一年一月一日よりマルク相場は対ユーロ固定レートとなった。(一ユーロ=一・九五五八三マルク))

4 物 価
―国内卸売物価は、弱含みで推移―

 国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。
 十二月の国内卸売物価は、加工食品(たばこ)等が上昇した一方、電気機器(電子機器用変成器)等が下落したことから、前月比保合い(前年同月比二・二%の下落)となった。また、前記「企業短期経済観測調査」(主要企業、十二月調査)によると、製品需給バランスは緩んだ状態が続いている。輸出物価は、契約通貨ベースで下落したことに加え、円高から円ベースでは前月比一・八%の下落(前年同月比九・五%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したことに加え、円高から円ベースでは前月比二・四%の下落(前年同月比一四・九%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比〇・四%の下落(前年同月比四・四%の下落)となった。
 企業向けサービス価格は、十一月は前年同月比〇・八%の下落(前月比〇・一%の下落)となった。
 商品市況(月末対比)は木材等は上昇したものの、非鉄等の下落により十二月は下落した。十二月の動きを品目別にみると、杉小幅板等は上昇したものの、銅地金等が下落した。
 消費者物価は、基調として安定している。なお、量販店を中心に値引きなどの動きがみられる。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で十月〇・四%の下落の後、十一月は一般生鮮商品が下落から上昇に転じたこと等により〇・三%の下落(前月比保合い)となった。なお、総合は、前年同月比で十月〇・二%の上昇の後、十一月は〇・八%の上昇(前月比〇・一%の下落)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で十一月〇・二%の下落の後、十二月(中旬速報値)は外食が下落から保合いとなったこと等により〇・一%の下落(前月比保合い)となった。なお、総合は、前年同月比で十一月一・〇%の上昇の後、十二月(中旬速報値)は〇・七%の上昇(前月比〇・四%の下落)となった。

5 金融財政
―十一年度予算を閣議決定―

 政府は平成十一年一月十八日、八十一兆八千六百一億円(前年度当初比五・四%増)の平成十一年度一般会計予算を閣議決定した。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、十二月から一月月央にかけておおむね横ばいで推移した。長期金利は、十二月は大幅に上昇した後、一月月央にかけて低下した。株式相場は、十二月から一月月央にかけて下落した。マネーサプライ(M2+CD)は、十一月は前年同月比四・四%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレート、二、三か月物ともに、十二月から一月月央にかけておおむね横ばいで推移した。
 公社債市場をみると、国債流通利回りは、十二月は大幅に上昇した後、一月月央にかけて低下した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、十一月は短期は〇・〇一二%ポイント上昇し、長期は〇・〇四六%ポイント低下したことから、総合では前月比で〇・〇一五%ポイント上昇し一・八七〇%となった。
 マネーサプライ(M2+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、十一月(速報)は四・四%増となった。また、広義流動性でみると、十一月(速報)は三・二%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、十二月(速報)は前年同月比四・七%減となった。十二月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が二百億円となった。また、十二月の国内公募事業債の起債実績は一兆四百七十五億円となった。
 前記「企業短期経済観測調査」(全国企業、十二月調査)によると、資金繰り判断は「苦しい」超が続いており、金融機関の貸出態度も「厳しい」超が続いている。
 民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っており、手元流動性確保に向けての動きを続けている。
 株式市場をみると、日経平均株価は、十二月から一月月央にかけて下落した。

6 海外経済
―ユーロ誕生―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、景気は拡大しているものの、先行きにやや不透明感がみられる。実質GDPは、九八年四〜六月期前期比年率一・八%増の後、七〜九月期は同三・七%増となった。個人消費、住宅投資は増加している。設備投資の伸びはマイナスとなった。鉱工業生産(総合)の伸びは鈍化している。雇用は拡大しているものの、製造業等では輸出減の影響もあり減少している。雇用者数(非農業事業所)は十一月前月差二五・一万人増の後、十二月は同三七・八万人増となった。失業率は十二月四・三%となった。物価は安定している。十一月の消費者物価は前年同月比一・五%の上昇、生産者物価(完成財総合)は同〇・七%の低下となった。十月の財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、前月から縮小したものの、依然として高水準にある。十二月の長期金利(三十年物国債)は、月下旬にやや上下したものの、ほぼ横ばいで推移した。株価(ダウ平均)は、月前半は総じて下落したが、後半は総じて上昇した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は拡大しているものの、そのテンポに鈍化懸念がみられる。フランスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきており、イギリスでは、景気は減速しつつある。九八年七〜九月期の実質GDPは、ドイツ前期比年率三・五%増、フランス同二・一%増、イギリス同一・六%増(確報値、市場価格)となった。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大テンポが緩やかになってきており、イギリスでは減少傾向にある(鉱工業生産は、ドイツ十一月前月比二・三%減、フランス十月同〇・八%増、イギリス十一月同〇・一%減)。失業率は、ドイツでは低下傾向にあったが十二月にはやや上昇した。フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは低水準で推移している(失業率は、ドイツ十二月一〇・八%、フランス十一月一一・五%、イギリス十一月四・六%)。物価は、安定している(十一月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比〇・七%、フランス同〇・三%、イギリス同三・〇%)。九八年十二月三十一日には一ユーロ=約一・一七ドルの参照レートが設定され、九九年一月一日に単一通貨ユーロが誕生した。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところやや高まっているが、輸出は減少傾向にある。物価は下落している。韓国では、景気は後退している。失業率はこのところほぼ横ばいで推移している。物価の騰勢は鈍化している。貿易収支は、輸入減少により大幅な黒字が続いている。
 国際金融市場の九八年十二月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、総じて減価した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)十二月三十一日一〇五・九、十一月末比二・四%の減価)。内訳をみると、十二月三十一日現在、対円では十一月末比七・九%減価、対マルクでは同一・五%減価した。
 国際商品市況の九八年十二月の動きをみると、上旬は下落基調で推移したものの、中旬にイラク情勢緊迫を背景に一時上昇した。原油スポット価格(北海ブレント)は、上旬は総じてやや弱含んだが、中旬以降は英米軍によるイラク空爆などからやや強含んだ。


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賃金、労働時間、雇用の動き


毎月勤労統計調査 平成十年十月分結果速報


労 働 省


 「毎月勤労統計調査」平成十年十月分結果の主な特徴点は、次のとおりである。

◇賃金の動き

 十月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間現金給与総額は二十九万三千五百十四円、前年同月比は〇・一%減であった。現金給与総額のうち、きまって支給する給与は二十八万八千百八十一円、前年同月比〇・三%減であった。これを所定内給与と所定外給与とに分けてみると、所定内給与は二十七万百九十五円、前年同月比〇・二%増、所定外給与は一万七千九百八十六円、前年同月比は八・一%減となっている。
 また、特別に支払われた給与は五千三百三十三円、前年同月比九・六%増となっている。
 実質賃金は、前年同月比〇・三%減であった。
 産業別にきまって支給する給与の動きを前年同月比によってみると、伸びの高い順に運輸・通信業一・一%増、電気・ガス・熱供給・水道業〇・七%増、サービス業〇・五%増、製造業〇・二%減、鉱業〇・三%減、卸売・小売業、飲食店〇・九%減、金融・保険業一・四%減、建設業一・五%減、不動産業四・四%減であった。

◇労働時間の動き

 十月の規模五人以上事業所の調査産業計の常用労働者一人平均月間総実労働時間は一六一・一時間、前年同月比〇・三%増であった。
 総実労働時間のうち、所定内労働時間は一五一・五時間、前年同月比〇・八%増、所定外労働時間は九・六時間、前年同月比七・七%減、季節調整値は前月比〇・九%増であった。
 製造業の所定外労働時間は一二・一時間で、前年同月比は一四・八%減、季節調整値は前月比〇・一%増であった。

◇雇用の動き

 十月の規模五人以上事業所の調査産業計の雇用の動きを前年同月比によってみると、常用労働者全体で〇・四%減、常用労働者のうち一般労働者では〇・七%減、パートタイム労働者では一・一%増であった。常用労働者全体の季節調整値は前月比〇・一%減となった。
 常用労働者全体の雇用の動きを産業別に前年同月比によってみると、サービス業一・九%増、不動産業〇・三%増、電気・ガス・熱供給・水道業〇・一%増と、これらの産業は前年を上回っているが、建設業〇・二%減、卸売・小売業、飲食店〇・七%減、運輸・通信業一・一%減、製造業二・一%減、鉱業二・五%減、金融・保険業三・四%減と、前年同月を下回った。
 主な産業の雇用の動きを一般労働者・パートタイム労働者別に前年同月比によってみると、製造業では一般労働者二・〇%減、パートタイム労働者三・七%減、卸売・小売業、飲食店では一般労働者一・九%減、パートタイム労働者一・九%増、サービス業では一般労働者一・三%増、パートタイム労働者五・三%増となっている。





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単身世帯収支調査結果の概況


―平成十年度四〜九月期平均速報―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 消費支出は、平成八年度四〜九月期に実質増加となった後、同年度十〜三月期に実質減少に転じ、平成九年度四〜九月期、同年度十〜三月期と減少幅が拡大したが、平成十年度四〜九月期は再び実質増加となった。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入(三・四%減少)は、実質減少となった。
 平均消費性向(七二・四%)は、前年度同期(七一・一%)を一・三ポイント上回った。
 消費支出(一・一%減少)は、実質減少となった。

◇男女・年齢階級別の家計

 消費支出は、女性、三十五歳未満及び六十歳以上で実質増加となった。

◇財・サービス区分別の消費支出

 財(商品)は、実質七・九%の増加
  <耐 久 財> 実質二一・三%の増加
  <半耐久財> 実質五・三%の増加
  <非耐久財> 実質六・八%の増加
 サービスは、実質五・一%の減少




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消費支出(全世帯)は実質一・〇%の減少


―平成十年十月分家計収支―


総 務 庁


◇全世帯の家計

 全世帯の消費支出は、平成九年九月、十月は実質増加となったが、十一月以降十二か月連続の実質減少となった。

◇勤労者世帯の家計

 勤労者世帯の実収入は、平成九年十一月以降六か月連続の実質減少となった後、十年五月は実質増加、六月、七月は実質減少、八月は実質増加、九月は実質減少となり、十月は実質増加となった。
 消費支出は、平成九年十月以降七か月連続の実質減少となった後、十年五月、六月は実質増加となったが、七月以降四か月連続の実質減少となった。

◇勤労者以外の世帯の家計

 勤労者以外の世帯の消費支出は二十八万九千二百二十三円で、名目一・八%、実質二・〇%の減少となり、平成九年十一月以降十二か月連続の実質減少

◇財・サービス区分別の消費支出(全世帯)

 財(商品)は、実質一・九%の増加
  <耐久財> 実質二一・七%の増加
  <半耐久財> 実質二・八%の減少
  <非耐久財> 実質〇・四%の増加
 サービスは、実質六・八%の減少


 

地震発生後の行動

 ―ライフラインが止まったら―

 阪神・淡路大震災でクローズアップされた「ライフライン」。私たちの生活が、電気や水道、ガスといったさまざまな基盤の上に成り立っていることを思い知らされました。
 災害によっては、救援の手が届くまで二、三日かかることもあります。命は助かったものの、助けを受けるまでどのようにして生き延びていくか。特に、食料や(冬期における)暖房の確保は、命にかかわるだけに、切実な問題です。そのためにも、その間の生活を支えられるだけの備え(水や食料、その他の非常持出品、簡単な調理器具など)が必要になってきます。
◇二次災害を防ぐ
 過去に発生した大地震による被害のなかには、地震の揺れが原因でガスが漏れることもあり、漏れたガスに引火して火災が起きたケースがあります。ガスが漏れたとき、あるいはガス漏れの危険性があるときは、絶対に火を使わないことです。また、火花が発生するおそれのある電気製品などにも気をつけなければなりません。
◇火と電気の始末
 ガスが漏れているかどうかにかかわらず、大きな地震のときは、コンロやストーブなどの火の始末をするとともに、電気の安全確認をしましょう。電気器具のスイッチを一つ一つ切るか、ブレーカーを切ってしまえば、たとえガスが漏れていたとしても、引火による火災は防げます。
 こうして、電気の始末を行えば、電気が復旧したときに、スイッチの切り忘れによる火災も防ぐことができます。(消防庁)


 
    <2月17日号の主な予定>
 
 ▽全国の公害苦情の実態………………公害等調整委員会事務局 

 ▽法人企業の経営動向…………………大  蔵  省 
 



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