官報資料版 平成1117




                 ▽ 全国の公害苦情の実態                公害等調整委員会
                                …………………………………………事   務   局

                 ▽ 法人企業の経営動向(平成十年七〜九月期)…………………大  蔵  省

                 ▽ 税金365日 消費税・地方消費税(個人事業者)の
                            確定申告は正しくお早めに…………………国  税  庁










全国の公害苦情の実態


―平成九年度公害苦情調査結果報告書の概要―


公害等調整委員会事務局


 平成九年四月から十年三月までの一年間において、全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口に寄せられた公害苦情の件数や処理状況などを、「平成九年度公害苦情調査結果報告書」としてとりまとめ公表したので、その概要を紹介する。
 住民から寄せられる公害苦情は、その多くが紛争の前段階ないし初期段階としての性格を有し、また、健康と生活環境に関する相談という側面をも併せもっており、これらの公害苦情を通して公害被害の現状と国民の公害に対する関心の度合いを知ることができる。

第一 公害苦情の受付状況

一 公害苦情件数の概況
<全国の公害苦情は七万九百七十五件>
 平成九年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で受け付けた公害苦情の件数は七万九百七十五件で、前年度に比べて八千六百六十件(一三・九%)増加した。

二 公害の種類別苦情件数
<典型七公害の苦情は全体の約四分の三>
 平成九年度の公害苦情(七万九百七十五件)のうち、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音、振動、地盤沈下及び悪臭のいわゆる「典型七公害」の苦情件数は五万三千六百二十五件(全公害苦情件数の七五・六%)で、前年度に比べて八千二百四十七件(一八・二%)増加した。
 また、廃棄物の不法投棄、害虫等の発生、動物の死骸放置、ふん・尿の害、火災の危険、電波障害、土砂の散乱、土砂の流出、光害、日照、通風障害などのいわゆる「典型七公害以外」の苦情件数は一万七千三百五十件(全公害苦情件数の二四・四%)で、前年度に比べて四百十三件(二・四%)増加した。
 (一) 典型七公害の種類別苦情件数
<大気汚染が最も多い>
 典型七公害の苦情件数を種類別にみると、大気汚染が一万九千六百六十八件(典型七公害苦情件数の三六・七%)と最も多く、次いで、騒音が一万三千十件(同二四・三%)、悪臭が一万二千百四十一件(同二二・六%)、水質汚濁が六千九百九十件(同一三・〇%)、振動が一千五百九十件(同三・〇%)、土壌汚染が二百一件(同〇・四%)、地盤沈下が二十五件(同〇・〇%)となっている。
 また、前年度に比べて、大気汚染(八千七百七件、七九・四%)、悪臭(一千三百二件、一二・〇%)及び地盤沈下(二件、八・七%)が増加し、騒音(一千二百七十一件、八・九%)、振動(二百八十七件、一五・三%)、水質汚濁(百七十八件、二・五%)及び土壌汚染(二十八件、一二・二%)が減少した。
 典型七公害の種類別苦情件数の推移をみると、昭和五十二年度以降、順位の変動がなかったが、近年、大気汚染の割合は増大傾向を示し、平成八年度には悪臭と大気汚染の順位が入れ替わり、さらに九年度には大気汚染と騒音の順位が入れ替わった(第1表第1図参照)。
 (二) 典型七公害以外の種類別苦情件数
<廃棄物の不法投棄が最も多い>
 典型七公害以外の苦情件数を種類別にみると、廃棄物の不法投棄が四千百六十九件(典型七公害以外の苦情件数の二四・〇%)と最も多く、次いで、害虫等の発生が二千二百七十三件(同一三・一%)、動物の死骸放置が一千八百六十五件(同一〇・七%)、ふん・尿の害が六百四十七件(同三・七%)、火災の危険が五百六十三件(同三・二%)、電波障害が三百七十件(同二・一%)、土砂の散乱が百八十九件(同一・一%)、土砂の流出が百六件(同〇・六%)などとなっている。
 さらに、廃棄物の不法投棄に対する苦情件数を廃棄物の種類別にみると、一般廃棄物が二千三百二十六件(廃棄物の不法投棄に対する苦情件数の五五・八%)、産業廃棄物が一千八百四十三件(同四四・二%)となっている。一般廃棄物のうちでは、粗大ごみが九百十一件(同二一・九%)と最も多く、次いで、燃焼物が三百八十四件(同九・二%)、生ごみが三百三十六件(同八・一%)、焼却不適物が三百三十三件(同八・〇%)などとなっている。また、産業廃棄物のうちでは、建設廃材が一千二件(同二四・〇%)と最も多く、次いで、廃油・廃酸等が九十五件(同二・三%)などとなっている(第2表参照)。

三 公害の発生源別苦情件数
<発生源では製造業、建設業、サービス業の順>
 公害苦情件数を発生源別にみると、製造業が一万二千三百九十三件(全公害苦情件数の一七・五%)と最も多く、次いで、建設業が一万二千二百十四件(同一七・二%)、サービス業が八千八十八件(同一一・四%)、空地が六千七百十三件(同九・五%)、家庭生活が五千九百六十三件(同八・四%)、「卸売・小売業、飲食店」が四千九百四十三件(同七・〇%)、農業が四千三百八十九件(同六・二%)、道路が三千三百五件(同四・七%)、運輸・通信業が一千四百四十件(同二・〇%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、公園(三件、一・四%)が減少し、建設業(二千二十三件、一九・九%)、製造業(二千五件、一九・三%)、サービス業(一千七百四十六件、二七・五%)、「卸売・小売業、飲食店」(三百四十九件、七・六%)、家庭生活(三百四十三件、六・一%)、運輸・通信業(二百八十一件、二四・二%)、道路(二百五十五件、八・四%)及び空地(二百四十四件、三・八%)などが増加した。
 なお、発生源の種類別苦情件数の推移をみると、製造業が依然最も多いものの、平成七年度以降は、建設業とほぼ拮抗する傾向を示している(第3表参照)。
 (一) 典型七公害の発生源別苦情件数
<典型七公害では製造業、建設業、サービス業の順>
 典型七公害の苦情件数を発生源別にみると、製造業が一万一千九百五十三件(典型七公害の苦情件数の二二・三%)と最も多く、次いで、建設業が一万九百六十九件(同二〇・五%)、サービス業が七千二百九十六件(同一三・六%)、「卸売・小売業、飲食店」が四千六百七十七件(同八・七%)、家庭生活が四千二百十八件(同七・九%)、農業が三千三百八十二件(同六・三%)、運輸・通信業が一千三百五十一件(同二・五%)、道路が八百四十七件(同一・六%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(二千六十三件、二三・二%)、製造業(二千五十六件、二〇・八%)、サービス業(一千六百九十三件、三〇・二%)、「卸売・小売業、飲食店」(三百八十六件、九・〇%)、運輸・通信業(二百八十五件、二六・七%)、家庭生活(二百六十四件、六・七%)、空地(百八十四件、三五・〇%)、「神社、寺院等」(百六十七件、一六五・三%)及び事務所(百二十一件、四七・三%)などが増加し、道路(百二十二件、一二・六%)が減少した(第4表参照)。
 ア 大気汚染の発生源別苦情件数
<大気汚染では建設業、製造業の順>
 大気汚染の苦情件数を発生源別にみると、建設業が五千三百六十五件(大気汚染苦情件数の二七・三%)と最も多く、次いで、製造業が四千三百四十七件(同二二・一%)、サービス業が三千二百十七件(同一六・四%)、「卸売・小売業、飲食店」が一千二百六十七件(同六・四%)などとなっている。このうち、建設業では総合工事業が二千百二件(同一〇・七%)、製造業では木材・木製品製造業が一千百十六件(同五・七%)、サービス業では廃棄物処理業が一千三十六件(同五・三%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、建設業(二千二百一件、六九・六%)、製造業(一千八百二十一件、七二・一%)、サービス業(一千三百九十二件、七六・三%)、「卸売・小売業、飲食店」(六百六十六件、一一〇・八%)、家庭生活(六百五十五件、一一五・九%)、農業(四百五十八件、八三・六%)、運輸・通信業(二百八十七件、一二一・六%)及び空地(百七十一件、五七・八%)など、すべての発生源で増加した(第4表参照)。
 イ 騒音の発生源別苦情件数
<騒音では建設業、製造業の順>
 騒音の苦情件数を発生源別にみると、建設業が三千三百二十二件(騒音苦情件数の二五・五%)と最も多く、次いで、製造業が二千九百十二件(同二二・四%)、「卸売・小売業、飲食店」が二千十四件(同一五・五%)、サービス業が一千六百四十八件(同一二・七%)、家庭生活が九百十一件(同七・〇%)などとなっている。このうち、建設業では総合工事業が二千三十六件(同一五・六%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造業が九百五十三件(同七・三%)、「卸売・小売業、飲食店」では飲食店が一千二百七十三件(同九・八%)、サービス業では娯楽業が三百五十三件(同二・七%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、「神社、寺院等」(二十件、一〇五・三%)、空地(十件、二〇・四%)などが増加し、建設業(三百七十七件、一〇・二%)、「卸売・小売業、飲食店」(三百十件、一三・三%)、製造業(百七十七件、五・七%)及び家庭生活(百四十八件、一四・〇%)などが減少した。
 なお、騒音の苦情件数のうち、飲食店のカラオケを発生源とするものは八百五十二件で、前年度に比べて、九十三件(九・八%)減少した。また、娯楽業のカラオケいわゆるカラオケボックスを発生源とするものは百七十六件で、前年度に比べて十二件(六・四%)減少した。飲食店及び娯楽業のカラオケを発生源とする苦情件数は一千二十八件(飲食店及び娯楽業の騒音苦情件数の六三・二%)となっている。
 家庭生活におけるペットを発生源とする苦情件数は二百八十九件(家庭生活の苦情件数の三一・七%)で、前年度に比べて、八十三件(二二・三%)減少した(第4表参照)。
 ウ 悪臭の発生源別苦情件数
<悪臭では製造業、サービス業の順>
 悪臭の苦情件数を発生源別にみると、製造業が二千八百八十七件(悪臭苦情件数の二三・八%)と最も多く、次いで、サービス業が一千五百八十五件(同一三・一%)、農業が一千五百三十四件(同一二・六%)、家庭生活が一千四百九十一件(同一二・三%)、建設業が一千件(同八・二%)及び「卸売・小売業、飲食店」が九百一件(同七・四%)などとなっている。このうち、製造業では「食料品、飲料等製造業」が六百九十五件(同五・七%)、サービス業では廃棄物処理業が五百一件(同四・一%)、農業では畜産・養蚕農業が八百三十九件(同六・九%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、製造業(四百九十八件、二〇・八%)、サービス業(四百十一件、三五・〇%)、建設業(三百八十九件、六三・七%)、「卸売・小売業、飲食店」(九十二件、一一・四%)及び運輸・通信業(五十九件、六七・〇%)などが増加し、農業(二百六十一件、一四・五%)及び家庭生活(百七件、六・七%)などが減少した(第4表参照)。
 エ 水質汚濁の発生源別苦情件数
<水質汚濁では製造業、サービス業の順>
 水質汚濁の苦情件数を発生源別にみると、製造業が一千五百五十件(水質汚濁苦情件数の二二・二%)と最も多く、次いで、サービス業が七百二十九件(同一〇・四%)、家庭生活が五百七十四件(同八・二%)、農業が四百八十八件(同七・〇%)、「卸売・小売業、飲食店」が四百四十六件(同六・四%)などとなっている。このうち、製造業では「食料品、飲料等製造業」が六百二十二件(同八・九%)、サービス業では廃棄物処理業が百五十六件(同二・二%)、農業では畜産・養蚕農業が三百四十八件(同五・〇%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、道路(十六件、一八・八%)及び公務(十三件、三八・二%)などが増加し、家庭生活(百三十一件、一八・六%)、農業(七十七件、一三・六%)、「卸売・小売業、飲食店」(五十八件、一一・五%)、製造業(二十六件、一・六%)及びサービス業(十三件、一・八%)などが減少した。
 なお、いずれの発生源とも特定できない苦情が一千六百十六件(同二三・一%)あり、水質汚濁公害の発生源の特定が難しいことを示している(第4表参照)。
 オ 振動の発生源別苦情件数
<振動では建設業、道路の順>
 振動の苦情件数を発生源別にみると、建設業が八百四十六件(振動苦情件数の五三・二%)と最も多く、次いで、道路が二百二十六件(同一四・二%)、製造業が二百二十四件(同一四・一%)、サービス業が七十九件(同五・〇%)、運輸・通信業が五十五件(同三・五%)などとなっている。このうち、建設業では総合工事業が四百七十六件(同二九・九%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造業が百六件(同六・七%)、運輸・通信業では鉄道が三十九件(同二・五%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、家庭生活(二件、一八・二%)などが増加し、建設業(百四十九件、一五・〇%)、製造業(五十一件、一八・五%)、道路(三十件、一一・七%)、運輸・通信業(二十四件、三〇・四%)などが減少した(第4表参照)。
 カ 土壌汚染の発生源別苦情件数
<土壌汚染ではサービス業、製造業、建設業の順>
 土壌汚染の苦情件数を発生源別にみると、サービス業が三十五件(土壌汚染苦情件数の一七・四%)と最も多く、次いで、製造業が三十三件(同一六・四%)、建設業が三十一件(同一五・四%)、農業が二十一件(同一〇・四%)、空地が十五件(同七・五%)などとなっている。このうち、サービス業では廃棄物処理業が十九件(同九・五%)、製造業では鉄鋼・非鉄金属・金属製品製造業が九件(同四・五%)、建設業では総合工事業が十七件(同八・五%)と、それぞれ最も多くなっている。
 また、前年度に比べて、空地(四件、三六・四%)などが増加し、製造業(九件、二一・四%)、家庭生活(八件、五〇・〇%)、農業(七件、二五・〇%)などが減少した(第4表参照)。
 キ 地盤沈下の発生源別苦情件数
<地盤沈下では建設業、サービス業の順>
 地盤沈下の苦情件数を発生源別にみると、建設業が六件(地盤沈下苦情件数の二四・〇%)、サービス業が三件(同一二・〇%)、「卸売・小売業、飲食店」が二件(八・〇%)などとなっている(第4表参照)。
 (二) 典型七公害以外の発生源別苦情件数
<典型七公害以外では空地、道路の順>
 典型七公害以外の苦情件数を発生源別にみると、空地が六千四件(典型七公害以外の苦情件数の三四・六%)と最も多く、次いで、道路が二千四百五十八件(同一四・二%)、家庭生活が一千七百四十五件(同一〇・一%)、建設業が一千二百四十五件(同七・二%)、農業が一千七件(同五・八%)、サービス業が七百九十二件(同四・六%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、道路(三百七十七件、一八・一%)、家庭生活(七十九件、四・七%)、空地(六十件、一・〇%)などが増加し、製造業(五十一件、一〇・四%)、建設業(四十件、三・一%)、「卸売・小売業、飲食店」(三十七件、一二・二%)などが減少した(第4表参照)。

四 被害の発生地域別苦情件数
<住居地域に多い被害>
 苦情件数を被害の発生地域別にみると、都市計画法による都市計画区域が六万四千七百二十七件(全公害苦情件数の九一・二%)、都市計画区域以外の地域が六千二百四十八件(同八・八%)となっている。
 さらに、都市計画法による都市計画区域の苦情件数を用途地域別にみると、住居地域(第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居専用地域及び準住居地域をいう。)が二万九千七百四件(同四一・九%)と最も多く、次いで、市街化調整区域が一万二千百十八件(同一七・一%)、準工業地域が六千七百四十二件(同九・五%)、その他の地域(用途地域未線引きの区域をいう。)が六千二百七十一件(同八・八%)、商業地域が三千七百七十九件(同五・三%)、工業・工業専用地域が三千三百五十一件(同四・七%)、近隣商業地域が二千七百六十二件(同三・九%)となっている(第2図参照)。

五 被害の種類別苦情件数
<被害の約八割が感覚的・心理的被害>
 苦情件数を被害の種類別にみると、感覚的・心理的被害が五万五千八百二十五件(全公害苦情件数の七八・七%)と最も多く、次いで、健康被害が四千百八十四件(同五・九%)、財産被害が二千百九十一件(同三・一%)、動・植物被害が一千六百八十七件(同二・四%)などとなっている。

六 受付機関別の苦情件数
<市町村の受付が約九割>
 苦情件数を苦情を受け付けた機関別にみると、市町村が六万三千九百四十三件(全公害苦情件数の九〇・一%)、都道府県(支庁、地方事務所及び附属機関を含む。)が七千三十二件(同九・九%)となっている。このうち、市町村では市が五万三千七百八十六件(同七五・八%)、町村が一万百五十七件(同一四・三%)となっており、さらに、市では大都市(東京都特別区及び政令指定都市をいう。)が一万二千七百六十八件(同一八・〇%)、その他の市が四万一千十八件(同五七・八%)となっている。
 また、前年度に比べて、すべての受付機関で増加した。

七 都道府県別の苦情件数
 (一) 都道府県別苦情件数
<東京都、埼玉県、愛知県の順、上位八都府県で全国の苦情件数の過半数>
 苦情件数を都道府県別にみると、東京都が七千五百二十四件(全公害苦情件数の一〇・六%)と最も多く、次いで、埼玉県が六千六百六十四件(同九・四%)、愛知県が五千五百三十七件(同七・八%)、大阪府が四千九百三十二件(同六・九%)、神奈川県が三千七百三件(同五・二%)、兵庫県が三千三百七十九件(同四・八%)、千葉県が三千三百二十四件(同四・七%)、福岡県が二千七百三十九件(同三・九%)などとなっており、上位八都府県で全国の苦情件数の過半数(三万七千八百二件、同五三・三%)を占めている。
 また、前年度に比べて、埼玉県(一千百件、一九・八%)、東京都(一千八件、一五・五%)、神奈川県(八百二十三件、二八・六%)、愛知県(七百九十一件、一六・七%)、栃木県(五百五十一件、三五・九%)、大阪府(五百二十件、一一・八%)など三十七都府県で増加し、福岡県(百五十八件、五・五%)、香川県(六十八件、一〇・八%)、石川県(五十件、七・三%)、熊本県(四十五件、六・四%)など十道県で減少した(第3図第5表参照)。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、栃木県が一〇四・二件(前年度比二七・二件増)と最も多く、次いで、埼玉県が九七・三件(同一五・六件増)、滋賀県が九五・八件(同四・〇件減)、愛知県が七九・九件(同一一・一件増)、大分県が七七・五件(同二二・一件増)、宮崎県が七五・五件(同八・一件増)、高知県が七三・七件(同一八・〇件増)、茨城県が七三・三件(同一三・五件増)などとなっている。なお、全国平均は五六・三件で、前年度に比べて六・八件増加した。
 (二) 典型七公害の都道府県別苦情件数
<典型七公害では東京都、大阪府の順>
 典型七公害の苦情件数を都道府県別にみると、東京都が六千五百四十一件(典型七公害の苦情件数の一二・二%)と最も多く、次いで、大阪府が四千二百三十九件(同七・九%)、愛知県が四千百九十四件(同七・八%)、埼玉県が四千五十九件(同七・六%)、神奈川県が三千五百九十八件(同六・七%)、兵庫県が二千五百件(同四・七%)、千葉県が二千三百八十件(同四・四%)、福岡県が一千八百五十二件(同三・五%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、埼玉県(九百八十四件、三二・〇%)、東京都(九百三十二件、一六・六%)、神奈川県(七百九十五件、二八・四%)、愛知県(六百七十件、一九・〇%)、千葉県(五百四十二件、二九・五%)、大阪府(四百九十一件、一三・一%)、兵庫県(三百三十二件、一五・三%)など四十都府県で増加し、香川県(八十四件、一八・五%)、北海道(四十二件、四・七%)、石川県(四十一件、一〇・九%)など七道県で減少した。
 次に、人口十万人当たりの苦情件数を都道府県別にみると、愛知県が六〇・五件(前年度比九・四件増)と最も多く、次いで、埼玉県が五九・二件(同一四・〇件増)、栃木県が五八・四件(同一二・三件増)、大分県が五七・九件(同一九・六件増)、愛媛県が五五・九件(同一七・五件増)などとなっている。なお、全国平均は四二・五件で、前年度に比べて六・四件増加した。
 (三) 典型七公害の種類別・都道府県別苦情件数
 典型七公害の種類別の苦情件数を都道府県別にみると、次のとおりである。
 ア 大気汚染
<大気汚染では東京都、埼玉県の順>
 大気汚染の苦情件数は、東京都が二千二十二件(大気汚染苦情件数の一〇・三%)と最も多く、次いで、埼玉県が一千九百九十六件(同一〇・一%)、神奈川県が一千五百四十二件(同七・八%)、愛知県が一千三百八十二件(同七・〇%)、大阪府が一千二百九十九件(同六・六%)、千葉県が九百七十二件(同四・九%)、兵庫県が九百三十五件(同四・八%)などとなっており、上位七都府県の合計で一万百四十八件(同五一・六%)となっている。
 また、前年度に比べて、埼玉県(九百七十件、九四・五%)、東京都(九百四十二件、八七・二%)、神奈川県(六百六十一件、七五・〇%)、千葉県(五百十五件、一一二・七%)、愛知県(四百八十六件、五四・二%)、大阪府(四百七十件、五六・七%)、栃木県(三百六十件、一四〇・一%)、福岡県(三百四十七件、九六・九%)、兵庫県(三百二十五件、五三・三%)、群馬県(二百五十五件、一二三・八%)など、すべての都道府県で増加した。
 イ 騒 音
<騒音では東京都、大阪府の順>
 騒音の苦情件数は、東京都が二千七百五件(騒音苦情件数の二〇・八%)と最も多く、次いで、大阪府が一千四百六十九件(同一一・三%)、愛知県が一千百五十七件(同八・九%)、神奈川県が一千六十八件(同八・二%)、埼玉県が八百三十四件(同六・四%)などとなっており、上位五都府県の合計で七千二百三十三件(同五五・六%)となっている。
 また、前年度に比べて、大分県(二十一件、一六・九%)、秋田県(十五件、四二・九%)、奈良県(十三件、一一・五%)、島根県(十一件、九一・七%)、富山県(十件、三二・三%)など十一府県で増加し、東京都(二百二十四件、七・六%)、埼玉県(百二十五件、一三・〇%)、北海道(百二十二件、三七・五%)、福岡県(百九件、二五・五%)、兵庫県(百八件、一四・九%)など、三十五都道府県で減少した。
 ウ 悪 臭
<悪臭では東京都、愛知県の順>
 悪臭の苦情件数は、東京都が一千三百八十一件(悪臭苦情件数の一一・四%)と最も多く、次いで、愛知県が一千六十二件(同八・七%)、大阪府が八百六十四件(同七・一%)、埼玉県が八百十一件(同六・七%)、千葉県が六百二十二件(同五・一%)、神奈川県が六百十件(同五・〇%)、兵庫県が四百八十五件(同四・〇%)、福岡県が四百三十二件(同三・六%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、東京都(三百三十七件、三二・三%)、愛知県(百七十四件、一九・六%)、神奈川県(百五十六件、三四・四%)、埼玉県(百四十五件、二一・八%)、兵庫県(百二十一件、三三・二%)、大阪府(九十六件、一二・五%)など、二十八都府県で増加し、香川県(五十件、四五・五%)、和歌山県(二十二件、二二・二%)、徳島県(二十件、一八・〇%)、石川県(二十件、二〇・八%)など、十七県で減少した。
 エ 水質汚濁
<水質汚濁では愛知県、大阪府の順>
 水質汚濁の苦情件数は、愛知県が四百五十九件(水質汚濁苦情件数の六・六%)と最も多く、次いで、大阪府が三百七十五件(同五・四%)、兵庫県が三百六十三件(同五・二%)、福岡県が三百六十件(同五・二%)、岐阜県が三百十二件(同四・五%)、長野県が二百七十五件(同三・九%)、埼玉県が二百六十七件(同三・八%)、広島県が二百六十三件(同三・八%)、静岡県が二百四十件(同三・四%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、京都府(八十件、五六・七%)、岐阜県(五十六件、二一・九%)、兵庫県(三十六件、一一・〇%)、神奈川県(二十五件、一三・二%)、大分県(二十五件、三九・一%)、埼玉県(二十四件、九・九%)など十九府県で増加し、福岡県(五十七件、一三・七%)、香川県(五十五件、四〇・四%)、栃木県(四十九件、二一・四%)、千葉県(三十九件、一九・一%)など、二十八都道府県で減少した。
 オ 振 動
<振動では東京都、大阪府の順>
 振動の苦情件数は、東京都が三百二十五件(振動苦情件数の二〇・四%)と最も多く、次いで、大阪府が二百二十三件(同一四・〇%)、神奈川県が百五十八件(同九・九%)、埼玉県が百二十七件(同八・〇%)、愛知県が百二十一件(同七・六%)などとなっており、上位五都府県の合計で九百五十四件(同六〇・〇%)となっている。
 また、前年度に比べて、滋賀県(七件、五八・三%)、愛媛県(六件、八五・七%)、愛知県(五件、四・三%)など、十一道府県で増加し、東京都(百十二件、二五・六%)、兵庫県(三十九件、二八・九%)、埼玉県(三十五件、二一・六%)、福井県(十三件、七六・五%)、青森県(十件、三八・五%)など、三十三都県で減少した。
 カ 土壌汚染
<土壌汚染では埼玉県、栃木県の順>
 土壌汚染の苦情件数は、埼玉県が十七件(土壌汚染苦情件数の八・五%)と最も多く、次いで、栃木県が十六件(同八・〇%)、千葉県及び茨城県が各十五件(同七・五%)、東京都、愛知県及び岐阜県が各十二件(同六・〇%)、長野県が十件(同五・〇%)などとなっている。
 また、前年度に比べて、岐阜県(四件、五〇・〇%)、大阪府(四件、一〇〇・〇%)、愛媛県(四件、二〇〇・〇%)など、十八府県で増加し、千葉県(八件、三四・八%)、栃木県(六件、二七・三%)、鹿児島県(六件、一〇〇・〇%)、神奈川県(五件、五五・六%)、群馬県(五件、六二・五%)など、二十三都道県で減少した。
 キ 地盤沈下
 地盤沈下の苦情件数は、埼玉県が七件(地盤沈下苦情件数の二八・〇%)と最も多く、次いで、奈良県が三件(同一二・〇%)、神奈川県、新潟県、宮城県及び栃木県が各二件(同八・〇%)、茨城県、千葉県、愛知県、大阪府、三重県、宮崎県及び沖縄県が各一件(同四・〇%)となっており、十三府県で地盤沈下の苦情を受け付けた。

八 複合型公害の苦情件数
<複合型公害は全体の約二割>
 公害苦情には、申し立てられる公害の種類が一種類のもの(単独型公害)と、二種類以上のもの(複合型公害)とがある。単独型公害か複合型公害かをみると、単独型公害が五万六千七百四十一件(全公害苦情件数の七九・九%)、複合型公害が一万四千二百三十四件(同二〇・一%)となっている。
 また、複合型公害において、主な公害と関連公害を合わせた延べ苦情件数は三万六百五件となっており、複合型公害は平均二・一五種類の公害となっている。

第二 公害苦情の処理状況

一 公害苦情の取扱件数
<取扱件数は約八万件で、うち直接処理した苦情は約六万五千四百件>
 平成九年度に全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った公害苦情件数は七万九千七百十六件である。その内訳は、九年度に受け付けた苦情件数が七万九百七十五件、前年度から繰り越された苦情件数が八千七百四十一件となっている。
 一方、取り扱った苦情の処理状況をみると、公害苦情相談窓口で直接処理した苦情件数(以下「直接処理件数」という。)が六万五千三百九十件、他の機関等へ移送した苦情件数が一千百七十件、翌年度へ繰り越した苦情件数が九千六百三十七件、その他の苦情件数が三千五百十九件となっている(第6表参照)。

二 公害苦情の処理率
<処理率は約八割>
 全国の地方公共団体の公害苦情相談窓口で取り扱った苦情件数から他の機関等へ移送した苦情件数を除いた件数のうち、直接処理件数の割合(処理率)は八三・三%である(第6表参照)。

三 苦情申立人の立場別処理件数
<苦情申立ての約四分の三が被害者又は家族から>
 直接処理件数を苦情の申立人の立場別にみると、「被害者又は家族」が四万九千九百八十六件(直接処理件数の七六・四%)と最も多く、次いで、「被害者の代表」が六千九百件(同一〇・六%)、「公的機関が仲介」したものが二千七百九十一件(同四・三%)、「第三者が仲介」したものが一千二百八十六件(同二・〇%)などとなっている。

四 処理に要した期間別処理件数
<一か月以内に約三分の二を処理>
 直接処理件数を苦情の申立てから処理までに要した期間別にみると、「一週間以内」が三万三千七百四十六件(直接処理件数の五一・六%)と最も多く、「一か月以内」が九千百二十五件(同一四・〇%)、「三か月以内」が六千二百八十二件(同九・六%)、「六か月以内」が七千四十二件(同一〇・八%)、「一年以内」が三千五十一件(同四・七%)、「一年超」が一千七百五十四件(同二・七%)などとなっている。
 「一週間以内」及び「一か月以内」を合わせると四万二千八百七十一件(同六五・六%)となり、直接処理件数の約三分の二が一か月以内に処理されている(第4図参照)。

五 被害の発生態様別処理件数
<一時的・一過性現象が約三割>
 直接処理件数を被害の発生態様別にみると、空調機械が故障したというように、突発的な事故等による「一時的・一過性現象」が一万九千四十四件(直接処理件数の二九・一%)と最も多く、次いで、工場操業などに伴い、ほとんど毎日発生する「経常的な発生」が一万七千九百五十一件(同二七・五%)、農薬散布のように、季節的又は一日以上あけて繰り返し発生する「季節的・周期的発生」が一万百四十一件(同一五・五%)、建築・土木工事などに伴い、一定期間において発生する「一定期間の常時発生」が五千四百四十二件(同八・三%)などとなっている。

六 苦情の対象となった時間帯別処理件数
<昼間が約三分の一>
 直接処理件数を苦情の対象となった時間帯別にみると、「昼間」が二万三千三百十八件(直接処理件数の三五・七%)と最も多く、次いで、「時間に無関係」が一万二千六百六十五件(同一九・四%)、「一日中」が六千五百四件(同九・九%)、「夜間」が四千六百七十三件(同七・一%)、「朝方」が三千三百七十四件(同五・二%)となっている。

七 公害発生源の立地と被害者居住の先後関係別処理件数
<「被害者の居住が先」が約二割、「発生源の立地が先」が約一割>
 直接処理件数を公害発生源の立地と被害者居住の先後関係別にみると、「被害者の居住が先」が一万三千七百二十件(直接処理件数の二一・〇%)と最も多く、次いで、「発生源の立地が先」が七千件(同一〇・七%)、「被害者の居住後に施設、機械を増設」が五百九十四件(同〇・九%)などとなっている。

八 法令との関係別処理件数
<公害規制法令違反は約一割>
 直接処理件数を苦情の対象となった事業活動等の法令との関係別にみると、次のとおりである。
 公害規制法令との関係では、「法令に違反していた」が八千百八十三件(直接処理件数の一二・五%)、「法令に違反していなかった」が三万三千百二十一件(同五〇・七%)などとなっている。
 また、公害規制法令以外の法令との関係では、「法令に違反していた」が六千五百二十二件(同一〇・〇%)、「法令に違反していなかった」が三万一千五百五十件(同四八・二%)などとなっている。

九 苦情の処理のために行政当局がとった措置別処理件数
<約三分の二が発生源側に対する行政指導を実施>
 直接処理件数を苦情の処理のために行政当局がとった措置別にみると、「発生源側に対する行政指導」が四万三千九十六件(直接処理件数の六五・九%)と最も多く、次いで、「原因の調査」が六千百十五件(同九・四%)、「申立人に対する説得」が二千百八十九件(同三・三%)、「当事者間の話合い」が一千九百五十二件(同三・〇%)などとなっている。

十 文書による勧告・命令等の有無別処理件数
<一千七百十四件の苦情につき、行政当局が文書による勧告・命令等を発出>
 直接処理件数を苦情処理のために行政当局により文書による勧告・命令等がなされたかどうかについてみると、「文書による勧告・命令等がなされた」が一千七百十四件(直接処理件数の二・六%)、「なされなかった」が六万三千六百七十六件(同九七・四%)となっている。

十一 苦情申立人の満足度別処理件数
<処理結果に約半数が満足>
 直接処理件数を苦情の処理結果に対する申立人の満足度別にみると、「一応満足」が二万一千二十二件(直接処理件数の三二・一%)と最も多く、次いで、「満足」が九千九百八十三件(同一五・三%)、「あきらめ」が三千三百九十六件(同五・二%)、「不満」が二千二百三十四件(同三・四%)などとなっている。
 なお、「満足」及び「一応満足」を合わせると三万一千五件(同四七・四%)となっている。

十二 防止対策実施の有無別処理件数等
 直接処理件数を苦情の処理のために防止対策を講じたかどうか、さらに、防止対策を講じたものについての内容をみると、次のとおりである。
 (一) 防止対策実施の有無別処理件数
<約六割が防止対策を実施>
 苦情の処理のために防止対策を講じたかどうかについては、「防止対策を講じた」が四万二千百九十四件(直接処理件数の六四・五%)、「講じなかった」が九千八百八十一件(同一五・一%)、「不明」が一万三千三百十五件(同二〇・四%)となっている。さらに、「防止対策を講じた」場合についての講じた者についてみると、発生源者が三万六千二百三十二件(同五五・四%)、行政機関が四千五百二十件(同六・九%)、被害者が三百七十九件(同〇・六%)などとなっている。
 (二) 実施した防止対策の内容別延べ件数
<作業方法等の改善が防止対策を講じた苦情件数の四一・〇%、原因物質の撤去等が二九・三%>
 苦情の処理のために講じた防止対策(調査票への回答は三つまでの複数回答)の延べ総数は、四万八千六百九十一件となっており、防止対策を講じた苦情件数一件当たり平均一・一五種類となっている。
 また、実施した防止対策を内容別にみると、「作業方法、使用方法の改善」が一万七千三百十五件(防止対策を講じた苦情件数の四一・〇%)と最も多く、次いで、「原因物質の撤去、回収、除去」が一万二千三百四十九件(同二九・三%)、「営業・操業停止、行為の中止」が六千四百六十四件(同一五・三%)、「機械、施設の改善」が四千二百七十七件(同一〇・一%)などとなっている。

十三 当事者が調停等の申請手続をした機関別処理件数
<調停・裁判等申請は八十件>
 直接処理件数を、その後当事者が調停・裁判等の申請手続をしたかどうかについてみると、「調停・裁判等の申請手続をした」が八十件(直接処理件数の〇・一%)、「してない」が五万三千八百十八件(同八二・三%)となっている。

第三 公害苦情処理事務担当の職員数

<全国で約一万三千人>
 全国の地方公共団体で公害苦情の処理を担当している職員は一万二千九百五十五人である。


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法人企業の経営動向


法人企業統計 平成十年七〜九月期


大 蔵 省


 この調査は、統計法(昭和二十二年法律第一八号)に基づく指定統計第一一〇号として、我が国における金融・保険業を除く資本金一千万円以上の営利法人を対象に、企業活動の短期動向を把握することを目的として、四半期ごとの仮決算計数を調査しているものである。
 その調査結果については、国民所得統計の推計をはじめ、景気判断等の基礎資料等として広く利用されている。
 なお、本調査は標本調査であり(計数等は、標本法人の調査結果に基づいて調査対象法人全体の推計値を算出したもの)、標本法人は層別無作為抽出法により抽出している。
 今回の調査対象法人数等は次のとおりである。
  調査対象法人 一、一六六、二五〇社
  標本法人数     二三、九一七社
  回答率         七九・六%
 当調査結果から平成十年七〜九月期の企業の経営動向をみると、売上高については、製造業、非製造業とも減収となったことから、全産業ベースの対前年同期増加率(以下「増加率」という。)は△五・三%となった。営業利益については、製造業、非製造業ともに減益となったことから、全産業ベースの増加率は△二一・七%となった。また、経常利益についても、製造業、非製造業ともに減益となったことから、全産業ベースの増加率は△二一・〇%となった。
 また、設備投資についても、製造業、非製造業ともに減少したため、全産業ベースの増加率は△一二・〇%となった。

一 売上高と利益の動向第1図第2図参照

 (1) 売上高第1表参照

 売上高は、三百二十六兆六千二百十三億円であり、前年同期(三百四十四兆九千百七十四億円)を十八兆二千九百六十一億円下回った。増加率は△五・三%(前期△五・〇%)と、五期連続の減収となった。
 業種別にみると、製造業の売上高は九十五兆四千五百十一億円で、増加率は△六・七%(同△六・三%)となった。また、非製造業の売上高は二百三十一兆一千七百一億円で、増加率は△四・七%(同△四・五%)となった。
 製造業では、「電気機械」「食料品」等多くの業種で減収となった。一方、非製造業では、「卸・小売業」「運輸・通信業」等多くの業種で減収となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は百三十四兆八千九百一億円で、増加率は△六・八%(同△五・四%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は五十一兆九千四百三十億円で、増加率は△一・九%(同△一・四%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は百三十九兆七千八百八十一億円で、増加率は△五・一%(同△五・九%)となった。

 (2) 営業利益第2表参照

 営業利益は、七兆六十七億円であり、増加率は△二一・七%(前期△三四・二%)と、四期連続の減益となった。
 業種別にみると、製造業の営業利益は二兆四千八百九十八億円で、増加率は△三四・四%(同△三七・七%)となった。また、非製造業の営業利益は、四兆五千百六十九億円で、増加率は△一二・四%(同△三一・九%)となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は四兆四千六百四十億円で、増加率は△一五・五%(同△三〇・六%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は七千四百十七億円で、増加率は△一九・六%(同△三八・一%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一兆八千十億円で、増加率は△三四・五%(同△三七・三%)となった。

 (3) 経常利益第3表参照

 経常利益は、五兆八千八十二億円であり、前年同期(七兆三千五百十七億円を一兆五千四百三十五億円下回り、増加率は△二一・〇%(前期△三四・一%)と、四期連続の減益となった。
 業種別にみると、製造業の経常利益は二兆二千五百八十五億円、増加率は△三四・七%(同△三二・五%)となった。また、非製造業の経常利益は三兆五千四百九十八億円で、増加率は△八・八%(同△三五・四%)となった。
 製造業では、「食料品」等が増益となったものの、「一般機械」「電気機械」等で減益となった。一方、非製造業では、「運輸・通信業」等が増益となったものの、「サービス業」「電気業」等が減益となった。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は三兆四千六百六十二億円で、増加率は△一七・七%(同△三〇・二%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は五千九百四十一億円で、増加率は△二八・七%(同△四〇・七%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一兆七千四百八十億円で、増加率は△二四・三%(同△三六・六%)となった。

 (4) 利益率第4表参照

 売上高経常利益率は一・八%で、前年同期(二・一%)を〇・三ポイント下回った。
 業種別にみると、製造業は二・四%で、前年同期(三・四%)を一・〇ポイント下回り、非製造業は一・五%で、前年同期(一・六%)を〇・一ポイント下回った。
 資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二・六%(前年同期二・九%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は一・一%(同一・六%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一・三%(同一・六%)となった。

二 投資の動向第3図参照

 (1) 設備投資第5表参照

 設備投資額は、十一兆七千七百八十六億円であり、増加率は△一二・〇%(前期△一〇・六%)と、三期連続の減少となった。
 業種別にみると、製造業の設備投資額は四兆三千三百八十四億円で、増加率は△六・六%(同七・九%)の減少となった。また、非製造業の設備投資額は七兆四千四百二億円で、増加率は△一四・九%(同△一九・〇%)となった。
 製造業では、「電気機械」「化学」等の業種で減少となった。一方、非製造業では、「運輸・通信業」「サービス業」等多くの業種で減少となった。
 設備投資額を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は七兆一千八百六十一億円、増加率は△一〇・二%(同△一・三%)、資本金一億円以上十億円未満の階層は一兆七千二百五十二億円、増加率は△一四・一%(同△四・五%)、資本金一千万円以上一億円未満の階層は二兆八千六百七十三億円で、増加率は△一四・九%(同△三二・一%)となった。

 (2) 在庫投資第6表参照

 在庫投資額(期末棚卸資産から期首棚卸資産を控除した額)は、△六千九百十二億円であり、前年同期(一兆五千三百十一億円)を二兆二千二百二十三億円下回った。
 在庫投資額を業種別にみると、製造業の投資額は△一兆四百十億円で、前年同期(二千三百十三億円)を一兆二千七百二十三億円下回った。一方、非製造業の投資額は三千四百九十八億円で、前年同期(一兆二千九百九十八億円)を九千五百億円下回った。
 在庫投資額を種類別にみると、製品・商品が△一兆四千八百九十四億円(前年同期△六千五百七十三億円)、仕掛品が九千七百三十四億円(同一兆八千百八十九億円)、原材料・貯蔵品が△一千七百五十二億円(同三千六百九十五億円)となった。
 また、在庫率は一〇・六%であり、前期(一一・五%)を〇・九ポイント下回り、前年同期(一〇・二%)を〇・四ポイント上回った。
 在庫率は、季節的要因により変動(四〜六、十〜十二月期は上昇する期)する傾向がみられる。

三 資金事情第7表参照

 受取手形・売掛金は二百九兆八千九百九十八億円で、増加率は△六・二%(前期△三・七%)、支払手形・買掛金は百七十一兆百一億円で、増加率は△一〇・五%(同△八・六%)となった。借入金をみると、短期借入金は二百二十兆二千六百七十九億円で、増加率は△四・四%(同△二・八%)、長期借入金は二百七十三兆八千六百五十九億円で、増加率は△〇・三%(同五・〇%)となった。
 現金・預金は百二十兆九千五百九十三億円で、増加率は一・九%(同一・四%)、有価証券は三十七兆一千九百一億円で、増加率は△五・〇%(同△六・八%)となった。
 また、手元流動性は一二・一%であり、前期(一三・二%)を一・一ポイント下回り、前年同期(一一・五%)を〇・六ポイント上回った。

四 自己資本比率第8表参照

 自己資本比率は二二・七%で、前年同期(二一・四%)を一・三ポイント上回った。
 自己資本比率を資本金階層別にみると、資本金十億円以上の階層は二九・五%で、前年同期(二九・三%)を〇・二ポイント上回り、資本金一億円以上十億円未満の階層は一六・〇%で、前年同期(一五・四%)を〇・六ポイント上回り、また、資本金一千万円以上一億円未満の階層は一七・一%で、前年同期(一四・二%)を二・九ポイント上回った。

*     *     *

 なお、次回の調査は平成十年十〜十二月期について実施し、法人からの調査票の提出期限は平成十一年二月十日、結果の公表は平成十一年三月中旬の予定である。


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税金365日


消費税・地方消費税(個人事業者)の確定申告は正しくお早めに


国 税 庁


 平成十年分の消費税と地方消費税の確定申告は、三月三十一日(水)が申告・納付期限となっています。
 申告書はご自分で書いて、できるだけお早めに提出してください。また、申告書は郵送でも提出できます。

【個人事業者の方の消費税及び地方消費税の確定申告受付中】

 消費税の課税事業者(注)に該当する個人事業者の方は、平成十一年三月三十一日(水)までに平成十年分の「消費税及び地方消費税の確定申告書」を作成して所轄の税務署に提出するとともに、その消費税額及び地方消費税額を納付してください。
 なお、「消費税及び地方消費税の確定申告書」には簡易課税用と一般用の二種類があります。
@ 平成八年中の課税売上高が、二億円以下の課税事業者で、平成九年中までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している方は、「消費税及び地方消費税の確定申告書(簡易課税用)」を提出してください。
A @以外の方
  簡易課税制度を選択していない課税事業者又は簡易課税制度を選択していても平成八年中の課税売上高が二億円を超える個人事業者の方は、「消費税及び地方消費税の確定申告書(一般用)」を提出してください。
 (注) 「課税事業者」とは、次の方をいいます。
 ・平成八年中の課税売上高が三千万円を超える事業者。
 ・平成八年中の課税売上高が三千万円以下の事業者で、平成九年中までに「消費税課税事業者選択届出書」を提出している事業者。

○ 課税事業者に該当することとなった場合は、速やかに「消費税課税事業者届出書」を提出する必要があります。
○ 消費税及び地方消費税の確定申告書には、課税期間中の課税売上げの額及び課税仕入れ等の税額の明細等を記載した書類(付表)の添付が必要です。
○ 平成十年分から限界控除制度が廃止されました。
○ 平成十年分からは、簡易課税制度の適用に当たっては、簡易課税制度を適用できる基準期間の課税売上高の上限が二億円に引き下げられるとともに、これまで第四種事業とされていた事業のうち、不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する場合を除きます。)は第五種事業とされ、そのみなし仕入率は五〇%となりました。
○ 基準期間(平成八年分)の課税売上高が二億円を超えるため、簡易課税制度を適用できなくなる事業者の方が仕入税額控除を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記載した「帳簿及び請求書等」の保存が必要となります。
○ 納税は、振替納税が便利です。
○ 消費税及び地方消費税の申告・納付の手続き等についてお分かりにならない点がありましたら、最寄りの税務相談室又は税務署にお尋ねください。

 

「緑の募金」にご協力を

  〜春の募金が始まりました

 「緑の募金」は、ボランティア元年といわれた平成七年に、国民の自発的活動による森林づくりを地球規模で進めるために生まれました。春の新緑シーズンと秋の紅葉シーズンの年二回行われています。
 募金は、家庭募金、街頭募金、学校募金や企業募金などの形で行われ、(社)国土緑化推進機構と各都道府県緑化推進委員会が実施主体となり、水源地域での植林、間伐などの森林作業、地域での環境緑化や青少年の緑化活動、海外の熱帯林再生や砂漠化防止など、幅広い森林づくり活動の支援に使われます。
 緑の募金に協力することにより、だれでも、いつでも、どこでも、森林づくりに参加することができます。
 「緑の募金」の募金期間は、地域により異なります。募金に関するお問い合わせは、(社)国土緑化推進機構(フリーダイヤル0120‐110381)又は各都道府県の緑化推進委員会まで。(林野庁)


 
    <2月24日号の主な予定>
 
 ▽消防白書のあらまし………………消 防 庁 

 ▽消費者物価指数の動向……………総 務 庁 
 



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