官報資料版 平成11年3月3日




                  ▽平成十年平均東京都区部消費者物価指数の動向………………………………総 務 庁

                  ▽第百四十五回国会 内閣が提出を予定している法律案・条約要旨調………内閣官房

                  ▽月例経済報告(二月報告)………………………………………………………経済企画庁

                  ▽税金365日 海外勤務者と税…………………………………………………国 税 庁











東京都区部消費者物価指数の動向


―総合指数は前年比〇・八%の上昇―


総 務 庁


一 概 況

 平成十年平均東京都区部消費者物価指数(速報値)は、平成七年を一〇〇とした総合指数で一〇二・一となり、前年に比べ〇・八%の上昇となった。
(1) 近年の総合指数の動きを前年比でみると、消費税の導入などにより平成元年に二・七%上昇した後、二年、三年は天候不順などの影響もあって三%台の上昇となったが、四年は一・九%上昇、五年も衣料などの下落により一・二%上昇と一%台の上昇となり、六年は耐久消費財を中心とした工業製品の下落幅が拡大したことなどにより〇・七%上昇と昭和六十二年以来七年ぶりに一%を下回った。七年は工業製品の下落に加え、米類や生鮮野菜が大幅に値下がりしたことなどにより〇・三%下落と、比較可能な昭和四十六年以降初めて下落となった。八年は工業製品などの商品が引き続き下落した一方、公共サービス料金などのサービスが上昇したことにより前年と同水準となったが、九年は消費税率引上げの影響などにより一・三%上昇と、平成五年以来四年ぶりに一%を上回る上昇となった。
  平成十年は、天候不順により生鮮野菜が高騰したことに加え、消費税率引上げや医療保険制度改正の影響が残ったことなどにより〇・八%の上昇となった。
(2) この一年間における総合指数の動きを月別に前年同月比でみると、平成九年十二月の一・八%上昇の後、十年一月から三月まで二%台で推移していたが、四月は消費税率引上げの影響が一巡したことなどにより〇・七%上昇と上昇幅が縮小した。その後は、五月〇・八%上昇、六月〇・四%上昇、七月〇・〇%となり、八月及び九月は〇・一%下落と八年九月(〇・四%下落)以来の下落となった。十月以降は生鮮野菜が高騰したことなどにより、十月〇・四%上昇、十一月一・〇%上昇、十二月〇・七%上昇で推移した。
(3) 十大費目指数の動きを前年比でみると、食料は生鮮野菜などの値上がりにより一・五%上昇、被服及び履物は衣料などの値上がりにより二・一%上昇、保健医療は保健医療サービスの値上がりにより八・一%上昇、教育は授業料等などの値上がりにより一・六%上昇、諸雑費は理美容サービスや身の回り用品などの値上がりにより一・二%上昇とそれぞれ総合の上昇率を上回る上昇となった。このほか、住居は〇・二%上昇、教養娯楽は〇・二%上昇とそれぞれ上昇となった。一方、光熱・水道は電気・ガス代などの値下がりにより〇・八%下落、家具・家事用品は家庭用耐久財などの値下がりにより一・九%下落、交通・通信は自動車等関係費や通信の値下がりにより一・一%下落とそれぞれ下落となった。
  なお、総合指数の前年比の上昇幅が平成九年(一・三%上昇)に比べ〇・五ポイントの縮小となった主な要因を十大費目別にみると、電気・ガス代が前年の価格水準を下回ったことなどにより光熱・水道が三・三%上昇から〇・八%下落へ、自動車等関係費や通信の下落幅が拡大したことなどにより交通・通信が〇・三%上昇から一・一%下落へ、それぞれ前年の価格水準を下回ったことや、教養娯楽サービスの上昇幅が縮小したことなどにより教養娯楽が一・六%上昇から〇・二%上昇へと上昇幅が縮小したことなどが挙げられる。
(4) 商品・サービス分類指数の動きを前年比でみると、商品は〇・八%の上昇となった。これは、電気・都市ガス・水道が電気代などの値下げにより一・九%下落したものの、農水畜産物が生鮮商品の値上がりにより四・四%上昇したことなどによる。サービスは公共サービス料金などの値上がりにより〇・九%の上昇となったが、上昇幅は平成九年(一・六%上昇)に比べ〇・七ポイントの縮小となった。

二 費目別指数の動き

(1) 食料は一〇二・九となり、前年平均に比べ一・五%の上昇となった。生鮮食品についてみると、生鮮魚介は、おおむね前年の価格水準を上回って推移したため〇・八%の上昇となった。生鮮野菜は、一月〜五月、十月〜十二月に天候不順の影響などにより前年の価格水準を大幅に上回ったため一七・九%の上昇となった。また、生鮮果物は、十一月及び十二月に前年の価格水準を大幅に上回ったことなどにより二・一%の上昇となり、生鮮食品全体では八・三%の上昇となった。
  生鮮食品以外では、肉類は〇・七%上昇、菓子類は二・〇%上昇、飲料は二・六%上昇、外食は〇・三%上昇とそれぞれ上昇となった。一方、穀類は米類などの値下がりにより二・〇%の下落となったほか、乳卵類は一・八%下落、油脂・調味料は一・六%下落、調理食品は〇・六%下落、酒類は一・一%下落とそれぞれ下落となった。
(2) 住居は一〇〇・六となり、前年平均に比べ〇・二%の上昇となった。内訳をみると、家賃は〇・四%の上昇、設備修繕・維持は火災保険料などの値下がりにより一・一%の下落となった。
(3) 光熱・水道は一〇一・七となり、前年平均に比べ〇・八%の下落となった。内訳をみると、電気・ガス代は二月の電気代の値下げなどにより二・三%下落、他の光熱は五・二%下落とそれぞれ下落となった。一方、上下水道料は六月の下水道料の値上げなどにより三・二%の上昇となった。
(4) 家具・家事用品は九四・二となり、前年平均に比べ一・九%の下落となった。内訳をみると、家庭用耐久財は三・八%の下落となった。また、他の家具・家事用品は、寝具類が〇・九%上昇、家事雑貨が一・一%上昇、家事サービスが〇・七%上昇とそれぞれ上昇したものの、室内装備品が二・五%下落、家事用消耗品が三・五%下落とそれぞれ下落したため〇・九%の下落となった。
(5) 被服及び履物は一〇四・七となり、前年平均に比べ二・一%の上昇となった。内訳をみると、衣料は洋服などの値上がりにより三・九%上昇、シャツ・セーター・下着類は〇・四%上昇、履物類は二・〇%上昇、生地・他の被服類は〇・五%上昇といずれも上昇となった。
(6) 保健医療は一一四・六となり、前年平均に比べ八・一%の上昇となった。内訳をみると、保健医療サービスは九年九月の医療保険制度改正による診察料の値上げなどにより一四・五%の上昇となった。一方、医薬品は〇・七%下落、保健医療用品・器具は〇・二%下落とそれぞれ下落となった。
(7) 交通・通信は一〇〇・〇となり、前年平均に比べ一・一%の下落となった。内訳をみると、自動車等関係費はガソリン(レギュラー)などの値下がりにより一・七%下落、通信は二月の通話料の値下げなどにより二・二%下落とそれぞれ下落となった。一方、交通は〇・一%の上昇となった。
(8) 教育は一〇五・九となり、前年平均に比べ一・六%の上昇となった。内訳をみると、授業料等は四月の私立大学授業料などの値上がりにより二・一%上昇、教科書・学習参考書は一・九%上昇、補習教育は〇・三%上昇といずれも上昇となった。
(9) 教養娯楽は一〇〇・九となり、前年平均に比べ〇・二%の上昇となった。内訳をみると、教養娯楽用耐久財はワードプロセッサーなどの値下がりにより三・〇%の下落となった。一方、他の教養娯楽は、教養娯楽用品が〇・五%上昇、書籍・他の印刷物が一・一%上昇、教養娯楽サービスが〇・三%上昇といずれも上昇したため〇・四%の上昇となった。
(10) 諸雑費は一〇三・七となり、前年平均に比べ一・二%の上昇となった。主な内訳をみると、理美容サービスは一・七%上昇、身の回り用品は二・三%上昇、たばこは一・〇%上昇とそれぞれ上昇となった。一方、理美容用品は〇・八%の下落となった。

三 商品・サービス分類指数の動き

(1) 商品は一〇一・二となり、前年平均に比べ〇・八%の上昇となった。内訳をみると、農水畜産物は、米類が三・二%下落、他の農水畜産物が〇・二%下落とそれぞれ下落したものの、生鮮商品が生鮮野菜などの値上がりにより五・五%上昇したため四・四%の上昇となった。
  工業製品は、耐久消費財が一・九%下落、その他の工業製品が〇・五%下落とそれぞれ下落したものの、食料工業製品が〇・四%上昇、繊維製品が二・三%上昇とそれぞれ上昇したため〇・二%の上昇となった。
  電気・都市ガス・水道は一・九%の下落となった。
  出版物は一・一%の上昇となった。
(2) サービスは一〇二・九となり、前年平均に比べ〇・九%の上昇となった。内訳をみると、民営家賃は〇・一%上昇、持家の帰属家賃は〇・六%上昇、公共サービス料金は二・三%上昇、個人サービス料金は〇・七%上昇、外食は〇・三%上昇といずれも上昇となった。

別掲項目
  公共料金は一〇四・八となり、前年平均に比べ一・二%の上昇となった。これは、二月に電気代や通話料の値下げがあったものの、九年九月に医療保険制度改正による診察料の値上げがあったほか、十年六月に下水道料の値上げなどがあったためである。










































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内閣が提出を予定している


法律案・条約要旨調


(平成十一年一月二十九日現在)

内閣官房


 第百四十五回国会(常会)に内閣が提出を予定している法律案及び条約の要旨は、次のとおりである。
 なお、この調は、「第百四十五回国会(常会)内閣提出予定法律案等件名調」に掲げる内閣提出予定法律案等について取りまとめたものであり、今後、内容等の追加、変更等があり得る。
 件名に付した※印は、「法律案のうち、それが制定されなければ予算及び予算参照書に掲げられた事項の実施が不可能であるもの」を示している。

内閣官房

※◇司法制度改革審議会設置法案(仮称)
   二十一世紀の我が国社会において司法が果たすべき役割を明らかにし、司法制度の改革と基盤の整備に関し必要な基本的施策について調査審議するため、内閣に司法制度改革審議会(仮称)を設置する。
 ◇地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律案(仮称)
   地方分権の推進を図るため、地方分権推進法第八条に基づき作成された「地方分権推進計画」(平成十年五月二十九日閣議決定)に従い、機関委任事務制度の廃止及びこれに伴う事務区分の再構成、国の関与等の見直し、権限委譲の推進、必置規制の見直し、地方公共団体の行政体制の整備確立等に係る関係法律の整備等を行う。

中央省庁等改革推進本部

 ◇内閣法の一部を改正する法律案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、内閣機能の強化を図るため、内閣総理大臣の国政に関する基本方針の発議権の明確化、国務大臣の総数の見直し等所要の改正を行う。
 ◇内閣府設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、内閣府を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇国家行政組織法の一部を改正する法律案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、国の行政機関を任務を基軸として系統的に構成するため、設置法において「任務及び所掌事務の範囲」を定めることとするとともに、政策調整、実施庁の組織編成の弾力化などを図るための所要の措置を講ずる。
 ◇総務省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、総務省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇郵政事業庁設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、総務省の外局として郵政事業庁を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇法務省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、法務省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇外務省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、外務省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇財務省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、財務省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇経済産業省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、経済産業省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇国土交通省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、国土交通省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇農林水産省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、農林水産省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇環境省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、環境省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇労働福祉省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、労働福祉省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇教育科学技術省設置法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として、教育科学技術省を設置し、その任務及び所掌事務並びにその組織を定める。
 ◇中央省庁等改革のための国の行政組織関係法律の整備等に関する法律案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として行われる内閣府及び各省の設置並びに審議会等の整理等に伴い、国の行政組織関係法律について所要の規定の整備等を行う。
 ◇独立行政法人通則法案(仮称)
   中央省庁等改革の一環として創設される独立行政法人について、その運営の基本、監督、職員の身分その他の制度の基本となる共通の事項を定める。
 ◇独立行政法人通則法の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案(仮称)
   独立行政法人通則法(仮称)の施行に伴い、関連する諸法律について所要の規定の整備を行う。

総理府

 <本 府
 ◇男女共同参画社会基本法案(仮称)
   男女共同参画社会の形成に関する施策を総合的かつ計画的に推進するため、男女共同参画社会の形成についての基本理念を定め、国・地方公共団体・国民の責務を明らかにし、及び政府による男女共同参画基本計画の策定等施策の基本となる事項を定める。
 <公正取引委員会
 ◇私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外制度の整理等に関する法律案(仮称)
   私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律について不況カルテル制度の廃止等の改正を行い、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律の適用除外等に関する法律を廃止する等所要の改正を行う。
 <警察庁
※◇警察法の一部を改正する法律案
   近年の情報化の進展に伴い増加している情報通信の技術を利用する犯罪等に的確に対処するため、警察庁情報通信局の所掌事務を変更するとともに、関東管区警察局の移転に伴い、所要の改正を行う。
 ◇道路交通法の一部を改正する法律案
   最近の交通情勢にかんがみ、幼児用の補助乗車装置の使用義務等運転者の遵守事項に関する規定を整備するほか、所要の規定を整備する。
 ◇不正アクセスの規制等に関する法律案(仮称)
   電気通信回線に接続されている電子計算機に係る犯罪の防止及び電気通信設備の利用に係る電気通信の安全・信頼性の確保を図るため、不正アクセス及び不正アクセスを助長する行為の規制その他所要の措置を講ずる。
 <総務庁
※◇恩給法等の一部を改正する法律案
  1 恩給年額等を平成十一年四月から〇・七〇%引き上げる。
  2 低額恩給の改善を図るため、傷病者遺族特別年金額及び実在職年六年未満の者に係る普通扶助料の最低保障額の上積みを平成十一年四月から行う。
  3 寡婦加算及び遺族加算の年額を平成十一年四月から引き上げる。
  4 妻に係る扶養加給の年額を平成十一年四月から引き上げる。
  5 短期在職の旧軍人等に係る仮定俸給年額を平成十一年四月から引き上げる。
  6 その他所要の措置を講ずる。
 ◇国と民間企業との間の人事交流に関する法律案(仮称)
   国と民間企業との間の人事交流により、職員の育成及び行政運営の活性化を図るため、人事交流に係る職員の身分の取扱い等所要の事項について規定する。
 ◇国家公務員法等の一部を改正する法律案
   定年退職者等の再任用制度について、六十五歳までの任用や短時間の勤務を可能とするなど、来るべき高齢社会に対応した制度とするとともに、懲戒制度について、退職した職員が再び職員として採用された場合において、当該退職及び採用が一定の要件に該当するものである場合には、退職前の在職期間中の非違行為について懲戒処分を行うことができることとするため、所要の改正を行う。
 <防衛庁
※◇防衛庁設置法及び自衛隊法の一部を改正する法律案
   自衛官の定数及び即応予備自衛官の員数を変更する。
 ◇自衛隊法の一部を改正する法律案
   退職した自衛隊員が再び自衛隊員として採用された場合において、当該退職等が一定の要件に該当するものである場合には、一般職国家公務員の例に準じて、退職前の在職期間中における非違行為について懲戒処分を行うことができることとするため、所要の改正を行う。
 <経済企画庁
※◇国際協力銀行法案(仮称)
   「日本輸出入銀行と海外経済協力基金の統合について(平成七年三月三十一日閣議決定)」に基づき、政府開発援助(ODA)、非政府開発援助(非ODA)の勘定区分等の明確化を図りつつ、国際経済社会への機動的、効率的貢献のための執行体制の確立等を図る観点から、日本輸出入銀行と海外経済協力基金とを統合して新法人を設立する。
 <科学技術庁
※◇原子力損害の賠償に関する法律の一部を改正する法律案
   原子力損害の賠償に関する法律第二十条の適用期限を延長するとともに、最近の国際動向を含む諸情勢の変化を踏まえ、損害賠償措置の額の引上げ等の所要の措置を講ずる。
※◇核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案
   「核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書」の的確かつ円滑な実施を確保するための措置を講ずるとともに、国内保障措置制度における民間能力の活用の拡大を図るほか、使用済燃料を再処理するまでの貯蔵の適切な規制のための規定を整備する等の所要の改正を行う。
 <環境庁
 ◇鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律の一部を改正する法律案
   近年の野生鳥獣をめぐる状況にかんがみ、特定の鳥獣の個体群を保護管理するため、当該個体群の個体数管理、生息地管理等に関する計画制度を創設する等の措置を講ずる。
 ◇環境事業団法の一部を改正する法律案
   地球環境問題、廃棄物による環境負荷の増大等の環境問題に適切に対応するため、環境事業団の事業の見直しを行うとともに、日本開発銀行を廃止して設立される新銀行に環境事業団の融資業務を移管する等のために、所要の改正を行う。
 ◇特定化学物質の環境への排出量等の把握及び管理の促進に関する法律案(仮称)
   環境の保全を図るとともに化学物質の管理を促進するため、因果関係の判明の程度にかかわらず有害性が判明している化学物質について、事業所からの化学物質の排出量等の届出及び化学物質安全性データシートの交付の義務づけを行う。
 <国土庁
※◇奄美群島振興開発特別措置法及び小笠原諸島振興開発特別措置法の一部を改正する法律案
  1 奄美群島振興開発特別措置法の有効期限を平成十六年三月三十一日まで延長し、奄美群島振興開発計画の計画期間を十箇年に延長する等所要の改正を行う。
  2 小笠原諸島振興開発特別措置法の有効期限を平成十六年三月三十一日まで延長し、五箇年を目途とした新たな小笠原諸島振興開発計画を策定する。

法務省

※◇裁判所職員定員法の一部を改正する法律案
   判事補の員数を三十人、裁判官以外の裁判所の職員の員数を十九人増加する。
 ◇民法の一部を改正する法律案
   高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、判断能力の不十分な者(痴呆性高齢者・知的障害者・精神障害者等)の保護を図るため、禁治産及び準禁治産の制度を見直し、心神喪失又は心神耗弱の程度に至らない者を対象とする「補助」制度の新設等の改正をするとともに、聴覚・言語機能障害者の手話通訳等による公正証書遺言を可能にすること等を内容とする遺言の方式の改正を行う。
 ◇任意後見契約に関する法律案(仮称)
   高齢社会への対応及び障害者福祉の充実の観点から、任意後見契約(本人が判断能力の不十分な状況における自己の後見事務について任意後見人に代理権を付与する委任契約で、家庭裁判所による任意後見監督人の選任によってその効力を生ずる旨の定めのあるもの)の方式、効力等に関し、公証人の作成する公正証書によるべきこと、任意後見人の代理権の消滅については登記を対抗要件とすること等特別の定めをするとともに、任意後見人に対する監督に関し必要な事項を定める。
 ◇民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(仮称)
   民法の一部を改正する法律の施行に伴い、商法、家事審判法、不動産登記法その他関連する諸法律についての規定を整備すること等を目的とする。
 ◇後見登記等に関する法律案(仮称)
   民法の禁治産及び準禁治産の制度の改正並びに任意後見契約に関する法律(仮称)の制定に伴い、民法の後見等(未成年者の後見を除く。)及び任意後見契約(仮称)の公示方法として、戸籍への記載に代わる新しい登記制度を創設する立法を行う。
 ◇商法等の一部を改正する法律案(仮称)
   会社をめぐる最近の社会経済情勢にかんがみ、商法、有限会社法及び株式会社の監査等に関する商法の特例に関する法律について、次の改正を行うとともに、関係法律の整備を行う。
  1 完全親子会社関係(親会社が子会社の発行済株式の総数を有する親子会社関係)を簡易かつ円滑に創設するため、株式交換及び株式移転の制度を新設する。
  2 親会社株主の保護を図るため、親会社の株主に対する子会社の業務内容の開示の充実等の措置を講ずる。
  3 会社の計算の適正を図るため、金銭債権等につき時価による評価を可能とする措置等を講ずる。
 ◇電気通信回線による登記情報の提供に関する法律案(仮称)
   不動産登記、商業登記等の登記についての磁気ディスクをもって調製された登記簿に記録された情報(登記情報)をより簡易かつ迅速に利用することができるようにするため、登記情報の電気通信回線による閲覧をしようとする者に対し電気通信回線を使用して登記情報を提供する制度を創設するための措置を講ずる。
 ◇少年法等の一部を改正する法律案(仮称)
   少年審判における事実認定手続等の一層の適正化を図るため、裁定合議制度の導入、検察官及び弁護士たる付添人が関与した審理の導入、観護措置期間の延長、検察官に対する事実認定及び法令の適用に関する抗告権の付与並びに保護処分終了後における救済手続の整備等の措置を講ずるとともに、併せて家事審判についても裁定合議制度を導入するための改正を行う。
 ◇出入国管理及び難民認定法の一部を改正する法律案
   本邦に不法に滞在する外国人に適正かつ厳格に対応するため、不法入国後本邦に滞在する行為に対する罰則の新設及び不法滞在者等被退去強制者に対する上陸拒否期間の伸長を行い、併せて正規在留者の負担軽減及び事務処理の合理化のための改正を行う。
 ◇外国人登録法の一部を改正する法律案
   外国人登録における同一人性確認の手段としての指紋押なつ制度を廃止し、これに代わる写真及び署名等の制度を導入するとともに、登録原票についてその保管に関する規定の整備及び一定範囲の開示制度の新設を行い、併せて申請者の負担軽減及び事務処理の簡素化のための改正を行う。

外務省

※◇在外公館の名称及び位置並びに在外公館に勤務する外務公務員の給与に関する法律の一部を改正する法律案
  1 在ドイツ日本国大使館をボンからベルリンに移転するとともに在ベルリン及び在ボンの各日本国総領事館を廃止する。
  2 在アガナ日本国総領事館の名称及び位置の地名等を変更する。
  3 在ベルリン及び在ボンの各日本国総領事館に勤務する外務公務員の在勤基本手当の基準額を削る。

大蔵省

※◇平成十一年度における公債の発行の特例に関する法律案
   平成十一年度における国の財政収支の状況にかんがみ、公債発行の特例措置を定める。
※◇経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律案
   個人所得課税及び法人課税の抜本的見直しを行うまでの間の措置として、所得税の最高税率の引下げ、定率減税及び一定の扶養控除額の加算並びに法人税の基本税率等の引下げを実施するための所得税法及び法人税法の特例について定める。
※◇租税特別措置法及び阪神・淡路大震災の被災者等に係る国税関係法律の臨時特例に関する法律の一部を改正する法律案
  1 住宅・土地税制について、住宅ローン減税の実施、個人の長期所有の土地等の譲渡所得課税の軽減等を行う。
  2 金融関係税制について、上場株式等に係る譲渡所得等の源泉分離選択課税制度の廃止等を行う。
  3 民間設備投資に資する措置として、情報通信機器の即時償却制度の創設等を行う。
  4 たばこ税について、国のたばこ税率を引き下げる。
  5 租税特別措置の整理合理化等を行う。
  6 阪神・淡路大震災に係る再建住宅等の住宅取得促進税制の控除額の特例措置の、1の住宅ローン減税との選択制への改組等を行う。
  7 その他所要の改正を行う。
※◇有価証券取引税法及び取引所税法を廃止する法律案
   有価証券取引税法及び取引所税法を平成十一年三月三十一日をもって廃止する。
※◇関税定率法等の一部を改正する法律案
   最近における内外の経済情勢に対応し、特定品目の関税率等を改正する等所要の改正を行う。
※◇電子情報処理組織による税関手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案
   海上運送貨物に係る税関手続のより一層の迅速かつ的確な処理を図るため、平成十一年度の海上貨物通関情報処理システムの改善にあわせ、関税及び内国消費税に係る手続に加え、とん税及び特別とん税に係る手続についても電子情報処理組織を使用して処理することができるようにする等、所要の改正を行う。
※◇国際開発協会への加盟に伴う措置に関する法律及び多数国間投資保証機関への加盟に伴う措置に関する法律の一部を改正する法律案
   国際開発協会の第十二次増資及び多数国間投資保証機関の一九九八年一般増資に伴い、我が国が追加出資を行い得るよう所要の措置を講ずる。
※◇日本政策投資銀行法案(仮称)
   「特殊法人等の整理合理化について」(平成九年九月二十四日閣議決定)に基づき、日本開発銀行を廃止し、同行が担当してきた業務を新たな視点から減量再編したものを担当させるため、新銀行を設立し、同時に、北海道東北開発公庫を廃止して新銀行に統合する。
※◇国民金融公庫法の一部を改正する法律案
   「特殊法人等の整理合理化について」(平成九年九月二十四日閣議決定)に基づき、国民金融公庫と環境衛生金融公庫とを統合する。
 ◇国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(仮称)
   国家公務員共済組合の長期給付について必要な見直しを行う等所要の改正を行う。

文部省

※◇国立学校設置法の一部を改正する法律案
  1 新潟大学医療技術短期大学部及び鳥取大学医療技術短期大学部を廃止する。
  2 昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等に係る平成十一年度の職員の定員を定める。
※◇日本学術振興会法の一部を改正する法律案
   日本学術振興会の業務として学術の研究に関する補助金を交付する業務を追加するとともに、同会の余裕金の運用方法として文部大臣の指定する金融機関への預金を追加する等の改正を行う。
 ◇学校教育法等の一部を改正する法律案
   大学制度の弾力化を推進するため、優秀な成績で所定の単位を修得した者について三年以上の在学で卒業を認める制度を設け、及び大学院に研究科以外の教育研究上の基本組織を置くことができることとするとともに、大学の組織及び運営体制を整備するため、大学における学部長の設置並びに国立大学における大学運営協議会(仮称)及び評議会の設置に関する規定を整備し、あわせて国立大学の学部等に置かれる教授会についてその所掌事務を定める等の改正を行う。
 ◇著作権法の一部を改正する法律案
  1 著作物の無断複製を防止するために施されている技術的保護手段を不正に回避する装置の製造、頒布等を規制するとともに、かかる回避を伴う私的使用のための複製については著作権者等の権利の対象とする。
  2 著作物に付された権利管理情報の改変をする行為等を規制する。
  3 著作物等の譲渡に関する権利(譲渡権)を新設する。
  4 現在映画の著作物についてのみ認められている上映権をすべての著作物に認める。
  5 演奏権に係る経過措置を廃止する。
 ◇国立教育会館の解散に関する法律案
   「特殊法人等の整理合理化について」(平成九年六月六日閣議決定)に基づき、国立教育会館を解散する。
 ◇私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案(仮称)
   急速に進展する少子・高齢化等社会情勢の変化を踏まえ、給付と負担の均衡を図る観点から、長期給付について、必要な見直しを行う等所要の改正を行う。

厚生省

※◇戦傷病者戦没者遺族等援護法等の一部を改正する法律案
   戦傷病者戦没者遺族等援護法による障害年金、遺族年金等の額を引き上げるとともに、平成十一年四月一日における戦没者等の遺族で、平成七年四月一日から平成十一年三月三十一日までの間に、同一の戦没者等に関し公務扶助料、遺族年金等の支給を受ける者がいなくなったものに特別弔慰金を支給する。
※◇国民年金法等の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(仮称)
   現下の経済状況にかんがみ、平成十一年度以後の国民年金の保険料額を、平成十年度の保険料額に据え置く。
 ◇国民年金法等の一部を改正する法律案(仮称)
   少子・高齢化の進行等年金制度を取り巻く環境の変化を踏まえ、国民年金制度及び厚生年金保険制度における給付と負担の均衡の確保、積立金運用における自主運用の仕組みの導入等年金制度の長期的安定を図るための所要の改正を行う。
 ◇年金資金運用基金法案(仮称)
   厚生大臣による年金積立金の自主運用を行うに当たって、年金積立金の運用管理業務を行う特殊法人として、年金資金運用基金(仮称)を設立する。
 ◇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案(仮称)
   年金福祉事業団を解散させることとし、その権利及び義務を年金資金運用基金(仮称)に円滑に承継させるための所要の措置を講ずるとともに、年金福祉事業団が実施していた事業の一部について、他の特殊法人において新たに実施を図る。
 ◇健康保険法等の一部を改正する法律案(仮称)
   いわゆる薬価差を解消し、医療保険における薬剤費の適正化を図るため、現行の薬価基準制度を廃止し、市場の実勢価格を基本に医療保険から給付する仕組みを導入する等のための所要の措置を講ずる。
 ◇医療法等の一部を改正する法律案(仮称)
   良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制を確立するため、良質な入院医療の提供及び病床の適正配置、患者の立場に立った医療の提供並びに医療従事者の資質の向上を図るために、病床区分の見直し等所要の措置を講ずる。
 ◇精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の一部を改正する法律案(仮称)
   精神保健法等の一部を改正する法律(平成五年法律第七四号)附則第二条の検討規定等を踏まえ、適正な精神医療の確保を図るとともに、精神障害者の社会復帰を促進するための所要の措置を講ずる。

農林水産省

※◇主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律等の一部を改正する法律案
   米穀についての関税措置への切換えに伴い、米穀の輸出入の許可制を廃止し、政府以外の者が行う米穀の輸入に対し納付金を徴収する制度を設けるとともに、米穀の輸入に係る関税率を定める等の措置を講ずる。
※◇森林開発公団法の一部を改正する法律案
   特殊法人等の整理合理化の一環として、農用地整備公団を廃止し、その業務を森林開発公団に移管するとともに、中山間地域において森林と農用地を一体的に整備する事業の実施を公団の業務とする等の措置を講ずる。
※◇漁船損害等補償法の一部を改正する法律案
   近年の水産業をめぐる情勢の変化に伴い、漁業者の保険ニーズの変化への的確な対応等を図るため、新たな保険事業の創設等の措置を講ずる。
 ◇農林漁業金融公庫法の一部を改正する法律案
   特殊法人等の整理合理化の一環として日本開発銀行が廃止されることに伴い、日本開発銀行の食品工業向け融資を農林漁業金融公庫へ移管するための措置を講ずる。
 ◇特定農産加工業経営改善臨時措置法の一部を改正する法律案
   農産加工品等の輸入事情に対処して、その加工業者の経営の改善を促進するため、平成十一年六月末に期限切れとなる本法を延長する措置を講ずる。
 ◇持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律案(仮称)
   農業の持続性の向上を図るため、たい肥等を活用した土づくりと化学肥料及び化学農薬の使用の合理化を一体的に行う持続性の高い農業生産方式の導入を促進する措置を講ずる。
 ◇肥料取締法の一部を改正する法律案
   たい肥等の特殊肥料について、その適切な施用の促進を図るため品質表示を義務付ける制度を創設するとともに、有害物質を含むおそれのある特殊肥料を登録制度の対象とする。
 ◇家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律案(仮称)
   家畜排せつ物の管理の適正化を図るため、国が定めた管理基準を遵守しない者に対し勧告及び命令の措置を講ずるとともに、家畜排せつ物の利用を促進するため、国の基本方針に即した都道府県の計画に基づき施設を整備する者に対し、金融上の支援措置を講ずる。
 ◇持続的養殖生産確保法案(仮称)
   持続的な養殖生産の確保を図るため、漁業協同組合等による養殖漁場の改善を促進するための措置及び特定魚病等のまん延を防止するための措置を講ずる。
 ◇食料・農業・農村基本法案(仮称)
   食料・農業・農村の各分野にわたる施策について、一体的な政策体系の理念を明らかにするとともに、今後の基本的な方向付けを行うため、農業基本法に代わる新たな基本法を制定する。
 ◇農業災害補償法及び農林漁業信用基金法の一部を改正する法律案(仮称)
   意欲ある担い手の育成と農業経営の安定の観点から、農業災害補償制度について引受方式の改善、補償の充実等の措置を講ずるとともに、農業共済基金を廃止し、同基金の事業を農林漁業信用基金に承継するために必要な措置を講ずる。
 ◇農業振興地域の整備に関する法律の一部を改正する法律案
   優良農用地の確保と農業振興地域の計画的な整備を推進するため、農用地の確保について国が基本指針を策定するとともに、農業振興地域整備計画の計画事項の拡充、農用地区域の設定基準の法定化等の措置を講ずる。
 ◇農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案
   農林漁業団体職員共済組合による給付に関し、公的年金制度改革の一環として、他の共済制度に準じた制度の基本的改革を講ずる。
 ◇卸売市場法及び食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案(仮称)
   生鮮食料品等の流通を取り巻く諸情勢の変化に対処して、卸売市場の活性化を図るため、取引方法の改善、卸売業者の財務の健全化、関係業者の経営の近代化等に必要な措置を講ずる。
 ◇農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律の一部を改正する法律案
   消費者が適切に食品を選択できるよう、原則として全ての食品に一定の品質表示を義務付けるとともに、生産方法に特色のある農林物資の認証及び表示の制度を整備するほか、日本農林規格制度の格付の仕組みの改善等所要の措置を講ずる。

通商産業省

※◇中小企業経営革新支援法案(仮称)
   中小企業が行う新商品の開発、生産や新たな生産方式の導入等による経営革新を支援するための措置を講じ、あわせて、経済的事情の著しい変化により業況が悪化した業種に属する中小企業の将来の自立的な経営革新に寄与する経営基盤の強化を支援するための特例措置を講ずる。
※◇中小企業総合事業団法案(仮称)
   中小企業施策の総合的・効率的推進等を図るため、中小企業信用保険公庫、中小企業事業団及び繊維産業構造改善事業協会を統合し、中小企業総合事業団(仮称)の設立を行う。
※◇特許法等の一部を改正する法律案
   審査請求期間の短縮等の「早い保護の実現」、特許侵害に対する救済措置の拡充等の「適切な保護・強い保護の実現」を図るとともに、商標の国際的保護の必要性の増大に対応し「マドリッド協定議定書」を実施するための関係規定の整備を行う。
 ◇不正競争防止法の一部を改正する法律案
   事業者間の公正な競争を確保するため、情報取引の際に用いられるコピー管理技術・アクセス管理技術を無効化することを専らその機能とする機器又はプログラムの提供行為を、不正競争行為として追加する。
 ◇訪問販売等に関する法律及び割賦販売法の一部を改正する法律案
   エステティックサロン、英会話教室等の事前約定型長期役務取引(仮称)に係るトラブルの増加や、これら取引における割賦販売等の利用の増加に鑑み、契約締結及び契約解除等に係る措置を講ずることにより、取引の適正化を図る。
 ◇電気事業法及びガス事業法の一部を改正する法律案
   電気事業及びガス事業について、平成十三年までに国際的に遜色のないコスト水準を目指すべく、一層の競争導入の促進、供給者の経営自主性の尊重と需要家利益の保護・増進、行政関与・規制の必要最小限化等の観点から、料金規制や参入規制等の見直しを行う。
 ◇技術上の基準への適合の確認に関する手続等の合理化のための通商産業省関係法律の一部を改正する法律案(仮称)
   基準・認証制度等の規制の在り方全体について、近年における事業者の安全性確保能力の向上や品質管理体制の整備の進展等の環境変化を踏まえ、消費者等の保護に充分に留意しつつ、規制を合理化するため、所要の改正を行う。

運輸省

 ◇鉄道事業法の一部を改正する法律案
   我が国の旅客鉄道事業における事業者間の競争の促進による利用者利便の増進の観点から、輸送の安全の確保等に配慮しつつ、需給調整規制を含む免許制を廃止するとともに、鉄道事業者の技術力の向上に対応した安全規制の合理化等所要の改正を行う。
 ◇道路運送法の一部を改正する法律案
   我が国の一般貸切旅客自動車運送事業における事業者間の競争の促進による利用者利便の増進の観点から、輸送の安全の確保等に配慮しつつ、需給調整規制を含む事業区域ごとの免許制の廃止等所要の改正を行う。
 ◇海上運送法の一部を改正する法律案
   我が国の国内旅客船事業における事業者間の競争の促進による利用者利便の増進の観点から、輸送の安全の確保等に配慮しつつ、需給調整規制を含む免許制の廃止等所要の改正を行う。
 ◇航空法の一部を改正する法律案
   我が国の国内航空運送事業における事業者間の競争の促進による利用者利便の増進の観点から、輸送の安全の確保等に配慮しつつ、需給調整規制を含む路線ごとの免許制を廃止するとともに、航空技術の発達等に対応して、安全規制の合理化を行う等所要の改正を行う。
 ◇道路運送車両法の一部を改正する法律案
   近年における自動車技術の進歩及び自動車の使用形態の変化にかんがみ、一定の貨物自動車等に係る自動車検査証の有効期間の延長等所要の改正を行う。
 ◇船舶法の一部を改正する法律案
   最近における外航海運をめぐる経済的事情の著しい変化等にかんがみ、株式会社の所有する船舶について、取締役の全員が日本国民であることとしている日本船舶の要件を緩和し、代表取締役の全員及び取締役の三分の二以上が日本国民であることとする等所要の改正を行う。

郵政省

 ◇郵便法の一部を改正する法律案
   郵便の利便の向上を図るため、郵便に関する料金の納付方法を多様化する。
 ◇郵便貯金法及び簡易生命保険の積立金の運用に関する法律の一部を改正する法律案
   郵便貯金特別会計の金融自由化対策資金及び簡易生命保険特別会計の積立金の運用対象を追加する。
 ◇簡易生命保険法の一部を改正する法律案
   被保険者が死亡したことにより支払う保険金額についてその死亡の原因の区分に応じて異なる額とすることができるようにするため、所要の改正を行う。
 ◇特定公共電気通信システム開発関連技術に関する研究開発の推進に関する法律の一部を改正する法律案
   公共分野の情報化を推進するため、通信・放送機構に行わせる特定公共電気通信システムに係る研究開発業務の種類を追加する。
 ◇通信・放送機構法の一部を改正する法律案
   通信・放送機構の業務のうち通信衛星及び放送衛星の制御等の業務について、経営の自立化を図るため、原則として当該業務に必要な資金に係る出資資格者から政府を除く等所要の改正を行う。
 ◇電波法の一部を改正する法律案
   航空機地球局等の開設目的に係る制限の廃止及び国際電気通信連合無線通信規則等の改正に伴う遭難通信に関する規定の整備をするほか、最近における電波利用の状況の変化等に対応して電波利用料の料額の見直しを行う。
 ◇放送法及び電波法の一部を改正する法律案(仮称)
   地上放送にデジタル方式の放送を導入することに伴い、テレビジョン放送の定義を改めること、テレビジョン放送局がアナログ方式からデジタル方式に移行する場合の無線局の免許の特例措置を講ずること等所要の改正を行う。
 ◇有線ラジオ放送業務の運用の規正に関する法律及び有線テレビジョン放送法の一部を改正する法律案
   有線放送分野における規制の合理化を図るため、有線テレビジョン放送施設の設置許可において外国人等であることを欠格事由とする規定を削除するほか、有線放送の業務を行う者について合併等があったときの地位の承継に係る規定を整備する等所要の改正を行う。
 ◇高度テレビジョン放送施設整備促進臨時措置法案(仮称)
   地上放送にデジタル方式のテレビジョン放送を導入することに伴い、通信・放送機構の業務に放送事業者の行うデジタルテレビジョン放送施設の整備を支援するための債務保証業務を追加する等所要の措置を講ずる。

労働省

※◇雇用・能力開発機構法案(仮称)
   平成九年六月六日の閣議決定「特殊法人等の整理合理化について」に基づき、雇用促進事業団は解散することとするとともに、雇用・能力開発機構(仮称)を設立する。
 ◇労働安全衛生法及び作業環境測定法の一部を改正する法律案
   深夜業に従事する労働者の健康確保を図るため、労働者が自発的に受診した健康診断に基づく事後措置の実施等健康管理の充実を図るとともに、化学物質による健康障害の防止に資するため、化学物質等の有害性等の情報提供の充実を図る等所要の改正を行う。
 ◇職業安定法等の一部を改正する法律案
   社会経済の構造変化に対応して、労働力需給の適正、円滑な調整を図り、労働者の職業の安定を確保するため、ILO第一八一号条約の内容等を踏まえつつ、公共職業安定所その他の職業安定機関及び民間の職業紹介事業等について、労働力需給調整機能を強化するとともに、求職者等の利益を保護するために必要な規定の整備を行う。

建設省

※◇都市開発資金の貸付けに関する法律等の一部を改正する法律案(仮称)
   民間事業者等によって行われる都市の再開発を促進するため、市街地再開発事業等に対する都市開発資金無利子貸付制度の創設、民間都市開発推進機構の土地取得業務に係る取得期限の延長、土地区画整理事業と市街地再開発事業の一体的施行制度の創設等所要の措置を講じる。
※◇海岸法の一部を改正する法律案
   総合的な視点に立った海岸の管理及びその充実を図るため、海岸の管理の内容として、海岸環境の整備及び保全並びに公衆の海岸の適正な利用を位置付けるとともに、海岸の管理のための計画制度の見直し、一般公共海岸区域(仮称)の創設、海岸の管理における市町村の参画の促進及び国による直轄管理制度の創設等所要の改正を行う。
※◇都市基盤整備公団法案(仮称)
   住宅・都市整備公団を解散し、大都市地域等における都市の基盤整備として居住環境の向上及び都市機能の増進を図るための市街地の整備改善、賃貸住宅の供給等を行う法人(公団)を新たに設立する。
 ◇住宅の品質確保の促進等に関する法律案(仮称)
   住宅の品質の確保の促進と住宅取得者の保護を図るため、住宅の性能に関する表示基準及び評価のための制度を設け、これに係る紛争の処理体制を整備するとともに、新築住宅の請負契約又は売買契約の瑕疵担保責任について特別の定めをする。

自治省

※◇地方税法の一部を改正する法律案
   最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、個人住民税の最高税率の引下げ及び定率減税の実施、法人事業税の税率の引下げ、住宅及び住宅用土地に係る不動産取得税の課税標準等の特例措置に係る要件の緩和、低燃費自動車に係る自動車取得税の特例措置の創設等の措置を講ずるほか、固定資産税の価格等に係る審査申出制度の見直し等を行うとともに、非課税等特別措置の整理合理化等所要の改正を行う。
※◇地方交付税法等の一部を改正する法律案
   地方交付税の総額につき所要の改正を行うとともに、地方団体の必要とする行政経費の財源を措置するため単位費用等を改正する等の改正を行う。
※◇地方特例交付金等の地方財政の特別措置に関する法律案(仮称)
   地方税法の一部を改正する法律の施行による地方税収入の減少を補うため、毎年度、地方公共団体に対し地方特例交付金(仮称)を交付することとする等の地方財政の特別措置を定める。
※◇新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の一部を改正する法律案
   新東京国際空港周辺整備のための国の財政上の特別措置に関する法律の有効期限を五年間延長する。
※◇消防施設強化促進法の一部を改正する法律案
   人口急増市町村の消防施設に係る国庫補助率の特例措置を五年間延長する。
 ◇地方公務員法等の一部を改正する法律案
   来るべき高齢社会に対応し高齢職員の雇用を推進するため、定年退職者等の新たな再任用制度を設けるとともに、懲戒制度について、退職した職員が再び職員として採用された場合において、一定の要件に該当するときには、退職前の非違行為について懲戒処分を行うことができることとする等所要の改正を行う。
 ◇地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(仮称)
   地方公務員共済組合の長期給付について必要な見直しを行うとともに、短期給付として介護休業手当金(仮称)を創設する。

条約

 ○核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の追加議定書
  国際原子力機関への情報提供義務及びアクセス提供義務等を定める保障措置制度の拡大及び強化について定める。
 ○投資の促進及び保護に関する日本国とバングラデシュ人民共和国との間の協定
  バングラデシュとの間の投資の促進、保護等について定める。
 ○投資の促進及び保護に関する日本国政府とロシア連邦政府との間の協定
  ロシアとの間の投資の促進、保護等について定める。
 ○所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国と大韓民国との間の条約
  所得税等の所得に対する租税の二重課税の回避等について定めた現行の韓国との租税条約を全面改正する。
 ○マレイシアとの租税協定(仮称)
  所得税等の所得に対する租税の二重課税の回避等について定めた現行のマレイシアとの租税協定を全面改正する。
 ○カナダとの租税条約改正議定書(仮称)
  所得税等の所得に対する租税の二重課税の回避等について定めた現行のカナダとの租税条約を一部改正する。
 ○スウェーデンとの租税条約改正議定書(仮称)
  所得税等の所得に対する租税の二重課税の回避等について定めた現行のスウェーデンとの租税条約を一部改正する。
 ○国際海事衛星機構(インマルサット)に関する条約の改正及び国際移動通信衛星機構(インマルサット)に関する条約の改正(仮称)
  機構の名称の国際移動通信衛星機構(インマルサット)への変更並びに機構が所有する宇宙部分及び機構が提供する移動衛星通信業務の民間会社への移管について定める。
 ○標章の国際登録に関するマドリッド協定の一九八九年六月二十七日にマドリッドで採択された議定書(仮称)
  標章の国際登録制度の確立のため、国際出願、国際登録簿への登録、保護の効果が及ぶ領域の指定等の手続について定める。
 ○国際通貨基金協定の第四次改正(仮称)
  SDR(特別引出権)の特別配分について定める。
 ○アフリカ開発銀行を設立する協定の改正(仮称)
  加盟国の出資比率の変更及び総務会の議決要件の変更等について定める。
 ○民間職業事業所に関する条約第一八一号)(仮称)
  民間職業事業所の運営を認め及びそのサービスを利用する労働者を保護するための枠組みについて定める。
 ○拷問及び他の残虐な、非人道的な又は品位を傷つける取扱い又は刑罰に関する条約(仮称)
  公務員等による拷問行為を犯罪とすることとし、その犯人の処罰、引渡し等について定める。

<参 考>

前国会で衆議院において継続審査となったもの

法律案

 ◇住民基本台帳法の一部を改正する法律案
   住民の利便を増進するとともに、国及び地方公共団体の行政の合理化に資するため、住民票の記載事項として新たに住民票コードを加え、住民票コードを基に市町村の区域を越えた住民基本台帳に関する事務の処理及び国の行政機関等に対する本人確認情報の提供を行うための体制を整備し、あわせて住民の本人確認情報を保護するための措置を講ずるため、所要の改正を行う。
 ◇組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律案
   組織的な犯罪が平穏かつ健全な社会生活を著しく害し、及び犯罪による収益がこの種の犯罪を助長するとともに、これを用いた事業活動への干渉が健全な経済活動に重大な悪影響を与えることにかんがみ、組織的に行われた殺人等の行為に対する処罰を強化し、犯罪による収益の隠匿及び収受並びにこれを用いた法人等の事業経営の支配を目的とする行為を処罰するとともに、犯罪による収益に係る没収及び追徴の特例並びに疑わしい取引の届出等について定める。
 ◇犯罪捜査のための通信傍受に関する法律案
   数人の共謀によって実行される殺人、身の代金目的略取、薬物及び銃器の不正取引に係る犯罪等の重大犯罪において、犯人間の相互連絡等に用いられる電話その他の電気通信の傍受を行わなければ事案の真相を解明することが著しく困難な場合が増加する状況にあることにかんがみ、これに適切に対処するため必要な電気通信の傍受を行う強制処分に関し、通信の秘密を不当に侵害することなく事案の真相の的確な解明に資するよう、その要件、手続その他必要な事項を定める。
 ◇刑事訴訟法の一部を改正する法律案
   最近における犯罪情勢及び刑事手続の運用の実情にかんがみ、電気通信の傍受を行う強制処分について刑事訴訟法上の根拠を定めるとともに、証人等の身体又は財産への加害行為等の防止を図るための措置について定める。
 ◇行政機関の保有する情報の公開に関する法律案
   行政改革委員会の「情報公開法制の確立に関する意見」(平成八年十二月十六日)に基づき、何人も、国の行政機関の長に対し、行政文書の開示を請求することができる権利について定めるとともに、開示決定等に対する不服申立てについて行政機関の長の諮問に応じて調査審議を行う情報公開審査会を置くこと等の措置を講ずる。
 ◇行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴う関係法律の整備に関する法律案
   行政機関の保有する情報の公開に関する法律の施行に伴い、不動産登記法、商業登記法、特許法、著作権法その他関連する諸法律について規定の整備を行う。
 ◇民事訴訟法の一部を改正する法律案
   公務員又は公務員であった者がその職務に関し保管し、又は所持する文書を対象とする文書提出命令の制度について、私文書の場合においても提出義務が除外されている類型の文書のほか、当該文書の提出により公共の利益を害し、又は公務の遂行に著しい支障を生ずるおそれがあるものを除き、文書提出義務があるものと定め、その除外事由の存否を裁判所が判断するものとし、その判断のための手続としていわゆるインカメラ手続を設ける等の措置を講ずる。
 ◇周辺事態に際して我が国の平和及び安全を確保するための措置に関する法律案
  1 政府は、我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態(以下「周辺事態」という。)に際して、適切かつ迅速に、後方地域支援、後方地域捜索救助活動、船舶検査活動その他の周辺事態に対応するため必要な措置(以下「対応措置」という。)を実施し、我が国の平和及び安全の確保に努めること等の周辺事態への対応の基本原則を規定すること。
  2 周辺事態に際して自衛隊による後方地域支援等を実施することが必要な場合には閣議の決定により基本計画を定めなければならないものとすること。
  3 自衛隊による後方地域支援としての物品及び役務の提供、後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動の実施について規定すること。
  4 防衛庁長官その他の関係行政機関の長は、法令及び基本計画に従い、対応措置を実施すべきものとすること。
  5 国以外の者による協力について規定すること。
  6 内閣総理大臣は、基本計画の決定又は変更があったときは、その内容を、遅滞なく、国会に報告しなければならないものとすること。
  7 後方地域捜索救助活動及び船舶検査活動を実施する自衛官が、その職務を行うに際し、自己又は自己と共にその職務に従事する者の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要がある場合に武器を使用することができるものとすること。
 ◇自衛隊法の一部を改正する法律案
  1 外国における緊急事態に際して外務大臣から依頼があった場合に防衛庁長官が行う在外邦人等の輸送の手段として当該輸送に適する船舶及び当該船舶に搭載された回転翼航空機を加えること。
  2 当該外国において輸送の職務に従事する自衛官が自己若しくは自己と共に当該職務に従事する隊員又は保護の下に入った当該輸送の対象である在外邦人等の生命又は身体の防護のためやむを得ない必要がある場合に武器を使用することができることとすること。
 ◇金融業者の貸付業務のための社債の発行等に関する法律案
   社債の発行等により貸付資金の受入れをする金融業者について、最低資本金基準を設けることとする等、投資者保護のための措置を講ずる。
 ◇労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律等の一部を改正する法律案
   近年の社会経済情勢の変化等を踏まえ、労働者派遣事業について、適用対象業務の範囲、派遣期間、労働者保護のための措置等について所要の改正を行う。

 条  約

  ○日本国の自衛隊とアメリカ合衆国軍隊との間における後方支援、物品又は役務の相互の提供に関する日本国政府とアメリカ合衆国政府との間の協定を改正する協定
   米国との物品役務相互提供協定を改正し、同協定の定める自衛隊と米軍との間の物品・役務の提供の枠組みを周辺事態に対応する活動に必要な物品・役務の提供に拡大する。


     ◇     ◇     ◇

     ◇     ◇     ◇



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月例経済報告(二月報告)


経済企画庁


 概 観

 我が国経済
需要面をみると、個人消費は、全体としては低調である。消費者マインドには下げ止まりの兆しもみられるものの、ボーナスをはじめとして収入が減少しているからである。住宅建設は、低水準が続いている。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に、持ち直しの兆しがみられる。設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、着工の動きはこのところやや鈍くなっているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 産業面をみると、鉱工業生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、下げ止まりの兆しがみられるものの厳しい状態が続いている。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率は高水準で推移している。
 輸出は、このところやや減少している。輸入は、おおむね横ばい状態である。国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、一月月初の百十三円台から一時百十円台まで上昇したが、その後百十六円台まで下落した後、月末から上昇し、二月上旬は百十二円台から百十五円台で推移した。
 物価の動向をみると、国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。また、消費者物価は、安定している。
 最近の金融情勢をみると、短期金利は、一月から二月上旬にかけておおむね横ばいで推移した。長期金利は、一月月初にやや低下した後、月末から二月上旬にかけてやや上昇した。株式相場は、一月は上昇した後、二月上旬はやや下落した。マネーサプライ(M+CD)は、十二月は前年同月比三・九%増となった。また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っている。
 海外経済
主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きにやや不透明感がみられるものの、景気の拡大テンポはこのところ高まっている。実質GDPは、九八年七〜九月期前期比年率三・七%増の後、十〜十二月期は同五・六%増(暫定値)となった。個人消費、住宅投資、設備投資は増加している。鉱工業生産(総合)の伸びは鈍化している。雇用は拡大しているものの、製造業等では輸出減の影響もあり減少している。物価は安定している。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、依然として高水準にある。一月の長期金利(三十年物国債)は、総じてほぼ横ばいで推移した。株価(ダウ平均)は、月上旬は最高値を記録する場面があったが、総じてほぼ横ばいで推移した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は拡大しているものの、そのテンポに鈍化懸念がみられる。フランスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきており、イギリスでは、景気は減速しつつある。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大テンポが緩やかになってきており、イギリスでは製造業を中心に減少傾向にある。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは横ばいで推移している。物価は、安定している。なお、イングランド銀行は、二月四日に政策金利(レポ金利)を〇・五%引き下げ、五・五%とした(金利引下げは五か月連続)。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところやや高まっているが、輸出は減少傾向にある。物価は下落している。韓国では、景気後退のテンポはやや鈍化している。失業率はこのところほぼ横ばいで推移している。物価の騰勢は大幅に鈍化している。貿易収支は、輸入減少により大幅な黒字が続いていたが、一月には輸入の増加により黒字は減少した。
 国際金融市場の一月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、上旬はやや減価基調で推移したものの、中旬以降は増価した。なお、ブラジル中央銀行は、一月十八日に変動相場制への移行を発表した。
 国際商品市況の一月の動きをみると、上旬は強含んだものの、その後は下落基調で推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、上旬は強含んだものの、その後はほぼ横ばいで推移した。

     *     *     *

 我が国経済の最近の動向をみると、個人消費は、全体としては低調である。消費者マインドには下げ止まりの兆しもみられるものの、ボーナスをはじめとして収入が減少しているからである。住宅建設は、低水準が続いている。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に、持ち直しの兆しがみられる。設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。公共投資は、着工の動きはこのところやや鈍くなっているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 輸出は、このところやや減少している。
 生産は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率は高水準で推移している。
 また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っている。こうしたなか、国債需給の悪化懸念を背景に、長期金利が上昇した。
 以上のように、景気は低迷状態が長引き、極めて厳しい状況にあるものの、一層の悪化を示す動きと幾分かの改善を示す動きとが入り混じり、変化の胎動も感じられる。
 このような厳しい経済状況の下、政府は、緊急経済対策をはじめとする諸施策を強力に推進する。

1 国内需要
―個人消費は、全体としては低調―

 個人消費は、全体としては低調である。消費者マインドには下げ止まりの兆しもみられるものの、ボーナスをはじめとして収入が減少しているからである。
 家計調査でみると、実質消費支出(全世帯)は前年同月比で十一月一・三%増の後、十二月は〇・六%減(前月比五・七%減)となった。世帯別の動きをみると、勤労者世帯で前年同月比〇・一%減、勤労者以外の世帯では同一・三%減となった。形態別にみると、耐久財は増加、サービス等は減少となった。なお、消費水準指数は全世帯で前年同月比〇・二%減、勤労者世帯では同〇・一%減となった。また、農家世帯(農業経営統計調査)の実質現金消費支出は前年同月比で十一月四・一%減となった。小売売上面からみると、小売業販売額は前年同月比で十一月二・六%減の後、十二月は四・七%減(前月比三・〇%減)となった。全国百貨店販売額(店舗調整済)は前年同月比で十一月二・四%減の後、十二月六・二%減となった。チェーンストア売上高(店舗調整後)は、前年同月比で十一月〇・五%増の後、十二月二・二%減となった。一方、耐久消費財の販売をみると、乗用車(軽を含む)新車新規登録・届出台数は、前年同月比で一月は一一・四%増となった。また、家電小売金額(日本電気大型店協会)は、前年同月比で十二月は七・三%増となった。レジャー面を大手旅行業者十三社取扱金額でみると、十二月は前年同月比で国内旅行が三・八%減、海外旅行は一四・九%減となった。
 当庁「消費動向調査」(十二月調査)によると、消費者態度指数は、九月に前期差一・二ポイント低下の後、十二月には同一・八ポイントの上昇となった。
 賃金の動向を毎月勤労統計でみると、現金給与総額は、事業所規模五人以上では前年同月比で十一月〇・一%増の後、十二月は四・二%減(事業所規模三十人以上では同四・〇%減)となり、うち所定外給与は、十二月は同七・〇%減(事業所規模三十人以上では同七・八%減)となった。実質賃金は、前年同月比で十一月〇・七%減の後、十二月は四・七%減(事業所規模三十人以上では同四・五%減)となった。
 住宅建設は、低水準が続いている。ただし、販売や受注が一部で回復してきたことを背景に持ち直しの兆しがみられる。
 新設住宅着工をみると、総戸数(季節調整値)は、前月比で十一月五・二%減(前年同月比一六・〇%減)となった後、十二月は五・六%増(前年同月比一〇・八%減)の九万六千戸(年率百十五万戸)となった。十二月の着工床面積(季節調整値)は、前月比五・四%増(前年同月比八・一%減)となった。十二月の戸数の動きを利用関係別にみると、持家は前月比三・〇%増(前年同月比二・四%減)、貸家は同三・八%増(同一五・三%減)、分譲住宅は同一二・四%増(同一二・五%減)となっている。
 設備投資は、大幅に減少している。中小企業の減少が著しく、大企業も製造業を中心に減少傾向にある。
 当庁「法人企業動向調査」(十年十二月調査)により設備投資の動向をみると、全産業の設備投資は、前期比で十年七〜九月期(実績)二・五%減(うち製造業一・二%増、非製造業四・〇%減)の後、十年十〜十二月期(実績造見込み)は六・五%減(同八・一%減、同五・四%減)となっている。また、十一年一〜三月期(計画)は、前年同期比で一二・九%減(うち製造業一六・三%減、非製造業一〇・九%減)と見込まれている。
 なお、年間計画では、前年度比で九年度(実績)〇・六%増(うち製造業七・六%増、非製造業二・八%減)の後、十年度(計画)は六・三%減(同七・〇%減、同五・八%減)となっている。
 先行指標の動きをみると、当庁「機械受注統計調査」によれば、機械受注(船舶・電力を除く民需)は、前月比で十一月は一〇・八%増(前年同期比一二・二%減)の後、十二月は三・一%減(同一四・三%減)となり、基調は減少傾向となっている。
 なお、一〜三月期(見通し)の機械受注(船舶・電力を除く民需)は前期比で六・四%減(前年同期比二四・八%減)と見込まれている。
 民間からの建設工事受注額(五十社、非住宅)をみると、十二月は前月比〇・六%増(前年同月比一三・八%減)となったが、このところ弱い動きとなっている。内訳をみると、製造業は前月比七・二%増(前年同月比四七・四%減)、非製造業は同〇・五%増(同二・〇%減)となった。
 公的需要関連指標をみると、公共投資は、着工の動きはこのところやや鈍くなっているが、上半期への前倒しが過去最高のペースで行われたこともあり、事業の実施が進んでいる。
 公共工事着工総工事費は、前年同月比で十一月七・二%減の後、十二月は一六・七%減となった。公共工事請負金額は、前年同月比で十二月四・三%増の後、一月は〇・〇%増となった。官公庁からの建設工事受注額(五十社)は、前年同月比で十一月一四・七%減の後、十二月は七・七%減となった。

2 生産雇用
―依然として厳しい雇用情勢―

 鉱工業生産・出荷・在庫の動きをみると、生産・出荷は、減少傾向が緩やかになってきたが、最終需要が低調なために、低い水準にある。在庫は前年を下回る水準にまで減少してきた。しかし、在庫率が依然高水準であり過剰感は強い。
 鉱工業生産は、前月比で十一月二・一%減の後、十二月(速報)は、電気機械、精密機械等が減少したものの、金属製品、一般機械等が増加したことから、一・三%増となった。また製造工業生産予測指数は、前月比で一月は機械、非鉄金属等により一・〇%増の後、二月は機械、非鉄金属等により〇・九%減となっている。鉱工業出荷は、前月比で十一月二・一%減の後、十二月(速報)は、非耐久消費財が減少したものの、生産財、資本財等が増加したことから、一・四%増となった。鉱工業生産者製品在庫は、前月比で十一月一・四%減の後、十二月(速報)は、化学、石油・石炭製品等が増加したものの、輸送機械、電気機械等が減少したことから、一・七%減となった。また、十二月(速報)の鉱工業生産者製品在庫率指数は一〇七・八と前月を三・四ポイント下回った。
 主な業種について最近の動きをみると、一般機械では、生産は十二月は増加し、在庫は六か月連続で減少した。輸送機械では、生産は十二月は増加し、在庫は二か月連続で減少した。化学では、生産は三か月連続で増加し、在庫は二か月連続で増加した。
 雇用情勢は、依然として厳しい。雇用者数は下げ止まりの兆しがあるものの、完全失業率は高水準で推移している。
 労働力需給をみると、有効求人倍率(季節調整値)は、十一月〇・四七倍の後、十二月〇・四八倍となった。新規求人倍率(季節調整値)は、十一月〇・八五倍の後、十二月〇・九四倍となった。雇用者数は、下げ止まりつつある。総務庁「労働力調査」による雇用者数は、十二月は前年同月比〇・八%減(前年同月差四十六万人減)となった。常用雇用(事業所規模五人以上)は、十一月前年同月比〇・六%減(季節調整済前月比〇・二%増)の後、十二月は同〇・四%減(同〇・〇%)となり(事業所規模三十人以上では前年同月比〇・七%減)、産業別には製造業では同二・四%減となった。十二月の完全失業者数(季節調整値)は、前月差八万人減の二百九十四万人、完全失業率(同)は、十一月四・四%の後、十二月四・三%となった。所定外労働時間(製造業)は、事業所規模五人以上では十一月前年同月比一五・九%減(季節調整済前月比二・七%減)の後、十二月は同一四・〇%減(同〇・五%増)となっている(事業所規模三十人以上では前年同月比一四・五%減)。
 企業の動向をみると、企業収益は、全体として減少している。また、企業の業況判断は、下げ止まりの兆しがみられるものの厳しい状態が続いている。
 大企業の動向を前記「法人企業動向調査」(十二月調査、季節調整値)でみると、十年十〜十二月期の売上高、経常利益の判断(ともに「増加」−「減少」)は、それぞれ△二九、△三一と、いずれも「減少」が「増加」を上回った。また、十年十〜十二月期の企業経営者の景気判断(業界景気の判断、「上昇」−「下降」)は△三八と「下降」が「上昇」を上回った。
 また、中小企業の動向を中小企業金融公庫「中小企業動向調査」(十二月調査、季節調整値)でみると、売上げD.I.(「増加」−「減少」)は、十年十〜十二月期は「減少」超幅が拡大し、純益率D.I.(「上昇」−「低下」)は、「低下」超幅が拡大した。業況判断D.I.(「好転」−「悪化」)は、十年十〜十二月期は「悪化」超幅が縮小した。
 企業倒産の状況をみると、件数は、信用保証制度の拡充の効果等から大幅に減少してきた。
 銀行取引停止処分者件数は、十二月は七百六十九件で前年同月比三七・四%減となった。業種別に件数の前年同月比をみると、卸売業で五四・三%、建設業で四六・四%の減少となった。

3 国際収支
―輸出は、このところやや減少―

 輸出は、このところやや減少している。
 通関輸出(数量ベース、季節調整値)は、前月比で十一月八・八%減の後、十二月(速報)は二・三%増(前年同月比五・五%減)となった。最近数か月の動きを品目別(金額ベース)にみると、輸送用機器、一般機械等が減少した。同じく地域別にみると、アメリカ、アジア等が減少した。
 輸入は、おおむね横ばい状態となっている。
 通関輸入(数量ベース、季節調整値)は、前月比で十一月四・八%増の後、十二月(速報)一・九%減(前年同月比七・五%減)となった。この動きを品目別(金額ベース)にみると、鉱物性燃料、原料品等が減少した。同じく地域別にみると、アメリカ、EU等が減少した。
 通関収支差(季節調整値)は、十一月に八千八百八十六億円の黒字の後、十二月は一兆三百六十九億円の黒字となった。
 国際収支をみると、貿易・サービス収支の黒字は、おおむね横ばいとなっている。
 十二月(速報)の貿易・サービス収支(季節調整値)は、前月に比べ、貿易収支の黒字幅が拡大したものの、サービス収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、六千七百六十二億円となった。また、経常収支(季節調整値)は、貿易・サービス収支の黒字幅が縮小し、所得収支の黒字幅が縮小し、経常移転収支の赤字幅が拡大したため、その黒字幅は縮小し、一兆一千六百四十七億円となった。投資収支(原数値)は、八百三十七億円の黒字となり、資本収支(原数値)は、四百三十三億円の黒字となった。
 一月末の外貨準備高は、前月比六十三億ドル増加して二千二百二十二億ドルとなった。
 外国為替市場における対米ドル円相場(インターバンク直物中心相場)は、一月月初の百十三円台から一時百十円台まで上昇したが、その後百十六円台まで下落した後、月末から上昇し、二月上旬は百十二円台から百十五円台で推移した。一方、対ユーロ円相場(インターバンク十七時時点)は、一月月初の百三十四円台から一時百二十七円台まで上昇したが、その後下落し百二十九円台から百三十二円台で推移した後、月末から上昇し、二月上旬は百二十七円台から百三十一円台で推移した。

4 物 価
―国内卸売物価は、弱含みで推移―

 国内卸売物価は、内外の需給の緩み等から、弱含みで推移している。
 一月の国内卸売物価は、製材・木製品(普通合板)等が上昇したものの、食料用農畜水産物(鶏卵)等が下落したことから、前月比〇・三%の下落(前年同月比二・三%の下落)となった。輸出物価は、契約通貨ベースで上昇したものの、円高から円ベースでは前月比二・三%の下落(前年同月比一一・三%の下落)となった。輸入物価は、契約通貨ベースで下落したことに加え、円高から円ベースでは前月比三・三%の下落(前年同月比一六・四%の下落)となった。この結果、総合卸売物価は、前月比〇・九%の下落(前年同月比四・九%の下落)となった。
 企業向けサービス価格は、十二月は前年同月比〇・九%の下落(前月比〇・三%の下落)となった。
 商品市況(月末対比)は木材等は上昇したものの、非鉄等の下落により一月は下落した。一月の動きを品目別にみると、合板等は上昇したものの、鉛地金等が下落した。
 消費者物価は、安定している。
 全国の生鮮食品を除く総合は、前年同月比で十一月〇・三%の下落の後、十二月は繊維製品の下落幅の拡大、持家の帰属家賃の上昇幅の縮小等の一方、公共料金(広義)の下落幅の縮小等により〇・三%の下落(前月比〇・一%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で十一月〇・八%の上昇の後、十二月は〇・六%の上昇(前月比〇・四%の下落)となった。
 東京都区部の動きでみると、生鮮食品を除く総合は、前年同月比で十二月〇・一%の下落の後、一月(中旬速報値)は個人サービスの上昇幅の縮小等の一方、公共料金(広義)の下落幅の縮小等により〇・一%の下落(前月比〇・五%の下落)となった。なお、総合は、前年同月比で十二月〇・八%の上昇の後、一月(中旬速報値)は〇・一%の上昇(前月比〇・六%の下落)となった。

5 金融財政
―民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っている―

 最近の金融情勢をみると、短期金利は、一月から二月上旬にかけておおむね横ばいで推移した。長期金利は、一月月初にやや低下した後、月末から二月上旬にかけてやや上昇した。株式相場は、一月は上昇した後、二月上旬はやや下落した。マネーサプライ(M+CD)は、十二月は前年同月比三・九%増となった。
 短期金融市場をみると、オーバーナイトレート、二、三か月物ともに、一月から二月上旬にかけておおむね横ばいで推移した。なお、二月十二日に日本銀行が金融市場調節方針を一段と緩和した。
 公社債市場をみると、国債流通利回りは、一月月初にやや低下した後、月末から二月上旬にかけてやや上昇した。
 国内銀行の貸出約定平均金利(新規実行分)は、十二月は短期は〇・〇一七%ポイント上昇し、長期は〇・〇三五%ポイント上昇したことから、総合では前月比で〇・〇一九%ポイント上昇し一・八八九%となった。
 マネーサプライ(M+CD)の月中平均残高を前年同月比でみると、十二月(速報)は三・九%増となった。また、広義流動性でみると、十二月(速報)は三・二%増となった。
 企業金融の動向をみると、金融機関の貸出平残(全国銀行)は、一月(速報)は前年同月比四・六%減となった。一月のエクイティ市場での発行(国内市場発行分)は、転換社債が二百五十億円となった。また、一月の国内公募事業債の起債実績は二千七百五十億円となった。
 また、民間金融機関の貸出が低調なことから、企業は貸出態度に対する懸念を持っている。
 株式市場をみると、日経平均株価は、一月は上昇した後、二月上旬はやや下落した。

6 海外経済
―ブラジル、変動相場制へ移行―

 主要国の経済動向をみると、アメリカでは、先行きにやや不透明感がみられるものの、景気の拡大テンポはこのところ高まっている。実質GDPは、九八年七〜九月期前期比年率三・七%増の後、十〜十二月期は同五・六%増(暫定値)となった。個人消費、住宅投資、設備投資は増加している。鉱工業生産(総合)の伸びは鈍化している。雇用は拡大しているものの、製造業等では輸出減の影響もあり減少している。雇用者数(非農業事業所)は十二月前月差二九・八万人増の後、一月は同二四・五万人増となった。失業率は一月四・三%となった。物価は安定している。十二月の消費者物価は前年同月比一・六%の上昇、生産者物価(完成財総合)は同〇・一%の低下となった。財の貿易収支赤字(国際収支ベース)は、依然として高水準にある。一月の長期金利(三十年物国債)は、総じてほぼ横ばいで推移した。株価(ダウ平均)は、月上旬は最高値を記録する場面があったが、総じてほぼ横ばいで推移した。
 西ヨーロッパをみると、ドイツでは、景気は拡大しているものの、そのテンポに鈍化懸念がみられる。フランスでは、景気拡大のテンポは緩やかになってきており、イギリスでは、景気は減速しつつある。実質GDPは、ドイツ九八年七〜九月前期比年率三・五%増(なお、九八年平均では前年比二・八%増(速報値))、フランス同二・一%増、イギリス十〜十二月期同〇・七%増(速報値)となった。鉱工業生産は、ドイツ、フランスでは拡大テンポが緩やかになってきており、イギリスでは製造業を中心に減少傾向にある(鉱工業生産は、ドイツ十二月前月比横ばい、フランス十一月同一・〇%増、イギリス十二月同〇・八%減)。失業率は、ドイツ、フランスでは高水準ながらもやや低下しており、イギリスでは横ばいで推移している(失業率は、ドイツ一月一〇・六%、フランス十二月一一・五%、イギリス十二月四・六%)。物価は、安定している(十二月の消費者物価上昇率は、ドイツ前年同月比〇・五%、フランス同〇・三%、イギリス同二・八%)。なお、イングランド銀行は、二月四日に政策金利(レポ金利)を〇・五%引き下げ、五・五%とした(金利引下げは五か月連続)。
 東アジアをみると、中国では、景気の拡大テンポはこのところやや高まっているが、輸出は減少傾向にある。物価は下落している。韓国では、景気後退のテンポはやや鈍化している。失業率はこのところほぼ横ばいで推移している。物価の騰勢は大幅に鈍化している。貿易収支は、輸入減少により大幅な黒字が続いていたが、一月には輸入の増加により黒字は減少した。
 国際金融市場の一月の動きをみると、米ドル(実効相場)は、上旬はやや減価基調で推移したものの、中旬以降は増価した(モルガン銀行発表の米ドル名目実効相場指数(一九九〇年=一〇〇)一月二十九日現在一〇六・八、九八年十二月末比〇・八%の増価)。内訳をみると、一月二十九日現在、対円では十二月末比二・六%増価、対ユーロでは同三・二%増価した。なお、ブラジル中央銀行は、一月十八日に変動相場制への移行を発表した。
 国際商品市況の一月の動きをみると、上旬は強含んだものの、その後は下落基調で推移した。原油スポット価格(北海ブレント)は、上旬は強含んだものの、その後はほぼ横ばいで推移した。


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海外勤務者と税


国 税 庁


 経済活動の国際化に伴い、日本企業の海外進出も盛んに行われています。その結果、海外勤務などのため長期間にわたって日本を離れる人も多くなっています。
 一方、国際化が進むと、どの国でどのように課税されるのかという疑問が生じます。
 そこで、外国で働く日本人の税金はどうなっているのか、非居住者と居住者の課税関係とともに国際課税の調整がどのように図られているのかを説明しましょう。

【非居住者等に対する税制】

 海外勤務などのため長期間にわたって日本を離れる人の場合、次に説明する非居住者に該当するかどうかによって、所得税の課税所得の範囲が異なります。
 また、長期間日本を離れるときには出国前に申告・納税をしなければならない場合もありますので、注意が必要です。

1 居住者と非居住者
 所得税法で「居住者」とは、日本国内に住所を有している人、又は現在まで引き続いて一年以上日本国内に居所を有する人のことをいいます。「非居住者」とは、居住者以外の人をいいます。
 なお、国内又は国外において継続して一年以上居住することを通常必要とする職業についているような場合には、それぞれ国内又は国外に住所を有するものと推定されます。
 居住者の課税所得の範囲は、日本国内・国外で得たすべての所得ですが、非居住者の場合には、日本国内で行う勤務による給与所得や、日本国内にある不動産から生じる不動産所得など、日本国内に源泉がある所得(「国内源泉所得」といいます。)に限って課税されます。
 @ 居住者から非居住者となった場合
 年の中途で海外勤務などのため出国し居住者から非居住者となった人の場合、居住者であった期間内に生じたすべての所得に対して課税されます。
 その人が給与所得者の場合には、一般的には出国の時に年末調整を行うことになりますが、給与所得以外の所得を有する人については、原則として、出国の時までに、その年の一月一日から出国の日までの期間の所得について確定申告と納税を行う必要があります。非居住者となった後は、国内源泉所得だけ課税されることになり外国において支給を受ける給与所得には日本の所得税は課税されません。
 A 非居住者が居住者となった場合
 年の中途で海外勤務を経て帰国するなど非居住者から居住者となった人の場合、非居住者であった期間内に生じた国内源泉所得と居住者であった期間内に生じたすべての所得に対して課税されます。

2 非居住者に対する源泉徴収
 例えば、外国のスポーツ選手が日本国内で賞金を獲得した場合など非居住者に対して国内源泉所得の支払をする際には、源泉徴収が必要な場合があります。この場合、源泉徴収の対象となる所得の範囲や適用する税率は、居住者に支払う場合とは異なっていますので、注意が必要です。
 なお、非居住者の場合、源泉徴収の際に適用する税率は、原則として二〇%(土地等の譲渡による対価の場合には一〇%、利子所得などの場合には一五%)と定められていますが、支払を受ける人が居住する国によっては、租税条約により所得税が免除されたり、軽減される場合があります。

【外国税額控除】

 居住者は、国内で生じた所得だけでなく国外で生じた所得についても所得税が課されます。一方、居住者が、外国で事業を行うなどして所得を生じると、通常、その国の所得税に相当する税金が課せられます。このように、居住者の所得について外国で課税された場合には、一つの所得に対してその国と我が国の双方で課税され、国際的二重課税が生じることになります。そこで、我が国の所得税法においては、このような国際的二重課税を排除するため、外国税額控除の制度を設けています。この制度の適用を受けますと、居住者が外国で納付した所得税に相当する税額を我が国の所得税から一定の金額を限度として控除することができます。
 この場合、控除の対象となる外国税額は、外国の法令に基づき外国又はその地方公共団体により、個人の所得を課税標準として課される税(その所得に対する負担が高率な部分は除かれます。)に限られます。また、この中には、利子、配当、使用料等について源泉徴収される所得税なども含まれます。

 平成十二年歌会始のお題及び詠進歌の詠進要領


平成十二年歌会始のお題
 「時」と定められました。

詠進歌の詠進要領
@ 詠進歌は、お題を詠み込んだ自作の短歌で一人一首とし、未発表のものに限ります。
A 用紙は半紙(習字用の半紙)とし、毛筆で自書してください。ただし、海外から詠進する場合は用紙は随意とし、毛筆でなくても差し支えありません。
B 病気又は身体障害のため自筆することができない場合は、代筆もしくはワープロなどの機器を用いて詠進することができます。
  代筆による場合は、別の紙に代筆の理由、代筆者の住所及び氏名を書いて詠進歌に添えてください。
  ワープロなどの機器を使用する場合は、A4判白無地の用紙を横長に用い、書式図に従って詠進してください。また、これらの機器を使用した理由を別紙に記して必ず詠進歌に添えてください。なお、視覚障害の方は、点字で詠進しても差し支えありません。
C 書式は、半紙を横長に用い、右半分にお題と短歌、左半分に郵便番号、住所、氏名(ふりがなつき)、生年月日及び職業(なるべく具体的に)を縦書きで書いてください(書式図参照)。無職の場合は、「無職」と書いてください(以前に職業に就いたことがある場合には、なるべくもとの職業を書いてください)。なお、主婦の場合は単に「主婦」と書いても差し支えありません。

注意事項
 次の場合には、詠進歌は失格となります。
@ お題を詠み込んでいない場合
A 一人で二首以上詠進した場合
B 詠進歌が既に発表された短歌と同一又は著しく類似した短歌である場合
C 詠進歌を歌会始の行われる以前に、新聞、雑誌その他の出版物、年賀状などにより発表した場合
D 詠進歌の詠進要領のBに記した代筆の理由書を添えた場合を除き、同筆と認められるすべての詠進歌
E 住所、氏名、生年月日、職業を書いていないものその他この詠進要領によらない場合

詠進の期間
 お題発表の日から九月三十日までとし、郵送の場合は、消印が九月三十日までのものを有効とします。

郵便のあて先
 「〒100―8111 宮内庁」とし、封筒に「詠進歌」と書き添えてください。詠進歌は小さく折って封入しても差し支えありません。

     *     *     *

 詠進についてのお問い合わせは九月二十日までに宮内庁式部職あてに、郵便(郵便番号、住所、氏名を書き、返信用切手をはった封筒を同封)でお願いします。
(宮内庁)

 旅館・ホテルなどの利用時の火災防止


 春の行楽シーズンを前に、家族や友達と一緒に旅行などを計画している人も多いでしょう。そのとき気をつけたいのは、宿泊する旅館やホテルなどでの火災です。不特定多数の人が宿泊する施設では、ひとたび火災が発生すると大きな混乱が起き、多数の死者が出る大惨事につながるおそれがあります。
 旅館やホテルなどに宿泊する際は、火災を起こさないように十分気を配り、万一火災が起きたときの対処の仕方などを利用時に確認しましょう。

避難経路を歩いてみる
 旅館やホテルの火災では、宿泊者が施設に不案内なために避難経路がわからず、逃げ場を失って犠牲となる事例が多くみられます。
 宿泊するときは、部屋から二方向以上の避難経路を実際に歩くなどして確認するとともに、非常用の懐中電灯や避難器具などの設置場所の確認も忘れないようにしましょう。

たばこはきちんと始末
 寝たばこや吸い殻の投げ捨てなど、宿泊客のたばこの不始末によって、多くの火災が発生しています。寝たばこは絶対にしないのはもちろんのこと、たばこは所定の喫煙場所で吸うようにしましょう。また、吸い殻の始末をきちんと行うなど、マナーを守った喫煙を心がけましょう。

万一のときは係員に従う
 万一火災が起きたときは、あわてず落ち着いて、施設の係員の誘導に従って避難してください。その際、エレベーターは、煙の経路となったり、途中で止まったりする危険があるため使用しないでください。
 火災による異常なにおいや煙に気がついたときは、フロントや近くにいる従業員などにすぐ連絡し、火が小さいうちなら近くの消火器などで初期消火を行ってください。
(消防庁)

 三月の気象


 三月は、冬から春へと季節が移り変わる時期に当たります。気温は一月末ごろを底に上昇に転じ、三月に入ると昇温のピッチが急に速まります。
 気温の平年値でみると、昇温する割合は三月から五月にかけてが一年のなかで最も大きくなっています。気温の上昇に合わせて東日本や西日本では、雪や氷といった冬の現象も次第に少なくなります。終雪(最後に降った雪)の平年日は、東京が三月十八日、大阪三月十三日、福岡三月七日、また終氷(最後に氷の張った日)の平年日は、東京が三月十七日、大阪三月十八日、福岡三月十二日になっています。
 三月に入ると日本付近の気圧配置にも変化が現れます。西高東低の冬型の気圧配置は次第に少なくなり、低気圧と移動性の高気圧が日本付近を交互に通り天気が周期的に変わることが多くなります。また、高気圧のコースが北に偏り、日本の南岸に前線が停滞すると、くもりや雨のぐずついた天気が続きます。三月から四月にかけてのこのような天候を菜種梅雨と呼ぶことがあります。
 (気象庁)



    <3月10日号の主な予定>

 ▽平成九年度 決算検査報告の概要………会計検査院 

 ▽毎月勤労統計調査…………………………労 働 省 




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