官報資料版 平成11年4月21日




                  ▽労働力調査平成十年平均結果の概要………総 務 庁

                  ▽我が国の人口(推計)………………………総 務 庁











平成十年の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十年平均結果の概要―


総 務 庁


◇十五歳以上人口

 平成十年平均の十五歳以上人口は一億七百二十八万人で、前年に比べると、六十七万人増となっている。
 これを就業状態別にみると、就業者は六千五百十四万人、完全失業者は二百七十九万人、非労働力人口は三千九百二十四万人となっている。前年に比べると、就業者は四十三万人減と、昭和五十年以来二十三年ぶりの減少で、減少幅は前年比が比較可能な昭和二十九年以降で最大となっている。完全失業者は四十九万人増と、昭和二十九年以降で最大の増加幅となっている。また、非労働力人口は六十一万人増と、平成五年(六十一万人増)以来の大幅な増加となっている。
 就業状態別人口を、十五歳以上に占める割合でみると、就業者は六〇・七%(前年比〇・八ポイント低下)、完全失業者は二・六%(同〇・四ポイント上昇)、非労働力人口は三六・六%(同〇・四ポイント上昇)となっている(第1図参照)。

◇労働力人口(労働力人口比率)

 就業者と完全失業者を合わせた「労働力人口」は、平成十年平均で六千七百九十三万人(男性四千二十六万人、女性二千七百六十七万人)で、前年に比べ六万人の増加(男性は一万人減、女性は七万人増)となっている。
 ただし、労働力人口の増加は、完全失業者の増加によるもの(就業者四十三万人減、完全失業者四十九万人増)となっている。
 労働力人口比率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は、平成十年平均で六三・三%となり、前年に比べ〇・四ポイントの低下と、七年以来三年ぶりの低下となっている。
 男女別にみると、男性は七七・三%、女性は五〇・一%で、前年に比べ男性は〇・四ポイントの低下、女性は〇・三ポイントの低下となっている。
 平成十年の月別の動きをみると、男性は前年同月比で年間を通じて低下している。一方、女性も六月以降は低下している。
 年齢十歳階級別にみた平成十年平均の労働力人口比率を前年と比べると、男性はすべての年齢階級で低下しており、十五〜二十四歳は、昭和六十三年以来十年ぶりの低下となっている。
 一方、女性は三十五〜四十四歳、四十五〜五十四歳及び六十五歳以上では低下しているが、十五〜二十四歳、二十五〜三十四歳及び五十五〜六十四歳では上昇している。

◇就業者

 (一) 就業者

 平成十年平均の就業者数は六千五百十四万人となり、前年に比べ四十三万人の減少となっている。前年比が比較可能な昭和二十九年以降で就業者数が減少したのは、第一次石油危機後の昭和四十九年(二十二万人減)及び五十年(十四万人減)のみであったが、平成十年は二十三年ぶりの減少となり、減少幅は過去最大となっている。
 男女別にみると、男性は三千八百五十八万人で、前年に比べ三十四万人減と、初めて減少となった平成六年(一万人減)以来四年ぶりの減少となっている。
 一方、女性は二千六百五十六万人で、前年に比べ九万人減と、平成五年(九万人減)以来五年ぶりの減少となっている。
 平成十年の月別の動きをみると、前年同月比で二月以降減少しており、減少幅は六月、七月、九月及び十月は七十万人台となっている。男女別にみると、男性は年間を通じて減少しており、四月から六月は四十万人を超える減少となっている。
 一方、女性は五月までは増加、六月以降は減少しており、七月、九月、十月及び十二月は三十万人を超える減少となっている(第2図参照)。

 (二) 従業上の地位別就業者

 就業者を従業上の地位別にみると、平成十年平均の雇用者数は五千三百六十八万人で、前年に比べ二十三万人減と、前年比が比較可能な昭和二十九年以降で初めての減少となっている。男女別にみると、男性は三千二百四十三万人で、前年に比べ二十一万人減と、昭和二十九年以降で初めての減少、女性は二千百二十四万人で三万人減と、昭和五十年以来の減少となっている。また、自営業主・家族従業者は一千百二十八万人で、前年に比べ二十万人の減少となっている。
 この結果、就業者に占める雇用者の割合(雇用者比率)は八二・四%で、前年(八二・二%)に比べ〇・二ポイントの上昇となっている。
 雇用者のうち非農林業雇用者数及び対前年増減は、以下のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百三十四万人で、二十四万人減、比較可能な昭和二十九年以降で初めての減少
 ・常 雇…四千七百二十六万人で、四十二万人減、比較可能な昭和二十九年以降で初めての減少
 ・臨時雇…四百八十八万人で、十八万人増、昭和五十一年以降増加が継続
 ・日 雇…百二十一万人で、前年と同数
 この結果、非農林業雇用者総数に占める常雇の割合は八八・六%となり、前年の八九・〇%から〇・四ポイントの低下となっている。常雇の割合は平成七年から四年連続して低下しており、雇用者の臨時・日雇化の傾向が続いている(第3図参照)。

 (三) 産業別就業者

 主な産業別就業者数の平成十年の動きは、次のとおりとなっている。
○農林業…年平均就業者数は三百十七万人で、前年に比べ七万人の減少となっており、減少幅は前年(六万人減)に比べ拡大している。
   月別にみると、前年同月比で二月、四月及び五月は増加、他の月は減少となっている。
○建設業…年平均就業者数は六百六十二万人で、前年に比べ二十三万人減と、円高不況後の昭和六十二年(一万人減)以来の減少で、減少幅は前年比が比較可能な昭和二十九年以降で最大となっている。
   月別にみると、前年同月比で年間を通じて減少しており、七月は四十七万人減と、昭和二十九年以降で最大の減少幅を記録している。
○製造業…年平均就業者数は一千三百八十二万人で、前年に比べ六十万人減と、平成五年以降六年連続して減少が続いており、減少幅は第一次石油危機後の昭和五十年(八十一万人減)に次ぐ規模となっている。
   月別にみると、前年同月比で年間を通じて減少している。
○運輸・通信業…年平均就業者数は四百五万人で、前年に比べ七万人減と、平成六年以来四年ぶりの減少となっている。
   月別にみると、前年同月比で年間を通じて減少傾向で推移している。
○卸売・小売業、飲食店…年平均就業者数は一千四百八十三万人で、前年に比べ八万人増と、平成七年以降四年連続して増加が続いている。増加幅は前年(十二万人増)に比べ縮小している。
   月別にみると、前年同月比で五月、六月及び十月から十二月は減少、他の月は増加となっている。
○サービス業…年平均就業者数は一千六百八十五万人で、前年に比べ三十七万人増と、昭和三十四年以降一貫して増加が続いている。
   月別にみると、前年同月比で十一月までは堅調な増加で推移したが、十二月は平成八年九月以来の減少となっている(第4図参照)。

 (四) 職業別就業者

 主な職業別就業者数の平成十年の動きは、次のとおりとなっている。
○専門的・技術的職業従事者…年平均就業者数は八百四十四万人で、前年に比べ二十万人増と、昭和四十九年以降一貫して増加が続いている。増加幅は前年と同数となっている。
○管理的職業従事者…年平均就業者数は二百二十二万人で、前年に比べ四万人減と、二年連続して減少となっている。減少幅は前年(十四万人減)に比べ縮小している。
○事務従事者…年平均就業者数は一千二百九十万人で、前年に比べ十七万人増と、昭和六十三年以降増加が続いている。増加幅は前年(十万人増)に比べ拡大している。
○販売従事者…年平均就業者数は九百二十八万人で、前年に比べ十二万人減と、前年の七万人増から減少に転じている。
○保安職業、サービス職業従事者…年平均就業者数は六百五十四万人で、前年に比べ十七万人増と、平成元年以降増加が続いている。増加幅は前年(十九万人増)に比べ縮小している。
○農林漁業作業者…年平均就業者数は三百四十万人で、前年に比べ六万人減と、昭和五十四年以降減少が続いている。減少幅は前年と同数となっている。
○運輸・通信従事者…年平均就業者数は二百三十二万人で、前年に比べ九万人減と、平成四年以来六年ぶりの減少となっている。
○技能工、製造・建設作業者…年平均就業者数は一千六百三十四万人で、前年に比べ七十二万人減と、前年の二十万人増から減少に転じている(第5図参照)。

 (五) 企業の従業者階級別雇用者

 非農林業の雇用者数を企業の従業者階級別(官公は除く)にみると、平成十年の動きは、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…年平均非農林業雇用者数は一千七百五十五万人で、前年に比べ一万人の増加となっている。
   月別にみると、前年同月比で一月から五月までは増加、六月から十月までは減少、十一月からは再び増加となっている。
○三十〜四百九十九人規模…年平均非農林業雇用者数は一千七百四十六万人で、前年に比べ三十二万人減と、昭和四十九年以来二十四年ぶりの減少となっている。
   月別にみると、前年同月比で年間を通じて減少傾向で推移している。
○五百人以上規模…年平均非農林業雇用者数は一千二百六十八万人で、前年に比べ七万人増と、二年連続して増加となっている。増加幅は前年(九万人増)に比べ縮小している。
   月別にみると、前年同月比で十月までは増加傾向で推移したが、十一月から減少に転じている(第6図参照)。

◇完全失業者

 (一) 完全失業者及び完全失業率

@ 完全失業者
 平成十年平均の完全失業者数は二百七十九万人となり、前年に比べ四十九万人増と、平成三年以降八年連続して増加となっており、六年以降は五年連続して過去最多を更新している。また、増加幅は、前年比が比較可能な昭和二十九年以降で最大となっている。
 男女別にみると、男性は百六十八万人、女性は百十一万人で、前年に比べそれぞれ三十三万人増、十六万人増となっており、男女共に平成三年以降八年連続して増加し、過去最多となっている。
 平成十年の月別の動きをみると、前年同月比で年間を通じて増加しており、四月、六月及び八月以降は五十万人を超える増加となっている。男女別にみると、男性は年間を通じて増加、女性も一月を除き増加している。
A 完全失業率
 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は、平成十年平均で四・一%と、初めて四%を超え、比較可能な昭和二十八年以降で最高となっている。また、前年からの上昇幅は〇・七ポイントで、昭和二十九年以降で最大となっている。男女別にみると、男性は四・二%、女性は四・〇%で、男女共に昭和二十八年以降で最高となっている。
 平成十年の月別の動きを季節調整値でみると、二月(三・六%)、三月(三・九%)、四月(四・一%)、八月(四・三%)、十一月(四・四%)と、一年間で五回、昭和二十八年以降での最高を更新し、また、一月の三・五%から十二月の四・四%と一年間で〇・九ポイント上昇し、年内の変動幅として昭和二十八年以降で最大となっている(第7図参照)。

 (二) 年齢階級別完全失業率

 平成十年平均の男女別の完全失業率を年齢十歳階級別にみると、男女共に十五〜二十四歳(男性八・二%、女性七・三%)が最も高くなっている。次いで、男性は定年前後の五十五〜六十四歳(六・三%)が高く、以下、二十五〜三十四歳(四・一%)、三十五〜四十四歳(二・八%)、六十五歳以上(二・六%)、四十五〜五十四歳(二・五%)となっている。一方、女性は二十五〜三十四歳(六・二%)が次に高く、以下、三十五〜四十四歳(三・三%)、五十五〜六十四歳(二・九%)、四十五〜五十四歳(二・三%)、六十五歳以上(〇・六%)となっている。
 前年と比べると、男性はすべての年齢階級で上昇している。中でも十五〜二十四歳及び五十五〜六十四歳の若年層と定年前後の層で一ポイントを上回る上昇となっている。
 一方、女性は六十五歳以上が前年と同率となっているが、他の年齢階級は上昇しており、中でも十五〜二十四歳の若年層で一・〇ポイントの上昇となっている。
 なお、完全失業率は、六十五歳以上の年齢階級を除き、男女共に比較可能な昭和四十三年以降で最高となっている(第8図参照)。

 (三) 世帯主との続き柄別完全失業率

 完全失業率を世帯主との続き柄別にみると、一般世帯(二人以上の世帯)は、平成十年平均で、世帯主が二・九%、世帯主の配偶者が二・五%、世帯主と同居している独身者などの「その他の家族」が六・六%となっている。前年に比べると、世帯主が〇・六ポイント上昇、世帯主の配偶者が〇・五ポイント上昇、「その他の家族」が一・〇ポイント上昇している。また、単身世帯は五・五%で、前年に比べ一・一ポイント上昇している。
 なお、完全失業率は、すべての続き柄で、比較可能な昭和四十三年以降で最高となっている(第9図参照)。

 (四) 求職理由別完全失業者

 完全失業者(二百七十九万人)を求職理由別にみると、平成十年平均では、勤め先や事業の都合(人員整理・事業不振・定年等)により前職を離職した「非自発的な離職による者」が八十五万人、自分又は家族の都合により前職を離職した「自発的な離職による者」が百一万人となっている。また、学校を卒業して新たに仕事を探し始めた「学卒未就職者」が十五万人、収入を得たい、時間に余裕ができた等の理由で新たに仕事を探し始めた「その他の者」が六十八万人となっている。
 これを前年と比べると、「非自発的な離職による者」が三十一万人増、「自発的な離職による者」が六万人増、「学卒未就職者」が三万人増、「その他の者」が九万人増となっており、非自発的な離職による者の増加が、完全失業者全体の増加(四十九万人増)の六割を占めている。
 非自発的な離職による者及び自発的な離職による者について、平成十年の月別の動きをみると、非自発的な離職による者は、前年同月比で年間を通じて増加しており、四月から十一月までは三十万人を超える増加となっている。
 一方、自発的な離職による者は、一月、二月及び五月は減少、その他の月は増加となっている(第10図参照)。

 (五) 年齢階級、求職理由別完全失業者

 完全失業者について、年齢階級と求職理由との関連でみると、十五〜三十四歳及び三十五〜五十四歳の年齢階級では、自発的な離職による者が最も多くなっているが、五十五歳以上の年齢層では、非自発的な離職による者が最も多くなっている。
 また、非自発的な離職による者について、前年と比べると、十五〜三十四歳が九万人増、三十五〜五十四歳が十一万人増、五十五歳以上が九万人増となっており、いずれの年齢階級でも増加している。
 一方、自発的な離職による者は、十五〜三十四歳が三万人増、三十五〜五十四歳が同数、五十五歳以上が二万人増となっている(第11図参照)。

◇平均週間就業時間及び延べ週間就業時間

 非農林業の従業者(就業者から休業者を除いた者)一人当たり月末一週間の平均週間就業時間は、平成元年以降、労働基準法の改正で週四十時間制の原則が定められた(昭和六十三年)こと等により減少傾向で推移し、十年平均は四二・五時間と、前年に比べ〇・二時間の減少となっている。非農林業の従業者のうち、雇用者についてみると四二・五時間で、前年に比べ〇・一時間の減少となっている。男女別にみると、男性は四六・五時間、女性は三六・三時間で、前年に比べ男性は〇・一時間の減少、女性は〇・三時間の減少となっている。
 また、非農林業従業者の延べ週間就業時間(平均週間就業時間×従業者総数)をみると二五・八二億時間で、前年に比べ〇・三一億時間の減少となっている。このうち、雇用者についてみると二二・三三時間で、前年に比べ〇・一九億時間の減少と、二年連続の減少となっている(第12図参照)。

◇転職希望者及び追加就業希望者

@ 転職希望者
 就業者(六千五百十四万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は平成十年平均で六百六万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百三十五万人となっており、前年に比べそれぞれ三十七万人、十五万人の増加となっている。
 また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)は九・三%で、前年に比べ〇・六ポイント上昇し、比較可能な昭和四十三年以降で最高となっている。
A 追加就業希望者
 就業者のうち、現在の仕事を継続しながら別の仕事もしたいと希望している者(追加就業希望者)は平成十年平均で二百七十六万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は百二十九万人となっており、前年に比べそれぞれ二十八万人、十七万人の増加となった。
 また、就業者に占める追加就業希望者の割合(追加就業希望者比率)は四・二%で、前年に比べ〇・四ポイント上昇し、昭和四十三年以降で最高となっている(第13図参照)。

◇地域別の就業者数及び完全失業率

 全国十地域別の平成十年平均の就業者数及び完全失業率は、次のとおりとなっている。

 (一) 就業者数

 就業者数及び対前年増減は、次のとおりとなっている。
 北海道…二百七十二万人(七万人減)
 東 北…四百九十七万人(四万人減)
 南関東…一千七百四十八万人(一万人減)
 北関東・甲信…五百四十一万人(四万人減)
 北 陸…三百五万人(二万人増)
 東 海…七百九十九万人(一万人増)
 近 畿…一千三十七万人(十六万人減)
 中 国…三百九十九万人(四万人減)
 四 国…二百十万人(一万人減)
 九 州…七百七万人(九万人減)

 (二) 完全失業率

 完全失業率及び対前年増減は、次のとおりとなっている。
 北海道…四・九%(一・一ポイント上昇)
 東 北…三・九%(一・〇ポイント上昇)
 南関東…四・五%(〇・七ポイント上昇)
 北関東・甲信…三・〇%(〇・五ポイント上昇)
 北 陸…二・九%(〇・三ポイント上昇)
 東 海…三・三%(〇・六ポイント上昇)
 近 畿…四・九%(〇・九ポイント上昇)
 中 国…三・四%(〇・七ポイント上昇)
 四 国…三・七%(〇・五ポイント上昇)
 九 州…四・六%(〇・八ポイント上昇)
 なお、完全失業率は、十地域とも比較可能な昭和五十八年以降で最高となっている(第14図参照)。





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平成十年十月一日現在


我が国の人口(推計)


総 務 庁


 総務庁統計局では、平成十年十月一日現在の推計人口を十一年三月二十四日に公表した。
 我が国の人口は、国勢調査によって五年ごとに調査年の十月一日現在の人口の詳細を明らかにしているが、その中間時点においては、国勢調査の人口を基礎として、その後の出生児数、死亡者数、入国者数、出国者数等を加減して、毎月一日現在で「全国、年齢五歳階級、男女別推計人口」を算出している。
 また、毎年十月一日現在で「全国、年齢各歳、男女別推計人口」及び「都道府県、年齢五歳階級、男女別推計人口」を算出している。
 今回、公表したのは、平成十年十月一日現在の「全国、年齢各歳、男女別推計人口」及び「都道府県、年齢五歳階級、男女別推計人口」で、その概要は次のとおりである。

◇全国人口

一 総人口

<総人口は平成十年十月一日現在で一億二千六百四十九万人、この一年間に三十二万人の増加>
 平成十年十月一日現在における我が国の総人口は一億二千六百四十九万人で、九年十月から十年九月までの一年間に三十二万人(〇・二五%)増加した。総人口を男女別にみると、男性が六千百九十二万人(総人口の四九・〇%)、女性が六千四百五十七万人(同五一・〇%)で、女性が二百六十五万人多くなっている。
 総人口の増加率は、第二次ベビーブーム期(昭和四十六〜四十九年)には一・四%前後と高い水準(最高は昭和四十七年の一・四一%)であったが、その後、出生児数の減少により、昭和五十二年に一%を、六十二年に〇・五%を下回るなど、低下傾向で推移しており、平成六年以降は〇・二%台となっている(第1表第1図参照)。
 自然動態(出生・死亡)をみると、出生児数は、第二次ベビーブーム期(最高は昭和四十八年の二百十一万人)以後は減少傾向が続いていたが、平成九年からわずかながら増加し、平成十年は百二十一万人で、前年とほぼ同数となっている。一方、平成十年の死亡者数は九十三万人で、前年を一万人上回っている。この結果、出生児数と死亡者数の差である自然増加数は二十八万人で、前年を一万人下回り、戦後最低水準となっている。
 また、社会動態(出入国)をみると、平成十年の入国者数は一千七百三万人、出国者数は一千六百九十九万人で、入国者数、出国者数ともに前年より九十万人以上減少した。入国者数と出国者数の差である社会増加数は四万人で、二年連続の増加となった(第1表参照)。

二 年齢別人口

 (一) 人口ピラミッドはひょうたん型
 我が国の人口ピラミッドは、各時代の社会情勢を背景とする出生・死亡の状況を反映し、第2図のようになっている。
 この人口ピラミッドは、近年、出生児数が第二次ベビーブーム期をピークとして、減少傾向が続いていたことを反映し、すそが狭まった「ひょうたん型」となっている。
 なお、平成十年十月一日現在における、明治生まれの人口は百五十五万人(総人口に占める割合は一・二%)、大正生まれの人口は九百九十九万人(同七・九%)、昭和生まれの人口は一億三百二十一万人(同八一・六%)、平成生まれの人口は一千百七十三万人(同九・三%)となった。このうち大正生まれの人口は、前年より三十八万人減少して一千万人を下回り、平成生まれの人口は明治・大正生まれの人口の計を上回っている。また、戦後生まれの人口は八千六百五十六万人で、総人口の六八・四%となっている。

 (二) 二千万人を上回った老年人口
 平成十年十月一日現在の総人口を年齢三区分別にみると、年少人口(〇〜十四歳)は一千九百六万人で前年より三十一万人の減少、生産年齢人口(十五〜六十四歳)は八千六百九十二万人で十二万人の減少、老年人口(六十五歳以上)は二千五十一万人で七十五万人の増加となった。このうち、生産年齢人口は平成八年に減少に転じてから三年連続して減少している。また、老年人口は初めて二千万人を上回っている(月別にみると、平成十年二月に初めて二千万人を超え、二千七万人となった。)(第3図参照)。
 また、人口増加の内訳のうち、年齢区分を移動する人口をみると、年少人口から生産年齢人口に移動する十五歳に達した人口は百五十一万人、生産年齢人口から老年人口に移動する六十五歳に達した人口は百四十六万人で、十五歳に達した人口の方が五万人多くなっている。この差は昭和六十三年には百四万人、平成五年には四十万人であったが、年々差が小さくなっている(第2表参照)。

 (三) 増加が続く老年人口
 年齢三区分別人口の割合は、年少人口が一五・一%、生産年齢人口が六八・七%、老年人口が一六・二%で、前年に比べ、年少人口、生産年齢人口がそれぞれ〇・二ポイント、〇・三ポイント低下し、老年人口が〇・五ポイント上昇している。
 年齢三区分別人口の割合の推移をみると、年少人口の割合は昭和五十年(二四・三%)から低下を続けている。生産年齢人口の割合は、昭和五十七年(六七・五%)から上昇を続けていたが、平成四年(六九・八%)をピークに、低下している。一方、老年人口の割合は昭和二十七年(五・〇%)以降上昇が続いており、平成十年(一六・二%)はこれまでの最高となっている(第4図第3表参照)。

 (四) 老年化指数は一〇七・六
 年齢構造指数についてみると、生産年齢人口に対する年少人口の比率(年少人口指数)は二一・九、老年人口の比率(老年人口指数)は二三・六となっている。
 年少人口指数は昭和五十二年以降低下を続けているのに対し、老年人口指数は三十八年以降上昇を続けており、平成十年は、前年と比べ、年少人口指数が〇・三ポイントの低下、老年人口指数が〇・九ポイントの上昇となった。この結果、生産年齢人口に対する子どもと高齢者の人口の比率(従属人口指数)は〇・六ポイント上昇して四五・五となった。生産年齢人口二・二人に対して一人の割合で子どもと高齢者がいることになる。
 子どもに対する高齢者の比率(老年化指数)は一〇七・六となっている。この老年化指数は、平成元年に六一・七と六〇・〇を超えた後、毎年ほぼ五ポイントの上昇を続け、九年には一〇二・〇と一〇〇を超え、十年はさらに五・六ポイント上昇している(第3表参照)。

 (五) 年齢構造はイタリアとほぼ同じ
 我が国の人口の年齢構造を各国と比べてみると、調査年次に相違はあるものの、年少人口の割合はイタリアに次いで低い水準にあり、老年人口、生産年齢人口はヨーロッパ諸国と同水準になっている。
 年齢三区分別人口の割合全体を通じてみると、老年人口が年少人口より多いなど、我が国の年齢構造はイタリアとほぼ同じになっている(第4表参照)。

◇都道府県別人口

一 人 口

 (一) 人口六百万人以上の上位五都府県で全国人口の三分の一
 平成十年十月一日現在における都道府県別の人口は、東京都の一千百八十三万人を最高に、大阪府(八百八十万人)、神奈川県(八百三十九万人)、愛知県(六百九十七万人)、埼玉県(六百八十九万人)と続いている。以下、五百万人台が三道県、四百万人台と三百万人台が各一県、二百万人台が十府県、百万人台が二十県、百万人未満が七県となっている。上位五都府県の順位は、昭和五十八年以降、変わっていない。
 なお、東京都、大阪府、神奈川県、愛知県及び埼玉県の上位五都府県で全国人口の三三・九%と、三分の一を超えている。また、大都市(東京都特別区部及び政令指定都市)を含む十一都道府県では五二・一%と、全国人口の二分の一強を占めている(第5表参照)。

 (二) 人口減少県は十八道県
 平成十年に人口が減少したのは、長崎県、秋田県、山口県、島根県、和歌山県など十八道県となっている。
 人口減少県の数は、平成三年から減少していたが、八年から増加に転じ、十年は九年より一県増加し、十八道県となっている。
 なお、人口減少県のうち、秋田県、島根県、山口県、愛媛県、高知県及び長崎県の六県では、人口減少が十三年以上続いている。また、平成九年と比べると、二府県(大阪府及び鳥取県)が減少から増加に転じ、三道県(北海道、福島県及び新潟県)が増加から減少に転じた。なお、北海道、新潟県は八年ぶりに、福島県は昭和四十八年以来二十七年ぶりに人口減少に転じている。

 (三) 人口増加率は滋賀県の〇・九八%が最高
 都道府県別の人口増加率は、滋賀県が〇・九八%で最も高く、以下、神奈川県が〇・八〇%、沖縄県が〇・七七%と続き、埼玉県、愛知県及び千葉県が〇・六%台、兵庫県が〇・五%台となっている。このうち、神奈川県は、平成八年〇・四四%、九年〇・五二%、十年〇・八〇%と増加幅の拡大が目立つ。
 人口増加率が〇・五%を超えているこの七県は、自然増加率と社会増加率がともにプラスとなっており、このうち、滋賀県では社会増加率の寄与が大きく、沖縄県、埼玉県及び愛知県の三県では自然増加率の寄与が大きくなっている。
 なお、人口が減少している十八道県のうち、長崎県、青森県、大分県など十道県は社会増加率のマイナスが、徳島県は自然増加率のマイナスが、秋田県、山口県、島根県など七県は自然増加率と社会増加率のマイナスが、それぞれ人口減少の要因となっている(第6表第5図第7表参照)。

 (四) 自然増加率の最高は沖縄県の〇・七三%
 都道府県別の自然増加率をみると、沖縄県が〇・七三%で最も高く、以下、愛知県、埼玉県及び神奈川県の三県が〇・四%台、滋賀県、大阪府及び千葉県の三府県が〇・三%台となっている。
 一方、自然増加率が最も低いのは秋田県のマイナス〇・一七%で、次いで高知県、島根県、山口県、徳島県、山形県、鹿児島県、鳥取県、和歌山県となっており、この九県は、自然増加率がマイナス(自然減少)となっている。自然減少の県は平成九年の六県から三県(和歌山県、鳥取県、鹿児島県)増加している。また、愛媛県、岩手県など八県では、自然増加率が〇・〇〜〇・一%未満となっている。
 なお、自然増加率は、出生児数の減少により、平成二年に沖縄県が〇・九一%に低下して以来、すべての都道府県で一%未満となり、七年以降は、沖縄県以外の四十六都道府県では〇・五%以下となっている(第8表参照)。

 (五) 社会増加率は滋賀県が最も高く〇・五九%
 都道府県別の社会増加率をみると、滋賀県が〇・五九%で最も高く、神奈川県が〇・三八%と続き、以下、千葉県及び兵庫県が〇・二%台、茨城県など九県が〇・一%台となっている。この社会増加率は、昭和六十一年から平成五年までは埼玉県が最も高かったが、六年以降は滋賀県が最も高くなっている。また、神奈川県は平成九年の〇・一〇%から〇・二八ポイント大幅に上昇している。
 一方、社会増加率が最も低いのは長崎県のマイナス〇・四八%で、次いで大阪府、宮崎県、秋田県、青森県となっている。
 なお、大都市のある十一都道府県についてみると、大阪府、北海道、広島県及び京都府の四道府県は社会増加率がマイナス(社会減少)で、他の七都県はプラスとなっている(第9表参照)。

二 年齢別人口

 (一) 老年人口が年少人口を上回るのは三十九都道府県
 平成十年十月一日現在の年少人口(〇〜十四歳)の割合を都道府県別にみると、沖縄県が二〇・五%で最も高く、東京都が一二・六%で最も低くなっており、その他の道府県は一四〜一七%台となっている。この年少人口の割合は、近年、出生児数の減少により各都道府県とも低下傾向にあり、平成十年はすべての都道府県で前年より低下している。
 また、老年人口(六十五歳以上)の割合をみると、島根県が二三・八%で最も高く、以下、高知県、秋田県、山形県、鹿児島県となっており、十五県で二〇%以上となっている。一方、割合が最も低いのは埼玉県の一一・五%で、次いで神奈川県及び千葉県が一二%台となっている。この老年人口の割合は、年少人口とは対照的に、すべての都道府県で上昇している。
 この結果、老年人口が年少人口を上回っているのは、三十九都道府県となり、前年より四県(宮城県、栃木県、兵庫県及び奈良県)増加している。この三十九都道府県のうち十七県では老年人口の割合が四ポイント以上上回っており、特に島根県、高知県、秋田県、山口県、山形県及び徳島県の六県では六ポイント以上となっている。年少人口の方が老年人口を上回っているのは、茨城県、埼玉県、千葉県、神奈川県、愛知県、滋賀県、大阪府及び沖縄県の八府県である(第6図第10表第7図参照)。

 (二) 生産年齢人口の割合は四十一都道府県で低下
 生産年齢人口(十五〜六十四歳)の割合を都道府県別にみると、埼玉県が七三・二%、神奈川県が七三・〇%で、以下、東京都、千葉県、大阪府、愛知県となっており、この六県で七〇%を超えている。一方、割合が最も低いのは島根県の六一・〇%で、次いで鹿児島県、山形県、鳥取県、高知県となっている。
 生産年齢人口の割合は、茨城県、栃木県、滋賀県、長崎県、鹿児島県、沖縄県の六県では前年と同率となっているが、他の四十一都道府県では前年より低下している(第10表第7図参照)。




    <4月28日号の主な予定>

 ▽地方財政白書のあらまし………………自 治 省 

 ▽平成十一年地価公示のあらまし………国 土 庁 




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