官報資料版 平成11年5月6日




                  ▽平成十年貯蓄動向調査……………………………………………総 務 庁

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部三月中旬速報値)………総 務 庁











貯蓄と負債の動向


―平成十年貯蓄動向調査の結果―


総 務 庁


 総務庁統計局では、三月十六日に平成十年貯蓄動向調査の結果を公表した。その概要は以下のとおりである。
 貯蓄動向調査は、家計調査に附帯して昭和三十三年以降毎年実施しているもので、全国の二人以上の一般世帯(農林漁家世帯及び単身世帯を除く。)から抽出した約六千三百世帯を対象に、毎年十二月三十一日現在における貯蓄及び負債の状況を調査している。
 この調査でいう「貯蓄」には、郵便局、銀行、その他の金融機関への預貯金のほか、生命保険、簡易保険、積立型損害保険の掛金(掛け捨てを除く。)、有価証券(株式、債券、信託等)、社内預金などを含んでいる。

◇貯蓄の動向

勤労者世帯の貯蓄は一千三百五十二万円、前年に比べて八・一%の大幅な増加
 平成十年十二月末における勤労者世帯の一世帯平均の貯蓄現在高は一千三百五十二万円となっており、前年に比べて八・一%の大幅な増加となった。貯蓄現在高の対前年増加率は、景気の低迷の中で平成六年に〇・一%の微減の後、七年は二・二%、八年は一・四%と増加が続いた。その後九年は二・三%の減少となったものの、十年は八・一%の大幅な増加となった。
 また、年間収入は八百八万円で、対前年増加率は三・八%の増加となっており、貯蓄現在高の増加率が年間収入の増加率を上回っている。この結果、貯蓄年収比(貯蓄現在高の年間収入に対する比)は一六七・三%となり、前年に比べて六・八ポイント上昇した(第1表第1図参照)。

全世帯の貯蓄は一千六百六十一万円、前年に比べて一・六%の増加
 勤労者世帯と勤労者以外の世帯(個人営業世帯、法人経営者世帯、自由業者世帯、無職世帯等)を合わせた全世帯の一世帯平均の貯蓄現在高は一千六百六十一万円で、前年に比べて一・六%の増加となった。全世帯の貯蓄現在高の対前年増加率は、平成六年は六・三%、七年は〇・七%、八年は三・二%と増加が続いた後、九年は一・三%の減少となったが、十年は一・六%の増加となった。
 また、年間収入は七百五十八万円で、対前年増加率は〇・五%と増加となっており、全世帯の貯蓄年収比は二一九・〇%で、前年に比べて二・四ポイント上昇した(第1表参照)。

勤労者世帯の六六・一%が平均貯蓄現在高以下
 勤労者世帯について貯蓄現在高階級別(標準級間隔二百万円)の世帯分布をみると、平均値一千三百五十二万円を下回る世帯が全体の六六・一%を占め、貯蓄の低い方に偏った分布となっている。
 また、世帯全体を二分する貯蓄現在高の中位数は八百九十三万円、世帯が最も多い貯蓄現在高階級は「二百万円以上四百万円未満」及び「四百万円以上六百万円未満」であり、最頻値は四百万円となっている。
 なお、前年に比べ平均値は百二万円、中位数は六十一万円と、共に増加となっている(第2図参照)。

貯蓄現在高の世帯間格差は前年に比べて三・四ポイント拡大
 勤労者世帯について貯蓄現在高の世帯間格差を四分位分散係数でみると、平成十年は六〇・四%となり、前年に比べて三・四ポイント拡大した。
 貯蓄現在高の四分位分散係数の推移をみると、昭和三十五年には七〇%以上であったが、三十年代後半から四十年代にかけて縮小傾向を示し、五十二年には五五・五%となった。その後は平成七年(六〇・四%)を除き、おおむね五〇%台後半で推移していたが、十年は六〇%台となった(第3図参照)。

通貨性預貯金が一九・四%の増加、定期性預貯金が八・七%の増加
 勤労者世帯について貯蓄現在高を貯蓄の種類別にみると、定期性預貯金六百二万円、生命保険など四百四十三万円、通貨性預貯金百三十四万円、有価証券百九万円、金融機関外への貯蓄(社内預金など)六十三万円などとなっている。
 これらの対前年増加率をみると、通貨性預貯金が一九・四%、金融機関外が一八・三%、定期性預貯金が八・七%、生命保険などが五・四%とそれぞれ増加しているのに対し、有価証券は〇・二%減少した。
 なお、平均貯蓄現在高の対前年増加率(八・一%増)への貯蓄の種類別の寄与度をみると、通貨性預貯金がプラス一・七、生命保険などがプラス一・八、定期性預貯金がプラス三・九、有価証券が〇・〇などとなっており、定期性預貯金の寄与が最も大きい。
 預貯金について金融機関別にみると、通貨性預貯金のうち郵便局は三十万円、銀行は八十四万円、その他は二十一万円で、前年に比べそれぞれ一九・七%、一九・八%、一七・七%増加した。また、定期性預貯金のうち郵便局は二百三十七万円、銀行は二百五十四万円、その他は百十一万円で、前年に比べそれぞれ一三・六%、三・四%、一一・六%と増加している。定期性預貯金のうち銀行及びその他は平成九年に大幅に減少したが十年は再び増加した(第2表参照)。

郵便局の定期性預貯金(一七・六%)の割合は調査開始以来最高、有価証券(八・一%)の割合は調査開始以来最低
 勤労者世帯の貯蓄現在高に占める貯蓄の種類別割合は、定期性預貯金が四四・五%と最も高く、次いで生命保険など三二・七%、通貨性預貯金九・九%、有価証券八・一%、金融機関外四・六%となっている。
 貯蓄の種類別割合の推移をみると、定期性預貯金は平成六年に低下、七年に上昇した後、八年は〇・五ポイント、九年は〇・三ポイント低下したが、十年は〇・二ポイント上昇した。定期性預貯金の内訳をみると、郵便局は平成九年の一六・七%から十年の一七・六%に〇・九ポイント上昇しているのに対し、銀行は九年の一九・六%から十年の一八・八%へ〇・八ポイント低下している。また、通貨性預貯金は前年に比べ〇・九ポイント上昇した。
 一方、有価証券は平成元年(二三・二%)を境にして減少傾向で推移しており、十年も前年に比べ〇・七ポイント低下した。また、生命保険などは平成三年以降増加傾向で推移し、八年は一・三ポイント、九年は一・二ポイント上昇したが、十年は〇・九ポイント低下した。
 この結果、郵便局の定期性預貯金の割合は調査開始以来最高に、有価証券の割合は調査開始以来最低となった(第3表第4図参照)。

生命保険が六・七%の増加
 勤労者世帯について生命保険などの内訳をみると、生命保険が二百八十四万円、簡易保険が百三十一万円、積立型損害保険が二十八万円となっている。対前年増加率は、それぞれ六・七%増、一・九%増、九・六%増となっている。
 簡易保険及び積立型損害保険は、平成九年は減少となったが、十年は増加となっている(第2表第5図参照)。

減少続く株式、貸付信託・金銭信託
 勤労者世帯について有価証券の内訳をみると、株式五十一万円、貸付信託・金銭信託二十三万円、債券十六万円、公社債投資信託十一万円、株式投資信託九万円となっている。これらの対前年増加率をみると、平成二年以降大幅な減少を続けていた株式は五年に増加となったが、六年以降は減少が続き、十年も一・二%の減少となっている。また、貸付信託・金銭信託は二〇・一%の減少となった。一方、株式投資信託は六三・五%の大幅な増加、債券は一五・七%の増加、公社債投資信託は六・九%の増加と、それぞれ九年の減少から増加となっている(第2表第6図参照)。

有価証券の保有率は横ばい
 勤労者世帯について貯蓄の種類別保有率(各種貯蓄を保有する世帯の割合)をみると、生命保険などは九二・三%、通貨性預貯金は九〇・五%、定期性預貯金は八五・〇%と、いずれも九〇%前後の世帯が保有しているのに対し、有価証券は、平成二年の三三・二%をピークとして、それ以降七年連続して低下した後、十年は二三・一%と横ばいとなった。
 有価証券のうち、株式の保有率は前年に比べ〇・二ポイント、債券は〇・六ポイント、株式投資信託は〇・二ポイントそれぞれ上昇した。一方、公社債投資信託は〇・三ポイント低下し、貸付信託・金銭信託は〇・五ポイント低下した(第4表参照)。

貯蓄現在高の多い世帯で定期性預貯金及び有価証券の割合が高い
 勤労者世帯について貯蓄の種類別割合を貯蓄現在高階級別にみると、概して貯蓄現在高の少ない階級の世帯ほど生命保険など及び通貨性預貯金の割合が高く、貯蓄現在高の多い階級の世帯ほど定期性預貯金と有価証券の割合が高くなる傾向がある。例えば、貯蓄現在高で世帯が最も多い「四百万円以上六百万円未満」を平均値を含む「一千二百万円以上一千六百万円未満」の階級と比較すると、通貨性預貯金で四・六ポイント、生命保険などで一四・二ポイントそれぞれ上回っている。一方、定期性預貯金で一四・六ポイント、有価証券で三・一ポイントそれぞれ下回っている(第5表第7図参照)。

◇負債の動向

勤労者世帯の負債は五百七十四万円、前年に比べて一五・四%の増加、増加幅は拡大
 平成十年十二月末における勤労者世帯の一世帯平均の負債現在高は五百七十四万円となっており、前年に比べて一五・四%の増加となった。対前年増加率は四年連続して縮小していたが、平成十年は増加幅が拡大した。負債年収比(負債現在高の年間収入に対する比)は七一・一%となり、前年に比べて七・二ポイント上昇した。
 一方、全世帯の一世帯平均の負債現在高は五百三十五万円となっており、前年に比べて七・三%の増加となった。負債年収比は七〇・五%で、前年に比べて四・五ポイント上昇している(第6表第1図参照)。

負債保有率は五三・四%で前年に比べて二・六ポイント上昇
 勤労者世帯のうち負債のある世帯の割合(負債保有率)は五三・四%となっており、前年に比べて二・六ポイント上昇した。負債保有率は昭和三十年代から五十年代にかけて上昇傾向で推移し、昭和六十年に五六・二%となったが、その後は五〇〜五四%台で、おおむね横ばいで推移している(第6表参照)。

金融機関のうち民間金融機関からの負債が大幅な増加
 勤労者世帯について一世帯平均負債現在高(五百七十四万円)を借入先別にみると、民間金融機関が二百五十二万円(負債現在高の四三・八%を占める。)と最も多く、以下、公的金融機関が二百三十万円(同四〇・一%)、社内貸付、親戚・知人などの金融機関外が九十二万円(同一六・〇%)となっている。
 これらの対前年増加率をみると、民間金融機関が三〇・八%と大幅に増加したほか、公的金融機関が五・七%、金融機関外が五・六%とそれぞれ増加している(第7表参照)。

勤労者世帯の住宅・土地のための負債は五百三十六万円、前年に比べて一七・二%の増加、住宅・土地のための負債保有世帯は三六・九%
 勤労者世帯の負債現在高(五百七十四万円)のうち、住宅・土地のための負債は五百三十六万円で、負債全体の九三・三%を占めており、前年に比べて一七・二%の増加となった。
 住宅・土地のための負債を借入先別にみると、金融機関が四百六十二万円、金融機関外が七十四万円となっており、前年に比べてそれぞれ一八・五%、九・九%の増加となった。
 また、勤労者世帯の住宅・土地のための負債保有率は三六・九%となっており、前年に比べて三・一ポイント上昇した(第8表参照)。

負債保有勤労者世帯の六一・四%が平均負債現在高以下
 勤労者世帯のうち負債保有世帯(勤労者世帯の五三・四%を占める。)について、負債現在高階級別(標準級間隔百五十万円)の世帯分布をみると、平均値一千七十六万円を下回る世帯が全体の六一・四%を占め、負債現在高の低い方に偏った分布となっている(第8図参照)。

住宅・土地のための負債保有勤労者世帯の負債は一千四百九十二万円、前年に比べて七・五%の増加
 平成十年十二月末における住宅・土地のための負債保有勤労者世帯の一世帯平均の負債現在高は一千四百九十二万円となっており、前年に比べて七・五%の増加となった。負債年収比(負債現在高の年間収入に対する比)は一六一・六%となり、前年に比べて七・〇ポイント上昇した。
 勤労者世帯の貯蓄と負債の差(貯蓄―負債)をみると、勤労者世帯全体はプラス七百七十七万円と貯蓄超過となっているのに対し、住宅・土地のための負債保有世帯はマイナス三百十万円と負債超過となっている。なお、住宅・土地のための負債保有世帯では平成七年に負債超過に転じており、その後三年連続で負債超過額が拡大している(第9表参照)。

住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債現在高は一千四百五十四万円、前年に比べて七・六%の増加
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債現在高は一千四百五十四万円となっており、前年に比べて七・六%の増加となった。住宅・土地のための負債は、負債現在高全体の九七・五%を占めている(第10表参照)。

住宅・土地のための負債は、民間金融機関からの借入れが二三・三%と大幅な増加
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における住宅・土地のための負債を借入先別にみると、公的金融機関が六百二十一万円、民間金融機関が六百三十二万円、金融機関外が二百二万円となっている。
 これらの対前年増加率をみると、民間金融機関が前年の一〇・二%増加に続いて二三・三%の大幅な増加となっているが、公的金融機関は二・九%の減少となっている。また、金融機関外は〇・九%の増加となっている(第11表参照)。

住宅・土地のための負債に対する一年間の返済額は百四十一万円
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯における一年間の返済総額は百五十六万円で、前年(百四十四万円)に比べて十二万円の増加となっている。返済額のうち住宅・土地のための負債に対する返済額は百四十一万円となっており、前年に比べて十二万円の増加になっている。
 住宅・土地のための負債に対する一年間の返済額を返済先別にみると、公的金融機関が六十三万円、民間金融機関が五十七万円、金融機関外が二十一万円となっており、前年に比べてそれぞれ五万円の増加、九万円の増加、一万円の減少となっている(第12表参照)。

◇世帯属性別の貯蓄・負債の状況

貯蓄現在高の所得階級間格差は四・一倍、前年に比べて〇・五ポイント拡大
 勤労者世帯について年間収入五分位階級別に貯蓄現在高をみると、所得が高くなるに従って多くなっており、所得の最も低い第T階級が五百七十四万円、所得の最も高い第X階級が二千三百八十一万円となっている。
 各所得階級の対前年増加率をみると、第U、第W、第X階級がそれぞれ一八・七%、一一・三%、一〇・九%の増加となったのに対し、第T、第V階級がそれぞれ二・五%、三・三%の減少となった。この結果、貯蓄現在高の所得階級間格差(第T階級に対する第X階級の貯蓄現在高の比)は四・一倍となり、前年(三・六倍)から〇・五ポイント拡大した。貯蓄現在高の所得階級間格差は、平成二年以降三・〇〜三・八で推移していたが、十年は元年以前の水準(四倍以上)となっている。
 一方、負債現在高をみると、第T階級が百九十万円であるのに対し、第X階級では九百九万円となっており、概して所得が高くなるに従って負債現在高が多くなっている(第13表第14表参照)。

すべての階級で拡大した通貨性預貯金
 勤労者世帯について年間収入五分位階級別に貯蓄の種類別割合をみると、生命保険など及び通貨性預貯金の割合は所得の低い階級ほど概して高い傾向にあり、生命保険などは第T階級で三九・四%、第X階級では二九・四%、通貨性預貯金は第T階級で一二・一%、第X階級では九・五%となっている。有価証券の割合は所得の高い階級ほど高く、第T階級で二・八%、第X階級では一〇・九%となっている。また、定期性預貯金の割合は第W階級で四六・八%と最も高く、その他の階級でも四〇%台となっている。
 年間収入五分位階級別に貯蓄の種類別割合を前年と比べると、すべての階級で通貨性預貯金の割合が拡大している(第15表第9図参照)。

貯蓄現在高は世帯主が三十歳以上の各年齢階級でいずれも増加
 勤労者世帯の貯蓄現在高について世帯主の年齢階級別にみると、年齢が高くなるに従って貯蓄も多くなる傾向があり、六十歳以上の世帯は二千三百十二万円で、三十歳未満の世帯の三百七十万円の約六・三倍となっている。
 対前年増加率をみると、三十歳代、四十歳代、五十歳代、六十歳以上の世帯が、それぞれ三・一%、四・五%、一一・九%、五・九%の増加となっているが、三十歳未満の世帯では、一五・六%の減少となっている(第16表第10図参照)。

世帯主が六十歳以上の世帯では勤労者世帯、無職世帯共に貯蓄現在高の散らばりが大きい
 世帯主が六十歳以上の一世帯平均の貯蓄現在高は勤労者世帯(平均年齢六四・二歳)が二千三百十二万円、無職世帯(平均年齢六九・九歳)が二千二百一万円となっている。
 貯蓄現在高階級別の世帯分布を比べてみると、勤労者世帯、無職世帯共に、三千万円以上の貯蓄を保有する世帯がそれぞれ二九・二%、二六・六%と全体の約四分の一を占めている一方、貯蓄現在高が六百万円未満の世帯もそれぞれ一八・三%、一六・四%と全体の約六分の一を占めており、貯蓄現在高の世帯間の散らばりが大きい(第17表第11図参照)。

負債現在高は四十歳代の世帯が七百七十一万円と最も多い
 勤労者世帯について世帯主の年齢階級別に負債現在高をみると、三十歳未満の世帯が二百十三万円、三十歳代の世帯が七百九万円、四十歳代の世帯が七百七十一万円と年齢が高くなるに従って多くなり、この四十歳代をピークとして五十歳代の世帯が四百五十八万円、六十歳以上の世帯が二百五十万円と少なくなっている。
 負債現在高を前年と比べると、三十歳未満の世帯で減少したが、それ以外の世帯では増加している。
 住宅・土地のための負債保有率を前年と比べてみると、三十歳未満の世帯で横ばいとなったが、それ以外の年齢階級の世帯で上昇した(第18表第10図参照)。

住宅・土地のための負債保有勤労者世帯のうち、三十歳代の世帯の負債現在高は二千三十六万円で最も多い
 住宅・土地のための負債保有勤労者世帯について負債現在高を世帯主の年齢階級別にみると、三十歳代の世帯が二千三十六万円と最も多くなっている。
 貯蓄と負債の差(貯蓄―負債)をみると、四十歳代以下の年齢階級でいずれも負債超過となっており、三十歳代が一千二百三十八万円と超過幅が最も多くなっている。一方、五十歳代、六十歳以上がそれぞれ四百四十九万円、二百八十五万円の貯蓄超過となっている(第19表第12図参照)。

勤労者以外の世帯の貯蓄現在高は二千百五十万円、二年連続で減少
 勤労者以外の世帯の一世帯平均の貯蓄現在高は二千百五十万円で、勤労者世帯(一千三百五十二万円)と比べると七百九十八万円多く、約一・六倍の貯蓄を保有している。また、貯蓄年収比は、勤労者世帯が一六七・三%であるのに対し、勤労者以外の世帯では三一六・二%となっており、勤労者以外の世帯が勤労者世帯の約一・九倍になっている。
 世帯主の職業別に貯蓄現在高をみると、勤労者世帯では、官公職員世帯が一千六百六十八万円と最も多く、次いで民間職員世帯が一千四百八十七万円、労務作業者世帯が一千二十八万円となっている。また、勤労者以外の世帯では、法人経営者世帯が三千二百五十五万円と最も多く、次いで無職世帯が二千百八十万円、自由業者世帯が二千八十四万円、個人営業世帯が一千八百八十四万円となっている。
 勤労者以外の世帯の貯蓄現在高の対前年増加率は、四・九%と前年に続き減少となり、昭和三十四年の調査開始以来初めて二年連続の減少となった(第20表第13図参照)。

勤労者以外の世帯の負債現在高は四百七十二万円、二年連続で減少
 勤労者以外の世帯の一世帯平均の負債現在高は四百七十二万円で、前年に比べて五・六%と二年連続の減少となった。
 世帯主の職業別に負債現在高をみると、勤労者世帯では、官公職員世帯が七百三十二万円、民間職員世帯が六百四十万円、労務作業者世帯が四百十五万円となっている。また、勤労者以外の世帯では、法人経営者世帯が九百三十万円、個人営業世帯が八百十三万円、自由業者世帯が七百九十四万円、無職世帯が九十四万円となっている(第20表参照)。

◇住宅・土地の取得計画と貯蓄

借家世帯のうち住宅・土地の取得計画のある世帯の割合は上昇
 勤労者世帯について、住宅・土地の取得計画の有無別世帯割合をみると、借家世帯では、「三年以内に計画のある世帯」の割合は八・四%、「三年以上先に計画のある世帯」の割合は七・五%となっており、前年に比べてそれぞれ一・七ポイント、一・四ポイント上昇している。また、取得計画のある世帯の合計は一六・〇%となっており、調査結果が比較可能な昭和五十一年以降で最低となった前年に比べて十年は三・二ポイント上昇した。
 持家世帯では、「三年以内に計画のある世帯」の割合は三・五%、「三年以上先に計画のある世帯」の割合は二・〇%となっており、前年に比べてそれぞれ〇・一ポイント、〇・二ポイント低下している。この結果、「三年以上先に計画のある世帯」の割合は平成九年(二・二%)を下回って、調査結果が比較可能な昭和五十一年以降で最低となり、取得計画のある世帯の合計(五・五%)も平成九年(五・七%)を下回って最低となった(第21表第14図参照)。

取得計画のある世帯の方が計画のない世帯よりも貯蓄現在高は多い
 勤労者世帯について、住宅・土地の取得計画の有無別に借家世帯と持家世帯の貯蓄現在高をみると、いずれも計画のある世帯が計画のない世帯を上回っている。
 借家世帯でみると、貯蓄現在高は「三年以内に計画のある世帯」が一千三百二十九万円、「三年以上先に計画のある世帯」が一千百十万円、「計画のない世帯」が七百四十四万円となっている。「三年以内に計画のある世帯」の貯蓄年収比は一七四・一%となっている。
 持家世帯でみると、貯蓄現在高は「三年以内に計画のある世帯」が二千六百三十四万円、「三年以上先に計画のある世帯」が二千三百三十七万円、「計画のない世帯」が一千五百五十四万円となっている。「三年以内に計画のある世帯」の貯蓄年収比は二三三・〇%となっている(第21表参照)。

◇財産形成貯蓄の状況

財産形成貯蓄保有勤労者世帯の財形貯蓄現在高は二百六十七万円、二一・八%の世帯が保有
 財産形成貯蓄保有勤労者世帯の割合(財形貯蓄保有率)は二一・八%となっており、前年に比べて一・四ポイント上昇した。財形貯蓄保有率は、平成二年の二五・四%をピークとして、その後、低下傾向が続いていたが、平成十年は前年に比べて一・四ポイント上昇した。
 財産形成貯蓄保有勤労者世帯の一世帯平均財形貯蓄現在高は二百六十七万円で、貯蓄全体に占める割合(依存度)は一四・六%となっており、前年に比べて〇・五ポイント上昇した(第22表第15図参照)。

財形貯蓄の六八・一%は定期性預貯金
 財形貯蓄保有勤労者世帯の一世帯平均財形貯蓄現在高(二百六十七万円)の内訳をみると、定期性預貯金が六八・一%で最も高く、次いで生命保険などが二五・五%、有価証券が六・五%となっている。
 対前年増加率をみると、定期性預貯金が四・八%の増加、生命保険などが五六・九%の増加、有価証券が三九・三%の減少となっており、全体では八・九%の増加となった(第23表参照)。

財形貯蓄保有勤労者世帯の財形貯蓄現在高は世帯主の年齢が高くなるほど多い
 財形貯蓄保有勤労者世帯について、世帯主の年齢階級別に一世帯平均財形貯蓄現在高をみると、三十歳未満が九十八万円、三十歳代が百九十五万円、四十歳代が二百八十六万円、五十歳代が三百二十二万円、六十歳以上が三百二十一万円と、世帯主の年齢が高くなるに従って多くなる傾向がみられる。
 財形貯蓄保有率をみると、三十歳代〜五十歳代ではいずれも二二〜二五%台、三十歳未満で一三・七%、六十歳以上で一〇・四%となっている(第24表第16図参照)。

取得計画のある世帯の財形貯蓄保有率は、計画のない世帯より高い
 勤労者世帯について、借家世帯と持家世帯の住宅・土地の取得計画の有無別に財形貯蓄保有率をみると、いずれも「計画のある世帯」が「計画のない世帯」を上回っている。
 借家世帯でみると、財形貯蓄保有率は「三年以内に計画のある世帯」が三七・三%で、「計画のない世帯」の一六・七%に比べ二〇・六ポイント上回っている。
 持家世帯でみると、財形貯蓄保有率は「三年以内に計画のある世帯」が三六・三%で、「計画のない世帯」の二二・一%に比べ一四・二ポイント上回っている(第25表参照)。

◇年金貯蓄の状況

年金貯蓄保有率は二年連続の低下
 勤労者世帯のうち、年金型貯蓄(生命保険の個人年金保険、簡易保険の年金商品等)を保有している世帯の割合(年金貯蓄保有率)は二五・三%で、約四分の一の世帯が保有している。年金貯蓄保有率は、昭和六十一年以降上昇が続いていたが、平成九年に二・八ポイント低下し、十年も六・三ポイント低下して、二年連続の低下となった。
 勤労者世帯のうち、年金貯蓄保有世帯の一世帯平均年金貯蓄現在高は二百十四万円で、前年に比べて一七・七%増加した。また、貯蓄全体に占める割合は一一・六%となり、前年に比べて一・三ポイント上昇した(第26表第17図参照)。

年金貯蓄保有世帯の年金貯蓄現在高は六十歳以上が五百十五万円で最も多い
 勤労者世帯のうち、年金貯蓄保有世帯の世帯主の年齢階級別に年金貯蓄現在高をみると、三十歳未満が五十五万円、三十歳代が百十三万円、四十歳代が百七十二万円、五十歳代が二百六十万円、六十歳以上が五百十五万円と、世帯主の年齢が高くなるに従って多くなっている。
 勤労者世帯について、世帯主の年齢階級別に年金貯蓄保有率をみると、三十歳未満が八・九%、三十歳代が二四・〇%、四十歳代が三〇・一%、五十歳代が二六・五%、六十歳以上が二一・一%となっている(第27表第18図参照)。

◇外貨預金・外債の保有状況

外貨預金・外債保有世帯の外貨預金・外債現在高は百九十一万円
 勤労者世帯のうち、外貨預金・外債を保有している世帯の割合(外貨預金・外債保有率)は二・七%となっている。勤労者世帯の一世帯平均外貨預金・外債の現在高は五万円で、貯蓄現在高の〇・四%を占めている。
 勤労者世帯のうち、外貨預金・外債を保有している世帯の一世帯平均貯蓄現在高三千三百十万円のうち、外貨預金・外債現在高は百九十一万円で、貯蓄現在高の五・八%を占めている。
 勤労者世帯について、年間収入五分位階級別にみると、外貨預金・外債保有率は、所得が高くなるに従って上昇し、第X階級では六・二%となっている(第28表参照)。




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消費者物価指数の動向


―東京都区部(三月中旬速報値)・全国(二月)―


総 務 庁


◇三月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・五となり、前月と同水準。前年同月比は十二月〇・八%の上昇、一月〇・一%の上昇、二月〇・二%の下落と推移した後、三月は〇・五%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・五となり、前月比は〇・一%の上昇。前年同月比は十二月から二月までそれぞれ〇・一%の下落で推移した後、三月は〇・二%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇二・一となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  生鮮魚介は二・二%の上昇。
   <値上がり> まぐろ、いかなど
   <値下がり> あじ、かきなど
  生鮮野菜は四・一%の下落。
   <値上がり> ねぎ、だいこんなど
   <値下がり> ブロッコリー、レタスなど
  生鮮果物は五・二%の下落。
   <値上がり> バナナ、りんご(ふじ)など
   <値下がり> いちご、グレープフルーツなど
(2) 家具・家事用品は九三・四となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  家事雑貨は〇・三%の下落。
   <値下がり> コーヒーわん皿(輸入品)など
(3) 被服及び履物は一〇一・三となり、前月に比べ三・三%の上昇。
  衣料は八・〇%の上昇。
   <値上がり> 婦人ブレザーなど
(4) 教育は一〇六・五となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
  補習教育は〇・七%の上昇。
   <値上がり> 学習塾
(5) 諸雑費は一〇四・〇となり、前月に比べ一・〇%の下落。
  身の回り用品は三・二%の下落。
   <値下がり> ハンドバッグなど

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  授業料等(二・二%上昇)、上下水道料(三・九%上昇)、菓子類(二・九%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(一五・一%下落)、設備修繕・維持(三・一%下落)、シャツ・セーター・下着類(三・五%下落)、教養娯楽サービス(一・〇%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・七となり、前月に比べ〇・三%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・七となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。

◇二月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・九となり、前月比は〇・四%の下落。前年同月比は十一月〇・八%の上昇、十二月〇・六%の上昇、一月〇・二%の上昇と推移した後、二月は〇・一%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇一・七となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は十一月〇・三%の下落、十二月〇・三%の下落、一月〇・一%の下落と推移した後、二月は〇・一%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇三・二となり、前月に比べ〇・六%の下落。
  生鮮魚介は一・八%の下落。
   <値上がり> さけ、あさりなど
   <値下がり> いか、いわしなど
  生鮮野菜は七・三%の下落。
   <値上がり> ばれいしょ、ピーマンなど
   <値下がり> ほうれんそう、キャベツなど
  生鮮果物は〇・五%の下落。
   <値上がり> バナナ、みかんなど
   <値下がり> いちご、グレープフルーツなど
(2) 光熱・水道は一〇一・七となり、前月に比べ〇・二%の下落。
  電気・ガス代は〇・一%の下落。
   <値下がり> 都市ガス代
(3) 家具・家事用品は九四・八となり、前月に比べ〇・三%の下落。
  家庭用耐久財は〇・六%の下落。
   <値下がり> 石油ストーブなど
(4) 被服及び履物は九八・八となり、前月に比べ二・四%の下落。
  衣料は三・七%の下落。
   <値下がり> 婦人オーバーなど

三 前年同月との比較

 ○上昇した主な項目
  生鮮果物(二〇・五%上昇)、授業料等(二・一%上昇)、たばこ(七・五%上昇)
 ○下落した主な項目
  生鮮野菜(七・一%下落)、自動車等関係費(二・一%下落)、教養娯楽サービス(一・一%下落)、家賃(〇・三%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇二・五となり、前月に比べ〇・二%の下落となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・四となり、前月に比べ〇・一%の下落となった。


















「公文書にみる歴史上の人物展」のご案内


 最近、伝記編纂(さん)や郷土出身者の調査などの目的で、国立公文書館の人物記録を閲覧に来られる方が増えています。そこで、国立公文書館では、「公文書にみる歴史上の人物展」を実施することとしました。国立公文書館の人物記録は、図書などの記述の根拠となる資料であることにその貴重性と重要性があります。しかし、資料が膨大であること、調べる年代によって検索する目録が異なること、また、目録には「外何名」のように代表者の氏名のみが示され、調べたい人物の氏名が必ずしも明記されていないことなどの理由から、これらの記録の調査は決して容易なものではありません。
 今回の展示会で取り上げる予定の人物は高等学校などの歴史の教科書に多く登場する明治以降に活躍した人物、いわば著名な人物です。これらの人々を例として、国立公文書館の人物記録の内容や状況を紹介し、併せて歴史資料として重要な公文書などを保存することの大切さを理解していただくのが、この展示会の趣旨です。
●開催期間
 平成十一年五月十五日(土)から二十三日(日)まで   入場無料
●展示時間
 午前十時から午後五時まで
●開催場所
 国立公文書館1F展示ホール
 (営団地下鉄東西線「竹橋」駅下車徒歩五分)
 〒102―0091 東京都千代田区北の丸公園三―二 рO3―3214―0621
●展示予定の人物
 西郷隆盛、伊藤博文、大隈重信、原敬、湯川秀樹ほか
●出陳予定の主な資料
 西南戦争関係、日本国憲法ほか
<総理府>



    <5月12日号の主な予定>

 ▽農業白書のあらまし…………………農林水産省 

 ▽毎月勤労統計調査(一月分)………労 働 省 






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