官報資料版 平成11年11月4日




                  ▽平成十年賃金構造基本統計調査結果の概要……………………労 働 省

                  ▽統計からみた我が国の高齢者
                   ―敬老の日にちなんで― ………………………………………総 務 庁

                  ▽消費者物価指数の動向(東京都区部八月中旬速報値)………総 務 庁











平成10年


賃金構造基本統計調査結果の概要


労 働 省


T 調査の概要

 この調査は、我が国の賃金構造の実態を明らかにするため、毎年六月分の賃金等について実施しているものである。
 調査対象は、日本標準産業分類による九大産業(鉱業、建設業、製造業、電気・ガス・熱供給・水道業、運輸・通信業、卸売・小売業,飲食店、金融・保険業、不動産業及びサービス業)に属する五人以上の常用労働者を雇用する民営事業所及び十人以上の常用労働者を雇用する公営事業所から抽出した七万一千事業所である。
 本速報は、十人以上の常用労働者を雇用する約四万六千民営事業所(集計労働者数は約百二十三万人)に関する集計結果を取りまとめたものである。
 なお、パートタイム労働者と表現したもの以外で特に表記がない場合は、一般労働者についての記述である。

U 調査結果の概要

1 賃金、対前年比

 平成十年の賃金(六月分の所定内給与。以下同じ。)は、男女計で二十九万九千百円(平均三九・四歳、一一・六年勤続)、対前年比は〇・一%と比較可能な昭和三十七年以降で最低の伸びとなった(第1図参照)。
 男女別にみると、男性労働者は三十三万六千四百円(平均四〇・四歳、一三・一年勤続)、対前年比はマイナス〇・二%、女性労働者は二十一万四千九百円(平均三七・二歳、八・二年勤続)、同一・〇%となった。

2 男性労働者

(1) 年齢階級別にみた賃金、勤続年数
イ 男性労働者の賃金は、年齢計では三十三万六千四百円、対前年比はマイナス〇・二%となり、年齢階級別では二十五〜二十九歳、四十五〜五十四歳で前年を下回っている。
  賃金がピークとなるのは五十〜五十四歳で、四十三万二千三百円となっている(第1表参照)。
ロ 勤続年数は一三・一年となり、前年より〇・二年短くなった。
  前年との比較を年齢階級別にみると、十八〜十九歳、二十五〜二十九歳、五十五〜五十九歳の横ばいを除き短くなっている。
(2) 学歴別にみた賃金
イ 学歴別にみると、大卒の賃金は三十九万八千九百円(平均三八・三歳、一一・九年勤続)、高専・短大卒では三十万四百円(平均三四・四歳、九・二年勤続)、高卒三十一万三千九百円(平均四〇・二歳、一三・四年勤続)、中卒三十万三千円(平均五〇・一歳、一七・六年勤続)となっている。
  これを年齢階級別にみると、各学歴とも賃金がピークとなるのは前年と同じで、大卒は五十五〜五十九歳で五十九万二千六百円、他の学歴はすべて五十〜五十四歳がピークで、それぞれ高専・短大卒四十五万五千九百円、高卒四十万七千九百円、中卒三十三万八千二百円となっている。また、高卒及び中卒では中高年層全般(四十歳以上)で対前年比がマイナスとなっているが、高専・短大卒、大卒と学歴が高くなるほどこの傾向はみられなくなっている(第2表参照)。
ロ 二十〜二十四歳の賃金を一〇〇として年齢階級間の賃金格差を学歴別にみると、大卒では賃金がピークとなる五十五〜五十九歳では二七四となっている。五年前と今年との比較ではおおむね四十歳を境にそれ未満では拡大、それ以上では五十五〜五十九歳を除き縮小しており、前年と今年との比較では四十五〜四十九歳で四ポイント縮小しているほかは顕著な傾向はみられない。
  高専・短大卒ではピークは五十〜五十四歳で二三一となっている。五年前と今年との比較では三十五歳以上、特に四十歳代で縮小傾向が顕著にみられ、前年と今年との比較でも三十五歳以上でおおむね縮小傾向であり、四十五〜四十九歳では六ポイント縮小している。
  高卒ではピークは五十〜五十四歳で二〇五となっている。五年前と今年との比較では高専・短大卒と同様に三十五歳以上、特に四十歳代で縮小傾向が顕著にみられる一方、五十五〜五十九歳では拡大傾向となっており、前年と今年との比較では大きな変化はないが、四十歳以上で縮小傾向となっている。
(3) 企業規模別にみた賃金
イ 企業規模別にみると、大企業の賃金は三十八万九千三百円(平均三九・七歳、一六・六年勤続)で対前年比が〇・三%、中企業三十二万五千七百円(平均三九・七歳、一二・七年勤続)で同〇・一%、小企業三十万九百円(平均四一・六歳、一〇・四年勤続)で同マイナス〇・五%となっている。
  賃金がピークとなるのは各企業規模とも五十〜五十四歳で、それぞれ大企業五十二万二千五百円、中企業四十二万四千円、小企業三十五万七千二百円となっている(第3表参照)。
ロ 大企業の賃金を一〇〇として企業規模間の賃金格差をみると、中企業八四、小企業七七となっている。
  年齢階級別にみると、中企業では大きな変動はないものの、十年前と五年前との比較ではわずかながら格差が縮小の傾向を示していたのが、五年前と今年との比較では拡大の傾向に転じている。同様の傾向は小企業でもみられる。
(4) 賃金分布
イ 賃金階級別の労働者の分布をみると、二十万円未満が一二・九%(前年一二・九%)、二十万円台が三五・八%(同三五・五%)、三十万円台が二五・八%(同二五・七%)、四十万円台が一三・五%(同一三・八%)となっている。
  これを年齢階級別にみると、二十〜二十四歳では十六〜二十三万円台に約八割が集中しているのに対し、五十五〜五十九歳では三十二〜五十九万円台に約五割が分布し、それ以外の賃金階級に残りの五割が広く分散している。
ロ 散らばりが大きい五十五〜五十九歳について学歴別にみると、大卒では第1・十分位数が三十三万四千九百円、第9・十分位数八十四万五千六百円と差が約五十一万円となっており、高卒では第1・十分位数が二十一万一千三百円、第9・十分位数五十八万九千八百円と差が約三十八万円となっている(第4表参照)。
ハ これを各年齢階級別にみると、二十〜二十九歳では概ね各学歴とも重なり合っており、三十歳以上では年齢階級が上がるほど重なりの度合いは小さくなっている。
  なお、大卒の中位数と高卒の第9・十分位数を年齢階級別にみると、二十〜五十四歳では高卒の第9・十分位数が高くなっているが、五十五〜五十九歳ではほぼ等しくなっている。
(5) 標準労働者
イ 標準労働者(学校卒業後直ちに就職し、同一企業に継続勤務している者)の年齢階級別の賃金を学歴別にみると、大卒と高専・短大卒はともに五十五〜五十九歳が賃金のピークで、それぞれ大卒六十五万五千八百円、高専・短大卒五十五万九千六百円、高卒は五十〜五十四歳が賃金のピークで、五十二万六千四百円となっている(第5表参照)。
ロ 標準労働者の二十〜二十四歳の賃金を一〇〇として年齢階級間の賃金格差を学歴別にみると、大卒では賃金がピークとなる五十五〜五十九歳で三〇三となっている。五年前と前年を今年と比較すると、ともに概ね四十歳を境にそれ未満では拡大、それ以上では縮小の傾向を示している。
  高専・短大卒ではピークは五十五〜五十九歳で二八七となっている。五年前と今年との比較で顕著にみられるのは、四十五〜四十九歳では縮小で五十歳代では拡大している点であり、前年と今年との比較でもこれらの年齢階級で同じ傾向を示している。
  高卒ではピークは五十〜五十四歳で二六六となっている。五年前と今年との比較では、すべての年齢階級で縮小傾向を示しており、前年と今年との比較でもわずかに同様の傾向があるが、五十〜五十四歳以外では大きな変化はみられない(第5表参照)。

3 女性労働者

(1) 年齢階級別にみた賃金、勤続年数
イ 女性労働者の賃金は年齢計では二十一万四千九百円、対前年比は一・〇%と四年連続で一%台となっており、年齢階級別には五十五〜五十九歳でわずかに前年を下回っているほかは、〇〜二%台の増加となっている。
  賃金がピークとなるのは、前年同様三十五〜三十九歳で、二十四万七百円となっている(第6表参照)。
ロ 勤続年数は八・二年で、前年より〇・二年短くなっており、これを年齢階級別に前年と比較すると、五十〜五十四歳でわずかに長くなっているのを除きいずれも横ばいか短くなっている。勤続年数二十年以上の長期勤続者の割合は一〇・〇%となり、前年に比べて〇・三ポイント低下している。
(2) 学歴別にみた賃金
イ 学歴別にみると、大卒の賃金は二十七万四千四百円(平均三一・三歳、五・八年勤続)、高専・短大卒二十二万七千九百円(平均三一・〇歳、六・二年勤続)、高卒二十万三千九百円(平均三八・五歳、八・八年勤続)、中卒十七万九千七百円(平均五二・一歳、一二・八年勤続)となっている。
  賃金がピークとなるのは、大卒と高専・短大卒が五十五〜五十九歳、高卒と中卒が五十〜五十四歳で、それぞれ大卒四十六万六千四百円、高専・短大卒三十一万二千円、高卒二十二万六千円、中卒十八万九千百円となっている(第7表参照)。
ロ 二十〜二十四歳の賃金を一〇〇として年齢階級間の賃金格差を学歴別にみると、大卒では賃金がピークとなる五十五〜五十九歳が二二八となっている。十年前と五年前との比較では三十五歳以上で縮小、五年前と今年との比較では五十〜五十四歳を除き拡大している。
  高専・短大卒ではピークは五十五〜五十九歳で一六六となっている。十年前と五年前との比較では三十歳以上で縮小、五年前と今年との比較では五十五〜五十九歳の縮小以外は大きな変化はみられない。
  高卒ではピークは五十〜五十四歳で一二九となっている。十年前と五年前との比較では縮小、五年前と今年との比較では大きな変化ではないものの、四十歳未満で拡大、四十歳以上で縮小している。
(3) 企業規模別にみた賃金
イ 企業規模別にみると、大企業の賃金は二十四万三百円(平均三四・一歳、九・三年勤続)、中企業二十一万五千八百円(平均三六・七歳、七・九年勤続)、小企業十九万八千三百円(平均三九・五歳、七・九年勤続)となっている。
  賃金がピークとなるのは、大企業は五十〜五十四歳、中企業と小企業は三十五〜三十九歳で、それぞれ大企業二十九万四千円、中企業二十四万五千五百円、小企業二十一万四千七百円となっている(第8表参照)。
ロ 大企業の賃金を一〇〇として企業規模間の賃金格差をみると、中企業が九〇、小企業八三となり、中・小企業とも十年前から縮小傾向であり、年齢階級別にみても、ほぼ同様に縮小傾向を示している。
(4) 賃金分布
イ 賃金階級別の労働者の分布をみると、二十万円未満が五二・四%(前年五四・七%)、二十万円台が三六・三%(同三四・一%)となっている。
  これを年齢階級別にみると、各年齢階級とも三十万円未満が概ね八割以上となっている。
ロ 散らばりの広がりを学歴別にみると、大卒では五十五〜五十九歳で第1・十分位数が二十万六千七百円、第9・十分位数六十五万五千七百円と差が約四十五万円、高専・短大卒では五十五〜五十九歳で第1・十分位数が十六万一千四百円、第9・十分位数四十九万九千五百円と差が約三十四万円、高卒では五十〜五十四歳で第1・十分位数が十三万一千二百円、第9・十分位数三十五万七千七百円と差が約二十三万円となっている(第9表参照)。
ハ これを各年齢階級別にみると、二十〜二十九歳では各学歴とも概ね重なり合っており、三十歳以上の各年齢階級では高卒の中位の者の賃金が大卒の第1・十分位の者の賃金より概ね低くなっている。
(5) 標準労働者
イ 標準労働者の賃金を学歴別にみると、ピークとなるのは各学歴とも五十五〜五十九歳で、それぞれ大卒五十五万六千九百円、高専・短大卒四十三万一千五百円、高卒三十九万五千九百円となっている(第10表参照)。
ロ 標準労働者の二十〜二十四歳の賃金を一〇〇として年齢階級間の賃金格差を学歴別にみると、大卒では賃金がピークとなる五十五〜五十九歳では二七二となっており、前年との比較では、四十〜四十四歳での拡大と四十五歳以上での縮小が顕著である。
  高専・短大卒のピークは五十五〜五十九歳で二三三となっており、前年との比較では、四十歳代での拡大と五十歳代での縮小が顕著である。
  高卒のピークは五十五〜五十九歳で二二三となっており、前年との比較では、四十〜四十四歳での縮小が顕著である(第11表参照)。
ハ 男性標準労働者の賃金を一〇〇として、年齢階級別の男女間賃金格差を学歴別にみると、概ね学歴が高くなるほど格差が小さくなっている(第12表参照)。

4 女性パートタイム労働者

(1) 企業規模別にみた賃金
 女性パートタイム労働者の一時間当たりの賃金は八百八十六円となり、これを企業規模別にみると、大企業九百四円、中企業九百一円、小企業八百六十一円となっている。
 大企業の賃金を一〇〇として企業規模間の賃金格差をみると、中企業一〇〇、小企業九五で中企業が大企業と同水準となっており、中企業、小企業とも五年前と今年との比較では格差は縮小しているが、前年と今年との比較では変化していない(第13表参照)。
(2) 実労働日数、所定内実労働時間数、勤続年数
 実労働日数(平成十年六月)は、平成五年から六年にかけて増加したが、それ以降は減少し続け、一九・四日となっている。
 一日当たりの所定内実労働時間数は、平成五年から九年までは、平成八年を除き五・七時間であったが、今年は五・五時間となっている。
 勤続年数は四・八年となり、平成五年から九年までほぼ伸び続けていたのが、前年より〇・三年短くなった(第14表参照)。


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統計からみた


我が国の高齢者


―敬老の日にちなんで―


総 務 庁


 総務庁統計局では、敬老の日にちなみ、統計からみた我が国の高齢者の姿について取りまとめた。

高齢者人口の現状と将来

1 六十五歳以上人口は二千百十六万人、総人口の六人に一人の割合(一六・七%)
(1) 平成十一年九月十五日現在における我が国の六十五歳以上人口(推計)は二千百十六万人で、総人口の一六・七%を占め、六人に一人が六十五歳以上の高齢者となっている。一年前の平成十年九月十五日と比べ、人口は六十七万人増加、割合は〇・五ポイント上昇し、人口、割合ともに過去最高となった。
(2) 六十五歳以上人口を男女別にみると、男性は八百八十一万人(男性の総人口の一四・二%)、女性は一千二百三十六万人(女性の総人口の一九・一%)で、女性が男性より三百五十五万人多くなっている。
  なお、女性は、六十五歳以上人口の五八・四%、七十五歳以上人口の六五・一%、八十五歳以上人口の七一・〇%を占めており、高齢になるほど女性の割合が高くなっている(第1表第1図参照)。
2 増加が続く六十五歳以上人口
(1) 総人口に占める六十五歳以上人口の割合の推移をみると、第一回国勢調査が行われた大正九年以降、昭和二十五年ごろまでは五%程度で推移していたが、その後は年を追って上昇し、六十年には総人口の一〇・三%と一〇%を超えて、総人口の十人に一人の割合となった。この割合は近年では毎年〇・五ポイント程度上昇しており、平成十一年には一六・七%となり、総人口の六人に一人の割合となっている(第2表第2図参照)。
(2) 国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、六十五歳以上人口は今後も増加を続け、平成十二年(二〇〇〇年)に二千百八十七万人(総人口に占める割合は一七・二%)となり、二十七年(二〇一五年)には三千百八十八万人(同二五・二%)と、総人口の四人に一人が六十五歳以上になると見込まれている(第2表第2図参照)。
(3) 生産年齢人口に対する高齢者の比率(老年人口指数・第2表注2参照)をみると、昭和二十五年の八・三(十五〜六十四歳人口十二人に対し六十五歳以上人口一人)から、四十五年は一〇・三、平成二年は一七・三、七年は二〇・九と次第に上昇し、平成十一年には前年を〇・八ポイント上回って二四・四(同四・一人に対し一人)となっている(第2表参照)。
3 欧米諸国に比較して急速な我が国の人口の高齢化
(1) 諸外国の総人口に占める六十五歳以上人口の割合をみると、調査年次に相違はあるものの、スウェーデン、イタリアが一七・四%、ギリシャが一六・四%、ドイツが一五・八%、イギリスが一五・七%、フランスが一五・四%などとなっており、我が国の六十五歳以上人口の割合(一六・七%)は、スウェーデン、イタリアに次いで高い水準となっている(第3表参照)。
(2) 六十五歳以上人口の割合が七%(注)から倍の一四%に達した所要年数(倍化年数)をみると、スウェーデンでは八十五年、イギリスでは四十六年、フランスでは百十六年を要しているのに対し、我が国の場合、昭和四十五年(一九七〇年)の七・一%から平成六年(一九九四年)には一四・一%となり、所要年数はわずか二十四年となっている。
  国立社会保障・人口問題研究所の推計によると、我が国の六十五歳以上人口の割合は、今後も上昇を続け、国際的にみても極めて急速な高齢化が予測されている(第3図参照)。
  注…国連は、六十五歳以上人口(老年人口)の割合が七%を超える国を高齢化人口国とする基準を示している。

高齢者の就業状況

1 諸外国に比べ高い水準にある高齢者の労働力人口比率
 平成十年の六十五歳以上の高齢者の労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は四百八十五万人、労働力人口比率(注)は二三・八%で、およそ四人に一人が労働力人口となっている。男女別にみると、男性は労働力人口が三百四万人、労働力人口比率が三五・九%で、女性はそれぞれ百八十一万人、一五・二%となっている。
 欧米諸国の労働力人口比率をみると、アメリカ(一一・九%)以外はいずれも一〇%を下回っており、我が国は欧米諸国に比べ、男女とも高い水準にあるといえる。なお、韓国の労働力人口比率は三〇・一%(男女計)と我が国よりも高い(第4表参照)。


2 高齢者の労働力人口比率は低下傾向
 六十五歳以上の労働力人口は一貫して増加しているものの、労働力人口比率は平成四年の二五・四%をピークに低下を続け、平成十年には二三・八%となっている(第4図参照)。
 平成五年以降、労働力人口比率が低下しているのは、六十五〜六十九歳の労働力人口比率が低下傾向にあることに加え、労働力人口比率が低い七十歳以上人口が六十五〜六十九歳人口の伸びを上回って大きく増加したためである(第5表参照)。
3 高齢就業者の約三割が農林業就業者
 六十五歳以上の高齢就業者四百七十六万人を産業別にみると、農林業が百三十八万人(高齢就業者の二九・〇%)と約三割を占めて最も多く、次いでサービス業が百四万人(同二一・八%)、「卸売・小売業、飲食店」が九十四万人(同一九・七%)、製造業が六十万人(同一二・六%)となっている(第6表参照)。
4 高齢就業者の約四割が自営業主
 六十五歳以上の高齢就業者を従業上の地位別にみると、雇用者が二百四万人(高齢就業者の四二・九%)と最も多いものの、自営業主が百八十九万人(同三九・七%)と約四割を占め、就業者全体に占める自営業主の割合(一一・七%)の三倍以上となっている。また、自営業主のうち、四割以上が農林業の就業者となっている(第7表参照)。

高齢者世帯と住宅事情

1 増加する高齢者のいる世帯
 平成十年十月一日現在で実施した「住宅・土地統計調査」によると、高齢者のいる世帯数は一千三百八十七万世帯で世帯全体(四千三百八十九万世帯)の三一・六%を占めている。
 高齢者のいる世帯は、平成五年の一千百七十六万世帯から二百十万世帯(一七・九%)増加し、世帯全体に占める割合は、平成五年の二八・九%から二・七ポイント上昇した。
 高齢者のいる世帯の内訳をみると、高齢単身世帯が二百四十二万世帯、高齢夫婦世帯が三百四十九万世帯で、高齢者のいる世帯のそれぞれ一七・五%、二五・二%を占めている(第5図参照)。
 五年前と比べると、高齢単身世帯が六十万世帯、高齢夫婦世帯が八十八万世帯、その他の高齢者世帯が六十二万世帯増加している。これを増加率でみると、それぞれ三三・二%、三三・八%、八・四%となっており、高齢単身世帯と高齢夫婦世帯の増加が著しい。
 注…ここでは、高齢者のいる世帯(六十五歳以上の者のいる世帯)を次の三つの型に区分している。
   ・高齢単身世帯…六十五歳以上の単身者のみの主世帯
   ・高齢夫婦世帯…夫婦とも若しくはいずれか一方が六十五歳以上の夫婦一組のみの主世帯
   ・その他の高齢者世帯…高齢者のいる主世帯から右記の二つを除いたもの
2 高齢者のいる世帯の八割以上が持ち家に居住
 高齢者のいる世帯の持ち家率は、八五・二%に達しており、世帯全体の六〇・三%に比べかなり高くなっている。このうち、高齢夫婦世帯が八四・九%、その他の高齢者世帯が九一・四%と、いずれも高い持ち家率となっているのに対し、高齢単身世帯では、六五・三%と相対的に低い。
3 設備水準が相対的に低い高齢単身世帯の住宅
 高齢者のいる世帯が住んでいる住宅のうち、水洗便所(浄化槽による水洗便所を含む。)のある住宅の割合(水洗化率)は七四・八%と、住宅全体の水洗化率八三・〇%より八・二ポイント低くなっている。特に高齢単身世帯が住んでいる住宅が七〇・五%と低く、その他の高齢者世帯が住んでいる住宅は七五・三%、高齢夫婦世帯が住んでいる住宅は七六・五%となっている。
 また、高齢者のいる世帯が住んでいる住宅のうち、浴室のある住宅の割合(浴室保有率)は九六・三%で、住宅全体の浴室保有率九五・五%より〇・八ポイント高くなっている。そのうち高齢夫婦世帯が住んでいる住宅及びその他の高齢者世帯が住んでいる住宅が、それぞれ九六・九%、九八・六%と高い保有率であるのに対し、高齢単身世帯が住んでいる住宅は八八・二%と、住宅全体の水準より七・三ポイント低くなっている。
 洗面所の保有率については、高齢者のいる世帯が住んでいる住宅が八八・七%と、住宅全体の保有率八五・五%より高くなっている。このうち高齢夫婦世帯が住んでいる住宅とその他の高齢者世帯が住んでいる住宅は、ともに八九・四%、九二・七%と高い保有率となっているが、高齢単身世帯が住んでいる住宅は七四・四%と、かなり低い水準にとどまっている(第6図参照)。

高齢者世帯の消費と貯蓄

1 高齢無職世帯の収入の八四%は社会保障給付
 二人以上の世帯について、世帯主が六十五歳以上で無職の世帯(世帯主が六十五歳以上の世帯全体の六四・〇%、平均世帯人員二・三七人、世帯主の平均年齢七二・〇歳)の平成十年の実収入をみると、一世帯当たり一か月平均二十六万八百三十円となっている。内訳をみると、公的年金などの社会保障給付(二十一万八千六百二十七円)が実収入の八三・八%を占めている。
 消費支出は、二十五万一千六百七十七円で、可処分所得(二十三万八千七百十三円)を一万二千九百六十四円上回っており、不足分は貯蓄の取り崩しなどで賄っている(第7図参照)。
2 高齢勤労者世帯の主な収入は、世帯主の勤め先収入と社会保障給付
 二人以上の世帯について、世帯主が六十五歳以上の勤労者世帯(世帯主が六十五歳以上の世帯全体の一二・八%、平均世帯人員二・五一人、世帯主の平均年齢六八・〇歳)の平成十年の実収入をみると、一世帯当たり一か月平均四十八万二千八百二十三円となっている。内訳をみると、世帯主の勤め先収入(二十四万一千五百三十四円)が実収入の五〇・〇%を、社会保障給付(十七万七千六百七円)が三六・八%を占めている。
 可処分所得は四十三万一千八百二十円で、そのうち消費支出は三十一万二百六十六円、貯蓄などの黒字は十二万一千五百五十四円となっている(第8図参照)。
3 高齢者世帯の貯蓄現在高は有業者世帯で約二千五百万円、無職世帯で約二千二百万円
 二人以上の世帯について、世帯主が六十五歳以上の世帯の一世帯当たり貯蓄現在高をみると、平成十年十二月三十一日現在で、有業者世帯(全世帯から世帯主が無職の世帯を除いたもの)が二千四百八十六万円、無職世帯が二千百六十六万円となっており、これを世帯主が六十五歳未満の世帯の貯蓄現在高一千四百八十七万円と比べると、有業者世帯で約一・七倍、無職世帯で約一・五倍となっている。
 また、内訳を比べると、定期性預貯金が有業者世帯で約一・九倍、無職世帯で約一・七倍、有価証券が有業者世帯で約二・八倍、無職世帯で約二・三倍となっている(第9図参照)。
4 平均消費性向が高い六十歳以上の単身無職世帯
 単身世帯について、六十歳以上で無職の世帯(平均年齢七二・一歳)の平成十年の実収入をみると、一世帯当たり一か月平均十二万四千七百二十円となっている。内訳をみると、公的年金などの社会保障給付(十一万五百十九円)が実収入の八八・六%を占めている(第10図参照)。
 可処分所得に占める消費支出の割合(平均消費性向)は一二一・二%で、世帯主が六十歳以上の二人以上の無職の世帯(一一一・三%)に比べて九・九ポイント高くなっている。

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消費者物価指数の動向


―東京都区部(八月中旬速報値)・全国(七月)―


総 務 庁


◇八月の東京都区部消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・六となり、前月比は〇・三%の上昇。前年同月比は五月〇・六%の下落、六月〇・四%の下落、七月〇・一%の下落と推移した後、八月は〇・三%の上昇となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は、一〇一・五となり、前月と同水準。前年同月比は五月〇・二%の下落、六月〇・一%の下落、七月〇・一%の下落と推移した後、八月は〇・一%の下落となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇二・四となり、前月に比べ一・三%の上昇。
 生鮮魚介は七・九%の上昇。
  <値上がり> さんま、あじなど
  <値下がり> いか、さけなど
 生鮮野菜は一〇・一%の上昇。
  <値上がり> レタス、キャベツなど
  <値下がり> なす、ねぎなど
 生鮮果物は三・三%の下落。
  <値下がり> ぶどう(デラウェア)、ももなど
(2) 被服及び履物は一〇〇・五となり、前月に比べ一・〇%の下落。
 衣料は一・七%の下落。
  <値下がり> 背広服(夏物)など
(3) 交通・通信は一〇〇・〇となり、前月に比べ〇・二%の上昇。
 交通は〇・五%の上昇。
  <値上がり> 航空運賃など

三 前年同月との比較

○ 上昇した主な項目
 生鮮野菜(一六・一%上昇)、家賃(〇・九%上昇)、生鮮魚介(三・八%上昇)、菓子類(四・〇%上昇)
○ 下落した主な項目
 肉類(三・三%下落)、電気代(二・八%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・九となり、前月に比べ〇・五%の上昇となった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇一・七となり、前月に比べ〇・一%の上昇となった。

◇七月の全国消費者物価指数の動向

一 概 況

(1) 総合指数は平成七年を一〇〇として一〇一・八となり、前月比は〇・四%の下落。前年同月比は四月〇・一%の下落、五月〇・四%の下落、六月〇・三%の下落と推移した後、七月は〇・一%の下落となった。
(2) 生鮮食品を除く総合指数は一〇二・〇となり、前月比は〇・三%の下落。前年同月比は四月〇・一%の下落、五月〇・〇%、六月〇・〇%と推移した後、七月は〇・〇%となった。

二 前月からの動き

(1) 食料は一〇一・八となり、前月に比べ〇・四%の下落。
 生鮮魚介は一・六%の下落。
  <値上がり> あじ、かれいなど
  <値下がり> いか、かつおなど
 生鮮野菜は六・八%の上昇。
  <値上がり> きゅうり、ほうれんそうなど
  <値下がり> トマト、ばれいしょなど
 生鮮果物は一四・三%の下落。
  <値上がり> グレープフルーツ、オレンジなど
  <値下がり> すいか、メロン(アンデスメロン)など
(2) 光熱・水道は一〇〇・八となり、前月に比べ〇・四%の下落。
 電気・ガス代は〇・五%の下落。
  <値下がり> 電気代など
(3) 家具・家事用品は九四・六となり、前月に比べ〇・二%の下落。
 家庭用耐久財は〇・五%の下落。
  <値下がり> ルームエアコンなど
(4) 被服及び履物は一〇三・〇となり、前月に比べ三・五%の下落。
 衣料は四・〇%の下落。
  <値下がり> スーツ(夏物)など
(5) 保健医療は一一一・二となり、前月に比べ一・五%の下落。
 保健医療サービスは二・七%の下落。
  <値下がり> 診察料
(6) 交通・通信は九七・四となり、前月に比べ〇・三%の上昇。
 自動車等関係費は〇・三%の上昇。
  <値上がり> ガソリン(レギュラー)など

三 前年同月との比較

○ 上昇した主な項目
 授業料等(一・七%上昇)、たばこ(七・八%上昇)
○ 下落した主な項目
 電気代(二・六%下落)
 (注) 上昇又は下落している主な項目は、総合指数の上昇率に対する影響度(寄与度)の大きいものから順に配列した。

四 季節調整済指数

 季節調整済指数をみると、総合指数は一〇一・九となり、前月と変わらなかった。
 また、生鮮食品を除く総合指数は一〇二・〇となり、前月と変わらなかった。

























    <11月10日号の主な予定>

 ▽厚生白書のあらまし……………………厚 生 省 

 ▽毎月勤労統計調査(六月分)…………労 働 省 

 ▽月例経済報告(十月報告)……………経済企画庁 




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