官報資料版 平成11年11月24日




                  ▽犯罪白書のあらまし………法 務 省

                  ▽労働力調査(八月)………総 務 庁











犯罪白書のあらまし


―犯罪被害者と刑事司法―


法 務 省


 平成十一年版の犯罪白書は、去る十一月十二日の閣議に報告され、同日公表された。白書のあらましは、次のとおりである。

<はじめに>

 本白書は、平成十年を中心とした最近の犯罪動向と犯罪者処遇の実情を概観するとともに、特集として「犯罪被害者と刑事司法」を取り上げている。
 犯罪の防止及び犯罪者の処遇と並んで犯罪被害者の保護・救済は、刑事政策の重要な課題であるが、従来、ややもすると前者に関心が払われ、後者については比較的関心が薄かったように思われる。しかし、被害者は、犯罪により直接痛みを受けたものであり、被害者を保護・救済することが刑事司法に対する国民の信頼確保の面からも重要であることはいうまでもない。
 近年、諸外国においては、様々な角度から犯罪被害者問題に対する取組が行われ、被害者施策も進展してきているところであり、我が国でも、近時、犯罪の被害者が犯罪による直接的な被害に加えて、精神面、生活面等で深刻な影響を受けていることについて国民の間に認識が深まり、被害者問題に対する関心が高まっている。
 これを受けて、刑事司法機関においても、検察庁で全国的に統一した被害者等通知制度が導入されるなど、犯罪被害者の保護・支援の観点から様々な取組が進められており、犯罪被害者問題は、現下の緊要な課題の一つであるといえる。
 そこで、本白書は、特集として、「犯罪被害者と刑事司法」を取り上げ、犯罪被害の実態や刑事手続における被害者に対する配慮及び被害者救済の実情、諸外国における被害者施策等を概観し、必要な分析を加えることにより、効果的な犯罪被害者施策を講ずる上で役に立つ資料を提供しようとするものである。
 本白書の構成は五編から成り、第一編では、最近の犯罪動向等を、第二編では、検察、裁判、矯正及び保護の各段階における成人犯罪者の処遇及び刑事司法における国際協力の実情を、第三編では、少年非行の動向と非行少年の処遇を、第四編では、各種の犯罪と犯罪者の実情等をそれぞれ紹介し、第五編では、犯罪被害者と刑事司法について記述している(なお、本稿の構成は、要約の便宜上、本白書の構成と一部異なるところがある。)。

<第一編> 犯罪の動向

一 刑法犯の概況第1図第1表参照

 1 認知件数・検挙人員
 平成十年における警察による刑法犯の認知件数は、戦後最高の二百六十九万二百六十七件(前年より十七万二千百九十三件増)となっている。交通関係業過(道路上の交通事故に係る業務上過失致死傷及び重過失致死傷をいう。)を除く刑法犯認知件数についても、十年は、二百三万三千五百四十六件(同十三万三千九百八十二件増)と、戦後最高の数値を示している。
 平成十年の刑法犯認知件数を罪名別に見ると、窃盗が最も多く、次いで交通関係業過となっており、両者で全体の約九〇%を占めているが、この傾向は過去十年間に大きな変化はない。
 平成十年における警察による刑法犯の検挙人員は、百万六千八百四人となっており、これを罪名別にみると、交通関係業過が最も多く、次いで窃盗となっており、両者で全体の八〇%以上を占めている。
 また、交通関係業過を除く刑法犯の検挙人員のうち女子は七万二千七百二十三人で、女子の占める比率(女子比)は、戦後最高となった平成九年と同じ二二・四%である。

 2 発生率・検挙率
 平成十年における刑法犯の発生率(認知件数の人口十万人当たりの比率)は、二、一二七(前年より一三一上昇)と、戦後の最高数値を示し、交通関係業過を除く刑法犯の発生率は、昭和三十年以来約四十三年ぶりに一、六〇〇を超えて一、六〇八(同一〇二上昇)となっている。
 平成十年における交通関係業過を除く刑法犯の検挙率は、三八・〇%(前年比二・〇ポイント低下)となっている。
 検挙率を罪名別にみると、殺人は過去十年間九五%を超え、平成十年は九七・七%(前年比二・一ポイント上昇)、強盗は八年以降やや低下傾向にあり、十年は七六・三%(同三・二ポイント低下)となっている。また、窃盗は、二年以降三〇%台で推移しており、十年は三三・四%(同一・八ポイント低下)となっている。

 3 主要刑法犯の動向
 凶悪犯では、殺人及び強盗共に、平成十年は、前年と比べ、認知件数、検挙件数及び検挙人員が、それぞれ増加した。
 粗暴犯では、前年と比べ、認知件数は脅迫以外の三罪種(傷害、暴行及び恐喝)でそれぞれ増加したが、検挙件数及び検挙人員は、恐喝を除いてそれぞれ減少した。
 財産犯では、前年と比べ、認知件数、検挙件数及び検挙人員のいずれも、窃盗及び遺失物等横領は増加し、詐欺及び遺失物等横領を除く横領は減少した。

二 特別法犯の概況

 平成十年における特別法犯の検察庁新規受理人員総数は、前年より二万四千七百五十八人(二・一%)減少して、百十四万三千七百十四人となっており、これを罪名別にみると、道路交通法違反が百一万八千三百五十五人(総数の八九・〇%)と最も多く、次いで、自動車の保管場所の確保等に関する法律違反が三万九千八百七十二人(総数の三・五%)となっていて、両者で特別法犯の九〇%以上を占めている。
 また、交通関係法令違反を除いた特別法違反の構成比を見ると、覚せい剤取締法違反、毒劇法違反等の薬物関係犯罪が最も高く、以下、入管法違反等の外事関係犯罪、銃刀法違反等の保安関係犯罪の順となっている。

三 諸外国の犯罪動向との対比第2表参照

 我が国とアメリカ、イギリス(イングランド及びウェールズをいう。以下同じ。)、ドイツ及びフランスの四か国について、一九九五年から一九九七年までの三年間における殺人の発生率及び検挙率を比較すると、我が国の発生率は、五か国の中では最も低い。また、検挙率については、我が国は九五%を超える高い水準で推移しており、他の四か国よりも高くなっている。

<第二編> 犯罪者の処遇

一 検察

 1 罪名・処理区分別の検察庁終局処理人員第3表参照
 平成十年における検察庁の終局処理人員総数は二百十二万五十七人(前年比一・〇%増)で、その処理別内訳は、公判請求が四・九%、略式命令請求が四八・三%、起訴猶予が三一・二%などとなっており、起訴率は六一・九%、起訴猶予率は三七・〇%となっている。
 さらに、交通関係業過を除く刑法犯の起訴率は五八・二%(同一・四ポイント増)、起訴猶予率は三四・九%(同一・六ポイント減)で、交通関係業過の起訴率は一二・九%(同一・七ポイント減)、起訴猶予率は八六・八%(同一・七ポイント増)となっている。また、道交違反(道路交通法違反及び自動車の保管場所の確保等に関する法律違反をいう。)を除く特別法犯の起訴率は七四・五%(同〇・八ポイント減)、起訴猶予率は二二・三%(同〇・五ポイント増)で、道交違反の起訴率は九三・四%(同〇・六ポイント減)、起訴猶予率は六・二%(同〇・六ポイント増)となっている。
 また、平成十年の終局処理人員の罪名別構成比では、道交違反が五〇・六%と最も高く、交通関係業過の三二・一%がこれに続いているが、両者を除いた構成比では、窃盗四〇・四%、横領一〇・七%、傷害七・三%、覚せい剤取締法違反六・一%となっている。

 2 検察庁既済事件の逮捕・勾留状況
 平成十年における交通関係業過及び道交違反を除く検察庁既済事件(三十六万四千五百八十三人)のうち、被疑者が逮捕された事件(身柄事件)の占める比率(身柄率)は、二九・九%(十万九千百五十六人)であり、これを罪名別に見ると、強姦(八三・〇%)が最も高く、以下、強盗(七六・五%)、覚せい剤取締法違反(七〇・一%)、殺人(六四・八%)、恐喝(四九・九%)、銃刀法違反(四八・六%)の順となっている。
 また、身柄事件のうち、検察官によって勾留請求された事件の占める比率(勾留請求率)は、九一・六%となっており、勾留請求された事件のうち、裁判官によって勾留が認容された事件の比率(認容率)は九九・八%である。

二 裁判

 1 第一審裁判所の通常手続による終局処理人員第4表参照
 平成九年における地方裁判所、家庭裁判所及び簡易裁判所の第一審裁判所としての通常の公判手続による終局処理人員総数は六万六千百七十人(前年比三・九%増)であり、そのうち死刑は三人、無期懲役は三十三人、無罪は六十八人(総数の〇・一%)となっている。
 このうち、地方裁判所及び家庭裁判所による第一審における終局処理人員五万六千九百二十一人について罪名別に見ると、最も多いのは覚せい剤取締法違反の一万四千六百四十八人(総数の二五・七%)で、以下、道交違反七千六百二十一人(同一三・四%)、窃盗五千六百八十七人(同一〇・〇%)、入管法違反五千百十四人(同九・〇%)、業過(業務上過失致死傷及び重過失致死傷をいう。)四千五百三十九人(同八・〇%)、詐欺三千四百五十九人(同六・一%)の順となっている。
 一方、簡易裁判所における通常手続による終局処理人員九千二百四十九人については、懲役言渡し人員八千三百七十八人の九五・四%(七千九百九十六人)が窃盗、罰金言渡し人員六百六十七人の四七・五%(三百十七人)が業過及び道交違反によるものである。また、略式手続によって罰金又は科料に処された者百五万三千八百四十人を罪名別に見ると、道交違反の九十二万九千二百五十九人(略式手続総数の八八・二%)が最も多く、業過の八万三千七百四十六人(同七・九%)がこれに次いでいる。
 なお、裁判確定人員についての懲役刑の執行猶予率を見ると、昭和三十年代後半以降、おおむね五〇%台で推移したが、平成に入ってからは上昇傾向が見られ、六年以降は六〇%台を示し、十年は六三・〇%である。

 2 第一審の量刑
 平成九年における地方裁判所及び簡易裁判所の第一審裁判所としての有期の懲役及び禁錮の科刑状況を見ると、刑期が一年以上二年未満の者が全体の四九・七%と最も多く、次いで、二年以上三年以下が二一・三%、六月以上一年未満が一三・八%となっている。また、無期を含めて刑期が十年を超える者は総数で百八十六人で、これを罪名別に見ると、殺人(百八人)が最も多く、以下、強盗(五十一人)、放火及び強姦(各七人)、詐欺、覚せい剤取締法違反及び麻薬取締法違反(各二人)の順となっている。
 なお、平成十年の通常第一審における死刑言渡し人員は七人で、殺人が五人、強盗致死が二人となっている。また、無期懲役言渡し人員は四十七人で、殺人が十三人、強盗致死が三十三人等となっている。

三 成人矯正

 1 行刑施設一日平均収容人員の推移
 平成十年における行刑施設の一日平均収容人員は五万一千九百八十六人(前年比三・八%増)であり、そのうち受刑者は四万二千六百十一人(同四・〇%増)、未決拘禁者は九千六十人(同二・三%増)である。
 なお、行刑施設の一日平均収容人員は、昭和六十一年に五万五千三百四十八人のピークがあり、六十二年以降は減少して平成四年には四万四千八百七十六人となったものの、五年から増加に転じている。

 2 新受刑者数の推移
 新受刑者数は、平成四年を底に、以降、漸増傾向にあり、十年は、前年より四百三十四人(一・九%)増加して二万三千百一人となっている。
 平成十年における新受刑者の罪名のうち構成比の高いものをみると、窃盗(二八・三%)、覚せい剤取締法違反(二五・八%)、詐欺(七・二%)、道路交通法違反(六・二%)、傷害(五・七%)の順となっている。

 3 平成五年出所者の再入状況
 平成五年における出所者について、五年を経過した十年末までの再入状況を出所事由別に見ると、満期釈放による者の約五〇%、仮釈放による者の約三〇%は、いずれも四年以内に再入しており、前者は後者に比べると再入率が高い。
 なお、平成元年から五年までの出所者について、出所年を含む五年間に再入した者の累積の比率の推移を見ると、三年までに出所した者についてはおおむね横ばい傾向にあったが、四年及び五年に出所した者については若干上昇している。

四 更生保護

 1 仮出獄の許可人員及び仮出獄率
 仮出獄許可人員は、昭和五十九年の一万八千八百九十七人をピークに、その後平成八年までは減少傾向を示していたが、九年以降増加し、十年には、一万三千百二十六人(前年比一・二%増)となっている。仮出獄率は、平成元年以降五六%台ないし五八%台で推移しており、十年は、五八・二%(同〇・一ポイント減)である。

 2 保護観察事件の受理状況
 平成十年の保護観察新規受理人員(保護観察処分少年及び少年院仮退院者を含む。)は、七万七千二百六十六人(前年比一・六%増)で、これを保護観察の種類別に見ると、仮出獄者は一万二千九百四十八人(同〇・九%増)、保護観察付き執行猶予者は五千二百八十二人(同四・九%増)となっている。
 仮出獄者は、昭和五十九年のピークには一万八千七百十八人であったが、平成四年以降は一万二千人台で推移している。保護観察付き執行猶予者は、昭和五十年代には七千人台から八千人台であったが、平成元年以降は、四千人台から五千人台で推移している。

 3 保護観察期間中の再犯の状況
 保護観察期間中に、再度罪を犯し、かつ、新たな処分を受けた者の比率(再犯率)は、近年、仮出獄者についてはおおむね一%前後で、また、保護観察付き執行猶予者についてはおおむね三〇%台で、それぞれ推移している。

<第三編> 少年非行の動向と非行少年の処遇

一 少年非行の動向と特質

 1 少年刑法犯検挙人員第2図参照
 少年刑法犯検挙人員は、昭和五十九年以降減少傾向を示していたが、平成八年以降増加に転じ、十年には二十二万一千四百十人(前年比二・七%増)となっている。また、人口比(十歳以上二十歳未満の少年人口千人当たりの検挙人員の比率)も、八年以降上昇し、十年には一五・〇となっている。
 さらに、平成五年以降は五〇%を下回っていた刑法犯検挙人員(交通関係業過を除く。)における少年比も、十年には前年に続いて五〇%を超えて五二・五%となっている。

 2 罪名別にみた少年の検挙人員・送致人員
 平成十年の交通関係業過を除く少年刑法犯検挙人員を罪名別にみると、窃盗が六五・八%と多数を占め、横領(遺失物横領を含む。)も一九・五%を占めている。
 一方、平成元年以降増加傾向にあった強盗は、前年比七・九%減の一千五百六十六人となっており、また、近年七十人台から九十人台で推移していた殺人は、前年比五六・〇%増の百十七人となっている。

二 非行少年の処遇

 1 少年事件の検察及び裁判
 平成九年における交通関係業過、道交違反及び虞犯を除く少年保護事件の家庭裁判所終局処理人員は十四万五千四百七十四人(前年比一四・四%増)で、その非行名別構成比を見ると、窃盗(六〇・三%)が最も高く、以下、遺失物等横領を含む横領(二〇・一%)、傷害(五・四%)、恐喝(三・八%)、毒劇法違反(二・二%)の順となっている。
 処理内容別では、審判不開始が十万九千三百四十三人(七五・二%)で最も多く、以下、不処分一万六千百六十人(一一・一%)、保護観察一万四千六百三十五人(一〇・一%)、少年院送致四千四百六人(三・〇%)の順となっており、刑事処分相当として検察官に送致(逆送)された者は二百九十二人(〇・二%)である。

 2 少年鑑別所における鑑別
 少年鑑別所新収容人員は、ピーク時の昭和五十九年に二万二千五百九十三人を記録した後、平成七年までは減少傾向を示していたが、八年から増加に転じ、十年には一万九千四百二十一人(前年比八・九%増)となっている。

 3 少年院における処遇
 少年院新収容者は、ピーク時の昭和五十九年に六千六十二人を記録して以降、漸減傾向が続いていたが、平成八年から増加に転じ、十年は五千三百八十八人(前年比八・〇%増)となっている。このうち男子は四千八百六十三人、女子は五百二十五人である。
 平成十年における少年院新収容者の非行名別構成比を男女別にみると、男子は、窃盗(三三・九%)、傷害(一三・八%)、強盗(一〇・七%)の順、女子は、覚せい剤取締法違反(三〇・五%)、虞犯(一五・二%)、窃盗(一四・七%)の順である。

 4 少年の更生保護
 保護観察処分少年の新規受理人員は、昭和五十二年から交通短期保護観察が実施されたことに伴って急増し、五十八年以降七万人前後で推移していたが、平成三年以降減少した。その後、六年九月に短期保護観察が導入されたことなどにより、八年以降再び増加に転じ、十年には五万四千二百二十一人(前年比〇・四%増)となっている。
 少年院仮退院者については、昭和五十二年に少年院に短期処遇が導入されたことなどに伴って増加し、六十年には五千五百八十五人となったが、その後は減少傾向にあった。しかし、平成九年以降再び増加に転じ、十年には四千八百十五人(前年比一四・五%増)となっている。
 保護観察処分少年及び少年院仮退院者の「再犯率」(保護観察期間中の再処分率)を見ると、いずれもおおむね低下傾向にあったが、平成九年から上昇に転じ、十年中に保護観察が終了した者の再犯率は、保護観察処分少年では一六・七%、少年院仮退院者では二四・三%となっている。

<第四編> 各種の犯罪と犯罪者

一 薬物犯罪

 覚せい剤事犯の検挙人員は、昭和四十年代半ば以降急激に増加し、五十年代後半から六十三年にかけては二万人を超える水準で推移した。その後は減少傾向を示していたものの、平成七年以降再び増加に転じたが、十年は、前年より減少して一万七千八十四人(一四・三%減)となっている。

二 暴力団犯罪

 平成十年における交通関係業過及び道交違反等交通関係法令違反を除く暴力団構成員等(暴力団の構成員及び準構成員)の検挙人員は三万二千九百八十五人(前年比二・七%増)となっている。
 そのうち、刑法犯は二万二百七人(同九・〇%増)、特別法犯は一万二千七百七十八人(同五・八%減)である。

三 外国人犯罪

 外国人による交通関係業過を除く刑法犯検挙人員を、来日外国人とその他の外国人別に見ると、来日外国人では、昭和五十五年には七百八十二人であったが、平成十年にはその約七倍の五千三百八十二人(前年比一・〇%減)となっている。
 道交違反等交通関係法令違反を除く特別法犯の送致人員について、来日外国人とその他の外国人別にみると、来日外国人では、昭和五十五年には二千二百八十人であったが、平成十年にはその三・五倍の八千三十六人(同四・九%減)となっている。この間の三年から六年にかけての増加が著しい。

<第五編> 犯罪被害者と刑事司法

一 犯罪被害とその国家的救済

 1 犯罪被害者数の推移第5表参照
 警察に認知された犯罪に係る事件の被害者数を見ると、平成十年には、交通関係業過を除く犯罪により一千三百五十人が死亡し、重傷者が約二千五百人、軽傷者が約二万四千人に達しており、交通事故による死亡者は九千二百人余り、負傷者が九十九万人余りに上っている。また、財産犯による被害者は約百七十万人で、被害総額は約二千六百五十億円に達しており、性犯罪の被害者も、強姦が約一千八百七十人、強制わいせつが約四千二百五十人に上っている。

 2 現行刑事手続における被害者への配慮
 我が国では、被害者に犯人の処罰を求めて告訴を行う権利が認められ、処分結果が告訴人に通知されるほか、被害者に対して、事件の処理結果や判決結果等を通知する制度や、検察審査会への審査申立て及び管轄地方裁判所に対する付審判請求等、加害者が不起訴となった場合の救済制度等も設けられている。また、被害の軽重や被害者の被害感情、加害者の被害者に対する謝罪、弁償及び示談の有無等は、起訴便宜主義の下での検察官による訴追の要否の判断や裁判所における量刑の判断に当たっての考慮要素となり得るものである。
 一方、証人威迫罪やいわゆる権利保釈の除外事由に関する規定等、被害者が加害者から不当な威迫を受けることを防止するための規定や、被告人・傍聴人の退廷や裁判所外・公判期日外の証人尋問に関する規定等、被害者等が証言する際の負担を軽減するための規定も設けられている。
 また、被害者から加害者に対する民事責任の追及が、加害者に賠償能力がないことの事情があって効果をあげ得ない場合があるため、一定の範囲内で国が直接被害者の救済に当たる制度として、@生命、身体を害された被害者及びその遺族に対して一定の給付を行う、犯罪被害者等給付金支給法に基づく給付金支給制度のほか、A自動車損害賠償責任保険法に定められたものもあり、また、事実上被害者救済の機能を営むものとして、証人等の被害等の防止に関する法律に基づくものがある。
 さらに、犯罪者の処遇においても、受刑者に対して、被害者及びその家族等に謝罪する意識やしょく罪意識をかん養するための指導が行われたり、被害弁償などの内容やこれに対する努力の有無が、地方更生保護委員会における仮出獄の許可の判断に当たって考慮される等、被害者に対する謝罪、被害弁償等を加害者に促すための配慮がなされている。

二 犯罪被害の実態と被害者の捜査・裁判に関する認識・要望等

 法務総合研究所では、犯罪被害者又はその遺族の被害の実態等を明らかにするため、平成九年一月一日から十一年三月三十一日までの間に有罪判決の言渡しのあった殺人等、業過致死、傷害等、業過傷、窃盗、詐欺等、強盗、恐喝、強姦及び強制わいせつの十罪種の犯罪の被害者及び遺族合計一千百三十二人を対象とする調査を行った。

 1 事件による影響
 (1)精神的影響(第6表参照
 殺人等・業過致死の遺族や強姦・強制わいせつの被害者の多くが、多様な精神的影響を受けている。「何をする気力もなくなった」とするものの比率は、殺人等・業過致死の遺族で七〇%を超え、「病気になったり、精神的に不安定になった」の比率は、殺人等・業過致死の遺族及び強姦・強制わいせつの被害者でおおむね五〇%以上となっている。また、「夜眠れなくなったり、悪夢に悩まされるようになった」は、殺人等及び強姦で六〇%以上となっており、「感情がまひした(喜びや悲しみを感じられない)ような状態となった」や「自分としての実感がない(自分が自分でない)ような状態となった」の比率も、殺人等・業過致死の遺族で三〇%台から四〇%台、強姦の被害者で二〇%台である。
 その他の罪種でも、八〇%台の者が、何らかの精神的影響を受けたとしている。
 (2)生活面への影響
 生活面で何らかの影響があったものは、殺人等・業過致死の遺族では、八〇%以上に上っており、「家庭が暗くなった」とするものが、ほぼ七〇%に達し、「子育てに影響があった」がほぼ二〇%、「家庭が崩壊した」がほぼ一〇%である。
 強姦及び強制わいせつの被害者では、七〇%台のものが、生活面で何らかの影響があったとしており、「引っ越さなければならなくなった」も、強姦で二〇%を超え、強制わいせつでは約一三%となっている。また、「仕事や学校を続けられなくなった」は、強姦で約一八%である。なお、強姦及び強制わいせつの被害者で、「親しい人との関係が悪くなった」とするものの比率は、それぞれ約一八%、約一五%である。
 その他の罪種でも、傷害等、業過傷、詐欺等及び恐喝では、過半数の者が生活面で影響を受けており、「生活が苦しくなった」とするものの比率は、傷害等(約四三%)、業過傷(約四一%)、詐欺等(約三七%)で、「仕事や学校を続けられなくなった」の比率は、業過傷(約二六%)、傷害等(約一八%)などで高い。

 2 謝罪及び示談・賠償金支払等の状況等
 (1)加害者側からの謝罪
 加害者側が「謝罪した」とするものの比率は、全体では約四八%であり、業過致死及び業過傷で六〇%台から七〇%台と高くなっているのに対し、殺人等では約二五%、窃盗では約三五%であり、その他の罪種では、四〇%から五〇%台となっている。
 (2)示談
 示談が「成立した」とするものの比率は、全体では約三六%であり、業過致死で約五八%と高くなっているのに対し、その他の罪種では、殺人等以外の罪種で三〇%台から四〇%台で、殺人等では約一〇%にすぎない。これに「交渉中である」を加えたものの比率をみても、業過致死(約八五%)及び業過傷(約六八%)以外の罪種では、いずれも五〇%を下回っており、殺人等においては約二〇%にすぎない。
 (3)民事訴訟提起状況
 各罪種共に、「起こしておらず、今後も起こすつもりはない」とするものの比率が最も高く、全体では約五七%である。「起こした」と「今後起こす予定である」を併せたものの比率は、殺人等(約二六%)、業過致死(約二三%)及び傷害等(約二二%)で高い。

 3 捜査・刑事裁判に関する認識等
 (1)捜査協力の負担
 捜査に対する協力に負担を感じたものが全体では約三四%であり、特に、強盗、強姦及び強制わいせつでは、いずれもほぼ五〇%と高くなっている。
 負担に感じた内容については、全体では、「他人に知られないような配慮が足りなかった」、被害者側の「言い分を聞こうとしなかった」、「しつこく聞いてきた」、「呼び出される際、自分の都合に対する配慮が足りなかった」、被害者に「落ち度があるようなことを言われた」、「被害者(遺族)としての悲しみや苦しみをわかっていないと感じた」とするものの比率が、いずれも一〇%未満であるのに対し、「時間的拘束が大きかった」、「警察と検察庁で、同じことを聞かれた」、「呼び出しの回数が多かった」は、いずれも一〇%を超えている。もっとも、「被害者(遺族)としての悲しみや苦しみをわかっていないと感じた」が殺人等・強姦では二〇%前後となっている。また、強姦及び強制わいせつでは、「女性の気持ちをわかっていないと感じた」、「担当者が男性だった」が少なくなく、特に殺人等、強姦及び強制わいせつにおいては、被害者等の心情への配慮が求められているといえる。
 (2)証人出廷の負担
 証人として出廷した被害者等百六十九人のうち、負担を感じたものは、全体では約四六%で、特に、強盗、強姦及び強制わいせつで、いずれも七〇%を超えている。
 負担に感じた内容は、全体では、「被告人がいるところでは証言しづらかった」の比率が最も高く、特に強姦・強制わいせつでは、その比率が五〇%を超え、被告人の面前での証言が被害者等に相当の心理的負担をもたらしていることを示している。
 (3)刑事裁判を傍聴した際の感想
 裁判を傍聴した被害者等二百人のうち、不満が残ったものは、全体では、約七四%であり、罪種別では、殺人等・業過致死で共に八〇%を超えている。
 不満が残った内容については、強制わいせつを除くすべての罪種で「加害者に反省の態度がみられなかった」とするものの比率が最も高く、殺人等、業過致死、傷害等及び窃盗では六〇%を超えている。また、「被害者(遺族)の気持ちが考慮されていない」の比率は、殺人等、業過致死及び強姦で四〇%を超え、被害者側の「言い分が反映されていない」の比率も、殺人等・業過致死で三〇%台と、他の罪種と比べ高くなっている。

 4 裁判結果その他の情報の認識等
 加害者の裁判結果については、全体では五〇%以上の者が知っており、特に、殺人等、強姦、業過致死及び傷害等では、知っているとするものの比率が高い。
 裁判の内容について、全体では、「軽すぎると思っている」とするものの比率が約五四%と最も高く、「適当であると思っている」の比率は約二三%、「重すぎると思っている」の比率は〇・二%にすぎない。特に、殺人等及び業過致死では、「軽すぎると思っている」とするものの比率が、それぞれ約八一%、約六五%と高くなっており、多くの遺族が、軽すぎるという不満を抱いていることがうかがわれる。

 5 被害感情
 現在、加害者を「許すことができない」とするものの比率は、全体では約六四%であり、罪種別では、殺人等が約九一%で最も高く、次いで強姦の約八四%である。一方、「許すことができる」とするものの比率は、全体では約一六%にすぎず、罪種別では、殺人等、傷害等、強姦及び強制わいせつで低く、いずれも一〇%未満である。

 6 捜査・裁判に対する要望等
 捜査・裁判等に対する要望等で、最も多いのは、刑事司法機関に対する情報提供への希望・不満を述べるものであった。また、取調べの日時や被害者等の立場・プライバシー等への配慮を求めるものが多いほか、被害者の権利が保障されていないことに対する不満を訴えるもの、被害者が刑事手続から排除されていることへの不満や刑事手続への参加の希望を訴えるもの、被害者等の気持ちなどについて、刑事手続で意見表明することを希望するものなどがあった。
 このほか、刑事司法機関に対する要望として、加害者側の報復等からの保護、加害者に対する、被害者等への謝罪・賠償金支払等の指導・支援、被害者支援体制の整備等多方面にわたる要望が寄せられた。

三 犯罪被害の回復等の実態

 法務総合研究所では、法務省刑事局が全国の地方検察庁の協力を得て実施した「犯罪被害の実態調査」(平成九年六月の一か月間に、有罪判決の言渡し、略式命令請求及び不起訴処分が行われた事件三千三百七十二件を対象としたもの。)の結果を分析した。

 1 財産犯の被害回復
 財産犯全体では、被害全額が回復されている事案が約六六%に上っており、被害が全く回復されていない事案は約二三%である。
 また、被害額と被害回復状況を見ると、被害が少額の事案では、被害全額が回復されている事案の占める比率が高く、被害額が大きくなるに従い、その比率が低くなっているが、被害額五百万円を超え一千万円以下の事案でも、三〇%を超える事案で被害が全額回復されている。このように、被害全額が回復されている事案の比率が、被害額が少額の事案だけではなく、高額の事案でもかなり高い数値となっているなど、刑事手続の過程で被害回復が図られていることが認められる。

 2 財産犯の被害回復状況と処分内容第3図第4図参照
 財産犯全体について、被害額・被害回復の程度別に、起訴猶予の比率及び実刑判決の比率をみると、全体として、被害額が多額になるに従い、起訴猶予の比率が低く、実刑判決の比率が高くなっており、同程度の被害額であっても、被害回復率が高いほど、おおむね起訴猶予の比率が高く、実刑判決の比率は低くなっている。被害額一万円以下の事案について見ると、起訴猶予の比率が、被害全額回復では八〇%近くに達しているのに対し、全く被害回復なしでは三〇%程度にとどまっている。他方、被害額五百万円を超え一千万円以下及び一千万円を超える事案について見ると、実刑判決が、全く被害回復なしでは、いずれも八〇%を超えているのに対し、被害全額回復では三〇%から五〇%程度となっている。
 このように、財産犯では、被害額や被害回復状況が、訴追の要否及び量刑に当たっての判断要素の一つとされていることがうかがえ、このことが、刑事手続の中で被害者に対する弁償や示談を促す一因となっているものと考えられる。

 3 生命・身体犯及び性犯罪の示談状況
 生命・身体犯では、示談が成立したものの占める比率(示談成立率)は、傷害なしでは約一七%と低いが、加療期間が二週間以下及び二週間を超え一か月以下の場合は、いずれも三〇%近くを占め、一か月を超え三か月以下では約三七%と高くなっている。これに対し、三か月を超える傷害では一二・五%、死亡では二・九%と極端に低くなっている。
 性犯罪では、示談成立率が、生命・身体犯と比べて全体として高くなっており、強制わいせつでは五〇%近くに達し、強姦でも三〇%を超えている。

 4 生命・身体犯及び性犯罪の示談状況と処分内容等
 生命・身体犯について、被害の程度別、示談の成否別に処分内容を見ると、傷害なし及び加療期間二週間以下の比較的軽微な事案では、示談成立の事案において起訴猶予の比率が、示談未成立の事案において略式命令の比率が、それぞれ高い。一方、加療期間三か月を超える傷害事案及び死亡事案においては、示談が成立したものは、それぞれ一件と少ないが、いずれも執行猶予になっているのに対して、示談未成立の場合では、実刑の比率が、加療期間三か月を超える傷害事案で三〇%近く、死亡事案で八〇%近くに上っている。
 性犯罪について、罪名別、示談の成否別に処分内容を見ると、強制わいせつでは、示談成立事案の半数以上が告訴取消しで不起訴となっており、公判請求された場合でも、示談が成立した事案は、ほとんど(十二件中十一件)が執行猶予となっているのに対し、示談未成立の事案は、公判請求された事案の半数近く(二十五件中十二件)が実刑となっている。また、強姦で公判請求された場合では、示談未成立の事案の九〇%以上(三十六件中三十五件)が実刑となっているのに対して、示談成立の場合は、半数以上(十六件中九件)が執行猶予となっている。
 生命・身体犯及び過失犯については、被害者死亡等結果が重大な事案で、示談未成立の場合は実刑の比率が高くなるなど、示談の成否が処分内容に影響を与えていることがうかがえる。また、性犯罪では、被害者との示談の成否が、量刑等に当たっての重要な要素となっていることがうかがわれる。

四 加害者が長期刑で受刑中の犯罪被害者等の意識

 法務総合研究所では、平成九年九月三十日現在で仮釈放の要件となる法定期間を経過した、無期刑を含む長期刑受刑者に係る生命・身体犯(殺人、強盗、強姦、強制わいせつ、傷害及びその他の犯罪により人を死傷させたものをいう。)の被害者及びその遺族を対象とする面接調査を実施した。調査対象事件は九十四件で、そのうち被害者本人を対象とするものが五件で、その余は遺族を対象とするものである。
 なお、事件から調査実施日までの平均経過年数は約十二年八か月である。

 1 事件が被害者等に及ぼした影響
 (1)日常生活面への影響(第5図参照
 日常生活面への影響が「あった」とするものは八六・二%で、「配偶者」と「父母」では、影響があったとするものの比率が九割を超えている。影響の内容は、「家庭が暗くなる」が最も多く、次いで、「マスコミの取材・報道による不快感」、「子どもの養育面での影響」となっている。
 (2)精神的影響
 精神的影響が「あった」とするものは九〇・四%で、「被害者本人」及び「配偶者」では全員が精神的影響が「あった」としており、いずれの関係においても、その八割以上が、精神的影響が「あった」としている。影響の内容は、「悪夢・不眠・熟睡できない」及び「事件を思い出す・もう一度事件に遭った様な恐怖を体験する」が最も多い。
 (3)影響の残存
 事件が及ぼした影響に関して、今も困っていることが「ある」としたものは四十一件(四三・六%)で、その内容は、日常生活面に関するものが十件、精神的影響に関するものが三十三件となっており(重複選択による。)、精神的影響は、日常生活面への影響と比較して、長期間を経てもなお続いていることを示している。

 2 加害者に対する感情及び社会復帰に対する意見等
 (1)加害者に対する感情等(第6図参照
 加害者に対する被害者等の感情では、「憎い」及び「かかわりたくない」とするものが多く、加害者に対する感情の変化については、「変化なし」とするものが六七%となっている。変化したものの変化の要因については、「時の経過とともに」が大半で、「謝罪や賠償が成立した」を挙げたものはない。一方、事件からの経過年数と加害者に対する感情との関連をみると、刑名の大半が無期懲役である、経過年数が十五年以上の事案において、「憎い」とするものが三分の一を占めているなど、年数が経過してもなお加害者に対する感情が融和しないものが少なくないことがうかがわれる。
 (2)判決結果に対する認識
 加害者に対する判決結果については、「知っている」とするものが約八割を占め、さらに、結果を知りたくないとしたものを除き、判決に対する評価を尋ねたところ、「軽すぎる」が六五・五%、「ちょうどよい」が一四・九%で、「重すぎる」と答えたものはなかった。
 (3)加害者の社会復帰に対する意見等
 加害者の社会復帰(仮釈放)に対しては、「絶対反対」が五三・二%で半数を超えているが、「仕方がない」も二八・七%となっており、「本人のためならそれでいい」は一一・七%、「一日も早く」は二・一%となっている。事件からの経過年数と加害者の社会復帰に対する意見との関連を見ると、「絶対反対」とするものは、経過年数十五年以上でも五六・七%に達しており、刑名の大半が無期懲役であるこの種の事件において、年数が経過してもなお加害者の社会復帰に反対する被害者等が少なくないことがうかがえる。
 なお、釈放時期など加害者に関して「知りたい事項がある」としたものは、四三・六%である。

五 犯罪被害に対する加害者の意識

 法務総合研究所では、全国の刑務所、拘置所、少年刑務所及び少年院の協力を得て、@平成十年十月二十七日から十一年二月二十六日までの間に、全国の刑務所等に入所中の受刑者のうち、事件(事件が複数の場合は、そのうち、本人が最も重大な被害を与えたととらえるもの)の罪名が殺人等、業過致死、傷害、業過傷、窃盗、詐欺等、強盗、恐喝及び強姦等である者二千二百人、及びA十年十一月十六日現在、全国の少年院に在院している少年のうち、少年院送致となった事件(事件が複数の場合は、そのうち、本人が最も重大な被害を与えたととらえるもの)の非行名が、殺人等、傷害、窃盗、強盗、恐喝及び強姦等である者二千九十八人を、それぞれ対象として、犯罪被害及び被害者に対する意識・感情等についての特別調査を行った。

 1 犯罪被害に関する認識第7図第8図参照
 受刑者、少年院在院者共に、ほとんどの者が被害者にどの程度の被害を与えたかを認識しており、精神的被害についても、それぞれ半数以上の者が、与えたことを認識していると答えている。罪種別では、被害者に「大きな精神的被害を与えた」とするものは、受刑者の強姦等(七九・七%)、強盗(六一・六%)及び少年院在院者の強姦等(八九・七%)で高く、被害者の家族が「精神的なショックを受けた」とするものは、受刑者の業過致死(八六・二%)・強姦等(六八・四%)・殺人等(六七・八%)及び少年院在院者の殺人等(八九・五%)・強姦等(八七・二%)で高くなっている。
 被害者やその家族の生活への影響の認識については、「影響はない」とするものが、少年院在院者では、被害者に対しては約一一%、被害者の家族に対しては約一〇%であるのに対し、受刑者では、いずれも約二三%と高くなっており、特に、傷害及び恐喝では、「影響はない」とするものが、被害者に対しては、それぞれ三三・三%、二九・六%、被害者の家族に対しては、それぞれ三四・七%、三四・五%と、他の罪種に比べて高くなっている。

 2 被害者等に対する意識
 (1)被害者等の気持ちを聞いたことの有無
 被害者やその家族の気持ちを聞いたことがあるかについては、受刑者で六二・二%、少年院在院者では七一・八%の者が「聞いたことはない」と答えている。また、被害者の気持ちについて詳しく知りたいかについては、少年院在院者では、「知りたいと思う」とするものが「知りたいとは思わない」とするものを大きく上回っているが、受刑者では、「知りたいとは思わない」とするものが六割を超えている。
 (2)被害者等の感情に関する認識
 被害者やその家族が抱いている感情については、少年院在院者では、被害者等は「一生、自分をにくみ続ける」、「自分がいつまでも施設から出てこないことをねがっている」と思うとするものが、それぞれ四三・三%、三五・〇%となっているのに対し、受刑者では、それぞれ一六・一%、一一・七%にとどまっている。少年院在院者では、被害者が強い被害感情を持ち続けていると認識しているものが多いのに対し、受刑者では、被害感情が融和していると認識しているものが比較的多いことがうかがえる。

 3 被害者に対する感情等
 (1)被害者等に対する感情(第9図参照
 被害者に対し申し訳ないと思っているとするものが、受刑者では八九・二%、少年院在院者では九二・九%となっているが、受刑者では恐喝(六五・八%)及び傷害(六六・七%)で、少年院在院者では傷害(八五・七%)で、その比率が他の罪種に比べて低くなっている。また、受刑者のうち、暴力団に関係しているものについては、申し訳ないと思っているとするものは六割にとどまっている。
 (2)被害者に対する感情の変化
 申し訳ないとする気持が事件後から現在までの間に強まったとするものは、受刑者では三三・六%、少年院在院者では六〇・二%に上っている。強まったきっかけとして、施設の職員の面接や指導を挙げるものが、受刑者で四〇・三%、少年院在院者では六六・二%となっている。

 4 被害弁償等
 (1)謝罪
 実際に被害者に「謝罪した」とするものは、受刑者で三六・八%、少年院在院者で一七・五%であるが、「謝罪するつもりはあるが、していない」とするものは、受刑者では五二・七%、少年院在院者では七二・九%である。一方、「謝罪するつもりはない」とするものは、受刑者で一〇・五%、少年院在院者で九・五%であり、特に、傷害(二五・七%)及び恐喝(二三・三%)の受刑者で高くなっている。
 (2)示談
 被害者やその家族との示談が成立しているとするものは、受刑者で三四・七%、少年院在院者で二六・八%であり、これを含め、示談について何らかの努力をしているとするものは、受刑者では四五・三%、少年院在院者では三五・五%である。示談をするつもりがないとするものは、受刑者では七・一%、少年院在院者では三・四%であるが、受刑者の恐喝(一八・五%)及び傷害(一五・六%)では、他の罪種に比べて高くなっている。
 (3)弁償
 被害者やその家族に弁償したとするものは、受刑者で三四・八%、少年院在院者で二八・一%であり、これを含め、金銭的償いの意思を表明しているものは、受刑者では七六・五%、少年院在院者では六〇・五%である。弁償するつもりはないとするものは、受刑者で八・五%、少年院在院者で四・一%にとどまっているが、受刑者の恐喝(二四・一%)及び傷害(一九・五%)では、他の罪種に比べて高くなっている。

 5 償いに対する意識
 罪の償いとして、「社会で更生すること」が重要であると感じているものが、受刑者及び少年院在院者について、それぞれ半数を超えており、「被害者やその家族に謝罪すること」及び「被害者やその家族の許しを得ること」とするものは、それぞれ一割程度となっているが、「被害者やその家族に謝罪すること」とするものが受刑者の業過致死(三六・一%)及び少年院在院者の殺人等(二〇・六%)で、「被害者の家族の許しを得ること」とするものが受刑者の殺人等(三〇・六%)及び業過致死(二六・二%)で高くなっており、生命を侵害することとなった者では、償いを被害者側とのかかわりの中でとらえるものの比率が高くなっている。

 6 諸外国における被害者施策
 一九八五年に、国連総会において、犯罪及び権力濫用の被害者に関する司法の基本原則の宣言が採択されているほか、諸外国では、刑事手続による被害者の地位の確立・強化、被害者の意見陳述の機会の確保、刑事手続における被害回復、証人尋問における被害者の保護・支援等に関して様々な施策が講じられている。

<おわりに>

 我が国では、刑事司法機関において、従前から、被疑者・被告人の権利を保障しつつ事案の真相を解明し、適正な事件の処理及び科刑の実現を図るとともに、犯罪者の改善更生に向けた犯罪者処遇の充実強化への取組を行ってきたが、その中で、犯罪によって痛みを受けた被害者の立場と心情に対して配慮するよう努めてきた。それが、これまで概して治安が良好に保たれてきたことや、犯罪被害の回復等の実態調査結果にも見られるように、刑事手続の過程で相当程度被害回復が図られていることなどにもつながっているということができよう。
 しかし、近時、地下鉄サリン事件などの凶悪事件等を契機に、犯罪被害者及び遺族が、犯罪による直接的な被害に加えて、多様な精神的影響、生活面への影響を受けていること、その後の刑事司法過程において、いわゆる二次的被害を受けて被害者の精神的被害が更に深くなる場合があることなどが問題となっており、今回の特別調査からも、特に殺人・業過致死の遺族、性犯罪の被害者等が、精神面・生活面で深刻な影響を受けていること、また、性犯罪の被害者等を中心に、捜査・裁判への協力の中で様々な負担を感じる者も少なくないこと等の実態が明らかになった。
 今後とも、犯罪被害の実態を的確に把握し、刑事司法の全過程を通じて、より一層被害者の立場及び心情に配慮した運用に努めるとともに、被害者の保護・支援の観点から、刑事司法制度の改善を図ることが求められているといえよう。

十一月の気象

◇時雨と木枯らし

 季節の進行とともに、気温が下がり始めます。陸地は海に比べて早く冷えるので、大陸は周りの大洋に比べて相対的に冷たくなります。このため、冷たい大陸から暖かい大洋に向かって寒気が吹き出します。この寒気の吹き出しが冬の季節風と呼ばれるもので、日本は世界的に見ても季節風の強い影響を受けています。季節風は日本海を渡る際にたっぷりと水蒸気が補給され、次々に雲を発生させます。この雲が日本海側に時雨をもたらしますが、脊梁山脈を越えるまでの間に大部分の水蒸気は降水として使い果されてしまうため、太平洋側では天気も晴れ、乾いた冷たい北西の風(木枯らし)が吹きます。

◇小春日和と霜

 季節風の吹き出しとともに日本付近の気圧配置は大陸に高気圧、東海上には低気圧が位置し、等圧線は南北に走る西高東低の冬型と呼ばれる形になります。真冬においては一週間以上も冬型の気圧配置が持続することもありますが、この時期は、低気圧のあとを追うように大陸からやってくる高気圧(移動性高気圧)によって冬型の気圧配置はすぐに緩んでしまいます。この移動性高気圧は小春日和と呼ばれる穏やかな晴天をもたらしますが、地表の熱が逃げるのを遮る雲などがないため、日照のなくなる夜は思いのほか冷え込みが厳しく、朝、目覚めたら霜で真っ白といったこともあるため、農作物の管理などには注意が必要です。
(気象庁)


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八月の雇用・失業の動向


―労働力調査 平成十一年八月結果の概要―


総 務 庁


◇就業状態別の動向

 平成十一年八月末の十五歳以上人口は一億七百八十八万人で、前年同月に比べ五十三万人(〇・五%)の増加となっている。これを就業状態別でみると、就業者は六千五百十一万人、完全失業者は三百二十万人、非労働力人口は三千九百四十五万人で、前年同月に比べそれぞれ三十五万人(〇・五%)減、二十三万人(七・七%)増、六十万人(一・五%)増となっている。
 また、十五〜六十四歳人口は八千六百七十四万人で、前年同月に比べ十四万人(〇・二%)の減少となっている。これを就業状態別にみると、就業者は六千十五万人、完全失業者は三百六万人、非労働力人口は二千三百四十三万人で、前年同月に比べそれぞれ四十四万人(〇・七%)減、十九万人(六・六%)増、七万人(〇・三%)増となっている。

◇労働力人口(労働力人口比率)

 労働力人口(就業者と完全失業者の合計)は六千八百三十一万人で、前年同月に比べ十一万人(〇・二%)の減少となっている。男女別にみると、男性は四千三十六万人、女性は二千七百九十六万人で、前年同月と比べると、男性は四万人(〇・一%)の減少、女性は六万人(〇・二%)の減少となっている。
 また、労働力人口比率(十五歳以上人口に占める労働力人口の割合)は六三・三%で、前年同月に比べ〇・四ポイントの低下と、十九か月連続の低下となっている。

◇就業者

(1) 就業者

 就業者数は六千五百十一万人で、前年同月に比べ三十五万人(〇・五%)減と、十九か月連続の減少となっている。男女別にみると、男性は三千八百四十四万人、女性は二千六百六十七万人で、前年同月と比べると、男性は十九万人(〇・五%)減と、二十か月連続で減少、女性は十六万人(〇・六%)減と、十五か月連続で減少となっている。

(2) 従業上の地位

 就業者数を従業上の地位別にみると、雇用者は五千三百四十五万人、自営業主・家族従業者は一千百四十五万人となっている。前年同月と比べると、雇用者は十四万人(〇・三%)減と、十九か月連続で減少、自営業主・家族従業者は二十四万人(二・一%)減と、十九か月連続の減少となっている。
 雇用者のうち、非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非農林業雇用者…五千三百十五万人で、十四万人(〇・三%)減、十九か月連続の減少
 ○常 雇…四千六百七十七万人で、三十九万人(〇・八%)減、二十か月連続の減少
 ○臨時雇…五百十九万人で、三十万人(六・一%)増、平成八年九月以降、増加が継続
 ○日 雇…百十九万人で、四万人(三・三%)減、二か月連続で減少

(3) 産 業

 主な産業別就業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○農林業…三百二十六万人で、十六万人(四・七%)減、七か月連続で減少、減少幅は前月(十九万人減)に比べ縮小
○建設業…六百六十一万人で、二万人(〇・三%)増、二十二か月ぶりの増加
○製造業…一千三百六十九万人で、十九万人(一・四%)減、二十七か月連続で減少、減少幅は前月(二十五万人減)に比べ縮小
○運輸・通信業…四百万人で、五万人(一・三%)増、四か月ぶりの増加
○卸売・小売業、飲食店…一千四百八十八万人で、六万人(〇・四%)減、二か月連続で減少
○サービス業…一千六百七十三万人で、十五万人(〇・九%)減、三か月連続で減少、減少幅は前月(二十四万人減)に比べ縮小
 また、主な産業別雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○建設業…五百四十四万人で、二万人(〇・四%)減、四か月連続で減少
○製造業…一千二百四十四万人で、十七万人(一・三%)減、二十七か月連続で減少、減少幅は前月(二十六万人減)に比べ縮小
○運輸・通信業…三百七十八万人で、一万人(〇・三%)増、四か月ぶりの増加
○卸売・小売業、飲食店…一千百九十五万人で、一万人(〇・一%)減、四か月ぶりの減少
○サービス業…一千四百二十二万人で、八万人(〇・六%)減、三か月連続で減少、減少幅は前月(二十一万人減)に比べ縮小

(4) 従業者階級

 企業の従業者階級別非農林業雇用者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜二十九人規模…一千七百二十六万人で、三万人(〇・二%)減少
○三十〜四百九十九人規模…一千七百三十七万人で、四十二万人(二・四%)減少
○五百人以上規模…一千二百八十三万人で、二十四万人(一・九%)増加

(5) 就業時間

 八月末一週間の就業時間階級別の従業者数(就業者から休業者を除いた者)及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○一〜三十五時間未満…一千四百七十万人で、十一万人(〇・八%)増加
○三十五時間以上…四千九百七万人で、三十五万人(〇・七%)減少
 また、非農林業の従業者一人当たりの平均週間就業時間は四二・五時間で、前年同月に比べ〇・一時間の増加となっている。

(6) 転職希望者

 就業者(六千五百十一万人)のうち、転職を希望している者(転職希望者)は六百三十万人で、このうち実際に求職活動を行っている者は二百四十二万人となっており、前年同月に比べそれぞれ三十二万人(五・四%)増、五万人(二・一%)増となっている。
 また、就業者に占める転職希望者の割合(転職希望者比率)は九・七%で、前年同月に比べ〇・六ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は九・七%、女性も九・七%で、前年同月に比べ男女ともに〇・六ポイントの上昇となっている。

◇完全失業者

(1) 完全失業者数

 完全失業者数は三百二十万人で、前年同月に比べ二十三万人(七・七%)の増加となっている。男女別にみると、男性は百九十二万人、女性は百二十八万人となっている。前年同月に比べると、男性は十四万人(七・九%)の増加、女性は九万人(七・六%)の増加となっている。
 また、求職理由別完全失業者数及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○非自発的な離職による者…百四万人で、十三万人増加
○自発的な離職による者…百十二万人で、三万人減少
○学卒未就職者…十五万人で、同数(増減なし)
○その他の者…七十六万人で、八万人増加

(2) 完全失業率(原数値)

 完全失業率(労働力人口に占める完全失業者の割合)は四・七%で、前年同月に比べ〇・四ポイントの上昇となっている。男女別にみると、男性は四・八%、女性は四・六%で、前年同月に比べ男女ともに〇・四ポイントの上昇となっている。

(3) 年齢階級別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 年齢階級別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
[男]
○十五〜二十四歳…四十万人(三万人増)、九・七%(一・二ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十三万人(四万人増)、四・七%(〇・三ポイント上昇)
○三十五〜四十四歳…二十三万人(一万人増)、二・九%(〇・一ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十九万人(四万人増)、三・一%(〇・五ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…四十五万人(同数)、六・六%(〇・一ポイント低下)
 ・五十五〜五十九歳…十八万人(三万人増)、四・四%(〇・六ポイント上昇)
 ・六十〜六十四歳…二十七万人(三万人減)、一〇・〇%(〇・九ポイント低下)
○六十五歳以上…十二万人(四万人増)、三・八%(一・二ポイント上昇)
[女]
○十五〜二十四歳…三十三万人(五万人増)、八・五%(一・七ポイント上昇)
○二十五〜三十四歳…四十一万人(一万人増)、六・九%(〇・一ポイント低下)
○三十五〜四十四歳…十九万人(一万人増)、三・七%(〇・二ポイント上昇)
○四十五〜五十四歳…二十一万人(二万人増)、三・一%(〇・三ポイント上昇)
○五十五〜六十四歳…十四万人(二万人増)、三・二%(〇・四ポイント上昇)
○六十五歳以上…一万人(同数)、〇・五%(同率)

(4) 世帯主との続き柄別完全失業者数及び完全失業率(原数値)

 世帯主との続き柄別完全失業者数、完全失業率及び対前年同月増減は、次のとおりとなっている。
○世帯主…八十九万人(三万人増)、三・三%(〇・一ポイント上昇)
○世帯主の配偶者…四十一万人(同数)、二・八%(同率)
○その他の家族…百四十一万人(十四万人増)、七・六%(〇・七ポイント上昇)
○単身世帯…四十九万人(七万人増)、六・〇%(〇・八ポイント上昇)

(5) 完全失業率(季節調整値)

 季節調整値でみた完全失業率は四・七%で、前月に比べ〇・二ポイントの低下となっている。
 男女別にみると、男性は四・七%で、前月に比べ〇・四ポイントの低下となっている。女性は前月と同率の四・六%となっている。














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 ●函館税関   0138―40―4261
 ●東京税関   03―3472―7001
 ●横浜税関   045―212―6000
 ●名古屋税関  052―654―4100
 ●大阪税関   06―6576―3001
 ●神戸税関   078―333―3100
 ●門司税関   093―332―8372
 ●長崎税関   095―828―8619
 ●沖縄地区税関 098―863―0099
(大蔵省)

携帯電話は車を止めてから
〜十一月一日から走行中の使用が禁止されました〜

 携帯電話で話しながら運転していたら事故に…。最近は、このようなケースの交通事故が増えています。こうした状況に対処するため、携帯電話やPHSの走行中の使用が禁止されました。

道路交通法が一部改正

 自動車運転中に、携帯電話やPHSなどを使用して発生した事故件数は、平成十年一年間で二千六百四十八件。負傷者数は三千八百十四人、死者数は三十三人でした。携帯電話などの普及に伴い、事故発生件数も増加しています。
 これを受けて、道路交通法の一部が改正され、「携帯電話等の走行中の使用等の禁止」に関する規定が、今年十一月一日から施行されました。自動車などの運転者は、携帯電話やPHS、自動車電話などを走行中に使用などしてはならない、というのが規定の主な内容です。
 規定に違反したことによって道路交通の危険を生じさせた場合は、三か月以下の懲役または五万円以下の罰金の対象となります。また、基礎点数が二点付され、反則金の額は普通車で九千円となります。

     *     *     *
 自動車運転中の携帯電話の使用はやめて、安全運転を心がけましょう。
(警察庁)



    <12月1日号の主な予定>

 ▽平成十年度法人企業統計年報……………………………………大 蔵 省 

 ▽家計収支(六月分)………………………………………………総 務 庁 

 ▽消費者物価指数の動向(東京都区部九月中旬速報値)………総 務 庁 




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