
●二人の少年の話
『銀河鉄道の夜』は、ジョバンニとカムパネルラという、二人の友達同士(ともだちどうし)の少年が「銀河ステーション」から銀河鉄道の列車に乗って、旅にでる話なんだよ。
主人公のジョバンニの家は、お父さんが長い間留守(るす)で、学校に通いながら新聞配達をしたり、印刷工場で働いて、病気のお母さんや家族を助けているんだ。カムパネルラのお父さんは博士(はかせ)で、ジョバンニはひそかに、カムパネルラに憧(あこが)れているんだ。
●天の川を旅する二人
![]() 白鳥座/NGC7000, IC5067-68-70 北アメリカ星雲 ペリカン星雲 (国立天文台 天文情報公開センター 広報普及室) |
●遭難(そうなん)した姉弟
「鷲の停車場」が近づいてきたとき、とつぜん列車に幼い姉弟とその家庭教師(かていきょうし)の青年(せいねん)が乗ってきたんだ。青年たちは大きな船(ふね)に乗っていて、氷山(ひょうざん)がぶつかり遭難(そうなん)した話をするんだ。沈没(ちんぼつ)する船の様子を話す青年に、乗り合わせた燈台守(とうだいもり)が言った言葉が、小渕総理の引用した言葉なんだよ。
「ほんとうにどんなつらいことでも それがただしいみちを進む中でのできごとなら 峠の上りも下りもみんな ほんとうの幸福に近づく一あしずつです」
燈台守がなぐさめていました。
「ああ、そうです。ただいちばんのさいわいにいたるためにいろいろのかなしみもみんなおぼしめしです」
青年が祈るようにそう答えました。
「ジョバンニのきっぷ」の抜粋(ばっすい)を読みたい人はここを→●クリック
●ほんとうのさいわい
サウザンクロスに列車が着くと、青年たちは天上(てんじょう)へ行くために、列車を降りてしまうんだ。二人はさみしくなった車内で「ほんとうのさいわい」についてはなしている。そうすると、カムパネルラも、ジョバンニの前からとつぜん姿(すがた)を消(け)してしまうんだ。そして、ジョバンニは丘の草の上で目さますんだ。
ジョバンニが、まちの大通りまでもどって来くると、まちはなんだかさわがしくなっていた。子どもが水に落ちてしまった、とまちの人は言っている。川に落ちた友達を助けて、流された子どもはカムパネルラだったんだ。
●終わりのないお話
「銀河鉄道の夜」は、宮沢賢治の書いた、たくさんのお話の中でも、空想的(くうそうてき)で不思議で、そして感動(かんどう)の深い作品として知られているんだよ。作者の賢治も「銀河鉄道の夜」には思い入れが深くて、28歳のころに最初の原稿を書きあげた後、37歳で亡(な)くなるまで何度も書きくわえたり、書きなおしたりしたんだ。でも完成する前に賢治は亡くなってしまったんだ。
だから、「銀河鉄道の夜」のお話には、いまでも賢治が何を書こうとしたのか、何を言いたかったのか、よくわからないところもあるんだ。でも、それがかえってこのお話を、神秘的(しんぴてき)で魅力的(みりょくてき)なものにしているところもあるんだ。まるで終わりのないお話のように、賢治と「銀河鉄道の夜」の世界は、無限(むげん)に広がっているんだ。
平成12年(2000年)は、国会の両院の決議(参議院・平成11年8月9日、衆議院・平成11年8月10日)で、「子ども読書年」とされている。君たちもこれを機会に、宮沢賢治の作品に挑戦してみてはどうかな。