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第12回 イラク復興のために


平成16年1月24日放送

小泉総理ラジオで語る(第12回)の写真


 こんにちは。小泉純一郎です。今年初めてですね。


 そうですね。今年もよろしくお願いいたします。総理、もう一月も後半に入りまして、今週から国会が始まりました。施政方針演説では、イラクへ自衛隊を派遣することにつきまして、随分詳しく触れていらっしゃいましたけれども。
 そうですね。今やはり一番国民が関心を持っている問題だと思います。このイラクの自衛隊派遣をめぐりましては、国民の議論も分かれていますね。賛成の方、反対の方、二分されていると言ってもいいと思います。

 この状況は、ちょうど今から150年前のね、幕末、明治維新にちょっと似ていると思いますね。あのときもね、鎖国を続けるのか、開国するのか、日本の進路について国論を二分した論争が起こったんです。そのときの状況に似ている面が随分あるんです。

 つまり、あの頃、尊皇攘夷、鎖国、外国人を追い払えという、そういう倒幕側ね、幕府を倒そうという人々と、幕府側、これはもう国を開いてね、アメリカとも付き合わなければいかんという、そういう立場、いわゆる倒幕派と佐幕派、こういう人たちの間で激論が起こったんですが、明治維新になったらば、結局、尊皇攘夷、鎖国を唱えて幕府を倒した人々が政権に就くとね、今度は180°その立場を転換して、開国の先頭に立ったんですね。こういうところが歴史の面白いところだと思うんです。

 また戦後ね、日米安保条約改定のときも、反対デモで死者が出るほど紛糾しました。自衛隊を平和維持活動、いわゆるPKO活動に派遣するとき、十数年前ですけれどね、このときも国会徹夜したほど混乱したんです。しかし、今考えてみるとね、そのとき日米安保に反対した人も、自衛隊をPKO活動に海外へ派遣するときに反対した人も、多くの人たちは、今賛成に回ってますね。


 そうだったんですね。
 今、私たちに問われているのは、鎖国か開国かということではありませんが、世界の平和と安定を実現するために、日本はこれから一国平和主義でいいのか、それとも、国際協調を取っていくのがいいのかと、こういうことだと私は思っています。

 日本一国で、日本の安全を確保することはできないと思っています。


 確かに、賛成する人、反対する人の二つに大きく分かれてしまっていますよね。
 日本は、あの第二次世界大戦に敗れましたが、あの敗戦後廃墟の中にあったときも、世界中のたくさんの国が日本に援助してくれました。もう皆さん忘れている方が多いと思いますけど、東海道新幹線、そして黒四ダムや東名高速道路、これらは世界銀行から融資された資金で建設されたんです。


 そうだったんですか。
 お陰様で、今、日本は発展して、経済的にも恵まれて、世界の国々を支援する立場になりましたね。イラクの復興にも私は日本が積極的に貢献すべきだと思っていますし、このイラクの復興支援に日本が関わっていこうということについては、ほとんど日本の国民も賛成してくれるんではないか、余り異論はないと思っています。

 もしこのイラク復興に失敗したらね、イラクはテロリストの拠点になってしまいますね。そうなると世界どうなるのか、ますます不安定になってきます。

 ですから、私は、日本はイラクに対して、お金の面で協力はするけれども、人的な貢献は、これは危険があるからほかの国に任せようということでは、国際社会どう思うか、それを心配しているんです。国際社会の一員として、日本にふさわしい責任を果たしていかなきゃならないと、そう思っていますから、自衛隊を派遣する決断をしたんですね。一般の民間人は、まだ活動できるような状況にはなってないと思います。

 自衛隊員の安全に十分配慮しながら、医療や給水、学校の復旧など、イラクの人々から評価されて、そして歓迎される支援活動を本格化させていきたいと思っております。

 自衛隊の皆さんは、今までも厳しい訓練を積んできました。また、聞くところによりますと、非常に士気も高くてね、使命感に燃えています。私は、必ずや自衛隊の諸君が、地元のイラクの住民に歓迎されてね、感謝されるような活動をして、無事に任務を果たしてくれるものと確信しています。


 是非そうしてほしいと思います。
 ただ、国会の議論でもまた、反対の人々は、自衛隊が行くからね、戦争に行くんだということを言っていますね。これは全く誤解です。自衛隊が行くのは戦争に行くのではありませんし、もちろん武力行使しません。戦闘行為にも参加しません。自衛隊は何のために行くか。それは、イラクの人々が希望を持って国づくりに立ち上がることができるように、生活面の支援、いわゆる復興支援、人道支援をするために自衛隊の諸君に行ってもらうんです。


 総理は就任して以来今日で千四日目ということですけれども、この千日間を振り返ってみていかがでいらっしゃいますか。
 まあ、長いようで、またあっという間に短かったなと。千日というと思い出すのは、比叡山の修行で千日回峰行という荒行があるんです。これはもう毎日何十キロもね、山や谷を歩き回るんですね。睡眠時間が一日わずか2時間ぐらいだということもあるそうです。最も苦しいのはね、途中9日間飲まず食わず、不眠不休という超人的な苦行を乗り越えなくてはいけないという荒行ですよ。

 まあ、そういう修行僧ほどではありませんけどね、私もこの総理大臣という職責の重圧ね、緊張、これに耐えていかなければならんと思ってね、修行僧の心境に思いを致しながら、いろんな批判に押しつぶされちゃいかんと、批判に負けないで、この総理大臣の職責を全うできるように、これからも大いに頑張っていかなきゃならんと思っています。


 総理、もっとお伺いしたいんですけれども、そろそろお時間です。
 そうですね。また来月、お目にかかりましょう。皆さんも風邪を気を付けてください。

※このメッセ−ジは、全国38局のラジオで1月24日(土)に放送されたものです。


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