首相公選制を考える懇談会(第8回)
| 2002年(平14)2月28日 委 員 大 石 眞 |
* 本モデルは、これまで提示された「現在の憲法下で可能な新たな首相選出モデル」及び「議会からの首相の独立性に力点を置くモデル」とはできるだけ異なったモデルを提示しようとするものである。* 本モデルを実現するには憲法改正を要するものもあるが、一定の統治機構の構想それ自体を提示することに主眼があるので、憲法事項と通常法令事項とをとくに区別しないで取り上げている。
* 本モデルは、議院内閣制を前提とした構想を提示するもので、議会と内閣との関係という観点から必要な限りで両議院のあり方等についても言及しているが、いわゆる国会改革の問題を直接に取り扱うものではない。
(1) 安定した立法期を確保すること
両院制と両議院組織法の問題
(2) 政府・与党(会派)を一元化すること
首相の指導性と官邸機能の強化
(3) 政権の安定を図ること
(1) 衆参両院選挙を合わせると、約1年6ヶ月ごとに国政選挙を行ってきている。しかも、実質上衆議院の指名にかかる首相の地位及びこれに率いられる内閣の運命が、制度上常に潜在的に参議院選挙の結果に脅かされている。こうした国政運用のありようは議院内閣制諸国でも異例といってよい。
(2) 制度上の問題としては、両議院組織法(両議院議員選挙法)のあり方が似通ったものとなっていることが関係しており、この点について再考する必要がある(とくに参議院組織法と参議院の権限の問題)。
2 いわゆる権力の二重構造
政府と与党、会派と政党という関係が合理化されず、制度的に整理されていないため、政治過程全体が不透明なものとなり、いわゆる政治不信・政治不振を招いている。
3 憲法68条但書きの運用について
(1) この規定には大統領制的要素と議院内閣制的要素とが混在している。そのため、いわゆる民間人の登用が可能で、しかもむしろ歓迎される傾向があるが、これはイギリス型議院内閣制のあり方と離れている。
(2) また、参議院組織法のあり方も関係して、参議院議員が大臣に就任し又は登用される例も常態化している。しかし、そうした運用実態は異例であり、大臣の政治責任という点からみても問題となる。
(1) 現代的な代表民主制における国民・議会・政府の関係は、単なる組織上の関係だけでなく、相互の権限上の関係でもあるという意識を共有し、それぞれの責任も明確にすることが求められる。
(2) 内閣統治制でなく首相統治制・大統領的首相の考え方に立って、首相のリーダーシップと権限及び責任を明確化する。
例えば、基本方針策定権限、副大臣・政務官・高級官僚の人事権(現行制度上は内閣にある)など。
(3) 首相の提案により、重要法案に関する国民表決(レファレンダム)を行うことができるようにする(憲法改正の場合だけに限らない)。
(4) 衆議院解散について、「国民の審判」論と憲法70条との間には乖離があるので、解散・総選挙と内閣交代制とを分離することが望ましい。
2 政府と議会(野党)との関係の合理化
(1) 建設的不信任決議の制度を導入する。
責任ある政府批判を期待し、国民に争点を明示するとともに、政治の空白を避ける。
(2) 首相(内閣)信任決議手続を整備する。
重要法案の採否と信任決議の是非とのセット又は法案議決と内閣責任との結合を図る(但し、信任議決を直ちに法案議決とみることまで考えるかは再考を要する)。
(3) 野党(会派)の対抗権力を制度化する。
政府批判機能の充実(少数派調査権など)、本会議の口頭質問の活性化など。
(4) 参議院の権限について、首班指名権・法案再議決制の削除や政府人事承認権の付与などを含めて見直しを図る。
*参議院組織法のあり方と密接に関連する。
3 安定した多数派・安定した立法期の形成
安定した多数派・安定した立法期を創出し、確保するため、両議院組織法と両議院の権限関係は、以下のようにすることが考えられる。
(1) 両議院組織法はできるだけ異なったものとし、衆議院のみが国民一般との直接的関係をもつ選挙制度にする。この場合、多様な民意を確保する一方で、選挙を通じての国民統合を図る意味から、衆議院議員選挙は2回投票式完全小選挙区制とすることが適当と考えられる。
(2) 両議院関係と機能分担とを明らかにする。
衆議院 ---- 与党会派の政府形成機能、野党会派の政府批判機能
参議院 ---- 諮問的機能、脱政党的運営、会派単位型運営の排除、政府人事承認権
*参議院のあり方について見直しが必要となるが、選挙権者の範囲を再考することも考慮に値する。
(3) 政党と国民との関係について
4 政府と与党(会派)との関係の一元化
(1) 与党による法案の事前審査は廃止する。
(2) 立法手続における政府の役割を考え、国会関係調整大臣を創設する。
与党(会派)の国会対策委員会機能を内部化する。つまり、同大臣が閣法の提出を行い、議院運営委員会に参加することなどによって、実質的に議事日程決定への関与や法案提出権者としての内閣の地位を確保する。