教育改革国民会議

教育改革国民会議第2分科会(第2回)・議事概要


(日時) 平成12年6月2日(金)14時〜16時
(場所) 三田共用会議所2階 第一特別会議室

(金子主査)
 本日は皆さんから提出していただいたテーマについて、3つに絞ってその優先順位や議論の仕方などを決めることとしたい。皆さんの関心は、私なりに整理してみると、@授業、カリキュラム、学校生活、A教員、B学校ガバナンスの3つに分けられるかとも思うが、フリーディスカッションを行いたい。本日欠席の大宅委員、河合委員からは、プライオリティーをつけて議論すべき、大宅委員からはコストをかけなくてもやれるものが多々あるのではないかという意見をいただいている。

(上島委員)
 今の流れで行くと、検討の対象は公立の小中高のみである。職業訓練校、私立学校や養護学校なども議論の対象にすべきである。また、学校運営についての地域の主体性をどこまで認めるか、学校の民営化についても議論のベースとする必要がある。

(田村委員)
 議論を公立学校中心にすることについては、日本の教育が公立学校を柱にできている以上よいと思う。しかし、今の公立学校には学校評価や競争がないなど問題があることも認識すべきである。
 日本の学校は教科主義できたが、今の親の関心は偏差値よりもむしろいじめや不登校など人間関係の問題にある。こうした議論の切り口も必要である。

(石原委員)
 「公立学校の私学化」の意味するところをきっちりすべきである。公立学校が切磋琢磨しあうことなのか、それとも土地、建物、運営も保護者負担とするということか。この際、私学が受験競争を作り出していることも考えておくべきである。
 また、カリキュラムについては、学校現場は2002年からの新学習指導要領に向けて動き出しており、その時期にどういうメッセージを発するかがポイント。長期休業が家庭の教育力、学校の教育力とどのような関係にあるのかについても検討を行うべきではないか。

(田村委員)
 受験競争に言及して私学の話があったが、ほとんどの私立学校はそうではなく、ゆとり教育など受験以外の教育内容をその特徴としている。むしろ、今の私学のいいところを公立に入れていくことを考えるべき。親の教育に対する要望を受け止める仕組みを持っているかどうかが大切である。

(石原委員)
 義務教育でない高校以上の私学と義務教育における私学は区別して考えるべき。

(田村委員)
 義務教育において私学を増やした方がいいというのは臨教審でも言っているが、実際は私学はそれほど増えず、地域によっては私立がないところもたくさんある。しかし、公立とは違う学校を作ることが公立によい影響を与えるのではないか。そうしないと公立学校は変わらない。

(藤田委員)
 「選択制」と言ったときに、私立を増やすことで公立のモデルとするのか、学校の選択制も含めて競争原理を入れるということか、選択して入学すれば親の意識も高まるのか、どのような意味合いか、また、そのメリット、デメリットをもっと議論すべき。私は、部分的効用はあるとしても、全体がうまくいくのかは疑問。

(田村委員)
 今の公立学校には、社会人の校長・教員の登用、設置形態や運営方式についても新しいものを持ち込まないと変えられないのではないか。

(上島委員)
 私は、経営者の感覚として学校を民営化し、学校をもっと地域にゆだねるべきと思う。もし、公立学校をすべて「民営化」するのであれば、すべて競争原理が働いて決まるのであり、ここでは何も議論をする必要がなくなる。結局、「公立を私立化する」と言ったときに、既存のものをどう変えるかという議論の仕方をするのか、「民営化」のように何もないところから全く新しいものを考えるという議論の仕方をするのかという問題ではないか。

(藤田委員)
 民営化と学校を地域にゆだねることは別である。教育はコミュニティをベースにした教育と国民教育という観点がある。その中で地域に学校を戻し、権限をどれだけ委譲するかという問題と民営化の問題は別である。国民教育を民営化しているところはない。

(上島委員)
 地方分権と民営化は、ベクトルは違っても目指す方向は同じではないか。

(藤田委員)
 両者ではシステムの構成原理が違っているからできあがるものは異なる。民営化や私立学校の拡大、公立の中高一貫校を増やす、学校の選択制を広げる、いずれも完全な競争原理ではないが、市場原理を含んだものである。競争原理をどこまで含めるか議論すべきである。

(今井委員)
 公立学校でも問題解決のために様々な取り組みを行っている。田村委員のような議論が出ると、親としては戸惑いがある。むしろ、週休5日制も含め公私の連携をもう少しオープンにしてほしい。また、これまでは親や地域とともに学校を作っていこうという発想がなかったが、それが今は変わりつつある。地域や保護者から評価される仕組み作りなど開かれた学校作りを後押しする施策が必要である。

(金子主査)
 どのようにメッセージを出していった方がよいのかを少し議論した方がよいと思う。

(田村委員)
 公立中心はいいが、今のままでは駄目だ。地域も個の確立ができていないままだと意味がない。公立があることは大切であるが、公立は潰れないから、私立がないと改革の糸口がないのではないか。

(藤田委員)
 私は今まで行ってきた改革が全ての策を尽くしているとは思わない。公立学校の教員の採用についても、例えば学校単位での採用を実施すれば学校が変わってくる。また、現在正規雇用は常勤、非正規雇用は非常勤となっているが、正規雇用でもパートとするなど勤務形態と雇用形態を切り離して考えると変わってくる。公立学校の考え得る改革のオプションはもっとあるのに、今までの改革ではやっていない。世界的に見て日本の学校の教師ほど頑張っている人はいない。それを後押しすることを考えるべき。ガバナンスの議論と関連する。

(田村委員)
 変革のためには自分の中から改革が起きてくることが必要だが、評価がないこと及び潰れないことのために、今の公立にはそれが望めない。私学を作って実際の変革の例を見せる必要がある。

(藤田委員)
 競争原理を導入して学校が良くなるかについては、私は否定的である。親が小・中学校に求めているのは安全でそこそこの教育をしてくれることである。この2つを売り物にする競争原理とは一体何か。受験に有利という売り物しか考えられない。むしろこの2つの条件を満たすためにはどうすればよいかを考えるべきではないか。

(上島委員) 
 世の中にはまだいい大学に入っていい企業に行くという価値観がある。まずは受け入れ側の企業が変わる必要がある。

(藤田委員)
 現実に、企業に偏差値が低い大学からも取るという気構えがあるのか。

(上島委員)
 ある。うちの会社でも実際そうしている。

(藤田委員)
 もちろん、大学卒業や一定の偏差値以上などの基本水準をクリアしていれば、受験以外の要素を考慮するというのはトレンドになっているが、あくまで基本水準をクリアすることを要求しているのであり、本質は変わっていないのではないか。

(上島委員)
 今の企業は即戦力を必要としており、内部養成の余裕がない。

(石原委員)
 義務教育の保護者は企業に勤めているが、今後ますます仕事が厳しくなる中で親が教育に協力できる体制にするのは難しい。しかし、地域の子供の教育の問題は、大人の問題である。「私の子どもをどう育てるか」ではなくて、「私たちの住んでいる地域の子どもの教育をどうするか」、もっと子供を地域全体で育てていこうということ、学校が地域コミュニティの中で成立していくためにどうするかということについてアピールすべきではないか。

(金子主査)
 石原委員のご意見には皆さん同意できると思う。
 次に、この分科会の議論の中に大学まで入れるかについては高校までの教育を中心にした方がいいのではないか。
 また、総論よりも具体的な提言にした方がよいと思うが。

(田村委員)
 これからは大学に全員入れる時代になり、接続問題がなくなるので、大学も含めて論ずるべきである。

(藤田委員)
 第3分科会はリーダー(エリート)を作るという意味での高等教育を中心にしているようである。アピール自体は簡素にまとめるとしても、システムとしての全体の整合性を考えるときは大学も視野に入れて考えておくべきである。

(金子主査)
 方法論については、現行の制度から少しでもよくするというのか、何もないところに何がいいかということにするのか、それとも実現できるモデルを作るのか、いずれがよいかの問題である。具体的にという我々の方針から言うと、2番目のモデルは採用できないであろう。
 アピールについては3つ〜5つくらい、簡単なものにして、考え方を文章で書くことにしではどうか。

(草野委員)
 選択制といっても、地域によって全く違うと思う。都市部と地方で違う。
 民営化については、思いとしてはよく分かるが制約条件があるのではないかと思う。 石原委員の理念や考え方も必要である。こうした理念まで含めた方法論でうまい解決方法が何かあればと思う。

(上島委員) 
 大人も先生も閉塞間に陥っているが、これからは、子供にとってもっと夢のある将来にしていく必要がある。

(今井委員)
 第1分科会でも教育の責任を様々な人が分かち合う必要があると言っている。

(上島委員)
 内からの改革が必要である。

(藤田委員)
 今の公立の先生が大変なのはよく分かるが、大多数はそれほど閉塞感を持っているわけではない。マスコミが言い続けてきただけではないのか。

(田村委員)
 しかし、TIMSSやOECDの調査によれば、日本は成績はよいが学んでいることへの興味関心が非常に低い。これは、教える先生の側に夢がなく、閉塞感を持っているからではないか。

(藤田委員)
 なぜそれを変えるための政策を立てようとしないのか。子供が興味を持たないというのは、学校の民営化や学校を選べないということとは関係のない議論である。

(田村委員)
 民営化の議論は公立学校をよくするために必要である。

(藤田委員)
 アメリカで行われているのは、クラスサイズを小さくするとかチューターにより分からない子供にケアをするなどである。それでも駄目なら民営化を議論すればいいのである。今まで日本で行われてきたカリキュラム改革は、こうした点が十分に行われていないのではないか。

(田村委員)
 日本の学校は教科主義であり、系統性を非常に重視してきた。そのため、子供の生活と学校で学ぶことが遊離しており、学校は自分の生活と関係ないものとなってしまっている。その意味で、総合的学習は必要である。教育は、今まで知識を伝えることだったが、これからは学ぶ意欲を伝えることが必要である。したがって、今の改革の方向性は間違っていないと思う。

(石原委員)
 本分科会での議論では、全国の公立学校を画一的にしかとらえていないようであるが、現実は本当に様々である。例えば、公立学校など研究開発学校等指定されれいる学校は、非常に意欲を持ってやっている。チャレンジしている学校の良さを認めてもっとアピールする必要がある。そして、研究開発学校をもっと広げるなど、改革への意気込みを持てるような地域とのシステム作りが必要である。本分科会では公立学校の改革に市場原理をという意見もあるが、公立の多様な学校のひとつとしての養護学校など市場原理にまかせておくとたちゆかなくなってしまうのであり、養護教育のあり方として市場原理導入は困難である。

(金子主査)
 残り時間も少なくなってきたので、仮止めとしてテーマを以下のようにしたい。
 まず、全体の方向性としては、努力したところが評価されるようにすることにより、魅力ある楽しい学校をつくる。その際、画一性を捨てれば格差が生ずるということも考慮する必要がある。その具体的な方法は、議論する。
 次に、具体的な提案としては、教員の採用、資質の問題を中心に、それ以外のことも議論することとしたい。
 最後に、研究開発校、コミュニティスクールなど、自分で責任を取って結果を出すような学校を作れるようなシステム作りについて検討し、モデルを示したい。学校のガバナンスについてもこの中で検討することとしたい。
 次回は、教員の問題を中心に議論することとしたい。 

[文責は教育改革国民会議担当室]
(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。