教育改革国民会議

教育改革国民会議第2分科会
第2回議事録



教育改革国民会議第2分科会第2回・出席者一覧(敬称略)
 石原 多賀子金沢市教育長
 上島 一泰社団法人日本青年会議所会頭
 大宅 映子ジャーナリスト
(主査) 金子 郁容慶應義塾幼稚舎長
(副主査)田村 哲夫学校法人渋谷教育学園理事長
 今井 佐知子社団法人日本PTA全国協議会理事
 草野 忠義連合副会長

教育改革国民会議第2分科会第2回議事次第
日 時:平成12年6月2日 (金) 14:00〜16:00
場 所:三田共用会議所2階 第一特別会議室

1.開 会

2.討 議
  ・第2分科会の検討テーマについて
  ・今後の審議の進め方について
  ・その他

3.閉 会


【金子主査】きょうは大宅さんと河合先生がご欠席ということです。時間ですので、始めさせてもらいたいと思います。

 それでは、配付資料について簡単に説明をしてください。

【銭谷教育改革国民会議担当室長】私のほうから、今日お配りをしております資料について若干ご説明をさせていただきます。

 資料1は本日の議事次第でございます。資料2でございますけれども、前回、主査のほうからお話がございまして、各委員の方々から分科会の検討テーマを3つずつ出していただきましたけれども、それをそのまま全文を記載をしたものでございます。資料3でございますけれども、これは資料2を事務局のほうで一応分類整理してみた資料でございます。資料4でございますが、これは前回もお配りをいたしております国民会議の審議事項です。ご参考までにお配りをさせていただいております。資料5は第2分科会の日程でございます。

 それから、資料6から10までが、委員の先生方からご希望のありました資料のうち、今日までに用意のできたものをお配りをさせていただいております。

 まず資料6でございますけれども、学校数、在学者数、教員数等を学校種別に整理した簡単な統計でございます。基本的な統計と思っていただければと思います。ご一読していただければおわかりのように、幼稚園は私立が8割ぐらい、小、中は公立が圧倒的に多い、高等学校は公立が7、私立が3といったような在学者の割合になっているということでございます。

 2枚目は高等教育のほうでございますが、大学をごらんいただきますと、国立が4分の1程度、私立が4分の3程度という数でございます。

 資料7でございますけれども、これは平成12年度から新しい装いで実施をされております研究開発学校制度の関係の資料でございます。平成12年度から、学習指導要領などの現行の教育課程の基準によらない教育課程の編成実施を認める研究開発学校につきまして、研究開発課題は従来、文部省が定めていたわけでございますが、それを各学校設置者の主体的な判断で設置できるようにしたというふうに制度改正をいたしております。

 それから研究費につきましても、1件当たり、従来おおむね50万円程度だったものを600万円程度として予算の大型化を図っておりますので、ご覧をいただければと思います。

 資料8は子どもの学力について調査した資料でございます。これは、第2回の全体会のときにお配りしたものの抜粋でございます。

 資料9でございますが、「新しい学習指導要領で学校は変わります」という、文部省が作成をいたしましたパンフレットでございます。

 大変恐縮ですが、1枚めくっていただきますと、表紙の裏のところに実施のスケジュールが書いてございます。平成12年度から新しい学習指導要領は、移行措置という期間に入っております。

 これは移行措置という名前でございますが、新しい指導要領は、かなりの部分が今年度から実施をされております。全面実施になりますのが平成14年、2002年ということでございます。高等学校の場合は平成15年度からということでございます。小、中は平成14年から完全実施で、平成12年度から部分的にかなり実施をされているということでございます。

 パンフレットの裏表紙のところに、新しい学習指導要領による、小学校、中学校、高等学校の年間の標準授業時数、教科科目、標準単位数といったようなものを一覧で載せております。

 小学校と中学校のところをちょっとごらんいただきますと、表の右から2つ目のところに「総合的な学習の時間の授業時数」というふうに書いてございます。たとえば小学校が3年生から6年生まで 105時間から 110時間、週当たりにしますとおおむね週3時間程度、「総合的な学習の時間」というのが新たに設けられたというのが、今回一番大きな特色でございます。「総合的な学習の時間」は、各学校のご判断でいろいろな学習活動をしていただくという時間でございます。

 中学校のほうも、その下にありますように、「総合的な学習の時間」が設けられております。また、今回非常に拡大をいたしましたのが「選択教科等に充てる授業時数」ということでございます。これもまた必要があればご説明をさせていただきます。

 最後に、資料10でございますけれども、教員関係の資料を整理して欲しいという委員の先生方からのご要請が非常に多かったものでございますので、教員関係の資料を一括してご提出をさせていただいております。

 たとえば、社会人はどれぐらい活用しているのかというようなお話がございましたので、7ページでございますけれども、特別非常勤講師制度といったような、免許状を持たない人を教壇に立たせる制度がございますが、平成10年度で、6,280件、こういった件数で社会人を活用しているということでございます。

 それから、先生の年齢構成についての資料が欲しいというお話がございましたが、9ページをごらんいただきますと、平成4年度から平成10年度を見ていただきますとおわかりのように、一番多い年齢層がだんだん上がってきているということがおわかりいただけるのではないかと思います。平均年齢も、右下に表がございますように、少しずつ上がってきているということでございます。

 その背景として、10ページの下のところに表がございますけれども、採用者の数が、総計で見ていただきますと、平成2年の3万人台から、平成11年度ですと1万人台まで下がってきている。その分、教員採用の競争率がグングン上がってきているという状況がございます。

 その影響だと思いますが、13ページでございますけれども、採用者に占める新規学卒者、つまりその年、大学を出た人が採用者になるのはどれぐらいの割合かということも、現状では、新規採用者の大体3割程度というのが新規学卒者というデータでございます。

 同じ13ページの下のほうにありますのは、採用者の中で教職経験者が占める割合でございますけれども、非常勤講師等をしておりました教職経験者が46.4パーセントというような比率になっております。

 あと2点だけでございますけれども、この資料10の25ページでございますけれども、問題が起きたり、精神的にまいっているような先生がどれぐらいいるのかというような資料も出してくれというお尋ねがございましたけれども、そこに病気休職者の先生のうち、精神性疾患による休職者の数がどれくらいかというデータを載せさせていただいております。

 平成元年ごろは、病気休職者のうち、精神性疾患による休職者は 1,000人ぐらいでございましたけれども、平成10年度 1,715人という数が出ております。これは、当該年度の数字ですから、休職期間は3年間ですので、実際はその3倍程度休職しているということになります。

 最後でございますが、27ページでございますけれども、若手校長の登用ということがございまして、そういう関係の資料がないかというお尋ねもあったんでございますが、校長先生、教頭先生になった年齢をここに記してございます。

 校長の登用者で、40代の人がかなりいるわけですが、一番多いのは51歳が 630人ということで、校長の登用の平均年齢は、小、中、高合わせますと52.8歳ぐらいでございます。教頭のほうが平均年齢でいいますと47.7歳ぐらいでございまして、一番多い登用年齢は47歳台ということになっております。

 こういったことで、ほかにまたお尋ねがあればご説明させていただきますが、教職員関係の資料を整理させていただきました。

 なお、このほかにも委員の方からご希望のありました資料、まだ用意してないものがございます。たとえば各国と日本の学期制の現状、それから各国のスクールカウンセラー養成方法や、教育委員会、学校への配置の状況、それから学校の先生の仕事の配分時間、子どものためにどのぐらいの時間を実際に使っているのか、事務的な仕事にどのくらい時間をとられているのかといったような資料については現在まだ調査中でございますので、まとまり次第ご提出をさせていただきたいと思っております。

 なお、お席に、社団法人日本青年会議所で作成された「地域の先生ワークブック」という資料をお配りをさせていただいております。

 これは日本青年会議所で、子どもの教育に積極的に参加しようという目的で、大人が家庭、地域、学校で、先に生まれた者として、地域の先生となって行動するためのワークブックとして作成されたものと伺っております。日本青年会議所のほうから、国民会議のメンバーの先生方にご一読いただきたいということで送られてまいりましたので、ご覧をいただければということでお配りをさせていただいております。

 私のほうからの資料の説明は以上でございます。

【金子主査】 今後も、こういうものが見てみたいというのがあったら、事務局のほうに言っていただければと思います。それから会議の間も、きょうは何人か、文部省の専門の方もいらっしゃっていますので、事実に基づかないで議論するよりは基づいたほうがよろしいと思いますので、何かあったら聞いていただければ、たぶん大体答えていただけるんじゃないかと思います。

 それでは、今日の議論を始めさせていただきたいと思います。今日は、いま3つずついただいた討論テーマについて、どんな感じで優先順位をつけて、どういう形でまとめていくかということを最初に決めたいと思います。

 私としては、できたら3つぐらいに絞って、今日が2回目で、あと3、4、5回目で1つずつ少し重点的にやろうかなと。7回ですから、6回目は全体として話して、報告書としてまとめた原案を、7回目で議論する。3つに決める必要はないんですけど、3つぐらいかなという気がいたしております。

 それで、皆様方からいただいたものを事務局のほうで、資料3にありますように「その他」を入れて4つに分けたものがあります。これを、私の方で、マトリックスにしまして各々の提案をプロットしてみました。今お配りしていますが、これをたたき台にしながら、3つぐらいの固まりになるのかなと。固まりにならないものがあったら、これとこれはという形でやっていただいたらいいのではないかと思います。

 ちょっとこれを説明させていただきます。マル1、マル2、マル3は事務局のと大体同じですけれども、「授業、カリキュラム、学校生活」というくくりと、「教員」のくくりと、「学校のガバナンス」「新しい学校」のくくりです。ガバナンスというのは運営よりもうちょっと広い意味で、財政面みたいなのを含めての意味がある用語です。たとえば教頭、学校長なんかの任命は3のほうに入れたほうがいいのかなという感じです。

 それから横の軸が、制度の中でやろうと思えばできるというものと、何か新しい制度をつくらなきゃいけない、ないしは制度を改革しなきゃいけないと。可能性として、憲法とかそちらのほうにも関連しているかなということで分けてみました。

 上島さんの1の2というのは、もともとの提案の中には書いてないのですが、私の方で拡大解釈して、少し勇み足なんですけど、3つ目のくくりに少しかかる形で配置しました。田村さんのこの間の義務教育の有償論というのが頭にあったので、少しここらへんに関係してくるかなということと、あと、3の大学教育のほうは、あれは89条でしたっけ、私学助成の話が問題になる可能性があるので、財政の問題もやるとしたら、多少憲法の問題にもひっかかるかなということでここに配置しました。田村さんから、憲法も含めて、他の場では話せないことも話そうという提案もあったので。一応ここにこういう枠を設けておきました。

 きょうご欠席の大宅さんと河合さんからは、幾つかコメントをいただいております。お二方とも、プライオリティーをつけて、できるものからやっていくのはどうかというご意見と、大宅さんからは、コストをちゃんと考えて、コストがかからなくてできるものもあるんじゃないか。そういう意見をいただいております。

 とりあえずは、事務局案でもいいですし、私のほうは二次元なので、何となく見やすいかなと思って書いてみたんですけれども、自分のはここじゃないよという人がいたらおっしゃって下さい。

 それから、私が取り出した1、2、3じゃなくて、こういう別のくくりがあるよという話でもいいと思う。最初ちょっとフリーディスカッションで、もし分けるとしたら3つぐらいのくくりでどう分けるか。この表は、ある意味では縦に3つか、横に3つか、どちらでも分けられるなという感じなんです。どれにプライオリティーをつけていくかという話を、最初、自由ディスカッションとしてしていただきたいと思います。

 あと、具体的な幾つか細かいコメントを大宅さんからいただいていますけど、それは話題になったときにご紹介いたします。

 いかがでしょうか。少し見ていただいて。事務局案のほうはお送りしてあると思います。

【藤田委員】金子さんがまとめられたマル3「ガバナンス、新しい学校」は、事務局のまとめだと、3の「地域でつくる魅力ある学校」に入っているようなことが主に入るわけですね。

【金子主査】そうですね。事務局の2のほうでも、一部たとえば適性を欠く教員をどうするかとか、校長をどうするかみたいなのはガバナンスの問題かなと思いました。僕の感じとしては、2は純粋に教員の問題に限ったほうがわかりやすいかなと、そういうことです。

 あと、この国民会議は中教審とかそういうところとは違いますので、直接の実施というより、メッセージを発していくのが重要なのかなと。細かい話を、こうこうこうしろということよりは、ちょっと大くくりにして、授業をこうして、教員はこうする、それで学校づくりをこうする、ないしはガバナンスをどうするというほうがメッセージを発しやすいのかなというような感じもしています。これは私のたたき台です。

【上島委員】大変よくまとめていただいていると思います。

 議論に入る前に、前回も申し上げたんですが、今のこの流れでいくと、大体、小、中、高の公立の文部省関係、ほかの省庁抜きの対象のベースの議論になると思うんです。ほかの、たとえば養護学校とか職業訓練校とか、又、私立のほうも、少しどけてるベースがある。それはそれで、絞るのであれば、私もグッと絞って、われわれのところは、ベースの部分では公立を中心に議論していくことを明確にする。

 大学の改革については第3分科会ですけれども、本来、私は一連として、流れとしては、小、中、高、大の一連の流れというのは基本に議論すべきと思うのと、基本的には全体的なベースとしての話を、地方分権に先駆けて相当、地域の意思決定の中で全体的な流れを、どこまで地域にゆだねていく流れを全体としてつくっていくかを基本として、私は話していくべきだろうと思うんです。もう少し地域の自主性というのを、基本的な話すベースとしては、そこに置いていくべきだろうということです。

 それから、田村先生が前にもおっしゃった義務教育の有料化という話と、いま大学が独立法人化していく中での、小、中、高の大きな意味での民営化というところをスタートの議論して、公立の民営化というところの議論も視野に入れていく。その分け方の前の、もう少しキチッと、ある程度基本を、ぜひまとめていきたいと思います。

 私としては、小、中、高の公立の学校に絞る。それから、できれば論調としては、地域主体としての教育というのがどうあるかというベースで話していく。小、中と民営化というところについては相当議論がありますので、それは少し離して議論したらいいと思うんですが、その上に立ってのこの3つの分け方であれば、グッと絞って、そういうベースで話をするということさえ共有できればいいんじゃないかなと思います。

【金子主査】上島さんの場合は、小、中は公立に限ったほうがいいというご意見ですか。それとも。

【上島委員】私は国民会議なので、本来は養護学校とか、私は専門がないので、少し議論はできない上で言っているんですが、もう少し広く、私立とか視野に入れて、本来は話すべきだろう。だけど、このまとめからみると公立中心。

【金子主査】僕のまとめは全然それはあれしてないです。

【藤田委員】私もそれでいいと思うんですけど、金子さんのまとめでは、授業、カリキュラム、学校生活と教員、マルの1、2、3ですよね。これらは、そうは言っても公立を主に念頭に置いて議論されると思うんですが、それでいいと思います。もちろん私立も、カリキュラムや、マル1なんかでは、かなり絡んでくるでしょうけど。

 だけど、それに加えて、田村さんの言われるような憲法・基本法などに関連するようなレベルの問題、公私の関係でありますとか、あるいは専修学校等との関係とか、そういったレベルの問題がもう1つあるようにも思います。実際にどう議論するかはともかく、それは他の3つとはちょっとディメンションが違いますから、違う問題として一度議論はしておいたほうがいいとは思いますけどね。もっとも、場合によっては、ガバナンスの問題はそういったこととも密接に関連してくるでしょうから、そこに含めてもいいようにも思います。

【上島委員】わかりました。

【金子主査】いまのご意見は、両方をあれすると、何をどう議論するかというドメインを、

 この3つで含めるか含めないかというんじゃなくて、藤田さんはもう1つ、ちょっとスケールは違うけど、立てて、まとめて考えたらという話ですか。この3つでも、両方やろうと思えばやれるけれども、あえてそれを少し取り出してやったほうがいいんじゃないかという話ですか。それはあるかもしれないですね。

【田村委員】いまの両先生のお話に反対とかそういうことじゃないんですけれども、議論の進め方としては、私は公立をまず議論するという順番だろうという気がしております。やはり日本の教育というのは、学校教育に関してやっぱり公立が柱であることは間違いありませんから。

 ただ、公立だけでやると具合が悪いことがいっぱい出てきているということで、競争の原理を導入するとか、学校評価の公表の問題というようなことは結局、公立だけでやることの問題点というのが、教員の閉鎖性の問題も全く同じなんですけれども。

 ですから、私立を意図的につくるとか、公立の私立学校化という問題が次に出てくるわけですから、議論はそこへ一応収れんしてやったほうがはっきりするんじゃないかという気が1つしております。

 もう1つ、1番の「授業、カリキュラム、学校生活」にかかわって言いますと、あまり時代の流れに敏感に反応するのはいかがという気もするけれども、しかし、時代の流れを全く無視してもいけないような気がしますので、そういう点でいうと、この間、読売新聞でしたかね、教育にかかわってのアンケート調査をやって、親が、いまの教育問題で一番気にしているというのは、半分ぐらいがいじめなんですね。同じぐらいの率で、やっぱり50パーセント前後ですけれども、登校拒否。高校進学とか偏差値というのはパーセンテージでいうと20パーセント前後なんですね。圧倒的に、つまり人間関係みたいなものが、いまのテーマとして、親の意識には乗っているんだということはやっぱり考えておいたほうがいいだろうという気がするんですね。

 そういう問題の立て方でいくと、日本の学校というのは教科主義でしょう。教科でできているんですよね。先生方は教科を教えることで学校の教育をしているという考え方でずっと来て、いまでもそうですよね。

 今度の新しい総合学習というのは、その教科主義を乗り越えたところに意味があるんですけれども、いま議論されているのは教養教育ということがテーマに出てきますよね。

 教養教育というのは、確かに言われてみるとインターナショナルスクールとか、外国の学校では、小学校1年から教養という時間があるんですね。宗教立の学校ですと、教養の時間に宗教を教えているんですけれども、そうでない場合は教養という科目をつくって、教科とは別にそういうものを教えているという時間があるんですけれども、そんなような問題の切り口を取り上げるのかどうか。

 そうすると、これは教員養成に絡まってくるんですね。教える先生がいるかどうかというような話とか、先生方の意識の問題でもあるでしょうし、そこまで広げちゃっていいのかなという気もしないでもないんですが、そこのところは切り口として考えられたほうがいいんじゃないかなという気がするんです。

 でも、それが私が取り上げた、教科主義の中において教養教育を位置づけるかというのは、親の希望に沿った形で考えるとこういう問題になる。総合学習の時間で教養をやったっていいんですけれども、そういうものを意識するかどうかということですよね。

【藤田委員】田村先生のいま言われたことは、マルの1のディメンジョンで、基本的には議論し考えることができる問題ではないでしょうか。教員の問題も関連してきますけど、マル1のディメンジョンで、そういったことをどういうふうに盛り込むかを考えていけばいいように思います。

【金子主査】教科中心だけじゃなくて考えようという話ですね。

 ほかの方はいかがですか。石原さん、今井さん。

【田村委員】それは5日制の問題に絡んでくるんですよね。石原先生が前回指摘されていましたけどね。

【石原委員】いま私学では、5日制じゃなく6日制のところもありますね。先ほどの公立の私学化ということの具体的な意味内容ですが、たとえば用地を買収し、建物を建て、教員を配置し、運営費も全部民営でするということの私学化なのか、もっと公立学校が切磋琢磨し競争するという意味なのか、はっきりさせる必要があります。

 そういう意味では、公立のあり方について議論をするということはいいことだと思うんですが、私学化という言葉によって何をイメージし、改革しようとするのかということをもう少しはっきりするべきではないかと思います。

【藤田委員】定義ですね。

【石原委員】率直に申し上げて、私学がいわゆる受験競争の最も大きい柱をつくっていることも事実で、私学に入るために塾に行っている。公立に行くために塾へ行っているということは、小学校、中学校はまず考えられないわけで、いわゆる幼稚園、小学校への「お受験」に象徴されるような、幼少期の家族ぐるみの受験競争、さらに私立中高一貫校への受験体制を担っています。

 もう一つ、「授業、カリキュラム、学校生活」という領域についてですが、実際に学校現場がすでに、先ほど、新しい学習指導要領で学校が変わるというパンフレットがございましたが、今年と来年は移行措置で2002年からスタートします。そのための教職員への研修や、保護者に説明をしており、たとえば総合学習をどうしていくか、選択教科をどうするか、地域の社会人をどう活用するか、学校の評議員についてなどの議論がすでに今年から、それぞれの地方の学校では重点施策として展開しています。新教育課程がどのように学校を変えていくのか、それをもっと関心を持ち具体的な支援として何をするのかということも1つ大きいポイントだと思います。私は前にも申し上げましたが、たとえば家庭の教育力ということが低下していると繰り返し言われますが、実際の中では長期休業というものが、本当に家庭の教育力と学校の教育力に関して、いい形で機能するような授業日との区分の割合になっているか、1年間を通してどういうタームで勉強させることが、子どもにとって学力が定着しやすく、また、どの時期にどのくらいの長期休業を持つことが、社会参加や家庭の教育力を向上させるか、このようなことを、家庭、学校、地域、企業にもっときちんと考えてもらうという視点を提供することも、この国民会議では大事ではないかなというふうに思っております。

【田村委員】石原先生のご指摘の中で、私立学校化のことについての質問がありましたのでちょっとご説明させていただきますけど、いま受験競争に限定されて、私立学校化あるいは私立学校の教育というものを特徴として指摘されているんですけれども、現実にはそうではないんですよね。

 つまり中高一貫というのは、仮に受験競争という形でいうと、東京大学に入るということが非常に象徴的に出てくるんだけど、それをやっている中高一貫校というのは、数からいったら本当に数少ないんです。全国でおそらく20も30もないですよね。

  600ぐらいある中高一貫校の多くは、その教育内容に特徴があるんです。たとえば大学につながっていて、ゆとりのある教育をしているとか、中高一貫、中学と高校と区切らないことによって、6年間教育の中で特色のある教育をしている。それはいい手本になるはずなんだけど、公立では宮崎県の1県でしかそれが実現してないわけですね。だから、そういうことを取り入れることが私学化というふうに私は意識しているんです。

 受験で特徴があるということでは、私立学校は生徒を集められないですよ。東京のようなところでもそうです。受験校で有名な学校でも、受験に結果を出してるなんてことを学校説明会では言いませんね。うちの学校は6年間でもって、こういうゆとりがあって、こんなことをやってて、人間教育にこんなことをやってるんだなんてことをみんな言っていますよ。実際やってるかどうかは別として、そういう意識があるわけですね。

 そういうことを魅力と感じて出願してくる親がいるということを、公立のサイドではお考えになったほうがいいと思うんです。決して受験だけでやってるわけじゃない。現実に中高一貫校を分析していただけばすぐわかりますよ。みんなやっぱり何らかの形でゆとりのある、大学附属なんていうのはその典型ですけど、そういう学校のほうがはるかに量が多いんです。女子系の学校なんていうのはほとんどそうですよ。本当に幾つかしかないです。受験で特徴を出しているというのは。

 ですから、私立が受験の柱になってるという見方は象徴的にはわかるんですけれども、いいことを公立に参考として入れようとするのであれば、そういう見方でない切り口をお考えになったほうが公立にプラスになると思うんですよ。むしろある意味では、公立のほうがそういうことを意識しすぎているという感じがするときがありますよね。

 たとえば県でもって予算をつけて、進学のことを特別やったら、そこの県立高校には特別に予算をつけるなんてことをやってる県がありますでしょう。これは明らかに間違いだと思うんですね。

 ですから、そういう意味で言うと、私学化というのはどういう意味で申し上げているかというと、やっぱりいまの親の教育に対する不満とか、こうしてほしいという気持ちを受

 けとめているしくみを学校の中に持っているかどうかということだろうと思うんですね。

 だから、それは私立学校の場合には、親のそういった不満を受けとめないと生徒が来なくなっちゃいますから、いろんな形でやってるわけですよ。だけど、直接、親から話も聞いていますしね。

 たとえば私の学校でいえば、私は年に、春と秋2回、全生徒の父母を地区ごとに分けて、

 中高一貫ですから中1から高3までですけれども、地区懇談会と称して、出席率 7、80パーセントですよ。非常に出席率がいいんですけど、私が直接話をするんです。

 それは好きだからやってると言われればそれっきりなんだけど、それがそのまま学校経営に反映するんですよね。私立の場合は。校長が聞くと。その手のことは公立でもやるべきだと思うんですよね。

 それは教育委員会があり、税金でやってるためにできないという部分がありますよね。

【石原委員】 地方によって違いますが、私どもの県ですと、公立高校の校長が中学に積極的に行ってお話しをしています。

【田村委員】 それは受験の話でしょう。

【石原委員】 いや、自分の学校の特色。みんなパンフレットを出していますし。

【田村委員】 だから、それは受験の話でしょう。

【石原委員】 中学生は高校に入学するにあたってどんな高校かを知りたいと思っています。

【田村委員】 そうじゃなくて、現にいる自分の学校の父母にそういう働きかけを学校としてしているか、それを学校運営に反映させているかということなんですよ。

【石原委員】 義務教育における私学は、全入制の公立学校とは異なり、たとえば宗教的精神のもとに設立されている私立であれば、それに賛同する保護者との契約関係であり、地域の学校ではないところに特色があります。

 実際問題としては子どもが少なくなりました。そのこともふまえ、高校では定員の公立と私学の割合も決められている場合が多いときいています。全入制の義務教育における私学化の問題と、義務教育でない定員制の高等学校以上の私学の問題は質的に異なり、区分したほうがいいと思っています。

【田村委員】私ばっかり言っちゃうといけないので、これでやめますけれども、つまり義務教育に私立がもう少しできたほうがいいというのは、臨教審が提言の中に書いているんですよね。それは実は84年から87年にかけて書いて、実際にはほとんど行われていないという問題が1つあるわけです。

 臨教審がどうして、私立学校が義務教育にもうちょっと出たほうがいいかということを書いたかというと、これは招致の問題ですけど、地域によって、おっしゃるように、全く私立学校がない地域があるんですね。

 私立学校が全くないという状況は、たとえば自治省によると、人口30万以上の都市は中核都市と言うんだそうですけれども、中核都市クラスだったら私立学校は十分なり立ち得ると私は個人的に思っているんです。いまのこの時期になった場合ね。

 ところが、きっかけが何にもないんですよ。だから、意図的にこういうところで呼びかけて、その地域で私立学校をつくって、公立とは違った、親と直接的な連携というか、教育内容の反映も踏まえて、地域に支援された私立学校、第3セクターという言い方もあるでしょうし、いろんな言い方があると思うんですが、いろんな形の、公立とは違った味わいのある義務教育をつくるということをやることが、それをすることが公立学校にプラスになると私は思っているんです。そういうやり方でないと公立学校が直らないと思うんです。

 それから、高等学校の場合はまた別な問題があるんですよ。これはちょっと議論が長くなりますから、後でまた時間があれば触れますけれども、高等学校は別として、まずいまのところ議論してほしいなと思うのは、義務教育段階における私立学校の問題ですね。

【藤田委員】きょうはたぶんこれを議論してもいいんだろうと思いますが、ただ、その前に、先ほど4番目に制度的なディメンションがあってもいいように思うと申しあげましたが、いまの議論は全部そういうところに入ってくると思うんです。ですから、1、2、3をやった後にもう1度それを議論するのか、それとも、きょうそれを議論するのか、その辺がちょっと判断しかねているんですけど、それが1つです。

 2番目は、いまの議論をお聞きしながら、小、中学校における学校選択制の問題は、田村先生がおっしゃられるようなこととも関連して、重大な問題だと思うんですね。

 もう一方で、田村先生の言われるように、あるいは臨教審の議論のように、私立をもっと小、中学校でも増やすべきだという議論もありますね。ですけど、現状において、中学校でいいますと1万 2,000校ぐらいあるうちの、私立はたかだか5パーセント、生徒数でもそのくらいですよね。

【田村委員】小学校じゃもっと少ないですよ。

【藤田委員】もっと少ないですよね。

【田村委員】公立はたしか3万 5,000ですかね。1パーセント以下です。

【藤田委員】 そうですね。約2万5,000くらいのうちの1%以下です。そこで問題となりますのは、私立をふやすことで、それをモデルとして公立にも学校改革に取り組んでもらおうという趣旨なのか、そうではなくて、学校選択制も含めて何らかの競争原理を入れることで、学校の自助努力、改善努力を促進するという効果をねらっているのか、それとも、例の社会経済生産性本部の提案のように、選んで入れば、親の連帯感や意欲も高まるということを期待して言われているのか、いろんなレベルがあると思うんですが、そういったことをきちんと検討する必要があると思います。

 私はそれはどれもほとんどうまくいかないと思いますので、公立をキチッとやらなければいけないと思うんです。もちろん、部分的な効用はあるかもしれません。だけど、それでトータルに教育がよくなるのか、中学で言うと1万 2,000の学校の 各学年120万人から130万人の子どもたちの教育環境がそれで本当によくなるのかということは、これはやっぱりキチッと考えないといけないことでしょう。そういう意味で、マル1、マル2、マル3はそれぞれキチッと検討する必要がある。

 そういったことも含めて、いままで言われたような一連の問題は、それ自体として、その是非をきちんと検討すべきだと思います。そういう方向で何らかのアピールをする場合、あるいは具体的な提案をする場合、そのメリットとデメリットを検討し、それを踏まえて、適切なアピールをすべきだと思うんですけどね。

【田村委員】私は公立学校における派閥や学閥の問題は、地域によっては、あるのではないかと思っています。全く違う学校をつくって、そこは派閥とか学閥じゃない、地域と関係ないと言ってもいいのかな、ある意味ではもっと、全く理想を持った人たちが集まって新しい教育をするという場をポンと持ち込んで、初めてほかの先生方、ほかの学校関係者あるいは父母が気がつくんじゃないでしょうか。そこまで来ちゃっているんじゃないかと僕は思っているんですけどね。戦後の日本の公立教育が。

【藤田委員】義務教育段階で私立学校が何校か何十校か増えたからといって、いま言われたような派閥の問題はそんなに簡単に解消できるものではないんじゃないですか。それを突き崩すんだったら、もっと別なやり方を考えたほうがいい。公立を民営化するとかどうとかというのは次元の違う問題で、教員採用のプロセスとか、だれが採用にかかわるかとか、そういったところをもっとストレートに扱うべきだと私は思うんですけどね。

【田村委員】ですから、民間講師を登用するという意見は、その線で私は強く主張しているわけですよ。

 それから設置形態も、公立の教育委員会に指導されるという形じゃなくて、第3セクターのような形で、もっといろんな関係を持った運営方式というものを持ち込まないと、基本的に採用のところからも変えられないんじゃないかと私は思っているんですよ。

 そんなの大丈夫だという案があれば、それはそれでいいんですけれども、本当に大丈夫かなと。

【石原委員】私は、藤田先生がおっしゃるように、どういうふうにして任用するのか、その選び方や育て方や、そういうことが非常にかかわってくると思います。

 たとえば少し前までは師範学校というのは大きいグループでしたが、いまは多様な大学出身者が採用されています。必ずしも地元に生まれ育った人だけでなく、県外の人も、民間経験者も教職員にいます。

 教員採用の年齢、あるいは採用に当たっての評価の仕方、すなわち、子どもたちにきちんと教育をできる、そういう採用のシステムをもっと抜本的にできるのかということを検討していったほうがよいと思います。

 つまり私学だから、いい先生が集まるというふうには必ずしもなりません。

【田村委員】 そうじゃなくて、私が言いたいのは、学閥で、もし私立学校がやったらつぶれちゃうんですよ。ところが、公立は絶対つぶれないんです。だから、弊害に気づきようがないわけですよ。システムとして。そのシステムがない以上は、やっぱり何かを考えないと公立は動かないんじゃないかと思っているんですけどね。

 これは極端な話をしているんですけどね。極端な話として受けとめてほしいんですけどね。全員がそうだと言っているんじゃないですけどね。

【上島委員】大きな意味で21世紀の教育を考えたときに、これはあくまでも経営者として、

 競争原理のビジネス社会にいる感覚として、あえて大きな意味で、小、中、高の民営化、僕は専門家でない感覚で言う中には、もしガラッと、この国が小、中、高の民営化という

 ことに踏み切ったら、この分科会の検討テーマは全部要らんのですよ。と私は思うんです。

 経営的感覚から言うとね。

【藤田委員】 私企業と同じように、普通の経済活動と同じように考えていいというなら、そうかもしれませんね。

【上島委員】 そうすれば、これを全部しなくても、さっき冒頭に言いましたように、地域に任しちゃってすべて民営化でやったら、これを全部やらなくたって、競争原理が働いて、日本のいまの水準からいくと、どこかでみんな試行錯誤しながら、当然それは過疎地とか離島とか、これは別途の問題ですけれども、自然と、全部議論しなくたって、本当にわれわれがそこまで踏み込めるのであれば、全部議論しなくていいんです。

 あえて一番最初に民営化ということからスタートするのか。公立をもっと私立化していくというのは、そこはあくまでも公立という、既存のものをどう改革していくかというだけの話で、どっちから入るかですよね。

 だから、われわれはここの話のスタートを、いまある既存のものをどう変えていくかというところを積み上げ式で、これは金子さんに整理してほしいんですけど、既存のものを変えていく議論をするのか、田村さんがおっしゃったように、既存にプラスアルファーしていくのか、私が言うようにガラッと全部全くの違うのから落とし込んでいって、最後の理想のものにしていくのかという、議論の筋道をどこにわれわれはしていくのかということが最初なんです。

 だから、もし、今ある既存のものをどんどんどんどん変えていくという話の整理の仕方は、何か先がさびしいような感じがするんです。

【藤田委員】 上島さんの言われる民営化ということと、お話の中ではもう一つ、地域にゆだねていくということを言われましたが、この二つは基本的に違うと思うんですよね。

 歴史的にもそうですし、諸外国のいろんな状況を見てもそうですが、形態としては、生活圏をベースにしたいわゆるコミュニティの学校というのがあると思います。この場合、宗教的なコミュニティもあれば、地域共同体もあれば、さまざまですが、とにかく自分たちの学校をつくっていくという考え方があると思います。

 それに対して、初等、中等教育、特に中学校までの国民教育というのは、そういうコミュニティの自由な多様性に任せておくというわけにはいかないということで、いわば上からある種の基準と標準を設定してコントロールし、水準を上げてきたわけですよね。そして、日本では、その上からのコントロールがとくに強かったということなんでしょうね。 たとえば教員の採用にしたって、アメリカなんかですと、各スクールディストリクトが、基本的には独自に教員を採用するわけですね。資格基準はすべて州一律ではあっても。

 日本は全部異動制で、教育委員会レベルで採用された教員が各学校に配置されるというシステムになっています。ですから、それを地域レベルのものに切り替えていく。そして、それぞれの学校にもっと権限を与え、独自の管理運営をできるようにするという方法も考えられます。

 ですから、そういう教員人事の在り方にも踏み込むかどうかということは重大な問題だと思うんです。これをやるかやらないかで、結果はずいぶん違ってきます。やるとなると大変な改革だと思うんですけどね。

 そういうことを含めて、地方にどれだけ権限を委譲していくのか、各学校にどれだけ権限を委譲していくのかということと、民営化するということとは、全く次元が違う問題です。世界中で国民教育を民営化しているところは私はたぶんないと思うんですけどね。

 それでうまくいけるというふうに考えるのは無責任だと思います。いろんなシミュレーションをして、原理的にもいろいろ考えて見る必要があります。

【上島委員】それはそうなんですけど、私が言いたかったのは、めざすべきところの着地点は、カリキュラムを、いまずっと国、文部省主導で決めているのを、たとえば地方でもっといろんなカリキュラムを、それぞれの地域性とか、県単位でもいいでしょうし、行政単位でもいいでしょうし、学校単位でもいいでしょうし、決めさせていく地方分権の流れと、めざすべきところですが、それをしていくべきなのと、民営化ということを、ベクトルは違っても、めざすべきところは、両方のあるべき姿を描いてしゃべっているというふうにご理解いただいたらいいと思うんです。

 だから、ベクトルは違っても、どういう環境整備をしていくかというところは、もっと地域にゆだねていくことと、民営化ということと、めざすべきところのイメージをそう持っているとご理解いただきたいんですが。

【藤田委員】目標にするところは同じなのだろうと思います。よくしたいわけですからね。

 ですけど、どういうシステムにするかというところで決定的に構成原理が違っていますから、組織原理が違いますから、違う組織原理のもとにシステムをつくり上げたときに、でき上がるものもたぶん違ってくると思うんです。それは、議論が長くなりますから、しませんが、いろいろ考えるべきことがあると思います。

 ですから、民営化ということまで念頭に置いて考えるよりも、田村先生が言われるように、義務教育段階でも私立をもっと拡大するという場合を考えて、そのほうが本当によくなるのかどうかということを検討するほうが現実的だと思います。

 単純に市場原理に任せるというだけでは、私立学校が必ずしも増えるとは思いません。ただし、公立中高一貫校が増えるならば、あるいは学校選択制が拡大するならば、状況は大きく変わってくると思いますけど。

 いずれにしても、学校選択制の問題もあるし、公立中高一貫校の問題もありますし、それから私学を増やすべきだという議論もあるわけですが、これらはみんな、完全な市場原理ではないですけれども、間違いなく市場的な要素を組み込むことになりますから、それを導入するほうがいいのか、しないほうがいいのか、する場合にはどういうやり方がいいのかといったことをきちんと考えるべきでしょう。それをどうするかで、義務教育段階のシステムはずいぶん違っちゃうと思いますから。

【今井委員】先ほどから私学の定義というお話がありましたが、私は田村先生の私学の定義ってすごくいいお考えだと思うんですが、私たち保護者の立場からすると、そういうことがポンと出ちゃうととても戸惑いがあるというか、これからどうなっちゃうんだろうという、ものすごく不安があります。

 一般の親というのは、石原委員さんが言われたように本当に一部だと思います。前に全体会のときもお話ししましたが、これだけ公私のことが全国で議論されているわけですから、公私、学校週5日制の対応も含めて、本当にどういうふうに連携をとろうとしているのかということももう少しオープンにしていただきたいなということがあります。

 それから、いま開かれた学校づくりということに向かって施策が流れてきている中で、そういうことを後押しするような施策が、ぜひ生まれてほしい。もっともっと後押しするようなものが出ていただきたい。それが、本当に地域の中の学校づくりにつながる。

 いまなぜそれができないかというと、先ほど田村委員さんも言われましたが、親とともにつくっていこう、地域とともにつくっていこうという発想が、なかったと思うんですね。一緒につくっていくんだというものをしっかり盛り込んでいただいて、いまの親の、教育に対する不満というのがものすごくあるので、それを聞ける公立の学校であってほしいなと思います。

 そのために、前も言いましたが、やはり地域や保護者から評価をされるような仕組みづくりをつくっていく、いままで教育委員会、教育行政のほうに向いていたというところから、もう一方の評価をキチッと受ける、その顔をつくるというところも、私たち保護者からしますと、そういう部分があると、本当にともにつくっていってくれようとするんだなという気持ちがするので、そのあたりはぜひともお願いしたいなと思います。

 ですから、私は民営化とか、私立が入るとかということ、そこの議論も本当にそのとおりですが、やはり私たち公立に子供を通わせている親の立場としましたら、そこがいま絶対変わろうとしている、変わるんだということが、この会議によって認識を得られればいいなと思います。

【金子主査】いまの話を聞いていると、いまの公立といまの私立どちらがいいかとかいうことは、あまりここでは議論してもしょうがないと思いますね。

 たとえばいま今井さんの言われたのと、上島さんの民営化というのは全然違うようで、実は向いているところは同じかもしれない。上を向いてやっているか、地域でちゃんとやるのか。それは民営化という手法をとるのがいいかどうかということよりも、いまの公立をこういうふうにすれば変わるのかということでしょう。それともいっそ全部民営化にしちゃおうという意見にもつながりますね。

 要するに主体がだれで、どういうふうに費用負担をするかという話です。そういう意味では、どういうふうにメッセージを出していくかということをいま考えたほうがいいかなというふうに思ったんです。

 その中で、義務教育については、この分科会ではやるのか、それとも大学までひとつの流れとして考えるのかというのは1つのポイントかと思います。

 現行の私立か公立かという次元じゃなくて、どういう学校をつくっていくかということで、もちろん私立のいいところも取り入れるし、公立の変えるべきところは変えるということの方が生産的だと思います。それはインクリメンタルにするのか、もう少しガバッとやるのかという議論もあると思う。どういうメッセージというか、この後30分ぐらいは、たとえば3つか5つぐらい出すとしたらどういう形なのかなということを少し考えていただきたい。マル1、マル2、マル3というような分け方よりも、メッセージで分けたほうがいいのかなという気が少ししてきたんですけどね。

【田村委員】私の発言、短くやります。私ばかり発言していてもいけませんから。

 私は公立が中心であるのはいいとは思っているんです。ただ、いまのままではかなり絶望的だろうという考えなんですよ。

 たとえば地域ということでよく話が出るんですけれども、地域も、個の確立がされないままの地域というのは逆に非常に怖いんですね。

 変な話ですけど、音羽の事件なんていうのは、地域の影響力に影響された悲劇ですよね。

 自分を持っていないから、周りの感覚で自分が行動してしまうということで、ああいうことが起きてしまう。

 だから、個の確立がされていないままに、地域、地域と言ってもあまり意味がないという気がしているんです。

 ですから、公立があることが第一なんですよね。だけど、現状、公立のいまのやり方のままで、ほとんど私立のない状態でやっていったら改革の糸口がつかめないのではないかと、私は個人的に思っているんです。

 だから、できる方法があったら教えていただきたいんですけれども、おそらく戦後何回も何回もそれをやってきているんだと思うんですよね。うまくいかないでこうなって、つまりつぶれないから、結局は改革しないで済んじゃっているんじゃないかと思うんですがね。

【藤田委員】おっしゃられることは半分わからないじゃないんですけど、もう一方で、いままでいろんなことをやってきたと言われますが、本当に可能性のあることを全部やってきたのかというと、私には全然そう思えないんですね。

 たとえばさっきも言いましたように、教員採用にしましても校長採用にしましても、この50年間、基本的なシステムは変わっていないわけですよ。

 たとえば学校単位で教員を採用するということを、もしやったとしたら徹底的に違ったものになりますよね。これをやるとなると、教員採用の仕方だけでなく、ステータスの問題をはじめいろんな違いが伴ってきますから、慎重に可能性を検討しなきゃいけないことですけれども、ずいぶん違ったものになりますね。

 それから、現状では教員採用が急速に少なくなって、若手教員が減っていますよね。この年齢的なバランスの崩れというのも非常に大きな問題だと言われながらも、どうにもしょうがない状況が続いているわけでしょう。

 こういう問題も考えますと、雇用形態の見直しも必要だと思います。一般の労働市場でも最近はずいぶん変わってきていると思いますが、それでも現状では、正規雇用の人は勤務形態は常勤で、正規雇用でない人は非常勤というのが一般化していますよね。

 だけど、それを当たり前と考える必要は何もなくて、正規雇用でパートがあってもいい。それから正規雇用じゃなくて常勤があってもいい。つまり、勤務形態と雇用形態を切り離して考えるということですが、教員についても、勤務形態と雇用形態を切り離したシステムというものを考えることでも、学校はずいぶん変わっていくと思うんですよ。

 ですから、教員ひとつとってみても、いま制度的に考え得るオプションというのは、実はいろいろあって、それをやってみることでずいぶん違ったものになる可能性があると思うんです。自主的な学校づくりもそうだし、いろんな可能性があるのに、その可能性を追求してこなかった。これまでの議論は、義務教育で、指定の決められた学校に子どもたちが行かされているのはけしからんとか、子どもたちは全部地元の学校に行くことになっているから、公立の先生方は生徒集めの努力をしなくていいから自己改革の努力をしないんだとか、そういう議論ばかりしてきたわけでしょう。

 だけど、それじゃ駄目なんですよ。日本の学校の教師ほど教育をよくしようとして勉強している教師は、世界を見たってそんなにないですよ。日本の教師っていろんな勉強会・研修会に参加したりして一生懸命やってる。もちろん、それが本当にいい方向に向いているかどうかは別ですけど。だけど、少なくともまじめに努力していることは確かですよ。

 ですから、そうであるなら、そういう向上心や、授業を改善しようとする、そのエネルギーの使い方の枠組みを変えるにはどうしたらいいかということを考えればいいんであって、教員採用の問題もその一つだということです。

 だけど、それは、たとえば教育委員会制度とも絡んでくるとか、いろんなことが絡んでくるわけですよ。だから、私は、そういう可能性を追求するためにも、ガバナンスや地方教育行政制度のあり方をもっと根本的に踏み込んで検討することが重要なんじゃないかと言っているんですけど。

【田村委員】私ばっかりしゃべっちゃいけないんだけど、要するに改革というのは自分の中から起きてこなきゃいけないわけですよね。自分の中から起きてくるという要素が、いまの公立のシステムでは、かなり思い切った変革をしてもむずかしいんじゃないかという気がしているんですよね。それはなぜかというとつぶれないから。それから評価が公表されていないでしょう。

 だから、これはもう明らかに、いろいろやったところで結局、行き着くところが見えているような気がするので、実際の例を見せてやって刺激にする以外にないんじゃないか。

 現実に目にしているから、ああいうふうに何でできないんだというふうになるほうがいい。

 なるほうが改革のきっかけになるんじゃないかと思うんですがね。

【上島委員】藤田先生がおっしゃった、雇用とか採用の、非常勤とかパートとかいうのは、いまのわれわれ、日本の企業ではとっくにやっています。それはあくまでも競争原理の中でやらざるを得ないから、そういう雇用システムとか採用システムをやっています。

 それをたとえば公立の中に持ち込んでも、全体の枠が、田村先生がおっしゃるように、つぶれないという前提があったときに起こると、その組み合わせをしてしまうと、自分が生き残るためには認められないといけないという原理が働いて、職にありつくところの意識が、全体は潰れないのに、中の雇用だけにそういう競争原理を持ち込むとよけいおかしくなってくるんじゃないでしょうか。

【藤田委員】その危険性がまったくないとは言えません。私も、さっき言ったようなことが絶対にいいとか、そうすれば絶対よくなるはずだと言えるとは思っていませんし、それが実際に実現可能なものかどうかも検討する必要があると思いますから、そうすべきだと言うつもりはない。ただ、検討に値する1つの案だと思うんですね。

 しかし、競争原理を導入したらよくなるかということについて言うなら、私は、これについては、ネガティブな可能性の根拠はいくらでも言えると思っているんですね。

 それはなぜかというと、先ほど田村さんは、約 600校の私立学校のうち、大多数は受験を売り物にしているわけではないとおっしゃいましたが、多分そうでしょう。だけど、そういう私立もそうでしょうが、大多数の公立学校でも、基本的に親が期待しているのは、安全であることと、そこそこの教育をキチッとやってくれていること、この2つの条件が満たされていれば、小、中学校については、ほとんどの親はそんなに不満は持たないと思うんですよ。

 そうすると、この2つの条件を売り物にする競争原理というのは一体どういうものであり得るかということですよ。この2つを満たしているなら、地元の学校が、安全で、そこそこキチッとした教育をしてくれているなら、何も競争する必要はないんです。ほかのところと。

 ですから、その2つの条件を満たせるようにするにはどうしたらいいかを考えることが重要だと思うんですね。そこに競争原理を導入したらどういうことになるか。この2つにプラスアルファーされるものは何か。それはほとんど間違いなく、受験競争や序列を売り物にするようなものではないでしょうか。多くの場合、それが支配的になりますよ。

 今度出る本にも書いたことですが、「悪貨は良貨を駆逐する」ということです。特殊性と言っているけれども、その特殊性は実は序列であったり、安全であったりということになりますよ。その2つ、安全でなければ嫌われる、受験等に有利ならば好まれる、この2つの基準が特色性なるものをすべて凌駕してしまいますよ。

 ですから、そういう競争原理は教育の世界になじまない。小、中学校段階で競争原理を導入すればよくなると言われますが、どう考えても私にはうまくいくとは思えないんです。

 現にイギリスでは、この15年間の改革で、学校に関する情報を公開すればするほど受験競争的な選択行動、進学に有利な序列に基づく選択行動が拡大しているわけですよ。そうなるのは当然ですよね。

【上島委員】 イギリスと日本の、10パーセントのエリートが行く先の雇用の問題とか、大学を卒業してからの経済的な、イギリスでの雇用の環境とかが全く日本とは違うと私は思うんです。

 ですから、日本の場合は国民的な会議をするということは、企業の雇用する側も意識を変えていかなければいけない。これだけの経済大国の中で、何のためにいい大学を受験するというのは、1つはいい企業に入るというところにみんな大きな目標を持ってきた。

 それを本当にこれから変えていくには、われわれ企業側の受け入れる側も、さっき田村先生がおっしゃった、宮崎の県立の中学、高校を出てきた子どもたちを採用したいという企業だって増えてきつつあるわけですよ。

 僕、きのう宮崎に行っていましたけれども、話をしているときに、そんなところの子どもだったら欲しいと言っている企業だって出てきている状態なわけです。

【藤田委員】あそこはエリート校ですから。

【上島委員】いいところですよ。仮にですよ。だから、企業側の受け入れが変わっていけば、別にいい大学に行くという受験にいかなくても良くなるわけです。

【藤田委員】僕がお聞きしたいのは、企業は、偏差値の低い学校から本当に優先的に取るだけの気構えありますか。

【上島委員】あります。ただ、うちのところなんかはある程度、大学というのは、どこでもいいですけど出ておいたらいい。

 私の経営方針は、面接するときにご飯を食べさすんです。これは本当ですからね。ガツガツッと食べる勢いのある、エネルギッシュな人を優先的に採用しますから。1つの判断基準ですよ。

 だけど、これはやっぱり企業側も、まだまだでしょうけれども、そういうところに変わりつつあるし、変わっていくべきだと思うんです。

【藤田委員】それは変わると思えない。おっしゃられる意味はわかるんですよ。大学卒であれば、そういう条件が重要なんだと思うんですよ。

 つまり大学卒であれば、あるいは、このクラスから上であれば基本的には誰でもいいんだということでしょう。ただし、誰でももいいんだといっても、実は本当に誰でもいいんじゃなくて、その中である種のエネルギーがあるとか、バイタリティーがあるとか、企画力があるとか、行動力があるとか、いわゆる受験偏差値ではない何かを考慮して取るということでしょう。私はそれは自然だと思うんです。

 これは世界中どこへ行ったって同じですよ。そこそこ基本的な水準をクリアしていれば、そのクリアしている人たちの中から、ほかの基準を考慮して取るということは世界中どこでも行われていることですよ。日本の企業でもそういう傾向が強まってきたことは事実ですよね。

【上島委員】だから私、この会議で、大学まで一貫にして、特に第3分科会で言う、入口を低く出口は高い、専門性を持った人たちも、一貫で日本の教育システムの中で育てていくと、企業側も、どこの大学を出ていようが、専門性を持った人を採用するわけですから、良いわけです。

 いまの企業に、昔みたいに企業の内部で、子どもたちをもう1回再教育するような余裕の企業なんて全くないわけでしょう。即専門性の、即戦力、創造性を持った人たちに大学から出てきてもらいたいというのがほぼ企業の実情でしょう。

 ですから、制度の中で、専門性を持った人たちを生み出していけば、企業だって、出てきた人にはどうってことないわけですよ。

【石原委員】保護者はみんな勤めたり、仕事をしていますが、いまですとリストラなどによる影響は本人だけでなく子どもにも来るわけです。

 学校のほうも、保護者が両親そろって子どもの教育に当たれるような行事の日程を工夫することも必要ですが、だんだんと、地域の自営業の方も含めて、仕事は非常にシビアになってきて、子どもの学校行事等への参加も難しい人も多いです。企業のほうも、義務教育の子どもを持った保護者に対して、では、親として、子どもの教育に当たれるような、休暇の取得や制度など、そういう企業的な意味の環境がつくれるのかつくれないのかは大きな課題だと思います。これからますます、国際競争も激しくなり、やっぱり厳しい状況になるだろうというようなことは保護者も思っているのではないでしょうか。

 その中で、子どもたちを家庭で、地域で、ゆとりある教育をといいながら、親はそのような状況にない場合も多いというのがもう1つの実態としてあります。

 私は、義務教育というのは、大人が子どもを育てていくという仕組みだと思います。その中で公立学校というのは、私の子どもだけの理想的な教育ではなく、私たちの住んでいる地域の子どもの教育をどうするかというコミュニティの教育にかかわっています。それは子どもが、単に学校という教育施設だけで、教員という専門職だけで育つのでなく、学校の行き帰りの安全性や、あるいは地域行事、地域の歴史、地域のさまざまな生きざまに触れて育つ部分が非常に大きいということであり、私たちの地域の子どもをどう育てるかという意味で、大人を育てる仕組みでもあります。

 大人が親となって、子どもの教育に携わったときに育つ仕組み、それは私の子どもがいかに上手に育つかだけじゃなくて、自分の子どもはよくても、隣の子どもはいろんな問題があるかもしれない。その子どもたちも含めた、子どもの仲間や子どもの世界をどう育てていくかという大人側の連帯意識や共通認識がなければ子どもは育ちにくいと思うんです。

 子どもにとって地域社会は人生で初めて出会う社会なんですね。社会には本当にいろんな方がいるということを子どもが実体験として経験しながら、学校が地域というコミュニティの中でどう、親育ても含めてきちんと成立していけるかということを、子どものためにきちんと考えていく。そのアピールを、企業のご協力も得てしていく必要があると思います。

 国民が、国民全体の教養、水準をどう上げて、そして地域をしっかりと、大人のほうの自治的な能力も磨いていけるかというようなことに絡んでいけるのが、義務教育の大事な部分じゃないかなというふうに思っています。

【金子主査】あと30分くらいなので、今日の議論を踏まえて、ここはみんなが同意できそうだというものを整理したい。いまの、石原さんの言ったことは、原則皆さんかなり共有しているんじゃないかと思う。"上"を向いているのでなく、地域に向いていることですね。

 ただ、それを全部公立でやるのか、私立を増やしたほうがいいのか、制度を変えたほうがいいのか、それとも民営化するのが一番いいのかという方法論はいろいろあるかと思う。基本的には、自分だけがよくてということじゃなくて全体が良くなるというやり方ですね。コミュニティが何かという問題もあります。

【田村委員】 そこがポイントなんです。僕が言いたいのは、コミュニティというのは地域に限定されているものではないと思うんですね。人間のつながりがコミュニティですから、人間のつながりという意味でのコミュニティというものを背景にしたものがあってもいいと思います。

 それはやっぱり、ベルリンの壁は、インターネットとかテレビの情報で壊れちゃったと

 同じ意味で、地域に限定されるものじゃない。子どもの世界がそうなっていますからね。

 だから、コミュニティというのを否定しているわけじゃないですよ。非常に大事な要素です。しかし、それは地域だけじゃない。これから学校づくりをするときには、コミュニティという言葉を広げたほうがいいと思うんですよね。

【金子主査】 もちろんコミュニティと言ったときには、住んでるエリアというのは、ある意味で一番身近なコミュニティです。それと同時に、あるテーマで、こういう考え方で集まるというコミュニティも当然入ってもいいと思うんですよね。

 あと、小、中だけにするのか、大学まで入れるのかという話なんですけれども、当然大学まで入った中で考えなきゃいけないんですが、ここで幾つかメッセージを発するとしたら、やっぱり義務教育のところに一応の中心を置いたほうがいいのかなという気もしますけれども、どうでしょうか。

【藤田委員】 私は中等教育まで、高校を含めて中等教育まででいいと思う。確かに大学教育や生涯学習社会ということも踏まえて、そこも射程に入れながら考える必要はありますが、基本は高校までの教育を中心に扱うということでいいんじゃないでしょうか。

【金子主査】 上島先生、いかがですか。そのへんは。

【上島委員】 いいです。

【金子主査】 あとは総花的に全部盛るよりは、めりはりをつけようということも、これはよろしいですよね。

【田村委員】 いまの藤田先生の整理でよろしいんですけど、1つだけ加えたいのは、実は大学、高等教育まで、今度は接続の観点でいうと、その境目がなくなる時代がもうすぐ来るんですね。だから、希望すれば全員大学に入れるわけです。大学を選ばなければ。

 そういう状況はやっぱり書き込んでおいたほうがいいと思うので、そういう場合、大学は何がやれるかですね。

 ですから、結局、教育という切り口で考えると、初等、中等教育だけじゃなくて、高等教育もやっぱり視野に入れざるを得ないというふうに答えは書いてこないといけないんじゃないかという気はするんですがね。

【上島委員】なかなか切り離しは難しい。

【藤田委員】それはむずかしいですよね。ただ、議事録を見ますと、第3部会のほうでは高等教育、しかも、どちらかというとエリート教育を前面に出しているようですから、この分科会では、必ずしもそうではなくて、もちろんエリート教育も含んでいいと思いますが、高等教育、中等後教育や、あるいは企業との関連や接続の問題なども射程に入れて、考えられればそのほうがいいと思いますけどね。

 ただ、あんまり盛りだくさんにしてもどうかと思います。ですから、部会の方針としては、アピールする部分は簡潔に幾つか出すけれども、全体的なシステムについては、ある種の整合性といいますか、そういうものを部会として描いておかないとまずいと思います。断片的な改革、あまり全体的なシステムに影響しない、関係ないような個別的な改革については、すぐやれること、やろうと思えばできることを提案するのはそれはそれでいいと思うんですが、システムのトータルなファンクションにかかわってくるようなところでは、個別のアピールにしろ提案にしろ、ある程度の整合性というものを踏まえてやったほうがいいと思いますけどね。

【金子主査】もう1つ、幾つか出た中では、具体的に、それから提案型に、それから理念だけでなくて方法論をというのは、同意を得ています。

 あとはインクリメンタルというか、今のから1つでも2つでもよくするかという観点と、全く制約がないとしたら何がいいかというような理想論としての観点と、あとは、全部の学校を変えるんじゃなくて幾つかモデル的に、"希望の星"をつくってという、そういうアプローチがあるでしょう。たぶんここの部会の「具体性」、「提案性」、「理念でなくて方法」ということからすれば、2番目のアプローチは扱わないということです。

 あと、さっき藤田さんがおっしゃったように、アピールのほうは3つとか5つとかスパッと取り出すけれども、その背後にはこういう考え方があるんだというようなものに対してはある程度、たとえば大学までも含んでという、少し文章でもって書いていくというスタイルはあってもいいですね。

 アピールなんですけど、たとえば「教員採用に関してはこうこうこうこうあるべきだ」とか、そのような感じのものとか、それから「地域に向いた選択制を導入すべきだ」みたいなのとか、じゃなければ、これは僕が言ったんですけど、今日の全体のお話の中で、コミュニティスクールと仮に呼んでいるんですけれども、お金は公的に出すんだけれども、責任は自分の学校が持つというような、そういう飛び地みたいなのをつくるとか、その程度のことをアピールのほうでは考えてもいいんじゃないか。

 あとは全体を網羅というよりも、全体像が伝わるような文章が必要でしょうね、そういうものをくっつけるといったような感じかなと。きょうの議論でいくと。

 草野さんは何かご意見ございますか。

【草野委員】1つは、選択制というのは地域によってずいぶん差異があるんではないか。

 私はいま東京に住んでおりますが、小学校は九州の全くの山の中で育ってものですから、別の小学校というと何里も歩いていかなければ行けないようなところで、中学校でさえ2時間かけて歩いて通っている友人がいましたので、現実問題としてはなかなか、都市部と地方ではかなりきつい問題があるかなというのがまず1つ。これは現実の後ろ向きの意見なんですが。

 それから、上島さんと田村さんが言われた民営化、これは私も労働組合の立場ですが、規制緩和と民営化は基本的に賛成の立場でいま運動をやっていますから、非常に思いとしてはよくわかるんですけれども、これも現実問題としてはなかなか、いろんな面の制約条件があるんではないかなというのが2つ目ですね。

 それから3つ目としては、さっき石原さんが言われたあの理念と考え方、あれは私も全くそういうふうにあるべきだろうというふうに思います。

 そういう中で、何が改革できるのかというところの方法論、方法論というとあまりにもテクニックに偏りすぎるといけないんですが、理念も含めた改革の方法というところで何かうまい解があるのかどうか。

 さっきの田村先生の話を聞いていますと、愕然とするような感じになっちゃうんですけれども、何かあるんじゃないかなというような漠然とした思いと期待を持っているというような感じなんですけれども。

【上島委員】いまの子どもたち、当然、両親が共働きで鍵っ子的な子供だっていますけど、僕はやっぱり日本の子どもたちに、これだけの豊かな世代に生まれてきて、グローバルな時代になって、大きく世界が変わってきていて、世界的に活躍できる環境に日本のほとんどの人たちがいるのが絶好の機会だと思うし、本当に世界に羽ばたいて、いろんなことができるという社会が先にあるんだ、いろんなビジネスの機会もあって、新しいベンチャーもどんどん生み出していけてきてという環境に、次の世代の子どもたちに、われわれが将来に夢を持てるような環境に何とかしてあげないといけないと思うんです。

 それは第1分科会の話にいくかもわかりませんけど、現実の教育現場の話というのもやっぱりあるでしょうけれども、大人も先生も親もみんな閉塞感に陥っている。これをやはり、本当に将来夢があって、これだけグローバルな時代、ひょっとしたら10年後には宇宙に行けるような夢が将来にあり、世界が広がっている意識をつくる、全体的に夢を持たせてあげる環境づくりを、われわれは何とか将来にしてあげないといけないと思います。

 現実の公立の改革をやっていっても夢がないのかもわかりませんけど、学校で学ぶことの環境がいかに楽しいんだということでも意識をさせる。

【今井委員】 そこは私は第1分科会に入っていますから、今おっしゃったことは、私、全くそのものの思いがあって、企業に対しても、ここじゃ言えませんが、1分科会では、いろんな人たちが責任を、いままで以上に明確にやっていかないともうやれない、子どもたちを安心して育てていけない部分というのがありますので、それを私、第1分科会のほうでしっかり議論をさせていただきたいと思います。

【上島委員】それは田村さんがおっしゃったように、学校の内からの自らの改革が生み出てこないとだめなんです。と僕は思う。

【藤田委員】私は、いまの公立の先生方が大変なことはそのとおりだと思いますし、非常に多忙な状況に追い込まれているということも事実だと思うんです。一般的にね。

 それから、いわゆる学級崩壊とか、あるいは暴力的な状況に陥っているとか、そういう学校があることも事実でしょうし、そういう問題を抱え込んじゃってどうにもしょうがない状況に置かれている先生方はそりゃ大変だと思いますよ。

 だけど、私には、マジョリティーは、決してそんなに閉塞感があるとは思えないんです。よくがんばっていると思いますよ。

 この会議でもそういう傾向がありますが、マスコミも評論家もみんなよってたかって、日本の学校も子どもの生活も閉塞感で充満していると言い続けてきたんですよ。この20年間。みんな閉塞感で押しつぶされそうになっている、だから根本的な改革が必要だというふうに。

 だけど、そんなこと言ったら、公立の先生方とっくに発狂していますよ。現実は必ずしもそんなものじゃないですよ。

【田村委員】 それはちょっと私は違う立場があるんですね。それは具体的に言いますと、TIMSSの調査とか、OECDの国際調査を見ると、明らかに日本の学校の学んでいる生徒は知識はあるけれども、学んでいることに対する興味、関心は低いんです。ものすごく低いんですよ。

 TIMSSの場合には理科と数学しか調べていませんけれども、取ってる得点は世界最高なんです。ところが、興味があるかとか、将来役に立つと思うかという質問に対しては世界最低なんですよ。これは明らかに教えている先生が夢がないからだと僕は個人的には思っているんです。

【上島委員】僕も賛成ですね。

【田村委員】だって、教える先生が夢を持っていきいきとやっていたら、習っている生徒が思うわけがない。自信を持ってないでやってるからそうなっちゃって、だから、基本的には閉塞感が漂っている職場なんじゃないかなということをすごく心配しています。

【上島委員】具体例で言いますと、たとえば顕微鏡を教える先生は、ズームとか、回すとか、これとか、テストを受けるために部分部分の名称を教えるんです。子どもたちに「顕微鏡で何を見たいか」って尋ねても、教科書に載ってる項目のものしか見たいと言わない。「それ以外に」って言ったら「別に」って言うわけですよ。

 もしそこで先生が、顕微鏡をつくった先人たちがこんなものを発明してくれて、こんな人間の普通の目に見えない世界があって、こんないろんなものが発見できるよ、そこに楽しみがあるから、みんなで顕微鏡で何か見るものないかっていう夢を持った教え方をすると、部品部品をテストのために覚えている、たかだか顕微鏡の勉強でも、子どもたちは顕微鏡を持って見たい、何かを発見したいという気持ちになると思うんですよ。だけど、そういう教え方をしていない。

【田村委員】でも、それは教科書も悪いんですよ。項目をゴシックで書いてあるんですよ。

 ということは、それだけ覚えればいいということでしょう。

 本当ですよ。ごらんになるとわかりますけど、理科の教科書、ゴシックで書いてあるんですよ。項目が。それを暗記すれば試験はオーケーというつくり方ですよね。

【藤田委員】それは半分はわかりますよ。だけど、だったら、どうしてそれを変えるための政策を考えないんですか。私立をつくってやったら、それがよくなるとか、そんなことと関係ないことですよ。それは誰がどこで勉強するかという問題ですよ。要するに教育の機会をどう配分するかという問題ですよ。

 そういう問題じゃなくて、おっしゃられた問題は教科書や教師や教え方の問題でしょう。ところが、教科書をどうするか、学習指導要領をどうするかということは、これまで何回も10年ごとに改訂されてきたわけですが、そのたんびたんびに本来議論してきたはずなんですよ。だけど、それでも問題があるというなら、ちゃんとやるべきことをやってこなかったということでしょう。もしそうならね。私は必ずしもそうだと思いませんけど。

 いずれにしても、なぜ子どもたちが興味を持たないのか。それは学校を選べないからだとか、学校が民営化されていないからだとかということとは全然関係ない問題ですよ。

【上島委員】 ただ、カリキュラムを決めていくのは、たとえば地域の独自制にしたり、そういうのはやっぱり大事。

 たとえば1つの事例として、顕微鏡の、これを覚えないといけないというテストから、学ぶということは、試験のあり方も、顕微鏡の部分を覚えるところで試験の評価をするんじゃなくて、顕微鏡というのは一体どういう夢があるんだという中身に変えていけばいいわけですよ。カリキュラムを。違いますか。

【田村委員】やっぱり民営化するとか、市場原理が入ってくるというのは、僕は全部やってもうまくいかないと思います。だから、公立が中心だというのは間違いないと僕は思うんですよ。だけど、それをよくするためにはその方法しかないんじゃないかというふうに考えているんです。

【藤田委員】たとえばTIMSSのデータでも、確かにおっしゃられるように、日本の満足度とかは高くはない。

 だけど、分布を、丹念に私も確認していませんので確かなことは言えませんけど、仮に欧米諸国では5段階評定法で、4、5にマルが多く、日本は3、4が多かったとして、そうしたら、これを上げる努力をすればいい、上げる方法を考えればいいわけですよ。

 そのためにはどうすればいいか。多くの人が言ってきたように、たとえば欧米諸国の学校を見ても、みんなクラスのサイズは小さいですよ。あるいはチューターが入ったりして、満足できない子どもやわからない子どもへのケアをちゃんとしてるわけですよ。だったら、どうしてそれを日本でやってみないのかということですよ。

 それをやってみて、それでもだめだったら民営化とかいろいろ考えればいいですよ。だけど、大体どこの国でもそうですけれども、ドロップアウトする、あるいは満足できない、あるいはさまざまな形でだめになっていく、その最大の理由は、学校の中の要因でいえば十分なケアがされていないということですよね。

 そのケアも、何かカリキュラムを変えたらおもしろくなるはずだとか、そんな問題じゃない。日本の学校の先生、社会科の先生なんて、この何十年、ものすごく努力して、すばらしい授業をしている先生たくさんいますよ。

【上島委員】たくさんおられると思いますよ。

【藤田委員】それもどんどん増えていますよ。だけど、今度、総合的学習の時間 110時間つくって、従来の理科や社会や数学みんな30時間、20時間削られて、じゃ、削られた時間の中で、それぞれの教科の先生は一体何をやれというのか。

 総合的な学習の時間の部分は取っていかれた。残りの部分で基礎基本はキチッとやらなきゃいけない。基礎基本をキチッとやるために、時間は20時間、30時間減らされて、しかも、その中で総合的な学習の時間的な要素はさらに入れなきゃいけない。入れなきゃ、やっぱり教育はよくならないわけでしょう。だから、私はカリキュラム改革も矛盾していたと思いますよ。

 ですから、そういう矛盾したことをやりながら、よくならない、よくならないと言ったって、よくなるはずがないんですよ。キチッとした方法をとってないから。

 企業経営者だったら、間違った方法をとって、よくなるはずはないわけでしょう。

【上島委員】 そうです。

【藤田委員】物を売ろうとして、いいものをつくろうとしていて、穴だらけの生産ラインをつくっておいて、努力したからよくなりますなんてことは絶対ないですよ。言い過ぎかもしれませんが、いままでやってきた改革は、私は、そういう改革だったと思いますよ。

 よくしなきゃいけないと言いながら、実際にやってきたことはラインをグチャグチャにするような改革ですよ。

【田村委員】 それはちょっと異論があるんですけど、それをやってると時間がつぶれちゃうけど、でも、言いますか。

 やっぱり基本的に日本の学校というのは教科主義だったですよ。教科の系統性を非常に重要視してつくり上げられてきた。この50年間。それが私の意見では、もう限界に来ていると思っているんです。

 教科主義を壊すためには、総合学習の時間を増やすよりしょうがない。でなければ、教科を教えて、先生は、自分の仕事は終わったと思って終わっちゃうんですね。

 ところが、たとえばそのことがあまりにも徹底されたために、子どもの現実の生活と、学校で学ぶことが関係がなくなってくるわけですね。

 たとえば日常的にコンピュータを使っても、中学校の最後になって、理科で初めてコンピュータが出てくる。それから日常的に英語を使っていますけど、小学校では英語なんていうのは全然先生は使わないわけですよ。

 そういうことがずっと積み重なってきて、学校というのは、自分たちの生活と関係ないことをやるんだというから興味がなくなってくるんですね。

 だから、そこのところを何か方法がないかというと、総合学習的なやり方以外ないんですよ。というふうに私は思っています。

 だから、あれをいかにうまくやるかというのは、これからの本当の流れだと思いますし、いままでは知識を伝えることが大事な役割だったんだけど、これからは本人が学ぼうという気持ちを持つかどうかということが学校の勝負どころだと思うんですね。だから、あんまり知識を与えないほうがかえっていい。おもしろいと思って、調べてみようと思わせるほうがいいというふうに変えていかなきゃうまくいかないだろうと思っているんですけどね。

 だから、いまのやり方で間違いないと思うんです。これは結果が出ますからね。10年ぐらいやるかもしれないけど、しかし、そういう方向でいかないとどうしようもない。

 これはいまの会議の話と違いますから。

【石原委員】 いま顕微鏡の話も出ましたが、あまりにも全国の公立学校を、私どもも画一的にしかとらえていないんじゃないかと思います。

 金沢市には82校ありますが、それぞれ違うんですね。学校によってこんなに違うのかと思います。つまり公立が画一的だという、そういう画一的な思いこみにはまってしまっているという感じがいたします。

 12年度から新しい研究開発学校制度ができました。かなり抜本的ないろんなことをそれぞれが試みをしている。その取り組みをしている先生方は非常に意欲を持って、そして地域の方も、自分の学校を日本一の学校にしようというくらいの意気込みを持っています。私は、そういう意気込みを持てるようなしくみをつくってあげることが大切だと思っています。

 いろんな新しい試みをしている学校、チャレンジしている学校のよさをむしろ認めて、そういうことをもっと広めていくシステムをどうしたらいいかというようなことを前向きに議論していくことが必要です。

 現にたくさんの学校があり、たくさんの先生がおられ、保護者がいるわけですね。だめだ、だめだと言い続けてよくなるはずはなくて、こういう点に取り組んでいるということをもっと宣伝することと、認めて支援していく中で学校は変わっていくでしょう。

 そういう意味では、たとえば研究開発学校制度をもっと拡大して、そういうことの試みを地域の中でオーソライズできるような仕組みをつくることを検討してほしいと思います。

 たとえば今ですと3年間で、指定が終わります。学校も教育委員会も一生懸命がんばって、この後どうなりますかというような話になります。

 指定されてがんばっている学校には、全国からもいろんな方が来られますね。やっぱり人に見られているということが励みにもなりますし、いま理科のことがお話しに出ていましたが、理科でも、すごいなあと思うようなことを一生懸命している先生もおられます。

 そういうことのよさをどうシステムとして、これからもっと、そちらのほうがメインになるような転換ができるかということも非常に大事ではないかなと思っています。

 いろんな試みをしている学校をぜひごらんいただきたいと思います。

 それから、本分科会では、公立学校の改革に市場原理をという意見もありますが、例えば公教育の中では、養護学校など、市場原理にまかせておくとたちゆかなくなってしまうのであり、そういうことも含めてもっと全体として判断すると、義務教育のあり方として、市場原理導入は困難である。

【金子主査】ありがとうございました。残り時間10分を切りました。きょうのお話、最初ちょっとどうなるかなと思ったんですけれども、僕なりにフィルタリングしていくと、こんな感じかなというのをお話します。これは一応仮どめとして、これで最後まで行くということじゃないんですけれども、もしよければ、そこで落ちついて、次から、じゃ、どれを更に議論するかという話をしたい。

 抽象的には、皆さんが言われた、「希望を持たせるような」というのが1つでしょう。

 それから、「変わる」、「変わりそうだ」、「できそうだ」というようなメッセージが必要じゃないかと思います。

 その中でどういう配分をするかなんですけれども、1つは具体的な、教員の採用についてこうとか、評価についてこうとか、こういうことをこうしろというようなメッセージのグループが1つあるんじゃないか。

 これは問題の全部を羅列するんじゃなくていくつかのテーマを扱う。その中には、たとえば教材をどうするかとか、そういうことがあってもいいかもしれません。けれども、たぶん基本は、クラスサイズが多くても少なくても、教室がちっちゃくても大きくても、最終的には教員じゃないかなと僕は思っているので、教員の問題について具体的に提案ないし、こうだ、こういうことを言うのがいいんじゃないかと思います。

 もう1つは、先ほど来ずっとお話が出てきますけど、多少方向性というんでしょうかね。

 今井さん、石原さん、上島さんのお話をずっとつなげてみると、魅力がある、楽しい学校、それからやはりどちらを向いているかというようなことについてのメッセージが欲しい。

 それから、いまの石原さんのお話で、画一性は、実は逆に管理をするにもむずかしいわけですよね。努力をしたらちゃんと実る。財源がふえるとか、運営がやりやすくなるということも含めて、ちゃんと認めていくことが必要ですね。

 ただ、その裏には、画一性を捨てると格差が出る。そういうことも認めるんだということもあります。いい話だけではなくて、きびしいことも含めてこういうこともやっていくんだというようなことを含めて言ってゆきたい。教員を採用したらそうなるかどうかという話は、藤田さんから繰り返し出ているように、検証しなきゃいけない問題ではあると思うんですけれども、人の問題と、それから方向性として、そんなに 180度違っているということは全然出てないので、どういうふうに表現していくかです。ありきたりにならないで、ある種苦いものもちゃんと認めるというような形で出ればいいかなと。

 もう1つは、さっきの研究開発校みたいなのや、僕がコミュニティスクールと言っている新しい学校みたいなものを、飛び地としてできることを、幾つか見せる。

【上島委員】チャータースクール的なものですか。

【金子主査】チャータースクール的なものを含めてです。少数意見もあっていいし、皆さんが必ずしもまとまっていないと思うんですけれども、全体としてはこういう議論をしていったよ、その中で、具体的に、教員について、人材について、などを言い、それから飛び地というか、日本じゅうをこれにしろという話じゃなくて、やればできるというような、僕は石原さんよりはもう少し包括的なものを、研究開発だけでないと思っている。もっと包括的な提案をしてゆきたい。

【田村委員】数日前にイギリス人と、向こうの人が来たものですから、ちょっと話す時間があって、教育改革についての彼らの考え方をいろいろ話し合いをするチャンスがあったんですが、何と言っているかというと、要するに変革だと言うんですね。

 つまり改革というのは、常に変えていくということを意識してやっていくことだと。イギリス人がいま一番大事にしていることはそのことですということを言っていまして、そう言われるのがびっくりしたんですけど。

 もちろんいま彼らはいろんなことをやってるけど、これは変える前提としてやっているんだと。これが終着点という意識は全くない。それぐらい時代がすごい勢いで変わっているからという言い方をしていまして、ブレアが言う変革という言葉の意味がそのへんにあるのかなというふうに思いましたけれども、そこまで踏み込んじゃうかどうかですね。そこまで踏み込んで書いちゃうかどうかですね。ここではね。

【藤田委員】その方は政策サイドの方ですか。

【田村委員】ええ、そうです。教育雇用省の人。

【藤田委員】サッチャー、メージャー政権とブレア政権とでは、政策にかなり変化が出ている部分があって、改革に関していいますと、サッチャー、メージャー政権は、学校の現場をトータルに変えるような改革、イングランド、ウェールズを中心にですけど、いろんなこれまでの慣行を変えざるを得ないような改革を繰り返し繰り返しやってきたわけですよ。

 だから、現場の先生方はもう改革疲れで、それこそ気力が失われるという状況がどんどん出てきたという一面もありますね。

 しかしもう一方で、市場原理を導入し、予算配分も生徒数に応じて配分し、それからオフステッドのような新しい査察制度も取り入れて、何とかインセンティブを与え、ニンジンをぶら下げてか、あるいはたたいてか、やらせようとしてきたわけですよ。

 ブレア政権になってからの政策は、その基本はあんまり変わっていないんですね。ただ、新しい傾向としては、エクスクルージョンポリシーはその例ですが、コミュニティを挙げて取り組んでいかなければ、いままでの改革だってうまくいかないという考え方が出てきたことでしょうね。しかし、学校の現場からすれば、現場の実践そのものがそんなに変わるといった政策は多くはないんですね。表面的なやり方は変わるかもしれませんが。

 ですから、私は変えていくことが重要だという場合、本当に変えなければいけないのは何かということをきちっと考えるべきだと思うんです。2002年からの学習指導要領の改訂でもそうですが、先生方は、それに従ってまた毎日毎日忙しい思いをしてやらされているわけですよ。この会議でもそうなるかもしれませんが、これからまた別の新しいものが出てきて大変なさらにやらされるとしたら大変なことですよ。その間じゅう子どもたちも追いまくられるんでしょう。もっと静かにというか、のんびりと子ども時代を過ごせるほうがいいんじゃないんですか。

 だから、目的を実現するために最低限必要な条件は何か、変えなければいけないのはどこかをきちっと考えるべきだと思うんです。やらなくていい改革をすべきじゃない。それを、この20年間どんどんどんどんやってきたんです。私は日本の改革というのは、西洋医学方式で、ここに問題、病巣があるから、それを摘発するため、あるいはそれを治療するためにこういう薬を投入しましょう、ここに問題があるから、こういう薬を投入しましょうという方式で進められてきたと思うんです。トータルに教育環境をよくしようという発想がどんどん後退してきた。もちろん、まくら言葉にはいつもありますよ。しかし、まくら言葉だけで、実際の政策は全部個別的な対症療法というか、そういう政策だったと私は思うんですけどね。

 ですから、いま変えるべきだとしたら、そうでない方向にかじを切りかえることなんじゃないかと私は個人的には思いますけど。

【金子主査】 時間がちょうどなくなったのですけれども、次回に何を取り上げましょうか。

 今日の感じだと、どれをやっても同じ議論になるような気もしますが、基本的に、われわれとして、方向性か、教員か査察か、それとも、新しい学校かというところ、どこからいったらよろしいでしょうかね。

 一番話しやすいところからいくと教員でしょうかね。

【田村委員】そうですね。基本ですしね。

【金子主査】それともやっぱり最初に方向性を議論したほうがよろしいでしょうか。たぶん新しい学校はちょっと後のほうがいいかなという気もしているんですけど。

 じゃ、教員というところから仮に議論して、話がどんどんスピルオーバーするのはそれでいいということで。教員の問題は必ず査察の問題も入ってきますよね。評価という話もあるので、それをどういう形でやるのかということも含める。人材をどういうふうに確保するかということもある。次回はそこからお話をして、それで決着がつくかどうか。事務局から何か連絡ございますか。

【銭谷教育改革国民会議担当室長】今日は第2回目でございますが、以後3回から7回まで予定させていただいているわけでございますが、配付資料の5で、今後の第2分科会の日程をお配りをさせていただいておりますけれども、第6回と第7回の会場が、前にご案内したものから変わっておりますので、第6回、第7回はこの場所に変更になりましたので、そこだけご確認をいただきたいと思います。

【金子主査】今井さんはもうすっかり私たち第2分科会の人という気持ちで、草野さんはきょうはちょっと発言が少なかったんですが、こんな感じでやっておりますので、分科会を隔てないでやっておりますので、どうぞまた来ていただきたいと思います。

 皆さんどうもありがとうございました。