教育改革国民会議

教育改革国民会議第2分科会(第5回)・議事概要



(日時) 平成12年7月3日(月)14時〜16時

(場所) 虎ノ門第10森ビル5階会議室

(金子主査)
 6月29日に行われた企画委員会で、分科会のまとめは最大5枚程度、次回までに主査、副主査が素案を作ることとなったので、ご了解をいただきたい。
 次に、これからの進め方を確認したい。お配りした「第二分科会の進め方(主査試案)」を参照していただきたい。本日は、「C 新しい学校」についての議論を行い、その後時間があれば「B 具体的提案」について議論する。次回第6回は、具体的提案について残りを議論し、今までの議論のまとめをする。その後、報告の素案を作り、第7回でそれについて検討することとしたい。

 「A 全体の方向性」については、今日はやらない。今週水曜日までに標語案を提出していただきたい。
 「B−1 教員を巡って」及び「B−2 学校の評価制度」については、これまでにかなり議論をしてきたが、一部は議論が収束していない。「B−3 教育方法・授業内容・地域/家庭/学校の連携」については、これまであまり議論していない。特に、現状における国民の不安、学級崩壊、犯罪などの心の問題にどう対応していくかについては、この中で次回に議論することとしたい。
 「C 新しい学校の試み」が本日のメインテーマである。問題意識としては、現状を活性化し、「何かが変わる、何かが起こる」と思えるような提案をする必要がある。そのためには、多様な教育機会の提供と問題の自発的解決が必要である。まず、「C−1 私立学校の振興」から議論したい。

(田村委員)
 臨教審では、義務教育段階においても、教育の活性化のために私立学校を増やすことが必要であるという提案がされた。しかし、国は小・中学校の設置基準を制定せず、また、私立学校設置の際に諮問される各都道府県の私学審議会自体が、現在の私立学校関係者から成っており、新規参入を抑制している。私立学校の設置基準をより明確化するとともに、土地や建物を地方公共団体から貸与等してもよいことにするなど、国が先頭に立ってより私立学校が作りやすくなるような基準を作るべき。

(上島委員)
 臨教審以降、学校の出席義務について議論がなされたことがあるか。

(玉井審議官)
 就学義務があることが前提だが、不登校の子どもがいわゆるフリースクール等に通うという例があるという現状を考慮して、そうした民間の施設に通う子どもについて、一定の要件を満たせば、出席扱いできるとしている。

(上島委員)
 そうした取り扱いについても校長によって大きな差があると聞いているが、もっと柔軟にすれば、コミュニティ・スクールや私立をつくる動きは加速しやすくなるのではないか。

(金子主査)
 フリースクールなどもきちんとしたものはコミュニティ・スクールとして認めていくことが必要。

(大宅委員)
 そのかわり質をきちんとしていくことが必要。何もしていないのに卒業させるという現状の方がおかしい。

(河合委員)
 公教育の水準は守ってもらわなければならない。そうした学校は、水準と全くかけ離れたことをやる学校と大変な詰め込みをやる学校の両極端になる恐れがあり、様々な人がいて面白いという公立学校の良さが侵害される怖さがある。

(田村委員)
 「学校へ行かない」のには2種類がある。一つは様々な事情で学校へ行けない人。もう一つは学校を認めず、行かない人。後者については制度では対応できないが、前者については手をさしのべる必要がある。既存の公立や私立でも助けられないのか。

(大宅委員)
 学校へ行くのは子どもの義務なのか。

(田中審議官)
 義務教育は、学齢期の子どもを学校に行かせる保護者の義務と市町村や都道府県が学校を設置する義務の二つがその内容である。

(大宅委員)
 学校へ行かなくてもいいと言われれば楽になる子どもも多いのではないか。

(藤田委員)
 「学校へは行かなくていい」というのは世間一般に言うべきものではない。それほど多くの子どもが学校に行かなくてはならないというプレッシャーを抱えていると仮定すること自体誤り。学校へ行けない子どもには、適切なアドバイスを与えればいい。

(大宅委員)
 学校へ行かなくてもいいという選択肢があることを日本人が意識できれば変わる。

(藤田委員)
 フリースクール等についても一定程度容認しつつあるのだから、そうした選択肢もあるという情報を提供すればいい。

(大宅委員)
 それと同時に行けないような学校を作らないようにする必要がある。

(藤田委員)
 私立学校をどんどんつくっていけばいいというが、駅前の貸しビルなどでやるというのはいかがなものか。

(田村委員)
 設置要件を緩くして、実質的に私立学校を作りやすくすると同時に、学校評価の仕組みを設置基準に入れることにより質は担保できる。評価がなされれば、親が学校を選択し、新しい教育を担う学校が生まれる。私学は自己防衛的、公立は基準に縛られている現状では、何も変わらない。

(金子主査)
 設置基準の緩和という話ではなく、設置について裁量によるのか基準を明確にして条件にあえば認めるのかという問題。通常法人の設立は許可か認可か準則によっているが、私学の設置認可は裁量によっているのが問題。設置要件をより明確化して裁量を減らし、準則主義に近い形にすべき。

(田村委員)
 設置基準の緩和というのは、私立をつくりやすくするため、土地建物のリースなどを認めるというもの。

(藤田委員)
 私立学校は現にこれだけ多いのに、教育は活性化していない。私立学校が増えたから教育が活性化するというわけではない。

(田村委員)
 私立学校は本来もっと増えてもいいはずなのに増えないというのが問題。

(金子委員) 
 私立学校が既得権化しているのが問題。良い考えを持った学校がもっと参入できるようにすべき。

(田村委員)
 学校は生徒が来なくなることで潰れるが、現状では新規参入がないから、生徒が来なくなることがなく、本来なくなるべきような学校もなくならない。

(藤田委員)
 私学の新規参入をより促進しても、私学が恒常的に新規参入し続けることにはならない。学校の質の半分は経営者がつくるが、残りの半分は子供がつくるものであり、経営者が変わることにより学校のよさや質が維持されることにはならない。結局子どもが被害者になる。1970年代アメリカで多数生まれたオールタナティブスクールも、そのほとんどは伝統的な学校に戻ったか廃校になった。

(今井委員)
 小中で私学を増やしても、選別が幼稚園などに早期化するだけ。保護者の立場からすると、学校というのは心の根っこをはぐくむような環境があるところ。自由に選択できるようにしてもそれがいい方向にいくか疑問。現状でも「開かれた学校」の取り組みは進めている。石原委員と同じだが、研究開発校を拡大することで対応してはどうか。
 また、NPOや地域といっても、PTAや地域を隠れみのにして、様々な動きをするようなことがあることにも留意すべき。

(田村委員)
 公立学校は、性格上新しい教育に取り組むことが難しい。そのため、日本では、試験的教育は私立で始まり、よいものを公立学校が取り込む仕組みができている。こうした仕組みをいかしてより新しい教育を採り入れるために、私学の参入を容易にすることが必要。
 また、受験競争をしている私学は少数。多くの親は受験がない安定した教育を求めている。

(藤田委員)
 新しい教育は国立大学附属学校でもやってきた。私立が一翼を担ってきたのは確かだが、私立でないと新しい教育ができないわけではない。また、中高一貫校についても大学がないところは受験を重視している。

(上島委員)
 開かれた学校というのは進めるべき。大宅委員が言われたように、お上任せという意識を変え、選択できるのだというメッセージを出したい。出席義務についても、そういう選択の幅があったのか、と親に意識改革をしてもらうために言った。

(大宅委員)
 今までの学校教育は管理する側が管理しやすい「部品」を育ててきた。貧しい時代はそれでもよかったが、豊かな現代では不十分。公立学校では1回しかない人生をどう送るのかというニーズに合った教育サービスを提供できていない。

(金子主査)
 私学が日本の多様な人材育成や新しい教育で重要な役割を担ってきたのは確かであり、これを増やすなという議論はおかしい。ただし、その方法として、設置要件は厳しくするが、その条件を明確化し、それを満たせば設置できるような環境をつくることが必要。

(藤田委員)
 かつやま子どもの国小学校など様々な学校の試みがあるということを事例としてあげるのならともかく、それを理想型としてポジティブに進めるべきと提案することには反対。

(金子主査)
 これについては、次回それを盛り込むかどうかも含めて議論することとしたい。
 これから「コミュニティ・スクール」について提案したい。お配りした「コミュニティ・スクールの提案」を参照していただきたい。コミュニティ・スクールは、地域独自のニーズに基づいて、地域が運営する地域のための市町村立学校である。市町村が学校と地域学校協議会の両方を設置し、学校が協議会に何をしたいか提案し、それを協議会が承認する。コミュニティ・スクールと公立学校のもっとも大きな違いは、「やる気」のある校長やスタッフが運営主体になれること、教員は校長やスタッフが選ぶこと、教育委員会ではなく地域に向いており、教育内容の評価は協議会など地域がやることである。教員の採用については法制度の改正の必要がある。教育内容、協議会の構成枠、評価基準などの大枠の要件は国が決めることとする。どんな学校になるかについては、私立や公立では十分扱えないスペシャルニーズのある児童・生徒が通えるとか、地域に開かれた学校などをイメージしている。フリースクールなども一定水準を満たすものはこの制度にのせて、きちんと設置をする。
 ここに行く前の実験段階としては、「地域運営開発学校」制度を提案したい。研究開発学校はカリキュラムに関する実験であるのに対し、これは学校運営についての実験的制度。

(河合委員)
 教育内容についてはどのように保障することになるのか。また、「やる気」のある人というが、資格はどうするのか。

(金子主査)
 教育内容は指導要領をトータルで保障するが、教え方は自由にする。また、人については市町村がきちんと審査をすることとする。校長公募制に近い。

(藤田委員)
 アメリカのチャータースクールに近いと思われるが、小さい市ではスペシャルニーズのある子ども達のための教育をする学校は生まれない。統合教育や地域に開かれた学校については、アイディアの話で、現状でも可能。スペシャルニーズにあった教育をするというのであれば、県単位でそうした学校をつくることを考えた方がよいのではないか。

(金子主査)
 自分達でやるというのが大切なのであって、県が「つくる」とするのではだめ。
 また、統合教育や地域に開かれた学校も、たまたま条件が揃えばできるが、現状では校長が替われば終わりだし、校長も自分で教員を選ぶことができない。やりたいという人に何年間か保障をし、人も自ら選び、そのかわり結果はきちんと評価してもらうとするのは全く違う。

(藤田委員)
 有志の集まりである学校運営チームが地域の団体である協議会の意向に従ったものとなれば、今の教育委員会と学校の関係と同じ。学校運営チームはそうしたものを排除していかなければ独創性を発揮することができないが、それではアメリカのチャータースクールと同じになり、チャータースクールが持つ問題性を抱えてしまうことになる。

(金子主査)
 問題のない学校はない。「やる気」のある人ができるようにすることが必要。

(藤田委員)
 コミュニティスクールと地域運営開発学校の違いは何か。

(金子主査)
 後者は現行制度の枠内で学校評議員制度を拡大したもの。既存の学校が手を挙げて国が指定をする。

(田村委員)
 アメリカはほとんど公立であったからチャータースクールがうまくいった。これに対し、日本は一定の私立がある。その中でチャータースクール的な学校をつくると、自分のやりたい教育を税金を使ってやることになり、全て自前でやってきた私立学校との整合性が取れなくなる。

(金子主査)
 この制度をつくると同時に、私立についても、条件さえ満たせばより容易に設立できるとすることが必要。また、私立は自らの理念に基づいて設立する。コミュニティ・スクールは地域のニーズなりスペシャルニーズに合致したものという違いがある。

(河合委員)
 スペシャルニーズは市町村とは結びつきにくいのではないか。

(藤田委員)
 スペシャルニーズを中心にするのであれば、もっと広域、例えば県単位で考えるべき。 また、地域学校協議会と地域運営開発学校は重なっている。有志が自分達でやるという部分については、チャータースクールではなく、各学校の裁量を現状よりも拡大することで対応してはどうか。

(金子主査)
 制度論はともかく、やる気のある人が運営に携わること、自ら運営スタッフを持ち、教員を選べる、そうした動きをつくりたい。

(藤田委員)
 学校はある学校がよくなったから他の学校がよくなるものではない。もっと自由裁量を拡大して意欲のある校長や先生ができるようにすればいい。一つの学校をそうするというのではなくて、どの学校でもその気になればできるという条件整備をすることが必要。

(今井委員)
 日本はチャータースクールを設立するような動機付けがない。現行制度の中で、動ける部分をもっと増やし、地域と一緒に取り組めるようになればと思う。また、この制度ができたとして、どれくらいの人がやりたいというのか、どれくらいの人数が集まれば採算がとれるのかについても疑問。

(上島委員)
 校長や運営スタッフの自由裁量を増やすことには賛成。

(大宅委員)
 お金の問題は難しい。似たようなことを自分の金でやるのと税金でやるのと違いは何か。

(金子主査)
 私立は自らの中に評議員会を持って自分の考えを実践する。これに対し、コミュニティ・スクールは地域を説得しなければならない。考えに共鳴してお金を払って行くのか、自分達でやるのかという違いがあり、両者は競合しない。
 石原委員の意見(石原委員から金子主査あての資料参照)は、研究開発校の枠組みを広げて中学校区で地域指定を受けられるようにし、小中学校で一貫した教育ができるようにするというクリエイティブスクールの提案。そして、コミュニティ・スクールについては私立学校でないと実施が不可能というご意見である。

 今回までの議論をふまえて主査と副主査で大枠のメモをつくる。次回は具体的な提案をつめるとともに、現状の親の不安にどう対応していくかについても議論をして、総括をすることとしたい。

[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。