教育改革国民会議

教育改革国民会議第2分科会第5回議事録



教育改革国民会議 第2分科会第4回・出席者一覧
(敬称略)
 上島 一泰社団法人日本青年会議所会頭
 大宅 映子ジャーナリスト
(主査)金子 郁容慶應義塾幼稚舎長
 河合 隼雄国際日本文化研究センター所長
(副主査)田村 哲夫学校法人渋谷教育学園理事長
 藤田 英典東京大学教育学部長
 今井 佐知子社団法人日本PTA全国協議会会長

教育改革国民会議第2分科会第5回議事次第

日 時:平成12年7月3日 (月) 14:00〜16:00

場 所:虎ノ門第10森ビル5階会議室

1.開 会

2.討 議

  • 新しい学校の試みについて
  • 具体的な提案について

3.閉 会

【金子主査】第5回ですが、きょうは町村補佐官がいらっしゃっているので、最初にごあいさつをお願いします。

【町村補佐官】時間はとりませんが、一言ごあいさつをさせていただきます。

 選挙中、先生方のいろいろな活動ぶりについては、新聞を通して私も拝見をいたしまして、本当に熱心なご議論をいただいてありがたく思っております。

 きょう、選挙後初めてのこの会なものですので、森総理からのメッセージということで、引き続き国民会議の皆様方によろしくお願いをしたい、熱心に取り組んでいく、その姿勢だけはみじんも変わっていないし、引き続き皆様方のご意見を拝して、ぜひ実現に努めていきたい、その姿勢はみじんも変わらないので、どうぞ皆さん方によろしくお伝えくださいということであったことをお伝えさせていただきます。

 森内閣としては、教育改革を一生懸命やっていくという考えであることだけとりあえず皆様方にお伝えさせていただきたいということでございますので、よろしくどうぞお願い申し上げます。

 どうもありがとうございました。

【金子主査】この間、企画委員会というのがありましたので、様子をお話しいたします。

 各分科会のまとめは、最大限A4で5枚ぐらいかそれ以下でもって、エグゼクティブサマリーのようなものをつけてやろうということになりました。

 あとは、これは皆様方の承認を得たいんですけれども、次回までに素案を出します。それをもとにしてお話しして、最後にわれわれとしてのまとめを出して、最後にもんでいただいて、てにをはを直して、第2分科会の報告になる。それについては主査と副主査が書くということで、企画委員会では、そういうふうにしたらどうかということだったんですけど、それでよろしいでしょうか。もしよろしければ、物自体は次回、次々回にきちんと出しますので、それで十分にご審議していただきたいと思います。

 配付資料が幾つかございますので、事務局のほうからご説明いただきたいと思います。

【銭谷教育改革国民会議担当室長】私のほうから、本日の配付資料についてご説明させていただきます。

 資料1は議事次第でございます。資料2は、第2分科会のこれまでの議論の概要の資料でございます。資料3は公立学校のマネージメントに関する資料でございます。きょう、予定では、新しい学校の問題をご議論することとなっておりますので、現在の公立学校のマネージメントがどういうふうになっているのかということについて用意させていただいております。これにつきましては後ほど、文部省の田中審議官からご説明させていただきたいと思います。

 資料4は私立学校に関する資料でございます。これにつきましても後ほど、文部省の玉井審議官からご説明させていただきたいと思います。

 資料5は、諸外国の初等中等教育行財政制度に関する資料でございます。これにつきましては私のほうから、後ほどごく簡単に説明させていただきます。

 資料ナンバーが打ってございませんが、きょうご欠席でございます石原委員からご意見が寄せられておりますのでお配りしております。これは議論の中で、必要があれば、私のほうからご紹介させていただきます。

 それから最後に2枚、これも資料ナンバーを打っていない資料がございます。1つが「第2分科会の進め方(主査試案)」、もう1つが「コミュニティ・スクールの提案」という資料でございます。これにつきましては、議論の中で金子主査のほうからご説明があるかと思います。

 机の上に、藤田先生からの「市民社会と教育」という冊子を委員の皆様にということでお配りをさせていただいております。また、上島先生のほうから、青年会議所の頼もしい人間づくり推進委員会がおつくりになりましたマニュアルブックとワークブック、これをお配りをさせていただいておりますので、ご覧いただければと思います。

 それでは、公立学校のほうから順次ご説明させていただきます。

【田中審議官】失礼します。文部省の教育助成局担当審議官の田中でございます。私のほうから資料3につきましてご説明をさせていただきます。

 1ページにございますのが全体像でございます。下のほうに書いてございますけれども、小中学校につきましては、市町村が、当該市町村内におります学齢期の子どもを就学させるために必要な小学校、中学校を設置する義務が課されているわけでございます。

 そして、そのことに基づきまして、各市町村におきましては、議会が条例で小中学校を設置しているわけでございます。

 そして、学校につきましては、その設置者が管理運営をし、その経費については、原則として設置者が負担するということになっているわけでございまして、予算につきましては、そこにございますように、市町村長が教育委員会の意見を聞きまして予算を編成し、議会の議決を経て執行するというような制度になっているところでございますし、管理運営につきましては教育委員会が、市長部局とは独立した政治的中立を守れる機関ということで置かれているわけでございまして、この教育委員会が、小中学校の管理運営をしているところでございます。この委員につきましては、市町村長が議会の同意を得て任命するということになっているところでございます。

 ただ、先ほど申し上げましたような、設置者管理主義の原則に基づかないものが1つだけございまして、教職員の給与費につきましては、都道府県がその給与費を負担し、任命権につきましては、都道府県の教育委員会が任命するという制度がとられているところでございます。

 これは義務教育の機会均等、特に教員、「教育は人なり」と言われますように、教育においてはすぐれた人材を確保することが大事だということで、給与費につきましては都道府県の負担としているところでございまして、どれだけの人数、教員を置くか、そして、その給与水準につきましては、都道府県の議会が条例で定めるわけでございまして、具体的な人事、給与支給は教育委員会が行っているところでございます。

 2ページは教育委員会と学校の関係でございますけれども、3ページのほうに具体的に書いておりますけれども、教育委員会が責任を持って学校を管理運営すると申し上げましても、やはりそれぞれの学校は主体性を持って、地域や子どもたちの実情に応じた教育を展開する必要があるわけでございますけれども、教育課程について申し上げれば、右側にございますように、教育指導計画の編成は校長が行いまして、これを教育委員会に提出して承認を受けるというような形になっているところでございます。

 また、休業日、学年学期の期間等につきましては教育委員会が定めますけれども、授業の始業時刻の決定とか時間割につきましては、それぞれの学校の校長が定めるというようなことになっているわけでございます。

 さらに平成10年の中教審の答申に基づきまして、それぞれの学校の自主性、自律性を高めるというような形でいろんな見直しが行われているわけでございますけれども、その中でも、この教育委員会と校長の職務権限の見直しが図られているところでございまして、そこで申し上げれば、教育指導計画につきましては、いままでは校長が編成をし、教育委員会の承認を得るというような形になっていたわけでございますけれども、多くの都道府県におきまして現在、これを届出だけで足りることにしようというような改善が行われているところでございます。

 休業日、学年、学期の決定等につきましても、従来は教育委員会が行っておりましたものを、校長の権限に委譲して、校長が決定して教育委員会に届け出るというような形での学校管理規則というものの見直しが行われているところでございまして、都道府県、政令市59県市あるわけでございますけれども、その中の20県市におきましてすでに見直しが行われているところでございまして、残りの都道府県市におきましても現在、見直しを行っているところでございますし、これを踏まえまして、各市町村におきましても同様な学校管理規則の見直しが行われているところでございます。

 これは一つひとつの中身も大事でございますけれども、やはり教育委員会が学校に主体性、自律性を認めていくというのが非常に重要であろうとわれわれは考えているところでございまして、個々の権限については校長に委譲するけれども、これを十分教育委員会がサポートして、一旦急あれば、教育委員会が前面に出てサポートできるような体制をつくっておくことが重要であるのではないかということで、指導もされているところでございます。

 2ページに返っていただきますと、そういうような観点から学校評議員というような新たな制度を設けているところでございますけれども、59県市中、いま18県市で制度化がなされているところでございます。そして、他の県市におきましても、いま準備を進めているところでございます。

 こういう中で、校長の権限がまだまだ少ないというご議論があるわけでございますけれども、そこの下にございますように、教育課程の編成とか、旅費、設備その他の事務経費の執行、例えて申し上げれば、旅費とか図書、教材、こういうものについて何を買うかということは校長先生に任せられているところでございます。

 それから非常勤講師の推薦とか、これからつくります学校評議員の推薦、これらにつきましても、学校評議員の人選は学校長の権限とされているところでございますし、非常勤講師につきましても、校長先生が主体的に人を見つけてくるというようなことが重要ではなかろうかと考えているところでございます。

 4ページ目でございますけれども、ただいま申し上げました、国と都道府県と市町村の役割分担をまとめたものでございますが、特に経費負担のところにつきましては、給与費につきましては県と国が2分の1ずつ負担する。施設費につきましては、市町村が3分の2、国が3分の1を負担する。

 ただ、新設の場合には、市町村と国が2分の1ずつ負担するというようなことになっているわけでございます。

 その他の経費につきましては、一定の財源が、地方交付税制度により措置されているところでございます。

 その経費の中身を見ますと、5ページでございますけれども、平成10年度の小中学校費の決算総額が10兆円余となっているところでございますが、その中の人件費が7兆 5,865億円ということで、約75パーセントを占めるわけでございます。

 人件費の中で、国の負担が2兆 8,000億円余で37.6パーセント、都道府県が3兆 8,000幾らで51パーセント、市町村は、学校の給食の調理員さんとか、そういう方の人件費も負担しておりまして、これらが 8,694億円で11パーセントということになっているところでございます。

 施設費につきましては国と市町村が負担しておりますし、物件費につきましてはほとんどが市町村が負担しているわけでございまして、先ほど申し上げましたように、10兆円の中の全体を通じますと、国が3兆 730億円で30.2パーセント、都道府県が3兆 9,377億円で38.7パーセント、市町村が3兆 1,698億円で31.1パーセントというふうになっておりまして、財源の面でも、国と都道府県と市町村がそれぞれ3分の1と申しますか、国が3で、都道府県が4で、市町村が3といった割合で負担をしているところでございます。

 最後のページが、これを子ども1人当たりに直したものでございまして、小学校で申し上げれば、平成10年度で1人当たり約88万円の公財政支出がなされているわけでございますけれども、中学校につきましては約95万円の公財政支出がなされているところでございまして、それぞれの負担割合は右のとおりになっているところでございます。

 簡単でございますけど、以上でございます。

【金子主査】最後の1人当たりの出費なんですけれども、小学校で88万円、これは設備とか施設の値段、減価償却とかそういうのは入っているんですか。それとも経常的な費用だけになっていますか。

【田中審議官】これに関しましては建物、修理費用も入っております。

【金子主査】それを除くと、たとえばどのくらいになるか、大ざっぱにわかりますか。

【田中審議官】地方債のところが投資的経費になるところでございますので。

【金子主査】じゃ、 3.2パーセントぐらい、大まかに言うと引いたものという形ですね。

【田中審議官】はい。

【金子主査】わかりました。ありがとうございました。大変よくまとまっていて参考になります。

【田村委員】 この費用にかかわってちょっとお伺いしたいんですが、教育委員会の費用は入っていますか。

【田中審議官】入っておりません。

【田村委員】 現場の学校関係者だけの費用ですね。

【田中審議官】これは学校の管理運営に要した費用でございます。小学校の管理運営に要した費用を在学者数で割り戻した、また、中学校の管理運営に要した費用を在学者数で割り戻したものでございますので、教員委員会の運営費等は入っておりません。

【田村委員】 教育委員会の運営費は数字には出てこないんですか。

【田中審議官】それは文部省としては調べております。

【田村委員】 大体どれぐらいですか。大づかみでいいんですけど。

【田中審議官】後で調べてご報告します。

【金子主査】それでは、次、私立学校のほうをお願いします。

【玉井審議官】文部省の初等中等教育局を担当しています審議官の玉井でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 資料4に基づきまして、私立学校に関する状況をご説明申し上げます。

 まず1ページでございますが、私立学校の位置づけでございます。ご案内のとおり、教育は私事というよりも、国家国民全体の共通の問題でございますので、それを私どもは公教育と呼んでいるわけでございます。公教育の一翼を担うのが私立学校ということでございますので、それにふさわしい仕組みが整えられているということでございます。

 1ページの上半分、「私立学校とは」ということでございますけど、要は学校法人を設置する学校、すなわち設置者が、公教育を担う学校は限定をされているということでございます。学校教育法にございますように、国、地方公共団体そして学校法人、学校法人は私立であるわけでございますが、このように公教育を担う設置主体が決められているということでございます。

 下半分に「学校法人とは」ということでごく簡単に書いてございますけれども、これは他の公益法人と比べまして、より公共性の高い仕組みということで、私立学校法によって特別な形態の法人というものが定められている。これが学校法人でございます。

 そこに理事会、評議員会があるわけでございます。理事会ですと、必ず校長先生が含まれねばならない。学校側が入って経営がされなければならない。評議員会というのがございまして、ここのところは学校法人職員あるいは卒業生というものが入らねばならない。そういう形で公共性を担保する。

 もし万が一解散するということになりますと、そこは残余財産が他の学校法人のほうへ必ず帰属するということが法律上決められているわけでございます。

 そういう意味で、先ほど申したとおり、私立は特別な、他の公益法人とは違った形で進められているわけでございます。

 2ページのほうをご覧いただきますと、では、私立学校がどんな形で設置認可をされているのかということをごく簡単に書いたわけでございます。一番上にございますように、学校の設置認可と、学校法人の設立認可と2つございます。すなわち学校としての認可と、その設置母体である学校法人としての認可と2つが必要でございます。全く新しくつくろうと思いますと、学校としての認可と、法人としての認可、両方が必要です。既設の学校法人が新しくつくる場合には学校だけの認可で済むということでございます。

 初等中等教育で申し上げますと、@にございますように、都道府県知事が権限を持っています。したがって、都道府県知事が、学校の認可、法人の認可を行うということでございます。

 Aにございますように、どういう観点で見るか、ちょっと詳しく申し上げますけれども、要するに教育水準の確保がなされているかどうか。つまり公教育にふさわしい学校と言うのかどうか。そして、2つ目に、学校法人としての経営基盤の安定。それなりに継続して、安定して、学校という公教育が担えるのか。主にこの2点から認可の審査が行われます。

 そのときも知事が一方的に認可するのではなくて、そこに私立学校審議会、これまた私立学校法によって定められておりまして、地域の私立学校の関係者の方々、学識経験者の方々に入っていただいている審議会がございます。ここの審議を経て認可がなされるということでございます。

 では、どういう観点で教育水準が担保されていると見るのかということでございますが、これは真ん中にございます「学校の設置に係る基準」というものでございます。これは実は、国立であれ、公立であれ、私立であれ、学校としての水準は、学校教育法という体系で担保されているわけでございますが、その中で、学校を設置する者は、学校の種類に応じて、いわゆる設置基準が定められ、その設置基準に従って水準が担保されるという仕組みになっているわけでございます。

 どういうものかというと、Aにございますように、高等学校の場合に、「高等学校設置基準」というのが定められております。それから小学校、中学校は実は設置基準が定められておりません。小学校設置基準、中学校設置基準という形では定められておりませんが、学校教育法施行規則とか、公立学校がどうしても多いものですから、公立学校に関する仕組みの中で水準が担保されているということでございます。

 それからもう一方、学校法人としての認可を行うために、私立学校法を念頭に置きながら、各県では設置認可の審査基準が定められているわけでございます。それが下半分にございます「学校法人の設立に係る基準」というところに移ってくるわけでございます。すなわち設置母体についての水準担保ということになっております。その認可の審査基準は各県によって異なっているところがあります。

 おおむねどんなことが定められているかということをごく簡単に書いておきました。Aのところでございますけれども、一つは施設・設備についてまず見ます。安定的な経営ができるかどうかでございます。これは、要するに施設については、校舎とか校地、これは原則自己所有であるということでございます。負担つきとか借用でないということは、要するに原則として自己所有であるということでございます。

 ただ、括弧書きにございますように、近年、一部の県でございますけれども、そこをもう少し弾力的に見ようということで、特にいま公立学校が、子どもの数が減っているものですから、廃校等になってきたりいたします。したがって、それを活用するということも近年、一部の県で出てきております。廃校を無償で借用する形で私立ができているという例が、このごろ若干出てきております。

 設置経費は当然のことながら持っていること。役員については、先ほど理事会とか評議員会と申し上げました。そういうことが法律でも担保されています。それが現実になされているかどうか審査されるわけでございます。

 1枚めくっていただきまして3ページ、お金の面でどのようにいま担保されているかということでございます。高等学校以下につきましては私立学校振興助成法という法律がございます。それに基づきまして都道府県が助成する。その助成の一部を国が助成する。こういう仕組みになっているわけでございまして、たとえば平成12年度でいきますと、文部省が 860億円都道府県に補助し、都道府県は、その国費と地方交付税で相当な積算がなされております。交付税措置がなされております。それを合わせて、学校法人に対して助成が行われている。10年度実績でいいますと 6,291億円ということでございます。

 私立学校の経常的な、ランニングコストに対してどれぐらい公費、国及び都道府県の経費が占めているであろうかということで、ちょっと古いんですが、平成9年を見ますと30パーセント、しかし、これは実は交付税措置という計画的な数字なものですから、実績はもっと多いんです。今6,200億円と実績値がついておりますが、このときも交付税措置は 5,500億円でございましたから、約700億円以上、実は各県は出されているわけでございます。たぶん実質からいうと35パーセント前後が、経常的経費に対する補助で出されているのではなかろうかと思います。その他のものについても若干の経費が出ております。

 なぜこういう仕組みがとられているかということでございますが、3ページ目の一番下のほうにコメ印で書かせていただいているんですけれども、ちょっとかたい話になって恐縮でございますけれども、公の支配に属さない教育とか慈善の事業に公費を出してはならないというのが、いまの憲法上の仕組みになっているわけでございます。私立学校は公教育の一翼を担うわけですが、どういう形で担っているか。先ほどご説明したとおりなんですが、説明してない部分がございます。監督についても、それなりに権限がございます。学校の閉鎖命令や学校法人の解散命令が出せる仕組みがございます。すなわち学校教育法、私立学校法及び私立学校振興助成法によって、この憲法のいう公の支配に属すという形にして、こういう公的な助成が行われているわけでございます。

 4ページに参りますと、現にどれぐらいの学校が設立されているのかということを数字でお示しをいたしました。特に小中学校でございますけれども、ご覧いただきますとおり、平成10年で小学校 171校、中学校で 661校でございます。高校は私立が約30パーセントございます。大学にいきますと大体、高等教育機関の75パーセント、学生数でいいますと私立が占めているわけでございますけれども、児童生徒数でいいますと、小学校で 0.9パーセント、中学校で 5.6パーセントと非常に少ないわけでございます。

 最近どんなのができているかというのは、5ページと6ページでごく簡単にお示しをしております。5ページが私立の小学校でございますけれども、若干いまでき始めております。たとえば平成7年の吉備高原のびのび小学校とか、10年にかつやま子どもの村小学校といったように、公立学校の廃校になった敷地とか校舎を使いながらやっていく。大学ではすでにだいぶ前から第3セクター方式の私立大学ができております。形は私立ですけれども、公費は、最初の設置経費等ほとんど地方公共団体が見て、理事の中には大体知事さんが入っていらっしゃったり市長さんが入っていらっしゃるという、いわゆる第3セクター方式の私学というのが大学の場合相当出ているんですが、いわば小学校についてもそういう形が、理事さんは別にして、公私協力による第3セクター方式がいまできつつあるということでございます。

【金子主査】吉備高原以外にも1つそうですよね。

【玉井審議官】かつやま子どもの村小学校です。廃校になった公立の学校を無償貸与という形になっております。

 6ページ、私立中学校はかなりあるんですが、これの大部分は、すでに高校を持っているところが中学校まで、いわゆる中高一貫という形でふやしてきた例が多いわけでございます。

 以上ご覧いただきましたとおり、私立の義務教育のところ、どうしても公立学校が中心だったので少ないんですけれども、若干いまできつつある。そのときに、県によっては、やわらかい基準に直すことによって公私協力をやり始めている例があるということでございます。

 以上でございます。

(町村補佐官、退室)

【銭谷教育改革国民会議担当室長】資料5は諸外国の初等中等教育行財政制度に関する資料でございます。2ページに「諸外国の初等中等教育(私立)行財政制度」という横長の表がございます。いま玉井審議官のほうからお話がございましたように、日本の小中学校教育では、私立の割合が、非常に低いわけでございますが、外国はどうかと見ますと、やや似たような感じでございます。アメリカで約1割、イギリスで7パーセント、フランスで10パーセント台、ドイツは初等学校が 1.5パーセント、イタリアも10パーセント弱ということであります。大体の国は、初等中等教育における私立学校は非常に低い割合になっております。ただ、オランダは、初等学校で67.8パーセントを占めております。オランダが、私立の学校が小中学校で非常に多いという例外的な国になっております。概して私立の学校は、初等中等教育では、各国とも1割前後というような感じでございます。

 諸外国の公立の学校の管理運営でございますが、まずアメリカは、各州は教育行政の単位として学校区を設けておりまして、学校区に教育委員会が設置をされております。各学校の裁量は小さく、大部分が学校区の教育委員会で決定をされている。校長先生は学区の教育長から続く、行政系統の中間管理職的なものとしてアメリカではとらえられているということのようでございます。

 イギリスは地方教育当局が学校の管理運営を行うわけでございますが、最近の傾向としては、地方教育当局の権限が総体的に縮小されて、その分、国と学校の権限が強化されている。つまり、学校は、国の定める教育課程の基準に従って教育課程を編成する。一方、学校には、親、地方教育当局、教員の代表等で組織される学校理事会が置かれまして、管理運営上の意思決定機関の役割を果たしているというのがイギリスでございます。

 フランスは伝統的に中央集権の教育行政制度を採用しておりまして、国の出先機関が各学校の教育を直接に管理をしているという仕掛けでございます。基本的に、各学校は国の出先機関が管理しているということでございます。

 学校には、学校評議会が設置をされておりますが、これは諮問機関的な役割をしているということでございます。

 ドイツは、州が教育に関する権限を持っておりまして、実際の学校の管理は、州が、県や郡に置く視学を通じて、視学が各学校の管理をしているということでございます。ドイツには学校会議等が設置をされておりまして、学校の管理の基本方針について勧告、提案などをしているということでございます。

 イタリアも伝統的に中央集権的な教育行政となっておりましたけれども、最近の傾向として、地方自治体、学校に一定の権限が付与されつつある。ただ、国の出先機関が、県、市町村において、それぞれの学校の管理運営を担っている。イタリアの学校の管理運営の責任は校長にございますが、校長、教員、親の代表から構成される学校評議会が設置をされておりまして、学校運営に意見や助言を述べております。

 オランダは、私立の学校が、先ほど申し上げましたように在学者の70パーセントぐらいを占めているわけでございますので、オランダの場合は、公立とか私立の区別をせずに、国が学校経費を負担している例外的な国でございます。学校の管理運営の責任は校長先生が持っておりまして、学校評議会が、学校運営に関する意見や助言を述べるというシステムになっております。

 以上がヨーロッパ、アメリカの公立学校の行財政制度でございます。

 なお、最後に、アメリカのチャータースクールについての資料も用意してございます。ごく簡単に申し上げますと、チャータースクールは、親や教員、地域団体などが、州や学区の認可、チャーターを受けて設ける初等中等教育学校で、公費によって運営をされております。

 設立の背景として、非常に学区間の格差が大きくなった、あるいは学力が低下をした、学校が荒廃をしたといったような背景から、特別にチャーターをもらって運営する公立学校ということが考えられてきたようでございます。

 現在の状況でございますが、これまでに大体 1,689校、全体の公立学校の約2パーセントがチャータースクールになった。在学者数が約43万人で、全米の公立学校在学者の1パーセント程度であるというふうに聞いております。

 なお、実際チャーターをもらって学校を運営しているのはいろいろでございまして、NPO的な団体もあれば、チャーター運営を専門にしている株式会社、学校経営会社などもあるとお聞きをいたしております。

 以上でございます。

【金子主査】ありがとうございました。だいぶ時間をとったんですが、きょうの議論には必要なことですので。

【田中審議官】先ほどご質問がございました教育行政費につきましては約1兆円でございます。小中学校費総額が10兆円余でございますので、その1割ぐらいでございます。

【金子主査】それが教育委員会などの運用費ということですね。わかりました。ありがとうございました。

 それでは議論を始めたいと思います。先ほどの資料の中の、資料番号がないもの2枚を見ていただきたい。そのうちの1枚目、一番上に「第2分科会の進め方(主査試案)」と書いたものをご覧いただきまして、これからの進め方について確認というか提案をさせていただいて、それから、きょうの議論に入りたいと思います。

 第5回、第6回、第7回とあと3回ございます。きょうは新しい学校について主に議論して、時間が余れば、具体的提案について、まだ決着がついてないところがございますので、話したいなと思います。次回、具体的提案の中で、決着のついてないところをやり、総括をし、第6回までには、主査、副主査での素案みたいなのを出して、それを見ながらということになると思います。

 第6回の後で、主査、副主査のほうで、一応全体のまとめの素案をつくり、7回目はそれを見ながら、これでいいのかということをやって、基本的には、ここでもって分科会はおしまいになる。9月以降はどうなるかは、また全体会議の方針ということにさせていただきたいと思います。

 いままでA、B、Cというふうに分けて考えておりました。Aが標語ないし全体的な方向性、これはきょうやらずに、きょうの議論を踏まえて次回やりたいと思います。

 できたら、次回までに各自、標語を1つか2つずつ出していただいて、水曜日ぐらいまでに事務局にいただければ、次回それを並べて、投票するのかどうか知りませんが、やってみたいなと思っています。

 Bの具体的な提案については、後で時間があったら返ってこれます。教員をめぐってに関してはかなり議論をしたけれども、一部は結論が出ていない。学校の評価制度に関してもかなり議論したけど、一部は意見が収束していないという状況です。

 3番目として教育方法とか授業内容。クラスの分割、統合教育とか、家庭、学校、地域との三位一体、休暇制度、週5日制にするかしないか、子どもがよくわかる授業などについてはあまり時間をいままでとっておりませんので、次回ということになります。

 この国民会議をつくられた背景には、国民の不安とか、学級崩壊とか犯罪などとか、心の問題がございますし、これに対して第2分科会としてどう対応するかというようなことに関しては、前回少しご議論をいただいたんですけれども、十分に時間をとっておりません。

 私の感じたところ、B3でもってかなり対応できるのかなと思っておりますが、これについては、きょう、もし時間があればやりたいと思います。なければ次回第6回ということになるんじゃないかと思います。

 ということで、Cの新しい学校というのが、きょうお話しいただくメインのテーマでございます。

 私の問題意識としては、分科会には何か現状が活性化をしなきゃいけないなというメッセージを求められているんじゃないかと思います。何か変わるんだ、何か起こるんだというようなことを出せない限りは、われわれ分科会の存在価値が問われるんじゃないかなと思っています。いろいろと具体的な提案もあるでしょうけれども、新しい学校像というのを出してくるのはいいんじゃないかなと考えました。

 いろんな教育の機会をつくる、ないしは問題を自発的に解決する。上から言われたからじゃなくて、自分から解決するというような学校というのが提案できればというのが問題意識でございます。

 きょうの議論の具体的な進め方なんですけれども、実は私立学校は、先ほどの発表がございましたように、小学校で 0.7パーセント、各国少ないんですけれども、日本は特に少ない。中学校でも5パーセント以下でございます。私立学校の振興がこれまでいろいろ言われていたんですけれども、実際なかなかできていない。これについて少し議論をしてみたいと思います。このテーマについては、田村さんから何度か出ていましたけれども、あまり議論をしておりませんでした。

 これはCに入れるのか、それともBの具体的提案に入れるのか、議論をしてみてからで、Bでもいいのかなと思っておりますが、最初、これに時間を使いたいと思います。その後ですけれども、石原さんのほうから研究開発学校という、これについてはいつか資料をいただきました。それを地域単位でやればどうかという提案が出ております。これについては時間があったら、後で石原さんのペーパーを見ながら少し議論をする。

 私からは、コミュニティ・スクールで2つ提案があって、これがきょう主に議論をしていただきたい。これについては後でお話をさせていただきます。最初に私立学校をどうやって振興したらいいのかという話に少し時間をとりたいと思います。時間が来たら、次に進みたいというふうに申し上げますので、それまでご議論いただきたいと思います。

 こんな進め方でよろしいですか。だんだん押し詰まってきたので、少し私のほうから時間配分をおねがいしてゆきたい。

【田村委員】最初に、議論される前提条件みたいなことでご説明したいと思います。

 実は私、このへんのところにずっとかかわっているものですから、歴史に少し触れたほうがいいかなと思うんですけど、私立学校の振興、義務教育段階における私立学校の役割ということで、臨時教育審議会、1984年から87年にかけて審議がされた、その提案の中に、実は義務教育段階にもっとたくさん私立学校をつくれという提案が具体的にされたわけです。

 しかし、それが結局、教育の活性化といいますか、現状を多様な教育機会を提供することによって活性化できるという発想がその根底にあったと思うんですが、結論から言いますと、ちょっと言いにくいんですけど、文部省がサボタージュしたわけですね。それに対して、当時からあまり賛成していませんでしたから。具体的に言うと、先ほどのご説明にも出てきますが、私立学校の小学校、中学校設置にかかわっては、国は完全にネグっちゃっているわけですね。2ページに出てきますけれども。設置する場合には設置基準というのがあるわけですが、小中学校については国は知らんよということで、各都道府県でやってるという実態があるわけです。

 各都道府県には、私立学校の設置にかかわっては私学審議会という公的な組織ができていまして、そこと相談しながらという話になるわけですが、そうすると、これは自分の身内の恥をさらすようで本当にしょうがないんですけれども、要するに私学審議会というのは、私立学校関係者が中心になってつくられたんです。

 そうすると、自分と同じような学校がつくられちゃ困るというような業界擁護みたいな感じで、結論から言えば、つくらせないというような流れが非常に強く出るんですね。それを国がキチッと指導しなきゃいけなかったんじゃないかと思うんですが、いろんな事情でおやりになってないという流れがあったんです。これは、新しい学校を考えるときに、ぜひその部分は是正していただけないだろうか。現状で新しい学校は十分できるはずなんですよね。私立学校あるいは公立学校、石原さんのペーパーも現状についての意見だと思うんですが、できるはずなんですけれども、やってないという、その事態を変える提言はぜひ入れていただきたいと思うんです。

 そのことによって、具体的に言いますと、要するに私立学校がつくりやすくしてもらうような基準づくりを、国が先頭に立ってやってほしい。業界擁護みたいな私学審議会の動きに関しては、身内にいながら、やっぱりまずいと思うんですね。新しい学校をつくらせないというようなことで始めたら、そこは腐っていくわけですから、新しいものができていくという制度的な保証がなければ、活性化もしないし、競争もないし、新しいものも生まれないわけですから、ここのところをぜひ知っていただきたい。

 具体的に言えば、設置基準を明確にするということと、もっとはっきり言えば、もうすでに実態は動いているみたいですけれども、つまり府県がやればできるということなんでしょうね。廃校の校舎、校地をただみたいな値段、あるいは無償で借りて学校ができるという、こんなのはいまの法律違反なんですよね。私立学校で、高等学校でいいますと、学校法人立の高等学校というのは、校地、校舎は自分で持っていなきゃいけないということになっているわけですから、だけど、現実にはそういうことでやっちゃっているという実態がある以上は、これを全国的に推し進めていただきたい。それによって、新しい学校をやりたいなという人はできると思うんですよね。極端な話、駅前のビルでもできるようにしてやるといいと思うんですけどね。

 そんな感じなんですけど、そこの部分については、ぜひこの会で検討して、提案をしていただければと思います。文部省はうんと言うかどうかわかりませんけれども、それはあまり考えないで。

【金子主査】われわれは文部省の審議会じゃないですから、広く考えていいと思う。

【田村委員】ということなんです。ぜひご意見をいただきたいと思うんですけど。

【金子主査】ほかにご意見ございますか。もっと後でいいということはたぶんあまり異論はないと思うんですけれども。

【田村委員】自己責任ですからね。よくなきゃつぶれちゃうわけですから。

【上島委員】過去の流れとかよくわからないのでちょっとご質問させていただきたいんですけど、臨教審とかからの部分で、大きな枠組みの中で、学校の出席義務というか、その議論というのはあったのか。新しい学校とか、後ほど出てくるコミュニティ・スクールとか、私学をどんどん進めていくとかいう部分で、これはおそらく出席の義務というのはすごく議論をされないといけない。新しい学校というのは、どこまで単位をあげるか、小中学校を義務教育で卒業されるかというのは、過去いろんな議論をされたんですか。

【田村委員】出席に関しては、文部省の考え方はかなり柔軟になってきているんですね。ですから、ちょっとご説明しておいたほうがいいかもしれませんね。

【上島委員】あまり時間をとりたくないんですけど。

【田村委員】簡単に。どうでしょう。

【玉井審議官】出席義務というのは、要は学校に行くべき責務を負う、これは大原則でございますけど、現に不登校の子どもたちも増えておりまして、いま学校に行っていない、だけど、フリースクールのような形で、そこに行かれている。じゃ、それを全く知らないという形にするかどうかが議論になりまして、私どもとしては、学校に行くということが前提で、これは基本だと思います。

 しかしながら、フリースクールに行かれていても、一定の要件を満たしている場合には出席扱いという形で、学校に行っているものとみなそうという形で、いま少しやわらかく見てきております。ただ、公教育、先ほどちょっとかたいことを申し上げたんですが、国民としての一定水準はどこかで身につけてもらわなきゃいけない。これはやっぱりどこかできちんと残して置かなければならない部分だろうと思います。

 ですから、あとはバランス論だろうと思っております。

【上島委員】聞くところによると、校長先生の判断で、一日も来ていなくても、この人はいいんだと認めたら、ずっと出席していたということにするところと、かたくなに校長先生がノーと、絶対学校に来てもらわな困るというところは分かれているらしいですね。現実は。

 それをもっと出席の義務を柔軟にしていくと、コミュニティ・スクールとか私立の部分で、ある程度の卒業という基準をしっかりとして、システムを変えれればもうちょっと加速しやすくはなりますか。

【金子主査】フリースクールとか不登校のサポート校でも、きちんとしたものはコミュニティ・スクールとして認めていくというのは1つあると思うんですよ。

【大宅委員】そのかわり質をちゃんとしなさいよということですよね。逆に言うと、何もしてなくても卒業させちゃうということは変ですよね。

【金子主査】無認可保育園でもいいものもひどいものもあるのと同じように。

【大宅委員】だから、どっちかにしたほうがいいと思うんですけど。

【河合委員】ちゃんとあるわけですから、その水準はちゃんと守るということにしてもらわないと。

 両方あるんですね。片方は、水準と全く違うことを平気でやってしまう。片方はむちゃくちゃに詰め込み教育をするとか、それで評判をとられたりする。いまでもちょっとそういうところがあるわけですが。

 私のところは奈良県なんですけど、奈良県なんかは、私の子どもたちはみんな小、中、高と公立ばっかり行ったんですが、そのほうがかえっておもしろいというか、いろんな人もいるし、そのかわり、いわゆる受験学校みたいなのができると、そこにバッと人が行ってしまったりするとおもしろくないというか、そこでまた大変苦労する人もいるし、そういう点、下手につくっていくと、今度は公立学校のおもしろさが侵害される怖さがあると思うんですけどね。

 つまり下手すると、学校へ行かないようなそういう子ばっかり行ってるところと、むちゃくちゃ勉強するところとバッと両端みたいなものがとられて、公立学校というのはいろんな人がいておもしろいというところがなくなる気があるので、そこはよっぽどうまいこと私立学校をつくってもらわないと。

【田村委員】いまのお話で、もうちょっときめ細かくお話しさせていただくと、要するに学校へ行かないというのは2種類あるんですよね。いろんなことで行かない子と、学校そのものを認めないという考え方の人もいるわけですよ。シュタイナーなんてそうですね。いわゆる学校なんて制度はおかしいんだと。こういう人たちをどうするかという問題は、これは学校という制度では救えないわけですよね。要らないんだと言っているんですから、やりようがないわけですよ。お考えでやってくださいという話になっちゃいますよね。だから、ホームスクール、家でやるか、自分たちの考えでやるかということなんですね。

 だけど、行けない子に対しては手を差しのべなきゃいけないわけですね。その差しのべ方が、公立や私立では手が出せない部分があるのかどうかという問題があるわけですね。出せないのであれば、新しい形のものを考えざるを得ない。出せるのであれば、いまの制度をいろいろと工夫してやるほうが先決だというような話で、結論としては、活性化した学校をつくりたいという、そこに持っていきたいわけですね。提案は。

【大宅委員】義務なんですか。学校へ出席するというのは。どこかに明確に書いてあるんですか。納税の義務は義務だと思うんだけど、全然義務を果たしていない人もいっぱいいますよね。親が子どもを学校へやるのは義務だと思っているけど、その本人である子どもが嫌だと言った場合にも、首に縄をつけてでも出席させなきゃいけない義務があるんですか。それは国としては、国民にある程度の質が整っていてほしい。そうじゃないと国がうまく運営されない。それは国の立場からの。

【田中審議官】今おっしゃっていただいたとおりでございまして、義務教育は2つございまして、1つは先ほど私が申し上げましたように、小中学校については市町村に、盲ろう養護学校については都道府県に設置義務を課しております。

 それと同時に、学齢期の子どもを持つ親御さんに対して、その子どもを学校にやる義務、要するに学校を設置する義務と、親が子どもを学校にやらなければならない、この2つの義務が義務教育の内容でございます。

【大宅委員】だから、その昔は子守にしちゃうとか、女郎屋へたたき売るとか、そういうことになるとまずいから義務というのがあるので、いまはもう世の中は違うわけですよね。本人が悲鳴を上げて嫌だと言っているのに、義務だから行けと言っている、そのこと自身が不登校を生むのではないかと思っているわけ。行かなくてもいいんだよって言われたらものすごく楽に子がいっぱい出て、やっぱり学校っておもしろそうだから行こうというふうになるんじゃないかというふうに私は思っているんですよ。何でも行けっていうのは。

【河合委員】スイスなんかは、義務を怠っているというので、まず初めに警察官が来るはずです。

【藤田委員】 いろいろ言いたいことはあるんですが、不登校について言いますと、行きたくない子を無理に行かせる必要がないというふうに、その当の子どもがそういうふうに思えるような状況をつくるとか、そういうアドバイスをするということは私も重要なことだと思うんですが、世間一般に行かなくてもいいんだと言うような性質のものだとは思わないんですよね。

【大宅委員】 でも、行かなきゃいけないという、その硬直された抑制が、僕は行きたくないけど、どうしても行かないと、この路線から外れたら、この国では生きていけないと思っているから追い詰められるんだと思うんです。

【藤田委員】 この前のアンケート調査でも出ていましたけれども、学校をずる休みしたり、別に行かなくてもいい、本人の自由でいいというふうに答える高校生は、いまや日本では6割を超していて、世界でも一番高くなっちゃっているわけですよね。つまりそのくらいに、建前論の上では、行くか行かないかは本人の自由だというふうに答えるような子どもがふえているのが現状です。

【大宅委員】高校は当然そうじゃないですか。高校生の中退まで何で面倒見てやらなきゃいけないのかわからない。

【藤田委員】その意識というのは、高校生を対象にしたアンケート調査だからそうなっているだけであって、高校生になって突然そう考えるようになったということではない。小・中学校段階から徐々に形成されてきたと見るべきでしょう。ですから、必ずしも多くの子どもたちが、そういうプレッシャーにあえいでいるとか、行かなければならないという強迫観念に駆られているというふうに仮定すること自体、私は正しいとは思わないんですよね。

 欧米諸国だって、状況はそういう意味では同じで、それを、行く必要性はないことなんだというふうに殊さら我々が言うような性質のものではないと思うんです。

 そういうプレッシャーを抱えている子どもに対しては適切な助言、行かなくてもいいんだということも含めて、適切な助言をすることは大切ですけど。

【大宅委員】もちろんそうですけれど。

【藤田委員】ですから、そこのところを区別しないと、私は教育というのはよくならないと思うんです。

【大宅委員】ちょうどうまいこと全部、そこへストンストンといくとは限らないから、そういう選択肢もあるよというのが、日本人の常識の中に、端っこにあるのと、ないのとでは違うと思うんですよ。

【藤田委員】たとえば文部省もすでに、フリースクールをある程度容認してきているわけですよね。一定の水準を満たしたところには出席扱いとすると。そういった道があるということを公にアピールするということは私はしていいことだと思うんですよ。行かなくていいんじゃなくて、そういう選択肢もあり得るという情報を提供していけばいいことだと思うんですね。

【大宅委員】もちろんそうです。と同時に、行けないような学校をつくらないようにしなくちゃしょうがないですよね。

【藤田委員】ですから、そのためにどうするかということですが、先ほどの私立学校の問題で確認したいのは、ここに挙がっている吉備高原のびのび小学校にしても、かつやま子どもの村小学校にしても、ある種、先ほどから大宅さんも言われているようなことも含んだ理念を持った感じの学校ですよね。だけど、都会につくられる学校は必ずしもそういう学校とは限らなくて、河合先生も言われているように、ある種受験を売り物にしたり、いろんなタイプの学校があるということも事実ですよね。

 それで、先ほど廃校の校舎云々ということが紹介されましたが、そういう施設を無償で提供して、こういうタイプの学校をつくるということは、私はいいことだと思います。それも自治体の判断でやっているわけですから。だけど、私立学校をもっと駅ビルでもどこでもつくれるように言われると、じゃ、たとえば専修学校などが、私たちもそういう便宜を受けて小・中学校をやっていくと言い始めたら、それはどうなるのか、そこらへんのところをお聞きしたいんです。

【田村委員】設置基準を国が明確にするということは、それを担保するためなんですよね。つまり条件をできるだけ緩やかにして、実質的に学校がつくりやすくする。同時に、開校して運営している学校に対する、さっきからいろんな議論があるんですけれども、私はやっぱり学校評価というのをやっていくということが、これからの時代の流れだと思いますから、評価をキチッとできるようにしていく。それを担保するものを条件の中に入れていく。設置基準の中にですね。

 それで、あとは、これだけ知的水準が上がった日本国民なんですから、親がどういう学校を選択するかというのは親に任せればいいんじゃないでしょうか。そうでなければ新しい学校はなかなか生まれないですよ。すばらしい教育、こういうふうにしたいと思っても、現実にはできないわけですよ。いろんな条件があって。それができるようにしてやるほうがずっと意味があると思うんですね。

 それは現状の制度を利用して私立学校でやるという形にして、その内容に関しては、公表された形で、その学校の活動の評価を組み込んだ設置基準を考えるということで、具体的な学校の種類をふやす、新しい教育を担うような学校が生まれてくるということを保証できると私は思うんです。そうじゃなきゃ、いまの現状のままで、私立は自己防衛的で、公立は、いままでやってきたことで、公の金を使ってるということでガチガチに決められちゃっている。変わりようがないんですよ。学校は。

【金子主査】全体の状況としては、特に小学校はそうですけれども、私立がすごく少なすぎるということがあると思うんですね。ただ、藤田さんおっしゃるように、予備校なんかがどんどんつくっていいか。問題は設置基準の緩和ではないというふうに思っているんです。

 日本の行政は、許認可事業が、裁量によるものが多すぎる。準則というんでしょうか、エクスプリシットに基準をきっちりしたものを出して、それが満たされていれば基本的には認可するというふうになれば、いまの問題は解決すると思うんですね。緩和しちゃうと、要するにろくでもないものがたくさんできてきちゃう。

 法人をつくる際の考え方として、許可か認可か準則、あと自由設置というのがあります。公益法人は許可制です。財団法人なんかは。学校法人は認可制になっているんですけれども、条件があまりエクスプリシットではないんですね。

 学校法人や学校設立については要件をきっちり書く。その中で、それがエクスプリシットにちゃんと満たされていれば、基本的には認可をする。NPO法は特別法なので、認可制なんですけれども、かなり要件を明確にして準則に近い形にしていく。その程度にしてもいいと思います。

 さっきの吉備高原なんかも、たまたまそういう自治体があったからできただけであって、ほかはできるかというと、なかなかできないんですよね。じゃ、あいた教室があればどこでもいいかというとそうはいかない。その中間として、長期リースなんかも認めて、こうこうこういう条件があれば、基本的にはやっていいようというような準則主義に近い認可制にしたらいい。要件の明確化をして、裁量権をなるべく少なくするということで、いい私立学校というのが簡単に、簡単にというのは、何でもということじゃなくて、要件を満たせば設立できるということにしたい。

【田村委員】 金子先生のお話で私は問題ないと思うんですが、ただ、結果的には緩和になるのはどうしてかというと、いまの高等学校の例でいうと、設置基準というのは、地方で、たとえば土地だと非常に安く手に入ることを基準にしてつくってあるんですよ。東京のど真ん中じゃ、それは無理な話なんですね。ということは、結果的にはできなくなっちゃう。

【金子主査】資金の借入れとか長期リースについては大学並みにしてもいいんじゃないでしょうか。

【大宅委員】 つくらせないためにあれをつくったんじゃないですか。

【金子主査】大学はいま長期リースでいいんです。

【大宅委員】 3倍のえも言われぬ空間が要るんだって。ペンシルビルはいけないんだって。

【田村委員】だから、リースとかそういうのを認めるというふうにするとずいぶん変わるんですよ。これだけでものすごく変わりますよ。

 駅ビルというのはちょっと極端な話だけれども、つくった後の評価をちゃんと、私立といえどもちゃんと評価されるんだというふうにすることで、新しい学校が生まれることがずいぶん刺激されると思いますよ。そのことをやることが、まず最初、大事じゃないかなと。

【藤田委員】ある部分反対じゃないんですが、現にたとえば東京では、私立学校はかなり多いわけですよ。それで活性化していないんだとしたら、問題は何か。

【田村委員】それは小学校については言えないんです。

【藤田委員】でも、中学、高校は多いでしょう。

【田村委員】中学は多いけれども2割ですよね。でも、小学校は何パーセントですよ。

【藤田委員】2割あって活性化が十分ではない。では、5割になったら十分になるのか、3割になったら十分になるのか、1割だったら不十分なのか、そういう問題じゃないと思うんですよね。

【田村委員】でも、現状を申し上げますと、現状で2割になっている私立の中学校はもうふえないですよ。東京では。

【藤田委員】でも、それがあと1割ふえたら活性化したことに本当になるのか、問題が解消されることになるのか。

【田村委員】そうじゃなくて、全然ふえようがないという事態がおかしいということです。必要だったらふえていいはずですよ。だけど、おそらくいろんな条件を見ていて、私立の中学はもう東京ではふえないと思います。現実、認可されてる状態を見ていると完全にそうなっていますよ。

【藤田委員】そうだとして、私は先ほど先生がおっしゃられた審議会の縄張り意識というか、既得権益を守ろうとする、その構えを変えることが重要で、それを変えれば済む問題ではないか。

 評価にしても、ランニングコストの40パーセントも補助を受けているんですから、経理を含めてその運営はキチッと評価されてしかるべきでしょう。その文脈で評価を取り入れればいいんじゃないんですか。

【金子主査】問題は新陳代謝が少ないというか、既得権化しちゃってるところなんですよね。市場主義にするんだということじゃなくて、いいアイデアを持ったいい私学はもっと参入できるようにして、全体としていいものができるようにしておくということは重要です。それには私学審議会の構成をどうのこうのなんていう話じゃなくて。

【田村委員】藤田先生のお話大変よくわかるんですが、結局学校というのは、評価して、だめだからつぶすというのはできないんですよ。実際にそうですよね。

【藤田委員】そうです。

【田村委員】そうするとどうするかというと、生徒が来なくなればやめるよりしょうがないです。来なくなりゃやめるよりしょうがないということが、いま制度的に全くないんですよ。つまり新規参入がないから。そうすると、いつまでたったって、いい教育をできるような学校が再生産されて学校が活性化するという現実が生まれてこないということを私は考えるんです。

 だから、結局先生がおっしゃられるとおりだと思うんですよ。おそらく。だけども、じゃ、いまのままでやったらどうだというと、要するになくなる学校は生まれてこないですよ。なくなる学校がふえてもいいとは思ってないんですよ。思ってないけど、結果的には、この学校はなくならなきゃおかしいんじゃないかという学校も平気で残っていますからね。

【藤田委員】おかしいですね。

【田村委員】だから、それは現実としてあるんです。それはなぜかというと、新しい学校が生まれてこないからなんですよ。

【藤田委員】公立でもそうですけど、特に私学の場合に。

【田村委員】これは公私とも両方。

【藤田委員】公私とも同じだとしても、とりあえず私学に限って言いますと、私学が、仮に競争状態に置かれて、新規参入があって、認められるようになって、かなりコンペティシブになれば、確かにつぶれる学校が出てくると思うんですよね。

 だけど、それで本当に私学が、恒常的に新規参入が続くような状態を維持できるかというと、学校教育のマーケットというのはそういうふうには動かない。ですから、どこかでやっぱりだめになっていく学校が出てきて、だめになっていくことのたぶん半分は、どういう子どもが入ってくるかだと思うんですよ。あとの半分は、先生がおっしゃられるように、私学の場合には経営者の問題なんだろうと思うんですね。もちろん教師の問題もあるかもしれませんけど。

 そうすると、経営者が入れかわることによって学校の活力やよさが維持されるというような競争原理が機能し得るかどうかということが問題になるわけですが、私は、学校教育に関して言えば、マーケットはそういうポジティブな競争を維持するようなものではないと思うんです。一時的にはそうなるかもしれないけれども、ある段階に行くと、10年サイクルか何年サイクルかでそういったことを繰り返すというようなことになると思うんです。それは、言い換えれば、子どもたちが被害者になるような働き方をマーケットはしていくということです。これはたぶん公立でも同じだと思うんですね。

 これは論理的にはそう言えると思うんですが、実験するというわけにはいかないことです。ですから、経験的な事実から推測せざるをえないわけですが、たとえば1970年代にアメリカでは、いまチャータースクールは非常に注目されていますけど、当時は、オルタナティブスクールと言われるものが 全米で3,000校ぐらいできたと言われています。だけど、そのほとんどは残ったんじゃなくて、伝統的な学校に10年ぐらいで戻ったか、廃校になったかなんですよ。そういう経験的事実が、すでにアメリカでは歴史的な実験としてあるわけですね。それで、じゃ、アメリカの教育はよくなったかというと、だれもよくなったとは言ってないわけですよ。ですから、私はそういう自由に新規参入できるようにしたからよくなるとか、選択肢をふやしたからよくなるというものではないと思うんです。もっとオーソドックスなというか、堅実な方法を考えるほうがいいのではないかと思うんですね。

【今井委員】特に都会で、中学校が私立ということになると、これもやっぱり受験のほうに。これが小学校で私立がどんどんできてくると、またそこへ行くための選別(受験)みたいなのが幼稚園に降りてくる気がします。

 学校に行けない子どもたちが今増えているのも事実ですので、フリースクールが、いまの出席扱いとか、そこに行っていても、ある程度そこから、社会的自立ができる環境を整備して、そこの場を生かすというぐらいで、新たに私立を入れるということについては抵抗があります。

 というのは、保護者からすると、さっき、ビルの中での学校という話があったんですが、私は小学校のイメージというのは、広いグラウンドがあって、そこに保護者が出入りしたり、地域の人が出入りしてたり、そしてまた、子どもたちがそこで友達と触れ合って遊んでたりとか、そういう心の根っこを育めるような環境というのは確保されていないと、どこでも学校が自由化になったから、どこでも何でも、とにかく保護者の希望どおりできますよというときに、それがいいふうに働くのかどうなのかというところが、いまの親の場合を考えるとクエスチョンな感じがします。

 それよりも、現状の学校で、いま開かれた学校づくりを推進してますので、その中で、研究開発校みたいな感じの学校をつくっていって、地域との取り組みがどういうふうにできるかというようなモデルを作り取り組んでみればどうかなと思っています。

 たとえば、いまNPOの話も出たんですが、ちょっと話がずれるかもしれませんが、いまPTAの中で困ったことが起こっています。ある市でPTAを巻き込んで、NPOの法人化を、市民とPTAを中心にして、学校の中に参入していこうという話になるんですが、保健とか学校給食とかの食材とか、そういうのをやっていこうということで、表向きは学校教育の支援ということで言っているんですけど、裏にはいろんな政治とか、地域の民間の人の営利とか、そういうのが非常に裏腹にはらんでいて、OBというのは本当に縁の下の力持ちにならなくちゃいけないんだけど、それが牛耳ってしまうような形のものが認められてしまうと、私たちPTAは、学校を支える、学校の教育方針を理解して、子どもの教育効果を高めることが私達の原則なので、たとえ開かれた学校ということで、地域があれもこれもと思って、巻き込んでいくような形のスタイルをとるとなると、PTAは本来の活動をしにくくなってきます。文部省はNPOの法人をどんどん活性化し、学校支援も、していこうということだけど、そのあたりも、いま少し弊害の部分として、そういう問題の問い合わせが入ってきているので、NPO法人にするにしても、このへんをどういうふうにチェックしたらいいのかというのもまだよくわからないんですが、認定するにあたってはシビアな面も含んで考えてほしい。何もかもNPOがいいというわけではない。私もこういう問題が起こるまでは、市民運動としてどんどんやって学校を支えていけばいいと、また、地域から中に行けばいいと思っていたのですが、そのときに何かもう1つ核というか、信念みたいなものが要るなという気がちょっとしました。

 みんな地域に全部任せてしまうと、さっきも私立の業界擁護と言われましたけれど、みんなのエゴが絡んでいて。だから、そのあたりもすごく危険性を感じてます。

 私立を進めるというよりも、いまの公立の中で何とかできないかということを私は思います。

【田村委員】私立についてちょっと誤解があるので一言申し上げたいんですが、1つは、公立学校では、新しい教育に取り組むときになかなか難しい面があるということがあるんです。たとえば日本における帰国子女教育というのは私立がやったんですね。公立はなかなか取り組んでもらえなかったです。それは私立がやった。それから幾つも挙げられますね。大正時代にさかのぼれば体験学習とか、日本の新しい試験的な教育というのはみんな私立が最初にやるんです。いいと、公立がワッとやります。そういう仕組みがあるんですね。

 ですから、その部分は公立がどうしても制度上、間違いなくいいというんじゃなきゃやれないというところがあるんですよ。私立は自己責任でもって、親とともに新しい教育に取り組むといういい制度、いい仕組みがあるんですね。それを生かすという意味で、私立を生かさなきゃいけないというのが私の主張なんです。

 ただ、その際、生かすやり方は、既得権益の保護というようなものを前提に出したら私立のよさがなくなっちゃうから、それを競争原理を導入することで、新しい教育に取り組むという私立学校の活性化に対する活力を与える力を、この制度に導入して生かしたらどうだというのが考え方なんです。ですから、やっぱり私立がなくちゃ新しい教育は生まれてこないんじゃないかというぐらいに私は思っているんですよね。これが1点です。

 それから、中高一貫を受験競争だけでもって見ておられるんですけれども、これはお調べになるとすぐわかりますけど、中高一貫教育で受験競争だけやってる学校というのは、全部の中高一貫校のうちで1割ないんですよ。どういうところが多いかというと、要するに安定した教育、たびたびの受験をしないで済むという安定した教育を求めて中高一貫校に行くというところが多いんですね。高校受験で苦労したんじゃかわいそうだから、大学は本人の責任だから、じゃ、中高一貫に行かせようなんていうのも、率としちゃずっと多いんですよ。中高一貫教育だって、実は公立はやれなかった。長い間。それは義務教育との関係があってできなかったんですね。だけど、私立は、その難しさを乗り越えて、新しい教育を考え出して始めたんですよね。

 そのように、新しい教育というのは、私立という学校があるために生まれてくるという制度的な仕組みがあるんですね。だから、それはやらないと、なかなか新しい学校が生まれてこないと思います。公立だけでどんなふうにがんばったってなかなかに難しいと思うんですね。これは歴史が証明していることなんですね。

【藤田委員】いまおっしゃられたこと、半分そのとおりだと思うんですが、半分は異論があります。新しい教育方法を取り入れたのは私立だけではなくて、国立大学の附属学校も、大正期にはとくに目立ちましたが、ずいぶんやってきました。公立でもいろんな試み、とくに授業実践ではいろんな新しい試みをしてきました。だから、これは決して私立だからできて、ほかのところはできなかったということではなくて、私立も明らかにその点で貴重な役割を果たしてきたということだと思います。

 それから、中高一貫校のうち、進学のための受験準備教育をしている学校は1割しかないというのもたぶん事実だと思うんですが、もう一方で、増えている中高一貫校の中で、大学を持っている、要するに大学に接続している中高一貫校は何割ぐらいで、そして、そうでない、要するに高校までしかない中高一貫校で、受験を重視していない学校が何割ぐらいかということが重要だと思うんですね。たぶん大学を持っていないところはほとんど受験を重視しているんじゃないですか。それは、構造的にそういうふうになっちゃうんです。大学を持っているところは、中学校の入試が厳しくなりますよね。これはエスカレーターで上まで行けるんですから。もう一方で、受験準備教育をやってるところはエリート校として、これまた厳しくなるわけですよ。

 ですから、単に1割かどうかということはあまり関係ないと思うんですけどね。

【田村委員】だけど、それは私、全部知ってますから、すぐ言えますよ。大学につながっているか、つながっていないか、それから進学校かどうかというようなこと。

【藤田委員】たとえばミッション系とか。

【上島委員】NPOも、いいNPOがありますよね。環境を体験させたり。それはNPOのために言っておきます。だから、大いに開かれた学校は進めていくべきだろうと思います。きょうの新しい学校の議論は、私は大宅さんと、おそらく藤田先生の中間ぐらいのスタンスです。

【金子主査】藤田さんと大宅さんの間ということならみんなそうですよ。(笑)

【上島委員】お二人が特別で、われわれが中間だということです。

 ですけど、大宅さんに賛同できるところは、21世紀に、いままでお上とか公に全部任せていたのが、みんなが自由に選択できるという幅が実はあったんだというのを、国民会議ですから、日本の全体の国が、みんなが選択できるんだというメッセージが国民会議から出さないといけないと思うんです。

 だから、あえて出席義務、必ずしなくてもいいというようなことも、あえて、そんな選択の幅があったのということを、いまの親はほとんど、まだ小学校、中学校に必ず行かさないといけないと思っている親の意識から、実はもっと選択の幅はいっぱいあるんだよと。

【金子主査】たぶん似たような議論が、次のコミュニティスークルでもありそうです。

【大宅委員】 いままでの学校教育というのは、国の運営に楽な人材を育てる、または企業にとって有用な人材というような形、つまり管理する側からコントロールしやすいもの、だからパーツとして育てたわけですよ。

 いまは豊かになった。貧しいときはそんなことできなかったと思いますよ。当然それがうまくいったから、いまの日本がある。それも重々認めるんですが、1回しかない人生をどういうふうに生きたいんだと思ったときに、そのニーズに合った学校教育のサービスが提供されているかということ。されてないんですよ。

【田村委員】そのとおりです。

【大宅委員】 そうでしょう。それで、東京周辺の私立も、私たち子どものころは、あそこは不良しか行かないとこって、箸にも棒にもかからなかったような私立が、公立に行きたくないというだけで大人気になったわけ。私立というだけで、いまはもう全部いっぱいになってる。根っこは、公立が、われわれのニーズに合った教育サービスを提供していないということだと私は思う。

 いまうちの娘が子どもを産みまして、孫が1歳1カ月なんです。何を言ってるか。日本の小学校には入れられない、かといって、外国に移住するわけにもいかずと言って、インターナショナルスクールというのを言い始めたわけ。私は日本人であってほしいから、それは違うと思うと言うんですが、彼女は、少なくとも外国生活を体験した人の価値観とか自己主張とか自己責任、その人格そのものが全く違うと。日本だけでやってた人と。そこまで来てるんですよ。インターナショナルスクールの小学校の本が何冊も出てるわけ。みんなウエィティングリストでね。

【金子主査】幼稚舎どころじゃないですね。

【大宅委員】 幼稚舎どころじゃないんですよ。ニシマツスクールに入れるためにと言って、みんな、どうする、何年かイギリスに住もうかなんてすら言ってる状況。

【田村委員】ウエィティングスクールは 200人ですよ。

【大宅委員】 でしょう。そこだと思う。

【金子主査】 たぶん次の議論でも同じような議論が繰り返されると思うので、ちょっとまとめたい。僕は私学の人間なんですけれども、公平に言って、私学がいままでいろいろな日本の教育の多様な選択肢とか人材をつくってきた。それから、新しい学校をつくってきたことはたぶん異論がないと思うんですね。私学だけがということではないでしょうが。

 だから、それをやめろとか、いまのままでいいという議論はたぶんないと思うんですね。これ以上増やすなというのはおかしい。

 増やし方としては、1つには、さっきも言ったように、吉備高原とかかつやまのようなものが、自治体の裁量ではなくて、たまたまそういう担当者がいたからじゃなくて、条件が合えばできるようにしておくということが大事じゃないか。条件は厳しくしたほうがいいと思うんですよ。ただビルしかないようなところじゃなくて、子どもにとってよい、ちゃんと安全も確保して、条件はかなり厳しくするけれども、リースでいいとか、範囲を広げる。

【田村委員】教材もですね。

【金子主査】教材もですね。ただ、私学の場合には、よくない学校だったら生徒は来ないというメカニズムがあるので、どんどん変なのがふえちゃうということはない。すべてを私学にしようということじゃなくて、条件をきっちりとエクスプリシットにしていくということで、結果としては設置をしやすくなる。

 ただ、甘くするということではなくて、逆に言うと、条件をエクスプリシットにして。

【藤田委員】その点はたぶん異論はないと思うんですが、それをどういうふうに具体的にイメージすればいいのか。ここにあがっているかつやまや吉備高原のようなものを想定すればいいというならいいんですが、その条件を厳しくといっても、その厳しさの内容によっては、もっと無際限に拡大するということだってあり得るので、そうなったときに、それが本当にいいと言えるかどうか、私にはわからないんですね。

 ですから、その点で、もしこの国民会議で何らかの形でそういうことに言及するとするなら、いろんな新しい学校づくりの試みがありますということで、事例として紹介する程度なら私は賛成できますけど、それ以上の形で、ポジティブに、こうやったらいいというような提案だと、かなり細部を詰めないと。私は、国民会議の提案として、そういうある種特定のタイプを1つの理想型として出すことにはちょっと抵抗感を覚えます。

【金子主査】ご意見はわかりました。

【河合委員】理想型ではないですね。それとやっぱり、何といったって条件はちゃんとしておかないと、だれでもかれでもつくるとか、勝手につくられたら、これはたまったものじゃないと思いますね。それを私は一番心配しますね。

【金子主査】条件をきっちりしろと。ただ、裁量で、たまたま行政がいいと言ったからできたというのはおかしいと思うんです。

【河合委員】それはおかしいですよね。

【金子主査】僕は全員が賛成しなくてもいいと思っているので、「ただし」とか、「こういう意見もあった」という形にするつもりです。そういう形でもう1回、あと2回議論する時間があるので、そのときにゆだねて、今日は、この後私の提案を少し議論する。基本はいまの話の延長上です。大宅さんの話、上島さんの話の延長上なんですけれども、書いてきたものをごく簡単にですけれども、ご説明させていただきます。

 先ほどのペラの2枚目のやつです。絵が書いてあるやつなんですけれども、コミュニティ・スクールというのを提案をさせていただきたいと思っています。

 どういうものかというと、地域独自のニーズに基づいて、地域が運営する、地域のための市町村立学校という位置づけです。市町村が学校と地域学校協議会というのをつくります。名前はどうでもいいんですけれども、イメージとしては、イギリスの学校理事会とか、オランダの評議員会というようなことなんですけれども、地域代表をキチッと入れて。要するに市町村が、学校と協議会両方をつくって、学校が何をするかということに関して地域協議会との緊張関係の中でやっていくということです。

 従来の公立校とどこが違うか。基本的には市町村立の公立校なんですけれども、1つには、やりたいという意思を表明した校長及び運営スタッフが手をあげる、ないし公募に応募するというような形です。やるぞという人、元気な人、いろんなアイデアのある人が運営主体になり得るということです。NPOで勝手にやれということじゃなくて、市町村がちゃんと設置を決めて校長を任命するという形にしますので、おかしな者が入ってくることはないわけです。やる気です。たまたま校長になった人がやる気があったからというんじゃなくて、やる気のある人が校長をやるというところが大きく違います。

 教員採用ですが、基本的には、大事なのは校長と運営スタッフと教員だと思うので、校長と運営スタッフが教員をリクルートして自分で選べるという点も従来の公立学校と大きく違います。いまは県が全部やってるわけですから、それがだいぶ違う。

 それから、毎年、学校の運用計画をきちんと出して、それに対して地域学校協議会がきっちりとモニタリングをします。たとえば学習指導要領に関しては、日々のことは別にして、全体的にはちゃんとそれが充足されていることをキチッとモニターをする。評価はイギリスのオフステッドのような形で全国一律でやるんではなくて、その地域ごとにしっかりと、最低基準は満たしているというようなことはきっちりとやる。

 地域学校協議会はどういう構成かというのは、これはいろいろあると思いますけれども、たとえば校長と教員2名ぐらいですか、地域代表とか教育委員会の委員が全員ないし一部入ってもいいと思います。詳細は後で決めることですけれども、基本的にはいいかげんなNPOで知り合いばっかり役員にするというようなことはないように、行政の代表も入っているように、校長も意見を言えるようにということで、ここが責任を持って学校を評価していくということです。

 それから、教育委員会に向いているんじゃなくて、地域のほうに向いているということです。地域学校協議会でちゃんとチェックをしていくということで、内容のチェックは、いままで教育委員会がやってることを、学校毎に設置された協議会の地域の代表及び行政代表がやっていくということです。現制度ではできないので、これに関してはいくらかの法制度の変更をしなくちゃいけないのでしょう。

 地域でやるといっても大枠は国が定めます。たとえば地域学校協議会は、こういうメンバーシップでなきゃいけないよとか、学校の評価はこういう項目でなど、そういうことに関してはなあなあになっちゃいけないので国が決める。学習指導要領は従来どおり国が決めていくわけですね。毎日毎日のレベルで従うのではなくて、包括的に充足させるといういまの私学並みですね。全体で本当にやってるのということは、地域協議会がきっちりと評価する。しかし、これは年度の限定つきですから、もしやってなかったら、そこでもって校長がクビになったり、運営スタッフの総入れかえがあったりするわけです。

 評価の基準というのは、どんな項目をどういうふうにするかということに関しては全体として国が基準を決めたほうがいいのではないかと思います。

 どんな学校になるかというのは、これはその地域次第でやってみなきゃわからないところがあるんですけど、1つはスペシャルニーズへの対応ですね。いじめられている子とか、ゆっくりとやりたいというような子とか、茶髪の子ばっかり集めてもいいのかもしれませんけれども、このへんは私立はなかなかやりきれない。公立はいま、河上さんの弁を待つまでもなく、十分できていないわけですね。ですから、そのへんで市町村が、たとえばそういう子が 100人いたら1つ学校をつくろうかということで、やる気のある人がいれば、その人に任せて学校を作るということが1つあるんじゃないか。

 それから統合教育のようなこともあるでしょう。私立だとなかなかやりきれないので、こういうことをきっちりと最初からやろうというようなことが地域のニーズならそういう学校もあるでしょう。地域に開かれた学校も思い切って開きましょうみたいなことで、だれか言い出して、市町村がオーケーとなれば、それをやってみるといったようなこともあるでしょう。私立でも公立でもなかなかできにくい部分じゃないか。

 フリースクールのうちきっちりしたものを、この基準に乗っけてちゃんと学校として設置をしていく。わけのわからないところに行って出席と認めるということではなしに、いい所はコミュニティスクールとして認めていきましょう、市町村がニーズありと認めればいいんじゃないか。ITや英語でものすごく先進的なところを1つやろうというところも出てくるかと思います。

 これがコミュニティ・スクールの提案なんですけれども、これにいく1つ前の実験段階として、運用開発学校の制度というのをつくったらどうかというふうにも思っております。

 ご承知のように研究開発学校は、カリキュラムに対しての先進的なものを実験する学校で、一定の成果が上がってきたわけですけれども、学校の運営に関して、いまの法制度を変えないですね、たぶん学校管理規則ぐらいを変えて、いわばいまの学校評議員制度をもっときっちりとして、会として構成を決めて、学校の運営に実質参加する実験をするための運営開発学校というのを全国で、いまのような公募をしていいと思うんです。やってデータを集める。

 かなり厳しい基準はつくりながらも、スペシャルニーズがある場合や非常に新しい考えをやりたい場合、地元のニーズがあればやれるという風穴をあけておくということで、公の制度の中で、私立学校とは違う、公立学校の中での多様性、それからいろんなことを受けとめることができる学校を作れるようにするということが私の提案です。

 ディテールについては、私は専門家でないので、かなり穴があるかと思いますけど、大ざっぱに言うと、だれがやるか、だれが教えるか、どう責任をとるかというところを、いまの公立学校制度と違う多様な可能性を許す。公立学校が2種類できることになりますね。ただ、数は少ないと思います。各市町村に1つできるかできないかということになるのでしょう。うまくゆけばだんだんと広がってゆくはずです。私としては、こういったような形の、何か変わりそうだというアイディアを盛り込んでいくのが、第2分科会としてあったほうがいいかなということで提案させていただきました。あと20分ちょっとでございますけれども、ご議論いただければと思います。

【河合委員】 私立学校と公立学校の間みたいな感じなのでわかりにくいんですけど、責任というか、それはどうなるんですか。つまり公立学校であれば、こういうことを教える、こういうことをやるということがはっきり決まっていますね。この場合、そういうスタンダードというか、だれがそれをはっきり保証することになるんですか。

【金子主査】 学習指導要領をトータルで満たすようにします。

【河合委員】 それは国の指導要領を使う。

【金子主査】現行のものです。ただ、これこれを1年生でやるか、2年生で漢字を幾つ教えるかというようなことはなしで、全体として、ちゃんと卒業時までにはやるということです。私立学校は基本的にそんな感じで、いまやっているんじゃないかと思うんですよ。

 ただ、毎年、進捗状況については、協議会がきっちりとモニターをするということですから、クオリティーに関しては、いまの公立学校よりきびしくなる。

【河合委員】やる気のある人がやるわけですが、そういうときには、その人たちの資格ということは何も考えないんですか。

【金子主査】市町村が、ちゃんと経験があるのか、ただ言ってるだけなのかというのは審査をして、よろしいとなれば設置、任命することになります。公募制度に近いと思いますね。

【大宅委員】やりたいというのが大事だと思うんですよね。だれも手を挙げなかったら終わりの話で、1県に1つは必ず設置のことなんて話だと最悪だから。

【金子主査】地域によってできない可能性も大いにある。

【藤田委員】イメージとして、コミュニティ・スクールって書いてあるんですけど、アメリカのチャーター・スクールに近いように思うんですが。

【金子主査】チャータースクールも参考になります。

【藤田委員】地域当たりせいぜい1校か2校ぐらいだろうというお話でしたが、市町村立ということになりますと、もちろん大きい市では幾つも学校があるわけですけど、小さいところは学校の数は多くない。村立の学校もあるようなところもあるわけですから。実際にどんな学校になるのかという点では、スペシャルニーズのある児童生徒を念頭に置いた学校ということになると、小さな市町村が殊更につくるということはないと思うんです。むしろ統合教育や地域ニーズに基づいた学校というなら、あり得ると思うんですね。

 そうすると、これはアイデアの問題ですから、その地域の人たちや先生方がそう思えば、現状でもできないことはなくて、たとえば千葉の打瀬小学校とか、スタッフが変わればいくらでもそういうような実践は行われるわけですよね。問題は、この場合、教職員の採用は、その学校の校長や運営スタッフが決めるという点だと思うんです。そこが従来と全く違うということですね。

 学校協議会のほうは、これは違うといえば違うんですが、実質的にそんなに問題ではない。現在の延長線上にあるとも言えますし、私も、現行のシステムにそういうものを付け加える方がいいと言っています。

 そすると、もう1つの特徴は、当然、複数の学校があるような規模の市町村であれば選択制ということになりますよね。ですから、選択制だということと、教職員を、その学校で個別に採用するという、その点で、既存の公立学校と大きく違うんだと思うんですね。その場合に、選択制の問題はもう1つ別の問題ですから、いろいろ複雑になるからちょっと置いておくとして、問題は教職員の人事なんですが、これは公務員ということになるわけですか。

【金子主査】いま公務員の人はそのまま身分保証しますけれども、新規の者は有期で雇用してもいいと思います。非常勤はもちろん身分保証はないです。そのへんはよく詰めてないですけど。

【藤田委員】たぶんいまの時代ですから、私はそれでも希望者は来るだろうと期待していますけどね。

 だけど、問題は、こういう学校をつくるとして、さっき言われたように、この学校が飛び地のように、ほかの学校への活力、活性化の刺激になるようなものというふうに位置づけられたんですけど、私は、もしスペシャルニーズのあるような子どものための学校だったら、むしろこういう方式でやるよりも、県単位、都道府県単位でもっと積極的に、そういった適切な学校をつくるということを考えたほうがいいような気がするんです。

【金子主査】そこが違うんです。県に任せるのではなく自分たちでやるんですよ。基本的に違う。

【藤田委員】県単位でそういうスペシャルニーズを検討し、それを意欲のある人たちに自分たちでやってもらう。やりたい先生方に、現職の先生方にやってもらったっていい。

【金子主査】市町村じゃなくて、県立のコミュニティ・スクールがあっても構わないかもしれないです。同じ仕組みでね。

【藤田委員】構わないと思うんですよ。むしろそういうレベルで考えたほうがいいように思うんですね。逆に統合教育や地域に開かれた学校というようなものであれば、いまの公立でもできないことではない。

【金子主査】私がやりたいという人に何年間か保証して、その人がいいという教員を選んできてもよい。そのかわり結果はちゃんと地域でチェックするのか、県からの当てがいぶちの教員で、校長もいつかわるかわからないところでやるのか。全然違うと思うんです。どこを向いているか。たまたまいい校長が来たらいい学校になるというのではない。たまたまでなくやる気があればできるようにしたい。

【藤田委員】そうなりますと、ますますこれは矛盾をはらんでいる可能性があるように思えます。学校運営チームはある種、チャータースクールと同じように有志の集まりなわけですよ。ところが、地域学校協議会は有志ではなくて、その地域単位、しかも、これは市単位の大きい地域ですね。そういったところで、学校教育のあり方、子どもたちの教育のあり方をトータルに考えようとする団体ですね。その間の矛盾が表面化する可能性があるんじゃないですか。

 打瀬小学校だって、たまたま前の校長がいたからできたけれども、ほかの校長だったら、あそこまで大胆なことはできなかったかもしれない。つまり、その背後には教育委員会の考え方が重要な要素としてあるということになります。そうしますと、この学校協議会なるものが、そういう特殊な学校をつくろうというふうに考えるかが問題になるわけですが、小さな自治体単位ではその可能性は小さいと思うんです。ですから、内容的な目的を重視するなら、こういう制度をつくることで、有志が自分たちなりの学校をつくれるようにすることが重要になってくる。そうすると、これは実質的にはアメリカのチャータースクールと同じものにならざるをえない。もし、この学校協議会が、事実上、内容やいろんなことについて直接かかわり、規制をするということになれば、既存の教育委員会と学校との関係と同じになっちゃっう。そういうものを排除しようとしてはじめて、この学校運営チームの独創性なり工夫なりというのが生かされることになるんだと思うんです。

 ですから、そうなるとチャータースクールと同じようなものに実は近づいていくように思うんですね。

【金子主査】チャータースクールと同じで悪いという理由はないのではないですか。

【藤田委員】悪いという理由はないです。だけど、チャータースクールが持ってる問題性というのがやっぱりありますから。

【金子主査】問題がない学校はないですから。少しでもやる気をうけとめるようにしたい。人事については自分でできるということでだいぶ違うと思うんですよね。自分で集めた人員でもってやろうと。もちろん地域によって、要らないという地域はコミュニティスクールはできないんですよ。それはしょうがないんじゃないですか。全国でやれというのではない。やりたい、ニーズがある、やりたい人がいる、じゃ、やってみてくださいということで、そういう可能性をつくっておくか、つくっておかないかで違うんじゃないかな。

 確かに藤田さんが言われるような問題は起こりうる。しかし、それはある種緊張関係があるというわけですよ。運営者が自分の好きなようにやる私立と違うところですね。簡単に言えば、私立は、運営者が全部自分でやる。私立を選ぶ人々は、金を払ってそこに行く。それはそれでいいのですが、そうじゃなくて、これは地元で、自分で汗をかいて、みんなでやりましょうと言って、そのかわり授業料はただよということです。やる気のある人が、地元のニーズと合致したときにボーンとできてくるというような仕組みをつくりたいなというのが柱です。

【藤田委員】私は何が何でもチャータースクールに反対ということじゃないんですけど、もう1つ、地域運営開発学校のほうは、コミュニティ・スクールとの違いは何ですか。

【金子主査】これは現行制度の中で運用だけ地域参加でやってみようという試みです。

【藤田委員】強化するだけ。これは人事については現状のまま。

【金子主査】現状と同じです。試してみようということです。

 たとえば非常勤の枠を作って、非常勤は、校長が選ぶということがあってもいいと思いますけれども、制度的には現行のままで実験する。

【藤田委員】学校が申請して国が選定するという、要するに都道府県立ないし市町村立であることは従来どおりだけれども、指定は国が行うというんですか。

【金子主査】これは既存の学校が手を挙げるわけです。研究開発学校と同じです。すでに存在する学校の校長と先生がやりたいと言えば、地元と一緒にやってみようよということを制度化するということです。これは法改正は必要なくて、研究開発学校のほうがカリキュラムについてだったのに対し、運営方法について、既存の学校の制度の中でやってみようよということです。

【田村委員】藤田先生とは違った観点から、この問題について議論させていただこうと思うんですが、新しいものをつくって活性化していこうという考えは大賛成なんですが、ただ、これがチャータースクール的な話になっていくとなると、ちょっと問題が大きくなるんじゃないかという気がするんですね。

 アメリカでチャータースクールがうまくいって、日本ではうまくいかないという最大の理由は、日本には一定量の私立学校がすでにあったということ。アメリカではほとんど公立でやっているわけですね。私立はほとんどなかった。日本の場合は一定量の私立が現存しており、新しい教育については私立がかなり取り組んでいるという実態があるんですね。それを前提にしますと、この形でチャータースクール的に運営していくということになりますと、自分たちのやりたい教育を税金を使ってやるという話になってきますと、私立学校がいままでやってきたことは何だったのかという話になりますよね。

 自分たちがやりたい教育を、税金は一部使わせていただいていますけれども、設置から運営のほとんどは自前で苦労してやってきて、慶應もその代表ですけれども、とにかく自分たちのやることは自分たちでやろうというのでやってきた。一方、自分たちの好きなことを税金でやろうというと、どういう整合性があるのかという話になっちゃうんですね。

 ですから、この前、私、チャータースクールが自民党から出たときには、もうちょっと深く考えてほしいということを強く言ったわけですよ。なぜかというと、私立学校と公立学校という2つの仕組みで学校をやってきた、日本の国の学校教育の整合性みたいなもの、既得権益とかそういうんじゃなくて、整合性みたいなものをクリアしない限りちょっとできないんじゃないですかという話をしたわけです。そこのところがクリアにならないと非常に難しい問題が出てくるわけです。

 だから、どこかで私立じゃない、税金を使うということの納得性みたいなものを、この制度の中に仕組んでおかないと、いままでは公立がそうだったわけですね。税金を使う、そのかわりそんなに自由にできない。私立は税金を使う量が少ないからかなり自由にできる。その中間みたいなことができるのかという議論をする必要があるだろうし、そのへんのところをチャータースクール的になるということであると非常に問題が大きくなりすぎちゃうんじゃないかという気がしました。ですから、そこのところをもう少し深く考えていただく必要があるのかなという気がするんですよね。

 ただ、先生が新しい提案をしたいと、学校を活性化するために、その気持ちは私も大賛成なので、何か生かせないかなとは思いますけれども、チャータースクールは絶対、今のままでは受け入れられないですよね。つまりアメリカと違うわけですからね。日本のやってきている仕組みが。アメリカには私立がなかったんですよね。ないために、公立じゃできない、そこでチャーターという話が出てくるんですよね。だけど、日本ではやってるわけだから、その話との整合性がうまくいかなくなっちゃうんですよね。そこをどうするか。

 だから、さっき言ったように、私立もどんどん新しいのができるようにする、公立もどんどん新しいのができるようにする。

【金子主査】両方ないといけないと思いますね。私立の方は今のままにしておいて、コミュニティ・スクールを進めれば、公費を使って私立をつくるのかとなります。だから、さっき言ったような形で、私立も条件さえ合えばできるようにする。コミュニティ・スクールはもっと地域に向いて、スペシャルニーズないし特別なものをやる。これは情報公開も求められているし、地域学校協議会にいつもモニターされているという意味では制約があるわけです。

【田村委員】そこはどの程度の制約として受けられるかですよね。あんまり制約したんじゃ意味がなくなってくると思うんですね。だから、どうしたらいいのかなという感じが非常に強くするわけですよ。

【河合委員】スペシャルニーズというのが市町村と結びつかないですよね。むしろ。ある市町村だから、このニーズがあるとは言いがたいですよね。だから、それもちょっと難しい気がするんですけど、先生が何か新しいことをやろうとしている気持ちはよくわかるので。

【金子主査】もう少し広域に考えた方がいいということならいろいろやり方はある。

【藤田委員】設置は、県か市町村かはともかく、やっぱりスペシャルニーズということを中心に考えるならば、もっと広域的に、都道府県あたりで積極的に考えていったほうがいいんじゃないかという気がするんですね。

 もう一方で、金子先生のコミュニティ・スクール・カウンシルと、地域運営開発学校の、このアイデアは実は重なっていると思うんですね。

【河合委員】重なっていますよ。

【藤田委員】ですから、そこの部分については、私もこれに賛成でして、一つの提案として入れることができればと思いますが、もう一方で、有志が自分たちでやるという、ここの部分をどういうふうに制度的に実現するかという点については、もう少し詰めて考える必要がある。チャータースクールはある種の矛盾をはらんでいる。かといって、制度的にどういう形にできるか。

 この前も言いましたように、市町村というか、各学校での裁量の範囲を現状よりもさらに拡大する方向で、各学校が意欲的な試みをどんどんやれるようにしたらいいんじゃないかということは、私もその通りだと思います。

【金子主査】チャータースクールはもともと地方分権制の強いアメリカの制度ですから、そのままだと唐突です。いまの話でいうと、市町村なのか広域連合のようなものなのかというのはこれから考えればいいと思う。やる気のある人がちゃんと審査をされて経営を任されるということと、当てがいぶちじゃないということと、運営スタッフを自分で持って、教員は自分で選べる。そういうムーブメントをどこかでつくりたい。研究開発校じゃそういうことはできないですね。

【藤田委員】さっきから打瀬って何回も言いますけど、たとえば北条さんがあそこで10年ずっとやり続けるということであればもっと持続性を持ち得たかもしれない。ですから、このコミュニティ・スクールでは、スタッフを全部自分たちで集めるということに一つの鍵になるんだと思いますけど、現状でも、意欲的な校長さんほど、教育委員会と折衝して、自分の欲しい人を集めてきているわけですよね。もちろん限界はありますが。

【田村委員】裁量ですよね。

【藤田委員】金子さんは、それは裁量の問題じゃなくて、もっとオープンにして、ポジティブにやるべきだと。それは考え方としては非常にわかるんですが、学校の場合に難しいのは、既存のスタッフを奪い合うということになる。どこかの学校の先生を引っこ抜くというんじゃなくて、全く違うプールから先生が採用されるということであれば、それはある期間うまくいくかもしれないという気はするんですが、学校というのはどうしても、その学校1つがよくなったから、ほかの学校もよくなるという性質のものじゃないんですよね。

【田村委員】でも、そりゃ刺激にはなるんじゃないですか。

【金子主査】学校はゼロサムですか。ずい分と悲観的ですね。

【藤田委員】ある程度ゼロサムです。教員の配分という点では。だから、さっきから言ってるように、私立で、優秀な、いいと言われるような学校があったって、それが波及しないわけでしょう。

【田村委員】それはつぶれないからですよ。

【藤田委員】つぶれないからじゃないんです。ですから、自由裁量の範囲をもう少し拡大して、意欲のある校長さんや意欲のある先生方がもっと積極的にできるようにしたらどうかということなんですよ。1つの学校、あるいは少数の学校をそういうふうにつくるという発想じゃなくて、どの学校でもその気になればできるという条件整備をすべきだと。

【金子主査】風穴と考えていただいても結構です。あと5分なので、今井さんとか上島さん、大宅さん、いかがですか。

【今井委員】チャータースクールの件は、文部省のほうで説明を受けたときに、その地域に子どもたちがいられないぐらい学校が荒れているとかいろんなことを聞いて、なぜ向こうで保護者が本気で、学校を自分たちが建てようと思うぐらいの動機づけがあるのかなということについて、それを聞いてすごく納得したんですが、まず日本じゃ、保護者が本当にそういう状況におかれてないので、動機づけにつながりにくいのでは・・・。

 こういう形ができたとして、手を挙げて、やるという人たちが何人ぐらいいるのか・・・。これが学校としてペイできるのかなということも、先ほどおっしゃったように、 100人ぐらいと言われるとなかなか難しいかなという感じはするんです。

 思いはすごくよく、地域が主体的にやるという思いは私もすごくよくわかるんですけれど、そういう気がしました。

【上島委員】 運営のところ、校長先生なり運営スタッフ、また自由裁量、この幅を自由に、できるだけキチッとというのは私は賛成です。その後の、チャータースクールの仕組みとかコミュニティ・スクールの仕組みとか、専門的なことはちょっとわかりませんけれども、運営という部分では賛成です。国際競争力にさらされてないと、変化を嫌うんだろうと思うんです。私達の産業界というのは、国際競争力にさらされているところは相当変わっているんです。

【田村委員】この仕組みの中で何か生きないかなと思って悩んでるんですけど、ただ、チャータースクールになっちゃったら、私立学校に説明をどうするかですね。私立学校は戦後一生懸命やってきて、新しい教育をやってきたわけですよ。自前で努力して。これが権限になっちゃいけないし、既得権益になっちゃいけないと思いますから、それは直すべきだと思いますけれども、じゃ、こういう制度がポンと出てくる。私立を全部これに切りかえろという話になりかねない話になりますので、そこのところの整合性をどうやるかという非常に難しい問題がここに含まれてくる。

【金子主査】私立学校については、私立学校が十分な条件さえ満たしていれば、いまよりもはっきりとつくれるということさえ担保しておけばいい。今まで競争でやってきたわけですよね。何ら恐れることもないと思うんですよね。公立学校で、たまたまいい学校はたくさんあるわけですから。たまたまじゃなくて、もう少しそれがだれでも手を挙げればできるようにして、私立学校については、私立学校の設置自体をもっと緩やかにというか、さっき言ったような形で明示化していきさえすれば十分競争力が、いままでもあったと思うし、これからもあるということで十分だという気がします。

【田村委員】その際、設置の問題が確かにありますよね。それから運営費の問題も出てくるわけですね。ですから、私立学校が選択できる話も出てくる話じゃないかという気がします。

 この手の学校がいろいろ考えなきゃいけないと思うのは、親に対する姿勢というのがありますよね。基本的に、まず第1に。

 2番目に、これは話をしていて気がついたんだけど、学校評価を公にしても、これは藤田先生おっしゃるように、評価が悪いからつぶれるということはないんですよ。だけど、生徒が来なくなりゃつぶれるんだから、私は悪い学校はつぶしたほうがいいと思っているから、生徒が来なくなるという仕組みにするには新規参入を認める。公立も私立も。というやり方でないと活性化しないんじゃないか。

【金子主査】大宅さん、一言何かありますか。

【大宅委員】 お金の問題は確かに難しいなと思って、金子先生、そこをどうなさるのか。いままでの私立の努力はどうしてくれるんだと言われると。

【金子主査】私立学校にとって、公立学校がよくなってほしくないというのはおかしいですよね。

【大宅委員】 そうじゃないんですけど、似たようなことを、それこそ自分の発意でやる。私立学校は自前でやる。今度新しくできるのは税金でやるというのはなぜという。

【金子主査】私立は自分自身で評議員会を持って、そこで、自分の考えを実践してゆくわけですね。こちらは地域を説得しなきゃいけないんです。考えに共鳴するのか、それとも自分たちで学校をみんなで一生懸命つくるのかというところが違いがある。

 時間が来ました。

 石原さんの意見は、僕のほうで先ほどサッと見たんですが、今までの研究開発学校の枠組みを広げて、中学校区で応募できるようにしようというものです。小学校、中学校が一貫して、それに地域指定を受けるようにしましょうという意味では、いままでの研究開発学校よりはもうちょっと新しい枠組みの提案で、これは次回、石原さんが来たら説明していただきましょう。

 石原さんのペーパーの3枚目は、コミュニティ・スクールは、公立学校としての設置は困難だ、私学でやったほうがいいというご意見です。

 きょうは、最初のところの私学のところの議論が少し膨らんでしまったために必ずしも十分に時間を取れなかったんですけれども、一応今回までのところで、主査、副主査でメモをつくらせていただきまして、次回は具体的提案を少し詰めるということと、さっき申し上げました、現状の親の不安を解決するために何か提案をしていくのかというところで議論していただいて総括をするということにさせていただきます。

 場所が三田のほうですので、お間違えないようによろしくお願いします。

 ありがとうございました。