教育改革国民会議

教育改革国民会議第2分科会第6回議事録



教育改革国民会議 第2分科会第6回・出席者一覧
(敬称略)
 石原 多賀子金沢市教育長
 上島 一泰社団法人日本青年会議所会頭
 大宅 映子ジャーナリスト
(主査)金子 郁容慶應義塾幼稚舎長
 河合 隼雄国際日本文化研究センター所長
(副主査)田村 哲夫学校法人渋谷教育学園理事長
 藤田 英典東京大学教育学部長
(座長)江崎 玲於奈芝浦工業大学学長
 今井 佐知子社団法人日本PTA全国協議会会長

教育改革国民会議第2分科会第6回議事次第

日 時:平成12年7月10日 (月) 14:00〜16:00

場 所:三田共用会議所 第一特別会議室

  1. 開 会

  2. 討 議
    • 「具体的な提案」のうち、教育方法・授業内容等について
    • 「新しい学校の試み」について
    • 「全体の方向性」について
    • 「具体的な提案」のうち、これまで審議された事項について

  3. 閉 会

【金子主査】それでは第2分科会第6回を始めたいと思います。ほとんど週1ぐらいのペースで、いよいよあと、きょうを含めて2回、来週でおしまいということですので、引き続きよろしくお願いしたいと思います。

 最初、配付資料の説明をお願いします。

【銭谷教育改革国民会議担当室長】それでは私のほうから、本日の配付資料についてご説明申し上げます。

 配付資料1は、本日の議事次第でございます。配付資料2は、前回、主査から各委員にお願いしてお出しをいただきました、「委員より提出された全体の方向性に関するスローガン(標語)の案」でございます。

 なお、大宅先生はただいまお持ちいただきましたので、後ほど主査からお話があろうかと思います。

 資料3は、学級編制等に関する資料でございます。資料4は、「個に応じた指導についての学習指導要領における記述」に関する資料でございます。この資料3、資料4につきましては、その場面になりましたときに、文部省の田中審議官、玉井審議官からご説明をさせていただく予定になっております。

 あと2つございまして、「取扱注意」と書きました、「教育改革国民会議第2分科会『まとめ』草案(概略)(主査メモ)」という資料でございます。これにつきましては、後ほど主査からご説明があろうかと思います。

 最後は、前回、石原委員からお出しをいただきました資料につきまして、本日は石原委員からご説明をしたいということで、本日もお配りをさせていただいております。

 本日ご用意いたしました資料は以上でございます。

【金子主査】それでは、あと2回ということなので、きょうどんな形で進めたいかということをまずお話しして、そのスケジュールを念頭に置いてご発言いただきたいなと思っております。

 いままでA、B、Cと言っていたBの具体的提案のうち、教員について、それから学校の評価についてはかなり議論いたしました。まだ最終的になっておりませんが。その項目で、もう1つは教育方法とか授業内容とか、休暇の制度とか、コミュニティとの連携とかということに関してはこれまでほとんど時間を使っておりませんので、きょうはこれを中心にお話をしたいと思います。特にこれは国民会議がもともとできた、親の不安とかいじめの問題とかとかなりかかわってくるので、これはきょう十分にお話しいただきたいと思っています。

 その後で新しい学校について、前回、私のほうで提案をいたしまして、そのときに研究開発校を地域で受けるという提案が、石原さんのほうから出ておりますが、それをご本人がいらっしゃらなかったので議論しておりませんので、これについてご説明いただいて、その周辺の議論ができたらと思います。

 全体の方向性ということで、A、B、CのAの部分、スローガンの部分で、これのリストが出ておりますので、各自説明をしていただいて、どのようにして決めていくかということに関して、きょう話し合いたいなと思っています。

 それが、もし時間内にできましたら、具体的提案のうち、これまでかなり議論された教員の問題について、学校の運営についてということを少し議論していきたいと思います。

 先ほど事務局のほうから、取扱注意をと言った草稿なんですけれども、これまでの第2分科会のまとめです。これは企画委員会で5枚程度にしようとなっていますので、それを念頭に置いて、これまでの議論を私なりにまとめたものを、副主査の田村さんに確認をしていただいて、この段階では草案ということです。イメージがあったほうがいいなと思うので出しましたが、きょうはこれを議論するというより、このうちの、いままで議論しなかったものについて主に議論して、そこができたら、来週までに、この草案のもう少し全体的なものを、また田村、金子でまとめて、来週の月曜にお出しする。来週は、それを見て、ここを少しこうしようとか、これは抜けてるというようなことで。来週の終わりまでにはまとめをつけなければいけませんので、きょうはこれの、まだやっていない部分をご議論いただきたいと思います。

 全体で2時間で、いま4つぐらいトピックがありました。具体的提案の教育方法、授業内容がメインですけれども、これは半分ぐらいで切り上げてと思っていますので、それを念頭に置きながらお話しいただきたいと思います。

 それでは、さっきの「まとめ」の3ページ目を見ていただきまして、B−1は来週、チェックしていただくんですけれども、B−2は学校全体について、B−3で、3つの山として、授業内容と教育方法についてのことです。ここに書いてある項目は、これまで出ていたものの一部を出しただけでございます。これに限らずですけれども、ご議論をいただければと思いますので、しばらくは少しフリーディスカッションで、これにかかわることをお話しいただきたいと思いますけれども、何か事務局のほうで説明ありますか。

【田中審議官】資料3について若干ご説明させていただきたいと思います。

 まず1ページ目でございますが、「公立小・中学校の設置者別収容人員別学級数」というところでございまして、ご案内のとおり、現在、学級編制は、同一学年の児童生徒数で編制するのが原則でございまして、その最大限が40人となっているわけでございます。したがいまして、1学年が40人以下の場合には1学級に、41人になりますと20人と21人になるというような学級編制が行われております。また、小学校の場合でございますと、2学年合わせて16人以下、1年生が含まれる場合には8人以下の場合、中学校の場合も、2学年が8人以下の場合には複式学級が編制されているわけでございます。

 そういうような状況のもとで、そこにございますように、小学校では20人以下の学級が19.1パーセント、21人から30人が31.6パーセント、31人から35人が29.9パーセント、36人以上が19.4パーセントとなっているところでございます。

 中学校も同じように、20人以下が 9.2パーセント、21人から30人が 8.9パーセント、31人から35人が32.8パーセント、36人以上が49.1パーセントということで、中学校のほうは規模が大きいもので、やっぱり36人以上の学級が多くなっているところでございます。

 なお、これで全国平均で申し上げますと、小学校では平均が27.2人、中学校では32.4人となっているところでございますけれども、これは県によって非常に違うわけでございまして、小学校では、一番多い県を申し上げますと、そこに書いてございませんが、31.1人ありまして、一番少ない県の場合は1学級平均が20.1人となっておりまして、11人の開きがございます。

 中学校では、一番多い県が34.6人、一番少ない県は25.3人ということで、やはり県によって9人の差があるというような状況でございますので、各県によって状況が異なっているということも言えると思います。

【金子主査】最大のところの県はどこになりますか。

【田中審議官】最大は埼玉県でございまして、一番少ないのが高知県でございます。

【金子主査】小、中両方ともに。

【田中審議官】両方ともそうでございます。

 2ページ目が主要国の学級規模の状況でございまして、そこにございますように、日本以外の国では、ほぼ1学級当たりの基準というのは25人から30人程度となっているところでございます。したがいまして、1学級当たりの児童生徒数もやはり日本が多くなっておりますけれども、教員1人当たりの児童生徒数で見ていただきますと、まだ我が国が若干多くなっておりますけれども、欧米諸国にかなり近い数字になっているところでございます。

 3ページでございますけれども、今後の教職員定数の改善に関する基本的な考え方につきまして、これは平成12年5月19日に文部大臣が記者会見で表明されたものでございます。学級編制や教職員定数につきましては昭和33年に、いわゆる標準法という法律を制定いたしまして、学級編制の上限、それから各都道府県に置くべき教職員の総数の算定方法というものを法律で規定いたしまして、これを年次計画に基づいて改善をしてきているわけでございます。

 そして、現在は第6次の改善を、平成5年から8年間で進めてきたわけでございまして、本年度、この第6次改善計画が完成したところでございます。そこで、来年度から新たな改善計画をスタートさせたいということで、その基本方針につきまして、この5月19日に文部大臣が表明しているところでございます。

 その内容は、そこにございますように、今後5年間で児童生徒数が約60万人減少するわけでございまして、これに伴いまして、放っておくと、教職員定数が2万数千人減少していくわけでございます。したがいまして、基礎学力の向上を図り、学校できめ細かな指導を実現する観点から、平成13年度から平成17年度までの5年間でこれと同じ程度の教職員定数を改善したいというのが基本方針でございます。

 このとき文部大臣、2万 3,000人程度と申し上げておりますけれども、現在、自然減がどのくらいになるのか、事務的に精査をしているところでございます。そして、この2万数千人を改善させていただきますと、教員1人当たりの児童生徒数はまさに欧米並みの水準となるわけでございまして、現在、小学校の場合、教員1人当たり児童が19.3人でございますけれども、これが18.6人になり、中学校も16.7人が14.7人に改善されるわけでございまして、アメリカ、ドイツ並みになるわけでございます。特に小学校で、イギリス、フランスは、教員1人当たり児童生徒数が日本より多いような状況になっているのは、前のページの資料のとおりでございます。

 また、これを改善することによりまして、たとえば基本3教科につきまして、小学校について言えば、国語と算数と理科、それから中学校では英語と数学と理科につきまして、20人程度の学習集団を設定しての授業が可能になる。これは2学級に1人先生が加わって、2学級を3つのグループに分けて教育を行うことによって、20人程度の学習集団を編成することができる。

 次のページをあけていただきますと、この定数改善と同時に、中教審の答申を踏まえまして、関連する制度改正を行いたいと考えておりまして、現在は一定の学級編制、40人学級でございますけれども、この学級編制によりまして教職員定数をはじき、その教職員定数まで、国が給与の2分の1を国庫負担するという制度をとっているところでございますけれども、このこと自身はこれからも維持することといたしまして、ただ、その国庫負担定数を活用してどのような学級編制をするか、都道府県がある程度弾力的に決めることができるようにしようというような弾力化をしたいと考えているところでございます。

 それから2つ目といたしましては、総合的な学習の時間をはじめ、多様な教育活動の展開に対応いたしますために、教職員定数を活用して、非常勤講師等を採用できるようにしようという制度改正を考えているところでごさいます。

 現在、県費負担職員と申しますのは常勤の教職員でございまして、常勤の教職員について都道府県が給与を負担し、その2分の1を国が負担しているわけでございますけれども、たとえば初任者研修の非常勤代替でございますとか、免許外教科担任の教員を解消するため、あるいは社会人の活用やあるいは学級崩壊に対応するための非常勤講師の配置といったものにつきましては、現在も国が都道府県に補助金を出しまして、都道府県が非常勤講師を採用いたしまして、その人たちを公立の小中学校に派遣するという事業をやっているわけでございます。

 したがいまして、このような事業を国庫負担の中でできるようにすることによって、さらに各都道府県において自由に、こういう非常勤講師の活用ができるようにしたいという改正を考えているところでございます。

 以上でございます。

【金子主査】これはこの間、文部省の懇談会か何かで出たやつですね。

【田中審議官】そうでございます。

【金子主査】これは人事に関するので、市町村じゃなくて都道府県で決めるということになるわけですか。

【田中審議官】はい。したがいまして、先生のご質問の中には、どの人をお雇いになるかということは、これはたぶん市町村の教育委員会なり校長先生と十分お話し合いになって、地域の人材を活用することが大事でございますので、任命する人、給与を払う人は都道府県でございますけれども、その人選に当たっては、地域の実情に合わせて人を選ぶことが大事だろうと思っております。

【金子主査】ポリシーは、でも、県単位で決めるとなるわけですね。

【田中審議官】そうでございます。

【金子主査】埼玉31.1で、ちなみに東京は幾つか、おわかりになりますか。後でもよろしいですけれども。

【田中審議官】東京は小学校は29.7人、中学校が33.5人でございます。

【玉井審議官】お手元の資料4について端的にご説明させていただきます。

 従来、日本の場合の教育の具体的な指導方法というのは、1人の先生が黒板を背にして、教科書を持って一斉指導するという非常に整然とした指導法がとられてきたわけでございまして、それはそれで非常に意義のあることであろうかと思いますけれども、子どもたちが多様になってきた、こういう時代において、なかなかそれだけではうまくいかない。むしろ一人ひとりに着目して、それぞれの理解度とか、あるいは興味、関心、そういうものをもっと大切にした指導方法をやっていこうということでございます。いわば指導方法の多様化、弾力化を進めているわけでございます。

 その考え方の基本にあるのは、「個に応じた指導」という考え方でございまして、それがいまお手元の資料4にございます小学校、中学校、高等学校、これは新しい学習指導要領、すでに移行措置に入っておりますけれども、小中学校は平成14年度から全体的に実施する、高等学校は平成15年度から実施する、こういう学習指導要領の内容を抜粋をしております。

 小学校をごらんいただきますと、下線をつけておりますけれども、個別指導やグループ別指導、繰り返し指導、教師の協力的な指導、教師の協力的な指導というのはT・Tになるわけでございますけれども、こういったもので改善を工夫し、個に応じた指導の充実を図るということが基本的な発想でございます。

 もう少し中身は後でご説明いたしますけれども、これに対して中学校の場合には、似たような発想なんですが、個別指導やグループ別指導に加えて、学習内容の習熟の程度に応じた指導というのが、これは小学校に比べて加わっております。教師の協力的な指導などで工夫をして、個に応じた指導の充実を図るという発想でございます。

 その下の高等学校でありますけれども、下線部を申し上げますと、個別指導やグループ別指導、教師の協力的な指導、それに生徒の学習内容の習熟の程度等に応じた、その後に、弾力的な学級の編成という言葉が、これまた高等学校の場合に加わっているわけでございます。それによって、個に応じた指導の充実を図るということでございます。

 要するに高等学校の場合ですと、たとえばかなりの高等学校がこういう形をすでにとっているわけです。つまり数学とか英語というのが一番典型でございますが、かなり差がつきやすい教科でございます。したがって、クラス、数学の時間とか、あるいは英語の時間については、そもそもクラスそのものを、いわばコースといいますか、分けて教えていくというやり方が、弾力的な学級の編成でございます。

 もちろんほかの教科においても、個別指導とグループ別指導、それは充実を図られているわけでございますけど、一番わかりやすいのは、いま申し上げた、クラスそのものが、数学とか英語など特定の教科によってはそれぞれ分かれて指導がなされるというやり方でございます。

 中学校は、先ほど申し上げましたけれども、学習内容の習熟の程度に応じた指導でとどまっていて、弾力的な学級の編成までは入っていないのは、要はこれは義務教育段階ということもございまして、したがって、ここでは基本的なクラスは変えない。しかしながら、それぞれ教科によって、あるいは単元によって、進んだ指導を行うコース、もう少しがんばろうというコースに分けるということができるという形にしているわけでございます。場合によってはクラスを若干越えてやる場合ももちろんございますけれども、クラスは基本的には同じにして、内容によって分かれていく。今全国でどれくらい行われているかですけど、客観的な数字でございますが、約3割ぐらいの学校がこういう方法を取り入れております。そのやり方というのは、1つのクラスの中で、たとえば3つのコースとか、あるいは2つのコースに分けて、教科によって行っていく。これがまさにT・Tなんかも活用しながらの例になってくるわけでございます。また、学校によっては、2つの学級を3つのコースに分けてやるということも行われております。

 小学校の場合でございますと、いま申し上げた、学習内容の習熟の程度に応じた指導というところまで入っていないんですけれども、これはまた小学校という発達段階に応じた発想でございますが、クラスの中で、やはりグループ別学習とか、あるいは繰り返し指導とか個別指導といった形で、理解の程度に応じた教育が行われておりますし、場合によっては、クラスの中でグループによって分けて指導する。そんなに多くはございませんけれども、やはりよく出るのは算数と体育の授業が少しコースに分けているところが見受けられる。もちろん、場合によっては1単元、単元だけですから、単元だけは、3つのクラスを、少し習熟に応じて指導するという場合もございます。

 いま申し上げましたように、要は小学校、中学校、高等学校、それぞれの発達段階に応じて、それぞれにふさわしい個に応じた指導の工夫をしているところでございます。その下の2ページ、3ページは、いま申し上げたところをより詳しく解説をしているところを抜粋させていただいた。最近これが活発になりましたのも、やはりT・Tという形で、教員の定数の充実が図られてきた。あるいは前回のここでの議論でも、ある学校のオープンスクールの例がお話しになられたと思いますけれども、施設についても多様な指導方法がとり得る条件も整備されてきた。おそらくこれはさらに強化されていくんじゃなかろうかと思っております。

 こういう形で、今後とも私どもは、個に応じた指導の充実を図ってまいりたいということでございます。

 以上でございます。

【金子主査】ありがとうございました。では、いまのことも念頭に置きながら。

 繰り返しになりますけれども、国民会議ができた経緯としては、国民の不安とか、いじめとか学級崩壊ということが、幾つかの理由のうちの1つの主要なものになってきます。それを念頭に置いていただきたい。最初は少し自由ディスカッションでどんどん意見を出していただきたいと思います。よろしくお願いします。

【藤田委員】資料3の主要国の学級規模の一覧ですが、確かに教員1人当たりの児童生徒数というのは、日本の19.3とか16.7、14.5というのは何回も聞いている数字なんですけれども、これはフルタイムの教員の数ですよね。ということは、各学校にはこれだけの教員が配置されているということになるわけですね。

【田中審議官】そうでございます。

【藤田委員】フルタイムですよね。

【田中審議官】フルタイムでございます。

【藤田委員】もう一方で、たとえば用務員とかはどんどん減っていますよね。最近のことではないかもしれませんけど、この何十年間に、学校における用務員さんとか、そういうスタッフは減っていますね。

【田中審議官】いまその資料は持っておりませんけど、確かに例えば警備につきましてはこれが機械警備になるというようなことにより学校用務員の数は減っております。

【藤田委員】教員数に限れば実態としてはずいぶん改善されているのに、現場では、改善されているという感覚がないように思うんですが、どうしてなんでしょうね。

 確かに1学級当たりの児童生徒数の平均は小さくなっていまが、地域による差も大きい。埼玉や東京など首都圏は総じて大きいわけですし、大規模校であればあるほど、1学級当たりの児童生徒数が大きくなりすよね。これは当然だと思うんですが、こういう数字は、実際のところ、都道府県によって問題がずいぶん違うということを示しているとらえればいいのですか。たとえば高知は一番小さいという話でしたけれども、高知の教育改革はずいぶん注目されているようですが、実態はどうなのか、小さいところは教師にゆとりがあるんですか。

【田中審議官】いまのご質問なかなか難しいので、お答えに窮しているんでございますけど、私も香川県で3年間、教育長をさせていただいていたときにやっぱり先生方が一番申しますのは、非常に多忙感があるということでした。何が大変かと聞きますと、1つは書類を一生懸命つくらなきゃいけないとか、学校運営を近代化しようということで、校務分掌が複雑化されすぎ、様々な委員会や部会がおかれ、これが週に1回あるいは月に1回ずつ会議をやらなきゃいけないから、「先生、いまから会議があるんだ」というので、子どもが相談に来ても、なかなか相談にのることができないといったことがあげられました。

 そういうお話を聞きましたので、私、教育長のときに、そういう校務分掌を見直して、学校規模はどんどん小さくなってくるんだから、いままでいっぱいあった委員会等を少し減らして簡素化したらどうですかという提案をさせてもらいました。

 それから、特に小さい規模の学校においては、研修で、各学校から1人出てこいと言われたら、時には授業をカットしていかなければならないようなこともあるわけでございます。したがいまして私どもは、研修については、教員のライフステージを通じて、適切な時期に適切な研修ができるように研修計画をつくることによって、各学校割り当ての研修なんていうのは減らすべきではないかとか、そういうふうにいろんな工夫をしているわけでございます。

 やはり先生方が本当に子どもと直接触れ合う時間をきちんと確保していくことが重要だろうと考えております。

【藤田委員】ぜひそうしてほしいですね。

【政策課長】1つの事例でございまして、別の事例も、いろいろ県によって状況も違いますので、私は別の県の事例を簡単に申し上げます。校務分掌でむしろ決まっていないことによって、非合理的な、みんなでもうちょっと合理的に運営すればうまくいくところを、全部全員合議制でやるというようなことによって、非常に時間的、労力的コストがかかってしまう。あるいは特定の教員だけに仕事が集中するようなことになってしまうというような面も地域によってはあろうかと思います。

【藤田委員】いずれにしても、双方のご説明それぞれに当たっていると思うんですが、要は学校教師の仕事をもっとスリム化する必要があるということでしょうね。

 学校は子どもの教育面でスリム化するんじゃなくて、子どものことには最善を尽くすことができるように、教師の仕事をスリム化する必要がある。もちろん、それでもやらなければいけない仕事はあるわけですから、校務分掌にしても合議制というやり方にしても非合理的な面も少なくないでしょうから、それはそれで、校長のリーダーシップとか決定権をどういうふうにするかということを含めて考える必要があると思うんですが、それにしても、やっぱり何かをスリム化して、これだけのスタッフが子どもと過ごせる時間をもっと持てるようにしたほうがいいと思うんですけどね。

【江崎座長】これは大学でも研究者でも同じなんですが、アシスタントというのが日本では非常に少ないということですよね。

 たとえばアメリカあたりの小学校に何人いるかといったら、ファカルティメンバーはハンドレッド、それにアシスタントが30人、アシスタントというものは、セクレタリーとかそういう人たちが含まれているわけです。

 ですから、こういう単純な比較では日本が大変いいように思うんだけど、もしセクレタリーがいない、セクレタリーの役までも先生がやっている。本当のアシスタントとかそういう人間もどのくらいいるか。これも非常に重要で、日本の研究所ではアシスタントが少ないということが、いま大いに問題になって、そういうスタッフ、アシスタントというものが重要だということ。

【金子主査】運用スタッフを充実せよとか、専門家、スクールカウンセラーを含めて、教員が全部抱え込まないで役割分担をしろというのは、B−2のほうに入れておりますので、次回、チェックするときにもう1回ご議論していただきたい。藤田さんの言うとおりだと思いますけれども、B−2のほうに入れておりますので、そちらで、きょう時間があったら、ないしは次回、議論していただければと思います。

【石原委員】学校は先生だけでなくて、校務士や事務員等いろんなスタッフがいます。いまどこもそうだと思いますが、地方自治体も、行政改革で、校務士も、たとえばいままで2人配置は1人にする、事務補助はなくすということで、その部分は最も行革の対象となって、そういうスタッフは学校では従来より半数以下になるのがほとんどですね。

 あとは事務の合理化ということで、事務員を置かないでセンター方式にするという中で、従来のような補助的な、あるいは市単独でというのは、まずこれからは考えられないという時代に入っている中で、教員がどう余裕を持ってきちんと授業ができるかということを考えていく必要があると思っております。

【藤田委員】ですから、行革のあり方そのものを考え直す必要があるんではないかと思いますね。

【江崎座長】僕もそう思うね。行革だからそうだというんじゃなしに、行革そのものが問題だ。

【金子主査】それはまたB−2でやるときに盛り込むなりしたいと思います。

 B−3のところで、私のほうで5つ項目を挙げさせていただきました。これだけじゃないと思うんですけれども、あと30分ほどでカバーしなくちゃいけないので、済みません、よろしくお願いします。

 生活集団、学習集団、小人数クラスなどについてお話しいただければと思いますけれども、この点についていかがでしょうか。

【上島委員】このへんは私が感じるのは、だいぶ校長先生のマネージメントが、いろんな部分での裁量権とかがふえれば自由にできる内容なので、あまり議論にならなかったんじゃないかなと思うんです。確かに、たとえばこの中でも、小人数クラスも、先ほどの法改正の中でだいぶ見ようとされていらっしゃる部分で、たとえば社会は大人数でやる、英語は10人か20人でやるみたいな、科目ごとの小人数クラス編制だって、これから授業の内容によって人数を変えていける。

 そういう意味では、国民会議で出すという意味では、もうすでに文部省の中で進めていける部分があれば、それを進めていって、国民会議であえて言うのは、どっちかというと、ここの項目は校長先生の裁量権をどれだけやっていくかというようなところでうまくできるんじゃないかなと思います。

【金子主査】いまの意見で大体いいのでしょう。

【田村委員】いまの話の根本にあるのは、やはり教員というのは子どもにかかわっていればいいんだという時代が長く続いていたわけですよね。もともとそういう発想なんですよ。

 だけど、いま17歳の子どもの事件が岡山で起きて、秋田で見つかると、先生方の一般の反応というのは、子どもが 1,000キロ、どんな思いで自転車をこいだろうということを気にする。それを一番気にするんですね。それは教員の職業的な反応だからいいんですけれども、そういう反応をした教員に対して社会は、何て視野が狭いんだという、要するに目配りが足りないというような反応が現実にあるわけですね。

 ですから、そういう意味でいうと、多忙感のかなりの部分は、本来教員がやる仕事じゃないことをやらされているんじゃないかという教員の意識がかなりあるような気がしてしょうがないんですよね。世の中の一般の職業で考えると、教員が特別に忙しいとは全然思えないんですよね。どう考えても。

【上島委員】そりゃそうですよね。ビジネスの世界から考えてもです。

 われわれ、この10年間何をしてきたかというと、1人当たりの生産性を上げてきたわけです。当然ながら先生はもっと上げないとおかしい。

【田村委員】それは公務員の世界でも同じにさらされているわけですよね。だから、教員だけがその意識を変えるという提言、つまり社会がものすごく変わってきていますから、いままでみたいに子どもだけ面倒見ていればいいんだというわけにいかない。つまり、ある一定の地域社会では教員が一番知的にすぐれていて、いろんな意味で、先生に批判されて済んでいたような時代とは違っちゃったわけですよ。ある意味では親のほうが全然知識が進んでいるとか、いろんな状況の中で、その中でさらされて生きなきゃならないという教員は精神的にはすごい大変だと思うんです。仕事の分量としては大したことないと私は思っている。個人的にはね。そう言うと藤田先生に怒られちゃうかもわからないけど。それはそれとして、意見の違いがあっていいと思いますからあえて申し上げるんですけれども。

 だから、その意識改革みたいなことを言うことが校長のマネージメントの内容のかなりの重要な部分じゃないかと思っているんですよね。

 日本人は結局アシスタントを受け入れないと思うんですよ。何でも自分でやらないと気が済まない民族ですからね。だから、そういう提言をしても現場の改善にならないんじゃないかという気がするんですよね。だから、むしろ意識改革をする。そうでなきゃ、教員とは違う人を学校に入れて手伝わせるとか。つまり子どものことをあまり気にしないで、違うことをすごく気にするような人が学校に入ってる。それが結果的に学校全体がバランスがとれるということになるんじゃないかという気がしてしょうがないんですけどね。

 あまりにも子どもオリエンテッドなんですよ。いまの学校が。それは大事なんですけれども、もちろん大事で、それが中心なんだけど、社会が変わっちゃったために、学校が子どもオリエンテッドだけじゃ困るというふうに言い出しているんじゃないかと思っているんですよね。それをやらされる教員は、本来やる仕事じゃない仕事をやらされてるというふうに思い出しているんじゃないか。そういうミスマッチがあるんじゃないかという気がしてしょうがないんですけど、どうでしょうかね。

【藤田委員】もしそうであるなら、たとえば家庭はどういうことになりますか。家族は、この30年、40年、子どもの数がどんどん減ってきたわけですよ。しかし、親の教育力はどんどん低下したと言われ続けてきたわけですね。つまり子どもを育てるとか教育するというのは、対象とする子どもの数が減ったからといって楽になるという性質のものじゃないということですよね。

 ですから、この20年ほど、日本の教師が生産性を上げてこなかったというか、意識改革をしてこなかったというのは、一面では当たっていると思うんですが、だからといって、問題が増えているように見えるからといって、単純に生産性が上がっていないというふうに考えるべきではないと思うんですね。

 明らかに、たとえば学力とか、特定の計測可能な指標に関してレベルが落ちているというならば、これは生産性を問題にすることは可能かもしれませんが、トータルな人間の成長ということについては、やっぱり難しくなってきている。それだからこそ、もっと人を増やし、十分な体制づくりをしなければいけない。

 それから、サポーティング・スタッフというのは、これはスタッフが配置されれば、教師はいくらでも頼むようになって、そのうち、そういう仕事の分担の仕方というのもできてくると思いますよ。

 校務士の方がいた時代には、その人たちが果たしていたファンクションというのはやっぱりあったわけですよね。そういった人がどんどん削除されていくという中で、だれかがそれを担わざるをえない。でも、実はそれを担うだけの人がいないということになってきているんじゃないでしょうか。ですから、私は、そういう人が要ると思いますよ。

 田村さんはこの前、遊軍的なスタッフがもっと要るのではないかというふうにおっしゃっていたと思うんですが、私はそういう、一方で遊軍的なスタッフをふやすと同時に、もう一方で全体的な学級規模を縮小するために、この際、教育改革国民会議は30人とか35人にするということを打ち出したほうがいいと思うんですけどね。全国平均の数字は欧米諸国とほぼ同じ19人とか、こういうような数字になるんだろうと思うんですが、学級編制の基本的な原理として、30人くらいを標準にするという方針を打ち出すことで、特に首都圏や京阪神をはじめ都市部の状況はずいぶん改善されることになるんじゃないかと思うんですけど、そのへんはどうですか。

【江崎座長】そのへんは賛成だね。40人という数が出ること自身が後進国以外の何ものでもありませんよ。こんなところは世界中どこにもありませんからね。ですから、いまおっしゃったように、はっきりとその数を少なくするべきだと思います。

【上島委員】私も小人数のクラスというのも賛成ですけれども、たとえば60万人減って、教師の数が2万数千人減るという部分の、2万数千人の方を確保するという意味では決してよくないと思うんです。そこへは当然、非常勤の講師の方とか、教師免許がない方もどんどんどんどん入ってくるということによっての小人数クラスというのは当然、これから視野に入れていくべきだと思うんです。従来の教師の方が余ってくるから、それは当然お考えになると思うんですけど、そこへは当然、非常勤とか教師免許以外の方がどんどん入ってきた上での小人数クラス編制ということは当然賛成です。

 田村委員がおっしゃった意識の改革も当然大事だと思いますけど、企業はどうやって生産性を上げてきたかというと、やっぱりシステムを変えてきたわけです。要らない文書は全部削除してきたり、稟議制度で、いままで10個判こがないと通らなかったことを、最近は3つか、72時間以内に決裁とか、それぞれのシステムの企業努力をしてきている。

 だから、そこは校長先生のもうちょっと裁量権があって、要らない文書とかいうのを省いていくことによって、そこにアシスタントをつけるという発想は、逆に減らすべきです。そこへ親とか地域とかNPOとか、非常勤の人をもっと入れていくことによって生産性を上げていくということを考えたほうがいいんじゃないかなと思うんです。

【金子主査】時間がだいぶ押していますので、1つにまとまらないときには2つの意見を書くということでやらざるを得ないと思うんですね。あと1時間半でこれだけプラス、あと3つございますので、先に進めさせていただきます。

【江崎座長】いまの件で1つだけ言わせていただきますと、これは大変立派なもの、個に応じた指導をしていただいたんです。しかし、これほど細かいことは、こういうことが必要でないことの一つだと思うんです。個に応じた指導でいいわけです。そうしないことには、校長の裁量権とか何かありませんよ。学習内容の習熟に応じた指導、小学校で当たり前、やって当然の話ですよ。こういうものを、大変立派なものをいただいて文句を言うんじゃないんですが、こういうものは要らないと思います。

【金子主査】私もそれに賛成です。少しだけ時間をいただいて、いま幼稚舎でやってることを紹介したい。私は原則として、クラスのサイズを何人以下と決めることには消極的なんですね。物によって、たくさんいたほうがおもしろい場合と、小さいほうがいい場合とありまして、幼稚舎はひとクラス44人で、これはちょっと多いんですけれども、合唱したり、みんなで体操をやったりするときは多いほうがいいんですけれども、算数とか英語は少ないほうがいいです。

 今度6年生を、先ほどの話ですと、クラス3つを全部一緒にしてから、子どものタイプ別に習熟度でもって5クラスに分けました。それで1学期をやってアンケート調査をしましたら大変好評で、子どものほうで大体76パーセントが「非常にいい」ないし「いい」、親のほうが90パーセント「いい」と。親からは、「いままで算数の勉強を1回もしなかった子が算数の教科書を開いた」とかという意見ももらっている。子どもは意外なことに、「たくさん当ててもらえる、当ててもらってうれしい」というような感想があります。いままで44人でやると、どうしてもおくれがちな子は20点、30点しか取れなかった。そういう子が、いま 100点を取り出した。ゆっくりとやることによって、算数が好きになった。

 ただ、合唱をやるとか、みんなでリレーをやるというときには20人じゃさびしいし、生活として、20人だと、やはりいじめとか何かがグループ化してしまうとどうにもならないとか、子どもの立場でいうと、朝から晩まで20人で先生に監視されているよりは、何かのときには少し隠れ家ができるということもいいので、一概に日本じゅう全部20人にするとかということには反対です。小人数クラスも可能にしておく。それで、校長なり教育委員会なりが方針を立ててやるということが重要だ。われわれステートメントとしては、津々浦々こうしろということではないんじゃないかなと。

【田村委員】遊軍スタッフというのはそういう意味なんですよ。

【藤田委員】そのとおりだと私も思うんですが、要するに教員配置の基準としての学級規模を30人にするということなんです。しかし、各学校でどういうふうに学級編制するか、どういうふうに学習集団を編成するかは弾力化を図り、各学校の裁量にまかせればいいのです。一律30人にしちゃうということではなくて、教員配置基準を現在の40人から30人にするということです。

【金子主査】わかりました。第1の項目、次回もう1回ございますけれども、よろしいようでしたら、きょうは急いでしまいますが、次は英語教育、情報教育、英語教育のほうはもともと石原さんから出していただいていまして、情報教育についてはこれまで私とか上島さんから出たんですけれども、これについてご議論があれば。

【田村委員】情報ネットワーク教育にかかわってのことなんですが、実は今度、大学審議会で、大学の授業の内容をインターネットを使って授業をして、全部それでやって卒業してもいいんじゃないかという議論が出ているんですね。対面授業だけでなくて、大学の場合にはそういうものを認めていくという話が出てきていますね。

 大学でそうなれば、確実に幼稚園、小学校、中学校といったようなところにもそれは何らかの形で必ず影響が出てくると思うんですね。それは義務教育をどういうふうに考えるかということとつながるんですけれども、その部分についてどう考えるか、提言の中に入れておいたほうがいいんじゃないかと思うんですけど。

 知的な、知識の伝達の手段としては非常に有効であるということは証明されているようですね。関係の人に聞いてみたら。ですから、仮に義務教育の知的な伝達の部分については基本的にインターネットでやるとか、そういうような将来像というような意味での提言をする。そうすると、先生の人数を増やすというのも、それとのかかわりがあるんじゃないかという気がするんですがね。

【金子主査】いまのお話は、情報をどう教えるかというより、もっと情報社会の根本的なところで考えるべきという話ですね。

【田村委員】教育の基本ストラクチャーとしてね。それはどうなんですか。これはどういうふうに考えたらいいかということもあるんですけれども。

【金子主査】僕もそのことをかなり考えていたので、「現状認識」のところに多少入れました。

【石原委員】教育は小、中、高、大学と、子どもが、その発達段階で何が最も大切かという観点から取り入れていくほうがいいと思っております。やっぱり小学校の場合は、実物を知らないでビジュアルだというのも非常に問題だと思いますし、いま教えているテクニックなどが将来そのままというふうには思えないということもあります。

 同時に、これは非常にコストのかかる部分でございまして、コンピュータのリース料やソフト、維持管理など学校教育の全体の経費の中で、どのくらいの割合を使うかという全体のバランスの中での話になるかと思っております。

 そういう意味では、それぞれの発達段階に応じた情報教育のあり方と学校で機器整備をするよりも、個人の家庭のほうがさらに早いという現状があります。学校では順次整備していきますが、一巡する前にすでに次の新たな危機整備という中で、先生の研修が追いつかない。子どもはノートパソコンや携帯電話等で時代の先端的な担い手の市場にもなっている。社会全体が早い時代の学校教育の情報教育のあり方のご提言みたいなのが出ればいいかと思っております。

 英語教育でございますが、金沢市では国際理解教育の一環として、平成8年から全小学校に英語活動を、学校のゆとりの時間等を使っておこなっています。地域の方のご協力と、市単独でALTを採用して進めていますが、保護者は関心と期待を寄せ、児童は非常に楽しみにしており、評判がよいのです。中学校から初めて英語の初歩を、ABCや発音を習うよりも、もっと自然な形で慣れ親しみ、一番よかったのは、外国人に構えないで自然にコミュニケーションができるようになったということです。

 これからは総合学習等で英会話もできるようになりますが、問題は、小学校では、英語の先生がいないという中で、ボランティアとALTだけでは、将来進展させていくときには難しい課題があります。小学校の英語教育についても、21世紀の新しい時代にふさわしい形を考えていったらいいと思います。

 私どもは特に日本海側で、アジア、韓国や中国との姉妹都市も含めて、おつき合いが深うございますが、学校同士の子どもの交流の中で、アジア諸国がすでに小学校から外国語教育にとりくみ、英語を共通語として駆使する国際交流をしているという中で、むしろ日本の子ども側のほうからのもっと自由に話せたらという要望が非常に強いという実態もあります。

【田村委員】ネットワーク教育、情報にかかわっては、NTTの回線料はいま国際問題化しているぐらいのことであって、近い将来は解決するだろうと思います。1億の話は。

 私のところで、実はイギリスの学校があるんですけれども、イギリスの学校は幼稚園からこれをやっているんです。それでインターネットを使っていろんな教育、たとえば新しく、いまブレアが言ってるシチズンシップなんていうのはインターネット活用でやるというようなスタイルに流れていますね。

 学校の先生はできない部分がかなりあるわけですね。新しい教育の中で。これはこういうものを活用したほうがいいし、それから先生によって質がありますよね。教わったほうがいい先生と、教わらないほうがよかった先生といるわけですから、そういうようなことも踏まえて、このことには言及しないと、どうなんでしょうか、将来を考えた場合、何を考えていたんだと言われちゃわないかなという気がするんですがね。

【金子主査】生徒もそうなんですけれども、教員の教育というのをやはりネットでどんどんできるようにしておくことが必要ですね。教員のトレーニングとして最初に何単位取ったからいいということじゃなしに、最初はもっと緩やかにしておいて、たとえば何年間かたって、やっぱり心理学をどうしても勉強しなきゃいけないねとか、やはりカウンセラーの勉強をしたいというようなときには1年間丸々休むという、そういう場合があっていいと思いますけど、そこまで行かなくてもネットでどんどん、いつも勉強できるようにしておくというような環境を整えなければいけないなと思っています。

 先ほど石原さん言ったように、子どものほうがどんどん先に行くエリアなので、学校で好むと好まざるにかかわらず、これはやらないといけない。好きか好きじゃないかですね。

 もちろん実物が最初です。実物なしにネットだけでは何もできないんですけれども、だからといって、学校でネットワークや情報についてやらないということはチョイスとしてないような気がするんですね。だから、あと、コストの問題をどういうふうにするかです。

 もう1つのポイントは、教員もいつでもネットでもって自分の教育というのをいつもアップデートしなきゃいけない。情報だけでなくて、ほかも全部そうだと思うんですよね。そういう意味では、学校にインターネットをという国家目標がありますけれども、それはどんどん進めるということは、提言にも盛ったほうがいいんじゃないかと思っております。

【江崎座長】しかし、先生たち忙しいから、その時間を見つけるということが問題になるんじゃないでしょうかね。だから、ある時間、ある期間、研修期間みたいなものがないと、仮にインターネットで勉強するにしたところで、そういうものを設けてあげないと。

【金子主査】ティーチングロードを少し減らして。

【江崎座長】ティーチングロードを減らすということが基本的には。

【田村委員】うちの学校でEメールをやっているんですが、いま親がEメールをいっぱいよこしますね。そうすると、先生の時間は。

【江崎座長】それに取られるわけ。

【田村委員】いえ、助かるんです。会ってたら大変ですから。手紙一本で済んじゃうわけです。返事はEメールで出せば何となく終わるというような感じ。

【石原委員】Eメールというのは、回答や意見交換をするには、学校の場合、そのスタッフ体制の問題や、そのための時間確保の課題も現状ではあります。

【田村委員】うちの例でいえば、担任が受けるEメールはそんなにどうしようもないほどは来ないですね。自分のクラスの子だけですから。

【上島委員】そのうちビジネス社会のほうが、先生抜きでも小学校で英語ができるソフトを、いまみんな考えてます。ビジネス社会のほうが早くて、タッチパネルで子どもたちが、先生抜きでも英語が学べるようなソフトを先に考えている。いまの小学校の先生の抵抗が強いという情報を聞いて、抜きで、英語とインターネットと全部教えるソフトを先に考えていきますから。

 だから、先生抜きで、先生は管理さえしていれば、子どもたちが勝手にやってしまうという、時代のほうが先に進んで、国民会議でどう情報を先へ示唆しておくかというのは、もっと突っ込んでしておかないと、出したときにはもう遅いです。

【藤田委員】私には、その辺はどうなっていくのかよくわからないんですよ。たとえば10年先でも、言われているような状況にはたぶんならない。

 いま世界で、そういう点で一番先進的な試みをやっているのはシンガポールだと思うんですが、シンガポールでも、これがどうなるか、まだ先行きがわからないんですよね。アメリカでも、先進的な事例はいろいろ紹介されていますけど、90パーセント以上の学校はオーソドックスなやり方ですよ。しかも、エリート校ほどオーソドックスなやり方をしていますよ。

 ですから、私はインターネットについて、あるいは情報教育の重要性について書くことはいいんですが、10年先、20年先の教育の姿というものの中に、インターネットやパソコンというものがどういうふうに位置づくかということについての明確な見通しを、この段階で立てるだけの議論はできないんじゃないかという気がするんですよ。

【上島委員】確かにツールとして、この10年相当進むと思います。ただ、いま何が危険かというと、インターネットをするといかにも世界とつながって、情報を取れて、自分の世界が広がったと子どもたちが勘違いするのが怖い。それイコール、自分と社会のアイデンティティーが全くなくて、そこには子どもたちの個というものが全然なくて、ただ単に目の前に世界が広がったという状態がある。ツールとしての情報化、ネットワーク化というのはきっちり出しておきながら、ただ、それイコール自分のアイデンティティー、子どもたちが一人ひとりいろんな情報を取れるからといって、イコール自分のアイデンティティーが生まれているのとは違いますから、そこは別の部分でフォローしたらいいわけだと思うんですよ。そこが問題だと思います。

【河合委員】先ほどから知識の伝達ということを言われていますけど、まさに知識の伝達には非常に便利なんですね。ところが、皆さんずっと出ているのは、教育というのは知識の伝達だけではだめだということを、もっとクリエイティブな人を育てるとか、先生がおっしゃった、アイデンティティーをしっかり持った子を育てる。こういう面と両方ありますから、これはどんどん使えばいいけど、これで全部ができるわけではないという、そこのところの認識をしっかり持っていればいいと私は思います。

【金子主査】全くそのとおりで、ネットワークだけで全部できるということはないということは当たり前なんですけど、だからこそやっておかないと、これは危険だとか、本物を見ながらやるんだけれども、それなしにはできないと思うんですね。

 先ほどの上島さんと同じ意見ですが、世界がどんどん日本に進出してくるんです。たとえばスタンフォードの教授たちが集まって会社をつくって、アジアに英語教育をモバイルでやろうということで、私の幼稚舎に一緒にやろうという話が来ているんですね。これはやっぱりチェックしなきゃいけないなと思うので、じゃ、一緒にやりましょうといってます。英語教育は、みんなこんなふうになる可能性がある。そのときに内容にわれわれがコミットできるかというと、かなり危険なところもある。われわれのコントロールの外に行ってしまう。

 やっぱりやっておかないといけない。あとは携帯電話です。皆さん方、携帯電話の番号はそんなに気楽に人に教えないと思うんですね。私も携帯電話は非常にプライベートだと思っていて、秘書にしか番号を教えてないんです。けれども、最近の若い子は携帯電話を、会った人に、その瞬間に教えるわけですよね。そのかわり自宅の電話は教えない。もうメディアとして変わってきているんですよ。携帯電話はとにかく教えて、着信発信しないやつははねるというような。まだ小学生には来てないですけど、たぶん中学生はそこまで来てる。好きでも嫌いでもやはり新しいメディアについてはやっておかないといけない。

 教員のほうも、子どもはやってるけど、私はできないよじゃ、やっぱりこれは難しいと思います。

 だから、10年先は全くわからないんですけれども、指をくわえて待ってるとすごくおかしなことが起こる可能性はある。もちろんすばらしいこともできるので、両輪じゃないかなと思いますね。

【田村委員】私のところの、イギリス政府と共同でつくってるブリティッシュスクール、この間、学校評価をしてもらったんですが、学校の学力の点でいうと上位 0.5パーセントに入ったという評価で非常に褒められているんです。だけど、欠点があるんです。それは情報教育。この4月から始めるんですよ。ですから、具体的に、生徒1人当たり、どういう機械をどういうふうに置いてどうやるかということを評価の中に入れていますよね。だから、イギリスの場合なんか確実に、すべての学校でそうやるという流れで進んでいますね。

 ただ、それがどのくらいまでいくのか、それはわからないんだけれども、やらないわけにいかないんじゃないかという気がしていますね。

【藤田委員】そのとおりで、やらないわけにいかないし、金子先生が言われたように、とにかくどんどん入ってきますから、それに対して適切な受け入れ方なり対応の仕方というのを考えていく必要がありますから、そういう意味でキチッと書くことには反対ではないんです。ただもう一方で、携帯はともかくとして、インターネット、パソコンを使った授業ということになりますと、これは世界的にマーケットのメカニズムが働くことになると思います。企業側はそれを売り込もうと必死ですから。インターネットのことではないんですが、この前、オランダとかに行ってびっくりしたのは、イギリス発の学力テストがヨーロッパ諸国にどんどん広まっているんですよね。ケンブリッジ大学のつくった学力評価テスト、ケンブリッジ・テストが。つまり世界のスタンダードが、そういうテストによって学力のスタンダードがはかられるようになっていくわけですよ。

 そういう動きにわれわれはどう対処するのか、成り行き任せにするのか、それとも対抗するのかということも含めて考えておかないと、将来に禍根を残すことになりかねませんよね。受験偏差値はいけないとかいろいろ言っていながら、結果的に世界はそういうふうにどんどん展開していくということになる。

【金子主査】やっておかないと、やられちゃう可能性があるから。

【大宅委員】 同じ意味で英語がそうですよね。好むと好まざるとにかかわらず。問題はやっぱり教え方だと思いますよ。教授法と教材の中身。いまのままだと、3つからやろうが何しようが全くのむだです。

 つまり英語を教えているからですよ。英語は道具なので、のこぎりやったって、のこぎり使って何をつくるのって話になるんですよ。だから、英語でコンピュータを教えるとか、英語で算数を教えるとかやらない限り、英語は絶対身につかないです。英語は英語だけ取り出してやってる。

 私もいろんな研究スクールみたいなのをやってて見ましたけど、先生たちが、床屋でみたいなシーンを想定して、下手な英語でやってるわけ。あんなのだったらやらないほうが 100倍いいですよ。あんなことやってしまったらいよいよ言えなくなっちゃいますよ。

 いっぱいいい教材があるわけですから、それこそコンピュータを使ったり、いろんなビデオがあるわけで、下手な発音の、よくわからない人に教えられるのは一切排除したほうがいいと私は思います。

 それともう1つは、6年英語をやったのにっていうけれど、1週間に何時間ですか、英語。3時間ぐらいでしょ。それを6年やったって、しかも、その中の半分以上は先生がしゃべってるわけよね。本人が口から英語をしゃべったことというのは、6年のうちの 2、30時間みたいな話ですよ。そこでうまくなるというのは無理な話ですよ。絶対に。

 英語はピアノと同じで訓練が必要。だから、やたらめったら何べんも口から出して暗記しない限りは無理なので、理解だけできて、英語ができるというのは無理です。

 うちの娘も残念ながら慶応ですけど、見てて、これはだめだと思いましたね。これはだめだと思いました。私は大学はICUなんですけど、私は英語を、自分が歌が好きで、それで覚えたわけですね。ICUで経済学で、サミュエルソンの経済原論というのをやるんですね。こんな厚いやつをたしか1学期で終わったと思うんです。ただバーッと読み通して、重要なところだけを経済学として勉強する。結婚したら、うちのだんなは慶応の経済学部卒だったわけで、サミュエルソンの原論やった。あれは原書講読というので、私は腹抱えて笑ったんですよ。原書講読って、頭からチクチク訳してたと。教科書なんだから、バーッと読んで中身を把握しなきゃいけないのに。その発想を変えないと絶対。

【金子主査】英語も情報もたぶんやらなくていいという人はいないと思うんですけれども、どうやるかで、たぶん一番の問題は、英語にしろ情報にしろ、現在の教員はなかなかできない。となると、学校以外の人材を使わなきゃいけない。下手すると質の悪いソフトが入ってきちゃって、わけがわからないことになりかねない。それからコストもかかりますよね。それについて何らかのことを言わないと。そのへんはいかがでしょうかね。

【上島委員】それから、これから総合学習で、外部で、いろんな地域の国際交流団体とかNPOなんかも絡んできながら、そういう可能性は出てくるでしょう。英語に触れるという意味でも。

【田村委員】いいのができてますよ。ものすごくいいのができてます。ディズニーでつくってるやつがあるんですね。私、孫がその年なので。あれは本当にいいですよ。あれが来たら、いまは高いけれども、学校だったら買えるから。

【藤田委員】私はいろんな方法があっていいと思っています。ただ、確かにソフトはどんどん開発されますから、そういうものを大いに利用するというのも1つだと思いますけど、英語教育に関して言うならば、もし小学校でやるなら、たとえば、これはスイスの学校を幾つか見て確かにそうだなと思ったんですが、ほとんど聞かせる、しゃべらせるですよね。それも全体でしゃべらせたり、一人ひとり順番にちゃべらせたり、反復、繰り返し、とにかくしゃべらせる。覚えさせる。聞かせる。そういったことを数分刻みで、45分間、それこそ2分、3分刻みで、課題を次々に変えてどんどんどんどんやっていく。そういうやり方のほうが、英語の力は小学校時代は身につくんじゃないかと個人的には思いますけど、英語の先生にはいろんな考え方があるからなかなか難しいことでしょうね。

【石原委員】語学の場合、たとえばLL教室というのがずっとございましたね。結局、それよりもALTが入って対面でするという、やっぱり言葉というのは、人の表情なり人の考え方に触れるということの学習環境のモチベーションですね。やっぱりそういうものをどう、これから子どもたちに与えていくかということが大切です。外国の方やボランティアの地域の方々など、人に子どもは関心を持つんですね。

【金子主査】学校以外の人との交流の必然性をつくるということが大事ですね。

 この間、幼稚舎で1つ、英語でないんですけれども、教育実習で、点字をする女性が来ました。4年生の男の子がすごく関心を持って、実際に点字で手紙を書いてみたいと。その人の友達の、視覚障害者の人に手紙を書きました。点字で。そうしたら、点字でもって返事がきて非常に喜んで。結局、その視覚障害者の人に幼稚舎に来てもらって、交流をしたということがあったんです。人がいて話せるとか、それはメールだけでもいいと思うんですけれども、やはり人に伝えて、その反応が返ってくるということがあってはじめてうれしく思う。点字を4年生の男の子がやってるからびっくりしちゃったんですけれども、ただ点字はこうやるのよって言ったんじゃなくて、やはり交流の経験をたくさんつくるということが重要です。

【上島委員】英語でよく議論して、有名な例え話があるんですけど、私も10年間ぐらい、中、高、大と英語やってできなくて、イギリスで3年かかりましたけど、ようやくしゃべれるようになりました。こんな話があります。先ほど石原さんもおっしゃったように、英語で何がこれから大事かというと、文化の違いを先生がどこまで教えられるかだと思うんです。

 仮に、いつも英語で、日本と比較して言われるのが、ブラザー、兄弟という言葉、日本では長男、次男、三男という、同じきょうだいでも姉弟とか、兄弟という言葉を聞くだけでわかる。だけど、アメリカにはブラザーというところに、オールドブラザー、ヤングブラザーと言って、年上、年下とつけないと区別ができない。そこで同じ英語の文化の言葉の語源の中に、長男とか次男とか三男という発想が英語にはないわけですよ。ブラザーでも、年上のお兄さん、年下のお兄さん、日本みたいに長男、次男、三男とか、兄弟とか姉妹と聞いただけで、姉と妹とかパッパッとわかるという日本の文化の違いまで、小学校のとき先生が教えれたら、英語教育、全国の小学校の先生が、そこまで子どもを十分理解してしゃべることも正しいし、また、文化の違いまで教えるカリキュラムができたらすごいと思います。そこまでなかなかできないのではないでしょうか。

【金子主査】先生はできなくても、できる人を知っていればいい。コーディネートできればいいんじゃないですか。

【上島委員】そういうところまで本来はやると、日本の英語教育ももっと身につくし、外国からどんどんいろんなプログラムが来ても、そこまでしっかり外部の人でも、だれが教えてもいいですけど、そこの文化の違いまで教えておければいいなと思うんです。そこまでチャレンジしておかないと、日本の文化がなおざりにされる。

【江崎座長】英語といいますと、発音ということが非常に重要になってくるわけです。そうしますと、できたら母国語が英語の人に、少なくとも最初教えてもらって、小さいときでないと、RとLの違いとかわからないんです。小さいときの英語教育が重要。早いときに英語の発音を勉強させる。

 私なんかはちょっと遅かったですけど、中学校で、同志社では女の先生がカンバセーションをやってくれた。ずいぶん昔の話です。その英語の先生は日本語ができないんですよ。それは大変。英語をどうしても話さざるを得ないということにもなりますし。本当の英語の発音、かなり年配のアメリカの女性だったですけど、そういう人に教えてもらうということは大変重要ですよ。最初。小学校教育には、特に間違った発音を、日本の英語の先生から習うなんてことはだめだと思います。

【田村委員】ニュートラルイングリッシュというのがあるんですね。エデュケーテッドイングリッシュとも言うんだそうですけど、ある特定地域のある英語が、英語をしゃべる種族には、それは中心の英語だと。教える場合はそれを教えろというのがあるらしいですね。だから、そういうのはちゃんとやったほうがいいと思いますね。

【河合委員】ALTが私は非常に大事だと思いますね。そのことを強調してほしいと思います。

【大宅委員】 ただ、1億 2,000万人が全員英語をしゃべらなきゃいけない必要があるかというのは私はちょっと疑問なんです。だって、必然性がないんだもの。一生外人にも会わない人もいれば、全員それをやる、かけるためのコストというのはすごいと思うんですよね。ちょっとひっかかる。

【藤田委員】私もそう思いますね。

【金子主査】これもさっきの上島さんの校長の裁量じゃないけど、やはり、この学校では1年生から英語をネーティブの人がやるというところと、情報をやりますよというところがあっていい。

 石原さんのところは小学校から英語を始めているわけですよね。そういうところを見て、私のところもやろうというところは、そこにコストをかければいい。

【江崎座長】僕もわからないけど、日本人が全部英語をやってもやはり生活が豊かになるんじゃないですか。どういう人でも、必要性でやったら必要じゃないけど、みんな外国の映画を見たり、ディズニーランドに行ったり、英語のカルチャーが非常に入ってきて、カルチャーを学ぶという意味で英語を勉強するということは、確かに無駄なように思うけれども。

【大宅委員】 日本人が英語が身につかなかった理由はそこで、必然性がないからやっぱり要らなかったんだなと私は思うんですよ。国を代表したり、企業を代表したりして世界じゅうでバチバチやる人には、本当にディベートできるぐらいの英語力になってほしいんですけれど。

【上島委員】それはたくさんおります。大丈夫です。

【大宅委員】 政治家を見てくださいよ。

【上島委員】政治家は別の世界です。

【金子主査】いまの話を少しまとめて、来週もう1度見ていただくということで次に行きたい。

【石原委員】子どもたちは、英語が将来使えるとかではなくて、そういう人たちといろいろとおつき合いできて楽しかったと、そのことのモチベーションといいますか、それは非常に大事なことでないかなと。

【江崎座長】僕もそういうふうに感ずるんだけどね。

【大宅委員】 だから、映画を見たいと思う人が英語をやればいいんです。みんな英語で見たほうがいいでしょうというのは違うと思う。シェークスピアを読みたい人がおやりになればいいし。

【金子主査】したいとなったときにすぐにできるような体制につくっておけばいいですよね。

【石原委員】素養として与える部分が私は義務教育だというふうに思っています。大人になって選択できるときに、やっぱり素養があるということが、国民の義務教育の水準確保、やっぱり一国の水準になるのではないかなと思っております。その後それぞれが自己責任で選択できるときに、やはりよりいい選択ができるということが大切ではないかなと。

【上島委員】幼稚園から始めてもいいぐらいです。ヒアリングとスピーキングはやっぱりあご、英語の発音は、動かすあごの部分、常にしゃべってないと発音できません。幼稚園ぐらいから始めてもいいでしょう。

【藤田委員】おっしゃることみんなそのとおりだとは思うんですけど、この点については私は大宅さんとたぶん同じ意見です。

【大宅委員】 珍しく一緒になりましたね。

【藤田委員】1つは、石原さんが言われたように、子どもたちにとって楽しくて、モチベーションというか、インセンティブが高まれば、それはそれでいいと思うんです。

 だけど、やっぱり言葉の問題というのは、われわれ日本というもののアイデンティティーにかかわる問題でもあり、日本のカルチャーの問題でもありますから、日本語教育だって、日本語の発音だって、いまどんどんどんどんおかしくなっているわけですよ。それを、英語の発音をよくしたからといって何になるのという感じがするんですよね。

 確かに、世界的に見れば英語がドミナントな言語になっていることは事実だし、そういう状況をわれわれ無視することはできないから、それなりに対処する必要はある。特に国際的に活躍する人たちには対抗できるだけの英語力を養う必要性がありますから、そのための準備は十分にしなきゃいけないけれども、もう一方で、幼少期からみんなが英語をやらなければだめだということでは絶対にない。むしろ日本語や日本のカルチャーをキチッと小学校段階は学習することのほうが重要だと思うんですけどね。

【大宅委員】 中身の問題で、英語は全然できないけど、とっても立派なスピーチが日本語でできる人と、英語はすごくうまいけど、何の中身もない人とどっちが偉いか。両極端あるんですけど。日本語でちゃんと自分の意見が言えるというのが先だろうって私も思うんです。

【金子主査】B−3で幾つか挙げたんですけれども、いま上の2つに関しては少し議論いたしました。あと、これだけは取り上げたいというのがございましたら。

【今井委員】「地域/学校/家庭の連携」のところなんですが、まず第一歩というのは、学校の先生たちが、クラスで子どもたちがどういう状況であるか、いまどういうことを指導したかとか、そういうことを、もう少し家庭のほうに具体的に情報がおりてこないと、自分の子どもはどういう状態なのか、どんなところによさがあるのかということも、いまの親はなかなか発見できないんですよ。そして、父親も母親もやはり仕事をしているケースが多いです。山口県のデータを調べたときでも、中学校の父親で4割、学校での子どもの様子を知らない。じゃ、知らないからそれでいいのかといったら、そうじゃなくて、本当はとても知りたがっている。だけど、情報として入ってこない。何か問題が起こったときに学校に呼ばれびっくりするケースが多い。

 学校の先生方が、自分のクラスで指導したことや、問題が起こったことなどを、きちんと伝えていて知らせていって、信頼関係ができて連携の第一歩じゃないか。それによって、家庭は、先生の思いをはかり知ることができますし、父親も、学校に大変親しみを持ってくるんじゃないか。先生方のそこの指導の方法についていま一歩踏み込んでしていただければと思います。

【石原委員】地域ということについてですが、地域の方たちとの懇談会でこんなお話がありました。よく地域地域と言われる。学校であれば責任者は校長、家庭であれば保護者、明確に責任主体がはっきりしている。地域というのはだれが責任者なのか、私たち一人ひとりに責任と言われても困る。地域の教育力とか、地域というのは具体的にだれが責任者なのか。家庭と学校なら先生と保護者であるが、地域となるとあいまいになるという問題点があります。これは国民会議でもきちんと議論すべきことだと思っております。

 それから、地域の教育力、地域で子どもを育てるという中で、学校の先生はどこの地域かという質問をされました。先生の勤めている学校が土曜、日曜に地域活動をする場合、先生に出てほしい。逆に、住んでいる地域のほうでも、学校にばっかり行ってて、自分の住んでる地域の子ども会の世話もできない。先生にとっての地域活動はどちらにアイデンティティーを持っているのかというようなご質問でした。

 3番目は、地域の人というのは、仕事を持って、生計を立てており、だからこそ、専門的に教育を学校に信託しているのであり、専門家がいるところで、すなわち学校でしっかりやってほしいと。昔のようにいわば自営業をしながら地域の世話をして過ごせるような時代ではなくなったということです。中山間地で、ほとんど全員が家業で働いておられ、兼業農家という地域でも、そういうお話が出ました。

 さらに、先ほど学級の人数の問題が出ましたが、地域と学校規模というのも、非常に学校文化を規定する要因だと思っております。やはり小さい山間地の学校と、新興住宅地の大規模の学校と、ドーナツ化現象のまちなかの学校と、公立は画一的どころか、ものすごく違います。国民会議で、地域というのは非常に大事なキー概念だと思うんですが、国民にとってわかりやすい提案をするということが、これからのイメージを活性化していく上で大事ではないかと思っております。

【田村委員】先週、私のところでも、地域の人と会って話をした。私立学校なんですけれども、幕張地区にあるんです。幕張地区というのはまさに新興地でありまして、有名な打瀬小学校とか中学校があるところでありまして、地域が育てたという自負があるわけです。

 そろそろ1万人近い人口になるんですけれども、新しいまちづくりという意味で、非常にやる気があって積極的に動いているところなんです。だから、学校づくりに地域がかなりかかわるんですけどね。

 いろんな話し合いをしたんですけど、1つ非常に印象的だったのは、非常に学校が地域を頼るというんですね。非常に不愉快だと言っていました。一生懸命だから、よく行くわけです。そうすると、それはどうぞお願いします、どうぞお願いしますって、ちっとも学校に主体性がない。地域が協力するということは、つくり上げていくものだから、地域がやることじゃない。つくり上げていくという意識を学校はぜひ持ってもらいたい。

 その意識を学校の先生というのはなかなか持てない最大の理由は、やっぱり議会だというんですね。要するに自分たちは他から監督されているわけです。だから、地域から言われても、できることとできないことがあるということで、おやりになるんならどうぞ、われわれはできませんよというような意識。

 だから、話を聞いていて、あんな新しいまちづくりに燃えているような場所でも、実際に学校と地域の連携といっても非常に難しい問題があるんだなと。だけど、効果を上げたことは事実でして、打瀬という小中が一応全国的に名が出たのは、まさに地域が支えたという背景がありましたのでね。たとえば、そこで活躍している中の何人かは、うちの父兄だったんですよね。私立ですけど、地元から来ますから。その関係で、そういう人たちを通して定期的に来るんですけどね。

 だから、地域と学校と家庭というのはお話がすぐ出るけど、すごく大変だということをやっぱり書いておかないといけないなと思いますね。つくり上げるんだという意欲を持たないとうまく機能しない。

【石原委員】地域は、住んでいる人の数ほど、それぞれ多様な考え方があるわけですね。ですから、その意味の難しさ、逆にいうと、だからこそ地域がコミュニティとして、大人がきちんと、子どもの教育に共通理解や合意形成ができるかということが、地域の教育力だと思っております。

 そうでないと、子どもはいろんな考え方を言われて、あれもいい、これもいい、あれもだめ、これもだめ、つまり小さいときに確固とした共通理解のもと、地域全体での、子どもを育てていくという核が必要であると思います。

【田村委員】「ベイタウンニュース」というのを出しているんですよ。その地域が中心になって。その人たちが定期的に会合しながら、そういう地域誌を出しているんですね。そこにいろんな意見が集約されて出てくる。学校はその中の1つなんですね。

 だから、それぐらいの努力をしてもうまくいかない部分があるんだなということで、大変なことだなと思いましたけどね。

【上島委員】一緒につくり上げていくというところのメッセージはやっぱり大事です。その地域でね。

 地域とおっしゃった部分で、たとえば非常勤で、外部から先生を呼んで、歴史とか、その地域の伝統文化とか話してもらうとか、これも地域と学校と家庭の連携だと思いますし、そういう切り口もあれば、私はやっぱり国民会議のメッセージ、地域と学校と家庭の連携というのが大事です。要するに時代が、いま第3次産業、サービス産業に従事している人がふえてきたわけです。日本というのは。そうすると、土曜日、日曜日に親御さんも働くようになっている人が多くなりつつあるわけです。

 その中で、いま学校の授業の時間に親が合わせなきゃいけないところから、本当に国民会議であれば、企業側も地域の一員であれば、学校教育にもっと意識を持って、たとえば土日に働いている者を、一緒になって、平日のときに逆に休みをあげるとか、いろいろ考えていかないと、逆に土日、一緒に学校へ行かして、地域で、たとえば水曜日が休みの企業が多いところは、水曜日に学校を休みにするとか、そんな大胆な発想をしていかないと、このままじゃ土日、鍵っ子という言葉はよくないんでしょうけど、親がいない家庭だって多いわけです。

【石原委員】家庭での教育は本当に大事だと思います。

【上島委員】企業側の意識も、国民会議で言うのであれば、どう教育に入っていくのかということも、また、いろんな意味で、育児休暇とか、そのほか、学校の夏休みとか、休みというところにどう企業が回していくかとか、学校、家庭、地域という連携の中では、いろんな意味で企業側の意識も大事だし、コミュニティの意識も大事だと思うんです。

【金子主査】まとめますと、地域地域といって、安易にそこに頼るのはよくないということと、一つひとつ、だれが責任を持つのかとか、どういう場面で何を頼むのかということはしっかり決めなきゃいけないですよね。

 その中で、いま上島さんが言ったように、石原さんも前からおっしゃっていますけれども、どういうときに何をしたらいいのかということは、地域の人と、具体的な人ですよね。こういう人に何を頼むかとか、こういう団体にこれをお願いするかという、漠然と地域と言うんじゃなくてというようなご意見ですね。

【今井委員】それにつなぐことなんですけど、いま社教主事とかが核になってきていると思うんですよね。これをもう少し、社教主事がいいのか、教育コーディネーターみたいな感じがいいのか、新しい教育を推進していくため、そしてまた、地域社会が、そういう学校支援に対して理解をしていくためにも、そういうコーディネーターのような人が地域にいらしてくださると非常に私たちは助かりますね。

【藤田委員】先ほど、つくっていくということが重要だと言われましたが、そのとおりだと思うんですけど、古典的に、その地域とかコミュニティというのは3つの要素があると言われてきました。1つは、フィジカルなspace、つまり居住地域ですね。2番目は、その地域に住んでいる人たちのinteraction、3番目は、we-feelingです。社会学では、この三つがコミュニティという概念に含まれる3つの要素だと言われてきたんですが、この中で、地域によってもちろん違いがありますけれども、2番目のinteraction、つまり人と人との関係と、we-feelingが、この何十年間か、都市化の進行をはじめいろんな変化の中で希薄になってきたことは大きいですよね。

 そこで、地域との連携というときに重要なことは、スペースが生活圏としてまず安全でなきゃいけない。生活圏として安全だということ、日本はそこそこの水準がまだ維持されていますからいいけれども、欧米の都市というのは、その点で非常に困難な状況に立ち至っているところがあるわけです。そういった安全な生活圏を支えるのはやっぱりそこに住んでいる人たち。だから、自覚を持たなきゃいけないですよね。

 それからinteractionはどんどん希薄になっている。これは一面ではしょうがないところでして、それを支えるというか、補うようなネットワークづくり、先ほどの社会教育施設とか、もちろん警察も入るでしょうし、いろんな、その地域にある社会教育関連の施設や、ボランティアのネットワークや、企業なども含めて、ネットワークづくりというのは必要なことだと思うんですね。

 3番目のwe-feelingのほうは、これもどんどん希薄になっているわけだけど、それは自分たちの学校を自分たちがつくっていくんだという構えに立って、学校に要求もし、サポートもしていくという、そういうことを高めていく努力が必要なんだだと思います。

【江崎座長】we-feelingというのはアイデンティティーですか。共同意識のアイデンティティーだね。

【藤田委員】そうです。「われわれ意識」と訳されていますが、地元意識とか郷土意識なども含むと思います。

【河合委員】地域という場合、日本ではやっぱり企業ということを考えないと、大企業がお父さんを全部抱え込んでいる。だから、父親が大事だといったって帰ってこないんですから。みんな働いていて。それから休暇が大事だといったって、休暇がなかったら、お父さんは子どもと休暇に行けないんですよ。あるいは取れないんですよ。日本では。

 だから、大企業も教育ということ、あるいはみんな父親が抱えているんだという自覚で、そういうことも考えてほしいということを僕は言いたいと思いますね。

【江崎座長】父親だけでなしにお母さんも。

【上島委員】そういう意味では、教育の日なんて決めて、この前の議論ありましたけど、とりあえずお母さんもみんな一緒にいこうというのも、1つのムードのきっかけにはなると思うんです。

【田村委員】栃木県が教育の日って決めているんだそうですよ。それは効果がどうなんですかね。

【河合委員】教育の日以外は何もしなくなる。

【大宅委員】 往々にしてそういうのがあるんですよね。

【金子主査】B−3についてはこのくらいにしまして。

【田村委員】発見型授業で一言だけ。実は発見型授業で僕は非常に感激したことがあるんです。それは、あるイギリスの学校を見学したとき、音楽室に行ったら楽器がいっぱいあるんですよ。何に使うんだと言ったら、生徒が音楽の授業をやるときに、その楽器を、自分はこれをやるというので取るというんですね。いろんな種類の楽器が置いてあるわけです。発見型授業ってこういうことだと思うんですよね。

【大宅委員】 みんなリコーダーというのはおかしいわよね。

【田村委員】そういうようなことを、1つの例ですけれども、何かそういう工夫をできないだろうか。たとえば貸し出しを利用するとか。これだけリースがはやっているんですから、学校から注文が来たらパッと楽器が配給されるとか、そういうことでできないかなと思うんですね。発見型ということでずいぶん違うと思うんですよ。

【江崎座長】理科の実験で、欧米だったら全部発見型の理科の実験をやってるわけですね。先生は観察させて発見させるという発見型。

【田村委員】かなりの一流と言われるような学校でも、実験室で実験をほとんどやらない理科の授業ですよね。日本では。それは発見型になるわけがないですよね。

 何かそういう工夫を、学校にそういうシステムを導入することでできないだろうかと思うんですね。動かないですよね。全員が笛を吹くとか、カスタネットをやるとか、こんなのいくらやったって何の意味もないと思うんですね。これからは。

【金子主査】わかりました。大変心苦しいんですけれども先に進ませて下さい。

 前回、前々回、石原さんがいらっしゃらなかったのでお話ししてなかったんですけれども、石原さんのほうから、地域単位に、現行制度の研究開発学校を拡大するという提案が出ていますので、まず石原さんのほうから、ご提案のほうを。

【石原委員】前回お出しした3枚の資料でございますが、まず1番目のところでございますが、それぞれの地域には地域の実態がございまして、この分科会でのご議論が、金沢など地方都市の地域実態とかけ離れているというご意見が非常に強うございました。

 結論からいえば、保護者はできるだけ身近なところで、同じようによい教育を受けることができることが非常に強い要望です。そして、放課後の地域での友人との遊びやふれあい、そのための安全確保や、地域の大人たちの責任を、地域の教育力として、大人ががんばっていこうということの大切さが、いま話し合われております。

 すなわち3番目の通学距離は、近いほどいい。そして、校区の安全性、こういうものが公教育への基本の考え方であります。2ページ目ですけれども、それぞれの公立学校が地域で子どもたちを育てるとともに、地域を育てる学校づくりと書いた理由は、やはりこれから家庭の教育力や、地域の教育力が低下する中で、学校が核となって地域コミュニティを育てる。つまり、大人を育てることとその仕組みとして、さらに重要になってくるのではないかと思っております。

 ここにご提案申し上げましたクリエイティブスクールというのは、今年度から新しい研究開発学校制度ができまして非常に注目をされています。この中で、従来、生徒指導等、学校ごとの指定、地域指定もございましたが、もう少し、いまのいろいろいじめや不登校や、あるいは総合的な学習、また、小中一貫の英語教育等、情報教育等の、そういうものを考えますと、義務教育9年間のスパンで、特に中学校区を単位とした基盤整備とカリキュラムと人員配置の工夫ができないかということです。

 この中で、たとえば今の非行の問題などを考えましても、1つの学校だけではなく、子どもが非常に広いエリアの中で過ごしますので、小学校、中学校の連携をもっと密にし、地域の人たちが、自分たちの住んでいる地域の子どもをしっかりと見ながら、責任を持って育て、もっと学校教育にもきちんとかかわりができるという意味で、こういう地域指定のご提案をしております。

 その中で、特に中学校の場合には基礎的な教育は共通にしますが、むしろ個に応じた選択的な教育ができるような午後の部をもう少し柔軟に組みかえることができないか。将来はそういうところが社会教育の1つの子どもの拠点となれるような基盤整備を、これの中でできる、そういう方向性を持っていけたらいいのではないかと思っております。

 3ページ目のほうは、公立小学校と私立の小中学校の比較を書いておりますが、全国公立小中学校約3万 4,400校あります。すでにこれだけある学校がどう変わっていくかということは非常に大きな国民会議の課題ですし、21世紀の教育の大きな方向性をつけるというふうに思っております。

 また、公立の場合と私立の場合とでは非常に違う点があります。下のほうにその点をお書きしてありますが、私は私立学校というのは、私立の特色をきちんと生かしていくということが、私立学校としての方法だと思っております。公立というのはどうしても税金で経営するということで、予算も全部議会の審議が必要です。そこで常に、地域住民のニーズ、地域住民の意思ということで、その意味での画一性、公平性、平等性というものは、常に税金でおこなう場合は出てくる問題でございます。

 それから、3月末でなければ予算は議決できませんから、先駆的に新しいものを次々やっていくということも、仕組み上は、今の場合非常に難しいということもあり、逆に公立であるということで、地域全体が責任を持ち、議会というところできちんとそれらを議論するという1つの仕組みを担保しているということです。ただし、私立の小規模学校がもっと設置しやすくする方法も場合によっては考えてもいいのではないかと。

 ただ、少子化の中で、私学協会のほうのお考え等もいろいろ聞いていると、いろいろな課題もあるかと思いますが、これはこれで私立として工夫ができればいいのではないかと思っております。研究開発校によって地域指定をし、私はやはり21世紀に、10年ぐらい単位で学習指導要領が変わりますので、その次の学習指導要領にもつなげる中で、きちんとしたデータをとりながら比較研究ができるということが非常に大事ではないかと思っております。

 研究開発校の新しい制度も12年度からできましたので、さらに地域のブロック単位ぐらいの広い範囲を指定することによって、大勢の人が研究開発の中にかかわりながら、義務教育9年間の拠点づくりができたらいいのではないかと思っております。

 その場合には、やはり校長が1つの学校において今よりも長期に、例えば5年ぐらいというような任期で、きちんと顔の見える教育経営をできるというようなことの仕組みを考えていけたらと思っております。

 以上でございます。

【金子主査】ありがとうございました。いまのお話のうち、2ページ目の研究開発校、現行の制度を地域全体で受けるような形で、地域の拠点にしていこうというご提案のみについて最初、ご意見をいただきたいと思います。いかがでしょうか。

【田村委員】中高一貫との関係はどういうふうになるんですか。

【石原委員】中高一貫とはまた別の視点ですね。私は小中、できれば将来、またその上に中高一貫ができやすくなるんでないかなと思います。

 小中がやりやすいのは、設置者が同一なので。中高一貫はむしろ県のほうがしており、またしやすいと思います。小中の部分と中高の部分とそれぞれ幾つか事例ができればよいと思いますが。

【田村委員】並行するということですね。併設されると。

【石原委員】はい。

【河合委員】要するにこういうのがうまくいけば、日本中、これにしなさいということを前提に考えておられるんですか。

【石原委員】日本中そうするかどうか別ですけど。

【河合委員】非常にうまくいけば、そのモデルになるぐらいの気持ちでおられるわけですか。つまり特定のところで特定のことをやってるというんじゃなくて、どこにも通用する。

【石原委員】21世紀の公立学校が変わりにくいという中で、こういう仕組みで変わることができるんでないかという1つのご提案です。

【河合委員】その場合、たとえば校長さんの任期というのは、どこも5年ぐらいでやっていきたいというお考えありますか。

【石原委員】ある程度長くないと、責任を持って、たとえば1つのテーマについては自分で企画し、そして実践し、その成果を見届けるというような部分も必要ではないかなと思っています。

【河合委員】この問題も非常に大事な問題で、考える必要があると思います。日本はどんどんどんどん変わっていく。実際官庁でもそうで、大臣もそうですから。

【江崎座長】いまのところでは、いい先生を集めるということは非常に重要で、それをどうして集めますか。

【石原委員】それは1つ大きい課題ですが、こういうふうにすると、いい先生をどう集めるかという具体的なことがもっとはっきりと出てくるんじゃないかなと思っております。

【江崎座長】いい先生は給料を高くしないと来ないんじゃないですか。普通は。

【石原委員】これは公立学校ですから人事配置ということですが、ただ、この中で、たとえば先ほどありました正規職員を非常勤化する問題も、いろいろ課題があり、そういうことをもうちょっと総合的に考えていく必要があります。

 1つの学校ですと、小さい学校はそんなことはなかなかできないんですね。先生の数がそんなにいるわけではないもので。そうすると、もっと大きい規模の中で考えることや、あるいは中学校に籍を置いて小学校に教えることができるということで、英語の教育がもっとしやすくなるとかいう視点が必要です。特に総合学習などを核としながら、取り組みやすいテーマを、中学校は教科別ですので、教科のプロフェッショナルがいるもので、それをもっと地域人材という、アマチュアの部分でなく、専門家として小学校にも使い勝手をよくするようなことも、ここでいろいろと先駆的にしてもらったらいいんではないかなと思っております。

 小学校はどうしても、いまのところは全教科対応型です。そうしますと、英語や情報など難しいんですね。そうすると、中学校ではそれぞれ専門の教科担当がいます。あるいは高校にもいます。そういうところとの交流をもっと活発にする中で、それぞれが、子ども自体の発達をもっと継続的に、小学校から中学校、高校と子どもの変化の激しさをもっときちんと全体として見ていける、そういう仕組みがあったらいいなと思います。

【江崎座長】いま文部省の方に聞きますと、新しく40校ができて、日本全体で 121校があるんだそうですけれども、そういうことに対するレビューとか評価みたいなものはありますか。

【玉井審議官】先ほど石原委員がおっしゃったように、新しいタイプの研究開発学校は12年度からでございます。いま41件スタートしました。したがいまして、旧制度といいますか、以前からのものが79校ございます。合わせて 120件というのが正確でございます。これまでの研究指定校は、カリキュラム改定のときに、総合的な学習ということも入れましたけれども、本当にいいかどうかを実証的に。そういう成果があります。今度は地域が構想された、地域が自発的にお考えになったものも検討していく制度でございます。

【江崎座長】それはこの4月から始まったと。

【玉井審議官】はい、そうでございます。

【石原委員】それをもう少し面的に拡大して入れていくことによって、地域単位の学校改革がしやすくなるのでないかということです。

【金子主査】石原さんのアイディアは現行のものを地域的に広げようということですね。

 ただ、現行の制度の中で、既存の学校がやるというだけでは、現状の少しの改善ということにしかならない。現在の問題を解決するにはもっと思い切った案が必要でしょう。私のコミュニティ・スクールは、もっと思い切って、地域のニーズに合った新しい学校をつくってしまいましょうと。現行制度とは違う、新しい試みです。

【江崎座長】これをやるにはニュークレアスになる人が必要で、それはどういう人がなるんですか。

【金子主査】地域の中でいろいろ考えている人とか、現行の制度の中で、意欲のある校長先生なんかが、「私がやりたい」ということもあるだろうし、それから、フリースクールでいろいろとやっている中で、きちんとしたところを市町村が認可して学校をつくっていくということもあるでしょう。

【江崎座長】こういうことは可能ですか。たとえば金沢なんか、いまの金子さんの、非常にアイデアリスティックなお考えのようですけれども、私立学校じゃ、こういうことはやるだろうと思うけど、公立でやろうとすると。

【石原委員】公立ですと、学校設置は議会条例ですから、まずそこから議論になります。スペシャルニーズなどというのはどういうことかというような話で、かなり難しい問題がたくさん出る。私学ですと、この経営理念でしますと言い切れますけど。

【江崎座長】これは私学じゃないと非常にやりにくいんじゃない。

【石原委員】難しいんです。

【江崎座長】私学だったらできるけれども、公立は難しいよ。公立は大変難しいと思うよ。

【金子主査】難しいからやらないんでは教育改革になりませんね。

【石原委員】条例でしか公立学校は設置できません。そして議会で審議します。そのとき結局提案し、説明するのは教育委員会ですから、難しいですね。

【金子主査】教育委員会じゃなくて、私の提案としては、こういうのが必要だということがあったら公募をするわけですよね。それに対して地域でキチッと、信頼のある人とか、いままでいろんな経験のある人、ないしはいろんな専門家を集めて、校長がスタッフとともに、私がやると言うわけですよね。そのチームに人事権を与えて、一方ちゃんとレビューをする。

 ですから、ちょうど石原さんが言ってる研究開発校の1つ先を行くものをつくってしまおうと。そこでやる気のある人にやらせてみるということです。

 僕のアイデアは、要するに現存の制度では集まらないような、起業家精神をもった人を教育に引き込むということを狙っています。それがないと、いまの制度の中で、ちょっと悪いけど、チンタラチンタラやって校長になって、やっと校長になったと思ったら配置転換になっちゃうというようなことじゃなくて、新しい力をもった人を引き込むということが不可欠です。研究開発校を多少広げるという程度ではだめでしょう。分科会としては、何か変わるというメッセージを出したい。

【江崎座長】しかし、そういうことをおっしゃるのは私立大学のスピリットじゃないですか。まさに私立大学スピリットでしょう。それを国立なり県立でやるということはちょっと矛盾してるよ。

 たとえば田村さんの学校など、どうですか。こういうことは私立の学校がやろうと。

【田村委員】内容は私立ですよ。内容は私立で、費用は公でやる。

【河合委員】可能ですか。

【田村委員】それは難しい。

【上島委員】将来全部民営化していったらいいわけです。公立も。

【藤田委員】私は金子さんのアイデアもわからないじゃないんですけど、これをする目的によって違うと思うんです。現在の公立を中心にした制度に風穴をあけることに目的があるのか、それとも、ここに書いてあるように、スペシャルニーズのある子どもたちを念頭に置いた学校であるとか、地域に開かれた先端的なアプローチをする学校であるとか、そういう学校をつくることに主たる目的があるのか、それによってずいぶん違うと思うんですよ。

 もし前者であるならば、これは実は私立を巻き込んで、日本の教育制度が将来的にどうなっていくかということにかかわってくるので、いま出ているような、原理的な問題はやっぱりクリアしないと難しいという気がするんですね。アメリカのように、チャータースクールをどんどんいま広げている社会は別として、われわれもああいう方向へ行くのかどうかということはもっとキチッと議論しないとちょっと乗れない。

 他方、後者のほうが目的だというなら、この前も申し上げたように、これはむしろ県レベルであったり、市レベルぐらいで、もっとこういうものが必要だということになれば、石原さんの言われたようなクリエイティブスクールなり研究開発学校のような形で、むしろ積極的にそれを実験して、うまくいけばやっていったらいいと思うんですね。

【金子主査】ですから、どういう目的かというのは、設置する地域が決めていけばいいわけで、1つの目的でやるということじゃないんですね。ですから、スペシャルニーズでやろうというところはスペシャルニーズでやるし、開かれた学校をやってやろうというので、そういう人がいればやる。結果としては、もちろん全国の3万 5,000の小中学校の風穴をあけることになると思うんですね。

 僕としては、教育改革国民会議という舞台を作っておいて、だんだん少しずつ改善しようということだと弱いんじゃないかと思います。もちろんそれは大事なことなんですけれども。

 やる気のある人、教員免許を取り、だんだんと教頭になり校長になりというような人でない新鮮な人材を学校教育に引き入れたい。だれでもいいということじゃなくて、市町村、自治体がいいと思った人なんですけれども、まずやらせてみようと。人事権も与えるから、自分がいいと思うスタッフをつれてきて、予算の使い方も自分の責任でやってくれというわけです。そうしたらやりがいがあるはずです。全国に何百校も一度にできることはないと思うんですけれども、そういう風穴を1つあけておかないと。研究開発校を地域で、それは大変いいと思うんですけれどもそれでは不十分です。

【石原委員】ただ、それは私学でやらないとできないと思うんですけどね。

【金子主査】現行制度ではですよね。

【石原委員】ええ。公立でというときには、首長が予算権を持っていますし、税金を使ってやるわけですね。

【金子主査】そういうことをやりたいと思った首長がやればいいんじゃないですか。

【上島委員】もうすでに大都会では、公立と私立、地方のところは私立がなくても、公立、私立という選択の自由が大都会ではあるわけです。そこで学校格差、自由な選択があるでしょう。ですから、公立の中でも、別に私学がない地域でも、そこの首長の部分で自由にできるでしょう。

【石原委員】首長は私学はつくれないですから。

【上島委員】新しい公立学校をつくるという、もっと設置基準を低くしたり、スペシャルニーズがあるものにも、その流れにしたらいいなと思うんです。別に東京だけでなく。

【石原委員】私立学校で、公立になったときには、そのよさはなくなってくると思うんですね。つまり限りなく公立になってくるので、結果的にはだめになると思うんですよ。

【金子主査】公立になったらよくなくなるということですか。

【石原委員】特殊なニーズに応えるためということなら、まさに、私学は特殊なニーズに応えるべく、1つの制度を持っているので、むしろ補助金のほうできちんと補えるような仕組みがよいと思います。

 私学は公的な規制から自由であることが1つの大きい特色だと思うんですね。公的なものは、議会とか予算権とかの制約がある。それから現在の公務員制度の中で採用や人事権を校長に与えるなどというようなことも現実にはそれは無理な話です。

【金子主査】ですから、現行制度でやらなきゃいけないという前提はわれわれにはないですよね。現在の中でやれというんだったら、教育改革国民会議をする必要は別にないわけですから。

【上島委員】そうしたら、文部省の中で議論すればいいわけです。

【金子主査】改善してくださいということはそれで言えばいいんですよ。

【藤田委員】そうなんですけど、コミュニティ・スクールという言葉にも1つの、あるあいまいさが入っていまして、やっぱりチャータースクールなんですよ。アメリカなんかでの。このアイデアは。と言いますのも、日本の公立学校というのは基本的にはコミュニティ・スクールなわけですよね。ですから、「コミュニティ・スクール」という提案は、公立学校はあたかもコミュニティ・スクールではなくて、ここにつくられるものがコミュニティ・スクールであるかのような印象を与えますよね。ところが、その内実は、有志が集まってつくる学校なんですね。その場合の有志の関心というのは、もちろん議会でチェックを受けるとか、協議会が設置されて評価されるとかいろいろありますけれども、コミュニティのニーズに限定されるとは限らない。

 私は、チャータースクールがどこまで成功するか疑問に思っています。というのも、少なくとも小学校では6年間子どもを面倒を見るわけです。しかも、それは実際のところ6年では終わらないんですね。次々と入ってくるわけですから。

 そういう点を前提にしますと、経営上の不安定さを抱えた組織というものが、学校教育で本来うまくいくということはあり得ないと思うんですよ。1年単位のプログラムで、そのたびに変わっていくという性質のものならともかくも、学校教育というのは基本的に、入った子どもは卒業するまでそこにいるのが普通ですよね。それを前提にして営まれていて、しかも毎年毎年新しい生徒が入ってくる。それを5年ごとにチェックして、5年やって評価して、だめだったら、大々的に変えましょうということになると、入った子どもは一体どうなるのか。実際アメリカでは、そういう問題がこれまでも起こっていますよね。チャータースクールなんかもそうなると思いますが、70年代のオルタナティブ・スクールではそれが実際起こったんですよ。

 ですから、私は本当に意味のある、特色ある学校をつくるとか、地域に開かれた学校をつくると言うのであれば、むしろ公立の枠の中で、そういう先生方を集めるやり方を考えるほうがまだいいと思うんですね。

【金子主査】現在の公立学校が素晴らしいなら、何でわれわれここにいるのか。だんだんとよくしていくというのはもちろん大事だと思います。日本全国ね。私立の役割というのも当然あると思います。しかしそれでは足らない。

 私の提案の中では、私立ももっともっとスムースに設置をできるようにというのを含んでいます。その一方で、公立の枠の中に、そういうスペシャルニーズとか、地元の人がやりたいと思ったら、いままで教育に参加しなかったようないい人材を集めてやるという、そういう仕組みをつくろうというものです。そういう学校をつくってなぜ悪いのかがよくわからないんですね。それをやるなという議論はおかしい。うまくいかないのではないかという議論はあると思います。

 アメリカのチャータースクールと、僕の言っているのはだいぶ違う。しかし、チャータースクールも、最初はスラムとかそういうところから出てきましたよね。最近は多くが新しい理念でもってつくっていくというふうにだんだん変わってきました。それでも10年間で 1,600とかそのくらいですよね。その程度です。

 コミュニティ・スクールも津々浦々にできるというよりは、必要に応じて、地域の人たちが責任をしっかりとしながらつくっていく。それを見ながら、じゃ、私もやろうかということがいいということになるでしょう。そういう風穴をあけておかないと、少しずつ校長の裁量権をふやすとか、クラスで英語を導入するとか、少しずつやっていこうというだけだとすると、何で私はこんなに時間を使ってこの会議をやっているのか分からなくなる。何か変わりそうだとか、自発的なものを地域でもってちゃんと責任を持って取り組んでというようなメッセージを、主査として、ぜひとも入れたい。

 当面は研究開発校みたいな形を少し拡大する形で広まっていくんじゃないかと思いますけれども、条件が整えばどこでもできるということをメッセージとしてうたわないと、改善しろというだけだと、何のためにここにわれわれはいるのかなという気がしてしょうがないんですね。

【石原委員】コミュニティ・スクールイコール公立、いまの現状の学校ですよね。地域の学校。私たちもコミュニティのスクールとしてがんばってくださいというメッセージですから、住民が混乱すると思いますね。

【金子主査】名前はどうでもいいです。

【石原委員】もう1つ、その場合、学校法人みたいに設置主体というものがしっかりしていることになりますよね。そうすると、学校法人というのは私学ということですね。

【金子主査】市町村立です。将来は独立行政法人みたいにしてもいいのかもしれませんけれども、当面は当然市町村立です。

【石原委員】ただ、市町村立というのは、市町村の意思決定が必要です。国民会議として、市町村にそういう意思決定をせよというのはおかしいと思いますが。

【金子主査】つくらないといけないなんて言っていません。

【上島委員】自由に選択ができる。

【金子主査】さっきの英語の話と同じですよ。

【大宅委員】 つくりたい人はつくればいいと。

【金子主査】つくりたい人はつくれるようにしておかないと。

【藤田委員】フリースクールを文部省はすでに部分的に容認している。これは必要なことだと思いますし、適切なサポートも必要になってきていると思うんですよ。だけど、それをさらに踏み込んで、公立としてそういういろんな学校を設置する、そして運営は任せるという方向に全面的に踏み出すべきかどうか。

【金子主査】設置せよという提案ではなくて、設置できるところはやっていいよという提案がどうしていけないんでしょうか。

【藤田委員】風穴をあけるということがシステム全体の将来のあり方にかかわってきますから、そこに一歩踏み出すとなると、私は弊害のほうが大きくなるんじゃないかと思うんです。それから、一部の学校がよくなったからといって問題が解決するわけでもないんですね。

【金子主査】じゃ、研究開発校にしても、何にしても新しいことはやってもしょうがないということになりますよね。

【藤田委員】そうじゃないですよ。その場合、制度は変わりないわけですから、少なくとも参考になるならそれでいいわけです。

 ですから、この前も申し上げたように、私立で本当に参考になる学校がどんどんできているならば、公立だってそれを参考にすればいいわけです。だから、それができるように弾力化し、校長の裁量権限や、地域の権限を拡大するということをもっとやってほしいと私は思うんですね。

 だけど、公立というシステムの中に、全く質の違うものを、予算の配置から準備からすべて違うものをつくって、それが成功したからといって、それでもって公立学校がみんなそういうふうにいくかというと、そういう性質のものじゃないんですね。

【金子主査】やってみて、よければ採用すればいいんじゃないんですか。初めからだめだって決めつける必要はないんじゃないですか。

【藤田委員】現に予算や人事の件について、私立は公立と全く違うわけですよ。つまり人事と予算の面について、私立は全く公立と違うから、私立のよい部分、それにかかわっていい部分は、公立は参考にしようがないわけですよ。

【金子主査】まさにそのとおりです。ですから、現在の日本の教育の状況を打破するために公立の中でこそそういうものをつくろうということです。

【藤田委員】ですから、それを参考にできるように、そこのところを弾力化する。学校別に教員を採用することを含めて、弾力化の可能性を探っていくほうが、私は合理的な選択だと思います。

【大宅委員】 できるならやってるはずでしょう。今までそれが進まないから、ドカッといったら少しは意識が揺すぶられるんじゃないのということだと私は思います。

【石原委員】義務教育は、すべての国民が学校に行くことを条件にしますね。いまのコミュニティ・スクールの方向は、ある地域の特殊ニーズの方が学校をつくって公立化する。それはすべての子どもが全部学校に行く仕組みとは違いますね。ですから、それは大きい意味の公立、つまり全国民の義務教育の改革にはならないと思うんです。

【金子主査】石原さんご自身で全国全部多様だとおっしゃったじゃないですか。今日ご提案のあった研究開発校の拡大もごく一部でしか実施できないものです。

【石原委員】わずかな人のスペシャルニーズで、それを公立化したいといえば、やっぱり義務教育の仕組みとして難しいですね。

【河合委員】スペシャルニーズというのがちょっとわからないです。具体的に。

【大宅委員】 そこは地域によってスペシャルニーズが違うから、そうしか言いようがないと。

【石原委員】逆にいうと、こんな教育をするためには、今の仕組みではできないからというようなイメージがはっきりしないと、単にスペシャルニーズのためにとか言っていてもちょっとわかりにくいのではないでしょうか。たとえば一般的な学校教育上のスペシャルニーズというような意味で、もしおっしゃっているのなら、養護学校がありますね。

【金子主査】うまくいってますか。

【石原委員】それをどういうふうにしたらいいかは、設置者である県の課題です。あれだけの規模のものを市町村でつくるということは難しいわけですし、市町村立といっても、小さい町や村にはそんなことは対応できないので。

【金子主査】繰り返し言います。全国の市町村に、これをつくれということじゃなくて、必要でニーズがあると認めれば、新しい力をそこに注入するような窓口だけあけておいてくれということです。

【藤田委員】例の中高一貫校も選択的導入ということで通過したにもかかわらず、文部省の政策はいまやほとんど全国に、何百校か何千校か知りませんけど、拡大するという話になってきているわけですよ。ですから、選択的導入、いまのお話はそういうことですよね。

 風穴をあけるといっても、それが政策として実現していくときに、実際にどう展開していくかを考える必要がある。それはシステムを変えていく可能性があるわけですから。

【金子主査】もちろんそうです。

【藤田委員】ですから、この問題は、学校選択の問題と並んで、もっときちんとシミュレーションしてみるべきだと思うんです。通学区域の弾力的運用はいいですよ。だけど、学校選択制になったら実際どういうことになるのかということはキチッと議論しておかないといけない。同じように、この問題は、私は、単純に、はい、いいですよ、とは言えない。風穴をあけるためにも、ひとつ実験を試しにやってみたらいいじゃないですかという、そんな程度で国民会議が、将来に禍根を残すかもしれない風穴を、私はあけるべきではないと思います。

【金子主査】わかりました。今日の最後に、Aの部分の全体の方向性について議論をするはずだったんですけれども、時間がなくなってしまいました。

 次回がかなり苦しいんですけれども、5分だけいただいて、Aの標語についてどのようにして決めるかということに少しだけ議論をいただきたい。次回、何か1つ採用しなくちゃいけないので。投票でやるのか、最終的には主査に任せていただくのか、いろんな議論をしてですけれども、そのへんだけ、もしご意見があったら、いま伺っておきたいと思いますが。

【田村委員】最終的なまとめは主査がしていただくということですよね。ここでの議論を踏まえて。今の話でも、私などはちょっは迷っているから発言できないんですよね。難しいんです。すごく。

【河合委員】でも、やっぱり主査の方がまとめてもらわないと。これはどうしても困るとか、どうしても少数意見を書いてくれとか、そういうふうになって一緒につくっていかないと。

【金子主査】たとえば学校選択の話にしても評価の話にしても幾つかの意見に分かれているので、意見があった、それに対してこういう懸念も表明されたという形でいくのかなと思います。

 ただ、皆様方、どういうおつもりでこういう標語案を出してこられたかというのはやはり聞いておかないといけませんので、次回の冒頭でそれをやらせていただきたい。来週の月曜日までに、私と田村さんのほうで、きょうの「まとめ」案をもとに、きょうの議論を踏まえた形で、4、5枚のものをつけてきますので、次回、これに対して反対意見を書いてくれとか、これに対しては私の意見は違うとかいうようなことを出していきながら、全体の方向性についてご議論いただいて、最終的には私と副主査にお任せいただくということで。

 スローガンに関しては、まだご意見を伺っていない。

【河合委員】スローガンも、ある程度主査が腕力を振るって。

【金子主査】最後に1つ決めさせていただきます。今日はありがとうございました。