教育改革国民会議

教育改革国民会議第3分科会(第1回)・議事概要



(日時) 平成12年5月26日(金)12時〜14時
 
(場所) 虎ノ門第10森ビル5階会議室

(木村主査)
 まず、分科会の副主査に黒田委員を指名させていただきたい。会議の公開については全体会と同じく会議自体は非公開とし、会議終了後、主査からブリーフィングすることとしたい。配布資料、議事概要、議事録は公開とし、他の分科会所属の委員にも配布することとしたい。
 分科会の審議は、座長からは4回程度の開催と依頼されているが、4回にこだわらず7回程度予定している。特に御意見がなければ、このとおり進めさせていただきたい。町村補佐官から一言お願いする。

(町村補佐官)
 国民の皆様の意見を幅広く聞き、できるだけ具体的な提案をしていただきたい。総理直属の会議であり、3党からオブザーバーも参加しているので、来年度の予算・法改正に反映させられるものは積極的に実行していきたい。

(河野委員)
 この分科会での議論は、高等教育が中心だろうと理解している。@入試の問題Aリーダー・指導者教育B社会の変化に対応した国際性ある教育の充実等について、できるだけ具体的に問題を絞って取り上げていきたい。

(牛尾委員)
 アメリカの大学では勉強しやすい仕組み、勉強させるような仕組みが整っていた。アシスタント制度も良い。日本の大学、特に社会科学系は勉強のさせ方が下手なので、勉強しやすい仕組みについてもっと真剣に考える必要がある。
 自分のことしか考えない学生が増えているが、高校でも大学でも、どこかの段階で使命感を持たせなければならない。加えて、時代の変化に合わせ、国際性の育成も重要である。
 ITの導入によって、一流大学の講義を放送などで受講し、その後ディスカッションコーディネーターを身近な先生がするというようなことが可能となってきている。こういう技術的な進歩はどんどん活用するべきである。一方で、対面的に指導されるということも非常に大事なことなので、教科以外の指導教授などとの関係も今後は一層考慮する必要がある。
 また義務教育ではないのだから、遊んでいるようなら大学にくる必要はないという厳しさがあっていい。

(田中委員)
 特に文系では、教養教育も専門教育もどちらも中途半端になってしまっている。大学・大学院の4年−2年−3年のシステムを考え直した方がいい。教養教育(カレッジ)3年間、専門教育3年間とし、教養教育をしっかり受けた後で専門を選択できるようにするなら、進路の選択もじっくりでき、どちらも充実する。また社会人等にも間口を広げるべきである。
 これまでのような文系の画一的教育システム(大教室での講義等)を変えなければ、付加価値も付けられず、国際的な発信力も育たない。また、職業教育と一体となった教養教育を充実させる必要もある。さらにカレッジの段階ではITをもっと活用していくべきであろう。

(黒田委員)
 大学進学率が上昇してきている中で、すべての大学を画一的に扱うことはできなくなってきている。世界のトップと競合できるような大学、コミュニティに貢献できるような大学など、目的に合った様々な大学が必要である。理系と文系も違いがあるし、すべての大学を画一的に議論すべきではない。

(クラーク委員)
 オーストラリア、イギリスでは、教養教育は、大学の役割ではなく高校の役割。また、日本の高校の英語教育は弊害があり、中学校では基礎的な英語だけにし、本格的には外国語は大学で専攻すべきである。
 オーストラリアでは、専門学校やコミュニティ・カレッジが非常に評価されており、高等教育における役割分担ができている。

(木村主査)
 最近では、普通高校卒業生の離職率が高く、専門高校卒業生の離職率は減っているが、これは世の中がスキルを評価し始めた結果ではないか。また、ニュービジネスのリーダーの約4割は専門高校卒であるともいう。
 学部レベルでエリート大学を作るのは無理で、エリートを作るならば大学院レベル。ただし、これまで行われてきた「大学院重点化」は、単純に定員を増やすことによって、むしろ大学院のレベルを落とす結果になってしまっている。これではエリート教育にはならない。

(黒田委員)
 エリートがエリートたるにはそれだけの投資が必要なのに、「大学院重点化」と言っても予算は変わっていない。イギリスのエリート大学では他の大学と比べ、スタッフと学生の割合も差異化され、チュートリアル制度なども充実しているなど、重点配分されている。

(田中委員)
 「大学院重点化」は、本当に良い人材を育てるという発想ではなく、数の論理になってしまった。

(牛尾委員)
 日本は悪平等である。今問われているのは量ではなく質である。

(草野委員)
 エリート教育のポイントは大学院であると思うが、併せて企業・官庁がどういう人材を求めているのかという議論をしておく必要がある。これからの時代は、もっと企業で使えるような人材を育成してほしいというように、学校への要望も変わってきている。

(牛尾委員)
 国際競争が標準になる中、ますます専門的知識を持った即戦力となる人材が必要になり、中途採用も増えている。アングロサクソン型になってきているにもかかわらず、まだ企業の意識は、従来の求人−求会社からはっきりと切り替わっておらず、曖昧である。

(田中委員)
 文系の大学に大きな影響を与える企業や官庁の採用システムが一貫していない。急に、これからはスペシャリストが必要だと言われるが、本当はゼネラリストもスペシャリストもどちらも必要である。企業・官庁が何を求めているのかはっきりとわからない。大学と企業が採用システムについてもっと話し合うべき。

(クラーク委員)
 エリート教育のためには、飛び入学がある。だが、日本は非常に消極的である。また現状のような、飛び入学をした学生への特別なチュートリアルは必要ない。

(木村主査)
 飛び入学反対の理由として、「まだ人格が完成していない」という意見がある。だが、人格は個人個人、形成のスピードが異なるものであり、非常にナンセンスな議論である。

(クラーク委員)
 エリート教育を考えるならば、海外留学をもっと考えなければならない。9月入学にすれば、留学しやすくなる。

(木村主査)
 ヨーロッパの学生にはモラトリアムの期間があり、その間に人格を形成したり、将来の進路を選択したりすることができる。高校を3月に卒業し、大学を9月入学として、半年間を自由に活用できるようにしても良い。

(クラーク委員)
 センター試験を資格化し、いつでも受けられるようにするのも一つの具体的な提案である。

(木村主査)
 知識偏重を打破するためには、特定の影響力のある大学の入試方法を変える必要がある。

(クラーク委員)
 オーストラリアのような簡単な暫定入学制度で諸問題は解決する。合格ラインに達しない2〜3割の学生を入学金なしで暫定入学させ、1年間の大学教育を受けた後、それについての試験をして、あらためて大学にふさわしいかどうかを選抜して定員まで減らす。暫定入学以外の学生にも良い影響を与える。

(牛尾委員)
 大学院全体の底上げと同時に、大学間の暗黙のレーティングも明確化し、差異化を認めるべきである。

(木村主査)
 エリートを養成するならば、たとえ定員に満たなくとも、高いレベルに達している者だけを入学させるというようにしなければならない。
 もう一つ、評価の問題は難しい問題だが、やらなければならない。評価の高い大学に重点的に予算配分することは構わない。 

(クラーク委員)
 授業に対する学生の評価を行っているが、学生の評価は案外客観的である。

(木村主査)
 あまりマスコミで取り上げられないが、授業に対する学生の評価は急速に各大学で制度化されつつある。

(黒田委員)
 オフィス・アワーも導入しようとしているが、研究の時間が減らされていく。スタッフを増やしてほしい。アシスタント制度もあるが、日本では欧米のようには機能していない。

[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。