教育改革国民会議

教育改革国民会議第3分科会

第1回会議 議事録



【木村主査】 町村補佐官お着きになりましたので、まだ4人ほどお見えになる予定でございますけれども、教育改革国民会議第3分科会(第1回)を開催をさせていただきます。

 私どもに課せられましたテーマは「創造性」という一言で表現されておりますが、資料1をご覧いただきますと、おわかりいただけますように、これまでの議論で出たものだけでも大変に幅広くなっております。そういうことで「創造性」ということにとらわれませんで、広範な議論をお願いできればというふうに考えております。

 今日は、浜田委員が御都合により御欠席ということで、後で浜田委員からのコメント を御紹介させていただきます。それから、第3分科会プロパーの委員以外では、沈委員が御出席でございます。

 それでは、まず他の分科会同様、副主査の指名をさせていただきたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。私、第3分科会は全部出るつもりでおりますけれども、私どもの機構の仕事が大変増えておりますので、ひょっとすると副主査の方に代理をお願いをするということもあろうかと思います。黒田先生に副主査をお願いしたいと思いますが、よろしゅうございますか。

(「はい」の声あり)

【木村主査】 ありがとうございました。黒田先生、くれぐれもよろしくお願いいたします。外国逃亡などなさいませんように(笑)。私もするかもしれませんが。

 次は、この分科会の公開の取り扱いについてでございます。他の分科会でも同じような決定をしたようですが、全体会議の取り扱いと同様としてよろしいでしょうか。すなわち会議自体は非公開とする。分科会終了後、私の方からブリーフィングを行う。会議の配布資料、議事概要、議事録につきましては、なるべく詳細なものを発表するということでございますが、よろしゅうございましょうか。

 それでは、そのような扱いにさせていただきます。

 それでは、食事をしましょうか。食事の間には議論しない方がいいでしょうね。

(食 事)

【木村主査】 少々ごたごたいたしましたけれども、引き続き会議を進めさせていただきます。先ほど分科会の公開の取り扱いについてのところまでまいりましたので、次は4番目ですが、今後の第3分科会の運営についてです。企画委員会で少し全体的なことを議論してありますので、そのことについて御報告申し上げて、お諮りしたいと思います。

 まず一番初め、分科会の審議内容でございますが、森総理から第2回の全体会議におきまして、夏頃までには中間報告を出して欲しいという御要請がございました。それを踏まえまして、分科会の審議では、中間報告に向けまして具体的方策の検討を行うという位置づけとしてはどうだという案が出ております。したがいまして、分科会のまとめは7月中に行うということで、8月下旬以降全体会を開催し、9月中・下旬に中間報告をまとめるという段取りにしたいと企画委員会では考えております。

 なお、分科会審議、後ほどスケジュールを御紹介申し上げますが、3回程度行いました時点で、企画委員会を開催し分科会相互の連絡調整を行うということにしてはどうだという案が出ております。なお、分科会はこの中間報告を出しました以降も存続し、必要に応じ開催するということにしてあります。

 国民会議としての中間報告につきましては、会議の審議の中間的な取りまとめという位置づけとし、総理からも要請がございましたが、骨太な報告を目指し、問題によって方向性が出てしまうものについてはそれをはっきり出してしまう。一方、方向性が出ないものについては、審議経過の概要を盛り込むという形にしてはどうだということでございます。

 ただいまのが国民会議中間報告でございますが、この中間報告の位置づけに対応しまして、分科会での審議のまとめ方についても、同じように方向性が出せるものなら出し、方向性が出せないものは審議経過の概要を報告書に盛るという形にするということでございます。

 それから、国民会議中間報告についての国民の皆様との意見交換を行うため、10月から11月にかけて公聴会あるいはシンポジウム等を開催し、そこで出ました御意見を入れた上で、最終取りまとめに向けた審議を行ってはどうかということを考えております。

 まず、その点についていかがでございましょうか。皆様方のところにはこの案は行っておりますでしょうか。行っておりませんですね。日程(案)、私のところだけですね。町村補佐官のところには行っているようですが。

【田中委員】 日程(案)は入っています。

【木村主査】 では、そういうことでとり進めさせていただきます。

 分科会の審議につきましては、各分科会、江崎座長から4回程度の開催を依頼されましたが、4回で議論が尽くせるかどうかわからないという疑義が企画委員会でも出されまして、できるだけ多くの委員の皆様方が御参加になれる日程を考慮し、少なくとも4回の審議日程程度は決め、その後も7月の半ば頃まで納得のいくまで審議することにしたいと存じます。

 第3分科会日程(案)をご覧いただきたいと思います。これはアンケートをとらせていただきまして、できるだけ多くの委員の方が御参加できる日ということで、本日5月26日(第1回)、以下7月26日(第7回)まで決めさせて頂いています。

 偶然でございますが、私どもの第3分科会、ご覧いただきます通り全部食事時間にひっかかっています(笑)。今日は、私、この後、会議がございますので、2時までとしてありますが、あと食事時間ということで全部30分余分にとってございます。よろしくお願いいたします。実際には10分か20分で食事は済むと思いますが、一応30分とってあります。7回分決めさせていただいておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 それから、所属以外の委員、今日は沈さんおいでいただいておりますが、これも所属は問わず発言は自由としたいと思います。しかしながら、第3分科会のまとめにつきましては、所属委員に一任いただくことにさせていただければと思いますが、よろしゅうございましょうか。

(「はい」の声あり)

【木村主査】 ありがとうございました。それでは、他の分科会でもお願いいたしましたが、町村総理補佐官から一言どうぞ。

【町村総理補佐官】 お忙しいところ、どうも今日は本当にありがとうございます。

 第3分科会の第1回目ということで一言だけお話をさせていただきますが、先ほど冒頭雑談の中で申し上げましたが、森総理の発言で、逆に教育改革国民会議が非常にいい意味ではクローズアップをされ、悪い意味では相当な影響が出るのではないか、いろいろ言われておりますが、どうぞ総理の一連の発言の報道ぶりとは関係なく、この国民会議、自由闊達な御議論をいただければありがたいとこう思っております。

 それから、今、中間報告あるいは分科会報告の話が主査の方からございましたましたけれども、中間報告で、できるだけ国民の反応をそこで受けとめ、必要に応じて修正をするなりという意味なものですから、できるだけはっきりとした答えを出していただくと。もちろん議論が集約できなければそれはそれとして、できるだけ“国民参加”ということを小渕前総理は随分言っておられたものですから、そういう意識で、今後是非進めていっていただければとこう思っております。

 それから、何人かの委員の方から、「いくら提言取りまとめても何も実行されないのではしようがない、必ず実行するんだろうね」、こういう御意見・御質問が何人かの方からございました。もちろん教育予算を一挙に5倍にしろ10倍にしろという御提言をいただいてもなかなかできないことはあろうかと思いますが、しかし、幸いなことに総理直属の国民会議ということもあるものですから、できるものであれば、来年度の予算なり、来年度の法律改正にこういうものがもし可能であれば、そうさせていただきたいし、いずれにしても、今日は泉参議院議員もお見えでございますが、三党連立の下で三党の方々も参加をしてという意味は、これは責任を持って実行させていただきたい、そういう思いで、これを取り組んでまいるということでありまして、そういう意味から、言いっぱなし、聞きっぱなしということにならないようにやっていきたい、こう思っているところでございますので、ちょっとその覚悟の一端を申し上げさせていただきまして、御挨拶にさせていただきます。どうもありがとうございました。

【木村主査】 どうもありがとうございました。

 それでは早速でございますが、第1回目の議論を開始したいと思います。冒頭申し上げましたように、第3分科会のモットー・フレーズといいますか、キャッチコピーが「創造性」となっておりますが、大変幅の広いテーマでございます。会議が始まる前に河野さんから「人材育成ということですね」というようなお話もありましたので、まずそれぞれの委員の皆様から、どういうことをこの分科会で議論すべきか。第1、第2分科会のテーマを見据えながら、少し御議論いただければと思いますが、いかがでございましょうか。どなたからでも。

【河野委員】 よろしいですか。

【木村主査】 どうぞ。

【河野委員】 資料でいただいた分け方とか、それにとらわれないで言わせていただこうと思うのですが。

【木村主査】 その方がよろしいと思います。

【河野委員】 私、この分科会は、前はたしか何とかの人材育成分科会とついていたのですけれども、掲げておる内容からいっても、高等教育が中心なのかなと。もちろん、例えば社会とのつながりとか、高校の入試をどうするとかという意味で、その関連を振り返るということもあろうかと思いますけれども、私は一応そういうふうに理解しました。

 そういうふうに考えてみると、教育改革というものの抽象的なものではなくて、もう少し現状がどうなっているかということを社会システムそのものにまで遡って考えてみると、入試の問題が、高校入試を含め、あるいは入社も含め、いずれにしても、そこが非常に問題なのかなと。もう一つは、さっきからもお話も出ていましたけれども、多様な選択というのですか、そういうところができるような社会体制になってないと。例えば専門学校もあり、IT学校もあり、放送大学もあり、生涯学習大学もあるというような、いろんな選択肢があって、後で触れますけれども、ここでよく言われている“エリート”というだけのものではない、そういう選択肢があるということ、それが現状なのかなと。1番の方の入試の問題はそれを打破しなければならないという問題ですし、そのためには、そういう多様性を用意しておかなければいけないという問題なのかなと。

 2番目は、1番目に掲げられているように、“エリート”という言葉がいいかどうか別なんですが、私はここに書いてあるように、「リーダー」とか「指導者教育」、そういうことでいいのではないかと思うんですけれども、ここにあるような大学、大学院のあり方というものを考えてみたらどうか。

 3番目が、ここでは「社会の変化に対応した国際性のある教育の充実」というのですけれども、ここは「国際社会における日本の教育」というようなことを、いつも受けるばかりではなく積極的に言えれば言って、ここで私はいつもしつこく言っております海外子女の問題、留学生の受け入れの問題、そういうことをやってみたらどうなのかというようなことで、できるだけ抽象的でなく具体的に問題を絞っていければいいのかなと。

 それから、ついでに言わせていただくと、そういう分け方の他に、できれば大学の現在の課題、問題点、そういうものを整理して出していただければ、何となく我々も理解しやすいのかなと思います。ちょっとひとまず。

【木村主査】 ありがとうございました。他にございませんでしょうか。入試の問題は、私も以前から非常に重要な問題だと認識しています。高校入試を受ける必要がない学校が最近できてきました。宮崎県の五ヶ瀬という非常にユニークな中高一貫教育を行っている学校ですが、出てくる生徒の質が随分違っているようですね。森の中のすばらしい環境に置いたということが一つと、全寮制、つまり6年一緒で異年齢集団のつき合いがある。自分の好きなことを時間をかけて見つけられるということで、随分効果が出ているやに聞いております。15歳の春というのがありませんから、のんびりできるんですね。

【牛尾委員】 この項目からいくと、2番目の入口管理と出口管理の問題というのは、表現は余りよくないけれども、入試もある程度はするけれども、卒業はなかなか簡単ではないということをしないと、私もアメリカの経験しかありませんけど、アメリカの大学院であんなに勉強したことは生まれて初めてで、勉強しないとできないようになっているんですね。リーディング・アサインメントが大学の場合は1教科で10冊もありますしね。本が買えないから図書館使うようになりますから、しかも図書館も予約しないと、20冊ぐらいしか置いていませんから、それを皆わあっと借りに行くものだから、予約して図書館へ行って本を読むなんていうことは東京大学では余りなかったものですからね。それで日本語で読んでも追いつかないのに英語では本当に苦労した。だけど、確かに身につきますね。

 だから、勉強しやすい、勉強させるようなことをもっと真剣に考える必要があるのではないか。留学生に対してはティーチング・アシスタント、外国の学生でも親身になって手伝ってくれる。アシスタント制度というのはいいですね。あちらの大学は3人ずつぐらい持っているわけです。それは大学の先生の10分の1から5分の1ぐらいのアルバイト料みたいで、リサーチ・アシスタントが簡単な仕事を全部手伝うんですね。ティーチング・アシスタントは、先生の代わりに、遅れた人やわからない人にいろいろと教えてくれて教育してくれる。そういう勉強しやすい雰囲気もあるし、勉強しなければならない。

 日本の、特に社会科学系統は全く大学卒も大学院卒も余り差がないというぐらいに勉強のさせ方が下手なんですね。自然科学の方は歴然と差がありますね。大学院とかティーチングの人もよく採りますけれども、差がある。その辺は制度的な問題もあるのではないかという気がする。

 もう一つは、今、河野さんも触れましたが、高等学校か大学かどこかでミッション・コンシャス=使命感を持たせないといけないですね。昔の旧制高校というのは、おだてるから、天下をしょっているような感じでずっと勉強するものですから、そのプラスマイナスもあると思うんですが、今は余りにもミッション・コンシャスでないというか、自分のことしか考えていないというのが非常にあるのではないか。

 もう一つは、時代が非常に変わってきたから、国際性というか、英語がしゃべれるとか、国内自由に横に歩けるとか、大学でも国内でも二つぐらいで動け、卒業する。海外にも単位が交換できるというのはもっと考える必要があると思う。

 それとITの導入で、本当に一流の大学の先生の講義だって聞けるわけでしょう、本当にITをちゃんとするつもりなら。経済学でも西洋医学でも優秀な人はいっぱいいて、その人のを聞いて、その後のディスカッション・コーディネーターを現実の先生がするとか、そういうような時代が当然やってくると思うんですね。だから、ティーチング・プロフェッサーとリサーチのプロフェッサーは日本ではほとんど兼ねている人が多いのですけれども、ティーチング・ファンクションに関しては相当ITの利用で様子が変わってくるのではないか。だから、その意味では当然教育環境が変わっているのですから、技術的なものはどんどん進歩させるべきであって、そんなことしたら大学の先生が失業するじゃないか。それは別に横に置いておいて、世界の一番いいものをどんどん活用する技術的なものは使う。しかし、今度指導されながらというのが非常に大事。そういう意味では、教科以外に指導教授みたいな関係というのはやっぱり大学でもあった方がいいのではないかと思う。旧制高校では指導教官はいた。自分で選んで何もかも相談できる。これは生徒が先生を選ぶから、一層偏るけれども、非常にそれが緊張感あるんですね。昔の制度のいいところも学ぶし、国際的な機能との交流を通じていいものはどんどん取り入れる。

 ここにも書いてありますけれども、語学教育というものは非常に大事だと思うので、バイリンガルは当然3カ国語ぐらいまで大学を卒業するときにしゃべれるようになっていれば大分違うだろう。最近海外帰国子女がビジネスから非常に見直されているというのは、語学力もあるけれども、あちらで育った人は非常に自立をしているから、非常に責任感があるという感じがするので、どこか制度はあるのではないかと思うんですね。

 義務教育じゃないんだから、やる気のない人は出て行ってもらったらいいというぐらいの厳しさがあっていいと思うんですね。勉強する気のない学生、キャンパスで遊びたいから大学に入っているという、それは出て行ってもらった方がいいというぐらいの厳しさがあっていいのではないかと思いますね。

【木村主査】 昨日は義務教育の段階で放り出せという議論が出ていましたね(笑)。私も賛成です。

(クラーク委員入室)

【牛尾委員】 ましてや大学は義務教育じゃないんだからね。

【木村主査】 ありがとうございました。

【河野委員】 今のお話で、昔の高等教育学校というのは入るのは試験があったんです。だれでも受けられるけれども、入ると非常に特別扱いというか、大学に行くのは行きやすかったわけですね。そこではわりに試験というので振り落としていたんですね。そういう考え方もあった。

【牛尾委員】 落第が多かったね、旧制高校は。

【木村主査】 厳しかったようです。

【河野委員】 そういう考え方と、今、牛尾さんが言われたようにアメリカ的な出口管理で、大学のときにかっちりやるかというのと、この辺はどちらですか、わからないんだけれども。

【牛尾委員】 2種類あって、選ばせるのも手かもしれないですね。

【河野委員】 徹底的に選ばせる。旧制高校もいいところがありました。

【田中委員】 今の問題で、これまで議論になってきた初等、中等教育の問題点もかなり大学の入試制度が非常にそこに焦点が合わせ過ぎているところがありますから、大学に入ったら、今、牛尾さんおっしゃったように、特に文系の学部というのは、一体付加価値は何かというのが一番問われているところでありまして、やっぱり大学の再編成が必要で、教養教育も大事ですしプロフェッショナル教育も大事なので、これを今の4年一貫になってから、どちらも中途半端になってしまっているところがあるので、工学部なんか比較的うまくいっていると思うんですけれども、3年ぐらいのカレッジにして、後の3年ぐらいをプロフェッショナルとグラデュエートに分けるとかというような形にする。

【牛尾委員】 ロースクール。

【田中委員】 はい。大学の入学の段階でなくして、3年ぐらいみっちり教育した後で進路を選ばせるというので、もう少し進路を選択する時期を遅らせて、その段階で社会人も採り入れるというような形で、間口を広げないと、今、18歳で全部決まってしまって、あと、そこからいずれにも広めていくかというのばかりやっている感じがするんですね。ただ、そのためには、大学の特に文系の場合、我々が教えるのも一生懸命やらんとあかんということもあるんですけれども、体制として、文系の教育システムというのは、今まで大教室で講義して、試験をパッとやって、それで評価するというふうなシステムでやってきて、それは国立だけじゃなくて私学はもっとひどいと。

 文科系では、工学部も同じように研究単位つくって、ティーチング・アシスタント使って実験とかいろいろやると同じような形で、しゃべったり物を読んだりするというのも少人数でやれば、もうちょっと付加価値つけれると思うんですね。今のシステムでやると、やる子はやる、やらない子はやらない。制度が画一的になってしまっているから、みんなやらない子に合わせて制度設計されているから、やりたいという人に対して西欧的なサポートシステムが全然なくなってしまっている。

 “エリート”という言葉は問題ですけれども、国際的に、私は「競争力」という言葉は余り好きではないんですが、国際的な発進力とか国際的に信頼できる、そういう人を育てる上でも、みんなが何となく足を引っ張り合って、低いところで照準を合わせてしまっている。この状況をやっぱり打開する必要があるのではないかという感じがするので、それは生涯教育の問題も含めて、大学の4年−2年−3年というシステムを考え直した方がいいのではないかという気がするんです。

 ただ、そうして、旧制に戻したらいいかどうかというのも、私は教養教育と諸教科の育む教育の充実ということの関係について、何となく教養と職業というのは、飯を食う話は別だというふうな形で教養というのは云々されているんだけれども、本当は職業教育の中に教養がビルト・インされてないとだめだと思うので、旧制高校的な教養というのを、今の時代の教養としてもう一遍やるかどうかというのは別問題だと思うんですけれども、そういう職業というんですか、一種の使命感を持ったボケーションとかプロフェッションとしての教育というふうになってくると、やっぱり職業教育と一体となった教養教育というのを充実させる必要があるのではないかと思うんです。

 カレッジの段階では、牛尾さんおっしゃったように、かなりITを使ってやると。例えば放送大学のような仕組みでベーシックな講義はする、あとはチュートリアル的な人をたくさん置いて、そこでやりたい人にはどんどん施設を提供するというような形で、今みたいにまんべんなく、いろんな科目を全部並べて教養教育やっても仕方がない感じがするのですがね。

【木村主査】 非常に難しいことだと思いますが、マーチン・トロウの云うように、やっぱりエリートとマスとユニバーサルに分けなければだめですね。全部に同じようなことをするというのは無理で、今、旧制高校の話が出ましたけど、エリートの養成機関を何とか残すようなシステムを今から構築する必要がありますね。レジャーランドの大学も一番下にあってもいいじゃないか、そういうふうに割り切らないとなかなかうまくいかないと思います。

 黒田さん何か。

【黒田委員】 私は旧制高校知りませんので(笑)。

【田中委員】 私も知らないです(笑)。

【木村主査】 おやじから聞いているだけです(笑)。

【黒田委員】 だから何とも言えないんですが、やはり大学の進学率が8%ぐらいから50%、もう80%いく時代で、同じ大学というイメージでは語れないと思うんですね。そのときに一つ「大学」だというふうにディスカッションしていられなくて、昨日の第一分科会でも小、中でも習熟度別のクラスがという話も出たくらいなんですが、大学はやっぱりresearch oriented universityみたいな大学と、(research orietnted universityというのは、世界のそれこそトップの研究大学と競合できるようなそういう意味ですね。)それから、もう一つは、地方のコミュニティに貢献できるようなuniversity。三つぐらい、どうしたってカラー分けせざるを得なくて、それぞれの目的に合ったやり方があると。だから、太っている人に、もっと食べなさいと言って、痩せている人にダイエットしなさいと言ったのでは困るわけで、やっぱり痩せている人にはもう少し食べさせる。それぞれ目指すところが違うのだから、出していく方針も全然違っていかなければいけないと思っています。

 research oriented universityだけが日本にあったらいいかというと、そうではなくて、全体のレベルアップに貢献する大学が当然必要です。だけど、今の日本の一つの欠陥として、“エリート”という言葉がタブーになってしまったように、非常にトップの大学、世界のマップに載る大学と私はよく言うんですが、大学院で博士号を取ったときにどこの大学でポスドクをやろうか、あるいは学部を出たとき、どこの大学院に行こうかというときに海外も含めて考えるんですね。私はイギリスのことしか知りませんが、そのときに、日本のあの大学院、ポスドクは日本のあの大学の研究室というふうに世界のマップに載るような大学が相当ないといけないわけですね。あるいは小さい大学のこの学部・学科でもいいし、この先生でも実はいいんですが、そういうresearch oriented university、(department)というのは絶対に必要だと。

 そこでやる方式と投資の仕方は、そんなにリサーチだけをやらないような、ティーチングにも非常に力を入れてやるところとはウエートのかけ方が違う。だから必ず一つで括ってしまうということはまずいと思っています。

 大学審議会にも参加させていただいているんですけど、どうしても答申が「大学は」という話になるし、文系、理系はやり方が違うんだから、文系と理系にも同じように扱って、「大学は」と言わないでくださいと言っても、やっぱり出てくるのは一つの答申になってしまって非常に困っています。大学の目的、学問の性格と会議ではいろいろディスカッションするのですが、最後になるとやっぱり一つになってしまい、多様性が失われる。もうそこを避けて通れないんじゃないかと思うんですね。相違を言いたくない気持ちも重々よくわかるんですが、そんなことしてたら本当に全部がつぶれてしまうのではないかということを非常に心配しています。それが一つの大きなことです。

【木村主査】 クラークさん、何か。

【クラーク委員】 外国の経験から申し上げれば、私はオーストラリアなんですけど、イギリスも同じだと思う。一般教養は大学の役割ではないです。アメリカはそうなんですけど、イギリス、オーストラリアは高校でやるんです。非常に幅広く、私の場合、卒業試験7科目だったんです。

【牛尾委員】 高校で。

【クラーク委員】 必ず物理と化学、数学、私の場合数学二つだったんです。あとは歴史、フランス語、英語。つまり非常に幅広く教育される。日本は入学試験の弊害、これがある限りできないんです。3科目か4科目に集中する。一番好ましくないのは英語ですね。申し訳ない、今日ちょっと遅れまして、英語教育改善の委員会から参りまして、激論、激戦となったんですよ(笑)。高校で英語を必修にすべきかどうか。みんな当然のこと必修すべきと言っていた。でも、もしあの3年間の高校の英語教育がマイナス効果だったら、国が強制的に間違った英語教育を受けさせる権利はないはずです。私がそういったら中曾根さんもちょっとびっくりしてました(笑)。あれは選択にすべきですよ。

 いまだと大学に入って一般教養必要なんです。しかし入学試験の問題がなければ、高校で幅広く一般教養が勉強できる。アングロサクソン、アメリカ以外の常識は、大学に入って、すぐ専門を勉強する。でももうちょっと幅広くやりたければ、「ダブル専攻」という手もあります。経済学と法学とか、オーストラリアだったら日本語と経済とか法学とか、外国では語学は高校でなくて大学なんです。

 私はresearch universityからの亡命者なんですけれども(笑)、オーストラリア国立大学といいますが、非常に象牙の塔的になっちゃっているんですよ。そのような高いレベルの学習は、これは大学院の役割ではないか。

【黒田委員】 今、大学院も含めての話をしています。

【クラーク委員】 もう一つは、さっきおっしゃったように、進学率80%までいく可能性十分あるんです。外国では分けてやっているんです。特にオーストラリアは専門学校にかなり一つの評価があります。一般の大学にふさわしくない人たちはそういう専門学校。コミュニティ・カレッジも非常に流行っています。イギリス、オーストラリア、アメリカもね。日本の場合はコミニティ・カレッジは非常に少ない。だから、そういう役割分担でいけばどうでしょうか。残念ながら専門学校の評判は日本は低いでしょう。

(草野委員入室)

【木村主査】 最近は少し上がってきました。

【クラーク委員】 よかった。

【木村主査】 少しですが専門学校の質は上がってきているんですよ。

【クラーク委員】 オーストラリアで上がった一つの理由は、語学は専門的に教えるんです。だから大学よりも、例えば日本語を覚えようと思えば専門学校でやっています。かなり優秀な学生にとって、将来は日本語大事でしょう。日本語できる人、少ないから。

【木村主査】 それと専門学校がオーストラリアで評価された理由として、アングロサクソンの世界は特にそうだと思うんですけど、例えば就職するときにスキルを要求するでしょう。日本の場合は、就職というときに余りスキルを要求しないですね。

【牛尾委員】 最近要求するんですか。

【木村主査】 最近はね。一時は、東大の法学部なら、みんな合格したんだから。そこが問題なんですよ。

【牛尾委員】 人を採っていたから。

【クラーク委員】 特にオーストラリアで合格要因はコンピュータ・スキル。そういう意味で、うちの大学はますます専門学校化しています。ちょっと内緒ですけれども(笑)。

【牛尾委員】 それは増えますよ。

【クラーク委員】 既に4分の1、就職決まっているんです。それで調べてみれば、みんなシステム・エンジニアなんです。うちは情報と経営、経営の連中は就職は余り抜群でないけれども、情報だとコンピュータですぐ。

【町村総理補佐官】 大阪の専門学校が、この4月に入ってきた学生の35%が4年制の大学を出た人です。これはどんどんいい専門学校の入学者は、4年制大学卒業の人が入って1年とか2年いると。大分変わってきていますね。

【黒田委員】 ダブル・スクールですね。

【クラーク委員】 うちの息子、今、就職活動なんですけれども、コンピュータに非常に興味あるんですけど、コンピュータ・スキルがなければほとんど採ってくれないんです。というのは、会社の中で訓練受けて、2〜3年たって外資系に入ってしまう。だから、会社に入る前にそのスキルを身につけなくちゃいけないんです。ますます日本はそういうふうになるのではないか。そうすると専門学校の評判はある程度上がるんじゃないですか。

【木村主査】 データを出してもらいたいんですが、専門高校の卒業生の離職率が一時高かったですね。それがたしか最近逆転していますね。最近見たデータだと普通高校の人の離職率が高くて、専門高校出た人の離職率が減っているんですよ。それだけ世の中がスキルというものを評価し出した結果ではないかという気がするんですね。最近見たデータで多分間違いないと思うので是非出していただきたい。

 もう一つ、『東洋経済』だったか『ダイヤモンド』だったか、「最近のニュービジネスのリーダーたち」という特集を何年か前にやったことがあります。100人程のリーダーを取り挙げていたんですが、そのうち4割は専門高校の御卒業の方だったように記憶しています。それを見て大学へ行く意味があるのか(笑)、そんな気がしたことがあります。

【クラーク委員】 一つはエリート教育は必要なんです。エリート教育は大学院に集中すれば、例の学歴社会の問題、ある程度改善できる。というのは、普通の大学に入ってもよく勉強すれば、アメリカ、オーストラリアでは、大学の成績よければ、エリート大学院に入れるんです。つまり、18歳で決まるわけではないから、必死になってエリート大学に入らなくてもいい。普通の大学へ入ってよく勉強すれば、エリート大学院に入れるんです。そうするとエリート教育は非常に一般化されるんです。日本はそういう選択はないです。

【牛尾委員】 自然科学はわりとそれがあるんです。

【クラーク委員】 何?

【牛尾委員】 ナチュラル・サイエンスはね。

【クラーク委員】 自然科学。

【牛尾委員】 自然科学で、一番歓迎して採るのは、二流大学の優秀な人が、一流大学の大学院に入っている場合、一番使えるんですよ。

【クラーク委員】 これは朗報ですね。

【牛尾委員】 終始一流大学の人は何か鼻持ちならないところがあってビジネスとしては使いにくいんだけど、4年制の方がちょっと落ちて、後ほど高くなって、自然科学はそういう先行の能力があるんです。しかし社会科学の人物はちょっと難しいですね。半分ぐらいはグレードアップするけれども。

【田中委員】 しかし、法学の場合もだんだん最近状況が変わってきてまして、専修コースを東大とか京大が始めてから、入学する人は外部の人が多くて、内部の人は学部で卒業して就職するケースが依然として圧倒的ですが。専修コースでは外部の人がかなりレベルアップして出ていくということになってきています。

【町村総理補佐官】 修士ですか。

【田中委員】 修士課程の専修コースです。

【牛尾委員】 4年生から選ぶというのはいいよね。上へ上がるのは。

【木村主査】 学部までを含めて、エリート大学を作ろうと思っても無理なんじゃないでしょうか。日本の社会は受け入れないと思うんですよ。

【牛尾委員】 大学院に接するというのは非常にいいね。

【田中委員】 そうなんですよ。

【牛尾委員】 そうそう。

【木村主査】 ケンブリッジに居ましたときに、30人近くリサーチ・スチューデント、大学院の学生がいたんですけど、ケンブリッジの卒業生は5人位しかいませんでした。あとは全部他の大学から来ている。

【牛尾委員】 大体そうですね。大学院に非常にレベルの高いものを求めて、そこへ自由に入れるようにする。クラーク先生がおっしゃったダブル・スクール。今、企業でIT関係をやっている人の半分ぐらいは文学部出身の人が多いんですよ。これは大学時に全く文学やらないで、ダブル・スクールでITをやっているわけです。専門学校へ行って、それで入ってきて、文学だから非常に発想の幅が広くて、技術はダブル・スクールでとっているというのがわりとうまくいっているんですよ。工学部、理学部の人は全然こうだからね(笑)。文学部のダブル・スクールがわりと成功しているんですよ。

【クラーク委員】 日本はダブル・スクールできます、大学で余り勉強しないから。

【黒田委員】 ダブル・メージャーね。

【クラーク委員】 外国はダブル・メージャー、ダブル専攻。

【牛尾委員】 ダブル・メージャーね。

【木村主査】 エリートをつくるのであれば、大学院のレベルですね。

【クラーク委員】 同じ大学だったら、学部3年、すぐ大学院に入れるんですけど、大学変えればできますか。

【木村主査】 大学変えることもできるんですよ。私どもやりましたから、第1号は、千葉大の3年生がうちへ来た。3年スキップでできるんです。

【クラーク委員】 できる。これは一番いい。

【木村主査】 できるといっても、それをもっともっといろいろな大学にやって貰わなければいけないんですよ。先進的な先生がいたから、それができたんですが、大体は自分のところの学生が欲しいんです。

【牛尾委員】 全ての大学がそれをされたら困るんですね。

【黒田委員】 そうそう。

【牛尾委員】 ユニバーシティね。ハイクラス・ユニバーシティだけが大学院を充実して、大学生の半分は3年生から行きたい人は上へ行くと。

【クラーク委員】 同じ大学の3年生でしょう。

【牛尾委員】 そうそう。

【クラーク委員】 外の3年生じゃない。

【牛尾委員】 それも。

【クラーク委員】 これは問題なんですよ。これは増やさないと。

【黒田委員】 でも純粋な試験なので、うちの大学の場合なんか、4割か3割、外から入ってくる。純粋に学外、学内関係なしの試験をやっていて、大体3倍ぐらい倍率ありますから、大学院入るときに。

【牛尾委員】 それで比率は、学内と学外。

【黒田委員】 大体4対6か3対7で、学内が多いんです。やっぱり試験がどういう傾向かとかどういう講義があるのか知っていて有利なのか、本当に優秀なのか知りませんが、完全に平等な試験をやります。

【木村主査】 大学院でエリート化するというのは、多分日本で唯一できることだと思うんですが、「大学院重点化」というのをやっちゃったでしょう。やたら定員を増やしちゃったんですよ。

【黒田委員】 それで困っています。

【田中委員】 そうなんですね。

【木村主査】 東工大なんて、学部の定員より大学院の定員の方がはるかに多いんです。みんな入っちゃうんですよ。東大の工学部がものすごく広げたから、うちの試験落ちた連中が大勢東大へ入るという現象が起きたことがある。これではエリートにならないんですね。

【黒田委員】 ならないですね。

【木村主査】 その辺をもう一つ工夫しなければいけない。

【黒田委員】 おまけにもう一つあるのは、「大学院重点化」で、津々浦々の大学まで大学院重点化で博士課程つくりをめざしていて、博士課程がないと格好が悪いから、人が集められないといって、つくって、定員を充足できないから、自分の奥さんまで登録してもらうとか、そんなひどいことになっているそうです。そんな博士をつくったら優秀な留学生は来ない。つまり日本の博士号をとっても何も意味がないことになり、結局は自分の首締めている。大学審議会でも、私、随分反対の意見を申し上げたんですよ。質を考えずに大学院の定員増やすというのは反対だ、結局は長い目で見て自分たちの首締める、ということを言って。

 日本の東大、京大、東工大他、国公私の優秀な大学の博士というのはこんなすごいんだと。そしたら、ちょっと無理をしてでも、自分の国の学生、あるいは自分の子どもはそこの大学院にやるということはあるけど、何だ、いわゆる有名大学も含めて日本の博士を取ってもこんなぐらいなのかといって、みんなアメリカに行ってしまう。次はヨーロッパに行ってしまう。優秀な留学生は日本に来ないということを日本はいわゆる「大学院の重点化」でやっているんですよね。

【木村主査】 それとの関係で大問題。

【田中委員】 大学院重点化をするときに、ポリシーとして数を増やせということを余りにドッキングさせすぎると思うんですね。

【木村主査】 答申で出しましたからね。

【田中委員】 はい。数を増やさなくて、本当にいい人を育てるという発想でなくして、まず数を増やしなさいと。数を増やせば、その中からいい質の者がででくるでしょうといった発想が強過ぎると思うんですね。

【牛尾委員】 それで平等の精神があって、どんな充実してない大学にも申請すれば全部認めていくというのはよくないですよ。

【黒田委員】 でも、私は大学審議会で、質が先であり、その数は絶対反対だと、マイノリティーで反対し続けたんですけど、マイノリティーだったから受け入れられませんでした。

【牛尾委員】 学部単位で1個増やしたら、どこか減らさないとね。

【黒田委員】 そうです。30万人を25万人に減らさせていただきましたが(笑)、でも、私は絶対反対であると言い続けました。

【木村主査】 数の論理になっちゃったんですよね。質の論理が落ちちゃって、そこをどうするか。

【牛尾委員】 今、問われているのは質だから。

【黒田委員】 こうなるのは目に見えているし、もっと悪くなるのも目に見えていて、でも今も、どんどん博士課程をつくっていて。

【木村主査】 クラーク先生、今の問題どうですか。大学院の定員、日本はものすごく増やしちゃったんですよ。

【クラーク委員】 ますますエリートはエリート大学の大学院に集中するんですよ。エリートでない人はどこでもいいです。大学院増やしても、好ましくないけど、悪いことではない。問題はエリート大学のエリート大学院をもっとオープンにしないと。

【黒田委員】 オープンなんですよ、それは。

【木村主査】 東京工業大学では修士の半分ぐらいは学内推薦で採ってしまう。学生の囲い込みですね。

【黒田委員】 東工大の囲い込みといって有名(笑)。

【牛尾委員】 そうなの。

【黒田委員】 うちはやってません。東工大は囲い込みやってます(笑)。

【木村主査】 私はもう関係ないですから(笑)。

【黒田委員】 けしからんと言っています、みんなで。

【木村主査】 囲い込みやっちゃうんです。オープンじゃないんです。

【牛尾委員】 私学から国立の大学院には入りにくいんですか。

【黒田委員】 いえ、とんでもない。

【木村主査】 東工大は、理科大から200名位いただいています。

【黒田委員】 私の研究室も理科大と慶應とあと国立だと名古屋、北大、東北大といますね。私の研究室は半分ぐらいが学外なんですが。

【木村主査】 オープンにすることですね、一つはね。

【黒田委員】 東工大みたいなやり方はいけない(笑)。

【牛尾委員】 オープンに3年生でもとれるようにしないとね。

【黒田委員】 そうです。

【クラーク委員】 申し訳ない、ちょっと遅れましたけど、一般教養に関して結論出ましたか。

【黒田委員】 まだ全然始まってません。

【木村主査】 今、河野さんから高等教育のお話が。

【牛尾委員】 その前に、高校の試験をなくして6年制にして、一般教養を試験なしで高校でする、そういう感じの話はちょっとありましたね。

【黒田委員】 だけど、大学院の人数が多くなるのは構わないというけど、予算総額は同じなんですよ。エリートがエリートたるにはそれだけのお金が必要なんですよ。やっぱりイギリスも高等教育が大衆化したわけですね。進学率が前は8%ぐらいが今は36か37%ぐらい、一挙になったんです、非常に短い期間に。昔のポリテックも名前だけはユニバーシティになったわけですね。でも、そこには歴然とした差があって、重点配分しているわけですね。スタッフと大学生の数の割合も違うんですよ。だから、トップのユニバーシティだと1対4ぐらい許されるわけですね。そうじゃないところは1対8とか1対11とか、そういうふうにものすごく……。

【牛尾委員】 差別。

【黒田委員】 差別というか。

【牛尾委員】 一律配分ですよ。日本は一律主義だから。

【黒田委員】 ええ。

【木村主査】 教育のエクスペンスと研究のエクスペンスをはっきり区別して扱っています。教育については評価しますが、そのエクスペンスは大体均等に渡しています。もちろん学生数とか、例えば工学部だと金がかかるから余計渡すとか、そういうことはやっていますが。これに対し研究のエクスペンスは徹底的に競争させて渡すようになっています。

【牛尾委員】 自由に競争できるんですか。

【木村主査】 競争というのは、プロポーザルを出させ審査したり、研究の評価をして、おまえのところはよくやっているから、余計にやろうというようなことをやっています。イングランドでは、今、大学の数は70〜80になっていると思いますけど、大きなリサーチ・ファンド、まとまった研究資金もらっているところは20弱しかありません。徹底的に差別して渡しています。

【黒田委員】 そうです。

【クラーク委員】 その中にひずみがない。

【黒田委員】 もちろんあります。どんなシステムでもひずみはあって、有名教授を連れてくれば、その人の過去の何年かのインパクト・ファクターの高い論文もついてきますから。

【牛尾委員】 そういう考え方を持つことはプラスだよね。

【黒田委員】 まあ、そうですね。だから、いい給料をオファーするわけですよ。

【木村主査】 現実、研究面だけから言うと、ここ10年ぐらいの英国のプロダクティビティものすごく上がっているんですよ。

【黒田委員】 さっきの少人数教育じゃないですけど、チュートリアル・システムというのがすごくあって、オックスフォードは1年生から先生と学生4人ぐらいで論文を読んでディスカッションして、そういうことができるわけですね。

【牛尾委員】 1対4でね。

【黒田委員】 1対4ぐらい。それを全ての大学にはとてもできないから、他はマス教育をやっているわけです。ケンブリッジ、オックスフォードとか、トップのところはそういう教育を許しているし、それだけお金を投じているわけですね。

 もしも日本の教育予算のパイが決められているのだとすると、全ての大学に博士課程ができたら、予算は全体に薄くなっていって、トップのユニバーシティも重点化する前よりもレベルダウンせざるを得ないですよね。

【牛尾委員】 それはどうすればいいの。

【木村主査】 評価を徹底的にやることです。

【牛尾委員】 日本は評価をしにくいんじゃないの。評価能力がない。

【木村主査】 今度私どものところでやらされるんですよ(笑)。

【河野委員】 クラークさん、今おっしゃったエリートの大学院。これは競争でエリート大学院になるんですか。

【クラーク委員】 何となく評判になって、優秀な学生はそこに入りたいんですよ。

【牛尾委員】 アメリカなんかはそういう雑誌があって、評価するんですよ。

【牛尾委員】 経済ならどこ、ビジネスならどこ、全部出て、それはいろんな評価指数があって、初任給まであるんですよ。ビジネス・スクールだったら、ハーバードは4万ドルで、並のスクールは2万 2,000ドル、みんな点数があるんですね。全部総合して大学としての順位がついて、それは時どき変わる。スタンフォード大学やカリフォルニア大学、バークレーとか、そういう評価雑誌がいっぱいあるわけですよ。

【木村主査】 雑誌がいいかどうかは分りませんが。

【牛尾委員】 一般的な評価と専門的な評価と2個ないといけないですね。何となくおさまる。

【クラーク委員】 黒田さんのポイント大事なんです。少人数でチュートリアルでしょう。

【黒田委員】 チュートリアルです。

【クラーク委員】 うちの多摩で実験的にやっているんです。文部省に言わないでください(笑)。

【牛尾委員】 ここにいっぱいいる(笑)。

【黒田委員】 耳を閉じて、いっぱいいます(笑)。

【クラーク委員】 明らかに単位が多過ぎます。

【木村主査】 多過ぎますね。

【クラーク委員】 だから、どうしようもない。うちの場合は、前期は講義、後期は成績のいい学生だけなんですけど、続けてチュートリアル、ミニゼミみたいな形で、続けて、演習。演習というのは単位もあげるんです。そうすると単位は倍増。けど、優秀な学生しか入れないんです。あれで先生の負担も重くなくて、かえって好きな学生とね。

【牛尾委員】 優秀な学生はどうやって決めるんですか。

【クラーク委員】 もちろん期末テスト。

【木村主査】 成績で。

【クラーク委員】 成績で。それで人数は少人数で、毎週でなくてもいいんです。月一回、小論文準備して、この本を読みなさいとか、それを先生の前でプレゼンテーションをやるんですよ。あれでうまく動いているんです。それで普通の学生は今までと同じやり方なんです。

【牛尾委員】 4年生のところでそれをやってしまう。

【クラーク委員】 全部です。1年生から。私の場合は2年生なんですけどね。

【黒田委員】 成績の悪い学生は。

【クラーク委員】 今までと同じ。

【黒田委員】 他のをたくさん取らなければいけない。

【河野委員】 多摩大学は留年はできないんじゃないですか。

【クラーク委員】 留年できます。

【河野委員】 いくらでもできるんですか。

【クラーク委員】 決まっているでしょう、文部省の規定で。

【河野委員】 みんな追い出しちゃうとか何とかって。

【クラーク委員】 追い出したい学生多いんですけどね(笑)。けど、難しいんです。とにかく、ああいう簡単な変更で、教育の雰囲気も随分よくなりました。

【黒田委員】 だけど、今、先生方がものすごく忙しいから、そんなことやってられないわけで、もっと教員を増やしてもらわないと大変なわけですね。今、大学院化して大学院生を……。

【木村主査】 学生を減らすか。

【黒田委員】 学生を減らすというか、教員を増やしてくれるのが一番ありがたいんですけど。

【牛尾委員】 人口が減っているんだから、学生を減らすというのも手だね。

【黒田委員】 逆に増えているんですよ。

【クラーク委員】 こういうやり方で、チュートリアルを月一回、結果は抱えている学生は大体20ぐらい。ちょっと少ないけど、十分といけますよ。

【木村主査】 草野さん何か、大体人材育成と高等教育というところに議論が来ているようですが。

【草野委員】 大学院に行ったこともないし(笑)、先生になったこともないものですから、実体はよくわからないんですけど。エリート教育という意味では、これから大学院というのは一つの大きなポイントになってくるだろうなという感じは持っています。ただ、先ほどちらっと出た、いわゆる本当のエリートと同時に、企業経営側からどういう人材を求めているかというところも、どこかで一遍議論しておきませんと、ある意味では学校側にも責任があるし、経営側にも責任があるだろうと思うんです。

 先ほど牛尾さんおっしゃったように、人で選んで、あとは教育は企業の中でやるよというのがずっと通用した時代で、それがだんだん通用しなくなって、技術系だと4年制は使いものにならない。少なくとも修士、できればドクターを企業が採用する。

 ところが、これからは、その能力では足りないから、もっと学校で企業に使えるような人材を教育してくれと、こういうふうに今大分変わってきているのではないかと思うので、そこら辺のミスマッチというんですか、この辺が今ピークに差しかかっているのかなという、そんな感じは持っています。

【牛尾委員】 おっしゃるとおりですね。

【木村主査】 いわゆる即戦力の学生が欲しい、それはどうしてそうなっちゃったんですか。

【草野委員】 これは私より河野さんとか牛尾さんの方が実業面でやっておられますから。

【牛尾委員】 それは仕事が非常に専門化して国際競争が標準になってくると、初めからすぐ使わないと、しかも専門的な知識を持ってないと困ると。しかし、東京大学法学部の人でも、法学部出身の人でも法解釈ができない人もいる。何故法律はあるのかという勉強はしているけれども。だから、これまでは素質のある学生を採って、学生は素質のある企業に入ったわけです。これからは素質のある能力のある人を採って、こういう職場に働いてもらう。最近は現実がつながるようになってきた。だから中途採用がすごい多いわけです。中途採用がどんどん出てきて、また学生の方も自分のやりたい仕事で中途で動くようになってきた。そういう流れが出てきて、多分にアングロサクソン型になってきた。西欧型の社会に近づいてきたわけです。

 それをはっきり切り替えてなくて、企業の中であいまいなことを言っているんですが、これは両方言わないと、何となく入ってきたやつが、まだ半分以上いるものですから、そこは企業もあいまいなんです。本当は求能力、求職場の関係なんです。これまでは求人、求会社の関係なんです。求人、求会社から求能力、求職場というふうに変わってきたわけです。

【田中委員】 文系の場合、法学とか経済というのは企業の人事政策とか官庁の採用システムとかによって、よかれあしかれ大きく影響を受けるんですね。それが必ずしも一貫しているわけでなくて、今まではとにかく大学は入試で選別してくれれば、あとはオン・ザ・ジョブ・トレーニングでやるというふうになっていた感じですが、急に今度大学教育に対してあれこれ要求するようになると、すぐ役に立つ人材の教育を、ということで、長期的にリーダーを養成するというのではないのです。従来のゼネラリストから今度はスペシャリストだというんだけれども、本当はやっぱり両方要るんですね。そのあたり、これからはオン・ザ・ジョブ・トレーニングは難しくなるし流動性も高まってくると、企業や官庁の採用システムそのものも変えてもらって、大学の方ともうちょっと協議してもらわないと、次から次へと変えられても困るのですね。

【牛尾委員】 ということは、自然科学の方はやっぱりマスターとPh.D. というのはちゃんと使えるような差別をしているわけです。

【田中委員】 前提はそうなんですね。

【牛尾委員】 4年制は余り使えないなという、今マスターはすごいから、これは吸収できると思うんですね。同じように社会科学や人文系をそうしますと、どこが違うのという感じがあるわけですよ。

【田中委員】 大学にも責任あるんですね。

【牛尾委員】 そこのところは話し合う必要があるんですね。

【田中委員】 一体何を到達度として要求していらっしゃるのかということを示されないと、大学としてもいろいろ考えるんですが、大学院重点化をしても、企業も官庁もそれに合わせて採用システムを変えてくれないということになってくると、いつまでも学部卒で就職するのが通常のコースだというような状態が続いてまして、文系の学部としては非常に激しい。

【牛尾委員】 ハイレベルの国際機関は、だからマスターを取ることが基本前提になっているんですね。そういうふうになっているわけですよ。日本の場合はそれがなくて、公務員は全部4年制ですね。マスターで入っても給料は一緒なんでしょう。

【金口審議官】 ちょっと見るようになったんです。

【牛尾委員】 ほとんど差がないでしょう。

【田中委員】 ちょっとましになった。

【牛尾委員】 資格は。

【銭谷室長】 余り関係ないです。

【牛尾委員】 工業技術院なんか、Ph.D.で入った人と、4年制で入った人はちょっと差があるだけだね。

【木村主査】 今度変わります。エージェンシー化しましたから各人の給料に相当の格差が出ることになると思います。

【牛尾委員】 そういう意味で、人文科学、社会科学の場合、その辺はっきりしてないんですね。

【黒田委員】 海外では人文科系のグラデュエート・スクールの教育って、どうなっていますか。完全なジョブ・トレーニングなんですか。

【田中委員】 ビジネス・スクールとかロー・スクールなどは、はっきりプロフェッショナル教育を行うスクールとなっています。

【黒田委員】 そうですね。それ以外のものはないんですか。文学とか。

【田中委員】 それ以外は、ほとんどアカデミックなグラデュエートですね。

【黒田委員】 アカデミック。

【クラーク委員】 例えば経済学はすごく高いレベル。

【牛尾委員】 エコノミックスなんかに行く学生は、MBAに行く学生と数を比べると5分の1か10分の1ですよね。日本というのはやたらと経済学部が多くて、商学部というのは一段低いような感じになって、経済学部の方にみんな行くんですよ。アメリカはエコノミックスにいく人がほとんどいなくて、ビジネスにいくんだったらみんなMBAの方へいくんですよ。

【クラーク委員】 例えば大蔵省とか銀行、一流銀行に入ろうと思えば、経済学の大学院の博士号ぐらいは今要求されていますね。だから、ロー・スクールとかMBAだけではなくて、かなり役割果たしていますね。

【牛尾委員】 それと日本のようにサラリーマンからずっと上がっていって、偉くなるという制度でなくて、金融機関でもバンカーになる人とバンク・クラークになる人とははっきり違うんですよね。だからバンカーになる人というのは必ずしもはじめからバンク・クラークからずっといくんじゃなくて、いろんな大学にいた人がぽーんと急にマネージャーで入ったりしますからね。日本は皆はじめから全部ずっとやっていくから。

【河野委員】 昔に比べてテクニシャンというか、経営のテクニックというのが相当要求されてくるので、単なるゼネラリストではやっぱり使えない。

【牛尾委員】 流動性が出てきたんですね。

【田中委員】 流動性が高まっていけば、高等教育に対するニーズも高まってくると思うんですね。

【牛尾委員】 東京銀行にいて、カリフォルニア大学のマスターに入ってましたら、銀行にいるというと、おまえはバンカーか、バンク・クラークか、何でそんなところにいるんだって、みんなから言われたですね(笑)。バンカーになるのかというわけですね。バンカーというのは、日本語は役員のことだけを言うんで、なかなかそうじゃないだろうというと、不思議な顔されたですね。やや、郵便局員みたいな感じで思われるわけです。差別用語だ(笑)。もっと言うと、特定郵便局に働いているように思われるわけですよ。ビジネスの制度そのものと大学というものにも問題があるんですね。

【河野委員】 学生自身も、専門を追求するか、そうじゃない。専門を追求するというのは得意だというか、追求したいと思っている人も結構いるんじゃないですか。

【田中委員】 日本の法学部の場合は、つぶしがきくというゼネラリスト志向がまだ強く、入ってくる人もそういう傾向がありますしね。

【河野委員】 コーポレート・ガバナンスとかいろんなことがね。

【牛尾委員】 日本は官僚が、やっぱり成績のいい人が、いい成績で公務員になって入ると、それがいきて、早く偉くなるという、学力と栄進の道がどこかつながっているところがあるんですよ。一般企業はそれが余りなくて、むしろ大学の野球部や、東大の試験は通っているけれども、野球部がいいとか、何か違う要素で採る、学力で採ってないわけですよ。その点は公務員の方が一番学力が尊重されるという意味ではつながりやすいでしょうね。

【町村総理補佐官】 どっちがエリートなんですか。それは社会的に。体育会の人がエリートだとか。

【牛尾委員】 これまではやっぱり公務員で成功する人がエリートだったんですよ。その体制は今壊れつつあるんですね。それは非常に過渡期に起こりますよ。

【牛尾委員】 企業に入ると、エリート意識を壊すことが企業教育だと思っている現場が多いでしょう。

【クラーク委員】 特に日本の場合、エリート教育を考えれば、日本では上のオーバー・ドクター・コンプレックスがあるでしょう。もうちょっと飛び入学を考えるべき。というのは、飛び入学だったら大学院卒でも22歳でできるんですよ。それだと差別されないんです、オーバー・ドクターと言われないんです。飛び入学、17歳で大学入るのを、どうしてそんなに、文部省は非常に消極的ですか。千葉大学だけでしょう。

【木村主査】 文部省じゃないんですね。むしろ大学ですね、消極的なのは。

【クラーク委員】 文部省は別に反対ではない?

【木村主査】 いやいや反対じゃないんです。

【町村総理補佐官】 どんどんやってくれと、私は大臣時代に言ったんだけれども、やってくれないんですよ、各大学も。

【木村主査】 大学が非常にコンサーバティブなんです。

【クラーク委員】 私、千葉大学の委員会のメンバーだったんです。3人選ぶために、63人ぐらいがいろいろ官僚的な活動に参加した(笑)。本当に大学は保守的ですね。それも物理と数学だけなんです。

【町村総理補佐官】 物理と数学と、3人とかそんなものでしょう。

【クラーク委員】 本当に残念ですね。

【町村総理補佐官】 どうして、もっといろんな大学がね。どうして17でなくて16でも15でもいいと言わないのかと言っても、絶対にやってくれないですよね。送り出す方も、また高校の方も余りそれを喜ばないようなところがあるんですね。

【牛尾委員】 戦前は、小学校で飛び、中学校で飛び、旧制高校で飛べたから。

【黒田委員】 そのフォローアップ調査が必要だと言っているんですけど。でも学生をとったら、チュートリアルをものすごくしなくちゃいけないんだったら、飛び入学させない方がいいと思うんだけど。

【クラーク委員】 いや、千葉はわざと特別なチュートリアルやっている。やる必要ないです。17歳で試験受けて受かればもう終わりなんです。私、16歳でオックスフォードへ入れたんです。それで、別に特別扱いじゃないです、自由に。

【黒田委員】 だから、それが逆に足引っ張っていると思うんですよ。本当に飛び入学できる人というのは、そんな特別にチュートリアルなんかいらないんですよ。しなくてもいい人がいるんで、そういう人をどんどん入れましょうというのです。千葉大のやり方、私は逆だと思っていて。

【木村主査】 千葉大をディフェンドすれば、入れたけど、大したことないじゃないかと言われたくないからです。大変な反対があったのを、本当に死に物狂いでやって、あそこまでいったわけでしょう。入れたら、それ、見たことかと言われたくないから、ケアしよう、ケアしようとするんですよね。

【黒田委員】 それが今度、ああしなきゃいけないのが何で飛び入学だという意見になるし、逆にあれだけのケアはできないから飛び級は止めようということになるし、それは本質に反すると思うんですね。オックスフォードは14歳でも入れるわけですね。例えば、女の子で、数学で、ルースという名前でしたか、随分話題になりましたけど。

【クラーク委員】 大学、ますます必死になるでしょう、学生を引きつけるために。うちの大学、17歳でも結構ですという態度をとってくれればいいなと。

【牛尾委員】 IT技術が導入されれば、若くて習得するスピードはますますエスカレートするでしょうね。

【木村主査】 この飛び入学でいわゆるスティッキーな議論は、人格が完成してないという議論が出てきちゃうんですよ。これはナンセンスだと思うんですね。人格はそれぞれによって違うわけでしょう、形成のスピードがね。

【クラーク委員】 17歳は大人ですよ。

【木村主査】 数学会の反対は、要するに人格なんですよ。

【牛尾委員】 男女的な成熟は、昔より5歳ぐらい成熟しているよね。それは間違いないですから。

【クラーク委員】 飛び入学で、もう一つの問題は、一極集中問題解決なんです。17歳で優秀だったら、無理に1年ぐらい東大に入るために準備しなくて、地方の優秀な千葉とか広島の大学の試験を受けるんです。東大とか慶應よりも。そうすると優秀な人がだんだん全国的に分散されるのではないか。

【木村主査】 千葉大について、クラーク先生がおっしゃったとおりですが、他の大学もやれば、かなり影響が出てくると思うんですけどね。

【牛尾委員】 沈先生どうですか。

【沈委員】 いやいや、徒弟を仕込んでおる方ですから、別世界の話で聞いております(笑)。

【田中委員】 大学のエリート教育も、そういう徒弟的なところが最後にはあると思うんですよ。それに時間かけないと育たないと思いますね。

【牛尾委員】 今、徒弟的な面がなくなっているんでしょう、大学院はありますか。

【田中委員】 中途半端なんですね。

【木村主査】 まだ、工学部とか理学部にはあるんです。卒業論文のレベルになると、恵まれている大学は、教授1人、助教授1人、助手が2人の、4人で、大体10人とか15人の学生を見ますから、かなり濃密なスーパービジョンができるんですね。そのために人格的なふれあいもできる。私いつも感心しますが、卒論に入ってからの学生の成長、殊に大学院の2年間の成長はすごいですね。全部の学生とは言いませんけど、本当に変わりますよ、ドラマチックに変わる。そういう意味では自分で何かやらなければいけないからと云うことでしょうね。

 私は、余り世の中では言われていませんけれども、戦後の日本の製造業を支えてきたのは彼らだと思っています。修士の連中ですね。

【牛尾委員】 なるほどね。

【クラーク委員】 もう一つ。テーマ、エリート教育でしょう。海外の留学をもっと考えるべきなんです。2年間ぐらい、飛び入学だったら、学部3年、2年間ぐらいの留学もできる。大学院へ行かなくて単なる留学でもいい。これも一種のエリートコースと認めるべきではないかと思います。

【牛尾委員】 これは企業が入ってからどんどんやってますから、非常に成功しています。

【木村主査】 企業はすごいですね。

【クラーク委員】 企業はMBA取るとすぐスカウトされちゃうんです。私の友達、ああいう仕事やっている。

【牛尾委員】 10人のうちの3人が、だけど、3人取り返す(笑)。

【クラーク委員】 ますます企業に入る前に自分の教育に当たらなくちゃならないですね。

【牛尾委員】 企業はそのときは給料は出すは何するは、至れり尽くせりの留学だから、あれはぜいたくな留学だね、考えてみると。

【木村主査】 企業からの留学生は欧米いずれも随分いますね。

【牛尾委員】 給料出しているんだから、みんな。必要な経費まで送ってしまうんだから。

【クラーク委員】 いずれにしても、2年間ぐらいの留学できる余裕を与えないと、そのために、木村さんも私と同じ意見なんですよ。学年は9月からスタートすれば、もうちょっと留学やりやすくなりますね。

【牛尾委員】 それは本当にそうだよね。

【木村主査】 ちょっと話が飛びますが、アメリカはよく知りませんが、ヨーロッパの若者と日本の若者を比べて、日本の若者はモラトリアムの期間を経験していないから社会的に成熟していない。ヨーロッパの若者はモラトリアムの期間があるから、その間に人格形成していったり、将来の進路、選択を決めたりする。日本はいつの頃からか、現役がいいということになっちゃったでしょう。東京大学の先生なんか、現役じゃなければ、人じゃないというようなことを言う人いますからね。

【黒田委員】 今は結構浪人多いから、そんなことはないですよ。

【木村主査】 高等学校3月に出る。大学の入学が9月になると、そこで半年ありますよね。その間にいろんな工夫ができるのではないかと思うんですがね。

【牛尾委員】 高校は3月、全部9月にするのではなくて。

【黒田委員】 半年、人生について考える。海外に行ったり。

【牛尾委員】 その間に悪いことされたら困る。

【木村主査】 社会的ないろんな仕組みをつくれば良いと思いますよ。

【町村総理補佐官】 他の分科会では、そこで半年間、社会奉仕活動を義務づけるかどうかとか、農業経験という河野先生の御提案もあったですね。自衛隊に入るといったら、きっとまた物議醸すかもしれないけれども。いろいろ、その半年の有効活用と。問題は、高校を3月に卒業して就職する人をどうするかという問題がちょっと残っちゃうんですけれどもね。入社も9月だというふうにしちゃえばいいかも。

【木村主査】 一時、20年ぐらい前までは企業も自衛隊へ随分入れていたでしょう。あれ、何でやめちゃったんですか。

【牛尾委員】 あれは社員からだんだん嫌だ嫌だと言ったんですよ。当社でも1カ月出てましたけど、よかったですよ。訓練してくれといってね。

【木村主査】 とんでもない世界に入れられて(笑)。

【草野委員】 今、牛尾さん言われるように、余り評判良くなくなってきたんですね、時代とともにですね。

【牛尾委員】 それから、余りにも境遇の差で、後で感想文をもらうと、自衛隊がこんなにおいしいものを食っているとは思わなかったという人と、よく、まあ、こんなまずいもの食っていると。そのぐらい差があるわけですよ。一律バッと入れるとものすごく印象が違う。自衛隊の教育というのは 500メートルぐらいの山だったら、駆け足で登らさせられますから、私はいいと思うけど、今ものすごく環境に差が出るんですね。こんな、おいしいものを食っているのかというのが2割ぐらいいると思うと、こんなまずいものは食えないというのと。

【木村主査】 仕事柄、防衛大学校の行事にしょっちゅう行きますけど、本当に気合が入っていますよ。あれだけ気合入った若者は最近日本にいないですね。

【牛尾委員】 いいですよ。昔やった、最近なくなっちゃった、そういえばね。知らぬ間に、人事の方も嫌になった。何でこんなことさせられるのかと(笑)。

【クラーク委員】 17歳、センター試験受けられますか。

【銭谷室長】 受けられないです。

【クラーク委員】 やっぱり文部省反対なんです。それだったら、これがネックですよ。

【木村主査】 センター試験は受けなくても、全然問題ないと思いますが。

【クラーク委員】 だけど、ますますうちのはセンター試験よく使っていますよ、資格として。

【木村主査】 それも一つの方法ですね。ディレギュレーション。

【クラーク委員】 これが具体的な提案。

【牛尾委員】 これは試験制だものね。

【黒田委員】 それだけ早く受かれば、それだけ能力あると。

【木村主査】 さっき河野さんおっしゃった、特定の影響力のある大学の入試方法を変えないとだめだと思うんですね。小さい頃からそこの処に焦点を当ててきますから、どうしても知識偏重になっちゃうんですよね。

【牛尾委員】 この間、どなたかおっしゃったね。慶應大学の湘南藤沢キャンパスで追跡調査すると、試験じゃなくて面接で入った人が一番成績がいいと。

【クラーク委員】 面接でもいいんだ、競争。暫定入学で諸問題解決なんです。文部省も喜ぶべきなんです。というのは、暫定だったら、1年終わって定員まで減らさなくちゃならないんです。今ずるくやっていますよ。私、都留大学の評議委員なんですけれども、歩留り、思ったよりも多かった。うちの大学の人気評価されて、堂々と2割オーバーですよ。でも暫定入学だったら1年生だけオーバーですみます。それで必ず定員まで減らさなくちゃいけない。そうすると入学試験は楽になっちゃう。合格ラインの下の人たちも暫定として入ってもいいんです。オーストラリアだと全部暫定なんですけど。合格ラインに近い、定員の3割ぐらい暫定にすればどうですか。入学金もらわないで、1年終わって試験をやって、それで減らすんです。それで入りやすくなるだけではなくて、高校の教科書の暗記ではなくて、1年間ぐらいの大学教育を受けて、あなたは本当に大学にふさわしいかどうか調べられるんですよ。浪人制度は、錦糸町の変な塾で浪人する代わりに大学で勉強する。1年後の足切りで、落ちたらリピートできますよ。浪人は続けますけれども、大学の中で浪人するんです。それだけではなくて、3割ぐらいの学生にとって、一生懸命勉強するインセンティブにもなるし、受かれば入学金もらうんです。それで2年生は正規の学生として続ける。こういう制度を導入しようと思えば、文部省さえ許せば非常に簡単にできますよ。

【牛尾委員】 予備校の人は反対するかもしれないですね。

【クラーク委員】 予備校だけ反対(笑)。

【町村総理補佐官】 落ちた人はどうなるんですか。

【クラーク委員】 落ちたらリピートできます。

【牛尾委員】 もう一回暫定。

【クラーク委員】 もう一回暫定として。

【町村総理補佐官】 それでも落ちたらどうするんですか。

【クラーク委員】 あなた、大学教育にふさわしくないと。別の大学選びなさいとね。

【町村総理補佐官】 別の大学に。

【クラーク委員】 けど、1年終わって、落ちたら反省するんです。本当に大学教育にふさわしいかどうか。自分は反省する。あるいは運が悪くてもう一度リピート、あるいはもうちょっとレベルの低い大学選ぶんです。今の浪人制度と同じなんですけれども、大学の中でやっております。

【町村総理補佐官】 大学生の少なくとも4年のうちの1年間だけは勉強する。あとの3年間は遊べる。

【クラーク委員】 あとは正規としてね。

【木村主査】 大学もやり方次第なんです。

【クラーク委員】 問題は入学金ですよ。もらえば、落とすのは非常に難しい、留年しか方法がないんです、日本の大学はね。暫定の場合は1年の間は入学金もらわない。

【牛尾委員】 授業料もらう。

【クラーク委員】 授業料もらうんです。うちの理事に提案したんです。理事はいろいろ計算したら、かえって収入がちょっとだけ増えるんです。うちの次の教授会は正式に決める。それで賛成であれば、文部省に働きかけるつもりなんです。オーストラリアは全部暫定なんです。それで人気学部だと全部1年生は定員オーバーなんです。それで大体半分は減らす。それで一生懸命勉強していますよ。

【木村主査】 ドイツもそんなシステムですね。

【クラーク委員】 アメリカもある程度。

【牛尾委員】 アメリカの大学生はC、大学院はBの成績をとらなかったら、もう追い出されちゃうんですから。だから自信のないときは試験の答案を出さないわけですよ。それで、だめになったら、これは何となくトップグレードが決まっている。次の大学へ行くんです、ワンランク下の大学。それが4ランクぐらいまである。それを公然と言わないんだけど、ちゃんと決まっているんですよ。

【木村主査】 そこを日本では認めないんです。私が申し上げた、エリートとマスとユニバーサルというふうに区分けができていればね。アメリカはできています。

【牛尾委員】 はっきりじゃないんだけれども、カリフォルニア大学のこの学部で落ちた人はあそこへ行く、大体決まっているんですよ。それともう一つあって、一番最後は非常に専門的な職業学校は大体コミュニティ・カレッジなんです。4回あるものだから、落第ないんです。出て行くしかしようがないんですから。

【クラーク委員】 とにかくうちの教授会の悩みは一つの大学だけそういうふうにすれば、敬遠されるのではないかと。合格ラインギリギリの人が、あなた暫定と言われれば、私、中央とか明治も受かったんです、じゃあ、中央へ行きますとなるのではないかと。多摩大に行けるかどうかわからないんですから。けど、合格ラインの下の人はもちろんこの制度を歓迎するんです。多摩大、普通だったら入れないけど、もう一度チャンス与えられて一生懸命勉強する。

【黒田委員】 あなたは暫定ですと言うの。

【木村主査】 1学年の定員は何人とっておられるんですか。

【クラーク委員】 うちの場合は大体340人です。だから、2割、3割ぐらいです。

【木村主査】 そうすると100人ぐらいを暫定にするんですか。

【クラーク委員】 だから定員オーバーです。

【田中委員】 プラスアルファですか。

【クラーク委員】 70人ぐらい、今考えています。

【木村主査】 そのぐらいだったらいいかもしれませんね。

【牛尾委員】 見えるね。

【木村主査】 要するにマスの大学、今、東大もマスの大学になっちゃったから、インフラが足りないんですよね。そこのところが問題なんです。

【クラーク委員】 35人定員オーバーなんです。そうすると歩留りも、私びっくりしたんですよ、手続率の用語、意味わかりますか。

【木村主査】 入学を許可した者で手続をした者の割合ですね。

【クラーク委員】 手続に入るね。特に少子化の中であれを決めるのは非常に難しいんですよ。本当に骨折っているんですよ。しかし暫定だったら、この問題も解決。それで2年生から文部省の定員どおりでやらなくちゃいけないんです、インチキできないんです。

【町村総理補佐官】 全員が暫定でいいわけですか。

【クラーク委員】 うちの場合は2割、3割。

【黒田委員】 わかっているわけ。

【町村総理補佐官】 だから、下の2〜3割、あなたが暫定入学ですよと。

【クラーク委員】 ええ。

【黒田委員】 言われるわけ。

【クラーク委員】 教授会の心配は、あの人たちは、ほかの大学の方へ逃げてしまうのではないかと。いいんです。合格ラインの下で、どうしても多摩大学に入りたかった学生、大分いるんです。うちは専門的な教育だから。かえって、あの人たちの方、ベターではないかという、私のアイディアなんですけど。

【黒田委員】 でも、だれにも、あなたは暫定だと言わないで、みんなに勉強させたら?みんな、自分は暫定かもしれないと思っていたらいいんじゃないですか(笑)。

【クラーク委員】 みんな暫定にすれば一番いいんですよ。

【黒田委員】 上の 100%の人は安心して勉強しないかもしれない。

【クラーク委員】 今は正規だから余り勉強しないけど。

【黒田委員】 全員が心配で一生懸命勉強すればいい。

【クラーク委員】 とにかくアイディアとして考えるべきではないか。

【木村主査】 もしそれができたら、かなりインパクト大きいですよ。一生懸命勉強するグループができますから。正規の学生はうかうかしていられないことになる。

【クラーク委員】 他の学生にいい影響与えるんです。

【黒田委員】 東大は進学振り分けがあるから、みんな一生懸命勉強を一応するんですよ。

【牛尾委員】 前半の後半でね。理科I類とかあるから、学部。

【黒田委員】 そう。希望の学部学科に行きたい。

【牛尾委員】 成績がよくないと希望どおりに入れない。

【木村主査】 だから、余り勉強しないのは文Iとかそういうところですよ、将来が決まっているから(笑)。

【牛尾委員】 そうですね。大体いい加減に入れてくれるんだよ、定員が枠が多くたって。もういらっしゃい、いらっしゃいですからね。

【黒田委員】 理科系は結構大変、例えば生物化学とか、少し前だったら物理の素粒子とかそういうところへいくのはものすごく倍率が高いわけでね。

【牛尾委員】 何で自然科学と社会科学がこんなに違うんでしょうね。

【黒田委員】 自然科学はよく勉強するんですよね。

【田中委員】 社会科学でも、東大の場合には進振りがあるから勉強するんじゃないですかね。京大なんか4年一貫だから、ずるずるっと進級して、4回生になっても、まだ1回生でとるべき単位をとってないという者がたくさんいます。

【牛尾委員】 ああ、そう(笑)。

【田中委員】 はい。

【木村主査】 暫定入学も一つの手ですね。日本のカルチャーでは全部はできないけれども、一部は。

【田中委員】 あった方がいいと思いますね。

【黒田委員】 試験ないと勉強しないですね。

【田中委員】 4年一貫というのは、結局学部教育全体を教養化してしまったという効果の方が大きいですね。

【木村主査】 さっき補佐官おっしゃったけど、落ちたやつどうするんだと、私もすぐそこへ考えがいくんですけど、そういうのは放っておくんですね。そこまで考えるから何もできない。放っておかなきゃだめじゃないかと思うんですけど、昨日の議論と同じで。

【牛尾委員】 日本の一律というのは一番後ろを歩いている人を大事にするからね。

【木村主査】 それはおもしろい見方ですね。

【牛尾委員】 大体大学院を非常にいいものにする。しかも、若干暗黙に、ここはAクラス、Bクラスあるのが、もっと暗黙にわかりやすくすればいいんですね、本当はね。それで配分も1対4とか1対1で始まる。いいところは1対4にするというようなことを何となく運用上していけば解決する問題ですよ。

【木村主査】 大学院の定員がものすごく増えたんです。充足してないと、何となく文部省に怒られるのではないか、そういう心配があるんですね。ですから満たそう満たそうとするから、それもやめちゃえばいいんですね。

【牛尾委員】 やめてしまえばいい。

【木村主査】 オープンにして、いいやつだけとる。

【牛尾委員】 だめなら、定員が減ってもいいという、そういうことにしないとね。

【黒田委員】 ただ、私立はある数いないと経営が成り立たないとか。

【木村主査】 私が申し上げたのはエリートの大学では襟を正して、いいやつだけとるんだというふうに腹くくっちゃえばということですね。

【牛尾委員】 もうけ制度で言えば、私立というのは4年制の方がもうかるんですね。大学院の方はむしろ出血ですからね。大学院があるからといって、大学生が来るだけだから、いいところへ行けるように開いておけば、私立は必ず変わってくるんじゃないですか。大学院博士コースはむしろマイナスでしょう、経営的には。

【黒田委員】 科研費の配分が1位は東大、次は京大でと、すぐエリートはけしからんとなっちゃうので、それは困る。

【牛尾委員】 そこのところはどうなっているのですか。

【町村総理補佐官】 要するに頭割りで、普通の一般のいろんな経費も配慮して、そこは結果でしか目に見えないから、いい大学にそういうのがバーッといくようにして、事実上も差をつけているわけでいいんですよ。

【黒田委員】 それがいい研究しているから、旧帝大に集まるというのであればそれはいいことだと思うわけ。もしもそうじゃないんだとすると、それは配り方が間違っているのであって。

【町村総理補佐官】 そうかもしれません。でも、結果的にいい研究やっているところにたくさんお金が……。

【黒田委員】 そう、何も悪いことじゃないと思うんですけど。

【町村総理補佐官】 それが東大であれ、東工大であれ、京大であれ、それはそれでいいじゃないですか。だから、申し訳ないけど、私立大学にはほとんど科研費いかないわけですよ。

【黒田委員】 でも私立大学の先生はすぐ「東大ばかりへいく」とかとおっしゃるわけですね。いろいろ会議に出ていても。

【牛尾委員】 言うぐらいは言わせてあげなさいよ(笑)。エリートというのは、それは気にしない。そんなことを気にするようじゃエリートじゃないですよ。

【黒田委員】 エリートじゃないですから(笑)。

【木村主査】 この話題とは直接関係してこないけど、評価という問題があると思うんですよ。評価、確かに牛尾さん言われたように、私も本当に難しいと思う。だけど、やっぱりやらなければいけない。やって、東大がうんと上へいっているとなったら、そこへ金渡すのはこれはしようがないですね。

【牛尾委員】 評価だ。評価というのは結果だけでも難しいしね。

【木村主査】 殊に経営者としては。

【牛尾委員】 やっぱり評価のいい会社というのは伸びるんですから。昔は何となく学校の先生に評価能力があったんですね。成績は悪くても、大事にしようというと、上げてくれたんですよ、そういう判断が非常によくて。今は結果論だけでやるから、評価が薄っぺらくなっているんですよ。

【木村主査】 それと責任をとらされるでしょう。

【牛尾委員】 ということは、本当は教師にできるだけ多い権限を与えればいいんだね、評価力を。そのかわり、できの悪い教師は追放する。追放する制度がないんだ、日本は、みんな「テニワ」だから。

【木村主査】 昨日の議論で、河上先生が、「皆さん方は先生に過剰期待されている。普通のおじさん、おばさんが先生をやっていると思え」とおっしゃいましたが、それを言われるとそれ以上、議論できなくなっちゃう(笑)。

 ただ、昨日の議論で、小、中、高の先生も任期制を導入しろという話が出ましたが、それは非常におもしろいと思いましたね。あれはいいかもしれませんね。

【牛尾委員】 アメリカは優秀な大学でも学生からの評価をする部分がありますね。オーストラリアもそうですか。

【クラーク委員】 うちの場合は評価制度あります。

【牛尾委員】 学生の教授に対する評価。

【クラーク委員】 教授に対する。それで、その結果を見るのは学長と学部長だけなんですけれども、確かに人事でかなり影響されますよ。学生の評価はびっくりしました。案外と客観的です。いや、本当に驚いたんです。

【木村主査】 クラーク先生、ちょっと変節されましたね。以前、そういう議論をしたら、何で全部の学生に評価やらせるんだ。成績のいい2割の学生にやらせろとおっしゃっていましたね。最近は学生の評価は結構当てになるという見方に変わられたようですね。

【牛尾委員】 私は客観的だと思いますよ。

【クラーク委員】 日本の学生は、これは日本の文化かもしれないけれども、人を観察するのがうまいんですよ。割合、欠点とかいい面とか、よく観察しておりますよ。

【黒田委員】 それ、でもどうして一般の先生見ないで学部長だけ?

【クラーク委員】 自分の学生の評価は自分で見て反省しなくちゃいけない。アメリカだったら、完全に公表しますけれども、うちは公表しない。

【黒田委員】 私たちもやってますから。

【クラーク委員】 もちろん担当の先生も見てます。

【牛尾委員】 10分遅れてくると、なぜ、遅れたかとすぐ弁解をまずします。それは評価にかかわるからね。私はそれでびっくりした。東大の教授に比べて、全然腰が低いなと思って(笑)。

【黒田委員】 あの先生は一遍も休講にしなかったって、学生には点数が下がるようになっているんですよ、東大は逆説的には(笑)。

【牛尾委員】 だけど、生徒の評価も少しは制度化した方がいいと思う。

【木村主査】 それは、牛尾さん、今、さかんにやられているんですよ。

【黒田委員】 やってますね。

【木村主査】 相当やってますね。

【田中委員】 公表しているところもありますね。

【牛尾委員】 私はクラーク先生と一緒で、意外と客観的だと思う。

【木村主査】 どこの大学でも相当な勢いでやっています。

【牛尾委員】 うちも研究グループだけは社員にさせますね。

【木村主査】 それは余りマスコミでは取り上げてくれないけど、相当ですよ。東工大では最初は教育施設の評価をやろうと云うことだったのですが、いきなり先生のところまでいっちゃったんですよ。びっくり仰天しました。

【クラーク委員】 いたずらのコメントがかなり出るんではないかと心配したんですけど、ほとんど出ない。場合によって、先生に対して長文みたいな評価、普通アンケートだけでやっているんですけど、場合によって、長い文章みたいのを書いてくるんですよ、授業全体に対して。

【木村主査】 名前を書かすんですか。

【クラーク委員】 名前書かない。

【木村主査】 書かせない。

【黒田委員】 私のところはオフィス・アワーを入れようとしているんですね。そういうことをすると本当に研究する時間もなくなってくるわけなんです。だから、お願いだからスタッフを増やしてほしいと思うわけ。

【木村主査】 理工系の場合は、以前、申し上げたと思いますけど、英国でテクニカル・アシスタントが減ったといって議論になっていますが、フル・リサーチャーに対して 0.8人いるんですよ。昔は1に対して1いたんですね。日本は1に対して0.1しかいないんです。

【牛尾委員】 1に対して 0.1。

【木村主査】 0.1 。

【牛尾委員】 アメリカは予算だけ出して、マスターコースのチームで予算出して、コースの人が応募している。

【黒田委員】 日本は国立では国家公務員になるからとか何とかというので雇えない。

【牛尾委員】 それを国家公務員と言わないで、大学院のPh.D.をやっている生徒に応募して、リサーチ・アシスタントを予算でつければ。

【木村主査】 今、そういうふうなシステムにしている。

【黒田委員】 なっているけど。

【牛尾委員】 それは国家公務員にはなれないな。

【黒田委員】 余り機能してないんですね。名前はできてきたんですけどね。

【牛尾委員】 アメリカはリサーチ・アシスタントというのは実にいい仕事していますね。それは皆学生さんですよ。

【黒田委員】 いい仕事というのは。

【牛尾委員】 教授に対して、学生に対しても……。

【黒田委員】 教授をサポートしてくれる。

【牛尾委員】 サポートしてくれる。

【木村主査】 戦後、日本の理工系の研究者が行ったのは、殆どリサーチ・アシスタント・シップもらっていったんです。

【牛尾委員】 初任給が500ドルのときに、アシスタントは150ドルから200ドルぐらいもらう、週に3日ぐらいは。

【木村主査】 あとは自分の勉強できる。

【牛尾委員】  150ドルから 250ドルぐらいで、初任給が今例えば20万だとすると、10万ぐらいで、みんなティーチング・アシスタントになるんです。

【クラーク委員】 オーストラリアもすごく成功しています。

【牛尾委員】 それで、また、すごい勉強になるんですね、リサーチの場合は。先生の仕事を手伝うわけだから。

【クラーク委員】 そうそう。

【牛尾委員】 あの制度なんか、予算だけつければ済むわけでしょう。

【黒田委員】 今は結構数はあるんですね。

【木村主査】 今、どのぐらい出ているんでしたか。

【銭谷室長】 かなり出ています。

【黒田委員】 かなり出ていますね、急激に増えましたよね。

【田中委員】 しかし、いろいろ仕事をやらすに値する金額かといえば、学生がどこかでバイトした方がよほどたくさんもらえるのですね。

【牛尾委員】 年間50万ぐらいだったっけ?

【田中委員】 そんなにないですよ。

【黒田委員】 ティーチングアシスタントは1時間 1,000円。

【田中委員】 リサーチ・アソシエートぐらいになると、もっと高いかもしれません。

【山中副室長】 資料、また用意しておきますけれども。

【木村主査】 是非お願いします。

【田中委員】 数は多いですけど、ティーチング・アシスタントの額などはよくないですね。

【木村主査】 あのシステムが出来たときにどういうことが起きたかというと、有資格者全員が申請書を出すんです。そして、学生同士でネゴして、おまえが取ったら、俺に半分よこせって、こういうことをやっているんですよ。つまり、A、B、C、Dと4人の学生が適格者としますでしょう。4人とも申請出すわけです。そうしてA、Bが通ったら、C、Dがそれに乗っかって、半分よこせと言うんですよ。

【田中委員】 奨学資金的な考え方ですね。

【木村主査】 奨学資金的に考えているんですよ。それを見つけて、ものすごく怒ったことがあります。

【牛尾委員】 それは怒るね。

【木村主査】 要するにどっちが選ばれるかわからないというわけですね。とにかく俺も出すから、俺が落ちて、お前が通ったら、半分よこせということになっているんですよ(笑)。驚いちゃった。

【牛尾委員】 アシスタントやっている人は学校に残る人はわりに多いの。

【黒田委員】 そうですね。だから日本のは、ちょっと違うんですよね。

【牛尾委員】 ちょっと違う、意識がね。

【黒田委員】 意識もね。TAもそうなんですよ。名前は入ってきてやっているけど、実態はちょっと違う。

【田中委員】 実質的に使えないですよ、アメリカの教授が使っているような形では。ああいう形で使えれば本当はいいんですけれどもね。

【木村主査】 あれは先生方の取って来た研究費から必ずでしょう。

【田中委員】 自分の研究費から。

【木村主査】 ほとんどの場合そうですね。

【牛尾委員】 先生の負担で、これを続けるかどうかというのは。一生懸命やらないと。その辺は、先生の判断が非常に強いわけね。

【木村主査】 この後、文部大臣から例のエージェンシー化についての説明があるようでありまして、私も国立大学の共同利用機関の長ということで出席しなければいけませんので、これで議論を終わりとしたいと思います。次回までにこういう資料が欲しいということがございますでしょうか。ちなみに、今日ご披露するのを忘れてしまいましたが、独創性については、文部省でも、過去2回、「独創性をいかに涵養するか」についての協力者会議をやっておりまして、二つのレポートが出ております。初代は私の前任者の末松先生が座長で、その次、私がやっております。かなりいろんな提案が出ておりますので、もし御興味ございましたら、事務局でコピーをしてくれましたので、御一読下さい。

 他に必要な資料ございますでしょうか。

【牛尾委員】 次の会合までの資料の要求。

【黒田委員】 飛び級の。

【木村主査】 千葉大でどういうことをやっているか。

【黒田委員】 実際に具体的に、数字じゃなくて。

【山中副室長】 飛び入学と大学入試センターの関係なんですけれども、もし飛び入学をやろうという大学が、17歳の生徒にも、大学入試センター試験を受けてくれというふうに求めれば、そういう場合には17でも入試センター試験は受けられるようになりますということです。ただ、千葉大の場合、大学入試センター試験を求めてないものですから、実例はないんですが、やろうという大学が入試センター試験を受けろと言えば、受けられるということです。

【木村主査】 千葉大の現状ですね。それが一つと、あと、リサーチ・アソシエート、その辺のデータですね。その辺を少しいただければ。

【牛尾委員】 今日は大学院のあり方の議論が出てきたから、大学院の過去の増加した経過とか……。

【木村主査】 それいいですね。

【牛尾委員】 大学院計画に問題。

【山中副室長】 村井先生なんかが中心に。                     

【木村主査】 私がけしかけたわけではないですよ、決して。

【牛尾委員】 こういうことで、皆、資料増やすべきだ、一回、大学で。

【木村主査】 そうですね。

【河野委員】 この間、有識者のあれがありましたね。あれを読みましたけれども、これに関係しているところをピックアップしていただくといいのかなというか、役に立つ。

【木村主査】 どの資料ですか。

【牛尾委員】 この会議の有識者の資料でしょう。

【河野委員】 はい。

【木村主査】 はい、はい。

【河野委員】 我々だけじゃなくて、全部の。これに関係あるところだけ。

【銭谷室長】 ピックアップして、わかりました。

【牛尾委員】 この国民会議は大学院の問題。

【木村主査】 エリート教育というのはどうしてもやらなければいけない。

【牛尾委員】 大学院を非常にきちんとして、クラーク先生持論の、オープンにどこからでも入れるし、他からも入れるような流れをするというのは非常に実現化しやすいポイントだから。

【木村主査】 現在のリサーチ・アソシエートだとか、その辺のシステムの管理ですね。

【牛尾委員】 それから、文部省から見た大学院のレーティングというのはあるでしょう、実は。そういうの、どういうレーティングが分散して、そういうのを知りたいんですよ。Aクラスがどのくらいあって、スモールaがあって、Bクラスがあってでもいいから、何となくレーティングで分ければどの程度になるのかね。

【河野委員】 リサーチ・アソシエートというのは、企業のあれというのはあるんですか。OBとかね。

【牛尾委員】 それはないですが、大体学生なんです。

【クラーク委員】 学生が多い。例えば、暫定入学考えてくれる。

【牛尾委員】 これはこれまでの制度で全くないね、暫定入学。

【黒田委員】 それから、ウエートつけた配分ね。

【牛尾委員】 先生は密かにやっているわけでしょう、暫定入学というのは。

【クラーク委員】 教授会で決めて。

【牛尾委員】 文部省は知らないわけでしょう。

【町村総理補佐官】 今度の新しい大学評価機関ができて、木村先生がそれを。

【木村主査】 組織が改組されまして、評価もやるんですよ。大変です。これから。

【町村総理補佐官】 これからどういう仕事をしようとしておられるのか。どういう項目でとか。

【木村主査】 全部準備中ですから。

【町村総理補佐官】 その辺わかる範囲でね。評価というのは大変大きなところですね。

【木村主査】 その辺のことも一遍私の方から御説明申し上げます。創設準備委員会から報告書が出ておりますので。

【牛尾委員】 大学院の質を上げる場合に、Aクラスに集中的に上げる場合、どのくらいの規模なのかというコンセプトを知りたいですよ。

【木村主査】 そうですね。それはなかなか。

【町村総理補佐官】 大学生のその中から。

【牛尾委員】 全体の中の10%か15%だと思うけどね。

【町村総理補佐官】 逆に学力低下問題というのが、皆さんの関心があるんですね。

【牛尾委員】 これは大学院にいる学生だけをちゃんとしようと。そうでない学生は放っておけという感じ。

【町村総理補佐官】 前提としての、大学生の学力レベルみたいなのも、資料があればね。

【山中副室長】 これは朝日新聞が出している「大学ランキング」でございますけれども、こういうものでも一つの資料として、科学研究費のときにも、理学で一番どこがもらっているか、東大の理学研究科、東北大理学研究科、こういうのを、順番に出ている。これも一つの民間の。

【牛尾委員】 それは何年度版。

【木村主査】 最近出たやつ。

【牛尾委員】 これは毎年出ているの。

【山中副室長】 今年の雑誌に出たやつです。

【牛尾委員】 それもコピーしてください。

【クラーク委員】 これは朝日。

【牛尾委員】 朝日新聞。

【木村主査】 パーヘッドのデータも出てますよね。

【山中副室長】 出ています。

【木村主査】 東工大小さいからいつもパーヘッドで出せと言っています。

【牛尾委員】 それ一個しかないの、そういうランキングは。

【木村主査】 かなりありますね。

【山中副室長】 雑誌何種類かあります。

【牛尾委員】 そういうのはみんなコピーしてください。

【黒田委員】 2〜3日前の朝日新聞に科研費のランキングが載っていましたね。

【山中副室長】 それがこれです。

【黒田委員】 それのコピーですか。

【木村主査】 特に次回はテーマ決めなくてよろしいですか、今日の延長で、資料どんどん出てきますから。創造性、独創性をどうやって涵養するかということも徹底的に議論しなければならないと思います。

【黒田委員】 もっと低い低学年、まずは。

【木村主査】 まず、そうですね。

【牛尾委員】 まず大学院を。

【河野委員】 固めてもいいかもしれないですね。

【牛尾委員】 まず大学院で。

【木村主査】 わかりました。

【牛尾委員】 何もかも、急に創造力を上げるなんて、そんな素地じゃないでしょうから。

【木村主査】 そうなんです。

 では、そういうことで、次回は今回の引き続きということにさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。次回は、お手元にございますように、5日でしたかね。

【牛尾委員】 場所はまだ決まってない。

【木村主査】 ここですね、場所は。場所は全部ここでしょう。

【牛尾委員】 違うところは、三田になったりしているけれども、ここばかりではないですよ。

【木村主査】 ここばかりじゃないですね。

(次回進行について)

【町村総理補佐官】 どうもありがとうございました。