教育改革国民会議

教育改革国民会議第3分科会(第2回)・議事概要



(日時) 平成12年6月5日(月)18:00〜20:30

(場所) 虎ノ門第10森ビル5階会議室

○教育改革国民会議担当室長より、配布資料の説明後、資料に対する質疑応答があった。概要は以下のとおり。

(クラ−ク委員)
 飛び入学が数学・物理に限定されているのはなぜか。

(木村主査)
 日本は飛び入学に対してネガティブである。飛び入学について、中教審で中間まとめを出した後、多くの団体に意見聴取したが、ほとんどが反対であり、手始めに数学と物理に限定して導入してみようということになった。

(黒田委員)
 飛び入学する学生が非常に優秀ならば、入学後の特別なケアは必要なく、優秀な人をどんどん入学させ放っておけばよい。現在行われているような特別なケアは、逆に飛び入学が普及しない原因の一つになっているのではないか。

○今後の審議の進め方については、以下のとおりで各委員了承。

(木村主査)
 第3分科会の基本テ−マは、「今後我が国が必要とする人材をどのように育成するか」ということであり、ポイントとして、@高い専門性をもったリ−ダ−の育成、A独創性、創造性をもった人材の育成のための初等中等教育から大学・大学院までを通じた多様な教育システムの再構築等を取り上げる。

○大学・大学院のあり方について自由討議の概要は以下のとおり。

(河野委員)
 世界的視野を持った教養ある人材の育成ということを考えると、高等教育以前の教育課程の問題について、この分科会でも考える必要がある。初等中等教育を大学へ行くための予備校にしてしまってはならない。

(田中委員)
 文系と理系で状況が異なるが、文系の場合、3年間の高度教養教育+専門基礎教育→3年間の高度専門教育→3年間のドクタ−コ−スというような大学・大学院の再編成が必要ではないか。教養は非常に曖昧な概念であるが、専門ならば専門で、それと密接不可分な関係にある教養があり、職業教育にビルトインされた教養もある。教養をどこかの段階で集中的に身につけなければならないということではなく、それぞれの教養をそれぞれの段階で身につけるという、多元的な発想の教養教育が現実的ではないか。

(黒田委員)
 理系の場合、専門基礎に時間がかかり、教養教育が疎かになってしまう恐れがある。また、6年一貫制の大学・大学院では、3−3の教育内容に連続性がある場合、大学院をエリート化し、オープンにすることが難しくなるのではないか。理系の場合、現状でもオープンになっている大学院は多く、私の研究室の場合、半分くらい外部から入学している。

(浜田委員)
 採用側としては、学生に専門性、創造性、人間性を求めている。大学では、入学試験よりも卒業試験でしっかりと学力レベルを評価してもらいたい。

(クラ−ク委員)
 大学での出口管理ができない原因は企業にある。企業は青田買いをしており、大学での成績を評価していないのではないか。

(浜田委員)
 特定の企業が青田買いをしているのであれば、非難されてしかるべきだが、全企業がしているとなると、これはシステムの問題であり、システム自体を変えなければならない。
 大学での成績を評価するかしないかは、学部学科により異なる。理系の人材には専門性を求めるので、大学での成績を非常に評価するが、民間企業の場合、文系の人材には潜在的な能力(広い意味での人間性)を求めており、専門性を必要としているのはごく一部。文系の場合、入社してから専門性を身に付ければよいと考える企業は多い。
 ガッツがあって、広い意味での哲学を持った、自分の頭でものを考えることができるゼネラリストが必要であり、これがリーダーの要素である。

(河野委員)
 企業で文系大学院卒の学生を採ることは少ないが、最近では入社してから大学院に通う者はいる。

(木村主査)
 企業の採用が学生に勉強するインセンティブを与えることは確か。大学院へ行かなければ良い就職ができないとなれば、一生懸命勉強する。

(田中委員)
 現状では、文系の人材に対する企業のゼネラリスト志向は強く、専門能力は入社後、外国で身につけてくる人が多い。しかし、これからはもう少し専門能力を持った人材が求められる可能性があり、国内でもしっかり高度専門人を養成していかなければならない。大学院をオ−プンにすること、大学院での飛び級も重要。

(クラーク委員)
 外国では学部3年を卒業した後、大学院に進むことが一般的になっており、成績が良くないと一流の大学院へ入れないので、そこで自動的に出口管理ができる。しかし、日本の文系では、成績が悪いにも関わらず卒業できたことが一種のステータスシンボルになっており、いまの大学の中に成績重視の風土を求めることは非常に難しい。
 日本の風土には対応しづらいかもしれないが、大学での成績を重視するならば、アメリカのようなGPA(Grade Point Average)制度も参考になるのではないか。

(黒田委員)
 理系と文系を画一的に論ずることはできない。もうひとつは、大学入学前にどこまで教養を身につけてくれるかを期待できるかということがポイント。

(草野委員)
 大学における教養教育や、出口管理の必要性の問題は、20数年前から議論されている。@エリ−ト教育との相関関係をどうするか、A企業が求めている人材とのマッチングをどうするか、ということがポイントである。現状では企業が文系の人材にゼネラリストを求めていたとしても、今後の経済の激動の中ではどうなるのか、まだ読めない。また、大学名不問採用、通年採用等が増えており、出口管理をしっかりすることとつながってくる。

(浜田委員)
 学部3年で卒業後、夏までの就職活動を経て、夏または9月に入社というのは賛成。勉強するために大学に行っているのだから、卒業するまでは就職活動をすべきではない。

(木村主査)
 大学生をいかに勉強させるか、出口管理につながるよう就職活動のタイミングなどシステムを作り変える必要がある。卒業後の進路が決まらないと不安だというのであれば、卒業前に卒業試験をして、それから就職活動スタートということでもよい。
 また、出口管理だけではなく、入り口管理も改革が必要。大学入試を筆記試験一辺倒ではなく、多重構造にする必要がある。

(クラーク委員)
 入試で合格しなかった2〜3割の学生を暫定として入学させ、1年後に足切り試験をし定員まで減らす暫定入学制度を導入すれば、社会人も入りやすくなり、日本の入試問題の大部分は解決できる。多摩大学ではそういう“チャレンジ入学”を検討している。入試には面接や推薦もあるが、筆記試験が一番reliable。

(黒田委員)
 推薦入試が増えているが、推薦で合格が決まると全然勉強しなくなるという弊害が出ている。文系理系含め、社会人たるに必要な教養を身につけ大学に入ってもらいたいので、3科目入試には反対。
 今のセンタ−試験のような制度より、大学入試とは別に高校で9科目なら9科目、どれだけ習熟したのかがわかる到達度試験のようなものがよいのではないか。数学を失敗したから数学だけ受け直すというように、いつ、何教科でも、何度でも受けられるような試験の方がよいのではないか。

(木村主査)
 達成度を測るというのはアメリカでも盛んになりつつある。しかし、推薦入学で入学した学生の方が優秀であるという大学もある。筆記試験だけというのも弊害があるのではないか。
 次回は、独創性・創造性についての各委員のお考えをうかがいたい。創造性には、知識がなくても発揮できるタイプの創造性と、広い知識を吸収して新しい領域を開拓するような創造性の2通りがあり、前者は学校教育でつくれない創造性だが、後者はシステムである程度つくることが可能である。

[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。