教育改革国民会議

教育改革国民会議第3分科会
第4回議事録




【木村主査】第3分科会第4回になりますが、始めさせていただきます。大変お忙しい中ありがとうございました。

 本日は資料2の左側の柱、「独創的、創造的な活動ができる人材」、このことについてご議論いただきたいと思います。

 前回は教育システムの話になりすぎてしまって、初めに書いたシナリオとは少し違った方向に行ってしまったんですが、今日はまず事務局の方から資料1を説明していただいて、この線に沿って議論を進めさせていただければと思います。資料1「独創性、創造性の育成に関する検討のポイント」をご覧下さい。

 議論を始めます前にお願いがあります。第1回、第2回で議論いたしました大学院のシステムについて、文系のプロフェッショナルスクールという話が出ました。しかしながらそれと大学院との関係が必ずしも明快になっておりませんので、田中先生にその辺のところをおまとめいただいて少しご発表いただくということにしたいと思いますがよろしいでしょうか。

 理系については私も理解はできるんですが、よろしければ黒田先生に、理系の大学院のあり方についても、少しご発表、ご説明をいただいてから議論に入りたいと思います。

 それでは資料1について、事務局から簡単にご説明いただきたいと思います。

【銭谷室長】それでは配付資料につきまして簡単に説明させていただきます。

 本日の配付資料は3点でございます。資料2はこれまでも出しております「第3分科会の議論の基幹図」です。資料3は、これまで3回の第3分科会において検討された事項を事務局で整理したものでございます。

 資料1は、木村主査からお話がございましたように、本日のご議論のご参考になればということで用意をさせていただいた「独創性、創造性の育成に関する検討のポイント」という資料でございます。

 第1は、独創性、創造性を育成する上で、大学入試、高校入試などが障壁になっているのか、これを変えることによって、独創性、創造性を育成することが可能になるのか、その辺を少しご議論いただければということであります。例えば達成度試験や個別の各大学の入学試験をどういうふうに考えるのか、あるいは9月入学制度というお話も前に出ておりましたけれども、入試の時期などの関連もあるのかどうか、その辺ご議論いただければということでございます。これ以外にもあろうかと思いますが。

 2つ目が、高等学校までの学校教育が、独創性、創造性を伸ばすシステムになっているのかということであります。例えばこれまで出ておりますご意見としては、少人数教育を徹底してはどうか、小学校や中学校、高等学校においても、学力の評価というものをきちんと行えるようなシステムが必要ではないか、途中に高校入試のない中高一貫教育といったような多様なパスを用意する必要があるのではないかといったようなご意見があったかと思いますので、その辺についてさらにご議論いただければと思っております。

 3番目が、特別な才能を見いだしたり、伸ばしたりできる教育のシステムが、今のやり方で十分なのかどうかということであります。例えば飛び級、飛び入学、大学等への入学の年齢制限の問題といったこともこれまで話題になっていたかと思いますので、そういった問題についてもご議論いただければということでございます。

 以上が一応私どもの方で用意をさせていただきました、資料1「独創性、創造性の育成に関する検討のポイント」の内容です。

 なお、本日、皆様の机の上に、第2分科会に所属しておられます藤田先生から寄せられました、「教育改革を考える」という講演記録をお配りさせていただいております。

 それから、後のテーブルに事務局に、委員の先生方にご覧いただきたいということで寄せられました本を置いてございます。もしおいりようでございましたら、お帰りの際にお持ち帰りいただきたいと思います。

 以上でございます。

【木村主査】ありがとうございました。それでは資料1に沿いまして議論を進めていきたいと思います。

 もうすでにバラバラにではありますが、ご意見が出ている部分もございますけれども、まず大学入試、高校入試、これについて決着をつけたいと思います。

 クラーク先生から、暫定入学というふうなアイデアも出ておりますし、また、例えば大学入試がわかりやすいと思いますけれども、現在の大学入試、ほとんどがいわゆるペーパーテスト、個別の大学で準備したペーパーテストで行われている。まずその辺をどうするか、その辺のことからご議論いただければと思いますが、いかがでございましょうか。

 今東大は、後期の入試では面接をやっているんでしたね。1割ぐらいでしたね。

【黒田委員】はい。あと、小論文とか。

【木村主査】私ども、後期の試験の制度ができた時に、それに大いに期待したんですが、実は、後期の試験をゆっくりやってる暇がないんですね。これを半日延ばすのにも私大との大げんかがありました。国立大学の発表を半日延ばすだけでも大変なんですが、後期の試験をゆっくりやることができれば、かなり良い影響が出たと思うんですけどね。ゆっくりやれないのだから、結局そのパーセンテージも増えないということになっているんですね。

【クラーク委員】どのパーセンテージが増えないんですか。

【木村主査】前期と後期の試験があるんですね。例えば東京大学ですと9割、最初の試験はセンター試験と個別試験、完全にペーパーテストだけです。

 後期は少し違っていまして、もちろん東大の場合、ほとんどペーパーテストが主だと思いますが、面接もやっているし、小論文もやっているんですが、それで合格させるのがわずか10パーセントしかないんです。しかも、それを非常にタイトなスケジュールの中でやらなければいけない。

【クラーク委員】 10パーセントが増えないという意味ですか。

【木村主査】 10パーセントから増やせない。つまり、スケジュールが決まっていますから人数を多くすると対応できないということです。

【クラーク委員】 うちは自由にやっていますけど、相変わらず後期は人数が少ないんです。

 もう1つは、創立してから、ペーパーテストだけではなくて、推薦、面接、小論文を取り入れている。その結果、よく見て、残念ながらペーパーテストが一番信頼できる。

【木村主査】そう言われると困っちゃうんだな。

【黒田委員】クラークさんに言われると困りますね。

【クラーク委員】残念ながら認めなくちゃならないです。

【木村主査】ペーパーテストは個別?

【クラーク委員】多摩大学がつくったテスト。

【木村主査】困りましたね。私の主張とはちょっと違うので。

【クラーク委員】最近、センターをよくとっています。それで満足しています。センターもある程度信頼できます。

【木村主査】だけど、面接もスクールレコードも見ているわけでしょう。

【クラーク委員】もちろん見ています。プラスするんです。メインはペーパーテストです。ペーパーテストだけじゃなくて、面接、小論文と、いろいろな方式をやっているんです。

【木村主査】定員の割り振りはどのぐらいになっているんですか。 370とおっしゃいましたっけ。

【クラーク委員】ペーパーテストは大体3分の2ですね。残りは推薦と。

【木村主査】どうして3分の2のペーパーテストの方が信頼性があるんでしょうね。

【クラーク委員】あとの成績を見て。大学に入ってからの成績を見て、やっぱりペーパーテストの人たちが。

【木村主査】慶応は逆でしたね。藤沢は推薦の方がいい。前にご紹介した名古屋大学の理学部の推薦は、非常に優れた人が入っています。研究者としてですけどね。

【クラーク委員】慶応の立場と多摩の立場はだいぶ違いますから。

【木村主査】そこは違いますね。確かに。

【河野委員】ペーパーテストも含めて、前のレコードとかそういうものを見て決めるわけですね。それは初めから公表しているんですか。

【クラーク委員】そうです。

【河野委員】こういう選考の方法をやりますと。

【クラーク委員】そういう方式で選んでくださいと。

【木村主査】先生のところと、慶応だと、来る生徒の質が初めから少し違うかもしれませんね。そういうことがあるかもしれませんから。

【クラーク委員】だから、優秀ではないから、慶応まで推薦されないんです。多摩の場合、他の大学へ入れなくて、じゃ、多摩の方へ推薦しましょうと。

【木村主査】ですから、そういうことからいうと、日本でいう上位の大学が大学入試というものを考える必要があると思うんですね。それが変われば、ずいぶん全体的にも変わるんではないかと思うんですね。

【クラーク委員】うちの場合は、推薦以外は、小論文と面接をメインとするやり方があるんです。これも案外、結果を後で見て、芳しくない。

【木村主査】今多摩大学という立場から離れて、日本全体を見た場合に、クラーク先生、どういうふうにしたらいいと思われますか。今東大なんてペーパーテストだけ。

【クラーク委員】暫定入学。

【木村主査】エグザミネーションそのものの方法は。

【クラーク委員】うちのペーパーテスト自体はそんなに悪くないですよ。ただ、内容は大事なポイントでしょう。難問奇問の多いペーパーテストじゃなく。それと、科目がだんだんと減っているでしょう、最近は。科目はできるだけ増やすべきなんです。その方が全面的な能力を調べられるんです。外国でもペーパーテストがメインなんですけど、科目が多いですから、必ず、例えば理科系1つとか、数学1つとか入れなければならない。日本は非常に少ないんです。

【草野委員】私は素人ですが、過去2、30年にわたって、大学の入学試験のシステムというのはずいぶん変化してきましたよね。だから、親とか生徒から見ると、しょっちゅう変わっていて、今の前期とか後期とかいろいろ、僕らから見ると非常にわかりにくいシステムになって、受験生もずいぶん振り回されてきたんではないかなという思いがまず1つあります。

 そういう意味では、大学の入学試験のある程度定着というんですかね、システムとしての定着というのが必要じゃないかなと思うのがまず1つですね。

 それから、よく先生方も言われますけれども、今のマスコミでも言われていますが、大学に入学した後の、大学の授業あるいは講義についていけるかいけないか、そのレベルがどうなっているかという面では、かなりがレベルダウンしているんではないかという声がよく聞こえてくるわけですけれども、われわれの世界とは違う、大学の先生から見た場合、大学の講義あるいは研究についていける人たちを入学させるという意味での、今の入学システムがいいのかどうかという点は一遍検証しておく必要があるんではないかなと思うんですけど。

 非常に多様な人が入学した方がいいということで、いろんな面での変化があまりにも急激にある。または短期間に行われすぎたんではないかなという感じを持っているんですが。

【木村主査】しかし、ここのとこも、上位の大学については意外に変わってないんです。総体で見るといろいろ多様化しているんですけど、上の11か12の大学はほとんど変えてないんですね。ここの影響が非常に大きい。

 どうでしょうか、この点。

【牛尾委員】基本的に、これからぼつぼつ大学に入る人の数は減ってくるんでしょう。世代的に。大学はどんどん増えてきているから、大学の競争が質を高めるチャンスではあると思うんですね。そういう転換期にあるということを十分意識してやる必要があるということが1つ。

 それから、企業の方から見ますと、旧帝国大学とか5単科大学とか有名私立大学というのは一応良いとされているけれども、すごい二極化現象で、悪い方というのはわりとどうしようもない。特に人文科学、社会科学の方はね。だから、社会科学に関しては相当競争を入れて、良い悪いが明確になるようなしくみを考えていく必要があるんじゃないかという気が私は非常にするんですね。

 今は選挙中で、総理がいとも簡単に、3年制にしようとか、6年制にしようとか、ボンボン出てくる。文部省が関与してるのか関与してないのか全然知らないけど、そういうことを言って問題をかきまぜるきっかけになることはいいと思うんですね。そのとおりなるのは難しいでしょう。

 しかし、やっぱり一連のこれまでの話にも出ていたように、こんなに幼稚園にみんな行くんだったら、もっと早く小学校から入れてしまった方がいいとか、こんなに勉強するんなら、5年生ぐらいに上げて、もっと早く大学に入れてしまえとか、飛び級、飛び入学とは別に、全般的に子どもの成熟化というのはものすごく、われわれの時分から比べるとものすごくませてるというか、ふけてるというか、成熟というか、すれてるというか、全然大人びてるスピードが早いんですね。だから、結構大人並みの子が15、6 とか20歳にいっぱいいて、それは何にもすることがなくてボケッとしてるから、悪いことでもしようかということになるんでね。働いたらいいんです。本当から言うとね。その辺も1つ、大きな時代の流れとしては考慮する必要があるんじゃないか。

 だから、この前出たように、大学院を重視するということで質を高めるのであれば、大学は、今の3年生で終えるようにすればいいし、できれば1年早く入って4年生で終えるようにして、さらに優秀な人は、1年早く入って3年で終えるということは、今までより2年間短く大学院に入ることもできるというぐらいの制度を思い切って議論する時期に来ているんじゃないか。

 それから、順位をつけるとか、評価ではっきり差をつけるということに対する恐怖を教師から取り除かないといけないですね。多様化して、性格づけで、いろんなタイプには分けるけれども、おまえはだめ、これはいいと言っちゃいけないような雰囲気があって、小中学校の運動会で、一緒に並べて入るという話は、これはまた違う次元の話だと思いますが、少なくとも大学に入ったら、出来の悪い学生は落第させればいいし、放り出しちゃえばいいですし、その点を非常にはっきりしたらいいんじゃないか。

 それを、出来の悪いのでも入学金をもらって、私学が経営上の理由で、放っておけば、面接でドンドン入れるような私学がいっぱい出てくると思うんですよ。

 国立大学だけは、予算がついていればちゃんとするでしょうけど、独立行政法人になると、どうなるかわからない。だから、そういう環境があることをわれわれは頭に入れておかなきゃいけないわけです。

 そうなると逆に、卒業試験か何かではっきり選んでもらわないと、変なのが送り出されてきたら困るし、少なくともそういう人は絶対大学院にだけは入れないようにしておいてほしいという気はありますね。

 1年早く大学生になって、飛び級で3年生でもいいということになると、2年早く大学院に入るわけですから、これだけは間違いなく、かなりいいぞと。

 それも全大学院にそういうことを期待するのは無理ですから、やっぱり15か20だけは間違いない大学院をつくってくださいと。それもすべての大学院に、全学部には全く期待しませんから、A大学は、この学部とこの学部はAクラスです、こっちはC、Cですとはっきりした方がいい。というふうにしてもらって、そういうことがアジアやアメリカにも知れ渡って、あの大学院のあの学部は行きたいというふうにランクが出てくると、そういう意識というのは、エリートをつくる非常に重要な誇りだと思うんですね。

 私はたまたま国際大学の理事長を4年やっていて、大学と組んで国際経営学部を1つつくって、それまで非常に評判の悪い、学生探しをしているような大学が、変わってきたわけですね。3年ぐらいするとアジアでMBAの雑誌ができまして、終始、国際大学の大学院は大学院としてはベスト3に入るんです。4カ月でトップになったわけです。そうすると、アジアからどんどん、いい学生が来るようになるわけですよ。だから、そういうようなことが国内でも、大学院に関してはもっとやった方がいいと思うんですね。

 しかし、大学の経営というのはこれから非常に難しくなってくるから、放っておけば自由化することになると、誰でも入れるようになる。

 大学に入ることによって失業率も減りますし、この前、土光臨調の時に計算すると、私学助成金の方は、失業で払っているよりも、はるかに政府は安くつくんですね。4分の1ぐらいで済むという計算が出ていました。すぐ行って失業して失業保険を払うよりも、私学助成金で4年キャンパスにいてもらう方がはるかに、国家としては効率がいいと。

 しかし、その効率は必ずしも質的には良くないことがわかってきたわけですね。いい年したのが何にもしないで、23、4歳まで遊んでいるというのは、ますます国民のレベルが下がってくるので、やっぱり16、7 、8歳から仕事をしないといけないわけですね。

 本当に勉強する人は、仕事の代わりに、それだけの値打ちのある人だけが大学に行くんであって、すべての国民が高等教育に行く権利はあるけれども、義務が抜けちゃっているわけですね。レベルを高くするという。

 その辺も今度の時によく議論をして、かなり厳しい、学生や、特に両親にとって耳の痛い提言をするべきだと私は思いますし、特に具体的には、大学卒業、普通の大学というのは、昔の高等工業ぐらいですから、早く出した方がいい。

 そのかわり、大学院は場合によっては3年かかってもいいというぐらいに、その辺の制度は変える必要があるし、全体的に皆が体位、体力だけは非常に上がっていて、知能が、男女間でも、そういうことだけは妙に上がっていて、社会人としてのレベルだけが下がっているという非常に嫌らしい現象になっているので、やっぱり社会を治める側としては、そういうきちんとした義務というものを明確にする必要があるね。

【木村主査】そうすると、牛尾さんのご意見だと、大学の入学試験というのはそれほどの重さがないということですね。

【牛尾委員】大学生は、アメリカと同じように増えるばかりですね。誰でも入れるようになりますよ。

 ただ、アメリカは州立大学やそういうのがだめなら、その次のシティカレッジみたいなところに入って、それがだめならコミュニティみたいな3択ぐらいあって、最後は誰でも卒業できるようになっているんですね。そういうふうになっているんです。アメリカは貧富の差によって、大学に行かない人ができるだけであって、普通の収入があったら全部子どもは大学に行けるようになっているわけです。

 ただ、仕事の方がおもしろいという自由な社会環境をつくったから、情報産業なんかは18歳ぐらいから仕事に入って、20歳で社長になるような人が増えてきておりますけれども、日本みたいな社会だったら、放っておけば全員大学卒になってくるんじゃないですかね。それはもう止められないだろう。この流れは。

 それだったら、20歳で皆大学を卒業して働いてもらったらいいので、本当の勉強をする人は、20歳から23歳ぐらいを考えて、公務員も、文部省の官僚は全部大学院卒業が基本条件。今の人は皆それぞれ大学院へ行って勉強して、だめな人は1段下げる。それでいいじゃないですか。

【木村主査】議論が一番最後の3番目の問題まで来てるんですが、年齢制限というのはわれわれは非常に難しいと思っていたのですが、意外に簡単ですね。どういう法律で規制されているのですか。

【牛尾委員】前は杓子定規にきつかったですよ。

【木村主査】今は何かえらい簡単で、極端に言うと、大学が選べるようになっているようです。

【文部省企画課長】大学学部の場合には、飛び入学の場合には17歳以上ということでございますが、一般的には18歳でございます。

【木村主査】18歳というのは何で決まっているんですか。意外に簡単ですね。

【牛尾委員】法律ですよね。

【木村主査】法律じゃないんですよ。

【文部省企画課長】文部省令です。

【木村主査】文部省がちょっと変えればそれでおしまいなんですよ。

【文部省政策課長】省令でございますので、省限りで改正の可能なものでございます。

【田中委員】大学院の場合も一緒ですか。省令ですか。

【牛尾委員】大学院は省令があるんですか。25歳って書いてある。

【文部省政策課長】大学院は基本的には年齢制限はないんです。学部の就学年限の飛び級によって学部3年で大学院に入れます。

【木村主査】そこで決まってるだけでしょう。

【牛尾委員】学部を卒業しないと大学院に入れないんですか。

【木村主査】いや、今3年からいっぱい入ってる。

【文部省政策課長】大学院の入学資格は、学部を卒業していなくても、各大学院における個別の入学資格審査に合格すれば入れるようになっています。

【牛尾委員】それは3年でも2年でもいいんですか。

【文部省政策課長】ただ、年齢はそれに相当の者ということでございます。

【木村主査】そこは大学の裁量権じゃないですかね。単位さえ取って、試験を受けなきゃいけないから、2年生じゃ大学院の試験は通らない。3年生は試験を通るんですよ。3年生で受けさせるとポロポロ通っちゃって。

【黒田委員】うちで学部は留年したんだけど、大学院の入学試験に受かった人がいて、その人が大学院合格の権利を主張してもらったら困ると議論になりました。留年したにも関わらず、大学院の入学試験に受かれば、卒業しなくてもいいから大学院に入学したいと、その人が主張したら入れるわけですよ。そういうケースが出てきています。

【河野委員】大学卒業という資格になるわけですか。学部は出てない。

【木村主査】大学院の修士1年生をちゃんとやると、単位をそろえて私どものところへ申請すると学士がもらえるんです。

【黒田委員】それは優秀な人でしょう。

【木村主査】いえいえ、普通の人です。3年で飛び級をすると、どうしても、リスクがありますね。病気になっちゃって大学院を中退せざるを得なくなるという可能性もある。そうすると、学部卒でもない大学院修了でもないとえらいことになるので、そこのところはちゃんとレリーフの方法はあるのです。

【文部省企画課長】学校教育法上は、学校教育法の56条に、「大学に入学することのできるのは、高等学校もしくは中等教育学校を卒業した者、もしくは通常の課程による12年の学校教育を修了した者、または監督庁の定めるところと同等以上の学力があると認められた者とする」ということで、したがって、卒業あるいは12年の学校教育を修了する、年齢ははっきりと書いてございませんが。

【牛尾委員】検定はどうなるんですか。検定試験のことはそこには入らないんですか。

【文部省政策課長】「その他認められる者」という中に検定試験を定めています。

【河野委員】年齢もどこかに書いてありますよ。

【文部省企画課長】学校教育法施行規則の省令の方で、先ほどの、同等以上の学力があると認められた者というのはこういうものだというのがズラズラと並んでいるのでございますが、例えば検定に合格した者というふうなものが入っております。

 さらに、最後のところで、その他大学において相当の年齢に達し、高等学校等を卒業した者と同等以上の学力があると認められた者というのがございます。

【牛尾委員】相当ってどういうことですか。

【クラーク委員】うちの息子は大検を受けて、それで言われたんです。18歳じゃないと大学へ入れないんです。

【文部省政策課長】恐れ入ります。今のはちょっと説明が煩雑でございましたが、大検の規定には年齢制限がございまして、18歳にならないと大検、受験は15歳でも16歳でもできるんですが、合格は18歳にならないと出ないというふうに、大検の規定の中で定められています。

【木村主査】しかし、大学については省令を変えれば簡単ですね。しかし12年というのは学校教育基本法の中にあるわけでしょう。

【文部省企画課長】学校教育法の中に。

【木村主査】そこを変えないとだめだということですね。

【文部省政策課長】12年に、それに相当する者というものの範囲を広げれば、省令段階でも可能でございます。

【木村主査】そうすると、一番下に書いてある年齢制限の撤廃というのはできるんですね。わりあい簡単に。

【文部省政策課長】手続き上は簡単にできます。

【牛尾委員】年齢制限は外した方がいいですよ。なし崩しじゃなくて。摩擦を越えて外すという方がわかりやすいから。相当とか何かじゃなくて、何歳でもいいと、はっきりここで、こういう時にしておかないと、こんな優秀な人が読まれなきゃわからない。説明を聞いていても日本語になってないんじゃ話にならないので、この機会にスカッとする。大学は16歳でもいい。高校は10歳でもいい。いいじゃないですか。

 そのくらい考えていかないと、IT時代というのは、できる人はめちゃくちゃにできるようになるわけですから、そういう人を待たせる必要は全然ないですよ。

【クラーク委員】でも、なし崩しはできないです。文部省の方からはっきりした形で出さないと。

【木村主査】もちろんそうです。省令を変えればいいんですよ。

【牛尾委員】国民会議をきっかけに解釈の幅を広げるんじゃなくて、憲法9条を変えると同じに、変えた方がいいというんですよ。

【木村主査】小学校の入学年齢というのはどうなんですか。そこはだめなんですね。

【文部省政策課長】小中学校については義務教育年齢というのは別途定めておりますので、さっき大学について申し上げたように、文部省令で変えるというわけにはまいりません。

【木村主査】大学の入学年齢は文部省令で変えられる。そうすると、あとは大学の裁量権ということになるんでしょう。受け取るか受け取らないかは大学が決められるということになる。

【文部省政策課長】それは各大学の裁量でございます。

【木村主査】うちは18じゃなきゃだめだという大学もあれば、17歳でもいいというところもある。

【牛尾委員】それは好きにすればいいんですね。

【木村主査】ですからそこのところを外せばよい。

【牛尾委員】チョイスが18と17じゃなくても、16ぐらい、もうちょっと幅を広げた方がいいということですね。

【木村主査】この点はよろしいでしょうかね。

【クラーク委員】よろしい。

【河野委員】能力次第だからね。

【牛尾委員】ITの場合、ダブルメジャーの時代になってくると、早い人はドンドン。

【木村主査】中教審の17歳入学で、一応こういうことの風穴をあけたんです。

 昨日もアメリカの先生方 200人で話をしていましたら、何で17歳の飛び級を物理と数学に限ったのかという質問が出ました。音楽だってあるじゃないかと。それは十分議論したんだけど、合意に至らなかったということと同時に、それについては、まだ日本でも才能を伸ばす方法がある、だけど、物理、数学についてはないという答えをしたんですけど、やっぱりそういう質問が出てきましたね。

 風穴は既にあいていますから、後は牛尾さんおっしゃるようにバサッとやれば良い。

【牛尾委員】教育改革国民会議は、小渕さんが本当に珍しくやったので、こんなこと10年に1回ぐらいしかないんですから、やる時はやらないとだめですよ。ちょこちょこ変えるのは中教審があるんだから。根本的に制度を変える、変える時はズバッと変えないと。幸か不幸か、小渕さんの後、森さんもやると言ってるし、マスコミもどんどん勝手なことを書いてるね。わりと大胆なこと。

【木村主査】年齢制限の撤廃、今は大学の入学年齢のことを議論しているんですけど、その前の段階の飛び級はどうしますかね。

【クラーク委員】私、典型的な例なんですよ。飛び級2回。16歳で大学に入りました。 高校だったら飛び級をやるのは非常に難しいんですよ。高校ちゃんと3年の教育を受けないと、大学に入ってマイナス面が多いんです。

 だから、17歳入学を認めるならば、できればどこかで飛び級しなくちゃならないでしょう。高校よりも、中学校かあるいは小学校の方が好ましいんです。私の場合は小学校と中学校2回やったんです。

 高校はある程度、私は文部省の立場はわかっているんですよ。ちゃんと高校3年間ぐらいの教育を受けないと、大学の教育にふさわしくない。だから、飛び級は若い時がやりやすいんですよ。非常にやりやすい。頭の良い子は。

 私の場合は頭の良さではなくて、私は転校を何回もやってたんです。学級がいっぱいになって、上の学級に入りなさいと言われちゃった。全く無責任な飛び級だったんですけど、にも関わらず、若い時はキャッチアップは早いんですけど、高校になれば難しくなる。本当に天才だったら、今千葉大学がやっているのと同じように、高校2年だけで、もうすでに大学に入学できますけれども、普通の子どもにとって難しい。

 だから、ある程度飛び入学を認めるならば、中学校あるいは小学校のどこか途中での飛び級も認めなくちゃなりません。認めればよろしいと思いますね。

【木村主査】文部省の立場からすると、さっきご発言がありましたけど、義務教育の部分をいじるのは非常に大変だと思いますね。しかし提言ですから、ここでは思い切ったことを云っても良い。

【牛尾委員】誰かがいじらないと。

 だって、今幼稚園の普及率というのは、都会ではほとんど必須科目みたいになってしまって、小学校に入る2年ぐらい前から字を書いたり数字を書いたりするのがざらにいて、本当に義務教育を信じて、何にもしないで小学校の1年生になったらひどい目にあうわけですね。1人だけポツンとおくれて。

 それなら初めから、義務教育を幼稚園の年長組からにしてしまえば、費用が少なくて済むわけですよ。幼稚園は高いからね。

 だから、義務教育っていうけど、東京なんかの場合、今どのくらいなんですか。幼稚園の就園率は。

【木村主査】相当高いよね。

【牛尾委員】全国はわりと低いけど、東京は高いんじゃないかな。

【文部省政策課長】全国が今60パーセント強でございます。これは保育所が入ってない数字で、幼稚園だけで6割強でございます。

【牛尾委員】すごく高いんだよ。だから、義務教育の間、国はただでやっていますというけど、その前に金がかかっちゃっているわけですよ。その前の段階は収入が低いからね。もっと。

 だから、同じ義務教育にするなら、本当に初めから義務教育にして、そのかわり、中学校1年生で義務教育を終えちゃえばいいんですよ。そのぐらいにすることを言うべき時期に来ているんじゃないか。

 4つや5つの子がコンピュータにさわっているんだから。ドンドン増えていますよ。だから、そういう時代に即応していくと、戦前は小学校5年生、中学校4年生で飛び級できたんですね。ある時期から小学校の5年生がなくなったんですね。英才教育だけが飛べたんですね。

 今や大学の方はドンドン飛び級ができるようになっているから、そういうコースもつくる。しかし、人格教育を昔は、旧制中学と旧制高校でやってたんだけど、現在の年齢からいうと完全に高校ですよね。

 昔は旧制高校で7年制というのがありましたね。7年制というのは初めから飛び級なんですね。中学校は本来5年制なのに、全員が4年なんですよ。

【河野委員】あれは4年で行こうが5年で行こうが、行けたわけですね。システム上、どっちでもいいと。飛び級というんじゃないんじゃないかな。

【牛尾委員】だけど、原則は7年だったでしょう。旧制中学を終えて高校に入る人は8年なのに、7年制高校というのは、成蹊も成城もそうでしょう。

【木村主査】2年早く出られたんでしょう。7年制高校へ行くと。

【河野委員】小学校5年から行けばということですから。それは別の制度で行けたということで。

【牛尾委員】一緒にするというのは、前から議論としてわかるから。

【銭谷室長】戦前は義務教育の期間が小学校の6年間。

【河野委員】それにも関わらず5年で行ったというのはどういうことですか。

【銭谷室長】ある時期までじゃないかと思います。そして、数も少なかったと思います。義務教育でない中学校についても、4年から高等学校へ行ける道があった。もちろん、その段階では中学校相当年齢の子どもは大体人口の2割ぐらいの進学率だったようですけれども。

【牛尾委員】中学校へ行くのが、大学よりも少なかったんだね。高等小学校というのがあったよね。

【銭谷室長】小学校を終えると、中学校の他に高等小学校へ行ったり、あるいは実業学校へ行ったりしていました。

【牛尾委員】今の制度は、戦後のアメリカの教育制度をそのままグッと押し込めた制度ですから、ここで1回よく議論して、しかも、国民の文化環境、情報環境からの精神的な成熟度を考えていくと、相当早める時期に来ているんじゃないかと思うんですね。

【木村主査】そうすると、年齢制限の撤廃についてはほとんど異議なしということでよろしいですか。

【牛尾委員】スタートも早めろと。

【銭谷室長】先ほど牛尾先生がおっしゃった幼稚園でございますけれども、今5歳児の幼稚園の就園率が全国的には61パーセントぐらいです。保育所がおおむね3割ちょっとですので、5歳児だと9割ぐらいの子が保育所か幼稚園に通っている。

 ただし、これは都道府県とか市町村によって大変差がございます。例えば今、全国の市町村で、幼稚園がある市町村は全体の7割でございます。3割の市町村は幼稚園がなくて、保育所だけというようなところもございます。逆にほとんど幼稚園に行ってる市町村もあります。制度が2つございますものですから、まだ幼稚園が全部というわけではないというようなことでございます。

 それから、今の義務教育の考え方でございますけれども、学校教育法で、満6歳になった翌年の4月から小学校に入りまして6年間、それから中学校3年間、合わせて9年の義務教育が定められております。要するに15歳になった、その次の3月までは9年間、就学義務が課せられているということでございます。

 全体の義務教育の年数は、教育基本法で義務教育は9年ということになっています。さらにさかのぼって憲法で、何年とは書いてありませんが、国民はその子女に普通教育を受けさせる義務を負うという規定が定められております。

 戦前の中学校に該当するのが、義務教育ではないという意味で今の高等学校だとすると、旧制の中学校も、5年で高校へ行く者と、4年で行く生徒がいるので、現在の高等学校についていえば、高等学校3年を卒業して大学へ入るのが普通でございますが、2年を終えた段階で、特定の物理と数学、これだけは大学へ行けるというのが今の制度でございます。そこに風穴をあけるかどうか、こういう話ですね。

【木村主査】1つ風穴があきましたからね。そうすると、年齢制限の撤廃、スタートを早めるということは、牛尾さん、具体的には、今6歳ですが、4歳でもいいという意見も出ましたが。

【牛尾委員】私は、義務教育というのを義務としてとらえられないで、義務教育期間というのは、登校拒否でずっと休んでいても卒業できるんですよ。義務教育だから。逆になっているのです。義務教育で、何もしなくても中学校は卒業できるというふうな受けとめ方が多くて、最低これだけのことを勉強する義務があるという考え方にはなってないですね。

 もう1つは、今の説明では義務教育が6年から9年に延びたから、戦前に比べれば、戦前の中学校は高校になりますという感じだけど、現実の成熟度からいうと、戦前の旧制中学は、現在の中学校で完全に終わってしまうし、現在の高校というのは、戦前の旧制高校に値するところで、ここでは人生を考えるところなんですね。そういうふうに年齢が成熟しているわけですよ。現実はね。そこのところの乖離をどういうふうにキチッと調整するかということが大きな問題だと思いますね。

 旧制高校というのは17歳、若いのは16歳だったか、16か17で入るんですね。それで19ぐらいまでの間を、本当に自由にものを考える。先生も非常に優れた先生が多くて。

 そういうことをしない人で、今度は専門学校に行った人は、工専とか商専とか、実務的なことをそこで全部覚えて、工専出身の人なんか、実験なんかさせたらはるかにいいものを持っているというのがいっぱいあったわけですね。そういうふうな良さを取り戻すべきだろう。それは高校の時代にそれをやるべきなので。

【木村主査】年齢制限撤廃に関して、前にスコットランドの例をご紹介しましたが、今はどうなっているかわかりませんけど、あそこは親のチョイスで1年早く小学校へ入れられたんですよね。親は実に真剣に考えますね。そういうふうにチョイスができるようにしておいてもいいんですね。

【牛尾委員】生活からいって、東京の幼稚園は高いですから、私立の高校並みに高いですから、うちの子どもは幼稚園に出せないから、小学校に早く出そうといったら、これはただですから、そういうチョイスってあると思いますよ。

【河野委員】牛尾さんの話もわかるんだけど、年齢という問題と、教育内容というんですかね、例えば教養も含めて、教育内容もやっぱり変えていかないと非常に難しい。

【木村主査】もちろんそうですね。

【河野委員】誤解を招くかなという気がするんです。

【文部省政策課長】ご議論は大いにいただきたいんでございますが、事実関係の整理だけさせていただきます。

 先ほどちょっとご説明申し上げましたように、大学の就学年齢を下げる。つまり高校で飛び級できるようにするというのは、現行法制上は省令改正でできる話でございますし、財政上の問題も基本的にはそれほどないのではないかと思います。

【牛尾委員】高校の飛び級ね。

【文部省政策課長】はい。高校は単位制のものが増えつつございますので、学年という考え方もだんだん変わってきております。取得単位を取れば大学に行けるというふうにすれば、年数は弾力化することができるんでございます。

 ただ、それを中学校以下にやることになりますと、ちょっと違う問題点がございますのは、義務教育9年間ということが教育基本法に定められておりますので、9年を長くしたり短くしたりするならば教育基本法の改正が必要ということがまずございます。

【牛尾委員】それも大丈夫かな。

【文部省政策課長】それから2年下げて4歳から13歳までとするというようなことにすれば、教育基本法の改正は必要ございませんが、学校教育法の改正が必要でございます。

 9年を変えて、幼小中ということにすれば、これは教育基本法の改正が必要ですね。11年になるわけでございますから。それから、財政的にも2年分の財政負担が必要になりますので、きわめて多額の財政負担が必要となるということでございます。

 仮に9年を前にずらして、13歳までが義務教育であるということになるのであるならば、教育基本法上の改正は必要ございませんが、財政的には、中学校1年とはいえやっていくのか、小学校7年制にするのかという問題があり、小学校7年制にするとなると、かなり学校を入れかえたりしなければいけない部分がございます。

 また、先ほど60パーセントの幼稚園進学率ということは、それの半分ぐらいの30パーセントが保育所に行っておりますが、これは厚生省まで巻き込んだ大きな枠組みの改正をしていかなければいけない。不可能というわけではございませんが、伴う手続きというものの難しさというようなことでは、そういった差異がございますということをちょっとご説明させていただきます。

【牛尾委員】後の方は9年の案で、もう1つは、幼稚園の保母さんの方が、はるかに小学校の先生よりも子どもに対して誠実で、登校拒否なんかほとんどない。非常に楽しい。保母さんというのは非常にいい。一旦小学校の先生になると瞬間に、全くガラッと雰囲気が変わるわけね。そこで、適応する人と適応しない人がはっきり二極化していくわけですよ。

 だから、この前も出たけど、東京都の石原さんの教育施策、非常にそういう点をして、小学校を全部選ばせようと。どこへでも行けるようにしようじゃないか、個性を出せと言っているわけですね。

 保育園までは知らないけど、幼稚園というのは、日本の女性の、保育科に行く人というのはやさしい子が多い。

【河野委員】使命感に燃えて。

【牛尾委員】一番女性としての平均値が高いんじゃないかな。

【クラーク委員】小学校5歳で入学、これに何か制限ありますか。

【文部省政策課長】現在は学校教育法上で、6歳になった翌年の4月でございます。現在はできません。

【クラーク委員】これが一番大事。

【木村主査】牛尾さんが言われたように、手続きの問題だけですよ。要するに9年間を変えなければ簡単だということですね。

【文部省政策課長】今幼稚園のお話ございましたけれども、5歳にそれを引き下げるというのはあり得る議論だと存じますが、幼稚園と小学校の違いというのがございまして、小学校に入ると規範性がきわめて求められる。だから、学級崩壊なんかも起こるわけでございますが、幼稚園の場合は基本的に、子どもの自由をかなり認めて動かすわけでございます。

 小学校に入ると、必ず算数の時間はそこに座ってなければいけないし、いわゆる規範教育は小学校の段階、それを5歳から始めるというのはまた新しい考え方だと思いますが、現状では、幼稚園で行う教育と、小学校で行う教育は、規範性においてかなり違いがございますので、小学校に入ると確かに登校拒否とか学級崩壊という問題が起こるのは、規範性との激突というものがあるのではないかと思います。

【牛尾委員】お言葉ですけど、自由にしてるというけれども、はるかに幼稚園の方が、教師と生徒の間が緊密になって、運動会に行くとピシッとしてるわけですよ。規範を教えてる小学校へ行くと、途端に実に不愉快。だから、実は逆効果になっているわけですよ。

 だから、本当は規範を教えるというのは、幼稚園が自由にさせながら、愛情を持った幼稚園の先生がいて、それぞれが皆私学ですから、評判を良くして、熱意さえあれば、結果はかえって、公立の小学校よりもはるかにいい。放っておくと、河野先生とか河上先生の言うとおり、ああいう暴力教室になるわけですよ。

【河野委員】確かに、どうせ行くんなら、幼稚園より学校へ早く入れちゃった方が。

【牛尾委員】幼稚園みたいにしてくれれば、ものすごく身も心もよくなるだろうし。

【木村主査】そこのところはできるということで、受け取り方の濃淡がありそうですけど、年齢制限の撤廃はいい方向ではないかということですね。

 飛び級については、クラーク先生からは高校はしない方がいいというお話もありましたが、それはオプションで、いろんなところでできるようなシステムにするということだと思いますけどね。

 ちょっと話を戻して、入学試験のことをもう少し議論したいと思うんですが、田中先生、どうでしょう。今の東大、京大の入試の制度がどうかということについて、私は非常に疑問を持っているんですけどね。

【田中委員】飛び級とか飛び入学と関連して、この前、クラーク先生がおっしゃったように、大学入試センターの統一試験をやめて、今高等学校は皆単位制ベースに変わってきてるのだったら、入試センター試験を達成度試験に変えてしまって、高校1年生でも、一定科目については試験を受けることができるようにして、入試センター試験を統一的なものから、だんだん大検的なものに変えていくことが考えられます。

 その後、大学は個別入試をベースにやることになるわけですけれども、先ほどもクラーク先生がおっしゃったように、ペーパーテストに対する信頼度が強くて、なかなかそれを相対化することができないのが現状です。

 結局、アドミッションオフィス方式を取り入れるべきだと思うんですけれども、そのためには、教師が片手間にやれるような仕事じゃないと思うので、アドミッションオフィスの職務を担当する人を専門的に養成していく必要があります。

 そういう形に移してゆくネックは、やっぱり一般の人々が、アドミッションオフィス方式に対して、恣意的だとか、基準は何だとかというような形で、牛尾さんがおっしゃったように、やはり画一性とか、ペーパーテストに対する信頼が強い文化のもとでは、まだまだ抵抗が強く、かなり各大学の裁量を認めることにしないとうまくゆかないところがあります。

 例えば医学部なんかで、進学有名校から来た学生は、100人のうち10人以内に抑えたいとか、そういうことをおっしゃるんですね。しかし、そういうことをやれば、またそれで反発を受ける。だから、ペーパーテストの成績順に合格させるしか、仕方がないということになるわけです。

【木村主査】抑えたいというのは、それ以上入れたくないということですね。

【田中委員】そうなんです。あんまりたくさん同じ進学校から入学してくると、高校の延長のような雰囲気で困るとおっしゃっています。そういうことについてかなり大学が裁量的にやるということを許容する入試文化というんですかね、そういうものが変わってくれないと、なかなか画一性から抜け出せないわけです。

【木村主査】入試文化ですよね。全くおっしゃるとおりだと思います。

【田中委員】変えることに対する抵抗がきつくて、変えないほうが大学としても楽だという面も確かにあるんですが、東大も京大もいろいろ批判されていることはよくわかるのですけれども、そういう基準を多様化することに対する反発が強いんですね。

【牛尾委員】昭和24年に変わったんですからね。今昭和75年ですからね。50年変わってないわけですね。

【田中委員】大学としては、ある特定の高校から来る者は一定数に抑えたい、1つの進学校から、法学部でも、20人、30人と入ってくるというのはやめたほうがよいのではないかという意見があるのですけれども、さてどうするかとなると、なかなかむずかしい。

【木村主査】今先生がおっしゃった、具体的に先生がお考えになっている入試ってどういう入試ですか。

【田中委員】学校枠や地域枠よりも、例えば科目にウエイトをつけて、総合点だけでなく、文系でも、数学がよくできる者、あるいは外国語ができる者という形で、科目に差をつけて入学者の多様性をはかることなどは、比較的抵抗なくできると思います。

【木村主査】試験の方法はどうするんですか。個別試験。

【田中委員】個別試験で、それに応じた試験をやっていく以外に、さっき言いました達成度試験、そういったもののデータを参考にしていくとか、それから、内申書とか推薦状などを見て選考していくという文化ができればいいのですけれども。

 もっとも、推薦状については、アメリカなどでも、日本人の推薦状はあまり評価されないということがありますので、各大学が、高等学校の内申書や推薦状などにウエイトを置いて、それである程度判断し格差づけをやるということを許容する雰囲気ができてこないとやりにくいと思います。

【牛尾委員】3年間ぐらいフォローして、追跡して、あそこの推薦はこの程度だというランクを決めていけばね。

【田中委員】それが一番リーズナブルな方法ですね。

【牛尾委員】それで、あなたのところは10人だけど、ここのところは3人にする、結果はこうだと公表すればいいんですね。それを何でもかんでも1番、1番というのは、それは入ったらすぐバレる。だけど、意外と入ったら良くなるのがおりますね。

 だから、その辺は結果でフォローして、3年間はだまされても、4年目からはうまくいくと考えれば、それはいいと思うんです。

【河野委員】そんなに評価がすぐわかるんですか。

【木村主査】わからないんじゃないかな。

【田中委員】どんな試験をしても、入ってくる子は入ってくる、入ってこない子は入ってこないというのがあるんですね。

【木村主査】今河野先生がおっしゃった話は大学に入った後の話ですね。後の話は、成績をきちんとつけることにつきると思います。

【河野委員】フォローするというのはなかなか難しいなと。

【木村主査】工学部や理学部では、たくさんの科目を大学へ入って受講しなければいけないし、その点数もキチッと1点刻みで出しますから、本人の平均点ってすぐ出てきちゃうんですね。

【牛尾委員】社会科学系は、例外はあるけど、大体の傾向は出るんじゃないですか。

【田中委員】社会科学系はやはり出口管理だと思いますね。入学試験はどう変えても必ず何か問題が残るから、結局、出口管理をきちんとする以外ないようです。

 だから、クラーク先生がおっしゃったように、少し多めに入れて、キックオフ制度で、成績の悪い者はキックオフしていって選択していくというのが一番現実的ですね。やるとすれば。それで、大学院に入る頃とか社会に出る頃には、ある程度到達度の品質保証をするというふうにするのが、学生は抵抗するかもしれないけれど、大学としてはやりやすい。入試で多様化させるというのは、なかなか今の雰囲気の中では難しいというのが現状ですね。

【牛尾委員】旧帝国大学時代は旧制高校の内申書というのは非常に尊重したから、語学力と論文だけだったですね。試験は。だから、旧帝国大学が旧制高校に対した信頼感のようなものが、現大学が現在の高校に対して持っていないわけですね。

【田中委員】少なかったですからね。母数が限られている場合にはやり易いのです。

【牛尾委員】今大学院の試験ってかなりレベルが高いんですか。

【木村主査】相当難しいですね。大学にもよりますが、もう10年ぐらい前から問題を公開しています。大議論して問題を公開している。相当厳密に。

【牛尾委員】いい学生を選べるわけでしょう。

【木村主査】選べると思います。しかも、必ずインタビューをやります。インタビューをやって、それと試験の成績、それに本人の学部時代の持ち点を考慮します。学部時代のパフォーマンスを良く見ます。

【牛尾委員】社会科学はどうですか。

【田中委員】やっぱり大学院レベルはきちんとやります。文系の大学院は非常に絞っていますから。

【木村主査】少ししか採らないんですよ。

【田中委員】私共の法学研究科の場合、定員は相当あるのですが、研究者養成コースについては、採るのはせいぜい20人ぐらいですから、非常に厳格にやっています。

【河野委員】大学の試験というのはペーパーテストなんですけど、インタビューというのはあったことはないんですか。

【木村主査】あります。後期の試験ではやっています。

【クラーク委員】さっき申し上げたように、ペーパーテスト、残念ながら信頼度が高いけど、問題は合格ラインに近い学生。本当は大学に入るべきではない人がぎりぎりで合格している。またやる気のある人がギリギリで落ちている。その2割ぐらいに対して暫定入学があれば、いろいろな問題は解決できる。

 うちの場合の経験から申し上げれば、入学したペーパーテストの成績の良い学生は、大学に入ってからも成績もいいんです。だから、そういう意味で信頼度が。

【木村主査】たぶんそれは他の大学では違うと思いますよ。おそらく東大なんかでも。東工大でもずっと調べているんですが、成績の上位で入った学生はどっちかというとあまり良くないんです。真ん中の学生が上がるんです。

 ですから、大学に入ったら何が効くか。努力です。下の学生はだめなんです。ぎりぎりで入ったのは。

 暫定入学で問題なのは、例えば東京工業大学でやったら、成績が下の学生はやっぱりだめなんですね。成績がぎりぎりで入った学生は全然上がってこないんです。真ん中が上へ行き、上が下がるんです。下はずっと同じ。

【クラーク委員】うちの場合は上位は成績がいい。その理由は、上位になった人は他の大学にも入れるんです。でも、わざわざ多摩を選んで。初めからよく勉強するつもりだったから。

【木村主査】たぶん東大もそういうデータを持ってると思いますけどね。

【黒田委員】調べてみますけど。

【木村主査】うちはずっとデータをとっています。

【牛尾委員】大学院だけはまじめにやってるんだな。

【黒田委員】大学院も、全部を丁寧に面接をして、内申書を見てということもやっています。1次試験と2次試験をやるんですね。1次試験で足切りをして、2次試験で面接をやります。

 その時にボーダーラインから1割ぐらい増やして面接をするんですけど、どっちにしろ成績のいい人は、受かるに決まってるから面接をやめようとある年試みました。時間がもったいないから。残りの人だけ丁寧にやろうということをやったんですけれども、受験生のほうが、何で面接してくれないんだろうって怒るんです。もうだめなのかと思ったとか言ってパニックしたので、その翌年からまたやることにしたんですけど。

 受験生にはわからないように、本当に大丈夫という人は、指導教官の確認とか、大学院で何をやりたいのかの確認、併願しているかとか、そういうことを確認するだけで終えて、ボーダーの人は丁寧に、学問の内容を聞くということをやっています。

 ただ、これは大学の学部レベルのあの膨大な人数にはとてもできない。

【牛尾委員】学部レベルは私はあまり期待しない。選ぶのは大学院って割り切ったほうが。 学部は無理ですよ。

【クラーク委員】もう1つ、入学試験に皆さん集中してますけど、実際は大学教育の創造性とか独創性を考えれば、一番大きな問題は、入学試験の問題よりも、ゆとりのない教育ですよ。

 文部省は、中学校、高校は創造性を、ゆとりのある教育とか非常に強調してるでしょう。大学になると全くゆとりがないですよ。文部省の規制のために。

 つまり単位問題なんです。明らかに多すぎますよ。 学部4年間で124ぐらい。これでは突っ込んで1つのテーマで勉強することは不可能なんですよ。だから、みんな薄くて、表面的に、単位稼ぎばっかりを考えているんですよ。これは非常に大きな問題です。今の日本の大学教育の問題です。

 中学校、高校はゆとりのある教育、すごく努力して導入したでしょう。けど、大学だったら、どうしてゆとりの教育が許されていないんですか。かえって逆ですよ。明らかに多すぎますよ。うちの大学教育改革審議会で、誰か計算して、一日2科目受けなくちゃいけないんです。それを準備するのは不可能なんです。

【牛尾委員】単位がだんだん増えてきたんですか。それとも一緒ですか。50年間。

【文部省企画課長】ずっと一緒でございます。大学審議会の議論の中で言われていますのは、日本の場合、単位というのは、例えば授業を1時間やれば、予習復習というものがあって、キチッとしたものがあって、ですから 124単位取るのがかなり大変なはずなんだけれども、日本の場合には、特に社会科学系では、3年で 124単位簡単に取れてしまう。もっとキチッとした形で、単位制度を実質的に生かすということで現実に講じていく必要があるというふうなことで、最近の改正でございますと、例えば1年間に取れる単位、野放図にするんではなくて、30単位から、通常は40単位までしか単位を取ることはできませんよというふうなことを大学が積極的に導入し、単位の実質化を図ると。

【浜田委員】 124単位というのは理系も文系も同じ、昔も今も同じですか。

【文部省企画課長】はい。

【木村主査】ただ、かつては、大学ではもっと高く設定していたんです。 128とか 136とか、140なんて設定した大学もあったんです。それが大体 124ということで平均化しちゃったんですね。

【浜田委員】 124単位、私、記憶がほとんどないんですけど、勉強した記憶がなくて 124単位取ったのかなという記憶しかない。

【河野委員】昔は違うんですよ。昔は30いくつか。

【牛尾委員】50年前。新制になってから単位は一緒でしょう。

【木村主査】例えば文系だと、講究とか、授業じゃなくて、ゼミみたいなやつがあるでしょう。あそこに大きな単位を置いてあるから、実際の授業で取る単位は小さくていいんですよ。理系の場合には、今度変わりましたが、実験などは1単位が3時間だと思いました。2単位だったら6時間とかべらぼうな時間やらないと取れないけど、文系の場合、講究のように単位をドカンと出しているものがあるから、授業自体はそんなに受けなくていいんですよ。

【文部省企画課長】例えば授業の場合、単位というのは、基本的には45時間の学習量が1単位という考え方でございます。ただし、例えば講義を15時間やれば、当然予習復習で2時間はあるという前提で、講義の場合には15時間で1単位。

 ところが、実験実習とかというふうになると、45時間丸々で実験実習をやって、それで1単位だということで、そういう意味で、例えば理工系の場合にはかなりきついということです。

【木村主査】クラークさんの話だけど、ゆとりがないことはないな。今の日本の大学生は。

【田中委員】大学生は、文系に関してはゆとりがありすぎることは明白です。

【クラーク委員】突っ込んだ勉強しないんです。基本的に取り易くなったんです。

【木村主査】そういう傾向はあるかもしれない。

【牛尾委員】だから、私はアメリカで、あんなに勉強させられたことは初めて。東大の5倍ぐらいで大変なんだよ。あの本読め、この本読めで、リーディングアサインメントはあるわ、ディスカッションはあるわ。

【クラーク委員】とにかく単位規制によって逆効果になって、表面的にだけ勉強して、結果は、変な形でゆとりのある教育になったんですけどね。

【牛尾委員】講義のプリントを入手して、ちょっと読んで試験を受ければ通るんですよ。入ってしまうと楽なもんなんです。あの講義はきついぞということで、点の甘いところへ行って、優の3分の1ぐらい軽く取れるわけですよね。だから、45時間を、僕らは10時間ぐらいで取ってたわけです。そういう甘さにも問題があるのかもしれないですね。

【木村主査】どうしてそうか。例えば実際45時間なんだけど、予習が入ってない。予習しなくてもいいんですよ。今のシステムはね。

 例えば実験なんかだったら、予習してこなかったら実験もやらせません。そういうシステムになっているから、必死で勉強してくるわけですよ。質問をしてパスしたらやっと実験に着手ということでやってるから大変になっちゃうんですよね。だから、予習してこなかったらだめなようなシステムにすればいいんですね。

【牛尾委員】リーディングアサインメントというのは、本を読んでこなきゃだめなんだから、読まざるを得ないわけです。だから、そういう制度が日本に全然ないから。

【木村主査】理工系も全部がそうかというとそうじゃなくて、ただ授業に参加してて、後でちょっと復習すればいいというのが多いんですよ。だから、その辺をもっと徹底して、クラークさんが言われたようにすれば、単位数、科目数を少なくして、一つひとつの中身を充実して、宿題もちゃんと出す、チェックをする、予習もしてこなきゃだめというふうにすればずいぶん身につくんですよね。

【クラーク委員】いずれにしても、この問題を解決するのは簡単ではないですけれども、今の制度の中では、突っ込んで勉強するインセンティブがなくて、正直に勉強すれば、単位は明らかに多すぎます。

【木村主査】確かに正直に勉強すれば多すぎると思う。まともに予習して。

【田中委員】文系の場合は、おっしゃるように、勉強する人はものすごく勉強するし、勉強しない人はしないというふうになっていますから、結局、大学へ入っても、勉強しない者は、朱に交われば赤くなるとか、悪貨は良貨を駆逐するという話で、そっちにみんな平準化していきますから、成績が一定の基準に達しない者をどんどんどんどん切っていくことにでもしないと、学生全体が勉強するという雰囲気にはならないですね。

【牛尾委員】切っていくか、3年で早く出しちゃうか。

【クラーク委員】こういう問題、どうして大学にもうちょっとお任せできないですか。大学が自主的に、単位の数とか、勉強のやり方とか決めてもらって。

【文部省企画課長】 124単位といいますのは、これは最低といいますか、 124単位以上ということで、少なくともそこまでは、大学という以上、学士号を与えるというためには、国際的に見ますと、諸外国でもその程度の単位は、国際的な通用性ということを考えても、その程度は必要であろうと。むしろ 124単位をどのような形で与えていくのかということは各大学の。

【クラーク委員】おたくの悩みもよくわかっています。例えばアメリカの場合は全く自由です。結果は、まじめに教えない大学は評判が低いんです。いわゆるミッキーマウス大学。しかし、日本ももっとみんな自由にさせれば。 124は何か足かせなんですよ。私の感じとして。大学教育を改善しようと思えば、とにかくうちの大学はその問題で悩んでいます。いろいろ改善したいんですけど、 124単位というコードがあるとすれば、改革するのは非常に難しいんですよ。

【文部省政策課長】国民の皆さんが確かに自分の目で大学を判断して、いい加減にやってる大学は大学と認めないというようなものの見方で見てくだされば、文部省が何もそんなお墨つきを出さなくたってそれぞれでできるかもしれません。

 だけど、大学であるかどうかの認定は文部省してくれよというふうに言われると、やはり 124は最低でも取っていただかないと、あとやり方は任せますがと言わざるを得ないので、確かにそれは大きな変革の中で、それは文部省に頼らずに、自分たちの目で見きわめようよというようなことになってくれば、そうなっていくべきだと思うのでございますが、現実には今そうなっていて、文部省だけが気づいてないのかもしれませんが、文部省が 124と決めているのはそういう背景があります。

【クラーク委員】楽勝科目、意味わかるでしょう。どんなに深刻であるか。この問題はご存じですか。文部省の中では。どうやって克服できますか。

【文部省企画課長】それはまさに大学の中でどのようにそれぞれ評価して、そして単位を与えるかという問題でございますし。

【クラーク委員】 124の単位の問題がある限り、あるいはコードある限り、楽勝科目問題を解決するのは非常に難しいんですよ。

【文部省政策課長】認定が大学に任されているから、 124といったって簡単に認定するところもあれば、厳しく認定するところもあります。

【クラーク委員】学生は単位を簡単に取れる科目しか選ばないんです。

【木村主査】実際は、相当大学に裁量権があるんですよ。先生ちょっと堅く考えすぎですよ。例えば 124といっても、実際に文部省はある基準を持っていますけど、東工大なんて、語学なんて単位半分に切り下げちゃったんですよ。だから、それはいくらでもできますよ。

【黒田委員】結構ディスカッションしていて。

【木村主査】124というのは縛りが強いみたいですけど、大学の中では相当自由にできるようになっています。

 もう1つ、私も自由化には賛成ですけど、 200ぐらいの大学、これが悪貨が良貨を駆逐するということになっているため、その辺での規制がどうしてもあるんですね。日本の場合は。

 おそらく、撤廃したらものすごいことになりますよ。

【牛尾委員】しかも、さっき言った需給関係が、供給作業になってくるんだから、ここのところはある程度ゲームを投げないとだめですよ。ここをきれいにしようと思うことは不可能に近いことだと思う。

【木村主査】実は大学は大きな裁量権を持っているんですね。ちょっと細かい話になりますけど。

【牛尾委員】ただ、小学校みたいに監察官みたいな、時どき大学を見て、どうしようもないところは勧告するような制度が必要だと思いますね。

【黒田委員】我々の学科では外部評価が入っていて、今日も昨日もやっているんですけど、外部評価でちゃんと、一日に4コマぐらい講義と学生実験を見て回ってもらい、また、何を必修にして、何を必修にしないかなど資料に目を通してもらいアドバイスしてもらっています。

【牛尾委員】それは誰が。

【黒田委員】学部がやっていますけれども。

【木村主査】それを今度うちがやることになるんです。

【黒田委員】それで、今私は実際経験しているんですが、1年前から学生に対するアンケート、教科に対するアンケートをとりました。今この時間は卒業生ですね。教養学部なので、3年生、4年生、つまり本郷に進学した人、あるいは駒場の学部に進学した人に、1、2年の教育はどうだったかということを、私たちを除いて、視察をしてくれる先生2人だけで学生との話合いをやっています。

【牛尾委員】それはいいね。よくやってるんですね。

【木村主査】相当やってます。

【黒田委員】すごくやってるんですよ。だから、そんなにあきらめないでほしいんですけれど。その中で、例えば私たちは以前、必修科目を減らしたんですね。熱力学を必修から外したんですけど、必修に準じるといってもやっぱり学生は単位を取ってくれない。だけど、これは非常に重要だということで、もう一遍改革をして、必修に戻そうと話し合っています。

【木村主査】そういうのはしょっちゅうやってます。

【牛尾委員】試行錯誤の繰り返しになるね。

【黒田委員】フォローアップをしてみると、一番基本的な概念を学んでいないということでは困るので。

【牛尾委員】プラス思考の先生と、どうしようもない、タコつぼに入ったような教授がいて。

【黒田委員】もういないですよ。大学に来てみてください。

【牛尾委員】タコつぼ教授にはしみじみ参ったなあ。社会科学系にはいるよね。

【田中委員】しかし、若い人ほど教育熱心ですよ。

【草野委員】今の黒田先生言われたやつは、理科系だけじゃなくて文科系。

【黒田委員】私は文科系のことは残念ながらわかりませんので。

【田中委員】文科系は確かに趣味的なことをやっている人が多いですけどね。

【草野委員】そうじゃなくて、外部の監査。

【黒田委員】外部監査はもちろん文科系の学科もやっています。

【田中委員】結構学生の評価をやってるところがありますし、最近は、自己点検・自己評価の一環として外部評価をやっていますから。

【黒田委員】私たちの学部は3年目で、今年で終わりなんですが。

【草野委員】それは教授会に報告する、レポートするわけですか。監査というか、外部チェックのようなものは。

【田中委員】公表するんです。

【木村主査】まず教授会でそういうことをやろうと決めますね。そうすると、まず委員会をつくるんです。どういう問題があるか、委員会をつくって、どういうシステムでやるかを決めて、そして、例えば東京工業大学の場合だと、全学で議論して、学部に、こういうシステムでやるぞということを周知する。学部からは外部審査に、誰だれさんを選んだということを報告させるわけです。

 あまりにもインサイドビジネスの場合、これはちょっとおかしいよということを委員会が言って変えさせて、そういう人たちに教育、研究の評価をしてもらって、それを全部学部で集めるんです。集めて1冊の本にして出す。出さない部分もあります。非常に厳しい、むちゃくちゃな評価をする人もありますから、出さないところもあるんです。勿論評価された本人たちは知っています。ですから、そういう意味では透明性は非常にありますね。

【黒田委員】例えば東大の場合には、同じ講義をいろんな先生がやるというシステムですから、シラバスの共通対応とか、自分がどういう試験問題を出したかをみんなで出しあって、ディスカッションしています。そういうことを本当にやっておりますので。

【牛尾委員】良くなったんだね。さすがに自然科学はいいと思うよ。

【田中委員】文系もちゃんとやっていますよ。

【牛尾委員】社会科学、例えば法学部なんかは、これからは公務員は全部大学院だというふうにする。われわれも大学院を取るようにすると、今の20人が 100人、 150人にならないと困るわけですね。半分から6割は京大以外から取るというような制度にするために、社会科学や人文科学が乗り越えるべき壁は何なんだろうか。

【田中委員】やっぱり人文系の場合には、今でも学部卒で十分だという企業や官庁の採用方針がネックになっています。この前、浜田さんも、大学院終了者の要る分野は限られているとおっしゃったのですが、しかし、これからの社会を見ていくと、やっぱりリーダー層は、大学院できちんと勉強して、教養にしろ専門にしろ、どちらも十分に身につけた者でないとやってゆけなくなると思います。

【牛尾委員】海外の大学院を取っているんです。当社なんかは。国内の大学院といっても、企業に来るような気でいる人がいないからね。

【田中委員】だんだん文系についても、大学院でそういうプロフェッショナル教育をやって、そういう者を育てようという方向に進んできております。

【牛尾委員】それでロースクールなんかもどんどんつくってもらってね。その辺の改革がものすごく必要ですね。

【浜田委員】話は元に戻りますけれども、 124単位ですけれども、クラークさんご指摘一理あるように思うんですが。といいますのはどういうことかというと、大学を卒業した生徒の品質保証というんでしょうか、人間品質と言っちゃいけないかもしれない。学力保証といいましょうか、これをどこもやらないから、文部省が責任を持ってもらわなきゃならないから、 124単位は譲れないんだというふうに聞こえたんですよ。124単位なら保証できて、それを半分の62単位にしたら保証できなくて、もっと品質を上げようと思ったら 135単位、 140単位にすれば上がるのか。単位数と卒業生のレベルの本当の意味の質の問題。

【田中委員】関係ないですね。

【浜田委員】 因果関係というのはどんな関係があるんだろうかと考えたら、関係ないんじゃないかなと。

 義務教育じゃなくて大学なんだから、相当な自由化というのが、自由化したら無責任ということではなくて、卒業生、どんな人が卒業するかわからないよ、その卒業生を受けるほうで責任を持って考えなさいと、こういう機関をつくってもいいんではないかなと。

【田中委員】出口管理をきちんとすればいいのではないでしょうか。

【浜田委員】 出口管理をきちんとする大学、そうでない大学、出口の保証がかなり詐欺レベルの大学というのは、そのうち何年か経てばわかってくる。そこまで思い切って踏み込まないと、ずっと今のまま、議論ばかりが。

 大学へ行くのが半分にもなって、もっと増えるかもしれない。誰でも入れる。そういう状態になったら、1回カオスにして、そこからキチッと、本物と本物ふうのものが分けられるような知恵というのが社会にないわけじゃないので、どうなんでしょう。

【文部省企画課長】単位制ということの意義でございますが、 124単位、1単位は45時間というのは、授業だけじゃなくて、まさに学生の学習量というものを基準に考えるという考え方でございます。

 それまでの、例えば小中学校でございますと授業時間数、非常に厳しく、はっきり決まっていますね。それに対して大学の場合には、いろんな教育手段というものを組み合わせながら、ここの学生の学習量が総体してこれだけというふうな。

【浜田委員】 途中ですけれども、建前はわかりますけれども、どこどこ大学の何学部の 100人の学生が、どの科目にどのぐらいの勉強をして、どのぐらいの学力で、単位を取ったか取らないかという実態を調べてみてくださいよ。名前を書いて出せば単位取れるのよという話すらある。

【牛尾委員】現実は45時間、誰も使ってないわけですよ。建前が壊れてしまっているわけです。

【文部省企画課長】そういう意味では、 124単位ということで、全体を計算すればこれだけの学習時間があるはずなんだけれども、実際、今の日本の大学の中で、かなり実質は本当は60単位ぐらいしか。

【牛尾委員】60単位分の時間しか勉強してない。する人は、黙っていても 150時間勉強しているんですよ。浜田先生の説明によれば、1単位、できる学生は、単位を絞らなくたって勝手に勉強してる。やらない学生は、どんなに単位を絞ったって、それならない方がいいじゃないかという議論が正しいわけですね。先生に任せたほうがいいよ。

【文部省政策課長】浜田先生おっしゃるとおり、そういう方向へ持っていくというのも、1つの方向としては当然考えられると思います。

 ただ、もう1つだけ申し上げたいのは、 124単位を決めているというのは、品質保証という面も1つはございますが、もう1つは、国民の皆さんの多大な税金を大学に投入してやっております。その大学生がどれぐらい勉強しているのか。その人たちのために、大学にも行ってない人間が税金を払っているが、その税金にふさわしい勉強をちゃんとさせているんだろうなということに対するものでもあります。

【牛尾委員】それが単位だけというのは情けない。

【文部省政策課長】それはおっしゃるとおりでございますが、両面がございますので、品質保証というもう1つの面もあるということでございます。

【クラーク委員】その議論はよくわかっていますけど、逆効果的な面ももうちょっと理解していただきたいんです。

 前の審議会でよく討論されたんです。日本ではあまりアクレリテーションはないでしょう。外から大学への、アメリカとかオーストラリア、イギリスは必ずあるんです。

 理由は1つは単位制度なんです。というのは、品質を保証しているわけです。この大学は大丈夫だと。 124単位。結果は、内容を改善する努力の必要はなくなりますよ。 124やっているからいいんじゃないかとか。外国だったら、大学の質が悪いという可能性は強いから、外からアクレリテーションがますます必要になったんです。必要になって、結果は、大学側は、自分の教育内容を改善する必要も強くなったんです。しないとアクレリテーションは良くないんです。日本の場合はそういう圧力、プレッシャーはないから。

【木村主査】今は増えているんです。ものすごく。アクレリディテーション、今基準協会でも、やってくれ、やってくれっすごいですよ。

【クラーク委員】けど、今やってないでしょう。

【木村主査】やってますよ。大学基準協会というところでやってますよ。

【クラーク委員】けど、公表してないでしょう。

【木村主査】してますよ。

【クラーク委員】どこに。

【木村主査】どこでも出てますよ。本がありますよ。文部省は関係ありませんから。

【牛尾委員】それはパブリッシュは。

【木村主査】されてます。

【クラーク委員】普通だったら、外国だったら、自分が大学を選ぶ時、そういう本は必ず手に入れるんですよ。それで見て、その上で大学を選ぶんですけど、日本の場合は偏差値しかないでしょう。今基準として。文部省にとってはこれは最悪でしょう。けど、原因は 124単位なんです。大学の質を判断する基準はそれしかないですよ。

【文部省企画課長】評価の問題でございますけれども、先ほどから出ておりましたが、今自己点検評価というものが、もうほとんどの大学がやるようになりまして、ごく最近、今年からすべての大学に義務づけております。

 それから、外部者による検証というものも努力義務ということにしています。現実に3分の2ぐらいの国立大学はそういうものを受けております。

 それから、今年からでございますけれども、大学評価・学位授与機構、従来の学位授与機構を改組したわけでございますが、いわゆる第三者評価機関というものを、この4月からいたしまして、木村先生がされております。

【木村主査】日本の特殊な事情で、実は先生もご存じだと思いますけど、大学審議会で第三者評価機関をつくろうといった時に、初めは国立も公立も私学も全部やるということだったんですよ。日本の大学の教育研究の質の向上のためにこういう機関は必要だと。

 ところが、国会では、私学はやるなということになっちゃったですよ。国会で。そういう国ですから、そこに問題があるんですよ。われわれは全部やるつもりでいたんですよ。システムとして大変なシステムになりますけど。そのうち、国会では、私学は建学の精神があるから、当分の間やらないという附帯条件がついてしまったのです。

【クラーク委員】外国だったら品質管理、皆民間がやってるんですよ。オーストラリアでも民間がやってるんですよ。

【牛尾委員】本当は民間がするべきなんだよね。

【クラーク委員】やるべきなんですよ。そのほうが客観的ですよ。信頼できます。理由は 124単位がないから。

【木村主査】それはちょっと極論だ。

【クラーク委員】だって、さっきおっしゃったじゃないですか。品質保証でしょう。授業の品質は文部省の方から保証されているから、客観的な評価は。これはまじめな話なんですよ。なぜアクレリテーションをあまりやってないか。文部省の品質保証が大きな原因です。

【木村主査】浜田さんおっしゃったような、完全に自由化してしまうというのも1つの手ですね。あとは非常に日本中混乱になると思いますけど、そのうちにだんだんと整理がついてくるかも知れない。

【牛尾委員】この国民会議の性格は、国民の立場から、かなり思い切った考え方を変えるということを提案することに役割があるので、現実をどうやって修正して、現実的な案を出せる素地を作るかということは中教審がおやりになればいいんだから、そういう意味では、義務教育の年数を増やすか減らすかという議論、若返らすかという議論、それから、自由にしてもっと様子を見てくれとか、50年間というのは、苔が生えるどころか、化石になっちゃったところがあるからね。ここはもう変えなきゃだめだということを言うのが、この会議の一番の役割だから、そういう発想を変えることによって、このとおりにしろといったら、文部省はやらないと思うし、そういう発想を持って考えるというきっかけをつくるのが、この会議の1つの大きな役割だから、短期的に見れば非現実的かもしれないけれども、50年単位で見れば極めていいことを言っているわけですね。

 だから、それを文部省に言うと、3年ぐらい先のことを考えたらもう長期ですからね。

【河野委員】単位の問題は同じでいいんですか。

【木村主査】それはまた大学によっても違うと思います。大学による違いは大きい。つまり理工系の場合は先生方が非常に国際競争をしていますから、いい学生が欲しいんですよね。そのためには、きちんと勉強していない学生は取りたくないわけですよ。ですから、 124であろうがあまり関係なくて、いかにきちんと勉強してきたかということに重きを置く。124というのは卒業の条件ですから、それは全然。しかも、最近、制度が緩んじゃって、3年で大学院に来れるわけですね。そうすると、 124も何もないわけですよ。

【牛尾委員】ですから、わりと評価がすぐ出るんですよ。

【河野委員】わかりました。

【浜田委員】 大学で自主的に、例えば、遊び半分の話で恐縮ですが、A、B、Cと3つ大学があって、ある大学は、当大学に入る方は、勉強を本当にしたい人でないと、入っても卒業できないかもしれないし、面白くありませんよ、 124単位はおろか、 135単位履修してもらいますというのを学長が宣言して、そのとおりやる大学がAとする。Cはまるで反対に、学歴だけを欲しい方はこちらへ来てください、90単位で結構です、ある程度やれば卒業できますと。その中間があった。そうすると、人はどれを選ぶかなと。極端な話ですけどね。

【文部省企画課長】現実には 124単位は、さっき申しましたように最低でございますので、多い大学では 200単位ぐらいを卒業条件としている大学まであるということでございます。

 それから体制そのものについて、50年間、全体の数字は変わってないと申し上げましたけれども、これについては実は平成3年に非常に大きな改正がございまして、昔はいわゆる一般教養というんですが、人文、社会、自然科学をそれぞれ12単位ずつ36単位と、あと外国語何単位とか、そういうふうな縛りを設けていたんですが、今は全く自由になっております。各大学で必要な科目を。

【文部省政策課長】今浜田先生おっしゃったのは、昨年の12月に中教審の答申をいただいております中で、各大学がポリシーを示すといいんじゃないかと。それによって教育内容のポリシー、うちの大学で学んだらどういう人間になるのか、したがってこういう入学資格を課すんだというので、大学入試も多様化して、非常に難しいものを課してもいいし、簡単に入れるというのがあってもいい。

 簡単に入れるところなんか行っても仕方がないと思うかどうかは、今はもう子どもの数が減ってるわけですから、ある程度の市場選択原理に任せていいのではないかということでございます。

 ただ、その時に90単位でもいいよというところまで踏み切るかどうかということになると、そんなに単位数が少なくていいんなら短期大学、2年制の短期大学もあれば、3年制の短期大学もあるわけでございまして、62単位ぐらいで出られる大学もあるわけでございます。

 そういうこともどうするのかという問題があるので、確かにおっしゃるとおり、 124に固執することの意味がどれだけあるのかと言われると、諸外国の数字と大体合わせているというぐらいの説明しかできないわけでございます。

【牛尾委員】もっと競争にさらされればいいんですよ。

【浜田委員】 いわゆる技術論ではなくて、考え方として、そういうことにチャレンジされたとしても、そのベースにある枠組みがほぼ変わらなければできないじゃないですか。やろう、やろうとしても。枠組みをむしろ崩しちゃわないと。

 だから、自然の流れに任せればみんな悪くなっちゃうという心配があるから、枠組みでどうしても外せないのがある。その心配を相当取ってもいいんではないかなと。社会性善説みたいになっちゃいますけど。

【牛尾委員】浜田さんみたいに、おっしゃったCのケース、東南アジアの留学生なんか、名門大学でCの大学がないかというわけですよね。日本は全然くれないというわけですよ。ディグリーを。アメリカでは名門大学でも、留学生にはCコースというのがあって、くれるじゃないかと、そういう議論が結構存立しているわけですよ。日本に留学して遊び呆けて、ディグリーだけ持って国に帰って地位につく。

【浜田委員】 アメリカのハワイにあるとかって。

【木村主査】イギリスもかなりそういうところがあって、ガンジーの孫でしたっけ、彼の友達というのを私よく知ってるんですけど、ケンブリッジに行って全然勉強しなかったのにちゃんと出したって言ってましたよ。

【牛尾委員】そういう要請はあるし、例えば大手予備校というのはAばっかりなんですよ。みんなAを求めて予備校に入る。競争があるからそうなんですね。大学に入ってしまうと気が緩んで、結果はCでありたい、中身はDぐらいというのがわりと多いんだよね。わかりやすい例ですよ。

【木村主査】徹底的な自由化路線というのはあり得ますね。確かに。

【クラーク委員】私、英語教育改善委員会もやってるし、そっちの方の立場は、みんなまじめに考えてるけど、今の制度はどうやって改善できるとか、結果から見なくちゃいけないんですよ。明らかに日本人は英語ができないんです。だから、制度を根本的に変えなくちゃならない。けど、文部省はあそこからスタートできないですよ。そういう立場で。自滅だからね。

 同じように、明らかにアメリカの大学の教育制度、日本よりもベターです。明らかですよ。

 じゃ、なぜこういうふうになったか。もうちょっと謙虚に考えるべきですよ。自分のやり方を一生懸命正当化させる。これは哲学的な問題なんですよ。

 理由の1つは、さっきかなり完全に自由競争なんですよ。結果は、悪い大学がどんどん淘汰されるんです。いい大学がどんどん伸びるんです。

 もう1つ、問題ありますよ、アメリカは。日本と同じよ。けど、州でやってるんです。州は、自分の州の大学の質に対して非常に関心を持っているんです。よく監視しているんですよ。あなたたちと違って。よく監視していて、いい先生を入れるとか、良くしないと首とか、金を出さないとか。日本は分権、分権と言っているんですけど、実際、分権をやりたくないでしょう、日本は。

 しかし、補助金を決めるのが、県だったらある程度改善できますけど。いずれにしても、アメリカの大学生ははるかに日本よりも優秀である。その原因をもうちょっとまじめに考えるべきではないかと思います。

 以上でございます。

【文部省政策課長】好ましいことではないですけど、極端に言えば、うちの大学に来ればすべて楽勝科目だよということを最初から標榜する大学があったとして、それを受験生がどう選ぶのか、それから社会がどう評価するのかという意味で、 124を残しつつ、そうやるやり方と、 124をなくしてしまうことの問題点もなきにしもあらずですが、それを踏み越えてまでなくすのかどうかという問題があります。

【牛尾委員】これは自由に考えたらいいじゃないですか。こだわらないで。

【浜田委員】 124というのはちょっとシンボリックに数字が出ているだけで。

 その他の諸規制が、さっきちょっとおっしゃった、補助金が出ているわけでしょう。それをイエスかノーかというのに、国の必要な税金を使うのかという矛盾を感じますよね。

【田中委員】その辺りもきちんと評価して格差をつけて補助金を出すということに対する抵抗がなくなっていけばやれるのではないでしょうか。

【牛尾委員】CやDの大学というのは私学補助金なくたって、そういうところは殺到するから経営はできるんですよ。極論すれば、私学でもAであれば私学補助金を出すけど、Cなんかゼロでいいんですよ。ただ、それを公然と言うとCに行かなくなっちゃうからね。

【浜田委員】 そうするとだんだんと大学が淘汰される。

【牛尾委員】そうなんですよ。 250万人の世代を対象にして、 120万から 100万に切るんですから。

【浜田委員】 1度認可したから維持しなければならないという義務感みたいなもので固まっちゃっているから、大学を減らす方向へ。

【木村主査】義務感でやってるわけじゃないんですね。

【牛尾委員】建物の跡は利用する方法はいくらでもあるんだから。

【木村主査】この間も申し上げたように、私も非常にびっくりしたのは、国会で、私学は評価しちゃいかんという決議をしたわけですから、教育を何と考えているかと驚きました。

【牛尾委員】評価されたら困るんですよ。

【木村主査】文部省の責任だけじゃないですよ。国民の責任ですよ。

【牛尾委員】だから、今回は言わなきゃいけない。

【浜田委員】 森首相は反対のことを言われたけど。公立は全部私立にしましょうと。

【木村主査】そういう議論はいろいろありますね。

【浜田委員】 公立だとおかしいとか。

【木村主査】自由化路線ということで、ショックを与えたほうがいいんじゃないですか。今のことは、独創性、創造性につながってきてますけどね。

【田中委員】独創性、創造性を議論する時に、何となく物理とか数学という理系が中心になるのですけど、文系にも独創性、創造性というのがあるのでして、それがどうして出てくるかというのは難しいのですけれど、やっぱり1つは、違う専攻を2つやってクロスさせるというのが、独創性、創造性がめばえる大きなきっかけになると思うので、そういう仕掛けをつくる必要があるのじゃないかという感じがしますね。

【牛尾委員】アメリカは淘汰したら、ほとんど企業に来てる場合に、MBAも取っていますからね。そういうふうにクロスしているんですね。日本はそれはなかなか難しいですよね。

【田中委員】文系は文系、理系は理系という発想はもうそろそろやめて統合化していったほうがよいと思います。

【木村主査】理系といいましても、学科間の壁みたいなものが高い。その辺も問題はあるんですけどね。

【田中委員】文系にも結構独創的なものも、創造的なものもあるのですね。

【クラーク委員】ダブル専攻制度、制度的に何か壁がありますか。

【木村主査】いやいや、もうやってるところがありますよ。

【クラーク委員】できるんでしょう。もっと推進すべきです。特に語学教育を考えれば必要なんです。

【河野委員】大学だけじゃなくて、高校も入試を、これはペーパーテストだけでいいのか、例えばボランティア経験を聞くとか、そんなようなこともどうなんですかね。

【牛尾委員】中高6年制の議論というのは第1部会でしてるんですか。

【銭谷室長】ここでやっていただいても結構です。

【牛尾委員】中高6年制か5年制か知らないけど、試験が多すぎるということは事実だね。

【木村主査】今一生懸命、中高一貫校の推進活動をやってるんですよ。これがなかなか進まない。地方行政の問題で、やりたいんですけど、なかなか壁があって大変なんですね。

【クラーク委員】中高一貫は理想的だとおっしゃっているんですけど、マイナス面がかなりありますよ。つまり12歳で自分の将来を全部決められるんでしょう。

【木村主査】全部中高一貫にするわけじゃなくて、選択できるわけですから。選択できて、しかも、そこに入って、嫌だったら移れるようなシステムにしておけばいいじゃないですか。

【クラーク委員】しかし、中高一貫になると、高校の時点で入るのは非常に難しいんですよ。

【木村主査】今の状態はそうですけど、たくさんできちゃえばね。日本中に 500も 600もできちゃえば簡単に移動ができるようになりますよ。

【牛尾委員】今は中高一貫のところでも、高校でも少しは取るんですよね。

【木村主査】私立の場合はそうですね。非常に難しい。だけど、それは公立でたくさんできちゃえば、例えば先生おっしゃったように、12歳で入りますよね。嫌だったら、3年制の、中高一貫でない高校へ移れますからとくに問題はない。

【牛尾委員】人生の進路というのは大学で決まるという発想になってるんじゃないですか。高校で決まるという発想じゃなくて。

【クラーク委員】公立だったら、12歳で評判の低い中学校に入って、後で、この学校はあまり良くない、高校になって、もっと程度の高い高校へ入りたいという時自由にできますか。

【木村主査】できますよ、今は。

【クラーク委員】どういうふうに。

【木村主査】本人の成績ですよ。

【クラーク委員】試験はなくて。

【木村主査】今は試験は受けなきゃいけない。

【クラーク委員】成績だけ。中学校の成績。

【木村主査】中学校の成績だけでしょう。

【クラーク委員】そういう移動はよくありますか。

【木村主査】ありますよ。

【牛尾委員】ものすごく多いですよ。

【木村主査】悪い中学校へ入ったって、勉強すれば、いい高校へいくらでも行けますから。

【クラーク委員】私立はもちろん難しいでしょう。

【木村主査】私立が難しい。公立は平気ですよ。

【クラーク委員】私、私立だけしか知らない。

【田中委員】中高一貫の私立でも、先生がおっしゃったように、高校から相当数編入者を受け入れているのが多いですね。

【木村主査】他に何かございますでしょうか。

【牛尾委員】経営改革なんて、社会系でそういう独創性のある人が欲しいんだけどね。

【木村主査】あとは9月入学、私はこれは前から非常にいいと思っているんですけれども、クラーク先生もそうおっしゃっていますけど。

【河野委員】どの段階でやるかということ。

【木村主査】大学。高校は今までどおりにしておいて、9月入学。

【牛尾委員】国際基準に合わせたいので9月にするんだったら、何もかも9月にするべきだという議論もありますよね。高校を卒業して大学へ入るまで6カ月間空白を置くということに対しては議論が百出すると思うんです。

【田中委員】企業の就職について、年間採用にするとかして、4月にいっせいに採用する方式をやめてしまうとか。

【牛尾委員】皆9月にすれば、企業は、だんだん最近は一括採用そのものが減っていますから。だけど、6カ月休ませるというのはちょっと具合が悪いな。

【木村主査】一時9月入学についての議論がありましたが、べらぼうな金がかかるので無理だろうという議論が新聞に出ていたことがあります。

【文部省企画課長】全体を9月にするのは、初年度に大変ないろんな意味でのコストがかかるというのはあると思います。それは1回だけですが。

【牛尾委員】日本の予算が4月だから、そういうのも困るだろうしね。

【文部省政策課長】さまざまな問題等の関連があるので、大学と高校以下は切り離してというか、必ずしも連動しなきゃいけないということはないのではないかと思います。

【牛尾委員】欧米は皆9月ですか。

【木村主査】9月ですね。

【牛尾委員】ヨーロッパも。

【木村主査】イギリスは10月ですね。秋ですね。

【牛尾委員】あれは2月でも10月でも入れるでしょう。

【黒田委員】普通10月ですね。

【銭谷室長】9月入学というより秋期入学なんですよね。たしかオーストラリアは1月。

【木村主査】向こうは夏だから。冬に、あの時期に試験するのは大変なんですよ。

【牛尾委員】小学校、中学校も秋入学なんですか。欧米は。全部一緒でしょう。

【クラーク委員】だから、実際に大学だけじゃなく、小学校から9月入学すれば、半年ぐらい全部飛び級なんです。

【河野委員】よくわからないけど、これは社会のシステムとしてこうしようというのか、9月に入ったっていいと思うんだけど、そういうのもいてもいいというふうにはいかないんですか。

【木村主査】4月に入ってもいいし、9月でも。

【黒田委員】教えるほうが大変。

【牛尾委員】国際大学がそうなんですよ。海外留学生がいるものだから、秋入学と両方取ってるから大変ですよ。手間が。

【文部省企画課長】大学の学年の時期については、4月にしても9月にしても、大学の自由な判断でできるということでございます。

【文部省政策課長】1つの大学で両方入れると大変だと思います。

【クラーク委員】うちでやっています。入学式2つ、卒業式2つ。大変です。

【黒田委員】外国は会計年度は4月じゃないんですか。

【木村主査】会計年度は4月でしょう。

【黒田委員】だけど、大学とはずれているわけですよ。さっき会計年度とおっしゃったけど。イギリスはそうです。イギリスは会計年度が4月です。それで入学が10月ですよね。

【牛尾委員】アメリカは年末でしょう。

【黒田委員】私はイギリスしか知らないから。会計年度とずれてるなって。

【牛尾委員】ずれていてもいいわけだ。

【田中委員】9月入学制度を推進する理由として、4月に卒業してしばらく余裕があって、その間にボランティアとか何とかとおっしゃっていましたが。

【牛尾委員】その理由はいいんだけれども、非常にまとめにくい議論になるな。6カ月遊ばせるというのは。

【田中委員】そうなると、4月から全部9月に変えるというのは、国際的な標準に合わせるというだけの議論で、あまり意味がなくなってしまいますね。6カ月間ボランティアなど何かやらすというのは一理あると思うのですけれどね。

【木村主査】独創性の議論とあまり関係なくなってしまいますね。

【田中委員】その間にいろいろ経験させるというのは意味があるかもしれません。

【河野委員】帰国子女とか何かね。

【牛尾委員】それは秋入学を認めてるし、慶応大学の湘南藤沢キャンパスなんか、面接でいつでも入れるわけだから。

【木村主査】9月、10月、大学はどうでもいいといえばいいんだけれども、秋期入学にしてくれると、外国の学生も来やすいんですよね。

【田中委員】海外と交換学生制度を行っている場合には、9月から来て、一年で帰るから、通年の4単位の講義では制度をうまく活かせないんですね。

【河野委員】先生の問題なんですね。2回やるわけにいかないから、9月に。

【木村主査】あと、特にご発言。

【クラーク委員】2の学力評価システム、ちょっと意味がわからない。高校の学力ですか。

【木村主査】これはどういう意味で出したんですか。達成度試験ですか。

【銭谷室長】達成度試験です。

【木村主査】高校でちゃんと勉強したかという達成度試験です。

【クラーク委員】卒業試験は必要なんです。けど、やろうと思えばできるでしょう。卒業試験。どうしてやってないんですか。外国では常識なんですけど。

 昔、昭和30年代には小中高、特に小中学校でそういう学力調査というのをやっていたんですね。それが結局、学校間のいろんな格差があからさまになるとか、競争を煽るとかということで、全部やるのは。

【木村主査】ティーチャーズユニオンの反対です。

【牛尾委員】 ユニオンが反対したんですか。

【木村主査】そうです。

【クラーク委員】日本の社会によく見られる。面倒くさいとか不平等になるとか、結果はしわ寄せになっちゃうんです。結果、入学試験はますます決定的になっちゃうんです。必ずどこかでひずみが出てくるんですよ。

【牛尾委員】ユニオンは何で反対するんですか。

【木村主査】やっぱり格差。学校格差は絶対反対ですね。

【牛尾委員】格差というのは教授の格差ですか。

【クラーク委員】学校の格差。

【牛尾委員】それはしょうがない。それを認めないと。

【木村主査】そこなんですよ。すべてそこに始まります。

【牛尾委員】ここの会議は、格差を認めるということでいいわけでしょう。それはだめなんですか。なぜ困るんですか。

【木村主査】だから、私はわざわざエリートと言わないで、ヘゲモニーを求めないエリートということを言ったんですよ。エリートと言うと格差になるんです。

【牛尾委員】会社でも、格差がないと、いろんなところで、これが1で、これが2で順番をつけられるし、一部上場、二部上場もあるし、店頭上場もあるし、皆それぞれ格差があるんだから。

【河野委員】少人数教育というのはぜひ実現して。

【木村主査】これはもう誰も反対はありません。

【クラーク委員】高校卒業試験の制度があるとすれば、それが大学入学の基準となるんです。

【牛尾委員】質が非常に問われるんですね。少人数というのは。お粗末なのに少人数で教育されたらめちゃめちゃになっちゃうものね。

【黒田委員】教師の数も増やしてくれなきゃ。

【牛尾委員】数は倍にしなきゃだめ。ミッションがないとだめだね。

【木村主査】今達成度試験は各国でさかんになりつつありますが、アメリカは州によって違うんです。やってるところと、やってないところがありますが、徐々に増えています。 今ちょうどフルブライトの先生方が来てて、この方達に聞き取り調査をやっていますけれども、州で、調べたら20いくつの州が達成度試験というのをやり始めましたね。達成度試験はどうしても必要でしょうね。ただ、単位制と矛盾しているのかな。

【文部省政策課長】それは別に矛盾はしていません。やった時期にどれだけ単位を取っているかという問題でございますから、途中経過で取っていったと仮にしても、どの単位をどれだけ取ったかの達成試験と考えればいいと思います。

【木村主査】多少こういうことに関係しているんですけれども、全体の雰囲気として、たぶん文部省はやろうという立場だと思うんですよ。ところが、そのことをローカルガバメントに云ったらものすごい抵抗がありますね。何が一番抵抗なのかな。

【文部省政策課長】高校の学力が達成されてないと言われた場合の責任の所在の問題とか、当然、良くない結果が出てきた場合に正さないといけないというところがあるのかもしれません。

 そこは第2分科会で今ご議論いただいているようなことと連動していると思います。

【牛尾委員】いいことは全部やって、悪い習慣は全部やめるというために国民会議をしているわけだから、その前提を立てて、皆が丸くおさまる範囲内で線を引くんだったら中教審でいいんだよ。

 国民会議といったら、国民の世論と時代の流れを背景にして、ここではっきり言うべきことを言おうと。その場合、文部省の方はしょうがないという顔をしてればいいんだよ。

【木村主査】歴史的な流れですね。

【牛尾委員】21世紀の国民のためにやっているわけですから、時代の流れをキチッとここで言う必要があるので、集まって評価されるのが怖いという人の顔を立ててたら評価なんか何もできない。そういう人ばっかりの弱者連合で教育が動いているから、こういう結果が出るんですね。

 それでも、いい人は、その隙間から必ず出てきますけれども、しかし、やっぱり伸び方が遅いね。だから、結果を全部除いて自由にすれば。

【木村主査】伸び方も遅いし、潰している可能性もあるんですね。

【牛尾委員】日本民族というのは結構よくやる国民なんだから、50年間の垢を全部取ろうということですから。垢をむしろ探し回っているんだから、議論の中では垢を弁護してもらっちゃ困る。そのとおりだ、垢がいっぱいあっていい、良い垢と悪い垢がありましてなんて言うと問題が混乱するから。主査は是非、その辺の思想を統一したほうがいいよ。

【木村主査】私も、ラジカルなことをやれって言われればいくらでもできる性格なんですが。

【牛尾委員】主査になっちゃったんだからしょうがないですね。

【田中委員】今の点を言わない限り入試制度って変わらないですね。結局、すべて入試選別することに関心が集中されますから、それを少しずつ変えてゆかないと。

【牛尾委員】基本的にそういう問題があるから変わらないんですよ。誰もが責任をとらなくてもいいんで、本人が一番損をするという制度になってるわけですよ。

【田中委員】今みんな入試が悪い、入試が悪いって言っていれば、それで済んでしまっているところがありますね。

【木村主査】浜田さんがおっしゃったA、B、Cについてですが、Aは、戦前だと、私どもが聞いているのは物理学校ですね。たくさん入れてほとんど出さないということを堂々とやっていた学校で、結構有能な人が育っていますよね。

 最初から有能な人は採っていないのだと思いますが、その人たちが相当上がったというところが大事なんでしょうね。

 今日はどうもありがとうございました。