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資料4
文科系大学院における改革の動向と課題
(教育改革国民会議第3分科会2000年7月6日)
京都大学田中成明
T 文科系大学院の改革の動向
一 新制大学院制度以降の文科系大学院の状況
- 専門教育は学部段階で完結的に行うシステムの継続
大学院は研究者養成のためのgraduateschool
職業人養成のためのprofessionalschoolには大学内外が関心を示さず
- 少ない博士学位授与数・・・博士課程進学者数少なく、学位取得の必要性も低い
- 大学院独自の人的・物的設備は貧困なまま、学部に寄生的
- 60年代後半以降、理工系が、大学院、とくに修士課程を拡充し始めた頃から、理工系と文科系との格差は拡大
- 文系でも、法学部5年制案(1966年)など、専門教育の高度化方針は提唱されたが、賛同・支持を得られず
二 1991年大学審議会答申以降の改革
- 文科系大学院における高度専門職業人養成機能の拡充の必要性
- 職業人養成志向大学院の設置
筑波大学経営・政策科学(90年)、横浜国大国際経済法学(90年)、名古屋大国際開発(91年)、神戸大国際協力(92年)、大阪大学(93年)など
- 大学院重点化とパックになった修士課程「専修コース」の設置(東大法・91年、京大法92年など)
- 高度専門職業人教育の効果と現状
社会人・職業人の受入・・・大学院教育の活性化、研究にも刺激
学部卒業生の場合・・・国家試験制度、企業の採用・人事方針などのネック
- 人文科学系と違って、社会科学系では、トップ層が大学院進学を希望しない
- 博士学位授与数は増えてはいるが、依然として少ない
法学の場合、博士課程修了以前に就職、助手制度の運用実態
三 1998年大学審議会答申前後からの展開
- 専門大学院(高度専門職業人養成に特化した実践的教育を行う大学院)の設置促進
例示分野・・・経営管理、法律実務、ファイナンス、国際開発・協力、公共政策、公衆衛生など
- 設置事例・・・2000年4月一橋大国際企業戦略研究科など
- 検討中の事例・・・法律実務
U 日本型法科大学院(ロー・スクール)の検討状況
一 基本的な制度設計
(1)基本的コンセプト
- 法科大学院を大学院修士課程に設置
- 法学部卒業者だけでなく、他学部卒業者や社会人も受け入れる
- その修了者は、司法試験に合格して司法修習制度による実務修習を経て法曹資格を取得する
(2)学部との関係
(a)既存法学部4年(専門教育2年)に法科大学院2年の積み上げ型(4・2案)
(b)既存法学部とは独立に法科大学院3年を設置する完結型(4・3案)
(c)既存法学部3年に法科大学院3年を積み上げる型(3・3案)
(3)法科大学院と従来の研究科との関係
- 法学部・法学系大学院で、法学だけでなく政治学の教育研究も行っている大学が多い→少なくとも政治学については、従来型の研究者養成大学院は必要
- 法学については、法科大学院修了者を、研究者養成大学院の博士後期課程に進ませる方式と、法科大学院に博士課程を独自に設置する方式との2案
- 修士課程を研究者養成コースと法科大学院との2元制とし、博士後期課程は研究者養成コースに1元化する方式を検討している大学が多い
二 課題
(1)大学側
- 教員の意識改革
- 実務志向型法学教育を行う教員の確保の困難
- 学部・大学院の関係の見直し・・・学部への寄生的体質の改革、大学院の開放性
- 大学全体における位置づけ・・・財政支援、独自財政
- 大学間格差
(2)外的条件
V 文科系大学院拡充の課題
一 大学側の改革
- 教員の役割認識の改革
研究+教育
- 学生の勉学意欲向上への誘因
基本的には入口管理から出口管理へ
- 専門教育の高度化の必要性を、付加価値を明確化して、大学外関係者の理解・支援を得る努力をすべき
- 教養教育と専門教育との関係を見直し、学部・大学院の関係の再編成すべき
総花的な教養教育ではなく、メリハリの利いた教養教育と専門教育との融合
主専攻・副専攻制の導入など
学生の成熟度に応じた進路選択の段階化
3年修了時に専攻変更を認める
再編成案の一例
3年間の高度教養教育+専門基礎教育(college)
2年ないし3年の高度専門職業教育(professionalschool)
5年(3年に短縮可能)の研究者養成大学院(graduateschool)
- すべての大学がこれら3種の役割を引き受けるのではなく、各大学がそれぞれの学風と能力に応じて役割分担する方向へ進むべき
- 生涯教育への進出・・・いずれの役割についても、広く門戸を開放すべき
- 博士学位取得促進策・・・国立大学教官が博士後期課程に在籍できる制度改革など
二 外的環境の整備
- 国家試験・資格制度による誘導、企業・官公庁の採用・人事方針の変更
画一的平等主義、OJTの見直し、グローバル・スタンダードへの対応
- 科学技術振興だけでなく、文科系人材養成にも、バランスのとれた配慮を
文科系教育についてもCOE(centerofexcellence)的発想が必要
- 文科系、理工系という区別自体が、創造的・独創的人材の養成を阻害