| 時 間:平成12年7月19日(水) 18時00分〜20時15分 場 所:虎ノ門第10森ビル5階 |
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| 牛尾 治朗 | ウシオ電機会長 | |
| (主査) | 木村 孟 | 大学評価・学位授与機構長 |
| 草野 忠義 | 連合副会長 | |
| グレゴリー・クラーク 多摩大学学長 | ||
| 黒田 玲子 | 東京大学教授 | |
| 河野 俊二 | 東京海上火災保険株式会社取締役会長 | |
| 田中 成明 | 京都大学教授 | |
| 浜田 広 | リコー会長 | |
| (座長) | 江崎 玲於奈 | 芝浦工業大学学長 |
| 田村 哲夫 | 学校法人渋谷教育学園理事長 | |
【木村主査】それでは、定刻になりましたので、ただいまから第3分科会第6回を開催させていただきます。
本日は、牛尾委員が遅れておられますが、間もなくお見えになると思いますが、第3分科会委員全員と、それに江崎座長、それから田村委員が御出席でございます。
まず最初に、内閣総理大臣補佐官に新たにお就きになりました中曽根参議院議員の方からご挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
【中曽根総理補佐官】昨日、森総理から内閣総理大臣補佐官を拝命いたしました。文部大臣時代、大変先生方にお世話になりましたけれども、引き続いて教育改革を担当せよという御指示でございます。国民会議の皆様方、またこの第3分科会は木村主査を中心に熱心な御議論をいただいているわけでありますが、今日からまた私もこのような立場で参加させていただいて、この国民会議が本当に国民の皆さんの期待に応えられるようなものになりますように、既にいろいろ立派な御議論をしていただいているわけですが、私なりに一生懸命やっていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【木村主査】ありがとうございました。オブザーバーとして公明党の方から御出席いただいておりました太田議員に替わりまして山下参議院議員がお見えでございますのでご挨拶をお願いしたいと思います。
【山下議員】今、御紹介いただきました参議院議員の山下と申します。私は大阪選挙区でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。太田さんの後を受け継ぎまして、今回オブザーバーとして参加させていただくことになりました。以前、中高一貫の私学の学校で17年少し教鞭を執ったことがあるわけでございますが、皆様方にいろいろ教えていただきながらしっかり勉強してまいりたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
【木村主査】ありがとうございました。次に、泉議員に替わりまして保守党から西川衆議院議員がオブザーバーとしてお加わりになっております。ご挨拶をお願いいたします。
【西川議員】西川太一郎でございます。どうぞよろしくお願いいたします。泉議員が運輸総括政務次官に転じられましたので、その後を私にということになりました。どうぞ浅学非才でございますが、よろしくお願い申し上げます。
【木村主査】ありがとうございました。
それでは、本日の議論でございますが、前回、第3の柱として御了承いただきました「職業観、勤労観の育成」ということについてもう少し御提案、御協議をいただきたいと考えております。その後で、お手元にお配りしておりますが、私どもで準備いたしました「第3分科会の審議報告書(案)」につきまして御議論いただければと思います。江崎先生の方から既にああしろこうしろという御注文が出て少しこんがらがっておりますけれども、お手柔らかにお願いをしたいと存じます。
それでは、まず最初に「職業観、勤労観の育成」につきまして少し資料を準備してございますので、銭谷室長の方から御説明をいただきます。よろしくお願いいたします。
【銭谷担当室長】それでは、ごく簡単に職業観、勤労観に関わります資料について御説明をさせていただきます。
資料の2は、「中学校における職場体験等の実施状況について」の資料であります。生徒が将来の生き方や進路に関わる体験活動をどの程度行っているかという調査でございます。職場見学などを実施している中学校は38.6%、職場での体験学習などを実施をしている中学校は33.1%という数字であります。なお、中学校での体験活動としては、高等学校への訪問や見学、つまり高等学校への体験入学が比較的多い事例となっております。
資料の3は、兵庫県が実施をしております「トライやる・ウィーク」の平成11年度のまとめの資料でございます。「トライやる・ウィーク」は、中学校2年生が1週間程度学校を離れて、例えばスーパーやデパートで働いてみるなどの就労体験を実際にやってみて、その成果をその後の教育に生かしていくという事業でございます。これは兵庫県下ほとんどの学校で実施をしている事業であります。
兵庫県内の359 の中学校で2年生がほとんど参加をして実施をしております。職場体験活動ということで、スーパーでの販売のお手伝い、物をつくったりする仕事のお手伝い、あるいはボランティア、福祉体験的な活動、例えば保育所に行って子どもの世話をするといった活動を1週間、自宅から職場へ通ってボランティアの方の協力を得ながら行うというものでございます。
「2.平成11年度の成果と課題」における実施後のアンケートの結果を見ますと、生徒の約9割が充実した1週間であったと答えております。中学校2年生の保護者の約9割の方が、このような機会があればまた参加させたいと答えております。また、受入れ先の企業などの関係者の方も9割以上が、来年度以降もこの活動に協力するとお答えをいただいております。
「3.不登校生徒への影響」をしるしたページをご覧下さい。「トライやる・ウィーク」は中学2年生はみんな参加するわけですが、中学2年生の中には1年生のときから不登校の子どももいるわけであります。そのような不登校の子ども1,274 人も「トライやる・ウィーク」中は学校ではなくて職場へ行くことになります。私も行ってみようかということで「トライやる・ウィーク」に5日間ないし6日間、全日参加をしたという子どもが658名であります。半分ぐらいの不登校の子も「トライやる・ウィーク」に参加をした。その後の学校への登校状況を見ますと、実施後2か月経った時点で「登校率の上昇した生徒数」が38.9%、256名、約4割の子どもが「トライやる・ウィーク」を経験する前よりは学校に来るようになった。職場体験がある意味ではいい効果を与えているのではないかというデータであります。以上が兵庫県が教育委員会を挙げて実施をしております「トライやる・ウィーク」の状況であります。
資料4は「高等学校におけるインターンシップの実施状況について」の調査であります。「学科別実施率(公立)」は、平成11年度で専門学科、職業学科では47.7%、約半分の職業学科でインターンシップを実施をいたしております。
ただ、普通科ではまだまだ少ないわけでして、高校の学科全体では22.7%という実施率でございます。
生徒数で見る職業学科、専門学科では14.7%、全体では5.1 %の子どもがインターンシップを経験をしているということであります。高校2年生を対象に実施をしている例が多いようであります。
高校のインターンシップの日数は、やはり多いのが2、3日ということでして、全体の38.8%です。期間的にはちょっと短いという感じかと思います。以上が、高校生のインターンシップの状況でございます。
資料の5は、高等学校におけるインターンシップを実際にやっている学校の例を御紹介した資料です。例えば農業科では、静岡県立藤枝北高等学校では毎年6月の5日間、生産流通科の2年生全員が参加をしてインターンシップを行っております。商業科では、広島県立広島商業高等学校では2年生の8月に全学科の生徒を対象に5日間のインターンシップを実施をしております。平成11年度は16業種90事業所で実施をしました。ある女子生徒の場合は、5日間広島市内の販売店で接客販売、商品の整理、店内清掃などの販売実習を行ったといったような事例でございます。以下、各学校の事例を御紹介させていただいております。
資料の6は、大学のインターンシップの実施状況の資料であります。平成11年度の大学等におけるインターンシップの実施状況調査結果では「平成11年度にインターンシップを授業科目として位置づけて実施した学校」は、大学では186 校、29.9%、短大が14.7%、高等専門学校が77.4%であります。高専が非常に高い率でインターンシップを実施をしております。実施学年は大学の学部の場合は第3学年が88.3%で非常に高い割合になっております。修士の場合は1年生ということでございます。実施の期間は、先ほど高校は2、3日が多いというふうに申し上げましたが、大学は最も多い実施期間が1ないし2週間という期間で、大学の方がインターンシップの実施期間が長くなっているという調査結果であります。
以上が、大学におけるインターンシップの実施状況でございます。本日の御議論の参考になればということで御用意させていただきました。
【木村主査】ありがとうございました。今日お手元にお配りしてございます「取扱注意」という「教育改革国民会議第3分科会の審議報告書(案)」が出ておりますが、ここでも不十分ながらこれまでのお出しいただきました議論を踏まえて3番目の柱について記述がしてございます。これを先に御説明いただいてから議論しましょうか。
【銭谷担当室長】それでは、今日「取扱注意」の「教育改革国民会議第3分科会の審議報告書(案)」というペーパーを御用意させていただいております。これは主査、副主査の御指示によりまして整理をした資料でございます。その5ページをご覧いただきたいと存じます。
5ページが、この分科会の3つ目の柱であります「職業観、勤労観を備えた人材の育成」についての問題意識と具体的施策を書いてございます。問題意識としては、新卒者の就職状況が大変厳しい状況の中で定職に就かずにいる者、就職してもすぐ辞めてしまう者が増加をしている。これはいろいろな見方があると思いますが、自己実現を重視する意識の高まり、人材の流動化の表れとも見られるわけでございますが、一方で若年層における職業観、勤労観の希薄化ということも考えられるわけでございます。
それから、近年、物事に対する責任感、倫理観の欠如といったようなものも指摘をされておりまして、職業観、勤労観の養成が課題ではないか。それで、基本的にはこの職業観、勤労観はただ話を聞いているということでは身につかないで体験学習というものが大切ではないかというのが問題意識だということで記載をしております。
具体的な施策は今までの御議論を踏まえて、大きく柱を3つ立てております。1つが学校での職業体験学習の実施ということであります。学校段階に応じまして職業体験、職場見学などの体験学習を導入する。就職を控えた段階においては、先ほど来お話に出ておりますインターンシップを積極的に実施をする。こういったことを通じまして、仕事の意義とか産業社会と人間との関わりについての理解を深め、職業観、勤労観をはくぐむための教育を継続的に実施をする。中学、高校、大学では進路指導の専門家、キャリアカウンセラーと仮に呼ばせていただきましたが、そういう進路指導の専門家の活用も積極的に図るというのが第1の提案でございます。
2つ目がものづくり教育、職業教育の充実ということであります。小中高においてものづくり教育、職業教育を充実させる。特に高等学校の場合は生徒が幅広くものづくりに親しみ、自らの進路を考えることができるように、これも前にこの会議で話題になっておりましたが、高校の総合学科の設置を格段に促進してはどうだろうか。
一方、ものづくり教育を担当しております専門高校については、時代の変化に対応したものとするため改編を進めるとともに、職業高校、専門高校から大学への進学もできるように接続の改善を図る。また、職業教育を担当します専門高校のほかに専修学校、職業能力開発学校については、雇用が流動化する中で社会人が高度な職業知識、技術を再び学ぶための機関としても活用できるように整備をして社会人の入学受講を積極的に推進するということではどうであろうかということでございます。
最後に3点目の柱が職業観、勤労観を備えた人材の育成のために企業、団体、官庁との連携を深めてはどうだろうか。大学が養成する人材と企業の求める人材のミスマッチの解消、両者がお互いの要望をぶつけ合う機会を設けるなど、学校と企業、団体、官庁との連携を図る。それから、更に企業の方が学校で先生になることを通じまして、企業の生の姿を子どもたちに伝えるということも大切ではないか。そうした企業の方が先生となることについて各学校からインターネットなどを通じて、例えば海外勤務経験の長い商社マンの方に先生として是非来てほしいといったような情報発信をする、データベースを整備をする、経済団体の方から人材のデータベースを提供するといったようなことが考えられるのではないかというのが、これまでの御議論を踏まえての整理でございます。
【木村主査】ありがとうございました。以上資料数点と、準備させていただきました本分科会の報告書案の3番目の柱の「職業観、勤労観を備えた人材の育成」の部分について御披露いただきました。7時まで3〜40分ございますので、この「職業観、勤労観を備えた人材の育成」ということについて少し御議論をいただきたいと思います。どなたからでもどうぞ。
【草野委員】質問ですが、よろしいでしょうか。前回出席できなかったものですから、既にあったらお許しをいただきたいのですが、先ほどのインターン制度その他、外国ではどうなっているのですか。一言でいいのですけれども。
【銭谷担当室長】例えば、アメリカの大学では極めてインターンシップというのはよく行われている。期間も日本よりもかなり長いと聞いております。学生が自分の将来の進路を考えながら関係する企業へ結構長い間インターンシップに行っている例がある。むしろそういうことがあるものですから日本でもそういうことをやったらどうかという感じになっているのではないかと思います。
【江崎座長】私の経験を申しますと、IBMという会社で働いておりましたけれども、IBMなどはサマージョブと言いまして学生に積極的に仕事をさせております。学生の方はいろいろなことで金をもうけたいという学生が多いわけですから、そういう学生のために積極的にやっております。
それで、ある話によるとサマージョブを取った企業には大体行かない傾向にある。ですから、いい学生にはサービスを良くしろということです。私のところは研究所ですから若干違いますけれども、向こうは夏休みが長いということとサマージョブで働きたいということがございます。
【黒田委員】大学院のレベルだとイギリスの場合、ケーススチューデントシップと言って企業からお金をもらって来ている人がいると、6週間はその企業に行って働くことが義務づけられているというものもあります。ただ、それは大学院レベルの話です。
【木村主査】いつも申し上げておりますが英国の場合ですと、若者のモラトリアム期間というのがあるんですね。そういう意味で9月入学をクラークさんと一緒に御提案をしたのです。彼等は大学に入る資格を取っても、すぐ大学には行かないんですね。いろいろなところへ行って実社会の経験を積んでから大学に入る。最近驚いたのは、ケンブリッジの工学部のカリキュラムを見ましたら、実社会におけるエクスペリエンスを持つことを強く薦めるということがはっきり書いていたことです。今まではハードなエンジニアリングに関する科目でがちがちに鍛えていたのですけれども、随分状況は変わってきているんですね。
【草野委員】初等中等教育のレベルではどうなのでしょうか。
【クラーク委員】江崎さんがおっしゃったサマージョブですが、インターンシップとサマージョブはちょっと違います。インターンシップは正式に会社に入っていますが、サマージョブはマクドナルドでも掃除でも何でもいいんです。その場合、夏休みが長いから、特にアメリカの場合は若い子どもでも中学校でも積極的にお金稼ぎのためにやる。アルバイトですね。それは貴重な経験です。日本の学生ももちろんアルバイトをやっていますけれども、大学まで余り日本はやっていないですね。部活とかいろいろ非常に忙しいですから。
【江崎座長】日本では、夏に会社に行く実習がインターンシップですね。
【河野委員】大体理工系ですね。
【牛尾委員】銀行なんか一時期やられませんでしたか。時々銀行もありましたね。
【河野委員】それは要求があれば。ただ、これは高校なのかどうかよくわかりませんが、高校だとするとやはり先生も実習というか、会社に行かせないといけないんじゃないかと。
【江崎座長】大学などの場合には、日本よりもインダストリーとの交流が多いということがこういうものを進める一つの根拠にはなりますね。今ケンブリッジのことをおっしゃいまたしたが、ケンブリッジのアプライズサイエンスのマスターをやっているアレックス・ブロアというのがIBMリサーチで働いていて、今は学長ですが、あの人はIBMで20年ぐらい働いていました。そういうことが企業との間がものすごく変わったということです。
【河野委員】アメリカの人は私どもの会社にも来るんですけれども、各州から田舎の高校の先生が1年に一遍ずつ来まして、これは多分経団連も関係していると思いますが、これは社会の実習と日本を知るというのと両方あるんですけれども、先生がそういう研修をしていますね。非常にいいんじゃないかと思います。
【木村主査】今は地方というか、都道府県でもやっていますよね。先生に短期間そういう企業研修みたいなことを。その数は随分増えているんじゃないですか。
【中曽根総理補佐官】今は800 人です。私は10年前から提案していたんです。デパートとかホテルとかいろいろありますから。
【木村主査】全国で800 人しか行っていないんですか。
【中曽根総理補佐官】ただ、行った人に伺うと「本当にいい経験になった」「自己啓発や学校改革への意欲が燃えてきた」「人間関係が豊かになった」など、大体いい結果になっています。私はできるだけ子どもに影響の強い、小学校の低学年の先生を是非やってくださいとずっと提案してきました。ある意味では親の替わりになる小学校の低学年を教える先生は視野の広い資質のある先生であってほしいということです。
【江崎座長】余り重要でないかもしれませんけれども、先ほど銭谷さんが報告してくださったことは、自分の自宅から通勤するケースが多いんですね。高校とか何かになると数日間というのは困るんでしょうね。
【銭谷担当室長】自宅からが多いんだと思います。
【江崎座長】そうすると、ちょっと限界がありますね。そうせざるを得ないんだけれども。
【銭谷担当室長】先ほどのアメリカの中高のインターンシップの話ですけれども、アメリカの場合はいろいろ地域でのボランティア活動などが盛んですので、学校が意図的にというのはそうでもないかもしれません。はっきりはわかりませんが。
【木村主査】ほかに何かございますか。
【田村委員】私どもの学校にはウインジスターというイギリスの高校の生徒が、先ほど木村先生がおっしゃったように大学へ入学が決まってから半年ちょっとあるんですね。その間に何をやりたいという希望を持ってうちの学校には毎年のように来るんですけれども、日本語を学びたいとか、日本の何をやりたいというようなことで来て、それこそ半年間勉強して行く。それで、去年はオックスフォードの医学部に入った学生が来まして、何をやるのかと言ったら日本で日本語を学んで日本の風習を知って帰りたいという、中国系のイギリス人でしたけれどもものすごく優秀で半年間にものすごく日本語がうまくなって帰りました。
ああいうのを見ていて日本の高校生と決定的に違うと思うのは、すごい大人なんですね。大学が決まっているということもあるし、かなり優秀な生徒だということもあるんでしょうけれども、本当に大人ですね。ウインジスターというのはすごい学校ですけれども、しかし本当に違うんですよね。だから、どうしてあんなに違うのかなと思うんです。
【クラーク委員】これは非常に大事な問題です。日本の文化とか社会とかに全部絡んでいますけれども、もし我々欧米人と日本人は何か性格的に違いがあるとすれば、子どもは若いときから外へ出ているんです。学校から、家族から出ていろいろ活動に参加している。それで成熟が早いのではないかと思います。日本の子どもは箱の中で育てられちゃうんです。良くないです。
【江崎座長】先生のことを申し上げますと、アメリカの小・中・高の先生は10か月のアポイントメントです。ですから、2か月間は自由にいろいろプロジェクトで緊急会議に出る人もいるし、先生で働く人もいるわけで、先生も夏は自由だということです。
【牛尾委員】日本の大学というのはこれまでは就職部というのがあって、就職部が間に入って企業の人事部と学生との間でやりとりをしていましが、先生からこの子はすばらしいという何かわけのわからない推薦状を書いて、学生があの会社に入りたいといって、企業も何々大学のこの学部を採りたいといって、職業とか仕事という意識は全くなしで見合いみたいに会社に入ってくるわけです。それで、企業の方も何となく学歴とか見た目で判断し、面接なんかしてもわかるほどみんな優秀ではないから、試験で採るとみんな女の人が上の方にいってしまうし、困ってしまうわけです。そういうのが長い間続いて、高度成長はそれで何となくうまくいったわけです。求会社−求人物だったわけです。
それがだんだん自然科学系の方からは求能力−求職場というふうに具体的になってきて、学生でも会社を5件ほど訪問して、自分はこれで決めると。それでその後、就職部を通すというのがあったんです。それが、7、8年前からインターネットが出てきてホームページでいつでも応募して下さいと。会社も面接日とか説明日が決まっていたのがいつでも応募できるとなると、私も法学部出身なんですけれども自然科学専攻の方が大人で、自然科学を見ていると、私はこういう仕事をしたいなということがわりと固まっている人が多いんですね。それで、教授との関係も深いものだから、大体これをやりたいと来るんですね。それで、すごいのは是非研究所の現場を見たいとか、やっているところを見せて下さいと言って見て、さんざん見ておいて応募しない人もいっぱいいますけれども、だけど応募する人もいるわけです。だから、大人のつき合いなんですね。
それが社会科学系になると、大体何をしているかということも余り関心がないですね。この会社に入りたいと。どこどこの坊っちゃんと結婚したいという見合いとよく似ているんです。全然中身は関係ないわけです。それが中間になってくるとだんだん違ってくるんです。大学院なんかになってくると、社会科学系でも見てここへ行きたいという人がいて、だから自分でいろいろなものを探して仕事を決めるということに男らしさや人間らしさを感じるようになってきたわけです。
それに対して労働省は、中途採用で会社を辞めて次にいくときに自分で仕事探しをさせるような、そんなみじめな思いをさせたくない。だから、会社対会社で引き受けるとか、すっと橋を渡ったらエスカレーターで入れるように次の職場を探したいと言うんですが、最近の若い人は自分で選んで入りたいという気持ちがかなり強いです。私は大体いろいろな人を見ていて、きちんとした教育を受けている子だったら10人のうちの7、8人は自分で選ぶことをむしろ凛々しい行為として歓迎するんですが、2割ぐらいはやはり御仕着せで企業と企業の間で決めてくれという感じの人がいるんです。それで、労働省はそうすることが労働者を大事にすることだと勘違いしているんです。組合の方もややそういうところがあるんです。何か勘違いしているんです。本人は自分で決めたいんです。
それで、私がいつも面接するときはさんざん聞いた後、今度は君が聞きたいことを言えと言うと湯水のごとく聞くんですね。よく聞くなというぐらい聞くんです。だから、面接のときにも対等で、こちらも聞くし、そちらも聞けと聞かせると、それで喜んでみんな入ってくるんです。だから、大分状況が変わってきました。特に慶応大学の湘南藤沢キャンパスなんかは本当にそういうふうに一人歩きするようになってきている。何となく入ってくる人というのは大体何となくいるから全然辞めないんです。それがいい社員だというふうになってくるからおかしくなってくるので、自然科学系は彼が一生懸命やっている研究を会社で打ち切りますと、同じ研究をしているところに行く人が多いです。大体ライバル会社に行くんです。これは日本全体としては非常に効率のいいことで、蓄積したものが無駄にならないわけですから、そういう動きが自然科学系に関しては7、8年前から出てきました。
だから、社会科学系も勉強しているその能力を発揮する職場はこういうものだと、その辺のガイダンスを作ればなってくるんじゃないですかね。会社の方も社会科学系はどんな人が欲しいのかということがはっきりわからないで採っているから、体育会系の方がよく命令を聞いてくれるとか、健康でいいとか、職場と人材の間ではっきり焦点が定まっていないんですね。
【木村主査】今の牛尾さんのお話にはかなり本質的な論点が含まれていると思います。自然科学の方が大人といいますか、ある程度職業観みたいなものができているというのは事実でしょうね。大学におけるトレーニングのされ方が全然違いますからね。教師とのコンタクトも濃密ですし、グループで仕事をすることが多いですから大学院の学生とのコンタクトも密ですね。
【牛尾委員】10人のうちの3人ぐらいは、いまだに先生に言われて来る人がいますね。それで、あの先生の言うことならば間違いないという信頼関係があって、自主性はないけれどもわりといいのが来るんですね。これはわりと歴代来るものだから、ずっと何々教室が続くわけです。そうすると、我々としては非常にありがたくて安心して採れるというのがあるんですが、もう一つ自然科学系で私が評価するのは、どこどこの会社に行って5、6年経って頭にきて帰ってきたときの再就職をやはりその教授が面倒を見るんですね。それで、電話が掛かってくるんです。それがいいんですね。結婚と違って、出戻ったのはいいです。出てきて帰ってきた人は非常に厚みがあっていいし、先生もいろいろなことを訓示するものだからいいんですね。
社会科学系は私のノウハウでは縁故募集の方が好きなんです。縁故で入る人には、あなたが10年間責任を持つのならば採るよと言うと、心配して本当に責任を持つんですね。それで、1年に3、4回食事をしながら訓示してくれるものだから育ちがいいんです。だから、わりといい大学で縁故が来ると私は待ってましたとばかりその人に電話して、君が責任を持つのならば採るよと。これは大学の先生よりも教育がいいです。
【田中委員】おっしゃるとおりで、経済とか法律の場合、基本的には学生は勝手に就職するんですけれども、このゼミでいい人を見て推薦してくれというのは、比較的こういう人が欲しいということを聞いて推薦しているといいんですけれども、ただ、学生の方から見ると自分で決めたいというのと、先生の紹介でというのと2つありまして、だんだん先生の紹介というのは嫌がる傾向が逆に出てきているんですね。昔は、先生の紹介でどこかに就職するというのを誇りに思った時期もあるんですけれども。
【牛尾委員】大量に余り顔も知らないのにゼミだというので紹介する無責任な先生も社会科学系は多いですね。
【田中委員】ゼミでも多いところはやはり問題で、30人ぐらいが限度だと思います。
【江崎座長】一般的に日本のプロフェッサーがよくやってアメリカは余りやらないことは、入学試験と就職の世話ですね。それはプラスの面とマイナスの面があるんだけれども、私はやはり余り先生が干渉するべき仕事じゃないように思うんです。やはり本人が自分で見つけるという方が。
【牛尾委員】余り気楽に推薦状を書いてもらうと困りますね。
【江崎座長】あれはちゃんとIBMなんかも、この先生の推薦状は信用できるとかできないと、ちゃんとリストがあるんです。
【牛尾委員】そのリストを公表した方がいいですね。
【江崎座長】先生もそれを知っているからアメリカのプロフェッサーは非常にケアフルに、そう簡単にはやらないです。日本は比較的簡単に出しますが。
【牛尾委員】申し上げたいことは、勤労観、職業観は最近だんだん良くなってきた。景気の悪いときは黙っていても持つんです。だから、景気の悪いときに採った学生は基本的にいい。会社の方も甘やかさないで、辞めたかったら辞めろという態度を取るから育ちがいいわけです。景気のいいときに採ったのはどうしようもないですね。だから、そういう点ではやはり自然にそうなってくるし、日本は経済成長の甘い時代は当分ないんだから、この問題は解決してくるんじゃないですか。
【木村主査】何かほかにございませんでしょうか。
【浜田委員】これは老婆心ながらなのですけれども、5ページの一番下ですね。実社会で働いている経験を学校へ行って一時的なテンポラリーな先生として生徒に接する場合ですね。ここのどこかに「適性」という言葉を入れてほしいなと思うんです。これは間違った人が、実社会では本当に有能なんだけれども、本人も学校に行って説明したら手を挙げる人の中でいわゆる生徒の未経験のレベルの立場に立てない、鼻をぴくぴくさせて実社会の話をしそうなのが結構いるんですが、そういうのは不適性なんです。だから、生徒が実社会へ出て体験をするのはたくさんの人がいるところでの体験ですから、これはほとんど私は心配しないんです。だけど、1人の人が代表して学校へ入っていく場合は、その適性というのをどうやって見るかですね。これは逆なタイプの人が行ったら、生徒から見たら実社会から来た人を通じて実社会を連想するわけですね。その辺でちょっと心配な人たちがいます。この適性をどうやってどこが責任を持ってあれするのか。適性という言葉を入れておいてほしいですね。ちょっと心配です。
【河野委員】いろいろな考え方はあるんですけれども、現在上場企業で言うと全産業で平均で5人に1人は中途採用なんです。それで、金融とか不動産とか流通とかというのはもう少し高くて3.7 人に1人ぐらい中途採用なんです。ですから、職業観とか何とかと言いますけれども、やはり雇用の流動性が高まると自然にもまれてくるというか、経験のある人がだんだんと自分に向いたところに行くようにはなるんだと思うんです。
【江崎座長】その伸び率が高まる原因はどういうところに。
【河野委員】やはり主には自分に適したものを選ぼう、職業を選ぼうということだと思います。
【江崎座長】日本とアメリカとを比べるとアメリカの方がモビリティが高いでしょう。
【河野委員】ただ、今の人はこの会社に一生いるなどということは毛頭考えませんから。
【牛尾委員】外資系の金融とかそういうのが登場してからモビリティは高くなったんじゃないですか。これは給料を倍から3倍払うと言うと、それがきっかけになってぐらぐらっとするわけです。それで、行って非常にいいぞと言う人と、いやあれは大変だという人がいろいろとおりますが、やはり外資系の登場というのは非常に大きいですね。
【江崎座長】外資系の登場が、今おっしゃった日本のモビリティを高める効果があったということですね。その3.5 人に1人というのはどの分野ですか。
【河野委員】金融、不動産、流通です。
【江崎座長】やはり外資系がそういうところに来たんですかね。
【黒田委員】就職であって就社じゃないという気持ちは若い人にすごく多くなってきていると思うんです。やはりホームページをみんな見るので、本当に毎日見ていますから、新聞も取らないでニュースもインターネットの上から読んでしまうという世代なので、本当によく見ていて、やはり就社より就職というのが特に理系では多くなっているような気がしています。
それからもう一つ、前に「職業観・勤労観」を議題に付け加えなくてはいけないという話が出たときに、今とは少し視点が違った観点もありました。実はいろいろな事故とかが最近いっぱい起きていて、職業観とか倫理観とか責任感が欠如していることが非常に問題である。職業人としてそれをどうしようかという問題点がもう一つありましたね。看護婦さんだったらチューブを付け間違えたら患者さんは死んでしまうかもしれないし、ボルト一本締め忘れたらロケットは上がらない。そういう自分のやっていることが全体の中でどういう位置づけで非常に重要なのかという責任感とか倫理観というものが今、非常に問題になっているのではないかというのが一つあったと思うんです。そのことが2、3行書いてあるんですけれども、それをどうしたらいいか。そのためにはどういう施策をしたらいいのかというようなことを少しディスカッションするといいのかなと思います。多分それは初等中等もあるのか。
【牛尾委員】これは、会社ではグリーンのものにはグリーンのキャップでグリーンの箱にというふうにして、よほどでない限り間違えないような仕組みをつくっている会社はいい会社なんです。それを読めばわかるだろうとか、同じようなものを置いて、よく中を見てしろとか、そういうのは仕事としては疲れたときには間違う可能性がありますから、初めから性悪説で黄色ならば黄色だけを追い掛けろ、その次は赤だぞとする会社が、TQC運動などはそういうことを一生懸命やりますね。そうやって確定することで、それをアメリカに持って帰ってアメリカでも非常にマイノリティのような人でも事故が出なくなったと非常に評価されたんですね。これは、現場の規律が落ちているからというので事故ではなくて事件だというようなことを言っている経営者もおりましたけれども、その前の段階でそういう現場の流れを放置する経営管理の方にも問題があるんです。
だから、その辺はなかなか難しいところですけれども、ただ、最近会社の悪いことというのはほとんど内部告発でしょう。最近のニュースでも内部告発が次から次へと出てきたんですが、内部告発で私が非常にいいなと思うのは、隣り、前後の人が間違いが多くなったり不正的なものがあると、今度は逆に内部告発で会社がわかるんです。それで、その人が完全に悪くなる以前に内部告発でトップまで来ないで部で解決するケースもありますけれども、わりとそういうことをどんどん言うようになったというのは日本では非常な変化ですね。だから、会社のことを告発するということで、昔のきれいな日本人はそういうことはなかったと言うんだけれども、友人の問題でも何かおかしいぞと言うとそれは上司にきちんと告発するんです。そういう点では非常に相互チェックが行き届いていて、職場の規律というのはある意味では保たれるようになっているところはあるという変化を感じますね。昔はそういうことは全然しなかったんです。
【浜田委員】今の黒田先生の御心配は、今回の教育改革の一つのポイントを私はおっしゃっているような気がするんです。だから、それぞれの職業の中に責任感というんでしょうか、それを常にセットで埋め込まれるような教育というのをしていかないと。いろいろな症状が起こっているのは、私はいわゆる楽をしていい結果を、より楽をしてより大きな結果をという価値観というのがものすごく浸透しているような気がするんです。そして、結果が悪くても責任は他人のせいにちょっとしがちな、この2つが入り口と出口であって、その辺のところの精神面というんでしょうか、職業観、職業意識の精神面というのをどこかでしっかりもう一回つくり直せるような土壌が非常に大事なような気がします。
【木村主査】今、浜田さんがおっしゃったような職業に関する倫理だとか、責任だとか、そういうことは普通高校ではほとんど教えない。さっきのインターンシップがありましたね。普通高校は7%ぐらいしか行っていない。ところが、専門高校は相当の数が行っているということです。それと、カリキュラムを見ても産業と社会との連関は総合学科で全部教えているんです。ところが、普通高校は全然やっていないんです。ですから今、浜田さんがおっしゃったような教育は全然されていないんです。その辺をやはりやれという提案をしないと。
【浜田委員】仕事によって、その場面によっては、いわゆるばかまじめというのがいかに大事か。融通の効かないくそまじめというのはみんなに笑われて要領のいい人が常に陽の当たる存在という、この辺がちょっと行き過ぎというような気がするものですから。
【牛尾委員】これは本当は情報統制しないとだめなんです。先生の持っている情報量の10倍から20倍、生徒の方が持っているというのは、結局テレビのコマーシャルみたいなくだらない番組をいっぱい見ているわけです。テレビのコマーシャルなんて、楽して得しようとかというのを平気でやっているわけです。そういうのがどんどんたたき込まれて、そこへ学校に行って、楽しないで人の陰に隠れて善いことをしなさいよと、何を言っているんだとついなってしまうわけですね。要するに3歳ぐらいからコマーシャルを見ているわけで、それが実に道徳を退廃させるようなことでみんなの気持ちを燃やすコマーシャルが多いんです。企業が今度は非常に責任をかぶってくるわけです。そういうコマーシャルを出すなと。でも、そういうコマーシャルでないと誰も買ってくれないということで、通産省はそういう結果をきっと出すでしょうね。結局、本来はある時間までは子どもに見せるなとか、ヨーロッパでも英国とかそういうところはそういうことをやっているんでしょう。
【木村主査】やってないことはないけれども、地味ですね。ああいうばかなコマーシャルはそんなにありませんね。
【牛尾委員】地味でしょう。その問題が解決しないうちにインターネットがどうだこうだと、ますます情報が膨れ上がって何でも取り入れられるようになるということになってくると、やはりこれは情報ですよ。先生の方が10分の1しか情報がないと言うんだから。
【浜田委員】格好いい芸能人などが、きまじめに取り組んでいる職人候補みたいな人種をからかうでしょう。あれが本当に国を滅ぼしますよ。
【中曽根総理補佐官】昔は3K3Kと言ってニュースなどでもさんざん報道したから、製造現場などでまじめに仕事している人まで自分の仕事を3Kと思い込んでしまうような風潮がありましたね。
【牛尾委員】女の子の座り方でも、コマーシャルでこういうふうに地べたに座ったり、こういうふうにペットボトルをこのまま口で飲むでしょう。それが全部当たり前のファッションになるわけです。ことほどさように、あそこが生き方というか、生活のスタイルをつくるんですね。だから、その強烈さというものと、私は少々小・中で倫理学をやっても、これは倫理学の社会に対するチャレンジだけれども、どうですかね。
【木村主査】そこのところの問題点を中教審で攻めたんですがね。
【牛尾委員】昔は情報がなかったから、先生の話しかなかったわけでしょう。
【江崎座長】せいぜいイソップ物語ぐらいです。
【木村主査】中教審でVチップの提案をして、こてんこてんにやられました。
【河野委員】職業というときには昔というか、前は使命感とか職業意識でもいいんでしょうけれども、そういうのがあったんですね。ただ、それがないので、責任感とここに書いたんだけれども、責任感だけだと何となくまじめにやれば終わりと、そこまでは言わないんだけれども、そういうのを言っていいのかどうなのかというのは私もわからないんだけれども。
【牛尾委員】クラークさん、日本以外ではこの問題はどうなっていますか。情報が影響するのと、学校で教えるということが。
【クラーク委員】私の覚えているのは、川崎製鉄の人の募集の30分のビデオがあったんです。その30分の間に鉄鋼所の写真は一つも出ないんです。全部ハワイの遊びとか、同僚たちとのコンパとか、川崎製鉄は非常に楽しいところというイメージをつけたかったみたいです。
しかし、皆さんの話を聞いて、これは学校の教育問題ではなくて社会の問題なんです。社会問題というのは、日本の場合はみんな大学を卒業してもまだ子どもなんです。まだ大人になっていないんです。成熟の問題なんです。だから、非常に残念なんですけれども、教育制度よりも社会を変えないと、子どもは若いときからもっと社会に出ないと成熟しないんです。
【河野委員】でも、今みたいな日本の社会に出たら同じになっちゃうんじゃないですか。すばらしい社会ならばいいんだけれども、その辺が。
【牛尾委員】ある面では、日本だけではなくて世界的な現象でもあるでしょう。情報の過剰がですね。
【クラーク委員】けれども、にもかかわらず、外国だったら仕事に対して非常にまじめな態度を取っていますよ。自分の将来は全部かかっていますから。日本は甘えの構造なんですよ。渋谷の連中はみんな社会に甘えているんです。
【木村主査】それと、教育の原点が違うと思うんです。つまり、イギリスなどは例えば高等学校まででもいいですけれども、教育の目的は何だというと、その子たちが社会に出て困らないようにということです。ところが、日本はそこに「心」の部分を入れちゃっているからはっきりしなくなっている。教育は社会で困らないように武器を与えるということでしょう。その前提は社会で働くということですね。だから、勤労観みたいなものは当然出てくるわけです。ところが、日本はそこに「心」を入れてしまっているからこんがらがってしまっている。そこのところは痛切に感じますね。英国のスクールリーバーと話していても、日本よりははるかに現実的ですね。
さて、今迄の議論でどの程度この案が直せるかという点は難しいことでありますが、ただ、今出た倫理観とか責任感とか使命感とか、それから社会の問題というようなところについては少し書き込めるかなという気がします。そういうことで、3番目の柱については本日は以上ということにさせていただきたいと思います。それでは次に、1本目と2本目の柱並びに全体について室長の方から再び簡単に御説明いただいて御議論をお願いしたいと思います。具体的に提案という形で出してありますので、よろしくお願いします。
【銭谷担当室長】分科会の審議報告書案について御説明させていただきます。木村主査、黒田副主査の方でお書きいただいたものを事務局で整理をさせていただいたものでございます。
1枚目は第3分科会の審議の概要です。この分科会が何をテーマに議論したのか、報告のポイントは何かが図でわかるように表示をいたしております。
1ページは、この分科会の問題意識を大きく3点にまとめております。
1つ目が、戦後の高効率至上主義が社会に画一的な物の見方をもたらし、独創性、創造性に富んだ人材を十分生み出せなくなっているのではないか。
2つ目は、戦前高等教育を受けたエリートたちが大きな過ちを犯したという反省から、戦後エリート教育が罪悪視されたのではないか。我が国ではノベリス・オブリジーを実行できるエリートやリーダーの育成が十分できなくなっているのではないか。
3つ目は、先ほどの健全な職業観、勤労観が希薄化しているのではないか。
そのことから、この分科会は人材育成を3つの観点から考えた。1つ目が独創的、創造的な活動ができる人材の育成、2つ目が高い専門性を持った社会の各分野でリーダーとなる人材の育成、3つ目が職業観、勤労観を備えた人材の育成。この3つの観点から人材育成を議論しました。そのあと、具体的提案としてそれぞれの人材育成についての具体的な施策を書くというスタイルになっております。
1の独創的、創造的な活動ができる人材の育成については、独創性、創造性は、これまでの御議論を踏まえて、基礎的な知識を身に付けるとともに一人ひとりの創造力、興味、好奇心を育み、考える力を養うような学習が可能となるシステムの構築で達成できるのではないか。具体的な施策としては、大きく2つここでは掲げております。1つが初等・中等教育のシステムの見直し。その内容はこれも大きく3点に分けました。1つが学力調査、習熟度別学習、小人数教育の実施ということでございます。
なお、その際に出ました御議論で、5歳児の幼稚園や保育園の就園率が高いことや子どもの身体的成長が早くなっていることから義務教育の開始年限を1年程度早めることも検討に値する。これは結論が出たまではいかないかと思いますが、大変重要な提案がございましたのでそのことは書いてございます。
2つ目が中高一貫教育の推進。18歳までに2度もある受験の弊害を減らそうということで中高一貫教育をより一層推進をする。これは主査のご指示もいただき、中高一貫教育校が全体の半分くらいになるように思い切った支援策を講ずる。
3点目が高校での学習達成度試験の導入。高校について学習達成度試験を全教科について行って、生徒はこれを利用して高校卒業までにどれだけの学習の成果が上がったかを計れるようにする。この学習到達度試験は何度でもチャレンジできるよう、年に複数回行う。また、学年を問わず受験できるようにする。達成度試験は大学側が入学選抜要件として活用することもできるようにする。このため、現行の大学入試センター試験を見直し、達成度試験に切り替えるといったようなことも望ましいのではないかという提案であります。以上が初等中等教育のシステムの見直しであります。
Z 独創性、創造性育成の大きな2つ目の柱が大学入学試験の見直しであります。この分科会で小学生までは生き生きとしているにもかかわらず、中高大学と進むにつれ日本の子どもはくすんでくるという指摘がございました。その一因に大学入学試験があるわけでございます。大学入学試験は記憶力という一面的な資質のみを計るものではなく、問題を発見する力、問題の解決を生み出す力、推理力や論理的に考える力などを適切に評価するものに変えていくのが基本ではないか。そのことをまず言った上で、大学入学試験の見直しについて具体的な提案を3点書いてございます。1つ目が大学入学の年齢制限の撤廃、2つ目が大学入学試験の多様化の推進、この関連で先ほどの達成度試験の活用や、各大学ごとの多様な試験を積極的に推進をする。一方で、大学側には入学者に希望する能力、資質、選抜方針を明確にするということを求めようということでございます。それから、グローバル化の進展に対応した大学の9月入学についても積極的に推進しようという提案でございます。3つ目の提案が、暫定入学制度の導入であります。
2つ目の人材育成の視点である高い専門性を持った社会の各分野でリーダーとなる人材の育成につきましては大きく4つの提案をしようということであります。1つ目が大学と大学院の在り方の見直し、2つ目がプロフェッショナルスクールの整備、3つ目が研究者養成の大学院の充実と優秀な若手研究者の養成、4つ目が大学教育の充実、主として学部教育の充実ということを具体的な施策として提案をしたらどうかということでございます。
1つ目の大学と大学院の在り方の見直しにつきましては、大学院へは学部の3年から進学することを一般的なものとし、学部では教養教育と専門基礎を中心に行うこととする。なお、学部は4年で卒業する人もいるわけですので、そういう方についてはインターンシップなどを積極的に実施をして社会に出て活躍できるような教育を心がけたらどうだろうか。大学院についてはプロフェッショナル・スクールと研究者養成のための大学院という2つの大きなパターンを考えてはどうだろうか。大学院の入学者選抜に当たっては自大学出身者の囲い込みをやめて公平に受け入れるような完全オープン化を行うということを明記してはどうだろうか。こうした大学院修了者が企業や官公庁で活躍したり、社会人が大学に入学して学びやすいようにしたりするということも提案してはどうだろうかということでございます。
2つ目の提案は、プロフェッショナル・スクールの整備であります。プロフェッショナル・スクールは1年制から3年制まで教育内容に応じてさまざまな形態があり得る。ここでもう一度、国家公務員や教員については原則としてマスター取得を要件とするなど、特に文科系大学院に対する需要の増大を図るということが重要ではないかという提案であります。
3つ目の提案は、研究者養成大学院の充実と優秀な若手研究者の養成であります。ここではまず研究中心型大学院の充実のための資源の投入とインフラの整備を強調しております。それに加えましてリサーチ・アシスタント制度の充実、奨学金制度の充実、ポスドク制度を重要なキャリアパスとして位置づける、社会もそれを認知する必要があるということをはっきりと言ってはどうだろうかということを提案しております。
4つ目の提案は大学教育の充実ということであります。基本的に学生をしっかり勉強させるような取り組みが必要である。そのためにも、教育が研究より劣るという大学人の一般的な考え方は払拭してほしいということをここであえて言ったらどうだろうかということでございます。
大学教育の充実については3点具体的な提案をしております。1つがダブルメジャー制度の導入。教養教育の充実ということになろうかと思いますが、幅広い知識と理解力を身につけるために、分野の異なる複数の専攻科目を選択するダブルメジャー制度を導入する。2つ目が学生をしっかり勉強させるためにも小人数教育の実施ということを大学についても明確にうたってはどうだろうか。レポートを課す。自分で調べなければいけないような、きめ細やかな授業を行う。そのために、具体的にはティーチングアシスタント制度を更に充実させ、これを積極的に利用する。それから、幅広い教育を実施するためにインターネット教育など、ITの活用も図るということを書いております。
最後に成績評価の厳格化。具体的な提案としては日本版GPA制度を導入して成績評価を厳格に行う。企業もこういう大学での成績を踏まえた採用活動を行っていただけるように要請をしたいということも合わせて書いておいたらどうだろうかということでございます。
一番最後のページに、学校の枠組みの見直しを図示してみました。これは今まで申し上げましたところを図で表したわけでございます。小学校を終えますと中学校、高等学校というのはこれまでのルートでございましたが、中高一貫校を大分面積を取りましてこれを推進をするという姿勢を示してございます。それで2度の受験の弊害を避け、中等教育を充実する観点から中高一貫校が過半数程度となるよう設置を進めることを付けてございます。
大学については、大学入学年齢制限を撤廃をする。大学院へは3年で進学することを一般的にする。学部ではリベラルアーツ型の教養と専門基礎の教育を行う。大学院は3年から線を引いてございますので、4年次は就職する者のための一定の専門教育を行うという書き方にしております。大学院は研究者養成型大学院と高度専門職業人教育型大学院、いわゆるプロフェッショナル・スクールに仕分けをいたしました。プロフェッショナル・スクールについては期間は1年制から3年制など、教育内容に応じてさまざまな対応があり得る。研究者養成型については修士は1ないし2年間、博士は2ないし3年間、それぞれ全部移動は可能なように矢印はそれぞれから引いておりますので、途中での進路変更等もできるようにしたということでございます。大体こんなことが今までの議論でございます。
【木村主査】ありがとうございました。皆様方にお出しいただきました御意見はほとんど入れてあるつもりです。後はいかに編集するかということだと思います。
【江崎座長】私はここのメンバーではないのですが1つだけやっていただきたいことは、1ページの「子ども一人一人の才能を伸ばす」というところで、しつこいようですが「子ども一人一人が持って生まれた才能を見出し、それを育てる」ということで、持って生まれた才能を見出し、それを育てるということは大変重要なんです。私は、教養教育の一つの目的は自己発見だと思うんです。私はだんだん年を取ってまいりましたから、昔はいいという表現をするんですけれども、昔の高等学校の3年間というのはやはり自己発見の期間であったわけです。それで、私立の高等学校もあったんですが、大体ナンバースクールというのは国立の高等学校だった。今は国立の高等学校はないわけですから、国立の高等学校と国立の大学、もちろん私立の大学もあったわけですけれども、そういう高等学校と大学の整合性というのがかつて非常に良かった。そういうこともやはり考えていただきたい。これには当然そういうことが入っておると思うのですけれども、高等学校ですからそういうことを考えていただきたいということです。
【河野委員】私は知識がないので、最後の図のところに高校、中等、高等とあって学部というのは、大学院というと大学も大学の学部も両方も入っているから学部というふうに表示するものなんですか。この図は大学と言ったらおかしくなるんですか。黒田さんのは大学みたいに書いてあったけれども。
【黒田委員】大学、学部という意味です。
【河野委員】大学は入れればいいわけですね。わかりました。
【江崎座長】学部だけではなしに、その前に大学と。
【木村主査】何かこれだと独立したように見えますね。
【牛尾委員】このプロフェッショナル・スクールの矢印というのは、修士が終わってからプロフェッショナル・スクールに入るんですか。
【木村主査】違います。
【牛尾委員】この矢印がプロフェッショナル・スクールというのは修士課程を卒業した後のところにいっているような印象を持ったんですけれども。
【黒田委員】これは4年制を出た人なんです。4年制を出ても行けると。
【牛尾委員】4年制のことを言っているわけですか。プロフェッショナル・スクールの上にきているじゃないですか。
【木村主査】ここでは、ありとあらゆるオプションを考えてあります。
【牛尾委員】なるほど。では、プロフェッショナル・スクールというのはその下の期間の2年、3年というのがプロフェッショナル・スクールのことですね。
【黒田委員】そうです。箱の説明です。
【木村主査】この点については事務局で大変苦労して頂きました。
【牛尾委員】これはちょっと難しい。読ませにくいですね。
【河野委員】この間も言ったんですけれども、4ページの最後の成績評価というところに、企業も大学での成績を踏まえた採用活動を行うよう強く云々と書いてあっていいんですが、企業というのはさっきからお話のあるように学校の成績だけではなくて人物とか、いろいろな角度があるわけです。
それともう一つ、この間学校の先生などにも聞いてみたんですけれども、今の就職活動というのはどうも非常に早くなっていて、みんな4年次の単位を登録するんですか。よくわかりませんけれども、その単位を3年で取るように少なくしちゃっている。そういうものは、それでは就職したらまた元に戻って取るのかなと思ってその統計もあるらしいんですが、その統計を見ると結局戻ってこない。要するに、4年というのは遊びで終わってしまうと。
【木村主査】それは文系ですね。
【河野委員】文系です。だから、4年というのはあるんだけれども3年と同じだと言うわけです。それで、この間も申し上げたように、やはり成績表を就職の活動の前提に付けるということをもしできれば入れていただきたい。我々もそう目指したい。
それは、アメリカでは高校で就職するときには成績表は付けないんだそうです。それで、大学以上のときには成績表は持ってくるものなんです。昔は日本でも全部、今は理工系では持ってくるようですけれども、文科系でも持ってきたものなんです。ですから、これは我々も学校も努力する問題ではあるんだけれども、国民会議として心掛けてもいいのかなということです。
【江崎座長】これは参考までなんですけれども、香港の科学技術大学で私は外部評価委員をやっておりまして、その卒業式に名簿があるんですが、その名簿に成績がちゃんと付いているんです。その成績は甲乙丙で、甲、乙1、乙2、丙という3つで、恐らく丁だったら卒業できないんでしょうね。それを勘定したら甲が大体8%ぐらいで、丙も8%ぐらいですね。それで乙が真ん中ぐらい。そういうことまでやっている。今おっしゃったことをもう少しあれすると、公表しているわけです。
【クラーク委員】私は多摩大学でそういう制度を導入しようしたんですけれども、猛烈に反対されちゃったんです。
【黒田委員】誰に反対されたんですか。
【クラーク委員】もちろん教授たちみんなです。成績を公表するのはみんな反対なんです。
【黒田委員】英国では当たり前ですよね。アッパーセカンド、ロウアーセカンドと。
【クラーク委員】しかし、河野さんがおっしゃっているように、外国では自分の成績表を持って就職活動に行く。けれども、なぜ日本はやっていないか。これは企業の責任です。 いずれにしても、具体的な提案としてもちろん卒業試験まで待つのは無理なんですけれども、3年が終わって暫定成績表を出せば、それで企業がますます興味を持つようになれば……。
【木村主査】理工系は全部ですよ。
【牛尾委員】みんな3年生までの暫定成績表で見るんです。だって、企業は1年前に内定しているんだから、本当は企業にも問題はあるんですね。
【河野委員】この頃はそれを全然要求していませんし。
【中曽根総理補佐官】私も分科会に出ていないでいきなりですから失礼になるかもしれないし、議論があったかもしれないんですが、1つは学校の枠組みのイメージの資料ですが、この枠組みは学校全体なのか、大学と修士課程のことを言っているのか、昔の師範的な教育専門の人を養成することや、あるいは高専などについては議論された上でここから外してあるのか。そこら辺がちょっと……。
学校の枠組みというと、全体のことを言うことになってしまうので。
【牛尾委員】今、出ました大学院の中に教育を入れるというのは非常に大事な要素です。
【木村主査】先生は少なくとも全員ぐらい修士を持っていなければだめだという議論はありました。
【中曽根総理補佐官】師範学校的なものが要るとか要らないとか、そういう議論はないんですか。
【木村主査】そういう議論はしませんでした。少なくともこのシステムの中でいわゆる先生になるような人もマスターは必ず取るべきだという議論です。
【黒田委員】高専は私の元の案にありましたよね。
【銭谷担当室長】高専と短大は確かにここは抜けています。
【中曽根総理補佐官】このように学校と一言で言ってしまうのは如何でしょうか。いろいろまだ選択肢もあるし、バラエティーのある方がいいという気がします。
【木村主査】私もここのところはちょっと苦しいと思っています。
【牛尾委員】でもしか先生を避けるために、高等師範的な大学院から教育者になるというコースをつくるべきだという議論はあったんです。
【中曽根総理補佐官】そういう説明があればいいんですけれども。
【銭谷担当室長】これは今回見直しの対象となったところを中心に書いているものですから。
【中曽根総理補佐官】そうですね。ただ、このペーパーだけ見て、学校の枠組みと言ってしまうと。
【銭谷担当室長】タイトルがちょっと悪いのかもしれません。
【木村主査】学校というタイトルがまずいんです。ただ、今、補佐官が言われた意味では、学校全体のシステムについて議論したわけではありませんので、そこのところはなかなか書けないと思います。ですから、タイトルは直す必要があると思います。ただ、教員については議論しましたから、その点はやはり入れるべきだと思います。
【田村委員】今その御質問が出たのでちょっとお伺いしたいと思ったのは、小学校のスタートを1年早めるんでしょう。提案には入っているんですね。卒業は12歳でいいんですね。これはずれてくるんですか。
【木村主査】牛尾さんのおっしゃっている、義務教育の年限は変えないで早く始めるという点については、後で議事録を読んでみましたが、圧倒的に支持があったとは思われませんでしたのでこういう書き方をしたんです。しかしそれは今後の御議論によりますね。2ページの2行目で、義務教育の開始年限を1年程度早めることも検討に値するとは書いてはあります。
【牛尾委員】みんなが幼稚園に行っているから、全員が幼稚園に行くのならば1年早くすればいいじゃないかと思います。
【木村主査】ここで早めた方がいいという御意見ならばまた別ですけれども、私はオプションというのがいいと思うんです。
【江崎座長】入る能力がある子だったら入れたらいいですね。それを誰が判定するかということですが。
【牛尾委員】今は幼稚園に行かなかったら東京の小学校は困ってしまうでしょう。みんなそこで終わっちゃうんだから。地方はそうじゃないんだけれども、東京はみんな幼稚園に行くでしょう。
【江崎座長】つまり、幼稚園も義務教育にしようというわけですね。
【クラーク委員】中学校は11歳で入学できる。もちろん文部省の方から制限はありますけれども。
【中曽根総理補佐官】今は入れるんですか。
【銭谷担当室長】今は、小学校の課程を修了した日の翌日以降の最初の学年、つまり12歳の誕生日の翌日以後の4月からということになっております。
【牛尾委員】それは基本的に法律を変えるんです。
【クラーク委員】だから、これは私も申し上げようと思ったんです。1年早めて検討するというのは、検討ではなくてもっと強く推進するとか、それと同時に中学校の……。
【木村主査】それはここで余りサポートがありませんでしたから。
【江崎座長】中学校に入る年齢制限を撤廃すると。大学は撤廃したわけですから、どうですか。
【黒田委員】でも、義務教育は9年ということが決まっていて、それを変えるのは学校教育法じゃなくて教育基本法を変えなきゃいけないから大変だと。
【江崎座長】それを逃れる方法としては1年早く入ればいいんでしょう。
【牛尾委員】そういうことなんです。国民会議だから平常言えないことを言わないと、中教審ならば言えないけれども国民会議は言ってもいいんだから、ここで言わなければ言うところはないわけです。
【江崎座長】もう少しやってもいいんじゃないですか。タレントのある子どもなんかだったら1年早くやって早めることはいいとか、なるべくそういうオプションを。
【木村主査】先生がおっしゃっているのはオプションですね。例えば、スコットランドでやっているように。1年早く入れるのは親の判断ですね。
【江崎座長】勝手にしたらいいんです。オプションだから勝手でしょう。オプションでやればいいじゃないですか。
【草野委員】でも、ここで言わんとしているのは一律という意味でしょう。
【木村主査】一律です。私は、日本の社会というのはオプションがなさ過ぎ、みんな同じルートでいこうとするから、オプションをつくった方が面白いと思うんです。しかし義務教育についてはちょっと……。
【牛尾委員】育ちの遅い子というのはいるから。
【黒田委員】3月31日生まれと4月3日生まれではものすごい差があるから。
【クラーク委員】この分科会の目的として、才能を伸ばしたいんだったらこの問題に触れないとおかしいんですよ。
【木村主査】クラーク先生はどう思われますか。オプションにするか。
【クラーク委員】オプションです。
【木村主査】オプションがいいですよ。
【クラーク委員】しかし、中学校のあれは入れないと。もちろん両方入れなくちゃいけないんですが、もうちょっと強く強調すべきなんです。オプションとしてですね。
【木村主査】私がスコットランドで印象的だったのは、この前も言いましたけれども、自分の子はどうかと、親が入学させるときにものすごく考えるんです。自分の子をよく見る。1年早く入れていいかどうか、デシジョンメーキングに非常に苦労する。それが良いと思いますね。
【クラーク委員】これは才能を伸ばすという意味だけではなくて、例の成熟問題も非常に大事なんです。
【中曽根総理補佐官】日本人は、人が入れたらうちもというところがありますから、そこを変えなければいけないですね。
【木村主査】その発想がいけないんです。例の大学院の飛び級です。あのとき非常に印象的なことが起きたんです。私どもは、大体クラスで1番とか2番の学生は3年で飛び級するだろうと思っていた。ところが、中には飛び級しない学生が出てきた。それで、「君、どうして」と聞いたら、「いろいろ考えましたけれども自分はどうも精神的に幼稚だと思う。だから、4年になってからがいいと思う」という学生が何人か出てきたんです。そういうことが、オプションを準備すると出てくるんです。これは私は非常に良いことだと思います。
【黒田委員】困っているのは、実は本人じゃなくて親なんですよ。
【草野委員】今、木村主査が言われたところのオプションは私もいいと思うんですけれども、5歳でオプションというのは……。
【牛尾委員】親ですよ。
【木村主査】そういう御意見があったのでこういう書き方をしたんです。
【江崎座長】私はやはりオプションで考えさせたらいいと思います。
【クラーク委員】こういう問題があったんです。私の息子は4月の初めの生まれなんです。結果は1年無理に待たされちゃったんです。特にこれは日本だけと言ってもいいです。というのは、3月31日とか4月1日は1年ぐらい全く違うでしょう。これはおかしい。もともとおかしいんです。外国だったらオプションです。自分の子どもを、もちろん学年というのは外国もありますけれども、そういう問題があるとすれば、ではオプションとしてもうちょっと早く5歳で小学校に入れてもいいんです。日本はそれがない。機械的にやるのは本当におかしいんです。
【牛尾委員】日本は3月31日に生まれると誕生日を4月2日にして遅らせる子はいっぱいいるんです。それを4月1日と間違えたら早生まれなので、4月2日からが遅生まれなんてす。よくみんな間違えるんだけれども、大体かわいそうだからというので、体重も軽いし、みんなそうやって事実上のオプションはしているわけです。
【木村主査】でも、それもそこのところだけですから非常に狭いですね。
【牛尾委員】だけど、本当に5歳、6歳では差が大きいですね。1年、2年ぐらいの差がありますよ。一緒にいるから最後までちょこちょこ追い掛けていく人生を育てるより、1年待って上を歩いた方がいいという子はいっぱいいるから。
【木村主査】では、今のところを決着をつけましょう。草野さんはどうしても御反対ですか。
【草野委員】私は、ここを一律にしないと逆に危険が高いんじゃないかと思います。
【銭谷担当室長】これはデータの話なんですけれども、1年就学を早めるとある年は2学年分一挙に増えるわけですね。
【牛尾委員】それは統計的に言えばそうですが、10年単位で見れば大体バランスが取れる。統計学というのはそういうものじゃないですか。
【銭谷担当室長】これは試算ですが、義務教育入学年齢を仮に5歳にした場合に今まで小中で9年分の児童生徒が10年分になる。義務教育の経費というのは先生の給料が圧倒的に多いわけですけれども、先生の給料に掛かる財政負担というのは一説によると4兆7,500 億円という経費がそれだけ余分に掛かるそうです。
【牛尾委員】その計算はおかしいですよ。
【銭谷担当室長】児童生徒が1年分多くいるという状態は9年間ずっと続きますから。
【木村主査】今いる人たちは早く卒業できないかもしれないから。
【牛尾委員】人口がだんだん減っていくから波なんか消えてしまうじゃないですか。毎年毎年減っていくんだから。
【木村主査】草野さんは御反対なんですけれども、一つの提案だからいいような気もしますが。
【草野委員】多数決ですから従いますけれども。
【クラーク委員】これはすごく大事なポイントです。
【草野委員】わかるんです。オプションにして今の日本のそういう考え方は変えなければいけないということはよくわかるんですが、今の親御さんの状況を見ていますと、基本的にはみんなが行って結局は落ちこぼれだけが残ってしまうという現象に絶対なってくると思うんです。
【クラーク委員】そういう心配はないです。外国はオプションなんです。それで、親たちの考え方はばらばらなんです。心配しないでください。
【江崎座長】最初の一人一人の持って生まれた才能を見出すという、これが初めて生きてくるんです。
【木村主査】私も日本だと親が真剣に考えないかも知れないという心配は持っています。
【牛尾委員】考えますよ。親は子どものことを考えるから。
【河野委員】やはり親だけではなくて学校も判断するということを入れてもいいんじゃないですか。
【木村主査】それは学校が判断するんです。スコットランドは親が入れたくても、学校の方でちょっといかがなものですかと言うことはあるようです。
【牛尾委員】だから、原則そのままでオプションで早く行けるという表現にすればいいんです。
【クラーク委員】それで学校も判断すると。
【江崎座長】今の4兆7,500 億は全員が入るという計算でしょう。だから、例えば10%ぐらいが行くと考えたら、今の問題はかなり少なくなりますね。
【牛尾委員】でも、理論的には費用は同じですよね。しかも、人口はずっと減っているんだから。人口が減っても予算は減らないし。
【クラーク委員】だけど、大学にとって少子化のショックも柔らげるんです。
【牛尾委員】それはそうですね。その辺でまとめてください。オプションで早くできると。
【木村主査】クラーク先生、ほかのことですか。
【クラーク委員】同じように9月入学をもうちょっと強調できませんか。昨日、第1分科会でやったんですが、例のモラトリアムはみんな1年間です。それで、ちょっと無理ではないかとかいろいろ言われたんですが、とにかく向こうは非常に強い調子でモラトリアムで1年間ぐらい就職とか肉体労働とか奉仕活動とかいろいろやるべきだと。それで、9月入学だったら高校は2月に卒業してちょうど6か月あります。私は木村先生の意見を言ったんですが、みんな大いに歓迎していたんです。では1年ではなくて6か月、ちょうどタイミングも良くて、高校を卒業して、それで結果として就職も入社も9月になる。卒業試験は、例えばイギリスだったら4月、5月で、自分の成績表を持って就職活動は夏に自然に絞っていくんですけれども、就職問題もある程度解決できるのではないかと思います。
【河野委員】ただ、企業は4月ですからね。
【牛尾委員】今は4月と9月と両方採用していますよ。
【河野委員】採るのはいいんだけれども、決算というか、会計年度は4月ですから、必ずしもそういうふうになるかどうかはわからないと思うんです。
【木村主査】この9月入学を少し遠慮して書いたのは、牛尾さんが「半年も放っておくとろくなことをしない」とおっしゃったから。
【牛尾委員】では、撤回します。9月入学についても積極的に推進し、とりあえずは9月入学をオプショナルに認めると書けばいいじゃないですか。
【クラーク委員】制度としてはもう既にオプションです。
【河野委員】積極的にというのはどういう意味なんですか。
【牛尾委員】企業的には全部9月にそろえたい。海外は全部9月で、日本だけが4月だから。
【クラーク委員】だから、付け加えて高校卒業は今までと同じようにその6か月の間は第1分科会が推薦しているような肉体労働とか奉仕活動とか、その間に実施できればいいのではないか。
【牛尾委員】それは第1分科会で書いてあるんでしょう。
【黒田委員】でも、「グローバル化の進展に対応」だけではなくて、やはり「モラトリアム期間として」というのも入れておいた方がいいんじゃないですか。
【牛尾委員】それを入れた方がいいですね。グローバルだけだと、またそれだけで反対する人がいるんです。海外のまねをするのがいいかとか言う人がいるから、モラトリアムとかいろいろな意味のことを書いた方がいいですね。
【木村主査】それは大事だと思います。
【黒田委員】それをここに書いておくと。
【牛尾委員】この提案は全体的に語尾がはっきりして非常に気に入っているんですけれども、検討に値するというのと、最後のここだけぼかしてあるから。
【木村主査】それは意識的にやったんです。
【牛尾委員】あとは珍しくみんなはっきりしていて非常にいいです。こうでないとだめなんです。
【田村委員】9月入学はちょっと問題があるんです。それは何かというと、日本の大学は70%まで私立なんですね。それで、遅らせちゃうと私立が6か月間もたないわけです。入学金が取れないでしょう。
【牛尾委員】初年度だけですね。
【田村委員】初年度だけれども、それが膨大な金額なんです。それをどうするかというので、それは私立大学はできないという話になっちゃうんです。
【牛尾委員】入学試験はいつやるんですか。
【田村委員】6か月後ですから、いずれにせよ6か月の間が空いちゃうわけです。そうすると入学金は取れない、月謝はなしでしょう。それで、給料は払わなければいけない。だから、そこの6か月を面倒を見てくれますかというので前回のときも動かなくなっちゃったんです。
【牛尾委員】そこは面倒を見たらいいじゃないですか。今は金余りで、大学に6か月分貸すのは安全ですよ。入学金で必ず返ってくるんだから、みんな貸しますよ。
【クラーク委員】17歳の飛び入学でその穴はきれいに埋められます。
【田村委員】前回動かなくなった大きな原因はそれだと思うんです。
【牛尾委員】それは大丈夫ですよ。
【河野委員】それで、入ってくる人も少子化に向かって今度は少なくなるでしょう。
【牛尾委員】これはしようがないですよ。大学の数が多過ぎるんだから。
【田村委員】そこをどうやるかは、提案は提案だからいいと思うんですけれども、ただ、いつもそれで引っ掛かっていたんです。
【木村主査】9月入学ができない理由として、もし切り替えたときにべらぼうな金が掛かるというのがあったと思います。あれは文部省が計算したんじゃないですか。切替えのために8,000 億ぐらい掛かるということでした。それは小・中・高も全部入っているんですか。
【牛尾委員】8,000 億というのは、無金利で6か月の融資だけをすればいいんでしょう。
【江崎座長】6か月延ばすために8,000 億ですか。
【牛尾委員】資金繰りが大変なのは、フローじゃなくてファイナンスが大変なだけですよ。
【田村委員】それと同じようなことが5歳入学だと幼稚園で出てくるんです。しかし、それを言っていたら何もできないから、やはり言った方がいいとは思うんですけれども。
【牛尾委員】今は幼稚園、保育園は大変なんだからちょうどいいですよ。
【クラーク委員】もう一つコメントをよろしいですか。4ページのダブルメジャーで、もちろんこれに賛成していますけれども、そのメリットのもう一つは例の国際化問題なんですけれども、語学教育ですね。私は英語教育改善委員会のメンバーなんですけれども、今の制度の中では高校ではちょっと無理ではないかと思って、大学に入って集中的にダブルメジャーの中で語学教育を行うべきではないか。これももう一つのメリットなんです。幅広く教育を受けるだけではなくて、語学教育の改善はもっとうまく実施できるのではないかと思います。
【牛尾委員】5、6年すると小・中で大体できるようになるだろうけれども、当面は大学でやらなければだめですね。
【江崎座長】そうすると、大学で現在のような専門学科みたいなものはやめてしまうんですか。
【木村主査】非常に緩くしてしまうということです。
【江崎座長】だから、専門学科とアメリカのメジャーの中間ぐらいにする感じですね。それは大変賛成です。
【木村主査】どちらかというと旧制高校みたいな形ですね。ダブルメジャーも、例えば理系の人が理工と取るのではなくて理文とか、工文とか、そういうふうな形ですね。
【江崎座長】そういうことも可能にすると。
【クラーク委員】ちょっとだけ付け加えて、特に語学の教育を強化するためにダブルメジャー制度が好ましいのではないか。というのは、例えば言葉の勉強をやろうと思えば今は文学部に入らなければ、例えば英語とかフランス語とかはほかの勉強はできないんです。これは就職はすごく難しいんですけれども、経済学と例えば英語とか、あるいは法学と中国語とかやれば、日本の国際化の上でもプラスだけではなくて就職にもいい。今アメリカやオーストラリアではそれをよくやっています。だから、そういう面ももうちょっと強調してもいいのではないかと思います。
【江崎座長】それからもう一つ言わせていただきますと、この大変立派な案の図は黒田さんが書いたのか誰が書いたのか知りませんが、中高一貫校というところに大学のコースが取れるというのを付け加えられませんか。アメリカなどでアドバンス・プレイスメントといって一般的にやられていることで、多分これは大学を3年間で過ごすためにはできる人間は高等学校で大学のコースをいくらか取っている。これはアメリカではやっているわけです。
【牛尾委員】高校在学中に大学の単位を取ってしまうわけですね。
【江崎座長】そうです。だから、124 単位のうちのいくらかを取ってしまうわけです。そうすると、基本的には飛び級しなくても飛び級的なことになる。
【牛尾委員】この飛び級というのは2年でもいいわけですね。
【銭谷担当室長】高校生が大学の授業を受けることは今でもできます。例えば最近でも、埼玉大学と浦和高校でやっております。
【江崎座長】そういうものをここでちゃんと中高一貫だったら余計やりやすいんじゃないかと思います。
【牛尾委員】今でもやっているんだったら、そういうふうに説明を書いておいた方がいいですね。
【木村主査】もっと推進するということですね。アドバンス・プレイスメントは既にやっているんだから。
【黒田委員】これは、その大学に行かないと使えないんですよね。
【政策課長】今、申し上げたのは高校の単位としては認めているわけでございますが。
【江崎座長】それを大学が認めますか。
【牛尾委員】それは大学の意味が違うじゃないですか。
【江崎座長】埼玉大学だけじゃだめですよ。東京大学に入ったときにもそうでないと。
【政策課長】それは各大学の判断で、その大学がお認めになればいいということです。
【木村主査】そうなんです。単位互換のやり方は各大学で違いますから。
【牛尾委員】今おっしゃっている意味は、慶応日吉高校に行っている人が慶応大学の日吉キャンパスの教養学部の単位も取れるということでしょう。それは大学が決めればいいんでしょう。
【木村主査】アメリカに国際交流で留学して授業を受けてきた。それに対してそういう単位を認めるかどうかというのは大学の判断で自由にできるんです。
【牛尾委員】そういう判断でできるものを推奨するということを書くことは一つの方法かもしれないですね。やれるけれども、やっていないものを大いにやりなさいと。
【木村主査】相当やれることはあるんですけれども、それをやっていない。
【牛尾委員】みんな知らないんだから。
【江崎座長】それは、やはりできる子を遊ばせないための一つの方法だと思います。
【田中委員】さっき中曽根補佐官がおっしゃったことに関係して、師範学校の例が出ていましたけれども、プロフェッショナル・スクールについて大学審議会で議論しているときは教員養成が中間まとめまで入ったんですが、最終答申では教員養成というのは落ちてしまっているんですけれども、教員養成をプロフェッショナル・スクールに入れるか入れないかということが問題になるのではないでしょうか。
【木村主査】入れたらどうでしょうか。今までの議論では入れる雰囲気でしたね。
【中曽根総理補佐官】はっきりしていないんですね。
【田村委員】これは中教審では出ましたよ。エデュケーショナル・スクールということで。
【木村主査】では、それを入れましょう。
【田中委員】プロフェッショナル・スクールにロー・スクールが抜けているし、行政大学院とか他にもいろいろあるので、具体例をあげたほうがよいと思います。
【江崎座長】場合によっては1年でも構わないと思うんです。そういうふうなものをエデュケーションでやってもいいんじゃないですか。
【田中委員】やはり教員養成はプロフェッショナル・スクールに入れた方がいいような気がします。
【牛尾委員】たしか、こういう人をどんどん先生にしたらいいと言うと、古い人が辞めないからそれは無理ですよとここで言われたことがあります。少子化でだんだん小学校の先生や高校の先生は古い人が残ってしまうから、どんどんマスター・オブ・エデュケーションの人が出てもそう簡単に入れる余地がないというお話でした。
【山下議員】この問題は、第2分科会でも教員の新陳代謝の話が出ている背景ではないかと思います。だから、教師は生涯教師という考え方をやめよという。
【牛尾委員】同感ですね。そういうことを政治家の人がおっしゃるというのは非常に心強いですね。
【田村委員】第2分科会では私はそうなんですが、つまりスポーツの選手でも最初はスポーツの選手でも年を取ってきたら監督になるとかコーチになるというのはあるけれども、教員は現役の一生スポーツ選手なんです。だから、変えるべきだというところから具体的ないろいろな提案がされているわけです。
【牛尾委員】第2分科会のものを見ましたけれども、みんな語尾があいまいなんです。その点、第3分科会は非常にすっきりしている。第2分科会は非常に語尾があいまいで、あれは相当少数意見が多いんでしょうね。しかし、やはり提案というのは語尾をあいまいにしたらだめです。
【木村主査】それと、ここは国民会議ですから、あいまいにすると……。
【田村委員】それは是非総会でおっしゃってください。
【牛尾委員】総会では間に合わないです。
【田村委員】分科会で持ち合って総会でまとめるんですから。
【牛尾委員】1と3に比べて、2は内容が優れているのに語尾がなよなよっとしちゃうんです。
【木村主査】問題が難しいからですよ。
【黒田委員】4ページの上から3行目のところに「教員については原則としてマスター取得を条件とするなど」と書いてありますね。これと、それから先ほどおっしゃったマスターとは別なんですね。教育に関する大学院ということで……。
【田中委員】教員資格のかさ上げみたいなものですか。
【黒田委員】でも、必要条件とするなどとここにも書き込んでありますが、そうではいけないのですか。
【木村主査】私はこれでいいと思っていたんですが。
【田中委員】ただ、これは以前に大学審議会で議論したときに中間まとめまで教員養成はプロフェッショナル・スクールに入っていましたが、最後の段階で理由ははっきりしないんですけれども落ちてしまったようです。
【黒田委員】今はそれを入れたつもりだったんですけれども、だめですか。
【中曽根総理補佐官】マスターといっても、これは別に先生になるための専門のものとは限らないんでしょう。そうではなくて、言っているのは本当のプロの先生になるための。
【黒田委員】それが質問だったんです。だから、マスター・オブ・エデュケーションみたいなものを取らなければいけないということにして、今、私がここで書いたのはそういう意味ではなかったので、そういうふうに書いた方がいいのかなと。
【牛尾委員】そういうふうに書きましょうよ。
【田中委員】教員についても普通のグラデュエート・スクールからそのまま教員になる人もあると思うので、その問題はちょっと。
【中曽根総理補佐官】行かないよりは行った方がいいんだけれども、もっと専門の……。
【田中委員】それはいいと思うんです。
【木村主査】それはそれでもいいんでしょう。改めて制度としてプロフェッショナル・スクールを位置づけて、大方はそこに行けということですね。しかし、普通の修士コースを出た人が行っても構わないんですね。
【黒田委員】いわゆる師範学校的な感じのものがプロフェッショナル・スクールにあってもいいということですね。そうすると、これとはちょっとニュアンスが違うので、両方書き込んでおいた方がいいですね。
【牛尾委員】そういうコースに行く人は、初めから教育に対してミッションを持ちますね。やはりミッションが足りないという部分は現在の欠陥の中に十分あるわけだから。
【田村委員】中教審で議論されたのは、それは教養教育をする人の中心になってほしいというのがそのときの提案だったんです。
【牛尾委員】そうですね。それは第2分科会で書いてありましたか。
【田村委員】第2分科会ではなくて中教審でやった議論です。第2分科会は義務教育をやるということでしたから。
【河野委員】確認なんですけれども、2ページの中高一貫教育というのがさっき御説明があって、全体の半分ぐらいというのは遠慮して言っている数字なんですか。それとも、これを目指そうということですか。
【木村主査】実状から言うと、これは大変な目標です。500 校で1学区に1校ということになります。趣旨は皆さん理解して頂いてやりたいとおっしゃる所もたくさんあるのですが、設置者が違うものですから非常に難しいんです。
【河野委員】方向としてはどちらにいきたいというのを表しているわけですね。
【田中委員】私立学校はほとんど中高一貫になっていますね。
【木村主査】実質的、形式的なものも含めますと相当ありますね。
【牛尾委員】全体の半分ぐらいというからかえって生々しいので、中高一貫教育になるよう思い切った支援策を講じるという方が本当は柔らかいんですよ。強いんだけれども、半分というのは中途半端な意見ですね。
【田村委員】ここは実態から言うと夢の数字ですね。
【牛尾委員】だけど、今IT時代で夢みたいなことがどんどん実現している時代ですから。
【田村委員】現場は全然動かないんです。公立ですよ。私立はいっぱいあるし、国立もあるんですけれども。
【河野委員】どういう欠陥があるんですか。
【田村委員】高校の先生は高校の先生だと威張っているわけで、中学と一緒になれないというのが基本にあるんです。給与体系が違うんですから。
【木村主査】その辺のことで、例えば秋田市では、市長がもともと学者ですけれども、非常に頑張って立派な学校を1つ作りました。建物もすごく立派です。また更に増やそうということで、やはり首長の考え方ひとつですね。
【牛尾委員】それから、新制に変わったときに小学校がそのまま中学校になって、旧制中学が高校になった例というのは、ここに厳然たるあれがあるんですね。それを一緒にするというのはこちら側はとんでもないというのがあるけれども、それは間違ったプライドだから。
【山下議員】4ページの大学教育の充実のところで、私は学生に対して厳しくする限りはやはり大学の教える側の改革ですね。先生の採用の在り方を見直しする必要がある。採用が非常に不透明ではないかと感じているので、透明性をしっかりやるということ。それから、大学間交流ができるようにするということ。採用の問題と、それから評価なんです。大学組織の評価ではなくて、初等・中等教育の場合と同じように高等教育も教える側の評価もやらないと。大学教育の充実ということはいくら成績評価を厳格にしたところで教える側の緊張感がないといけないので、大学の教える側の先生の評価と採用の在り方を見直すということが非常に大事なのではないかと感じています。
【木村主査】評価は先生は御存知かどうか、私どものところでやらざるを得ないんです。ですから、評価については相当ドラスティックに状況が変わるだろうと思います。ただ、採用についてはいろいろ問題があるかと思います。形式的なところもありますけれども、ほとんどが公募です。空き定員があると必ず公募をします。私は東京工業大学におりましたけれども、そこでは極めて透明性の高い人事をやっていると思います。誰から聞かれても全くおかしくないような人事をしていると思います。
【黒田委員】私どももそうで、おまけに研究だけではなくて教育に対する抱負というものも必ず書いてもらっています。
【山下議員】私は古い認識でしゃべっているかもしれませんけれども、印象だけで申し上げたんですが、やはりその辺がかぎを握っているのではないかと思います。
【木村主査】その辺はかなり変わってはきていると思います。
【江崎座長】もう一つはカリフォルニア大学などがやっているように、プロフェッサーでいろいろなランクをつくって評価するということも必要ではないか。今のところは助教授からプロフェッサーになるときに評価するわけでしょう。ところが、プロフェッサーというものになってしまえばもう何もしなくてもいいわけなんだけれども、プロフェッサーで段階をいくつか作るということで。
【木村主査】独立行政法人になるとそうなるでしょう。
【浜田委員】同じ4ページの一番下なんですけれども、今頃こんなことを聞いたら笑われるかもしれませんが、一番下の成績評価の厳格化というところですね。この第3分科会が始まるときに学力低下ということの心配もあって、そしてテーマは創造性、独創性ときているんですけれども、ここで言う大学の成績というのはいわゆる知識偏重、暗記ものなのか、そうでないのかですね。
最初に木村主査が、自分で考えることのできる、自分の頭で考える学生を育てないとリーダーとして、それから独創性、創造性というようなことを発言されているのですけれども、大学の成績というのは自分の頭で考えて答案をつくらないといい成績が取れないという形になっていれば、成績という言葉一本でいいかもしれませんけれども、もしかなり暗記物の学習でいい成績が取れる学部なり何なりがあれば、また今までの受験社会の延長を今度の改革会議はもっとやれと言うのか。これではリーダー候補とか創造性とか独創性と反対のことを言っているんじゃないかとされないかどうかですね。
【クラーク委員】心配しないでください。これは大学では常識なんです。成績を決めるときは当然のこと、知識だけではなく、暗記力だけではなくて考える力は大事な大きなウェイトなんです。例えば論文を何か書かなくちゃいけないでしょう。論文を読んで、あの人は考える能力を持っているか持っていないか、先生たちはすぐ判断できます。それで評価するんです。大丈夫です。
【浜田委員】それは、どこの大学もどこの学部もそうですか。それから、高校を出て職業に就く人が半分以上いるわけですけれども、高校の成績といったらどちらになりますか。高等学校レベルの成績といった場合ですね。
【クラーク委員】これは大学ですが、高校だったら小論文は余り使わないですし。
【木村主査】今、浜田さんが御心配のような傾向があるので一生懸命考えさせよう、考えさせようというような方向へカリキュラムを作り変えていたんです。
【黒田委員】4ページの小人数教育の実施のところに、一応「レポートを課すなど、自ら調べ考えるようきめ細やかな授業を行うことが必要であり」と書いてあります。
【浜田委員】これを相当強く強調しておいてほしいなと思います。
【木村主査】高校でもカリキュラム改革を随分やっていまして、何とかして考えさせる能力を身に付けさせようとしています。「ゆとり」と「生きる力」と言い出したのは最近ですから、生きる力の中にさっき浜田さんの言っていただいた問題を見つけて自分で解決する力ということを打ち出していますから、そちらの方にカリキュラムが向いています。
ところが、それに対してまた批判があるんですね。そんなことをやるから学力が落ちるんだという批判です。
【牛尾委員】この厳格な成績評価を行うという意味の中に今、浜田さんが御心配されるようなことがきちんと押さえられた表現ならばいいんですよね。
【木村主査】ですから、ここはどちらかというと一般的な大学で勉強させようという趣旨なんです。余り独創性、創造性は直接にはここにかかっていないんです。
【牛尾委員】では、浜田さんの心配しているポイントはどこの表現で押さえるんですか。
【木村主査】どこのポイントで押さえましょうか。やはり小人数教育だとか、ダブルメジャーとか。
【浜田委員】この辺はどこかに言葉が欲しいなと思ったんです。アマチュアがいっぱい読むわけですから。
【木村主査】そういうことですね。
【江崎座長】それから、さっき山下議員がおっしゃったこともちょっと考えた方がいいんじゃないですか。要するにファカルティ・デベロップメントという、どこかでFDを入れて、先生もよくやらなくちゃいかぬと。これは学生ばかりに言っているから、先生ももう少しやれということで、山下議員の意見をちょっと入れた方がいいんじゃないですかね。
【木村主査】いつも申し上げるんですが、大学と言ったときにその中に多様なものが入ってしまうんですが、きちんとやっているところとそうでないところという違いがあるんですね。今の浜田さんの御質問もまさしくそうで、理工系だと考える力がなければ絶対いい点は取れませんね。
【浜田委員】クラーク先生に心配要りませんとおっしゃっていただいて、多摩大学は心配要らないと思いますが、力強い御返事は大変ありがたいんだけれども。
【クラーク委員】かえって問題は逆なんです。大学に入って、自分は大学生だから知識よりも考える能力は一番大事なのだと思ってしまうんです。だから、知識なしで考える。特にアメリカの大学は最近は危ない傾向なんです。まず知識を勉強して、その上に考える能力を付け加えるんです。かえって考える能力ばかりを強調すれば、必要な勉強はしないんです。
【浜田委員】その必要条件と十分条件が十分さっと理解できるように、初めて読んだ人にもそういうような補強をしてほしいという発言です。
【牛尾委員】本当は、上の小人数教育と後ろの文章がつながってしまえばいいんですね。妙に割るから別々になるので、つながればいいんです。
【浜田委員】成績というと、まず暗記ものという連想がありますので。
【中曽根総理補佐官】さきほどのことをぶり返すようで申しわけないんですが、高専という言葉は一つもなくてもいいんですか。創造性とか、トップランナーとか、そういう観点からいくと、余り広げるときりがないということになってしまうんですかね。
【木村主査】そこは議論していないんです。
【中曽根総理補佐官】高専は就職率100 %で、非常に人気もあるし、勉強も一生懸命やっていると思うので、今からで大変申しわけないんですけれども、例えばどこか言葉に一言でも入れば。
【木村主査】黒田さんの報告には入っていたんです。
【中曽根総理補佐官】図は別としても、どこかの文の中に高専の教育とか入れたらどうでしょう。高専というのは今、かなり評価が高いでしょう。
【木村主査】例のデアリングレポートで日本の教育システムを評価した3項目のうちの1つに高専の教育を挙げています。それだけ評価されています。
【中曽根総理補佐官】だから、図で書くともっといろいろ書かなければならなくてはいけなくなってしまうかもしれないので、文の中で評価してこれも更に発展させるぐらいのことを記述したらどうでしょうか。
【木村主査】独創性、創造性を涵養するカリキュラムについては、何と言っても高専が一番なんです。事例集を集めると断然高専がいいんてす。
【牛尾委員】高専は長岡の科学技術大学にいた学生なんかは非常にいいですからね。
【木村主査】しかも、あそこが一番インターンシップをたくさんやっている。
【牛尾委員】これは高専を書いたらいいですよ。
【中曽根総理補佐官】図にするのか、文のどこかに入れるのがいいのか、企業からも随分、評価がありますし。
【木村主査】わかりました。全体として「である」調で書けるということでほっとしております。
一つ提案でありますが、予定でありますともう一遍会議をやることになっていますが、ほかの分科会はもう終わっています。第3はどうしましょうか。
【牛尾委員】もう要らないですね。
【木村主査】牛尾さんから多分そういう提案があるだろうと思って期待していたんです。
【牛尾委員】これは、あとは主査と副主査にお任せします。
【木村主査】それでまとめるということでよろしゅうございましょうか。既に皆様方の御議論いただいたことはほぼ入っております。今日も大変たくさん御議論をいただきましたが、そう難しい議論ではありませんでしたので全部入れられると思います。私と事務局で相談をしながら最終的なものにするということでよろしゅうございましょうか。
【牛尾委員】記者会見は26日でしょう。
【木村主査】26日は第3分科会があるので26日にしたんですが、もし26日の第3分科会をやめるのであればまたセットし直すんでしょう。
【銭谷担当室長】ただ、基本的には26日の予定でおります。
【牛尾委員】26日にやっても、記者会見の前だから急に変えられても困るんです。だから、全く形式的なものだからやめましょう。事前にみんなに回してもらって、もし意見があれば言えばいいんじゃないですか。
【木村主査】ただ、それはしんどいかもしれません。今日は19日で、26日でしょう。
【牛尾委員】その場で変えると言っても困るでしょう。
【クラーク委員】でも、まだ大事な問題が残っているでしょう。中学校の入学の年齢制限の問題とかですね。
【木村主査】それはちゃんと入れます。
【クラーク委員】そうですか。そちらの方の顔を見ているとかなり消極的ですよ。
【木村主査】こちらはアイデアを出せばいいんですから。9月入学だって容易なことではないですよ。そういうことでよろしゅうございますか。
それでは、私どもには荷が大き過ぎるかもしれませんが、何とか御意向に沿うように直させていただきたいと思います。では、1時間ほど議論しましょう。それで、案分をお渡ししてそこではもう変えられませんが、そういうことで議論をしていただくということで12時半からやりましょう。本日はありがとうございました。