教育改革国民会議

教育改革国民会議の第一回会合

内閣総理大臣挨拶

平成12年3月27日


 

 このたびは、教育改革国民会議への参加をご了承賜りありがとうございました。「教育改革国民会議」の第一回会合が開催されるにあたりまして、一言ご挨拶申し上げます。

 私は、我が国の明るい未来を切り拓き、同時に世界に貢献していくためには、創造性こそが大きな鍵であり、創造性の高い人材を育成することが、これからの教育の大きな目標でなければならないと考えております。こうした観点から、私は、教育改革を内閣の最重要課題に位置づけ、「教育立国」を目指し、社会のあり方まで含めた抜本的な教育改革について議論していただくために「教育改革国民会議」を開催することといたしました。

 この会議を発足させるに当たっては、議論を是非国民全体に広がりをもったものとしたいと考えております。このため、教育の在り方について、各界の有識者の方々から意見を伺うべく文部大臣と連名で依頼いたしました。また、併せて、広く国民の方々からもご意見をいただいております。上は九十二歳から下は小学校三年生までの幅広い国民の皆様方から、四千五百通を超える意見が寄せられているところであります。
 私は、これらのご意見に目を通しながら、世代を超えた教育に関する関心の高さと教育問題の幅の広さを改めて感じました。本会議のような国民的な議論の場を設ける必要性をさらに強く感じた次第です。

 私が「教育」について考えるときに思い起こす著作の一つに、池田潔氏の著書「自由と規律」があります。その中で、イギリスのパブリックスクールや大学において、若者が学業やスポーツに伸び伸びとかつ真摯に取り組み、自由が尊重される一方で規律が確保されている姿が語られています。
 施政方針演説でも申し上げましたように、これからは、個人が組織や集団の中に埋没する社会ではなく、個人が輝き、個人の力がみなぎってくるような社会に転換することが求められております。個人と公が従来の縦の関係ではなく、横の関係となり、両者の協同作業による「協治」の関係を築いていかなければならないと考えます。そして、そのような、次代を担う人材を育むために、今を生きる我々が取り組むべきことは何なのか。自由と規律の調和を描いたこの著作は私自身に一つのヒントを与えてくれていると感じております。

 さて、私は、教育は国家百年の大計と常々申し上げており、皆様には百年の大計をつくるという思いで、腰を据えた、密度の濃い議論を積み重ねていただきたいと思います。
 すなわち、教育改革とはなんぞやという原点に立ち返って、戦後教育について総点検することが必要であると考えております。
 またそれとともに、いじめや不登校、学級崩壊、学力低下、子どもの自殺などの深刻な問題がなぜ起こっているのかについて、
 教育の基本に遡って幅広くご議論いただくようお願い申し上げます。

 教育改革国民会議の座長には、江崎玲於奈先生にお引き受けいただくことでご快諾を頂きましたので、よろしくお願い申し上げます。
 また、この会議は、与党三党派間の合意に相呼応して設置したものでありまして、自由民主党の町村信孝議員、自由党の戸田邦司議員、公明党の太田昭宏議員のご参加もいただいております。

 昨年のケルン・サミットにおいて教育の問題が取り上げられました。教育は各国が共通に直面している課題であり、現在、教育改革の取り組みが進められているところです。
 私といたしましても、教育改革国民会議における議論を踏まえて、我が国の輝ける未来を築き、世界から確固たる尊敬を得られる国となるため、その重要な基盤となる教育改革の推進に全力で取り組む所存であります。皆様方におかれましても、貴重なご経験と学識を生かしていただき、積極的なご議論を展開していただくことをお願い申し上げまして、挨拶に代えさせていただきます。