教育改革国民会議

第10回教育改革国民会議・議事概要



(日時) 平成12年11月14日(火)10時〜12時

(場所) 総理官邸大食堂

○ 江崎座長挨拶の後、一日教育改革国民会議(公聴会)及び教育改革国民会議意見募集の概要について、銭谷担当室長より説明があった。

○ 今後の審議の進め方について、資料4に基づいて牛尾副座長より説明があり、承認された。

○ 第1分科会関連「人間性豊かな日本人を育成する」について議論が行われた。概要は以下のとおり。

(草野委員)
 幼児教育及び生涯教育についての言及が必要との意見もあったと思うが、新たな提言の追加も含めて、今後の審議において議論するのか。

(牛尾副座長)
 中間報告の17の提言に吸収できるものは吸収し、できないもので重要なものについては、最終報告後、プロジェクトチームのような形で議論すればいいのではないか。

(沈 委員)
 働く女性への支援方策という点からも、保育園や幼稚園の教育の充実について十分な考慮が必要。家庭教育への具体的な支援方策として、文部省のやっている家庭教育手帳の家庭への配布は支持が多い。さらにきめ細かいサービスを行ってもらいたい。

(藤田委員)
 学校選択の自由化や中高一貫校を約半数程度にすることなどの中間報告の内容について、これまで反対意見を述べてきたが、これらは非常に重要な問題であり、もう少し詰めて議論してもらいたい。また、多くの方が賛成すればこれらの提案もやむを得ないとは思うが、反対意見については、最終報告ではどのように取り扱われるのか。
 奉仕活動については、具体的内容についても明確にする必要があるのかないのか。

(牛尾委員)
 ほとんどの委員の間で中間報告のような内容でよいという場合には、そのまま最終報告に掲載することとし、必要があれば少数意見として併記すればいいのではないか。また、奉仕活動については、国民にわかりやすいように表現を工夫する必要がある。

(田村委員)
 男女共同参画社会実現のためにも、保育所に子どもを預ける家庭に対する財政的な支援も考えるべきである。
 奉仕活動、体験活動など、学校外活動の際の事故について、現場には懸念があり、補償について何らかの条件整備が必要という意見が現場から寄せられている。

(曾野委員)
 具体的期間などについては、現場や専門家の判断に任せればいいと思っている。私は、小6、中3、高3の時に、継続して奉仕活動をすることを提案する。奉仕活動の目的は、与えられてばかりの子どもたちが、与えることを学ぶことである。与える側になることによって、自信を持って大人に近づいていくことができる。例えば、携帯電話やテレビの視聴時間の制限、暑さ寒さに耐えることや質素な食事など、ある種の禁欲的経験をすることで、自分はどのような人生にも耐えうるのだという自信をつける。これを、子どもが社会に出るための「はなむけ」にしたい。

(河野委員)
 学校、地域、家庭の役割をもっと具体的に書くべき。奉仕については、「ボランティア」と「奉仕活動」を明確に区別したうえで、理念をはっきりと打ち出し、国民に理解してもらうことが必要。表現については、誤解があるならば、「社会奉仕活動」「社会体験学習」などとしてもいいのではないか。

(金子委員)
 事故に対する補償は、重要な問題ではあるが、学校が普段から地域・家庭との交流を持ち、信頼関係を築くことも大事である。

(黒田委員)
 小学生と一口に言っても、低学年と高学年では成長に大きな違いがある。成長段階によっては、共同生活ということではなく、親と一緒に地域の清掃活動をするなど、家庭あるいは地域で、人のために何か一生懸命やり、それによって喜びを感じるような活動をするということも考えられるのではないか。
 働く女性への支援方策が必要。関連して、教育休暇制度の導入についても、具体的にどのように実施するのか踏み込んだほうがいい。

(山下委員)
 はじめに体育ありきではないが、思いやりや勇気、決断力や礼儀など青少年の豊かな人間性を育成するために、体育・スポーツは不可欠である。
 与える喜び、人の役に立つ喜びは、生きる喜びにつながっていくのではないか。大人でも、得る喜びは知っていても、与える喜びを知らない人は多い。その意味で早い時期から与える喜びを学ばせることは重要。

(河合委員)
 道徳教育については、肯定的な先生方も増えてきているが、教える方法がわからないという意見がある。道徳教育についての研修などがあれば、現場はもっと熱心になるのではないか。
 家庭教育の問題については、労働省の研究会などでも、もっと男性が休暇をとって家庭教育に参加すべきという提言もしているので、企業も奨励していくべき。
 体育については、強い選手だけではなく、弱い選手でも十分にスポーツを楽しめるよう、学校を代表して戦うチームもあれば、2部、3部もあり全ての人がゲームに参加できるというシステムにしていけばよい。

(木村副座長)
 事故に対する補償については、学校と家庭・地域との信頼関係は当然の前提であるが、全国規模でやろうという場合、何らかの公的補償も必要。

(浅利委員)
 教育の原点が家庭にあるというならば、働く女性がどうやって子どもを教育しているかということは非常に重要な問題になる。給料の7〜8割が保育費に当てられているのが現状であり、働く女性のための控除などの税制改正を提言してはどうか。
 芸術・文化、体育活動について中間報告ではほとんど触れられていない。諸外国では、学校教育の教科で演劇が取り入れられているため、年を取ってからでも芸術に親しみがある。国の文化を長期的に発展させていくためには、教育において芸術・文化、スポーツをきちんと取り扱うことが必要。

(今井委員)
 働いていようと働いていまいと、男性であろうと女性であろうと、保護者として、子どもに対する責任は同じである。人間性豊かな子どもを育てるためには、自分の足下を見直すことが大事であり、これからは、より一層、良き企業人は良き家庭人であることが求められてくると思われるので、企業には、教育に関わる優先的な休暇の導入について積極的に考えていただきたい。
 有害情報について、制作側にだけではなく、スポンサーに対しても申し入れたところ、番組の改善につながった。制作側と提供側が青少年団体と同じ土俵に立って話し合う場を設けるべき。

(田中委員)
 奉仕活動の趣旨についてはよくわかる。ただし、将来的に満18歳で義務付けるということについては、法律的に疑問。例えば、国民年金の保険料の支払いを金銭だけでなくて、介護活動で行うことを義務づけるなどの工夫をしてはどうか。

(山折委員)
 奉仕活動は、今後の日本人の生き方を色々な形で方向づける非常に重要な提言であり、この提言を国民にどのように説得力ある言い方で伝えるかということが非常に大きな問題。奉仕の義務は、まず大人がやるぞという覚悟を示すことによってはじめて子どもたちに「奉仕の義務に従え」と言えることなので、そういう気持ちをにじませるような表現にしなければならない。
 また、これまで短期的な意義ばかりが議論されてきたが、奉仕活動の基礎には、犠牲・献身の精神という重要な理念があり、非常に長期的な展望を持っているということも示すことが必要。

(河上委員)
 問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしないということについて、もっと具体的に提言すべきではないか。このような子どもに対しては、家庭でも教育に困難を感じていることが多いので、福祉と教育を合体したような形の場を作ることを考えるべき。

(藤田委員)
 奉仕の理念については理解しているし、提言としてのインパクトが大きいということは承知している。しかし、犠牲や献身の精神を育むための奉仕活動に限定するのか、自分自身を社会とのつながりの中で発見していくための社会体験、職場体験等を含めて考えるのかということには、原理的な点で考え方に違いがある。こうした二つの考え方があることは明らかにしておくべきであり、欧米の奉仕活動は後者の面を重視し、活動内容の多様性を認めている。
 家庭教育については、学校と地域・家庭との連携ということを踏まえても、学校施設を使って、地域の人が保育をすることがあってもよいのではないのか。

(沈 委員)
 入学試験だけではなく、大人が子どもに人間としての目標を与えてやり、課題を達成した子どもに対しては、それぞれの地域をあげて祝ってあげるなどしてはどうか。

(森 委員)
 労働条件の改善などの外的条件整備よりも、働く女性への教育的ノウハウの伝授など内的支援をするのが教育改革国民会議の大事な役割であり、最終報告では、家庭教育手帳やノートをもっと改善・活用することを提言してはどうか。幼児教育については家庭教育の中に含めてもいいのではないか。
 奉仕については、大人でさえやっていない。学校で奉仕活動を体験することによって、将来社会に出た時に奉仕活動ができるようになるのではないか。最初から体験学習と言ってしまうと拡散化される恐れがあるので、あえて奉仕活動としている。

(梶田委員)
 具体的なこともさることながら、画一的な教育制度の改革や豊かさの中で忘れられたものなど、各提言をつなぐ理念をもう少し付言しなければならない。

(クラーク委員)
 学校で道徳教育をしようとすると、子どもは反発することが多い。しかし、社会での奉仕活動は一つの道徳教育であり、その一環として考えるべきである。体験活動もすべて奉仕活動に入れるべきではないか。18歳での全員への義務付けは難しいと思うが、第3分科会で提言した大学9月入学を実現すれば、高校を卒業してからの期間を、スポーツ、自然体験などを含めた体験活動の機会として活用できるはず。社会活動、 奉仕活動での事故のリスク管理が障害になっている。国が前向きにバッ クアップし、保険制度などを考えるべきだ。

(曾野委員)
 家庭教育について、子どもを持つ親を早く帰宅させるということにすると、企業側は決して雇わない。家庭教育の間、一度リタイアした上できちんと再雇用するという仕組みにすべき。

(田村委員)
 まず最終報告の冒頭において、これからの教育の理念をはっきり示した方が国民的理解を得やすいのではないか。その理念を実現するための方策として奉仕活動を位置付けることとすべき。

(草野委員)
 奉仕活動の枠を広げたほうが現実的なのではないか。18歳での義務付けについては各委員と同様、一層の工夫をした表現が必要であると考えている。

(河上委員)
 世間の道徳が地に落ちているから、学校での道徳教育が非常に難しくなっているという実態があり、大人の側の道徳にも触れた方がいいのではないか。

(牛尾副座長)
 次回は、第2、第3分科会関連部分と基本理念、教育基本法、教育振興基本計画について議論をしたいと思う。

[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。