教育改革国民会議

第12回教育改革国民会議・議事概要



日 時:平成12年12月11日(月)16:00〜18:00

場 所:官邸大食堂

○金子委員より、「教育改革国民会議報告(案)」の説明が行われた後、議論が行われた。概要は以下のとおり。

【個別の検討事項について】

(藤田委員)
 中高一貫校の取扱について、私は前回反対し、また会議においても「積極的に進めるべき」という意見が出たわけではなかったにもかかわらず、中間報告よりさらに踏み込んだ記述がなされているのはなぜか。

(木村委員)
 第3分科会での議論を反映したものであり、「この報告は全会一致によるものではない」ということも報告(案)に明記されている。

(藤田委員)
 中間報告と比べても「思い切った支援策を講ずる」との表現が付け加えられており、既存の3年制の中学校、高校より中高一貫校を優遇する意図が伺える。

(木村委員)
 優遇ではなく新しい施策を実施するにあたっては、ある程度のサポートが必要という趣旨。

(河上委員)
 「リーダー養成」(p8)の部分について、インターンシップには教育実習の充実なども含まれるのか。また、教員について、修士号取得を要件とするとあるが、ここには専門的な知識や学問以外に、「人間の幅を広げる教養」のような意味も含まれているのか。教員採用試験において、危機に対応する能力(クライシス・マネジメント能力)をみるというような見直しを考えているのか。

(木村副座長)
 インターンシップについては、教育実習も含むように広義に解釈できると思う。また、修士号取得については、実態から言って、修士の2年間で主体的に研究することにより、専門的な知識だけを増やすだけでなく、人間的にも成長している。

(金子委員)
 「教師の意欲や努力が報われ評価される体制をつくる」(p11)の(5)の部分で、教員について雇用形態や入口を多様化することを提案している。

(牛尾副座長)
 人間の幅を広げるという点については、教養教養の重視というところと関連付けて説明ができるだろう。

(勝田委員)
 「教員は実践者であり、『生涯現役』がいつも適しているとは言えない。」(p11)という部分については理解しやすくするため表現に工夫が必要ではないか。

(金子委員)
 この箇所は、教員は教壇に立つことだけが仕事ではなく、その人の適性によって教頭、校長といった管理職につく場合や、必要に応じて教職以外の職種に転換ができるようにという趣旨で書いている。表現は再考したい。

(藤田委員)
 当該部分については、校長を経験した人がもう一度教師に戻るということも含めて考えてもらいたい。

(河合委員)
 教員が修士号を取得することは賛成だが、知識に偏ったものではなく、体験を含めたものとするべき。

(木村副座長)
 はじめから修士号を持っていないと教員になれないということではなく、現在、修士号を持っていない教員が大学院に戻って勉強することも想定している。

(浜田委員)
 「問題を起こす子どもへの教育をあいまいにしない」(p6)の部分は、学校にのみ問題解決を押しつけているように感じる。学校に「やれ」というだけならば誰にでも言える。教師の資質の問題だけではなく、社会全体、国全体の問題として捉えるような表現にすべきではないか。

(河上委員)
 教師の資質の向上だけでは如何ともし難い状況が広範に広がっており、報告案の「適切な措置」には、例えば出席停止などが含まれているということを明確にしてほしい。
 また、コミュニティ・スクールには、既存の学校の枠組みに入れない生徒たちのための学校のようなものも含まれているのか。

(牛尾副座長)
 当初は厳しい表現だったが、だんだん表現がソフトになってきた経緯がある。

(藤田委員)
 問題を起こす子どもへの対応に、国家的、社会的レベルの問題として取り組むという視点を入れるべき。

(浅利委員)
 「学校は問題を起こす子どもに対して『出席停止など』適切な措置を取る」というように修文して、取り組みの姿勢をはっきりさせてはどうか。

(西川議員)
 学校現場の荒廃は、15年ほど前の校内暴力の時代から繰り返されている。学校現場の反省は当然だが、学校だけで対応できないのであれば、社会的なシステム改革も必要である。

(田中委員)
 「採用後のプロセスを評価する」(p11)という部分については、丁寧な説明が必要。また、「有期教員」よりも「任期付教員」の方が一般的ではないか。

(田村委員)
 18歳までに二度の受験があることの弊害をなくすという観点から、中高一貫校の設置を積極的に進めることは必要。
 また、「問題を起こす子ども」の部分については、ほとんどの学校は問題がないので、強い表現で提言をされてしまうと現場の反発があるのではないか。限られた地域で起きていることにとらわれず、慎重に表現すべきである。

(勝田委員)
 奉仕活動の部分で、「満18歳後の一定期間に、すべての青年が1年程度・・・奉仕活動を行うようにすることを検討する」とあるが、18歳頃は、知的にも感性という点でも柔軟かつ非常に伸びる時期であり、1年間も奉仕活動をするというのは長すぎる。半年くらいでもいいのではないか。

(森 委員)
 奉仕活動の期間については、当初「2年間」で、その後「1年程度」と後退してきているので、これがまた半年になるようだったらもう少し議論し直さなければいけない

(金子委員)
 報告書は現実的なものとするという観点からは、「すべての青年が1年程度、率先して奉仕活動に従事することが当然とされる社会をつくる」という表現にしてはどうか。

(牛尾副座長)
 いただいた意見を踏まえ、表現については企画委員会で検討したい。

【総論について】

(河野委員)
 p3に家庭における基礎的訓練を挙げているが、ここの部分の「団体行動ができること」は、横並び的、日本的な感じがするので、「我慢すること」の後でいいのではないか。また、家庭の役割として、命、生命の大事さを教えることを入れてもいいのではないか。
 さらに、p4下段の「具体的な動きを作っていく」部分については、実現された政策を評価していくことが重要であるという点も入れるべきである。

(河上委員)
 p2下段、p4上段の「教育委員会や文部省」以下の部分は、教育委員会・文部省の権限を縮小し、各学校の判断を重んじるという意味であると理解してよいか。

(牛尾副座長)
 そのとおりである。総論のところにも、そういう改革の動きに現場の方も対応しなければならないということを書かなければならない。

(藤田委員)
 「健全な競い合いを促進する」(p4)とあり、評価をすること自体は必要だと思うが、単なる競い合いではなく、学校の改革、改善を促進するための評価ということを確認したい。

【教育基本法について】

(田中委員)
 伝統や文化は継承していくだけではなく、発展させ、場合によっては国際的に発信していくことも重要であり、そういう点も付け加えた方がより前向きになるのではないか。

(大宅委員)
 ITや生命科学、グローバル化が進展すると、どのような「新しい時代を生きる日本人の育成」が必要になるのか。具体的なイメージが良く分からない。

(藤田委員)
 教育基本法の改正については、他の項目に比べて批判的な意見が多かったと思うが、それを一歩踏み込むことにした最大の理由は、企画委員会で議論し、「前向きの議論を」ということになったからか。それとも、ここに掲げられた3つの要素に対応した内容をつくることが重要だからという理由なのか。
 教育の内容に関わる事柄をどこまで教育基本法に書くことが必要なのかという意味で、基本法の性格をどう捉えているのかということが、問われている。

(牛尾副座長)
 生命科学・生命倫理やグローバル化の影響はイメージできるが、これを具体的な条文に書き下すのは難しいかもしれない。

(梶田委員)
 「科学技術やグローバル化が一層進展する新しい時代を生きる日本人をいかに育成するかを考える」という部分は、21世紀の新しい社会に向かってどういう教育をつくり上げるべきかという未来志向の観点から、教育基本法の見直しを考えなければいけないということをはっきり打ち出した。常にup-to-dateな教育内容を提供する、グローバルな視点から我が国の教育を考える、という現行の教育基本法にない視点を入れるためのリード文のようなもの。

(上島委員)
 豊かな社会における教育という視点や、次の世代に引き継ぐべき教育の基本的な要素、将来を見据えて取り組むべき環境問題などを記述することが必要である。

(大宅委員)
 法律に書いていないからやらないわけではなく、現在でも、環境教育、生涯学習など取り組んでいるものが多くある。必ずしも法律に盛り込む必要があるとは考えられない。

(中曽根補佐官)
 この部分は、新しい時代がどのようなものであるかを説明した文。教育基本法の項目に具体的に書き入れるものを書いているわけではない。

(森委員)
 教育の理想は変わらない。しかしながら、現代社会は、人間が必要とする以上の科学技術の進展に振り回されているという背景を説明している文章であり、それを基本法に盛れと言っているわけではない

(山下議員)
 教育基本法の性格や位置付けを確認する必要がある。法律で書けることに限界があり、教育の理想や哲学は実定法で定めるのになじまない。教育基本法においては、第3の観点として挙げられている施策の充実に絞って検討を行うべきであると考える。

(藤田委員)
 第2の観点は、教育内容に直接関わるものに踏み込んでおり、この観点を理由として教育基本法を捉え直す必要があると提案するのは、国民会議の性格がそういうものであると理解されることにつながる。その重要性は理解するがこれを見直しの主要な理由とすることは適切ではない。第3の観点についても、現行の基本法第11条で読み込むことができる。

(西川議員)
 一段目の「社会性の欠如や参加意識の低下」の部分に関連して、権限を与えられることに伴う責任を果たそうとする気概が失われていることが問題。責任を果たす気概が必要というような文章が欲しい。

(今井委員)
 教育振興基本計画の具体的項目として「障害のある子どものための教育」(p13)があるが、報告の本文においても、障害のある子どもが健常児と同様の教育を受けることを選択できるようにすることを入れてはどうか。

(勝田委員)
 現状認識のために状況を羅列することは意義があると思うが、「全体主義的」という表現を使うのはいささか大げさではないのか。

(浅利委員)
 ヨーロッパの例を見ても、我が国が全体主義的な方向に進む危険性は存在していると考えており、「全体主義的なものになってはならない」という表現は必要。この一文は、これから立法作業を行うに当たっての配慮であり、条文に盛り込めという意味ではない。

(牛尾副座長)
 対立的な意見にもそれなりに接点ができたように思う。22日の最終報告の提出に向けて起草委員会で文章を詰めてゆきたい。

[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。