教育改革国民会議

第14回教育改革国民会議・議事概要



日時:
平成13年4月2日(月)16:00〜17:30

場所:
総理官邸大客間

○森総理大臣、町村文部科学大臣、江崎座長より挨拶があった。

○続いて文部科学事務次官より教育改革の政府の取組状況について説明があり、その後の自由討議の概要は以下の通りであった。

(梶田委員)
 「教育新生プラン」については、良いものをスピーディーに作っていただいたと思っている。プランの第1ステージについて、予算、法改正とも着実に進んでおり、大賛成である。また、第2ステージのような根本的な問題に道筋をつけたことは素晴らしく、緩みないよう進めていってほしい。
 来年からの学習指導要領の改訂、学校週5日制による基礎基本の徹底という方向性や学習指導要領が最低基準であることはわかるが、授業時間数が削減されるという問題との関係はどのように考えたらよいか。

(文部科学事務次官)
 学校現場では、学習指導要領は最低基準ではなく、「これだけ教えればよい」という到達基準だと認識されていることが多い。今回の改訂でスリム化されたので、最低基準性は非常に明確になったはず。20人授業の中で、伸びている子はさらに伸ばし、遅れている子には丁寧に繰り返し教えていくことで、これまでの悪平等をなくしていこうと考えている。学力調査もきちんと行っていく予定なので、途中段階での評価やそれに応じた対応も可能になり、国民の学力低下不安にはきちんと応えていきたいと考えている。

(藤田委員)
 20人授業、習熟度別授業自体は好ましいが、教員配置が適切に行われるようにしていただきたい。奉仕活動について、国民会議報告の中では、小・中2週間、高校1ヶ月となっていたが、今回の法改正、予算では期間まで入っているのか。また、学校評価の仕組みを整えるとは、具体的にどういうことか。不適格教員への対応も、問題を起こす子どもへの対応のように、教育委員会による段階的な手続きなどを考慮しているのか。教育振興基本計画の策定については、各国が力を入れており、第2ステージではなく緊急にやってもらう必要があるのではないか。

(文部科学事務次官)
 教員配置については、できる限り少人数授業が可能となるよう、各県で自主的に判断できるよう規定を弾力化した。社会奉仕体験活動の促進についての法改正には、期間は定めておらず、国民会議報告を念頭に、すべての学校が取り組めるよう、予算、その他の措置の努力をしている。学校評価については、大学同様、自己点検、自己評価などを設置基準に明確化することなどを考えている。不適格教員の手続きについては、都道府県教育委員会で決めることになっており、しかるべき規定を設けるようにしている。教育振興基本計画については、他の分野の基本計画も基本法の中に盛り込まれており、教育基本法見直しとセットで考えている。

(クラーク委員)
 就職活動における企業の青田買いがある限り、大学で成績を重視することは不可能。大学院教育が重視されれば、良い大学院に入学するために学部で勉強しようというインセンティブも出てくる。この点を財界にアピールしたい。また、学部で取得すべき単位が多すぎる。

(牛尾副座長)
 日本でも、自然科学系ではマスターを採用するが、文系では学部卒とマスターの能力にあまり差がなく、需要が少ない。就職後、外国のMBAを取得する人は多く、日本でも学部卒とマスターの能力の違いがはっきりするような教育を行ってもらわなければならない。

(河野委員)
 外資系が増えると情勢も変わってくるだろう。自発的に夜学に通いMBAを取得する人も増えている。しかし、工学部卒で、しかもMBAを取得するというようになるには、まだもう少し時間がかかるのではないか。

(森 委員)
 各学校の特色を出した「学校新生プラン」ができるような、誘導措置を予算面でも考慮しているのか。また、「学校」新生プランとしては立派だが、家庭教育、大人のための教育改革については奉仕活動に埋没しており、弱い。18歳以降の奉仕活動については、関係省庁と話し合っているとなかなか進まないので、文部科学省だけで先行できるものは先行すべき。また、「子どもゆめ基金」のこれからの長期的ビジョンを考えなければならない。

(文部科学事務次官)
 国が直接、学校に働きかけることは難しいので、県、市町村の教育委員会から、各学校の特色を生かすよう働きかけてもらうようにしている。法改正で家庭教育のための具体的な支援を教育委員会の事務として追加している。子どもゆめ基金は、とりあえず100億円であるが、運営費を充実する努力をしていきたいと考えている。18歳以降の奉仕活動については、学校教育や社会教育、子どもたちの青少年活動の中で促進していきたいと考えており、産業界、他省庁とも協力しながら進めていきたい。

(黒田委員)
 アメリカではブッシュ政権になって、科学技術政策での長期投資、大学以前の数学・理科教育への力点がうたわれており、日本が欧米のレベルに遅れるのではないかが心配。一律主義は平等主義でないことをより浸透させなければならない。新学習指導要領は最低基準ということだが、禁止事項が書いてあったように思う。また、最低基準であることをもっとアピールしなければならないのではないか。
 大学院教育について、「特に優秀な人が学部3年で大学院へ進学」というように明確にしなければ、大学院全体のレベルが下がってしまうのではないか。大学での厳格な成績評価の実施については、文部科学省からトップダウンするのか、各大学の自主性に任せるのか。

(文部科学事務次官)
 新しい科学技術基本計画で24兆円が明示されており、これを支援するためにも、ぜひ教育振興基本計画をつくり、高等教育の分野にも力を入れていきたいと考えている。小中高についても、通学区域の弾力化、設置基準による自己点検など、良い意味での競争原理を導入し、それに対応して国や教育委員会が力を入れるシステムを作っていきたい。
 学習指導要領には一部、含めないことを書いてはあるが、総則部分に「加えて指導することもできる」が、ただし「負担過重になっ」てはならないという規定がある。現場では到達基準と誤解されている面もあり、最低基準であることはもっとアピールしていかなければならないと考えている。
 大学院について、法律上、学部3年できちんと優秀な成績で単位を取れた人は、大学院に進学できるようにしている。実際の運用も優秀な人が進学することになるであろう。厳格な成績評価については、各大学がその気になってもらわなければならず難しいが、いずれ国立大学の独立行政法人化などで、競争的環境が導入されるならば、厳格な成績評価もされていくのではないか。国は各大学がそういった努力ができるよう、条件を整備していきたい。

(河上委員)
 指導要領が最低基準であると方針を転換したのであれば、はっきり言ってもらわなければ現場の混乱を招く。厳選された基礎基本を確実に身につけると言うが、基礎基本のための授業時間数は減り、一方で、選択教科、総合学習が中3で4分の1ほどになっている。また、授業に対する生徒の姿勢、構えが極端に低下している現実があり、小学校低学年からの生活指導が重要であることを強調してもらわなければ、授業だけを問題にしても学力問題は解決しない。
 問題を起こす生徒に対する出席停止は、出席停止した生徒をどうするかという問題がある。つまり、授業をやりながら、一方で出席停止の生徒の家庭を教師が訪れるということになったら、非常に大変なことであり、教育委員会で加配の教員が特別指導をするというようにしていただけるとありがたい。

(文部科学事務次官)
 指導要領が最低基準であることを明確にし、説明、理解していただくよう努力したい。総合学習は体験学習がメインだと誤解されているが、教科との関連に留意した授業も工夫し、実施してもらいたいと強く考えている。授業の姿勢の問題については、子どもたちに学習のモチベーションを持たせるよう教えていく必要がある。
 出席停止をした生徒への対応については、何らかの財政的な措置が必要だと考えており、大臣ともこれから相談していきたい。

(田村委員)
 学力低下論争の中で、学習指導要領が上限と考えられているという話だが、今回の改訂に当たり、十分議論して、学習指導要領よりももっと上のことを教えることができることを明確に書き込んだ。また、総合学習を教科の学習に使ってよいことも明確にしている。学力低下論争は、大学の先生が教えにくくなったという印象からいわれている大変アバウトな議論である。
 国民会議の提案は、政府に何かしてくれというよりも、国民みんなが考え、教育に口を出してもらうためのきっかけとなっており、以前に比べて、保護者から学校に明確な意見が出されるようになった。何をして欲しいではなく、何かをしようという気運を作るのが我々の役割である。

(大宅委員)
 「こういう考えがあるから、やれるところからそれぞれやっていこう」、というのが国民会議の目的。今回のパンフレットは大変よくできている。国民へのPRを重視するのは大切なこと。「心のノート」「家庭教育ノート」も旧来のイメージのものでないことを望む。

(文部科学事務次官)
 「心のノート」は、道徳教育の教材があまりないということで作ったもの。子どもたちの心に響くような基礎基本的な道徳を記したいと考えている。

(草野委員)
 いろんな面で議論が巻き起こったことが、国民会議の一番大きな功績である。これを現実化するのは、政府、文部科学省であり、社会一般に閉塞感、無力感が漂っている中で、実行していくことを明確に示さなければならない。出席停止、問題教員については、手続きに透明性を確保していかなければならない。極めて重要な課題である生涯学習が抜けているが、非常に大事な視点なので、政府を挙げて取り組んでいってほしい。経済界からも求めている人材について、具体的なメッセージを出していくべき。

(上島委員)
 政府、文部科学省の方向はよくわかるが、全国を回ってみると、現実に、家庭、地域で何をすればよいか、分からない。国民運動的にやろうと思うと、アメリカの市民参加法のようなものが根底にないと難しい。

(曾野委員)
 家庭に対しては、「文部科学省を信じるな、自分で教育をしろ」と、文部科学省に対しては、「親を信じるな」と言いたい。

(河野委員)
 今回の教育改革の成果をきちんと評価してもらいたい。「ゆとり教育」という言葉が一人歩きしているが、新学習指導要領のねらいは、自分の頭を使って考える力を養っていこうということだと考えている。総合的な学習の時間も、現場の先生が自らの頭で考えることがまず必要なのではないか。

(山下議員)
 国民会議で色々と学ばせていただいた。教育改革は、国民一人一人の意識改革が基本であり、国民への問題提起が大事である。

(西川議員)
 自分が卒業した学校に、あるいは地域の学校に、自分の得意技で奉仕をするということがあってもよいのではないか。

(中曽根総理補佐官)
 世論調査等でも、提案に対する評価は非常に高く、教育改革への国民の期待、関心は非常に高い。提言をしっかりと実行していくことによって、教育の現状も改善されていくだろう。また、IT時代における教育ということで、家庭の絆、健康面などについてもこれから考えていく必要があろう。

(江崎座長)
 すべての人間がトップランナーになれるわけでもないし、その必要もない。しかし、社会の多様化に合わせ、ユニークな能力を持った、他人との置き換えができない人間をつくる必要がある。国民一人一人が改革の必要性を認識し、行動を起こすことが重要である。委員の皆様におかれても、それぞれの立場でこれからもご尽力いただきたい。

以上
[文責は内閣官房副長官補室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。