教育改革国民会議

教育改革国民会議の第五回会合
江崎玲於奈座長挨拶

平成12年8月28日

 教育改革国民会議の第五回会合の開会に当たり、ご挨拶申し上げます。教育改革国民会議の各分科会では、去る七月二十六日、「分科会審議の報告」をとりまとめていただきました。分科会主査をはじめ、各委員のご尽力に御礼申し上げます。
 今後の全体会では、この「審議の報告」をたたき台として審議を進め、9月下旬を目途に森総理への中間報告をまとめたいと考えております。

 われわれ人間は誰しも知と情、マインドとハートの二つの顔を持っていますが、報告書を読みますと、ある人はマインドをもって、ある人はハートの奥から改革を訴えられておられるように感じられます。私の印象では第一分科会は比較的ハートが強く、第三分科会はマインド、それでバランスがとれていると言えるのでしょう。
 また、報告書に目を通して考えさせられることは、教育改革の指針の求め方には二つあるということです。一つは温故知新、古きを訪ねて、そこに新しい道理を見出すということです。もう一つは、二十一世紀を訪ねて、そこに指針を求めることです。われわれは歩んできた二十世紀を踏まえ、二十一世紀への夢を大きく持たねばなりません。そこにはこれまで無かった新しい世界が広がっているのです。決して二十世紀の単なる延長線上ではありません。
 更にもう一言、「個」と「全体」の問題を付言させていただきましょう。日本の教育問題を「全体」として捉えて、どうするかを論ずることも大切ですが、同時に、それぞれ生い立ちの異なる「個人」の差異に応じて個別化し、多様性を認めることも大事ではないかということを申し上げておきたいと思います。

 ところで、今やグローバリゼーションの大波が世界中に押し寄せ、インターネットや電子メールなど情報通信技術が進歩する中で、世界的な競争が激しさを増しております。こうした時代において、日本が、欧米のトップランナーを追うセカンドランナーとして、産業の発展、学術の振興を図ることは限界に至っています。これからは、欧米と互角の立場で、我々自身の創造力のもとに新しいフロンティアにチャレンジしなければなりません。それとともに、国際政治や経済、メディアの分野においても、世界に貢献できるようになる必要があると考えております。このためには、多くの卓越したリーダーを育てることが求められていると考えております。
 また、青少年の凶悪犯罪など教育を取り巻く厳しい状況の中で、子どもたち一人一人を、健やかに、心豊かに育むことが極めて重要な課題となっていると存じます。

 私といたしましては、このような観点に立って、議論を深めることが重要であると考えております。今後の全体会におきまして、引き続き皆様方にご協力を賜り、自由で闊達な議論を通して豊かな実りを得られますよう、よろしくお願い申し上げます。