教育改革国民会議

第7回教育改革国民会議・議事概要



(日時) 平成12年9月6日(水)16時〜18時

(場所) 総理官邸大食堂

○ 教育基本法について、文部省官房長より説明があった後、第1分科会の審議の報告について、主査である森委員より説明があった。概要は以下のとおり。

(森委員)
 第1分科会では、はじめに教育基本法の改正ありきの姿勢で論議したのではないが、教育改革を進めるにあたって、その一環として改正が必要であるという意見が大勢を占めた。
 教育基本法は制定から53年が経ち、当時の理念と現在の状況との乖離があり、歴史的な役割は終わっている。理念としては大変立派であるが、家庭、地域、国家という概念が明記されていないなど改正すべき点がある。最高裁の判例でも教育基本法は他の法律と同格であり、これと矛盾する法規があってもこれを無効とするものではないとされているなど、基本法だけが特別で例外的なものというわけではない。
 また、日本語としておかしいので、もし、基本法改正の委員会ができるのならば、日本語の専門家を入れるべきとの意見もあった。

(上島委員)
 制定後50年を経ており、時代に合わない面があることは否めない。例えば、環境問題について、教育という面からもアプローチが必要であるし、また、経済的な国際競争に勝ち抜いていく人を育てるという視点も必要ではないか。第7条を家庭教育、社会教育の役割に分けるとともに、第6条において家庭・地域社会と学校教育との連携を書いてはどうか。

(藤田委員)
 基本法を検討することは構わないが、戦後50年経ってようやく定着し、その理念を今後、より発展させていかなければならないのではないか。盛り込みたい事項が多いのはわかるが、法律に規定するのは、公的な権力が及ぶ範囲に限定するべき。

(梶田委員)
 敗戦ショックからそろそろ脱却すべき時期に来ている。温故知新が大事であり、民族の歴史、文化・伝統の継承は国の根幹であるのに、基本法には盛り込まれていない。このような国際主義では根無し草になってしまう。21世紀を迎えるに当たって、基本法に盛り込まれていない課題を具体的に認識し、全面的に見直さなければならない。

(浜田委員)
 この法律のここが悪いから今の教育の荒廃を招いている、という因果関係が不明であるので、なぜ改正が必要かわからない。教育の目的とされていることをチェックしてみたがほとんどが実現していない。現実の教育が荒廃しているのは、基本法のせいではないのではないか。ただし、基本法改正が教育改革の何らかの起爆剤になるのであれば改正に賛成だが。

(西川議員)
 何を変えればどう変わるのか。具体的に学校教育が直面している問題について、基本法がどういう枷になっているのか不明。基本法は、憲法の理念を実現するために補助的に作られたものなのか、それとも歴史状況とは関係なく教育の基本が定められているものなのかを議論しなければ、憲法改正の議論に引きずられてしまう。

(勝田委員)
 私は20数年前から基本法改正の必要性を言っている。現行の基本法では祖国の観念は養われず、よき日本の美しい伝統を継承するためには、基本法の改正が必要である。また、環境問題やIT教育など新しい課題も盛り込む必要がある。

(田中委員)
 基本法は他の法律と比べ、理念に偏っており、財政についての言及がないなど、きわめて守備範囲が限定されている。伝統の尊重や家庭教育を行うために、法律に拘泥するのは適切ではないが、教育をとりまく環境は終戦直後とは変わっているので、新しい教育のビジョンをに基づいてその実現のために必要ならば改正の方向で議論することには意義がある。

(山折委員)
 新しい教育のビジョンや理念を示す必要があり、その意味で、基本法改正が必要であると考える。基本法には近代的な人間観が盛られているが、人間は未知なるものであり、人間を超えた価値や力があるという視点が抜けている。戦後50年の教育の軸は、社会科学と自然科学が中心であり、第3の教育軸である文化・芸術・宗教が軽んじられ、それは基本法も同様である。

(河野委員)
 占領下で制定された基本法は、普遍性を求める傾向が強かったが、現状とずれてきている。はじめに改正ありきではないが、日本人が自ら新しい時代の教育理念を打ち立てることが必要。具体的な理念については、中間報告以降、専門家を入れて議論してみてはどうか。

(田村委員)
 50年間変わらないというのは、おかしいが、なぜ変えるかというところをしっかり議論しなければならない。少子化、国際化、社会の成熟化など、新しい時代の流れに応じて、新しい理念を作る視点をはっきりさせる必要がある。

(クラーク委員)
 国が教育の理念をわざわざ法律に規定して示す必要はないのではないか。民主主義国家としては珍しい基本法だ。「義務教育」も、教育の内容がまちがっていれば(具体的に英語教育)、問題だ。

(藤田委員)
 今の教育基本法は非常に簡潔で、必要最低限の事項が規定されている。これ以上のことを法律に盛り込む必要はない。

(河上委員)
 法律が変わったからといって、現場が変わるとは思っていないが、基本法の改正は、教育について根本から議論し、戦後われわれが作ってきたものをもう一度見直す契機になる。

(中曽根補佐官)
 教育に関する様々な計画(教職員配置計画や学校インターネット整備計画等)があるが、これらの根拠はばらばら。教育の全体像を示すような、技術的・財政的な総合計画の必要性を実感している。最近の各基本法には基本計画の策定が入っているものが多い。

(山下議員)
 技術的・財政的な計画は必要だと考える。人間観にかかわる、教育の目的・理念という問題を法律に規定し、党派制のある議員が国会で議論することは非常に危険である。法律には相応しくない。

(沈委員)
 教育基本法第9条や第10条は、現場で拡大解釈されている。誤解を生まないように改正するべきである。

(今井委員)
 10条の解釈は、拡大解釈されるなど、地域によって学校現場に差がある。郷土への感謝など、基本法を変えることによって学校現場で教えることができるようであれば賛成。

(森委員)
 基本法は共通審議事項である。家庭教育の重要性が読みとれないことを含め、具体的にどこが問題で、何が欠けているか、どういう新しい理念からスタートするか議論すべき。憲法と類似した規定があるが、憲法が変わらなければこれを変えられないということではなく、時代の変化にあわせて新しい理念を付け加えるという視点を提案している。
 また、家庭教育に国家が踏み込むべきではないという意見には、行政には規制機能と助成機能があり、助成機能まで規制することは問題ないのではないかと考えている。基本法の理念が50年経って実現できないのであれば、理念そのものを見直すべきである。

(牛尾副座長)
 今日の議論は第1分科会でも出ているが、これらも踏まえて中間報告を検討したい。

(大宅委員)
 家庭教育に公が介入するというのはどういう意味か。

(森委員)
 例えば、学校の宿題として、子どもに親の信念を聞かせるといったようなことであり、直接介入するわけではない。

(黒田委員)
 皆が関心があるのは、これからの教育がどうなっていくのかということ。家庭教育が重要なのはわかるが、基本法に家庭教育が書かれてないからといって、やっていけないというわけではない。基本法が拡大解釈されていることの方が問題ではないか。

(森委員)
 法律に書いてなくてもできる人はいる。しかし、できない人をできるようにするためにも法律で理念を書くことが必要。その新しい理念を考えるに当たって家庭教育が足りないと言っただけである。

○教育財政について、文部省会計課長から説明があった後、議論を行った。概要は以下のとおり。

(田村委員)
 家計にエンゲル係数があるように、教育に対してどの程度国が支出しているかという指数を作り、国民に示すべき。学校はしっかり説明責任を果たし、改革をすすめる必要がある。

(河野委員)
 教員・施設等の面を含め、海外子女教育には財政的な補助が足りず、増やすべき。留学生、外国人児童・生徒への支援も充実するべき。

(梶田委員)
 学校教育費に占める民間セクターの割合が高まってきているが、教育について、科学技術基本計画のような政府の財政支出に関する基本計画はあるのか。

(文部省会計課長)
 とくに計画はない。予算で努力している。

(藤田委員)
 GDP比での負担比率を増やすことを目標とするべき。また、30人学級を実現してほしい。

(西川議員)
 第2分科会の報告は、ソフト面で地域社会に開かれた学校づくりを提案しているが、学校施設を地域に開放して共有化するなど、ハード面での開かれた学校づくりを進めるといった学校の効率的な工夫も必要。

(田中委員)
 家庭教育・社会教育の費用についても検討すべき。

(河上委員)
 学校の施設は老朽化している。市町村が負担することには限界があるのでは。

(大宅委員)
 お金をかけたから良くなるわけではない。例えば、外国人教員を雇えば、英語教育は良くなるにも関わらず、適性のない教員でも一度採用してしまうとクビにできない。財政的な提言を出す必要があるのか。

(木村副座長)
 評価をきちんと実行し、国民の理解を得なければならない。

(田村委員)
 評価をすれば、効率は上がる。教育は無償ではないので、「教育は無償」という表現を再考するべき。また、学校教育の中で、税の教育をしっかりやる必要がある。

以上
[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。

草野委員(欠席)より、9月5日付けにて、意見書が提出され席上各委員に配布した。