教育改革国民会議

第8回教育改革国民会議・議事概要



(日時)平成12年9月13日(水)16時〜18時

(場所)総理官邸大客間

○ 教育改革国民会議中間報告案について、牛尾副座長及び金子委員より説明があった。

〇 「2.人間性豊かな日本人を育成する」に係る討議

(今井委員)
 小中学校の子どもたちが共同生活により体験学習をすることは重要であると考えており、提言の中で、「体験学習」と「共同生活などによる奉仕活動」は切り離して記述すべきではない。

(梶田委員)
 自己中心主義からの転換のため、「奉仕」を強調し、敢えて体験学習と分けている。

(森委員)
 「奉仕活動」は社会性を養うための「手段」だが、「体験学習」は体験すること自体を「目的」としている。また、18歳での1年間の奉仕活動は将来的な課題。

(今井委員)
 いつからどのように導入するのか。

(森委員)
 そこまで具体的な検討は、まだしていない。

(藤田委員)
 満18歳の国民すべてに1年間の奉仕活動を義務づけることを記述することに反対。学校教育の一環として一定期間の奉仕活動を行うのであれば、これまでの教育改革で進められてきた方針を大きく転換することになると考えられるので、その理由や効果を説明できるものとしなければならない。

(森委員)
 子どもたちは、豊かさの中で、自分から率先する自発性と勇気、苦しみに耐える力、他人への思いやりなどを失い、孤立化している。このような子どもを救うための方策を具体的に書いた。なお、現行制度でも学校教育のカリキュラムで「奉仕」を義務づけるのは可能だが「共同で」という部分は難しいと思う。

(藤田委員)
 現状認識には賛同できるが、奉仕活動は、その理念を実現するための具体的解決策の一つであり、全員に義務化することについては大いに疑問。また、奉仕活動の義務化によって社会性を身につけられるかどうか、その効果は不明。費用負担も膨大。教師の負担も大きくなり、新たなトラブルを招くのではないか。

(沈委員)
 地域で教育活動を行っている人は多く、例えば、地域公民館などを中心とした教育活動を統合すること等、地域の教育力の回復を図ることを記述すべき。

(クラーク委員)
 奉仕活動はいいことだと考えるが、義務化して強制的にやらせることには疑問。アメリカのように、大学入学の際にボランティア活動を参考とするなど、やわらかな記述にしてはどうか。

(今井委員)
 「問題を起こす子どもへの教育」については、暴力的な子どもだけではなく、いわゆる「引きこもり」に対しても施策を講じることを考えるべきである。暴力的な子どもや引きこもりの子どもが、もう一度社会に戻れるような訓練や心理的なカウンセリングなどのサポートを充実する必要がある。

(河上委員)
 引きこもり、不登校の生徒が増えている現状があるので、これに配慮した文章にする必要があるのではないか。

(藤田委員)
 ボランティア活動を大学入学の条件とする、というような形で奉仕活動を盛り込むことには賛成。

(森委員)
 大学入試条件だけでなく、就職試験の条件にしてはどうかという案もある。奉仕活動の義務は、国家が個人に対して課す義務ではなく、個人が自分自身に対して課す義務であり、このような新しい義務観を育てていくのも改革である。

(藤田委員)
 たとえ将来的な導入という位置付けでも18歳の国民すべてに対する奉仕活動の義務化を書くことは反対。このような反対意見があったことも記録に残しておいてもらいたい。

(草野委員)
 奉仕活動の理念については賛成だが、18歳義務化が世の中に出たときにアレルギーを招かないように、表現を工夫すべきではないか。

(浅利委員)
 「有害情報等から子どもを守る」について、スポンサーのみならず、放送会社、出版社などに対する有害情報規制を訴える文章も入れるべきである。

〇 「3.一人一人の才能を伸ばし、創造性に富む日本人を育成する」に係る討議

(河野委員)
 リーダーの育成という観点が、これまでの議論に比べると薄くなっているので、表題を「リーダーの育成のためプロフェッショナルスクール等の設置を進める」としてはどうか。また、「大学院へは学部3年修了から」という部分については、当面大部分を占めるであろう学部卒で就職する者について配慮し、分科会報告の「なお書き」のような扱いを検討すべきである。

(河上委員)
 中高一貫教育校を増やす意図がはっきりしていない。9割の生徒が高校に進学しているが、全員に3年間の普通教育が必要なのかは議論の余地がある。むしろ、中高一貫校はエリート教育という位置付けをはっきりさせ、それ以外の学校で職業高校を増やすなど、エリート教育と大衆教育の違いを明確にするという過激な提言としてもよかったのではないか。

(藤田委員)
 学校の少ない地方ではともかく、都市部では中高一貫校とそうでない学校との序列化が進むことが明らかに想定され、中高一貫校を過半数にするというのは大反対である。中高一貫校は少数のエリート校とすると明言する方がまだ害は少ない。

(江崎座長)
 6・3・3制はアメリカから導入されたものであるにもかかわらず、アメリカでは少数派である。

(田村委員)
 中高一貫校については、ほぼ全員が高校に入学できるにもかかわらず高校入試があるのはおかしいという認識から始まっている。中高一貫校はエリート教育であるというイメージがあるが、私学の中高一貫校のうち、エリート教育といえるのは2割程度に過ぎない。親は、大学受験に有利ということよりも、高校受験が無くのんびりできる、特色ある取組をしている、という点で中高一貫校を選んでいる。

(木村副座長)
 第3分科会では、中高一貫校をエリート教育にという議論はなかった。中高一貫校に関する表現については検討したい。

(河上委員)
 企業は、高校で技術を習得した生徒を積極的に採用すべき、というような記述も加えてほしい。

〇 「4.新しい時代に新しい学校づくりを」に係る討議

(藤田委員)
 小・中学校段階で、外部評価を導入するという部分については、責任を持たない人間による学校の序列化を進めるものであり、分科会でも議論が分かれたところであるので、削除してほしい。学校内部や地域住民からの評価ならば構わないが、外部評価は学校選択につながり、子どもが地域の学校に通わないということになると、学校と地域が遊離したものになってしまう。

(今井委員)
 地域に開かれた学校にするためには、PTAを含む外部の者と学校が連携し、評価も行っていくことが必要。地域の人が参画できる制度は欲しい。親や地域の人は、評価に関わることによって、学校が良くなる充実感を共有することができる。

(河上委員)
 学校を評価する基準は何か。今の親が子どもの学力の向上を望むのであれば、学校評価の基準は、「学力」で一律に測ることになり、学校の独自性などは出てこないのではないか。また、安定した親のいる地域の学校が良い学校であるとされ、地域の特性が、そのまま学校の評価に直結してしまう恐れもある。

(田村委員)
 学校選択を導入している地域の学校は、総合的な学習の時間を使って、どのように特色を出そうか懸命に考えている。制限を付けるにしても、学校選択を検討するべきである。

(藤田委員) イギリスでは学校の評価が徹底するにしたがって、学校選択が広まっていった。その結果として、安全で、良い生徒、良い親がいる地域の学校が選ばれることになり、学校の特色など問題にならなくなり、義務教育の現場に市場原理が入ってきた。選択が前提となると、自分の学校を良くしようとすることがなくなってしまう。

(木村副座長)
 地域の人による評価も外部評価に含まれる。外部評価には色々な方法や定義があり、表現の問題ではないか。

(金子委員)
 外部評価という文言を入れたのは、「仲間内で評価するのは良くない」という趣旨。また、その結果は公表しなければ意味がない。外部評価の導入の部分については、分科会での議論も踏まえ、表現を工夫したい。

(河上委員)
 教師の評価制度について、現在小・中学校の教師に評価制度がないのは問題だと思うが、「一生懸命やっている」ことを評価する基準が不明確であり、また、教師同士の協力体制や教師の自主性、主体性が失われてしまう恐れもある。校長の権限強化も提言されているが、校長のリーダーシップをチェックすることも必要。

(梶田委員)
 校長・教頭向きではないが、能力の高い教師を評価するなど、教師の画一的待遇は改善すべきである。教師の評価は、学校内だけではなく、外部の評価も導入すべき。

(浜田委員)
 コミュニティ・スクールの考え方には大賛成であるが、イメージがわくように日本語での表現を考えてほしい。

(藤田委員)
 コミュニティ・スクールは、日本版チャーター・スクールと呼んだ方が概念的には近いのではないか。

(田中委員)
 コミュニティ・スクールの部分の記述は、今の公立学校が目指すべき本来の姿でもあり、「新しいタイプの公立学校」という説明は少しわかりにくい。

(梶田委員)
 「公設民営」方式とも呼べるのではないか。コミュニティ・スクールやチャーター・スクールは専門用語。一般の人にはわかりにくい。

(西川議員)
 「公設民営」はお金だけ出す、財政的なところだけ支えるというニュアンスが強いのではないか。

(牛尾副座長)
 「公設民営」の新しいタイプの公立学校をめざす。既存の公立学校と切磋琢磨することが重要。

(田村委員)
 コミュニティ・スクールは、結果がでなければスクラップするという視点がある。「公設民営」の名称では、その概念の説明が難しい。

(浅利委員)
 この中間報告には具体的な提言を盛り込んでいるが、もっとも実現の可能性が低いのは18歳での奉仕活動の義務化かも知れない。しかし教育問題に関する提言は無難なものになりがちであり、発案した曾野さんも、そのような風潮に敢えて一石を投じるつもりで刺激的な提言を出していることを理解すべき。また、現場の教師として優秀な人を校長や教頭にせずに処遇するということについては、教師についても優秀な職人・マエストロという発想が必要であると感じている。

〇 報告書全般に係る討議

(森委員)
 知・徳・体の体に関する記述が欠けているので追加するべきではないか。

(田村委員)
 幼児教育に関する記述を加えるべきではないか。

(梶田委員)
 細かい項目について網羅的に加えていくのではなく、分科会での討議も踏まえて選ばれた現在の17項目に絞って提言すべきである。

(牛尾副座長)
 これは中間報告であるので、今後必要な項目が抜けているということであれば最終報告において加えるということが可能である。

〇 「6.教育基本法の見直しについて国民的議論を」に係る討議

(藤田委員)
 中間報告の記述については問題ないが、前回の議論を聞いても、現在の教育基本法について改正の必要があるとは思われない。

(クラーク委員)
 アメリカに比べて日本が弱い理由は、国のコントロールが強いことである。国が教育の目的や方策を定める教育基本法がそもそも必要かどうかという点についても考えるべきである。

〇 「おわりに」に係る討議

(森委員)
 「上からの改革」という言葉には違和感がある。欧米で「上から」という表現をするのか。

(クラーク委員)
 教育について上・下からという言い方はしない。そもそも教育は自治体の仕事であって国の関与は小さい。ただし、日本の明治維新は上からの改革だったので仕方がない面もある。

(沈委員)
 地方の公民館で生涯学習に携わっている人々を支援し、地域の教育力を回復することが必要。その観点の文言を入れるべき。

以上
[文責は教育改革国民会議担当室]

(注)本議事概要の内容については、今後変更の可能性があります。