ミレニアム・プロジェクトについて

第1回ARGO計画評価・助言会議 議事概要



T.日 時:平成12年5月31日(水)10時〜12時
 
U.場 所:総理府3階特別会議室
 
V.出席委員:
浅井 冨雄議長、木本 昌秀委員、久保田 雅久 委員、田宮 兵衛委員、 高井 紘一朗委員、松山 優治委員
(事務局)
内閣官房内閣内政審議室、科学技術庁研究開発局海洋地球課、海洋科学技術センター、運輸省運輸政策局海洋室、気象庁気候・海洋気象部海務課、気象庁気候・海洋気象部海洋課、海上保安庁水路部海洋調査課
 
W.議事経過:
1. 内政審議室より、委員の紹介
2. 浅井議長あいさつ
3. 内政審議室より、ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」の骨子及び本評価・助言会議の役割
4. 関係省庁より、以下の施策、事業について説明
(1) ARGO計画全体の概要(運輸省)
(2) 平成12年度実施計画(科学技術庁、気象庁、海上保安庁)
5. 関係省庁からの説明の後、各委員から質問、発言等があった。要旨は以下のとおり。

(浅井議長)
○ARGO計画の推進に参加していく国々の間で、国際会合などでの調整は進んでいるのか。各国毎にフロートを展開する海域、展開のタイミングが異なるのは問題ではないか。

(科学技術庁)海域の問題については、各国がどの海域に関心が有るのかを見極める必要が有ります。また、フロートの展開はフロートの寿命である4年間に3000個展開することを目標に、各国が努力しているところである。

(浅井議長)
○フロートを投入する海域としては、日本の場合には、西太平洋、アメリカの場合は、太平洋の東側と想定されるが、問題は空白域ができた場合にどうするかということである。3度メッシュで、本当に、3000個投入できるかということもある。

(海洋科学技術センター)現時点で各国が展開するフロートの予定数を合計しますと、3000個には、少し不足していますが、これからフロートの価格が低下ますと、3000個は、投入できることを期待しています。

(浅井議長)
○ミレニアムプロジェクトとして、5年後に長期予報の精度を70パーセントに向上するという数値目標について、3000個の展開が終わる5年後の時点で目標を達成することとしているが、計画自体、難しい目標ではないか。

(久保田委員)
○5年でプロジェクトを終了してよいのか。計画終了後に観測をやめてしまうと予測精度が下がることが予想されるがそれで良いのか。予想精度を維持していくためには、定常的に同様な観測を続けていかなくてはならないのではないか。

(海洋科学技術センター)本プロジェクトを実行する5年間に本観測システムの有効性を見定めたうえ、その後の継続について考えていきます。

(久保田委員)
○世界中の均等なデータを得ると言うことだが、特定の海域にフロートが集中し、フロートの分布が不均一になる可能性もある。そのような場合には、フロートを回収し、フロートがなくなってしまった海域に再投入することが必要ではないか。将来オペレーショナルなものを考えているのであれば、データ分布の一様性を維持することは重要な問題であり、ある程度回収を考える必要があるのではないか。

(海洋科学技術センター)回収して機器較正をすると言うプロセスも重要ですが、費用対効果及び船上での作業時間を考えますと、投入直前の較正、センサーの経時変化特性及び深部における気候値との比較によりデータの品質管理を行うことが現実的と考えています。

(浅井議長)
○費用対効果を考えると、フロートを各国がバラバラに開発するのはおかしいのではないか。データの均一性を維持するためにも一緒に開発して、できるだけ、均一なデータが得られたほうがいい。

(久保田委員)

○フロートを日本で開発するのか。

(海洋科学技術センター)逆の考え方もあります。現実的には、現在フロートは開発途上であり、フロートの製作は3社、センサーについては2社しかありませんが、ある程度製作業者の数が有るほうスケールメリットの面で良く、また、メーカー間の競争によりコスト低下および技術的な発展が期待できるというメリットもあります。そういう、精度については国際的基準を設け、技術的な情報は公開していかなくてはならないと思います。

(科学技術庁)日本でのフロートの開発も考えています。大事なのは、データの品質基準と規格化ということです。データの提供については、ユーザーとしてどういう分野があり、どのようなデータが望まれているのかを、ユーザーに分かるように検討し、データの流通を考えることが必要です。

(運輸省)これまでの議論について、申し上げますが、第一点目は、国際分担のことです。各国ともデータが欲しいのは当然で、できれば経済的な負担なしで手に入れるのが一番いいわけです。たとえば、アメリカは2000年度に、3億円規模のフロート購入費を計上しています。ただし、アメリカの議会で、ほかの国が同じように予算措置がされていると言うことが条件になっておりまして、各国とも他国の様子を見ているのが現状です。そういう意味では3000個と言うのは、非常に難しい要素が含まれております。
 第二点目は、各国の状況ですが、アメリカは2000年度、300万ドル規模で行います。日本のフロート展開は2001年度からですし、イギリスの展開は太平洋ではなく、大西洋です。また、フランス、カナダ、オーストラリアについては、実験用のフロートの経費は計上されておりますが、実際の展開費用は計上されておりません。この4月に行われたような国際会合を大西洋地区でも再来月には行う予定です。
 第三点目は、長期予報の精度を70パーセント以上に飛躍的に向上させるということですが、決して、ARGO計画だけでできることではございません。気象庁では、長期予報の精度向上のために海洋以外にも努力しようと考えていることがありますので、気象庁から説明させていただきます。

(気象庁)現在気象庁が行っている3か月予報、暖候期・寒候期予報にとっては、大気の初期値よりも、気候のメモリーを蓄えてゆっくり変化している海洋が重要です。海の表面については近年は衛星によりリモートセンシングできますが、海の中は殆どデータがありません。これは電磁波による探測が海中では出来ないからです。
現在の季節予報は統計的関係を用いて予測していますが、今後は物理法則によってより普遍的な力学的手法で予測していきたいと考えています。気候モデルに海の影響を与えるには、海の中に蓄えられた気候のメモリーが適切に入ってくることが重要です。実験してみたところ、海の予測が良くなれば気候予測が良くなるのはほぼ間違いないという結果を得ています。

(内政審議室)フロートの展開が予定通りできず、長期予報の精度向上という目標が達成されなければ、評価の結果ミレニアム・プロジェクトとしては打ち切りという可能性もあります。フロートの展開ばかりではなく、モデルの開発等レベルアップを図り、目標が達成されるよう、関係省庁の連携による努力が必要です。

(浅井議長)
○年次計画を見ると、気候変動予測モデル研究が計画の後半にあるが、もっと早く最初からやる方がいいのではないか。気候変動予測モデルについて、運輸省ではなく、科学技術庁である理由は何か。

(海洋科学技術センター)気候予測モデルの開発は、すでに地球フロンティアで行っており、本プロジェクトで得られたデータを実際に使用するためのモデルの改良を平成15年度から行います。気候変動予測は、二つの観点があって、長期予報は、基本的に気象庁ですが、フロンティアでは、もっと長い予測を目指しています。

(気象庁)気象庁では、エルニーニョ予測モデルの高度化も進めていることから、海水温予測モデルの高度化を気象庁が担当するものです。海洋科学技術センターとは相互に連携いたします。

(浅井議長)
○70パーセントの数値目標というのがあるが、具体的に考えていることは何か。

(気象庁)目標として、3か月予報と6か月予報の精度をそのくらいに掲げたいと考えています。1か月予報と同様の力学的手法を3か月予報にも導入すべく開発中です。

(運輸省)長期予報の精度向上のための研究については、通常の一般予算でも実施しています。

(田宮委員)
○ARGO計画の5か年計画の内平成12年度については、よく分かりましたが、平成13年度以降の詳細な計画についても教えてもらいたい。また、本日口頭でご説明あった事項につき、差し支えない範囲で文書資料の形とすることをお願いしたい。

(松山委員)
○フロートの滞留深度が2000mというのは、世界各国共通なのか。

(海洋科学技術センター)2000m付近は、塩分濃度が安定しており、データの較正がやりやすいという理由から決められています。しかし、フロートの技術的な問題から海域によってはより浅い深度にて滞留することが考えられます。また、最近は滞留深度と観測データの最深度を別々に設定できるフロートが開発されており、滞留深度を自由に設定できるようになりつつあります。浮上時間は数時間で、表層には1日くらい浮かんでいます。

(木本委員)
○計画のフロートからのデータ送信は、1ウェイ(単方向)か、2ウェイ(双方向)は視野に入れてないのか。

(海洋科学技術センター)いまのところ実用化されているのは1ウエイのフロートです。現在、2ウェイ通信のフロートは実用に向けた試験を行っているところであり、来年度以降に実用化されると考えています。

(気象庁)フロートを2ウェイにするためのシステム開発を行なう方法の他、2ウエイのオーブコムシステムを利用する方法もあります。これは陸上からの命令によって指示ができて、GPSによりフロートの位置を確認できます。

(浅井議長)
○通常、こういう研究開発の場合、フィジビリティースタディー(F.S)で見通しを立てるが、この計画においても、例えばフロートのデータが如何に役立つかというような研究はしているのか。

(海洋科学技術センター)昨年度、科学技術振興調整費という予算によって、気象研究所が中心となって行っています。また、今年度から1年半をかけて、フロート展開の準備研究の中で、フロート展開の最適化、センサーの精度向上及び投入装置の開発等を行っていきます。

(浅井議長)
○初年度は、限られた時間内なので、有効に使ってほしい。

(高井委員)
○差し支えなければ、中層フロートの実物をぜひ見せていただきたい。

6.今後の進め方等
本評価・助言会議の今後の進め方として、本年10月もしくは11月頃にプロジェクトの中間報告を、来年3月に年次報告を受け、5月頃までにその評価報告のとりまとめをおこなっていくこととされた。また、本会議の議事要旨については、官邸ホームページに掲載することとされた。