高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築

参考資料1

ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【府省名:文部科学省、海洋研究開発機構 、国土交通省、気象庁 】

事 項説 明
実施施策名○観測システムの構築・国際協力体制の構築
実施目標地球規模の中層フロート展開のための国際協力体制の構築・維持を行う。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
観測中のフロート数は目標の3分の一にあたる千個を超え、南半球への展開も加速してきており、本格的な観測体制に入りつつある。それにつれ、より一層緊密な国際協力体制が必要となっている。

(具体的な事業実施内容)
2003年11月5?7日の国際データ管理会議、2004年3月9?11日の国際科学者会議に出席し、国際協力体制を維持、強化した。みらいの南半球世界一周航海では日本のフロートだけでなく、アメリカ、イギリスなどのフロートを投入し、南半球の空白域の解消に大きな貢献をした。2003年11月12?14日には第一回アルゴ科学ワークショップを主催、アルゴデータの研究利用を促進するとともに、研究、実用面での有用性を印象付けた。その他、研究者が英、仏、米の研究所を訪問してデータ管理について協議したり、韓国を訪問して協力について話し合うなど、国際協力を推進した。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)2004年9月に予定される国際データ管理会議、2005年2月に予定される国際推進会議に出席し、国際協力体制を緊密化する。その他、各種シンポジウム等に出席し、成果を発表すると共に理解を深める。韓国の研究者が来日して日本の観測船による韓国フロート投入などの協力について話あう予定。カナダ、オーストラリア等とも投入協力を行う。
関係機関や民間との連携の状況特になし。
当該テーマにかかる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)など参考事項現在、20カ国近い国や地域が観測に参加している。データの現業的な利用も本格化しつつある。国際科学者会議は国際推進会議に名前を変更することとなった。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
4,042千円
3,739千円


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

事 項説 明
実施施策名○観測システムの構築・中層フロートの展開
実施目標2001年度半ばまでに、中層フロート展開技術研究開発を実施し、2004年度までに各国による貢献と合わせて、中層フロートの展開を達成し、地球規模の海洋観測システムを実現する。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
本年度については目標を達成した。

(具体的な事業実施内容)
予定通り97台のフロートを、北太平洋、南太平洋、南インド洋、南大洋に展開した。特にみらいの南半球一周航海におけるフロート投入によって、従来から問題になっていた南太平洋のフロート展開空白域をかなり解消したことは国際的に高く評価されている。フロートのCTDセンサーに組み込まれている圧力センサーの製造途中に問題のあることが8月に発覚し、世界中のSeabird CTDセンサーがリコールされたが、我々のフロートの一部はすでに投入済で、圧力センサー異常からくるフロートの動作不安定を生じたフロートもある。秋以降の投入分については、センサーの修理を終えてから投入した。ボランティア船用の投入装置を15ノットの船速で実施し好成績を得た。水産庁の照洋丸により2台、海上保安庁の拓洋により2台のフロートを回収した。回収したフロートをメーカーにて精査した結果、バッテリーの一部に不良品が見つかり、この数年のエナジーフルー問題を解決する上で新たな証拠を提出できた。国産フロートの試作機について長期間の実海域試験に入った。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)フロートの展開については、15年度同様、関係各機関の協力の下に実施する。ボランティア船用に開発した投入装置をできる限り観測・研究船での投入にも使用する。15年度同様可能な限りフロートセンサーの投入前検定を行い、センサー精度の評価・検証を継続する。またフロートの回収可能性について関係各機関と検討する。国産フロートの実海域試験も引き続き行う。
関係機関や民間との連携の状況中層フロートの展開は、気象庁、海上保安庁、水産庁、極地研および大学等の関係諸機関の協力を得て実施する。民間会社と共同で現在のセンサーとは別のセンサー開発を引き続き実施する。また、国産フロートの性能向上に関し、国内民間会社と共同で、その評価を実施する。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項極域でのフロート観測の必要性が議論され、その技術的な検討が始まった。水温・塩分だけでなく、酸素、クロロフィルなどのセンサーをフロートに搭載して観測することへの試みが始まっている。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
241,915千円
222,563千円


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【府省名:国土交通省】

事 項説 明
実施施策名観測システムの構築(ARGOフロート以外の観測システム)
実施目標2000年度にアルゴフロートデータのデータを検証・補完する観測システムを整備し、2001年度から運用を開始する。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度以降の課題)
 本州南方の比較・検証海域にある検証用フロートや他のアルゴフロートについて、センサー精度の長期的推移や、漂流速度の検証を、係留式測流システムや海洋気象観測船によるCTD観測結果等を用いて行った。また、北太平洋におけるアルゴフロートによる漂流深度の絶対流速場の推測を行った。
 引き続き、海洋短波レーダーを運用し、伊豆諸島周辺の黒潮等の海流データを取得・公開するとともに、船舶及び係留系による検証観測を実施する。また、測量船によるCTD観測等を実施し、フロートデータの補完・検証に資する。

(具体的な事業実施内容)
 海面漂流、浮上・沈降時の漂流による誤差を補正し、検証用フロートの水深2000mにおける漂流速度を見積もった。本州南方に2001年4月〜2002年11月にかけて設置した係留式測流システムの流速データと比較し、測流システムから半径100km内のフロートの漂流速度、流向について、良い一致が見られた。これまでに北太平洋に投入されたアルゴフロートのデータを使用して、水深1000mと2000mにおける漂流速度を見積もり、歴史的海洋観測データから推測される流れのパターンと概ね一致した。また、天皇海山等の海底地形に影響を受けたと考えられる流れの構造が見られた。137度線、ASUKA線などで海洋気象観測船が定期観測を実施している本州南方に、新たに検証用フロートを2台投入した。
 房総半島野島崎及び八丈島に設置した短波レーダーの送受信局により、伊豆諸島周辺の黒潮等の海流データを3時間毎に取得し、中央空白域のデータ補完を施し、インターネットにより公開している。本年8月に船舶による観測、係留流速計による観測を実施し、得られたデータについて流速データの比較を行った。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点) 検証用フロートや他のアルゴフロートデータ、海洋気象観測船によるCTD観測結果等を用いてセンサー精度の長期的推移、時間的・空間的代表性の検証を進める。また、アルゴフロートによる漂流深度の絶対流速場の推測を行う。
 引き続き海洋短波レーダの継続的運用を図り、伊豆諸島周辺の黒潮等の海流データを取得し、フロートデータを補完するシステムとして海洋変動の監視を行う。また、平成16年度に船舶による海流観測を4回計画しており、フロートの浮上が予想されている地点付近でCTD等による観測を実施する予定である。
関係機関や民間との連携の状況 本観測システムによって得られた観測データは、海洋研究開発機構が収集するアルゴフロート等とともに相互交換を図り、フロートデータの品質評価等においてARGO計画の円滑な推進に資する。
 海洋気象観測船による海洋観測データはフロートデータの遅延品質管理に活用されている。測量船による検証観測はフロートデータの品質評価に貢献している。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項 
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
平成15年度 4,740千円(気象庁)  6,956千円(海上保安庁)
平成16年度 4,740千円(気象庁)  6,262千円(海上保安庁)


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

事 項説 明
実施施策名○観測データ処理・管理 ・データ品質管理
実施目標アルゴフロートの観測データを高精度で補正するデータ品質管理手法を開発・改良する。これらより高品質なデータセットを作成する。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
 アルゴフロートによる観測データの遅延モード品質管理を引き続き行う。より高精度な品質管理手法を開発すると同時に、諸外国の機関と協調し他で開発された品質管理手法と比較検討し、より良い品質管理方法を確立する。
 平成15年度の目標は遅延モード品質管理システムの機能を拡張することであり、圧力補正・塩分補正プログラムの移植、高品質過去データセットの整備等、順調に達成されている。また、船舶CTDを使った分補正の検証も行った。
 リージョナルセンターとしての品質管理の実施とPI間の品質管理の相互比較が今後の課題である。

(具体的な事業実施内容)
 圧力補正プログラムの実装、塩分補正プログラムの移植とそれに伴う遅延モード品質管理システムの改修を行った。2000〜2003の4年間取得した約8000のプロファイルの3/4に当たる約6000のプロファイルの遅延QCを行い公開している。
 船舶CTDが利用できる193のフロート(回収フロート6台を含む)に対して、CTDおよび事後検定データを使った塩分補正の検証を行った。自動処理の正答率は90%であり目視判断では95%であった。
 塩分QCのための高品質過去データセットの第1版が完成し(名称:SeHyD)、Webで公開している。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)引き続き遅延モード品質管理をルーチン的に行なう。リージョナルセンターとして太平洋域のプロファイルデータの品質管理を開始する。
関係機関や民間との連携の状況海上保安庁、気象庁で行なわれるフロートデータを検証・補完する観測とデータ交換する事により、品質管理の精度を高めていく。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項ARGOに関する国際的な協議等において、遅延品質管理方針について関係各国と意見調整が続いている。2003ArgoDataManagementMeetingではWJO塩分補正を使うためのガイドライン原案が示され、2004AST6で議論された。ほぼ合意に至ったと思われる。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
11,251千円
10,407千円


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

事 項説 明
実施施策名○観測データ処理・管理  ・データベース
実施目標フロートの生データ、品質管理後のデータ、同化後の格子点データ、同化に必要な他の観測より得られたデータ等を保存・管理するためのデータベースを構築する。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
 平成12年度に整備、13年度に開始したデータベースおよびデータ提供システムを維持管理するとともに、関係各国との協議を踏まえて国際的な統一交換形式への対応、他国のデータセンターとの相互交換を進め、全球的な高品質なデータセットを作成し、利用できるようにする。
 データベースならびにデータ提供システムは順調に運用されている。遅延品質管理されたプロファイルデータやこれを使った科学的な情報を作成・公開している。品質管理およびその検証に必要な近傍データについてはフロート投入時・回収時のCTDデータを中心に収集した。
 遅延データをアルゴ形式ファイルで GDAC (Global Data Assembly Center) には未だに定期的に送信できてない。遅延品質管理のガイドラインが出来次第、対応しなければならない喫緊の課題である。また、リージョナルセンターに対応するためのデータベースの拡張も今後の課題である。

(具体的な事業実施内容)
データベースへの登録は増加しており現在、261本の国内アルゴフロートが登録されている。フロートのメタデータやトラジェクトリー、プロファイルはすべてWEBで公開されており、アクセス数は安定している。GDAC のミラーサイトも公開した。遅延品質管理されたプロファイルデータやこれを使った水温・塩分の自己相関、p面上の分布、σθ面上の水平分布図等の科学的な情報を定期的に作成・公開している。近傍データとしてはフロート投入時・回収時のCTDデータおよび気象庁定線観測・「みらい」のCTDデータを収集した。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点) 遅延品質管理のガイドラインが合意され次第、遅延データをアルゴ形式ファイルで作成し、 GDAC (Global Data Assembly Center) に定期的に送信する。
 Japan Argo計画の遅延データベースシステムをWebを含めて完成させドキュメント類を作成する。近傍CTDデータの収集・交換に努める。
関係機関や民間との連携の状況気象庁と連携してデータ処理の高度化およびデータ交換を行なっている。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項ARGOに関する国際的な協議等において、データ交換の仕組みや交換フォーマット、プロダクトなどについて関係各国と意見調整が続いている。2003ArgoDataManagementMeetingでは遅延モードファイル形式の改訂案が示され2004AST6でも議論されほぼ合意に至っている。わずかに補正データに対するフラグをどうするか現在議論されている。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
10,232千円
9,464千円


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【府省名:国土交通省 気象庁】

事 項説 明
実施施策名観測データ処理・管理(全球海洋データ解析・提供システムの整備)
実施目標国内のアルゴフロート運用者からリアルタイムで提供を受けた観測データにリアルタイム品質管理を施しGTSに配信するとともに、これらのデータ及びGTSで気象庁が受信した海洋データを関係機関にリアルタイムで提供し、さらに海洋データ同化モデルによる解析プロダクトを提供するシステムを構築する。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度以降の課題)
・本施策により整備したシステム(アルゴリアルタイムデータベース)は計画どおり順調に運用されている。
・海洋データ同化モデルによる解析プロダクトを提供するシステムを構築した。
・国際的なアルゴデータ管理に関する合意に基づき、データ処理手順を随時高度化していく必要がある。

(具体的な事業実施内容)
・アルゴリアルタイムデータベースを計画どおりに運用し、我が国アルゴデータのリアルタイム処理とGTS配信、GTSで受信した世界のアルゴデータの提供、太平洋の表層水温の客観解析結果の提供を継続して行った。
・海洋データ同化モデルによる解析プロダクトを提供するシステムの出力として、北西太平洋域のデータ同化モデルによる解析プロダクトの提供を平成16年1月に開始した。
・アルゴデータの国際標準化を検討する国際委員会での決定に従い、データの品質管理手順を改善するとともに、国際標準フォーマットのバージョンアップに対応した。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)・アルゴリアルタイムデータベースの運用を継続する
・海洋データ同化モデルによる解析プロダクトを提供するシステムの運用を継続する
・国際的なアルゴデータ管理に関する合意に基づき、データ処理手順を随時高度化する
関係機関や民間との連携の状況・海洋研究開発機構と連携してデータ処理の高度化を行っている
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項・アルゴデータ管理のための国際組織の第四回会合が開催された。同会合には気象庁・海洋科学技術センターから担当者が参加した
・アルゴ計画におけるデータ管理の中心となる世界データセンターが業務を開始した。また同データセンターにデータを提供する国ごとのデータ処理システムの構築作業が進んでいる
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
平成15年度 17,585千円
平成16年度 17,411千円


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

事 項説 明
実施施策名○モデルの高度化・研究開発・データ同化
実施目標2001年度までに全球の海洋データの高精度な同化を行う手法を開発し、2002年度から高精度な格子点データセットの作成を開始する
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
4次元データ同化解析システムの整備に備えて、ARGO実測データ及びTAO/TRITON/PIRATAなどの海洋観測データを用いて、開発された4次元変分法データ同化システムの運用実験を行う。また、海面高度計のデータも同時に同化する手法を開発する。

(具体的な事業実施内容)
開発された全球海洋の4次元変分法データ同化システムを使って、水平1x1度、鉛直36層の解像度の条件で、2000年から2002年までの海洋観測データ(ARGO及びTAO/TRITON/PIRATAなどの実測データ)を用いた同化実験を行い、同化システムの改良を行った。同化実験より、ARGO観測データがモデル海洋循環場の改善に効果があることが確認された。また、2003年のARGO観測データとTOPEX /POSEIDONの衛星高度データを取り入れた同化実験も行っている。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)ARGO観測データの再解析格子点データセットの構築において、同化手法の改善とモデル結果の更なる検証を行う。また、開発された4次元データ同化システムのオペレーション化するため、モデル用のインプットデータを作成する自動化ツールの整備等を行う。そして、作成された格子点データの有効利用について種々の角度から検討を加える。
関係機関や民間との連携の状況地球フロンティア研究システムと協力してデータ同化手法の開発、改良を行う.また、気象庁や海上保安庁とも情報を交換し、海水温予測モデルの高度化に貢献する.また、全球海洋データ同化実験(GODAE:Global Ocean Data Assimilation Experiment; 2003〜2005)へ向けて、NOAA/NCEP等関係各国とも連携を図っていく。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項4次元変分法によるデータ同化は、MIT、スクリプス海洋研究所及びNASA/JPL(ECCOグループ)で1部実施。現在、米国GFDLとNASA、スクリプス海洋研究所などが共同で開発中。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
30,536千円
28,246千円


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

事 項説 明
実施施策名○モデルの高度化・研究開発・気候変動予測
 モデルの高度化研究
実施目標2004年度までに気候変動予測モデルの高度化を図る(1)
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
平成15年度の課題としては、JCOPEの高度化ならびに高解像度大気・海洋モデルの高度化を目指す。

(具体的な事業実施内容)
平成14年度にJCOPEモデルに導入されたARGOデータ同化アルゴリズムに対し、ARGOで得られた基準層水温データのみならず、表層400m深までの水温および塩分のプロファイルを取り込むようにする改良を加えた。この改良により、予測モデルの初期値として、亜熱帯表層の高塩分水の表現を改善することができた。また、地球シミュレータ上で高解像のSINTEX結合モデルを用いて200年以上にわたって駆動することに成功し、数年から数十年の気候変動の予測実験に対する準備を進めた。特に、太平洋のエルニーニョやインド洋のダイポール現象などの短期気候変動の予測実験として、SINTEX結合モデルを用いたアンサンブル実験の準備を開始した。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)JCOPEを用いて日本近海予測システムの定期的な運用をする。その結果を用いてアルゴデータの有効性を総合的な見地から明らかにする。また、SINTEX結合モデルによる予測可能性実験のために、ARGOデータを用いた初期化に関する検討を行う。
関係機関や民間との連携の状況本研究は、WCRPの気候変動と予測可能性研究(CLIVAR)や地球海洋観測システム(GOOS)、地球気候観測システム(GCOS)に貢献する。また、米国、欧州、アジア、豪州、ロシアなどのモデル研究Fグループとの連携を強化していく予定である。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項米国大気研究センター(NCAR; National Center for Atmospheric Research)やヨーロッパ中期気象予報センター(ECMWF;European Center for Medium Weather Forecasts)、英国ハドレー気候研究センターなどで、スーパーコンピュータによる気候変動予測モデルの予測精度向上を目指した研究が行われており、ハドレー気候研究センターとはJAMSTECの地球シミュレーター研究開発センターが共同研究を締結して、地球シミュレーターを用いた気候変動予測モデルの開発を進めているところである。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
無し


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

実施施策名○モデルの高度化・研究開発・気候変動予測
 モデルの高度化研究
実施目標2004年度までに気候変動予測モデルの高度化を図る(2)
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度の課題)
四次元変分法海洋データ同化システムを用いて、ARGOデータを含む亜表層経年変動観測データと大循環力学モデルのシンセシスを行い、統合再解析データセットを作成した。また、このシステムを用いた対照同化実験を行うことにより、ARGOデータを含めた亜表層経年変動データ同化の海況推定に関する有効性を明らかにした。来年度は、ARGOデータ等の最近の観測データから1990年代の海況の状態に関するより多くの重要かつ有益な情報を引き出せるよう連続性コストを導入するなどして世界レベルの四次元データ同化システムを完成する。

(具体的な事業実施内容)
地球フロンティアで開発された海洋データ同化システムを一部改造し、さらに経年変動を含む時系列観測データを中心に、より多くの複合海洋観測データを同化することにより、プロダクトの品質を高めるようにした。主な変更点はコスト関数にバックグラウンド・コストとスムースネス・コストを加えた。これらの追加により時間変動場に出現するノイズを効果的に除去することができた。その結果、同化実験で得られた再解析データセットは北太平洋亜寒帯域における水塊構造をはじめとして過去の研究で指摘されている特徴的な海洋構造を捉えることに成功した。この再解析データは他の同化手法では困難な力学的整合性を保持しており、学術的に価値の高いものである。また、ARGOデータをはじめとする亜表層経年変動データの海況推定に対する有効性を調べるために、対照実験としてそれらのデータを使わないケースの実験を行い、海盆規模の現況推定、特にinter-gyreの推定に関してARGOデータは極めて有益かつ有効な情報を提供しえることを確認した。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)史上最大のエルニーニョが発生した1990年代の太平洋の力学状態を一層精度良く推定できるよう連続性コストを導入するなどして、ARGOデータを含む最近のデータの情報を効果的効率的に反映できるシステムのバージョンアップを行う。
関係機関や民間との連携の状況本研究はCLIVARやGODAE及びIGOS等の国際共同プロジェクト並びに関連国内機関と連携して実施している。
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項米・ECCOグループで4D-VARを用いた再解析実験が行われ、EUでは同化の実活用実験研究が行なわれつつあるなど、欧米ではデータ同化を新たな切り口とした基盤的気候変動研究を展開し始めた。
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
無し


ミレニアム・プロジェクト「高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築」
事業実施報告書

【省庁名:文部科学省、海洋研究開発機構】

実施施策名モデルの高度化・研究開発 (海水温予測モデル)
実施目標2002年度までに海面水温予測精度1℃を、2004年度までに予測精度0.5℃を実現する。
平成15年度の事業実施状況(総括:本年度の目標に対する達成状況、来年度以降の課題)
・平成14年度に完成した海水温予測モデルについては、予測の系統誤差の実態を把握するとともに、その軽減の糸口として、海洋初期化に関する感度実験を行う。
・大気、海洋とも高解像度化した新たな結合モデルを作成し、気候値の改善などを通して、東部太平洋赤道域だけでなく、西部太平洋熱帯域の海水温予測の精度向上を目指す。

(具体的な事業実施内容)
・ハインドキャストの精度検証を通して予測誤差の特性を調べた。フラックス補正の不整合から擬似的なエルニーニョと見なされる系統誤差が卓越している。
・アルゴデータを抜いた海洋解析値を作成し、これを初期値とした予測実験を行い、アルゴデータの有無による予測結果の相違を調べた。実験数は少ないが、初期値の相違による結果の相違よりも、予測自体の誤差が大きい。
・大気モデルの解像度を水平約300km、鉛直40層から、水平約200km、鉛直40層、海洋モデルの解像度を南北2.0度×東西2.5度、鉛直20層から、南北1度×東西1度、鉛直50層に上げた高解像モデルのプロトタイプを作成し、フラックス補正量を求めた。現在、予測実験の準備中である。

平成16年度の事業実施計画・方針(本年度の改善点)・平成14年度に完成した海水温予測モデルについては、系統誤差の修正や初期化の改善により、予測精度の向上を図る。
・高解像モデルに関しては、プロトタイプの予測実験の結果を踏まえ、また、大気モデル、海洋モデルの単体実験を通して改良を加え、新たなモデルを作成し、予測実験を行う。
関係機関や民間との連携の状況なし
当該テーマに関わる外的な研究環境(国際動向、研究動向等)等参考事項なし
平成15年度所要経費
平成16年度予算措置
平成15年度 38,271千円
平成16年度 38,008千円