高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築

別紙

ARGO計画評価とりまとめ表

○プロジェクト全体

プロジェクト全体プロジェクト終了時の現状分析 ・プロジェクト開始時に比べて、海洋観測、特に定期的に海面から1000m、あるいは2000mまでの水温と塩分の観測に関しては、アルゴフロートの展開によって飛躍的な進歩が見られた。
・海洋観測だけではなく、地球規模での気候変動や地球環境問題についても大きな貢献をする可能性が高いが、この5年間では、それを明確に実証する段階にまでは至ってない。
・推進委員会等での綿密な論議の基に実施され、十分な成果をあげた。
・国際共同研究の中で我が国の果たした役割は極めて高い。
・中層フロートの展開状況、国際関係機関等との協力体制の構築、データの処理、予測モデル構築のデータとしての価値判断と実際の予測及びこれらの提供の夫々がほぼ当初の目標通りまたはそれ以上に成果を上げてきている。
・成果は、今後も研究・調査を継続すべきもの、或いはオペレーションとして体制を構築し継続実施していくべきものがある。
・全体的な推進体制は適切であり、とくにARGO測器の校正・検定などの基盤技術の確立やフロートそのものの展開、観測結果の発信等が成功裡に行われたことは高く評価できる。
・我が国は2000〜2004年の5年間にわたりミレニアムプロジェクトの一つとして、アルゴ計画にかかわる諸施策を実施し、国内・国際的実施基盤の確立に先導的な役割を果たした。
・今後2〜3年以内に国際アルゴ観測システムが実現する明るい見通しが得られている。
・フロートデータの処理・管理に関する国際組織体制の構築に積極的に参加し、一方、国内でも効率な協力体制をつくり、研究・業務の両面においてデータの利用を推進している。
・中層フロートを展開したことにより得られる最も重要な成果は、全球的海洋循環の理解が劇的に深まることであろう。しかしながらその成果は、本プロジェクトの外にある地球フロンティア研究センターのモデルや、各国の海洋大循環モデル、大気海洋大循環モデルを通してでなければ、具体的に目に見えるような形には示されない。
 このことは、国際ARGO計画の我国の分担部分、さらには中層フロートの展開に特化したミレニアム計画のみを評価するに際しては、やや困難を感じる。その点を除けば、満足すべき現状である。
 すなわち、参加諸機関が、長期予報の精度を向上等、局所的ではあるが中層フロートのデータを活用していること、また中層フロートの展開それ自体は、貴重な成果である。
プロジェクトの目標の達成度 ・長期予報の精度を70%にするという目標に関しては、やや不十分であるが、この最初の設定自体が高すぎた。
・研究内容的には、目標を上回った成果を十分にあげている。
・目標を上回る成果を上げた。
・投入した中層フロートの総数は、アメリカに次ぐ2番目の多さで、当初予定していた北太平洋西部域はもちろん、フロートの分布が粗となったインド洋や南大洋などの海域に投入したことは高く評価できる。
・投入以外にも、データの品質管理やデータベースの作成などに国際的協力などにおいても十分な働きであった。
・大部分のプロジェクトで当初の目標またははるかに凌ぐ成果を上げており、アルゴデータの有用性も示された。
・基本的に本計画の主目標は、国際的なARGO展開計画に合わせて、日本が主導的な立場で貢献してゆくことであると捉えているが、米国に次ぐ378台のフロートを投入するなど、その目標は達成できた。
・実施された施策は、それぞれの性質上達成度に若干の差違はあるが、総じて当初の目標は達成されている。
・長期予報の精度向上はアルゴ計画のみに依存するのではなく、また、国際アルゴ計画が未完成な段階でそのインパクトを論ずるのは早計である。
・長期予報精度の向上という設定目標は、地球科学、特に気候変動予測という本来的観点から位置付けが深められるべきであった。
・深層流の解析に、もう少しエネルギーを注ぐべきであった。
・オペレーショナルな海洋学の実践という意味では十分な成果を上げた。
プロジェクトの必要性
(科学的・技術的意義、社会的価値の創出、国費を用いた研究開発の妥当性等)
・科学的には世界中の海洋の状態をリアルタイムで観測し、それを海洋の循環や熱輸送などの研究に応用できたことは非常に意義がある。
・観測は過去に全く無かったものであり、技術的な意義も高い。
・観測結果を利用して、日本における長期予報の精度が向上したことは、社会的価値も高く、国費を用いた研究開発として妥当である。
・大気と海洋の相互作用を議論する際、海洋データの不十分さは避けられなかった。特に、厳しい環境である冬季の亜寒帯・極周辺域の海洋データは皆無に等しい状況であった。地球環境変化の追跡や長期予報の精度向上のために中層・深層までの水温・塩分データの取得は欠かせない。
・地球を取り巻く様々なスケールの大気・海洋変動は世界の注目となっており、国際協力のもと、国を挙げて取り組むべき課題である。
・今後も海洋データ予測、気象予測等はますます重要になってくる。今回、アルゴ計画のデータの有用性が示されたことから、今後もプロジェクトを継続する意義は高いものがある。
・海洋の画期的な観測システムを構築することができ、海洋学のみならず、気候学、地球環境学の広い範囲への科学的貢献をしたと言える。
・気候や地球環境についての理解を深め、その変動を予測するためには、大気や陸域の観測にとどまらず、地球規模での海洋観測を長期にわたり維持・継続しなければならない。また、同時に多種多様な大量の観測資料を日常業務や調査研究のために有効に利用できるように収集・配布の体制を整備する必要がある。このため、国際的に統一された総合的観測・資料管理運営システムの確立が不可欠であり、関係国際組織は世界各国がそれぞれ応分の貢献をすることを求めている。
・日々の天気予報業務のための世界気象観測システムは既に存在しているが、それに匹敵する世界海洋観測システムは未だ開発途上にある。最近開発され、実用化されつつある中層フロートは、従来の船舶による海洋観測のあり方を変え、世界海洋の変動をリアルタイムに把握することを可能とする、いわば気象観測におけるラジオゾンデの役割を果たすであろう。
・近年、飛躍的に発展しつつある人工衛星を用いたリモートセンシング、通信技術、音波探査技術、超高速計算機による情報処理技術等を駆使し、現在地球観測の大きな空白域となっている世界海洋観測システムの実現を図るべき時期にある。
・アルゴ計画は世界海洋観測システムの中核と位置付けられるのみならず、地球観測システムの不可欠な構成要素となるであろう。
・気候変動予測について決定的に欠けていたデータを収集する計画として、科学的・社会的価値は極めて高い。
・ミレニアム計画という形でここまで達成できたことにより、今後の展開を保証できるレベルに到達した。
プロジェクトの効率性
(計画・実施体制、費用対効果の妥当性等)
・計画・実施体制に現状の官庁の縦割り的な構造がそのまま反映している面が強く、それによって研究全体の効率が悪くなっていたように感じる。
・最初の段階から、横のつながりをもっと意識的に強め、縦割り的な構造を打破することが出来れば、もっと費用対効果もあがった。
・内閣府が事務を担当することが、縦割り的な構造にくさびを打ち込むような形になったら、もっと良かった。
・費用の認識ができていないが、計画・実施体制はその結果から見て優れていた。
・わが国のARGO計画は省庁を越えた組織作りのもとに行われたが、相互の連携が極めてスムーズであり、人事交流も行われ妥当な進め方であった。フロートの投入については、大学、関係省庁、ボランティア船、さらに水産高校までが協力した。
・費用の大半はフロート作成に費やすことができたのは相互理解の成果であると評価する。
・国際協力、測器の実用化、展開の実施等、効率よく計画が進められた。
・ARGOデータのインパクトの評価や、ARGOデータを用いた海洋学的新知見の解析など、科学的な解析の面では不満があるが、本プロジェクトが、ARGO展開の実現という目標達成のため、技術開発的側面に重点が置かれたことは致し方ないものと考える。
・本プロジェクトを推進するために、実施機関が共同して、外部有識者を加えたARGO計画推進委員会を設置し、(1)年度計画の作成、(2)計画全体の進捗状況の把握、(3)実施機関間の情報交換、連携調整、(4)実施計画の見直し、等に加え、毎年の事業実施報告に対する評価・助言会議の評価報告を真摯に受けとめ、事業の適切かつ効率的な推進が図られている。
・推進委員会は必要に応じて実務担当者から成る作業部会を設けて、課題を迅速に処理し、また本プロジェクトにとって不可欠な関係国際組織・国内機関との緊密な協力を維持し得るように推進委員会が構成され、運用されている。
・実施機関は、それぞれの最も得意とする施策を担当しており、既存の施設・設備・人員を活用している。
・所要経費22億円の約1/2がフロートとそれらの展開に要する経費である。フロート自体が研究開発段階にあったため割高である。国際アルゴ計画が進展し、本プロジェクトの業務化が実現すれば、フロートの低価格化は促進されるであろう。
・本プロジェクトではARGO計画推進委員会が、大学、研究機関、関係省庁が連携してアルゴ計画の諸施策を効果的・効率的に実施するためにその機能を発揮した。
・個別報告書が読みにくい、あるいはそれらから全体像を把握することが困難であったという現実は、本プロジェクトの構造的な弱点の反映であろう。ただし、その弱点を乗り越えて、成果が得られており関係者の努力の賜物である。
プロジェクトの有効性
(プロジェクトによる直接の成果の内容、効果や波及効果の内容)
・アルゴフロートの投入本数の実績、回収に対する努力、データ処理技術の改善・向上、リージョナルセンターとしての役割の遂行、国際シンポジウムの開催など、世界的な観点でみると、このプロジェクトによって大きな成果をあげている。
・データを利用した研究成果の発表が、現状ではまだ少ない。これは5年間ではその段階までにはなかなか至らなかったためと思われ、今後期待するところが大である。
・国産フロートの実用化にも貢献し、研究プロジェクトとしてはかなり有効な投資効果を挙げたと評価できる。
・地球規模の高度海洋監視システムを構築するという目標に向って、着実に進み、世界で2番目のフロート投入数を誇った。
・フロートが捉える海洋データは非常に貴重であり、リアルタイムではもちろん、保存データとしても大いに活用される。
・数値モデルによる予報システムに十分に取り込まれ、大気・海洋の様々なスケールのモデルの精度が格段に向上することからも優れていた。
・目的としていた成果物のレベルから、プロジェクトは優れており、既成のデータに付加することにより、成果物のレベルが向上することからも優れていた。
・順調にフロート展開、データの取得がなされ、今後それらのデータを利用した科学的成果がぞくぞくと現れるものと期待される。その基礎を与えるものとして本プロジェクトの功績は大きい。
・船舶を主とする従来の海洋観測では、気候・地球環境の監視・変動の把握のために要求されているグローバルな長期間にわたる海洋観測を維持することは不可能である。世界の全ての海域で、天候・季節を問わず一様に観測データを提供し続け得る無人・自働式中層フロートと人工衛星から成る国際アルゴ観測システムの実現に向けて大きな貢献をした本プロジェクトの成果は極めて有効である。
・広域の海洋観測データをリアルタイムに利用できることは研究のみならず日常の関係諸業務の向上に寄与するところ大である。
・フロートと搭載センサーは改善・高性能化の余地がある。現在、測定している海洋物理学的要素の他に、将来、化学・生物学的要素の測定手法の開発を促す波及効果もある。
・短波レーダーによる黒潮の解析、2000m層の流れの推定、同化データの蓄積、等各個別事業による成果は顕著である。
・個別事業の成果を、整合的に統合した本プロジェクト全体としての効果は、海洋学・地球科学の進歩に寄与する点で大きいが、国民的評価が容易に得られるような形での解説が不足している。
プロジェクトの展開や次の施策形成の必要性等 ・このプロジェクトの内容自体、オペレーショナルな運用を目指して構築されているものであり、少なくともアルゴフロートによる観測は、継続をしないと、これまでの努力の意味が無くなってしまう。
・データ同化の結果を利用して、効率的なフロートの運用は必ず検討されるべきである。
・今後の展開として、鉛直方向の分解能の向上、時間分解能の向上、他の変数の観測などが考えられる。
・今回のミレニアムプロジェクトの成果からアルゴ計画の有用性が確認され、国際的な協力体制の関係からもプロジェクトを継続する必要性は非常に高いと判断する。
・ARGOプロジェクトは海洋観測において革命を起こしたと言っても過言でない。
・成果は様々な方向に波及し、海洋・大気を取り巻く研究環境を急ピッチで前進させた。業務の面でも気象や海洋の長期予報に反映され、その結果、海洋関連の産業はもちろん、地上の産業にも貢献する結果を生み出す。変動の激しい地球環境のモニタリングは欠かすことはできない。
・フロートは耐用年数があることから、継続した対応が必要であり、そのための施策は不可欠である。
・海洋は長期に継続して観測してこそ意味がある。本プロジェクト後に、ARGOを持続的な観測システムとして始めて本プロジェクトの真の意義が出てくるものと考えられる。
・フォローアップ体制の整備が切望される。
・世界の海洋に3000個のフロートを維持するためには毎年800〜900個のフロートを投入する必要があり、観測システムが長期にわたり維持されるためには業務的管理・運営体制を構築する必要があろう。
・フロートの高性能化・長寿命化・低価格化、フロート展開の合理化、観測データの利用研究を含む開発研究期間が必要である。
・データ同化を用いた全球客観解析データセットの作成、ARGOデータのインパクト評価、気候変動研究、気候予測へのARGOデータの本格的な利用、等については、今後さらに充実させてゆく必要がある。
・それぞれの施策の総括を基本に更にこの事業の継続の体制を構築し実施していくことが望まれる。
・気候変動予測は、特に我国が今後も輸入食糧に依存する体制を継続するのであれば、優先順位が極めて高い施策である。そのために、ARGOデータが必須であることは改めて強調する必要がある。
プロジェクト終了後の実施体制 ・計画の最初から実質的で、かつ横断的な体制を構築し、縦割り的構造を余り意識しないで、議論できる場を作り出すという役割を推進委員会が果たせるかどうかは疑問である。
・良かった点も悪かった点も含んで、このプロジェクトの反省を推進委員会でするとともに、各省庁で何ができるかではなくて、計画全体で何をすべきかという観点から、今後の実施内容について議論をするべきである。その際には、必ず最終的な目標を明確にし、それに対して各部分が有機的に結びつくような計画を立てるとともに、その実施内容に該当する場合には、該当する官庁なり組織がそれを担当する。
・各組織で独自に予算を用意して、このプロジェクトを継続するというのならば、推進委員会で実施内容について検討したり、調整を行うくらいしか出来ないと思われるが、それでも横方向でのつながりを維持するためには、推進委員会の役割は非常に重要である。
・モニタリングのため、フロート投入を継続する新たな体制を組むことが必要である。
・5年計画では十分に果たせなかった面を改善しながら、研究を継続することが望まれる。
・3〜4年の期間、技術の高度化を目指した研究を進める必要がある。
・アルゴ計画の有用性からもこれまでと同様に関係省庁の横断的プロジェクトとして、まず継続していく体制を構築し、スケジュール目標を決めて、研究・調査が定常化された部分から順次、関係部署でのオペレーションに移行していく。
・関係機関においてフォローアップ体制について考慮されているようで心強いが、現有予算を用いたボランティア的なものにとどまらず、現業システムとして確立される努力を望みたい。
・観測データ・研究成果の利用機関を追加したアルゴ計画推進委員会を設置し、国内・国際協力体制を強化することは適切である。
・地球科学、特に気候変動予測については危機管理の観点を導入し、日本全体として取り組むプロジェクトとして位置付ける必要がある。
・プロジェクト全体の構造を分かり易くする必要がある。担当省庁別に実施報告書を羅列する必要があるとしても、成果報告書の「成果の概要」のような形で、容易に全体が把握できるような体制が必要である。
その他 ・ミレニアムプロジェクトは従来の研究費の構造と異なっている部分も多いので、ミレニアムプロジェクトだからこそ可能だったことについて明確にしてほしい。
・5年計画の中で、わが国が果たした役割の大きさと、それを支えた省庁を越えた組織を高く評価したい。
・研究計画が省益を超えて実施できたことが成果に繋がったと考える。
・プロジェクトの努力目標として数値的なものを挙げるのは、社会一般に対してのわかりやすさ(宣伝効果)等色々考慮されてのこととは思うが、科学的定義があいまいなまま数字だけ設定しても科学的には大して意味がない。
・初等・中等教育に本プロジェクトの成果を還元する方途を検討すべきである。

○観測システムの構築

国際協力体制の構築現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・国際的協力体制構築のための活動が、主要会議への参加、太平洋島嶼国の協力要請、情報の提供等的確かつ適切な活動を推進してきた。
・事業開始直後の2000年4月13〜14日に東京において国際会議を開催し、また2003年には第1回国際アルゴ科学ワークショップを東京で開催するなどの、アルゴの国際協力体制に対するその積極性は高く評価できる。
・アルゴに関連する他の国際会議にも積極的に参加すると共に、太平洋島嶼国の若手に対して地道な研修活動を行ったことも国際協力体制の構築には重要な努力である。
・国際会議へ参加し、わが国の計画実施状況の紹介や新たな問題提起などを行った。開発途上国の若手研究者等への研修、行政側へのフロート展開に対する協力依頼などを活発に行ってきた。特に2003年11月に第1回国際ワークショップを日本で開催した。以上のような活動は、適切であり、非常に評価は高い。
・国際ARGO計画への積極的な貢献、国際会議の開催、島嶼国等への啓蒙普及活動等、本プロジェクトの国際協力面での貢献は特筆すべきである。
・ARGOに直接関係する推進会議・データ管理会議等への参加・開催は必要な範囲でなされている。
・太平洋島嶼国研修についても単に当該海域におけるフロートの確保という観点のみではなく、当該諸国の海洋学的関心のレベルアップも含めて実施されているとの報告を受け心強く感じた。
・他国のフロート投入を我国が担当することがどのような計画でなされているか、必ずしも明瞭ではない。
実施目標の達成度と成果 ・十分に満足できるものである。目標を上回る成果である。
・積極的な国際会議の主催、島嶼国への地道な啓蒙活動等、当初目標を上回る充実した活動が行われたと評価できる。
・国際的な協力体制の構築における本プロジェクトの貢献は極めて大きい。
・国際ARGOの推進に必要な程度が満たされたという認識である。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・今後の成果を継続し更に向上していくためには国際協力体制の構築は必須。今後も継続が望まれる。
・5年間に、わが国が果たした役割は非常に大きく、国際的なプロジェクトを維持していくためには、わが国の経験を必要とすることは間違いない。
・いうまでもなくARGO計画は国際的な協力なくして成しえないものである。わが国の研究者が、引き続きこの方面で指導的役割を果たしてゆくことを期待する。
・太平洋島嶼国研修については、当該各国の周辺海域における変動の予測や環境保全等に資する点をさらに強化すべきである。
具体的改善点 ・本プロジェクト終了後の持続的研究体制にも関係方面が留意されることを望む。
・太平洋島嶼国研修は、当該各国の周辺海域における科学的知見が各国にもたらす効用を明確にすることにより、協力を深めることに資すると思われる。そのためには、過去5年間の開催頻度はやや少なすぎる。
中層フロートの展開現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・投入本数には不足があるが、フロート展開に必要な基盤的技術の開発、フロート自身の開発等では確かな成果を上げてきている。
・中層フロートの展開数では、米国についで世界2位の貢献を果たしたことはもちろんだが、それ以外にもフロートの回収によって貴重なデータを収集したり、各種の基盤技術の開発にも大きな成果をあげたりして、現状の推進体制や、研究・調査方法は非常に適切である。
・北・南太平洋、南大洋、インド洋に、関係機関の船舶の協力を得ながら、400台近いフロートを投入した。
・当初、予定には無かったフロートの分布が粗になる海域にも積極的に投入すると共に、フロートの機能に関する調査も積極的に行った。
・アメリカに次ぐ投入量を誇り、わが国の果たした役割はきわめて大きい。
・国際ARGOの目標展開数3000台は、やや遅れたものの2006年中の達成が見込まれており、日本も本プロジェクトで米国に次ぐ世界2位の貢献をなしたことは高く評価できる。
・フロート展開の基盤技術の開発は、今後の大きな科学的資産となることが期待され、高く評価されるべきである。
・国際アルゴ計画では国際協力によりグローバルに海洋に展開されるべきフロート個数を3000としているが、本プロジェクト終了時には1600台であり、今後2〜3年以内に目標値に達する見通しが得られた。
・フロート自体実用化されたとはいえ、未だ改良の余地を抱える開発途上にあるので、フロートの展開と併行して、フロート搭載センサーの精度、動特性等を明らかにし、また、フロートの投入手法等の各種基盤技術を確立した。更に、フロートの国産品開発にも着手している。
・中層フロートの投入数は我国相応の数字に達したと思われる。
・投入の協力体制の整備は進んでいる。
・投入方法の工夫、延命対策、検定に対しての努力は認められ、問題は無い。
・次世代フロートの開発が行われているようであるが、それが役立つような条件づくりも重要である。
実施目標の達成度と成果 ・投入本数に不足はあるものの計画全体の目標との観点からは目標を達してきている。
・投入海域は大幅に拡大し、フロート分布の粗い海域を補う働きをした。
・フロートの展開台数という数字だけをみれば、やや遅れているように見えるかもしれないが、フロート展開に必要な基盤技術を確立できたことは大いなる成果と言ってよい。
・本プロジェクトではその目標350台を超える378台のフロートを北太平洋のみならず、広く南太平洋、南大洋、インド洋にも投入し、フロート展開計画には米国に次ぐ大きな貢献をした。
・回収について、さらに努力し、国際的な回収体制の提案も検討すべき。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・事業の発展には必須。継続してフロートの展開を図られたい。
・ここまで開発してきた技術を今後も十分に生かすことが必要であり、そのためには事業の発展や新しい段階への移行は、必要不可欠である。
・5年間の計画期間での貢献度は非常に高く、特に技術面での評価は国際的に高い。わが国は今後も大いに期待されている。
・精度が高く、安定性のある測器とその展開技術の開発は今後も持続的に行われることが望ましい。
・気候予測問題さらには「地球を理解する」ための計画というアピールを強力に行う必要がある。
具体的改善点 ・研究的段階からオペレーショナルな運用へと移行することが、重要である。そのためには、アルゴデータだけではなく、他のデータ、例えば、衛星データなどとの融合も行う必要があるだろう。
・今後予算のつき方によっては厳しい状況もあるかもしれないが、中層フロートの意義が広く認められるまでの間、必要最低限の体制は維持されたい。
中層フロート以外の観測システム現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・当初の目標を達成するための施策は展開され、目的を達成している。
・気象庁、海上保安庁海洋情報部は独自の事業に取り組んだが、推進体制には全く問題は無い。
・深層の循環像をフロートの漂流で推定する、あるいは、海洋短波レーダーで黒潮を捉える、という特徴を活かした研究は適切な方法であった。
・係留式測流システムや海洋短波レーダーなどとの比較観測によるフロート観測の信頼度の検証やフロート観測システムとの補完を試みた。
・フロートデータの検証をするシステムとして、係留式測流システムを利用することは妥当である。ただ、自前の係留系だけでは、比較するデータ数が非常に少ないので、別の係留系でのデータも利用すると検証結果に対する信頼性も高くなったと予想される。
・フロートデータによって得られる結果はラグランジュ的な結果なので、短波レーダーによってオイラー的な流動場を得ることは、フロートデータの補完としては適切である。
・フロートデータを検証する観測システムは、ARGOの当初展開にとって有用なものであった。この中で、漂流速度の解析等から、北太平洋2000m深の海流分布が得られるなど、興味深い成果も得られた。
・海洋気象観測船CTDデータによる、アルゴフロートのセンサー精度の長期的推移および中・深層循環の推定は貴重な成果をもたらしている。
・海洋短波レーダーは、新しい海洋観測の手段として、全球海洋監視という意味で、ARGOを補強する意義があると考える。従来為し得なかった短周期の黒潮変動など得られる結果も興味深く、今後ARGOを用いた解析プロダクト等との一層の連携が期待される。
・短波レーダーから得られた情報は貴重である。
実施目標の達成度と成果 ・それぞれの特徴を生かした成果を挙げている。
・フロートの漂流深度から見積もった循環像は興味深い成果である。
・当初目標は順調に達成された。
・海洋気象観測船CTDデータを用いて行う、アルゴフロートのセンサー精度の長期的推移については、もう少し規模広く、サンプル数を多く設定すべきであった。
・精度の長期的推移および中・深層循環の推定いずれについても、外国における同様な調査・研究との比較を期待する。
・黒潮の流れ場を時々刻々と追跡した結果も興味深い。
・短波レーダー検証観測は、必ずしも十分とは言えない。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・事業の発展と言うよりも、継続したデータの収集を期待したい。
・今後も時宜に応じてARGOの検証観測は必要であろう。
・塩分センサー精度の寿命の検証等は今後も継続して実施されたい。
・中層フロートのデータの検証、観測システムの補完のために今後も継続して観測していく必要がある。
・必要性については、どのような方向で事業を発展させるかにも大きく依存する。たとえば、中層フロートがオペレーショナルな段階になれば、検証用データの役割はある程度終了することになる。ただ、完全に検証用データの取得をやめることは危険である。
・ARGOプロジェクト全体として、センサー精度の長期的推移や中・深層循環の推定に有効なので、規模等を拡大し引き続き投資すべきである。
・海洋レーダーは持続観測を行い、ARGOを用いた広域解析結果と連動して、黒潮の流量変動等への知見をもたらすことが期待できる。
・短波レーダーは、検証観測をさらに充実させることを期待する。
・短波レーダー観測により得られた結果を、黒潮全体、さらには太平洋大循環と関連付けた整理を期待する。
具体的改善点 ・フロートデータを検証する観測システムは、当面予算がつかなくても、今まで程度のことは維持されたい。
・短波レーダーについては、精度の一層の向上が望まれる。
・短波レーダー観測データは、インターネット以外のメディアを通じた、より積極的な国民への公開を検討されたい。

○観測データ処理・管理

全球海洋データ解析・提供システム現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・国際的な連携を構築しデータの供給源として成長してきている。
・推進体制、研究・調査方法についての問題は、特に無い。
・ARGOフロートの展開と同時にGTS配信がなされ、日本をはじめ各国で現業気候監視のデータとしてARGO観測データの即時利用が実現した。気象庁では、ARGOデータを取り込んだデータ同化プロダクトも作成、配信され、ARGOは実施と同時に全球気候監視の重要な一要素として稼動し始めたと言える。
・気象庁は我が国のデータセンターとしてフロートのデータ(現在、全世界フロートの15%)を処理し、リアルタイム(観測後24時間以内)にアルゴ世界データセンター(米、仏)に送付すると共に、GTSに配信し、国際的なデータ利用に供している。
・フロートデータを含む海洋データ同化モデルによる解析プロダクトの一般利用者への公開を開始した。
・リアルタイムのデータ解析・提供として、十分な成果を上げている。
実施目標の達成度と成果 ・アルゴデータの業務的利用に関しては、大きな成果をあげていると考えられる。
・解析プロダクトの提供が開始されたことも評価できる。
・ARGOデータの即時利用体制の確立は非常にスムーズであったと評価できる。
・全世界のアルゴデータの15%という数字は日本ないしは気象庁として、どのように評価しているのか。現在約2000個のフロート中日本が投入した約300個の比率が約15%という現実を単純に反映しているに過ぎないのか。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・プロジェクトの施策としてではなく、日常的にオペレーションとして実施される体制の構築を目指すことが望まれる。
・観測データにリアルタイム品質管理を施しGTSに配信するとともに、これらのデータを含む海洋データを関係機関にリアルタイムで提供することは、社会的重要性が非常に高いので、事業の継続は必要である。
・ARGOデータ同化システムによるARGOデータのインパクト評価をより組織的に行う必要がある。このことは、ARGOを現業的システムにするために重要である。
・ARGOデータのインパクト評価等、科学的に重要な面においての今後の貢献が望まれる。
・ARGOデータは今後、気候データの中心的データとなると考えられることから、我国として応分の貢献は必須である。
具体的改善点 ・解析プロダクトの提供については、社会的ニーズも高いので、今後は益々誰でも簡単に使えるような形でのデータ提供が望まれる。
・提供しているデータの利用状況のモニターを常に行い、実質的に利用されていることを確認するとともに、利用率が低い場合には、それなりの対策を講じる。
・一般国民の関心も得られる形での解析プロダクトの提供を充実させる方途を検討されたい。
データ品質管理現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・国内における推進体制、研究・調査方法についての問題は、特に無い。
・遅延品質管理の手順が現状では国際的に標準化されていないことは大きな問題である。
・データの品質管理は、データの有効性を高める地味ではあるが重要な作業である。ARGOデータの客観的な品質管理体制が確立できたことは喜ばしい。
・今後、データ同化システム等本格的なデータ解析作業の中に位置づけられることで、より品質管理アルゴリズムの高精度化を図ることができるのではないかと考える。
・フロートの遅延データを含むデータの品質管理を行っており、本プロジェクト終了時に全てのフロートのプロファイル15000件を一般に公開している。今後は地域データセンターの一つとして太平洋における全てのフロートのデータの品質管理に責任をもつことになった。
・遅延品質管理の処理は順調である。
実施目標の達成度と成果 ・成果報告書記載の通り。
・プロジェクト開始時想定外の点についても大きな成果をあげている。
・品質管理済みデータセットの配信は順調に実現され、また、技術的な面において国際的な貢献もあった。
・エキスパートによる遅延品質管理(eQC)により遅延品質管理(dQC)がどの程度改善されているかが不明である。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・今後、データが充実してくるに伴い、そのデータの品質管理を実施し提供していくことが必要。オペレーションとしても実施する体制の構築が望まれる。
・地域センターとしての活動は始まったばかりであるが、その活動を継続するためには、人的資源の維持が今後も必要。
・品質管理アルゴリズムは、データ同化システム等本格的なデータ解析作業の中に位置づけられることで、より高精度化、改良を図ることができるのではないかと考える。データ解析システムとのより一層の連携が望まれる。
・本事業は次項データベースとともに、我国では比較的評価されにくい分野であるが、是非海洋データのスペシャリスト集団を育てる方向で発展することを期待する。
具体的改善点 ・遅延品質管理済みアルゴデータの提供だけではなく、同化モデルデータの提供も行うか、それとの緊密な連携を深めることが望まれる。
・品質管理を行う地域センターとしての担当海域等の明確化。
データベース現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・研究及び事業の推進は当初の目標を達成しており、適切であった。
・推進体制、研究・調査方法についての問題は、特に無い。
・現状でもデータの使い勝手が良いとは決して言えないので、netCDF形式はもちろん、ユーザー指向のアスキー形式でもデータを提供するなどの遅延データの利用者を増やすような一層の努力が、今後も期待される。
・細かな課題はあろうが、ARGOデータベースを世界に発信する目的は十分達せられた。
・概ね妥当と判断される。
実施目標の達成度と成果 ・データベースの整備と各種データの提供は当初目標通り実施している。
・データベースの作成、データの提供だけではなく、科学的プロダクトの提供まで行っていることから、当初の目標を上回っている。
・ARGOデータベースを構築・管理し、インターネットを通じて世界に発信する目標は順調に達成された。
・インターネット以外による本データベースの存在のアピール方法が不十分と思われる。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・残された課題も推進体制を構築し、価値あるデータの提供を実施する体制を構築されたい。
・今後実施される観測データを加工処理したデータの提供等、必要に応じて今後もデータ提供の方法を構築していく必要がある。
・今後、アルゴデータの観測数が増加することを考えると、データベースの重要性は益々高くなると予想され、事業の発展は必要不可欠である。
・今後は、「科学的プロダクト」に本格的なデータ同化システムの成果等も取り入れられてゆくものと考える。
・本事業は前項データ品質管理とともに、我国では比較的評価されにくい分野であるが、オペレーショナルな海洋学の実践という視点を延ばす方向で発展されることを期待する。
具体的改善点 ・アスキー以外のデータ形式でもデータを提供する。外国からも提供されている遅延データとの相違点や日本の遅延データの特徴などをもっと明らかにする。
・オペレーショナルな海洋学の実践を具体的に示す成果を継続的に発表する体制を取れないか。
・中層フロートが充実していく過程、ヒストリカルデータの精度が向上していく過程の記録をデータベースに含めるべきである。
その他 ・「オペレーショナル海洋学の雛形」は結構だが、気象庁で行っている類似の活動との切り分け(別に共存して構わないが)、協力体制の確立がいかに行われるか、気になる。

○モデルの高度化・研究開発

データ同化現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・アルゴデータの効果が予想以上に大きいことを確認したことなど、適切に研究が推進された。
・研究調査方法については、特に問題は無いが、推進体制については、マンパワーの関係で少し脆弱に感じる。
・4次元変分同化システム(手法)の開発は順調に進んだようである。ただし、実用に耐える海洋データセットのファイナルプロダクトの作成には引き続く研究開発が必要である。
・フロートのデータを用いてグローバル海洋データ同化システムの改良、気候変動予測のための高解像大気・海洋結合モデルの高度化、海洋変動予測システムを用いたフロートデータの有効性の調査等が実施され、フロートデータがリアルタイム観測網で果たす役割の重要性を示した。
・着々と進行していることが伺える。
実施目標の達成度と成果 ・5年間で4次元変分法海洋データ同化システムを構築したことは評価できる。
・4次元データ変分同化手法の開発はそれ自身重要であるが、唯一の方法ではない。本プロジェクトの中では、プロダクトとして格子点データセットを作成し、ARGOデータのインパクト評価をより詳細にわたって行うことも重要であった。
・我が国の地球科学的実力から見れば、当然の水準であろう。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・オペレーションとして必要か。
・データ同化は現在の海洋の状態をモニタリングするためにはもちろんのこと、それを利用して長期予報などに役立つことが期待されるので、事業の発展は必要である。
・ARGOに限らず、観測データは究極的には4次元データ同化システムの中で他のデータと共に使われて真価を発揮する。
・引き続いて、ARGOデータを含めた海洋データ同化システムの開発と、それを用いた解析データセットの作成努力が必要であろう。
・国立の地球科学データセンターのような組織を設置し、同化データを含め海洋・大気データ、さらには地殻に関するデータまで一元的に管理すべき時代になりつつあるという認識を広げる必要があろう。
具体的改善点 ・研究内容が共生プロジェクトと密接に関連するので、今後は両者を融合して実施する方が良いかもしれない。
・国際的な関係機関との連携をさらに推進する。
気候変動予測モデルの高度化研究現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・適切に推進された。
・推進体制については十分に確立されていたとは思えず、また、基本的にマンパワーが不足している。
・研究調査方法についてもマンパワー不足による制約から抜け出せないため、研究・調査方法が適切かどうかの判断も難しい。
・本プロジェクトでは本課題に予算措置はなく、他の独立な研究課題にARGOデータが有用であった、あるいは、将来の本格的なARGOデータ利用システムのための開発が進んだ、ということか。
・JCOPE、SYNTEXによりARGOデータの意義・有効性が示されてきたことは、高く評価すべきである。
実施目標の達成度と成果 ・個々の担当部分の責任と言うよりも、5年間でアルゴデータも活用した気候変動予測モデルを作成するという当初の目標自体に無理があったように感じる。
・成果が不十分というか、当初目標、プロジェクト内の課題の位置付けがはっきりしない。
・我が国の地球科学的総合力の反映と考えれば妥当であろう。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・今回のプロジェクトでアルゴデータの利用が有効であることが示された。今後もアルゴデータを含めた予測モデルを研究、提供していく体制の構築が望まれる。
・現段階では、まだ当初の目的に合致した気候変動予測モデルが完成しているとは思われない。今後は気候変動モデルの一層の高度化を図ると共に、急速に増加しつつあるアルゴデータの観測結果を有効に利用することが肝要である。
・ARGOデータの気候予測へのインパクトは引き続き調べてゆく必要がある。
・エルニーニョ再現は成果を示すための一つの事例に過ぎない。気候変動予測についてより積極的な発言が期待される。
具体的改善点 ・研究内容が共生プロジェクトと内容と密接に関連するので、今後は両者を融合して十分なマンパワーのもとで実施する方が良いかもしれない。
・ARGOプロジェクト内で気候予測モデル高度化、ということであれば、ARGOデータのインパクト評価等により焦点を合わせてもよかった。
・気候変動予測に関するロードマップの策定。
海水温予測モデルの高度化現状分析
(推進体制、研究・調査方法の適切性等)
・モデルの精度は向上したが、当初の目標を達成する結果に至っていない。
・推進体制については適切であるが、研究・調査方法に関しては、数字にこだわりすぎているようでもある。数字にこだわる割には、その数字の意義がそれほど明確では無い。
・今後の発展を考慮すると、数字にこだわるよりも、予測精度向上のために必要な情報の抽出を、もう少し積極的に行っても良いと考えられる。
・海面水温予測モデル、長期予報力学モデル等顕著な進捗があった。
・現業システムの中でARGOデータのインパクト評価が行われたことも評価できる。
・プロジェクト全体のシンボル的な数値目標として長期予報の点数向上を取り上げたことには、点数の定義法のあいまいさなどを含めて賛成しない。
・海水温予測モデルの高度化、長期予報の精度向上を目指す研究開発が実施され、着実に改善されつつある。
・設定した数値目標はクリアできなかった結果となったが、方向性は正しい。
実施目標の達成度と成果 ・予測精度の向上は図れたが当初の目標は達成していない。
・アルゴデータのインパクトが期待ほどでなかった結果なのか、今後データが増加することにより精度の向上が見込めるのかが不明。
・やや不十分というのは、当初の目的である予測精度0.5℃を達成できなかったという意味である。
・予測精度の向上は、着実に達成されていることや、熱帯域ではアルゴデータよりもブイデータのインパクトが大きいこと、同化データよりもモデル自体の問題が大きいことなどの知見が得られたことは評価できる。
・数値目標を基準にすれば、やや不十分とするのが妥当かもしれないが、実際には堅実な予測システムの進捗があった。
・数値目標の設定が不明確であったため、その科学的再設定から行うことになった点、我が国の地球科学行政に問題がなかったとは言えない。
・地球科学行政の意思決定システムの改善が望まれる。
事業の発展や次の施策形成の必要性等 ・今後も気象等への影響の大きさから精度の向上を目指した研究が望まれる。
・施策の重要性からも今後も推進していくことが望まれる。
・今後、アルゴデータ等使用できるデータが増えることから、海水温予測モデルの精度向上を目指した研究体制の構築が望まれる。
・海水温予測や長期予報力学モデルはこれから本格的に開発研究が進められねばならない。ARGOデータも確実に貢献するだろう。ARGOデータの解析や予報へのインパクト評価は、今後の観測システム維持の立場からも重要である。
・これまでに得られた成果は、進行途上にある未完成の国際アルゴ計画のいわば中間結果であり、今後数年間の進捗状況を見守るべきである。
・長期予報精度の向上の行政的意義を再検討する必要がある。
・長期予報精度の向上を、地球科学的にはオペレーショナルな海洋学の実践の一環と位置付けるべきである。
・ローカルな長期予報を含め、気候変動予測を危機管理問題とする視点を強化すべき。
具体的改善点 ・予測精度が大幅に向上しないのは、アルゴデータの問題ではなく、モデルの性能に問題があるとのことなので、今後はモデル性能の一層の向上が望まれる。
・熱帯域だけではなく、中緯度についてもアルゴデータのインパクトを調べる。
・ARGOデータのインパクト評価をより詳細に詰めて、有用な知見としてほしい。
・今後の目標設定にあたっては、地球科学的な実現可能性とその社会的意義を十分考慮して行う必要がある。