高度海洋監視システム(ARGO計画)の構築
第9回ARGO計画評価・助言会議 議事概要
日 時:平成15年5月20日(火)10:00〜12:00
場 所:中央合同庁舎4号館第3特別会議室
出席委員:
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浅井 冨雄議長、小倉 貞男委員、木本 昌秀委員、久保田 雅久 委員、田宮 兵衛委員、 松山 優治委員
(説明者)
内閣府参事官、文部科学省研究開発局海洋地球課、海洋科学技術センター、国土交通省総合政策局海洋室、気象庁気候・海洋気象部海務課、同海洋気象課、海上保安庁海洋情報部技術・国際課、同環境調査課
議事
○今後の進め方及び個別評価報告書の作成について
内閣府より資料1に基づき、平成15年度からミレニアムプロジェクトのうちARGO(アルゴ)計画についての評価・助言会議の庶務は内閣府総合科学技術会議事務局が担当となったこと、今後の評価・助言会議は年2回とすること、そして、個別評価報告書の作成と提出等について説明があった。
○平成14年度事業の実施状況及び平成15年度以降の事業実施計画について
(1)文部科学省より、資料2に基づき、推進委員会の報告、平成14年度事業の実施状況の概要について説明があった。
(2)海洋科学技術センター(以降JAMSTEC)から、資料3(1,2,5-8)JAMSTEC関連事業について説明があった。
(3)海上保安庁から、資料3-3に基づき海上保安庁関連事業について説明があった。
(4)気象庁から資料3(3,4,9)に基づき気象庁関連事業について説明があった。
(質疑応答)
小倉委員: ARGOフロートの展開は、国際的にも、国内的にも当初計画されたように進んでいるのか。
JAMSTEC: 国内のフロート展開は、予定通りに進んでいる。
浅井議長: 国際的には3000個のフロートが展開することを目標に進められており、2007年に目標の3000個に達するということか。
JAMSTEC: 今のペースで順調に進められれば、2007年には3000個に達する。現在、目標の1/4であり、2003年末には1/3になる予定である。
浅井議長: まだ、オペレーショナルにフロートが展開されているわけではなく、研究で行われている段階である。これから成果を出していき、オペレーショナルなものにしていくということだろう。そういう意味では、フロートの展開は順調に進められている。
浅井議長: フロートの漂流深度を2000mから1000mにしたいという説明があったが、2000mに決められた時には、それなりの根拠があったのではないか。科学的に検討する必要があるのではないか。
JAMSTEC: プロファイルを2000mまで求めるということで漂流深度2000mが決められた。当初のフロートは、漂流深度とプロファイル深度が同じことから、漂流深度が2000mになったと言える。
木本委員: 塩分値の品質管理で、水深が浅くなるにつれて精度が悪くなるという説明があったが、1000mで精度の検証は大丈夫なのか。
JAMSTEC: 品質管理は、プロファイルで行う。プロファイルは2000mまで測定するので大丈夫である。
松山委員: 漂流深度を2000mから1000mにすれば、漂流速度が速くなるのだから、投入場所の選定方法を見直す必要はないのか。
JAMSTEC: 現在のフロートでは海面での移動が大きいので、見直すほど、速度が大きくなるとは考えていない。今後、イリジウム等の新しい双方向の通信が利用できるようになってくれば、漂流深度をいろいろ変えて移動させ、投入しにくい海域に持っていくようなことも考えられる。
田宮委員: 2000mを1000mにすることにより、これまでの成果が継続されなくなるという説明があったがどういうことか。
JAMSTEC: これまでに展開したフロートから求めた2000mの流れは、今後、フロートの数が増えるにつれて、その内容を充実していくことが期待されるわけだが、途中で1000mにかえればやり直しになる。そういう意味でも、今後継続していくことを考えれば、早急に統一して変更したほうが良い。
浅井議長: 漂流深度を1000mにすれば、フロートの値段が安くなるのか。
JAMSTEC: 安くはならないと思う。しかし、電池の消耗は小さくなる。
田宮委員: フロートの寿命が長くなるということか。現在のフロートでは、寿命はどの位と期待されているのか。
JAMSTEC: 4年位と見積もられているが、これまで、2年位しか寿命がないものが多々あった。原因はフロートにより異なっているが、それぞれに対策がとられている。しかし、その対策が有効かどうかを検討するにはもう少し時間がかかる。
田宮委員: 寿命が延びれば、将来、3000個のフロートを維持することが楽になるということか。
JAMSTEC: 4年の寿命が5年になるほどではない。そう大きくは変わらないだろうと思う。
浅井議長: プロジェクトオフィスの設置にあたり、負担の公平化が話題に出たと言うことだが、国際的には、我が国はどの程度貢献しているのか。
JAMSTEC: 地域データセンターを担当するとか、国際シンポジウムを開催するとか、それなりの貢献はしていると考えている。プロジェクトオフィスの費用を分担するだけが貢献ではないと考えている。
浅井議長: 現在のプロジェクトは平成16年度で終了するわけだが、我が国のアルゴへの活動は、このまま終了させるべきではないと思う。11月に国際シンポジウムが東京で開催されるわけだが、ここで、将来に向けて提言のようなものをまとめるということは考えていないのか。
JAMSTEC: 国際シンポジウムで何かを決めるということは難しい。アルゴの今後についてのパネルディスカッションは計画している。
浅井議長: プロジェクトの将来を考えると、次の打つ手を考える時期であるのではないか。
久保田委員: 南半球へのフロートの展開が問題ということであったが、何か方策は考えているのか。
JAMSTEC: ロジが少ないというのが問題である。インド洋や南大洋は、それなりに展開されるようになってきたが、南太平洋が問題と思われる。
久保田委員: ボランティア船を積極的に使う必要があるのではないか。大西洋の南半球の展開には、日本の船は使うのか。
JAMSTEC: みらいを使う。南太平洋はボランティア船も少ない。
浅井議長: 国際的には、全球にわたって一様に分布させることを第一に考えているのか、北太平洋なり北大西洋に重点化し、まず成果を出していくことを第一に考えているのか。
JAMSTEC: 現実的には、北太平洋、北大西洋の展開数はかなりなものに既になっており、ここから成果を出していくことになると思う。南太平洋を真剣に考えなければいけない。
久保田委員: そろそろ、同化等の結果により、どこにどの位フロートが必要だという議論がされてきても良いのではないか。南太平洋についても、どの位必要なのかという議論はないのか。
JAMSTEC: 時空間の変動スケール(自己相関係数)により決まってくるものだと思うが、データがこれまで少なかった南半球では、どれくらい必要というのはまだわからない。そろそろ、やり始める必要がある。
田宮委員: 国際アルゴ計画に南半球の国々が参加していないのが問題なのではないか。理由は政治的なものか。
JAMSTEC: 経済的な理由だと思う。しかし、南半球の国々と協力して進めていくことは重要である。
松山委員: スクリプス海洋研究所のフロートが、どんどん死んでいるという報告が前回あったが、南太平洋でフロートが少ないのは、これも原因しているのか。
JAMSTEC: 問題のフロートは、太平洋の赤道域に投入されたものである。この原因はすでに解決され、スクリプス海洋研究所では、再び投入を開始している。南太平洋では、もともと入っているのが少ない。
田宮委員: アルゴフロートのデータを検証、補完する観測システムについては、やはり、アルゴプロジェクトの中での位置付けがよくわからない。
気象庁: アルゴフロートのデータを使って、これまで分かっていない2000mの流れを求めた。得られた結果を同化に利用するというまでには至っていないが、モデル等の結果と、定性的ではあるが、この流れの分布があっているかどうかの検証を進めている。
木本委員: 2000mの流れを同化してもインパクトはないだろう。2000mの流れが観測されたということだけで十分に、びっくりするくらい新しいことである。
海上保安庁: アルゴフロートでは、西岸境界流域のようなスケールの小さい現象は不得意である。この点を海洋短波レーダで観測し、両方合わせて観測システムと考えている。そういう点で、観測システムを補完するシステムと理解している。また、海上保安庁のモデルで同化していく予定である。また、日本沿海予測実験(JCOPE)の検証にも役立つと考えている。
松山委員: 海洋短波レーダは、もう少し精度があるのかと期待したが、そうでもないようだ。これは、送受信局が2局しかないことに原因があるように思うが、精度を向上させる議論ができないか。予算が少なく難しいと思うがもう一局あったら精度が向上させられるか。
海上保安庁: 局数を増やしても、精度の向上はあまり期待できない。
佐々木: 海上保安庁では、海況情報を提供しており、ここでの活用を考えている。
浅井議長: 補完と検証では、違う戦略が必要なのではないか。
木本委員: データベースの事業で、アルゴデータを客観解析した分布図がでてくるようになったのは、よろこばしい。
松山委員: 100dbの分布図が出ているが、他の深度もあるのか。
JAMSTEC: 100、400、1000dbを求めている。
浅井議長: 遅延品質管理の解析手法は、出来るだけ早く国際的に統一した方が良いのではないか。また、幾つかの手法をもって国際比較はやらないのか。
JAMSTEC: 日本とPMELの作業が進んでいる。この手法を拡大していくなかで、議論を詰めているところ。
久保田委員: 前回、混合層の観測が重要である。フロートによる浅いところの観測を進めてほしいという意見を出した。
JAMSTEC: これは技術上の問題であり、海面近くでポンプを動かせない。また、データ数の増の問題もあるが、今後の通信手段の改善により解決されてくると思う。
久保田委員: 国際的に混合層について議論はされているのか。
JAMSTEC: 詳細な議論は行われていないが、混合層の重要性は議論されている。
浅井議長: アルゴフロートによる観測は、海洋観測システムの中のひとつの要素である。他の観測システムとの連携、調整はどのように考えられているのか。ここでは、データの品質管理について教えてほしい。
JAMSTEC: データの品質管理という面では、CTD等のデータもあわせて、世界データセンター(WDC)で扱っている。(CTD:電気伝導度(C)、水温(T)、密度(D)などを計測するセンサー)
JAMSTEC: JAMSTECでも、所有しているいろいろなデータを保管するデータセンターを横浜かどこかにつくることを計画している。
浅井議長: 地域データセンターは、いらないのではないかと前回述べた時に、大気と違い海洋は、海域ごとに特性が違うことから、地域センターは必要との回答があった。しかし、グローバルなデータセンターは、国際的な枠組みの中で必要なのではないか。
JAMSTEC: グローバルなデータセンターは、アメリカとフランスに既に設置されている。地域センターは、品質管理を行うことを目的としたセンターであり、データを集めるわけではない。海域特性を知った地域センターが必要である。
木本委員: 気象庁は、誤差のマックスで評価する方法で、予測精度1.05℃を達成したという報告があったが、努力されたのだと思う。しかし、広範囲に精度を良くしようとしても、できないことはできない。エルニーニョのような現象をきちんと予測できるということが重要だ。
気象庁: 大気への影響の大きい海域での予測の精度を上げるようにしたい。
浅井議長: 気候変動予測モデルについては、地球フロンティアがこれまでやってきたことを活用するということか。
JAMSTEC: 最終的には、結合モデルによりアルゴデータのインパクトを見ていきたい。ただ、早く成果を出すという面で、JCOPEが成果を出し始めたので、まずは、ここからやっていきたい。
浅井議長: アルゴ本来の目的からいえば、グローバルな現象を扱うべきではないか。
JAMSTEC: 最終的には、グローバルなものに移っていきたい。
JAMSTEC: 同化は地球観測フロンティアと地球フロンティアの共同で進めており、そこでも地球フロンティアのシステムへの取り組みを行っている。
浅井議長: このプロジェクトもあと2年足らずである。アルゴの長期的な、発展の方向を見据えた検討を進めてほしい。たとえば、化学要素等の観測をアルゴフロートを使って行うというものが考えられる。さらに、アルゴフロートの観測は、海洋観測システムの一要素であり、これらの総合的な観測の中で、プロジェクトや現業の観測においてどのように位置付けていくのかという検討も必要であるということを最後に述べたい。
浅井議長: 次回の評価・助言会議は、7月22日10時から開催する。個別評価報告書の締め切りは、6月13日とする。
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