電子政府の実現プロジェクト


電子政府評価・助言会議(第7回)議事概要



I.日 時: 平成15年5月28日(水)15時〜17時
   
II.場 所: 内閣府地下講堂
   
III.出席者(別紙)
   
IV.議事経過

 1 礒山議長あいさつ

 2 各府省より、ミレニアム・プロジェクト関連施策について年次報告。

 3 各府省の年次報告についての各委員発言要旨は下記のとおり。


【I 認証基盤構築】

(大山委員)

  • 順調に認証基盤の構築が進んでいくことは喜ばしいことである。
  • ただ、各省認証局の立ち上げにかかった費用については、ばらつきがあるように思える。データを整理し、そうした違いがどのような要因によるものかを踏まえ、政府全体としてのコスト意識をしっかり持つ必要がある。
  • 政府調達一般に言われる話として、設備投資は安いが、維持管理費が高くなる「安値落札」の問題がある。この点も見直してみる必要があると考える。
(内閣官房)
  • 各省認証局の経費については、出来る限り共通の物差しで見れるように、データを整理することとしたい。
(伊藤委員)
  • これからシステムの運用段階に入るが、常にメンテナンスやチューンアップ等が必要となり、システムが複雑化していくと同時に、コストも大きな問題となってくる。
  • 運用のアウトソーシングも必要になってくるが、運用責任のあり方、運用費も含めたコスト管理について、総合的に見ていく必要がある。
  • 平成14年度の経済産業省の電子証明書の発行枚数はどれくらいか。また、国民に対する啓発・広報等を行っているということだが、政府として具体的にどのような措置を講じているか。
(経済産業省)
  • 平成14年度に経済産業省認証局が発行した電子証明書であるが、昨年度の段階では本格運用に至っておらず数件程度。今年度前半から増えてくる見通しである。
(総務省)
  • 国民の利用向上策としては、本年3月までに、関係事業者を対象とした利用説明会や講習会を行うことを取り決めており、今後は公的個人認証制度もスタートすることから、国民一般や地方公共団体に対しても普及啓発を行ってまいりたい。
(山口委員)
  • 長期にわたって利用されるシステムの場合、民間企業ではシステムの途中での更新、バックアップに対する機能強化などの長期計画が出てくる。各省認証局でも、そのような見通しを俯瞰的に示していただきたい。
  • 災害に対するコンティンジェンシー・プラン(緊急時対応計画)、機能のバックアップなどのセキュリティ対策がどうなっているのかも俯瞰的に示していただきたい。
  • 法務省の商業登記認証局の手数料が大幅に引き下げられたとのだが、その財源根拠はどうなっているのか。システムの償却期間が長くなるのか。
(法務省)
  • 手数料の額は、今後の利用件数と運営費用を勘案して「登記手数料令」で決められたもの。システム開発費用等については、手数料が引き下げられる前の段階においても、運営費用の中に含まれており、システムの償却期間が長くなるというようなことはない。
(今井委員)
  • セキュリティを評価する立場からすると、各省認証局でトラブルがないことが一番良いが、実際にはトラブルがあったのではないかと思われる。
  • 特に、各省認証局の運用については、官職証明書が非常に重要な役割を担っている。使い方によってはセキュリティホールを生じることになる。現在はどのように扱い、管理しているかも示していただきたい。
(内閣官房)
  • 委員からご指摘のあった点については、再度資料を整理したい。
(堀部委員)
  • 「電子署名法」が施行されてから約2年が経過したが、この法律を運用して、どのように自己評価しているか。
(総務省)
  • 電子申請が本格的に始まったのが昨年度末から今年度はじめであり、まだ発展途上という側面がある。
  • 諸々の技術進歩や、ビジネスの在り方に配意して、制度の運用も適宜見直していかなければならないが、まずはおおむね順調に立ち上がりつつあると考えている。

【II 共通基盤技術開発】

(辻井委員)

  • 事業実施報告で暗号の話も出たが、第一線の研究者の方々の自己犠牲的なご努力で国際的なプレゼンスを高めることができた。ただし、昨年のヨーロッパのCRYPTREC学会では出席者数で韓国に抜かれてしまった。暗号技術は世界一流だが、数が足りているわけではない。
  • 日本はセキュリティ技術者のうち40%くらいが暗号技術者と聞いているが、暗号のところが足りているのではなく、それ以外のところが非常に少ない。技術開発と表裏一体のものとしての人材育成が非常に重要である。
  • 暗号以外のところでは、かなりアメリカに水を開けられてもいる。文部科学省をはじめとして人材育成をしっかりやっていただけたらと思う。
(内閣官房)
  • 政府では、いま「e-Japan戦略II(案)」を取りまとめたところであり、その中には安全・安心な利用環境の整備ということで、セキュリティの項目を1つの柱として掲げて人材育成についても盛り込んでいる。
(伊藤委員)
  • 先行開発されたシステム及び基盤技術を、積極的に他省庁や地方公共団体に移転していただきたいということをずっと申し上げてきたが、14年度までにそうした実績があれば教えて欲しい。
(経済産業省)
  • 経済産業省で開発した汎用電子申請システムについては、まず前のバージョンを他省庁や地方公共団体でも使えるよう、その仕様・ソースを公開している。今年度中には、最新の実用バージョンも同じように公開したい。
(今井委員)
  • CRYPTRECについての補足だが、暗号技術者は決して多いわけではなく、もちろん足りない状況。国際会議で韓国からの出席者が多くなっているのは事実だが、これは韓国が国として力を入れて、数学者の多くをそちらにシフトさせていることによるもの。
  • CRYPTRECは国際的に非常に高く評価されているが、これで終わったわけではなく、今後これを使っていただくこと、その監視もしっかりやっていく必要がある。更には、もう少し暗号プロトコルなど応用寄りのところも評価して行く必要があるので、皆さんには今後ともご協力賜りたい。
(内閣官房)
  • 委員のご指摘をふまえて、この点も積極的に取り組んでまいりたい。

【III 申請・届出等手続の電子化】

(大山委員)

  • 以下の3点について質問したい。
  • まず、国税の電子申告システムは、他の電子申請システムと比べると、所要経費がかなり大きいが、どのような点で差異があるのかを教えて欲しい。
  • 次に、総務省の電子申請システムの説明の中に、代理申請・連名申請等の話が出ているが、利用者である国民の立場からすると各省ばらばらのシステムでは困る。政府全体で統一すべきと考えるが、この機能拡張に関して他省庁との関係はどうなっているか。
  • 最後に、システムの安値調達についてだが、普通は調達から廃棄までのライフサイクルで考えると思う。情報システムは単に飾っておくものではないので、運用・維持・管理費を含めて入札すべき。現在、政府ではどのような議論がなされているか。
(財務省)
  • 国税庁の電子申告・納税システムは、申告だけでなく、納税や申請等に係る開発を一体的に行っていること、個人プライバシー情報の最たるものを取り扱うものであるため、セキュリティに万全を期しながら開発を進めていること等から所要経費が大きくなっている。
(総務省)
  • 代理申請の方式そのものが、各申請手続の性格等に応じて幾つかの方法があり、現在のところ、政府で統一的な方法を採るところまでは至っていない。
  • しかしながら、委員ご指摘のとおり、複数の方式が並列すると利用者の目から見て使いにくいものとなる。先行技術の部分ではあるが、他省庁に必要な情報提供を行いつつ、この議論を進めていきたい。
(総務省)
  • ライフサイクルコストを踏まえた入札の在り方については、政府や与党とも検討を進めているところ。
  • 調達サイドが、例えば4〜5年先のシステム変更等を見通し、ライフサイクルとしてどの程度のコストが見込まれるかを予測できる人材が必要になってくる。その人材育成の問題も含め、議論を進めているところ。
(今井委員)
  • 先ほどの大山委員の2つ目の質問に関連してだが、連名申請は3名までか。
  • これは総務省のシステムにかなり依存したシステムになっていると思われるが、フレキシビリティや効率の面からも今後更に検討をしていただきたい。
(総務省)
  • 3人までとしたのは現状の総務省における連名申請の実態を調査し、上限が3人で十分と判断したことによるもの。
  • 委員のご指摘も踏まえ、今後さらに検討を進めていきたい。
(山口委員)
  • 国税庁の電子申告納税システムについて、まずは名古屋国税局管内でのトライアルシステムから始まるとのことだが、これが全国展開する場合にさらに追加的に支出が発生するのか。その場合、最終的な事業規模はどのくらいになるのか。
(財務省)
  • システム開発は既に全国展開ができるようになされており、当初は名古屋管内の納税者から段階的に始めるというもの。全国展開に伴って、更に別途の開発が必要になるという訳ではない。
(山口委員)
  • 再度確認だが、全国展開を進めるにあたって、当然利用者が増えることからサーバなどのハード部分を追加したり、ネットワークを増強することは考えないのか。
(財務省)
  • 受付システムは全国で1箇所あり、そこに全国の申請が集まってくるシステムである。既に、全国規模の運用を考えたシステムを作り上げており、追加的に何かを設けるということはない。
(礒山議長)
  • 平成15年度の運用経費は約88億円かかっているが、本来なら全国で運用してもいいくらいのコストではないかと思うが、どうか。まずは、名古屋管内の人だけ利用可能な先行方式ということか。
(財務省)
  • システムは既に全面的に運用できるようになっており、その点で、金額面で利用者が制限されている割には大きなものになっているが、システムの安定的な稼働に配意し、当初は対象者を限らせていただくということ。
(山口委員)
  • 総務省の電子申請・届出システムの利用件数を見ると、体験システムは1,000件以上あるが、実手続の利用はたったの2件と少なく、運用経費で割り戻すと、1件あたりの運用コストが極めて高い結果となっている。利用件数が少なかった理由をどのように考えているのか。PR等が足りないのではないか。
(総務省)
  • 行政手続の電子化を可能とする「オンライン化3法」がようやく本年2月に施行され、関係省令等を整備し、本年(平成15年)3月に電子申請可能な手続数を拡大してオンライン手続の本格運用を開始したところである。
  • これに先立ち、円滑な本格運用を迎えるため、昨年(平成14年)の3月に、まず「オンライン化3法」の成立前でも電子化が可能な、告示を根拠とする10件の行政手続の電子化を先行的・試行的に開始したところである。
  • ご指摘の、この1年の利用実績は、本格運用を開始するまでに試行的に開始した先行10手続によるものであり、また、従前の紙による申請件数も必ずしも多くないこともあって、2件と少なかったところ。
  • 当方としても、行政事務の簡素化・合理化という行政側にとってのメリットを享受するためにもオンライン利用の実績をあげることが重要と認識するところであり、今後、オンライン利用の普及促進に向け、ご指摘のようなPRを積極的に行ってまいりたい。
(山口委員)
  • 今年度の利用予想件数はどれくらいと考えているか。
(総務省)
  • まだ分からないが、PR活動の1つとして、本年3月以降、担当部局から業界団体を通じてオンライン手続の利用促進に関する連絡も行っている。こうした活動を継続し、利用件数を上げていくよう努力したい。
(伊藤委員)
  • 14年度から15年度にかけて、各システムがそれぞれ運用段階に入り、これらのシステムの運用は当然、膨大なデータの蓄積につながっていく。こうした蓄積データが無駄にならないように、その有効活用も非常に重要な課題だと考える。
  • これは単に方法論の改善だけでなく、行政そのものにも重要な役割を果たす情報になっていくのではないかと考える。
(内閣官房)
  • ご指摘の点だが、まさに現在ある業務を単にIT化するのではなく、いわゆる政府のBPR(Business Process Reengineering)>をしっかり行ったうえでIT化を進めないといけないという基本的な考え方に立っている。
  • データの有効活用については、業務プロセスの見直しと併せて取り組み、個人情報保護という点については、逆に十分配慮しながら進めてまいりたい。
(辻井委員)
  • 今度の「e-Japan戦略II(案)」で元気・安心ということが謳われているが、元気・安心というと医療ということ。この分野もきちんと取り組んでいただけるよう、厚生労働省にもお願いしたい。
(内閣官房)
  • この場にはご参加いただいていないが、非常に重要な点でもあるので、厚生労働省に確かに伝えさせていただき、政府としてしっかり取り組んでいくようにしたい。

【IV 総合行政ネットワーク、その他の関連施策】

(堀部委員)

  • 地方公共団体における電子認証システムは、住基ネットとどのような関連づけになっているのか。
(総務省)
  • 住民が行政機関に電子申請をする場合には、公的個人認証サービスで発行された電子証明書を添付することになるが、申請を受けた機関は当該証明書が有効か否かの確認を都道府県に対して行う(署名検証)。
  • 電子証明書の有効性の問い合わせに応じるために、都道府県は住所・氏名の変更、生存事実の3つの異動情報を基に失効リストを作成しており、この失効リストを更新するための情報は住基ネットからいただくことになっている。
(大山委員)
  • 総合行政ネットワーク(LGWAN)の説明で、ASP(Application Service Provider)サービスの推進が書かれており、その方向性は自然であると思う一方、個人情報保護等の面で現状の制度的な手当てだけで足りるのだろうかという点が少し気にかかる。
(総務省)
  • これだけ大がかりな外部委託は過去に例がないため、サービス発注者の自治体と受注者のASPベンダーのいずれにとっても、ある程度ルールが明確化された方が良いという機運があり、昨年から本年4月にかけて調査研究を行った。
  • SLA(Service Level Agreement)研究会という形で、情報セキュリティ対策・個人情報保護に関するルール・提供サービスの保証事項等を、ガイドラインとして提示させていただいた。


 4 政府の最新の取り組みとして、「電子政府構築計画(仮称)の策定に向けて」(CIO連絡会議決定)及び「e-Japan戦略II(案)」(IT戦略本部)について、内閣官房より説明。


 5 今後の対応等について

(礒山議長)

  • ミレニアム・プロジェクトは2003年度までであり、今年度が終わったところで、最後の総括的な報告書を出して終わる。
  • 来年の事業実施報告については事務局とこれから相談するが、プロジェクト終了時には、コスト対効果・サービスの使い勝手など、各省庁の施策を如何に評価・反省すべきかを改めて振り返ることのできる報告を行っていただくようにしたい。
(内閣官房)
  • 本日の各省庁の事業実施報告を踏まえ、欠席の委員も含め、各委員より評価・助言を頂戴し、これらを反映した評価報告報告書を取りまとめることとしたい。
  • 評価報告書については、これまでと同様、官邸ホームページで公開する。


(別紙)

 (委員)

礒山 隆夫 議長
伊藤 正雄 委員
今井 秀樹 委員
大山 永昭 委員
辻井 重男 委員
堀部 政男 委員
山口 英  委員

 (政府側)

内閣官房
防衛庁
金融庁
総務省
法務省
財務省
文部科学省
経済産業省
国土交通省