電子政府の実現プロジェクト


電子政府評価・助言会議(第8回)議事概要



I.日 時: 平成16年5月31日(月)14時〜16時
   
II.場 所: 内閣府地下講堂
   
III.出席者(別紙)
   
IV.議事経過

 1 礒山議長あいさつ

 2 各府省より、ミレニアム・プロジェクト関連施策について年次報告。

 3 各府省の年次報告についての各委員発言要旨は下記のとおり。


【I 認証基盤構築】

(内田委員)

  • 商業登記認証局の証明書の発行枚数が順調に伸びているが、今までのトータルでは何件くらいになるのか。
  • 15年度は前年に比して証明書の発行が大幅に増えているが、これは専ら手数料引き下げによるものか。

(法務省)

  • 運用を開始した12年10月から16年4月までの総数は2,480である。
  • 15年度に発行枚数が増えた要因として、手数料引き下げも当然あるが、もう1つは各府省の電子申請システムが普及し、利用される場が増えてきたことも併せて考えられる。

(多賀谷委員)

  • 13〜15年度にかけて国土交通省は約2,600枚の官職証明書を発行しているが、どのような基準で発行しているのか。

(国土交通省)

  • これまでに発行された約2,600枚のほとんどは、先行して導入していた電子入札(公共工事)に関係するもの。最近システムが整備されたばかりの電子申請に対する電子公文書発行関連の証明書は10数枚となっている。
  • これから物品(非公共)の電子入札が対応できるようになるので、発行枚数が何百枚という単位で増えると予想される。

(山口委員)

  • 各省庁の認証局でCP/CPSに基づく準拠性の監査を行っているところが増えているが、その実施頻度はどれくらいを考えているか。総務省では、具体的にどのようなことを行っているか。また、法務省の商業登記認証局もCAであり、CP/CPSや監査の方法について教えていただきたい。

(総務省)

  • 総務省では独自に外部監査チームをつくっており、ネットワークに接続されているものを中心に認証局についても監査を行っているが、準拠性については確認したい。

(山口委員)

  • CP/CPSでは監査の内容や監査の手順について規定しておくのが普通になっていると思う。

(総務省・法務省)

  • 確認して後ほどお答えする。

(堀部委員)

  • 電子署名法の施行状況について、どのように自己評価しているか。

(総務省)

  • 総務、法務、経済産業の3省で昨年度は普及活動を8件行っており、特定認証業務の認定件数は14年度の11件から、15年度は20件と増加率としては大幅に増えている。
  • 今年度も昨年度以上に普及啓発の場所・回数を増やして、更に認定件数が増えるようにしたい。


【II 共通基盤技術開発】

(辻井委員)

  • 現在、特に大事なのはICカードに対するセキュリティ評価基準である。フランスに評価を頼むということもあり得るが、国のセキュリティの根幹に関わることであるので、国が関与する、産・学・官連携の組織などが進めるべきと考える。やはり、こういうところでしっかり議論をして、評価をきちんとしておかないといけないのではないか。

(経済産業省)

  • 少し話がずれるかもしれないが、経済産業省ではISO15408を取得するよう各府省にも積極的に働きかけをしており、現在はISO15408を国の調達の強制基準にすることはできないが、これをもう少し広げることにより、ICカードの安全性を高めていきたい。

(辻井委員)

  • さきほどの話の補足をしたい。日本は暗号理論の分野では世界の先端でも、暗号モジュールやその評価ということになると、欧米に比して10年近い遅れがある。現在3つの評価機関があるが、専門家はあわせて10人程度しかいない。ミドルクラスでも育成に2〜3年はかかるし、さらに高度な人材はもっと時間がかかる。
  • 国が関与した組織を立ち上げることは、予算や行革の面で難しいかもしれないが、人材育成という具体的なところは是非お願いしたい。

(内閣官房)

  • セキュリティの重要性は国としても特に認識しており、本日おいでの山口委員にも「情報セキュリティ補佐官」に就任していただき、対策強化に努めているところである。
  • ICカードへの取り組みについては、本日ご指摘いただいた点も含めて、政府でもいろいろと検討させていただく。

(伊藤委員)

  • 経済産業省の汎用電子申請システム開発事業に関連して、15年度までに4,444の行政手続をオンライン化したとのことだが、こうした技術・システムを地方に移転あるいは供与した実績はあるか。
  • 15年度の実際の申請件数が1,125件となっているが、今後の利用拡大についてどういう見通しを立てているか。

(経済産業省)

  • 現時点で地方に実際に提供された実績はないが、地方自治体等から話があればその都度対応していくこととしている。すでに独立行政法人からの要請があるので、システム提供を進めていきたい。
  • 15年度はまだテスト段階であり、オンライン化された行政手続が300程度であった。今年の3月29日より電子申請がオープンしたところであるため、これから実績が伸びるだろうと考えている。現時点では2,000件強の累積がある。

(内田委員)

  • 総務省の公共電気通信システム開発における汎用技術の開発について、これは地方税の申告・納税を可能にするための技術という説明だったが、一連の手続の中で、金融機関は具体的にどのようことを行っているのか。国税の分野でもやっているような口座の振替か。そうであれば、特段新たな電子納税ではないと思うが、どうか。

(総務省)

  • 単純な振替ではない。
  • 金融機関から実際に納税されるところは、既存のマルチペイメントネットワークを活用することとして、既存技術の準用をうたっている。国税庁がセキュリティの関係から技術仕様を公開できないこともあり、総務省で独自に開発した。

(山口委員)

  • これらの技術を地方に採用することになるのか。また、どれくらいのところが採用するか、見込みはあるか。
  • 技術の提供形式と著作権(知的財産権)の所有主体はどこか。

(総務省)

  • 汎用技術と書いたのは共通部分であって、各自治体がそれぞれの事情にあわせてカスタマイズすることがあり得る。3月末に研究成果を出したばかりであり、どのくらいが採用するかという見込みは現時点ではまだない。
  • 自治体への提供形式はCD-ROMと報告書である。著作権は、独立行政法人の情報通信研究機構(旧通信・放送機構)が持っている。


【III 申請・届出等手続の電子化】

(堀部委員)

  • 情報公開の電子申請について今度実現し、まだ利用件数は少ないと思うが、行政文書そのものの電子化が進むことが必要である。行政文書の電子化を今後どう考えるか。
  • 来年4月施行の「行政機関個人情報保護法」について、電子申請するときの本人確認はどのように行うのか。

(総務省)

  • 堀部委員ご指摘のように、実際にどのような情報が電子化されているかという事が非常に重要であり、いま政府全体としてペーパレス化を進めているところである。また、行政文書ファイル管理簿に、媒体も含めどのような行政文書があるかということをきちんと登録することとしている。なお、昨年末の政令改正で、開示請求手数料について、紙で請求を行う場合には300円だったが、電子申請の場合には80円値引きして220円とした。
  • 来年4月に施行する「行政機関個人情報保護法」だが、住民基本台帳法の後に成立したため、本人確認について少し紙を使ったやり方を取っている。役所で直接確認を取る場合には身分証明書を提示するというやり方だが、郵送の場合には運転免許証あるいは健康保険証の写し、それに住民票の写しの確認という2つを併せて行う。

(大山委員)

  • 電子政府の構築については、3年間見ていても非常に大きく変化した。住基ネット、住基カード、公的個人認証の3つを使えば、ほとんどの行政サービスの基本のところには全部対応できるようになった。
  • 今後のことを言えば、そろそろ基本的な方針をはっきりした方がよい。例えば、本人確認するのに電子署名をさせていながら、アカウントとパスワードを使っているのはよく分からない。各府省の考えに統一性がないように思えるが、政府として申し合わせなり、方向性を見せれば産業界もそれに合わせてつくってくれると思う。
  • また、支払いの電子化について言うと、マルチペイメントの活用しか考えていないように思える。国民からすれば、せっかくカードが国民に配布できるようになっていて、なおかつ安全性を十分確保できるようにつくっているのだから、それを渡されて使うのであれば、申請・申告から手数料納付まで全て出来るようにすべきではないか。会計法等の問題は承知しつつも、例えば、クレジットカードの支払いもできるようにした方が良いのではないかと考える。
  • これは従来から申し上げていることだが、せっかく各府省が集まっているのだから、連携してやれば大幅にコストは削減するもの、国民の利便性が向上するものが出てくるような気がするので、その点も是非お考えいただきたい。

(内閣官房)

  • 今まで我々は電子政府の基盤をつくるということに重点を置いてきたが、ご存じのとおり、電子政府ランキングでは、国連の調査で18位、先日の民間調査で11位となっている。
  • 政府としては、CIO会議を開催するなどして統一的な取り組みを進めるとともに、世界最先端のIT国家を実現するため、電子政府・電子自治体の取組を加速させないといけないという認識を持っているので、ご指摘の点については、CIO会議や電子政府構築計画の中での検討課題とさせていただく。

(内田委員)

  • 政府調達の電子化について質問したい。これまでに330件の物品について電子入札が行われたとのことだが、実際にどのような物品について行われているのか。
  • また、今後取り組む「契約の電子化」について、現在、契約書を作成しない契約が全体の契約件数の8割以上との説明があったが、この点をもう少し詳しくご説明願いたい。

(総務省)

  • これまでに入・開札の電子化の対象となった物品は、旧郵政事業庁関係の物品である。他省庁は今年の2〜3月に導入したばかりであるので、まだほとんど実績がない。
  • 契約の電子化検討会で調査したところ、契約書を作成しない(請書による)契約が全体の8割以上を占めることが分かった。これらは1件あたりの額は小さいが、件数が多く、人手もかかるため、電子化に当たってこれらの調達をどうするかをさらに検討していく。

(内田委員)

  • 請書だけの契約と、契約書を作成するものは紙ベースでは違うものかもしれないが、電子的には一緒のものと思えるが、どうか。

(多賀谷委員)

  • 総務省の検討会で座長を務めているので、私から補足説明をしたい。いまの内田委員のご指摘は正論だが、現実にそのとおりにするとこのシステムがうまく機能しない。
  • さきほど総務省から説明があったように、全体の8割以上は契約書を作成しない契約。請書と契約書は電子的には確かに同じ性格をもつが、契約の電子化に当たって同じ扱いにすると煩瑣な手続きとなり、数倍の手間になることが予想される。
  • 今後更に検討することになるが、ヨーロッパではカタログ型購買システムを用いて、契約手続きに係る手間を省いているようである。やはり、セキュリティを高めつつ、手間を省略するようなシステムを考案しないと実現が難しいのではないか。

(山口委員)

  • 国税の電子申告システムについて、平成16年度の運用経費の中に、システム開発に約22億円とあるが、具体的にどのような中身か。
  • 電子申告にあたって、民間会社の開発した電子申請対応の市販ソフトが利用可能とのことだが、これは日本の話か、アメリカの話か。

(財務省)

  • 税務は独特の世界であり、税法は毎年確実にかなりの規模の改正が行われる。このため、運用の段階に入っても、維持管理のためのシステム開発が続いていくことになる。
  • 2つめのご質問は日本の話である。民間の会計ソフトに国税の電子申告に対応する機能を組み込んでいただき、税理士事務所等を通じた電子申告が円滑に進むようにしている。

(礒山議長)

  • システム開発の約22億円は、事業実施報告書で言うと「運用等、恒常的に要する費用」ではなく「開発等、一時的に要する費用」に分類されるものではないか。民間会社ではこれらはしっかり分けているところである。

(財務省)

  • 電子申告システムの土台・基盤となるものを開発費等に、それ以降に要する費用はシステム開発もあるが、毎年大体似たような金額ずつ発生していくので、運用経費に含めて計上している。

(礒山議長)

  • 今後も開発費が出ていくことは承知しているが、システム開発分は開発に要する経費として、性格をきちんと踏まえたうえで分類された方がよいかと思う。

(多賀谷委員)

  • 先ほどの国税の電子申告について、民間会社の開発した電子申請対応の市販ソフトが利用可能という話が出たが、行政手続において本人が申請するのではなく、そのシステムが複雑なために代理人を通じて申請される場合、そのソフトを誰がつくって、どういう形になるのか、省庁ごとにはっきりしていないと思われるため、ある段階で何らかの方針を出さなければいけない。
  • 代理人申請が行われる場合には、申請関連ソフトの開発やその公開については、特定のところに限ることなく、一番使いやすいシステムをつくった者が伸びるというようにした方が良いと思う。ただ、開発コストがかかってしまうと誰も参入できなくなるので、その点は十分留意すべきである。
  • 基本的に、申請するのは個人よりも代理業者的な方が入ってくる可能性が高いということを十分勘案すべきと思う。

(伊藤委員)

  • 計画通りに開発が進んで、ほぼ運用段階に入ってきているのは大変結構だが、運用段階で留意すべきものの1つは、やはり利用拡大である。
  • 金融庁の報告の中で、EDINETによる開示書類の提出会社数は15年度末で3,900社となっているが、国内の総企業数から見て、これからどのように利用拡大を図っていくつもりか。情報アクセス件数が約8万3,600件とかなり伸びている状況のもと、利用拡大に関してもう少し考える必要があるのではないか。

(金融庁)

  • 15年度末時点で、EDINETを利用して有価証券報告書等を提出している企業数は3,900社近くまで増加してきているが、これを目標としては4,500社近くの企業が使えるようにしていきたい。
  • 利用拡大については、金融庁に御意見箱を設けており、いただいたご意見も参考にしながら利便性の向上を図ることにより、更にアクセス件数等を増やして参りたい。


【IV 総合行政ネットワーク、その他の関連施策】

(大山委員)

  • 総合行政ネットワーク(LGWAN)について確認したい。地方ではいまだにISDNを使用しているところがあると聞いたことがあるが、これはLGWANの全体の運用から見てどう考えるか。
  • もう1つ、長野県の問題でも話が出たが、インターネットからではなく、庁内のLANにハブ・ルータを置き、自分のコンピュータを差して乗っ取るという話がある。住基ネットと従来のシステムはきれいに切れるようになっているが、LGWANについてはどうなっているか、大丈夫と考えて良いか。
  • 最後に、既存の自治体のシステムのセキュリティに対する脆弱性については今後どのような対策を講じようとしているか。

(総務省)

  • 市町村から都道府県ネットオペレーションセンターまでのアクセス回線は、かなりの地域において都道府県が自発的に整備を進めているブロードバンドを使っており、ISDNがLGWANにつながっていることはないと認識している。
  • もともとLGWANは各自治体の庁内LANをつなぐネットワークだが、LAWANと庁内LANの間に境界弁があり、LGWAN提供設備を設置することになっている。LGWANは参加する各自治体における最低限のセキュリティ対策がきちんとされているという相互信頼の上に成り立っており、各自治体ではLGWAN及び庁内LAN相互からのアクセスに対してファイアウォールと適切な措置を取っている。
  • また、各自治体がCIOを中心とする体制整備するとともに、個人情報保護条例やセキュリティポリシーの制定するよう要請しているところであり、これを1年半で100%に持っていきたいと考えている。
  • 条例とセキュリティポリシー、セキュリティ監査を3つの柱にして、地方のセキュリティ対策を進めてまいりたい。

(山口委員)

  • LGWANの監査の主体はどこになるのか。
  • 事業実施報告書では、LGWANや地方公共団体における電子認証システムの所用経費について「地方財政措置により適切に支援」となっているが、具体的にはいくらか。
  • LGAWANは霞ヶ関WANとの相互接続となっているが、セキュリティポリシーの差があるので、その辺りの整合性は取れているか。

(総務省)

  • セキュリティ監査については、昨年末に総務省版のセキュリティ監査のガイドラインを地方自治体に通知をし、今年度から地方財政措置として41億円措置している。そして、すべての地方自治体が16年度中に1回は外部の第三者の専門機関により監査を受けるよう要請を行っている。監査を誰が行うかについては、特段の制約は設けていない。
  • LGWAN等の所用経費については、確認して後ほど書面で回答したい。
  • 霞ヶ関WANとの整合性についてのお尋ねだが、LGWANの方が後に出来たものであり、霞ヶ関WANとの接続を想定して作られている。地方自治体が共同でLGWANを運営しており、LGWAN運営協議会でセキュリティポリシーを策定するという形になっている。

(内田委員)

  • 公的個人認証は、世界の中でも類例のないほど質の高い個人認証であると思っている。これを共通のリソースとして民間でも使えるようにすることは新しいビジネスチャンスを広げる上でも意味があると考えるが、今後何か展望はあるか。あるいは実際の動きがあるかについて教えていただきたい。

(総務省)

  • 公的個人認証サービスでは、電子署名書が有効かどうかを確認できる権能を持った者(署名検証者)として行政機関と民間認証事業者の2つのカテゴリーがある。
  • 行政機関の活用方策では、地域再生の一環として、地域通貨のモデルシステムに今年度取り組んでいるところである。
  • 民間の認証事業者については、法律上、いわゆる民間の認証業務に使うという縛りがかかっており、自ら発行する電子証明書の有効性検証と最初の本人確認を行うというところだけに限られている。
  • これは民業圧迫の問題もあるが、住基ネットの4情報(氏名、年齢、住所、性別)に変更があれば公的個人認証サイドに通知がなされることになっており、使い方によってはプライバシーに踏み込むことが可能になるため、公的個人認証サービスの対象の拡充については現在慎重に検討しているところである。

 4 政府の最新の取り組みとして、「電子政府構築計画の見直し」について内閣官房より説明。

 5 今後の対応等について

(内閣官房)

  • 本日の各省庁の事業実施報告を踏まえ、各委員より評価・助言を頂戴し、これらを反映した評価報告書を取りまとめることとしたい。
  • 評価報告書については、これまでと同様、官邸ホームページで公開する。

(礒山議長)

  • ミレニアム・プロジェクトは15年度までであり、今回の最終報告書をまとめて活動を終える。
  • ここに至るまでの評価・助言委員各位、関係府省のご協力に対して感謝申し上げたい。


(別紙)

 (委員)

礒山 隆夫 議長
伊藤 正雄 委員
内田 貴  委員
大山 永昭 委員
多賀谷一照 委員
辻井 重男 委員
堀部 政男 委員
山口 英  委員

 (政府側)

内閣官房
防衛庁
金融庁
総務省
法務省
財務省
文部科学省
経済産業省
国土交通省