燃料電池プロジェクト

ミレニアム・プロジェクト

固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備事業
平成15年度年次評価報告書




燃料電池評価・助言会議
平成16年6月


目  次

−燃料電池評価・助言会議年次報告書−
1.ミレニアム・プロジェクト「燃料電池」の概要   ・・・・・ 1
2.平成15年度事業実施報告   ・・・・・ 2
3.平成15年度の事業実施に対する評価と助言   ・・・・・ 3
(1)プロジェクト全体に対する評価と助言   ・・・・・ 3
(2)自動車用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備に対する評価と助言   ・・・・・ 4
(3)定置用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備に対する評価と助言   ・・・・・ 5


−燃料電池評価・助言会議年次報告書・参考資料−
 (参考1)燃料電池評価・助言会議委員名簿   ・・・・・ 8
 (参考2)燃料電池評価・助言会議を踏まえての対応   ・・・・・ 9


1.ミレニアム・プロジェクト「燃料電池」の概要
(1)ミレニアム・プロジェクト
 平成11年12月、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むこととし、今後の我が国経済社会にとって重要性や緊急性の高い情報化、高齢化、環境対応の3つの分野について、新しい千年紀プロジェクト、すなわちミレニアム・プロジェクトが内閣総理大臣により決定された。
(2)「燃料電池」の概要
 ミレニアム・プロジェクトの3分野のうち、「環境対応」については、「安心・安全の生活のためのダイオキシン類、環境ホルモン(内分泌撹乱物質)の適正管理、無害化の促進及びリサイクル技術の開発」、「循環型経済社会構築のための大規模な調査研究」と並んで、「地球温暖化防止のための次世代技術の開発・導入」が取り上げられた。その中で「テクノスーパーライナー」、「成層圏プラットフォーム」、「高度海洋監視システム」と並んで「燃料電池」に取り組むこととされた。
目標
 自動車用及び定置用の固体高分子形燃料電池システムの普及に必要な基盤を整備する。
プロジェクトの概要
自動車用及び定置用燃料電池のシステムや電池本体等の部品の信頼性や性能に係わる項目、安全性に係わる項目、燃料に係わる項目、その他環境に与える影響等に係わる項目について、基準及び標準化に必要なデータを取得し、それらを確立する。
上記の試験及び評価方法により得られた知見をもとに、国内外の基準及び標準化に資する。
(3)燃料電池評価・助言会議の経緯
 ミレニアム・プロジェクトについては、省庁横断的な取り組みと官民の十分な連携を図ることはもとより、明確な実現目標の設定、複数年度にわたる実施のための年次計画の明示のほか、有識者による評価・助言体制の確立を図るという、新しい試みが導入された。
 これを受けて、「燃料電池」プロジェクトについても平成12年7月13日に第1回評価・助言会議が開催されたが、その構成員は本プロジェクトにつき専門的見地から客観的・中立的な評価を行うため、(参考1)のとおりとされた。
 第2回評価・助言会議は平成13年5月14日、平成12年度の事業実施報告を基に実施された。結果は平成12年度年次評価報告書にまとめた。
 第3回評価・助言会議は平成14年5月22日、平成13年度の事業実施報告を基に実施された。結果は平成13年度年次評価報告書にまとめた。
 第4回評価・助言会議は平成15年6月26日、平成14年度の事業実施報告を基に実施された。結果は平成14年度年次評価報告書にまとめた。
 第5回評価・助言会議は平成16年6月2日、平成15年度の事業実施報告を基に実施され、今回評価報告書の作成方、要請を受けたところである。

2.平成15年度事業実施報告
平成15年度に実施した事業の概要は以下のとおりである。
(1)総論
 平成14年度の事業に対する評価・助言会議での指摘を踏まえ、関係団体や関係省庁との連携強化に努めるとともに、国際及び国内標準化、安全対策等の法規対応に対し、確実かつスピーディな事業推進を行い本年度の目標を総じて達成した。
(2)各論
自動車用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備
 試験項目、試験方法等の見直しを実施。優先度の高い項目について、試験を行う上での必要な部品、評価試験装置の設計、試作、導入を行い、これら装置を用いて、
燃費、材料等の性能に関する試験
不純物の影響評価、水素付臭剤の検討等の燃料性状に関する検討
衝撃試験、火災試験、水素漏洩シミュレーション等の安全性に関する試験
を行った。これら試験等を通じて得られた知見を基に、特に性能に関しては新規に国際標準案を提案する等の積極的な活動を展開した。性能試験のために準備した標準セルは、国内外で注目された。さらに、同条件で繰り返し燃料電池等の安全性を検討できる設備を準備した。また、燃料電池自動車の市場導入に向けて、安全性に関するデータが国土交通省、総務省などにも提供され、燃料電池自動車に関する規制見直しに活用されている。
定置用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備
 試験項目、試験方法等の見直しを実施。優先度の高い項目について、試験を行う上での必要な部品、評価試験装置の設計、試作、導入を行い、これら装置を用いて、
負荷追従、電磁波の影響試験、騒音試験等のシステム基本性能試験
酸化剤ガス中の塩化ナトリウム、燃料ガス中のアンモニアの影響調査等の耐環境性に関するセルスタック基本性能試験
外部・内部異常時の安全に関わる試験
を行った。また、国内標準審議団体および関連省庁との連携を強化し、試験等を通じて得られた知見を、自主安全基準および国内外標準化等に反映するとともに、不活性ガス置換省略、設置離隔距離などの国内規制検討の場に順次寄与した。

3.平成15年度の事業実施に対する評価と助言
(1)プロジェクト全体に対する評価と助言
 事業の内容および進め方については、大枠妥当である。
 平成14年度の評価・助言会議での指摘に対し、推進に必要な体制面の強化も確実に行い、試験項目の優先度付けと実施計画の前倒し等、スピーディかつ積極的な取り組みが行われている。
 進捗については、目標に対して着実に推進されており、総じて目標を達成している。
 今後、事業の最終年度として、実施内容に取りこぼしの無いように務め、燃料電池実用化に向けた研究開発や普及促進に寄与し、この分野で我が国が主導的な役割を果たすために、国際的な標準基準の動向を把握し、関係団体・省庁・民間、および、実証等の他事業の緊密な連携を維持して取り組むことが肝要である。 
 加えて、自動車用、定置用ともに、燃料電池の実利用環境をもれなく想定して、データ取得を進め、想定条件、試験手順・経過、取りまとめ、課題抽出など、今後の研究開発や基準作りに活用できるように、極力詳細な情報公開に努めて欲しい。また、普及促進に向けて、燃料電池に関して幅広く分かりやすい理解を得られるように啓蒙活動的な取り組みも期待したい。また、燃料電池の国内外標準化活動は重要であり、継続的な推進・支援が必要である。
 具体的には、
本事業終了後を含め、今後の研究開発にあたり、試験実施における燃料電池の測定等で利用した計測機器の要求性能や計測のノウハウなども報告に記載すること。
セル性能評価におけるデータ解析においては、さらに詳細な解析検討を望む。今後の開発のためにも、材料やセルなどの性能評価で得られた問題・課題点の開示を望む。耐久性試験は、普及のためには重要な項目であり、劣化解析の検討を望む。
燃料電池の普及推進に向け、一般の利用者に理解しやすい情報を流して欲しい。特に、安全性に関しては、もっとかみ砕いた説明が必要である。普及促進に向けて、広報活動も考える段階ではないか。
(2)自動車用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備に対する評価と助言
現状分析
 良好である。優先度付けが行われ、国際標準化活動においてデータに基づく展開により日本が主導的な立場を担っている点や、標準セルの提案など、技術開発促進のために技術的な知見を一般公開する事等、着実な取り組みはたいへん高く評価できる。 
 最終年度に向けて、新たな知見に対する解析・考察を十分に進める共に、標準化活動や安全性の確保に向けた着実な取り組みを期待する。
実施目標の達成度
 良好である。たいへん評価できる。概ね計画通りで、部分的には前倒しで確実な進捗が得られている。今後も目標達成に向けて大きな障害は見られない。
 個別には、
性能試験方法の検討では、燃費試験方法について、新たに国際標準提案に寄与した点や、具体的に標準セルという形で技術的な知見を公開している点、
燃料性状規格検討では、燃料水素に含まれる不純物の燃料電池性能に及ぼす影響の体系的な調査、また、水素用付臭剤に関して新たな候補物質の選定等を行っている点、
安全性評価については、海外機関の火炎暴露試験方法のクロスチェック行い、高圧ガス保安法例示基準案策定に反映し、今後、繰り返し、同条件で検討できる水素燃料電池安全性評価試験棟を準備した点、
等が挙げられる。
具体的改善点
 燃料電池の安全性評価では実利用環境を想定して、データ取得を進め、試験の想定条件、試験経過などを明確に、また、材料の特性・耐久性評価等で抽出された課題についても、可能な限り情報公開を進める事である。
 個別には、
燃料電池からの水素パージにおいて、実利用時の環境設定をもれなく想定して、水素濃度などの安全性評価をすること。
材料特性評価を行う時に抽出された材料の課題を取りまとめること。
安全性に関しては今後とも精力的に、また耐久性に関しても随時検討を進めると共に、取得した知見についてはできる限り分かりやすく公表すること。
(3)定置用固体高分子形燃料電池システム普及基盤整備に対する評価と助言
現状分析
 良好である。国内外の動向に基づき、優先度付けが行われ、また市場環境を想定した試験も検討され、得られた知見は、順次自主安全基準、国内外標準案に寄与している。特に、定置用燃料電池導入に向けた国内の規制見直し検討に対する取り組みは着実に進捗しており、たいへん高く評価できる。
 事業活動を通じて、多くの知見が集約されつつあるため、今後とも解析・考察を十分に進め、規制見直しや標準化へ着実に対応すると共に、得られた知見の積極的な公開を期待する。
実施目標の達成度
 良好である。概ね計画通りで、部分的には前倒しで、着実な進捗が得られている。今後も目標達成に向けて大きな障害は見られない。
 個別には、
定置用燃料電池システムの普及に不可欠な規制見直しに対応し、規制緩和5項目について着実な成果が得られている点。
性能試験方法に関しては、システムの負荷追従試験、騒音測定、不純物影響試験、塩害といった耐環境性試験等の計測結果を検討し、順次、自主安全基準、JIS原案、国際標準提案に寄与している点
安全性試験に関しては、停電を想定した異常時の安全性の検討が着実に行われている点
が挙げられる。
具体的改善点
 個別には、
耐久性評価試験では、2種類の運転パターンを提案しているが、実際の燃料電池利用を考慮した運転パターンや劣化判定条件については劣化要因等を把握した上での一歩踏み込んだ検討を期待する。
安全性に関する知見の幅広い情報開示すべきである。



−燃料電池評価・助言会議年次報告書・参考資料−


(参考1)燃料電池評価・助言会議委員名簿   ・・・・・ 8
(参考2)燃料電池評価・助言会議を踏まえての対応   ・・・・・ 9