ゲノムプロジェクト

ミレニアム・ゲノム・プロジェクト 第2回評価・助言会議議事概要



1.日時:平成13年6月13日 9:00--12:10

2.場所:内閣府庁舎 地下講堂

3.出席委員 (敬称略・順不同)

[評価助言会議委員] 井村議長、大石委員、竹市委員、寺田委員、中西委員、中村(桂)委員、西塚委員、原田委員、藤野委員、山野井委員
[実施会議メンバー等] 高久議長、中村(祐)委員、廣橋委員、五條堀委員、西川委員、桂委員、木村委員(金澤委員代理)、大木委員、三木委員、春日委員、斎藤委員、澤田委員

4.議事次第
(1) 開会
(2) 議事
 実施会議の高久議長から実施状況の全体概要をご説明いただいた後、各項目について各委員から、順次資料を用いてご説明頂いた。
10分間の休憩時間を挟んで質疑応答、意見交換が行われた。
(3) 閉会

5.議事概要は以下のとおり。

【ゲノム多様性解析プロジェクト関連】

(中西委員)全世界的レベル、特に米国と比較した場合、日本のプロジェクトの特徴はどこにあるのか。また、疾患遺伝子プロジェクトとの相互の連携の取り方はどうなっているのか?

(中村(祐)委員)米国でのSNPデータベースにはエラーも多いと言われるが、当方のデータは質が高い。また、サンプルが日本人集団に特化している。タイピング速度も、米は2000万SNP/年、当方は1億SNP/年であり5倍。適切な技術開発も行いながら、解析をしてきている。また、ゲノム多様性解析プロジェクトから出てくる情報や技術開発した世界最速のタイピングシステムを、疾患遺伝子解析チームが活用し、プロジェクトの推進をサポートする等連携を図っている。

(寺田委員)サンプルの収集は大変だったと思うがどのように収集を行ったのか。

(中村(祐)委員)早期に倫理委員会を立ち上げて対応した。十分な情報管理体制の中で、倫理委員会の承認を得て実施している。

(大石委員)完全長cDNAとして集めたcDNAのうちタンパク質の機能解析に利用できるのがどれくらいと考えるか。

(中村(祐)委員)コンピューテーショナルな解析のフルレングスや強引なPCRでの増幅では、本来の機能を反映しているかどうかは疑問が残る。別の方法で作り直して機能解析或いはタンパクの合成に持っていった方がいいのではないかと個人的には思う。

【疾患遺伝子プロジェクト関連】

(中西委員)ゲノム多様性解析プロジェクトとの連携によって実施する5疾患各200検体の調査は如何にして行うのか。

(廣橋委員)タイピングセンター2カ所が連携して各サブチームから集められた資料検体に関し10万カ所のSNPを対象に、タイピング解析を行い、疾病関連遺伝子候補を絞り込む。とともに、その結果を各サブチームにフィードバックして、さらに臨床情報、献体検体数を増やして解析を進め、疾病関連遺伝子を同定する。

 多面的なアプローチもに加えて、ゲノム多様性解析プロジェクトとの連携でゲノムワイドのに解析する手法を採用することとした。

【バイオインフォマティクスプロジェクト関連】

(竹市委員)バイオインフォマティクスという新しい分野をどのように推進させていくつもりなのか。また、人材の養成についてどのように考えているのか。

(五條堀委員)バイオインフォマティクスへの取り組みには二つの側面で分ける必要がある。一つは、生命現象を、情報の流れとしてみること。いわば情報生物学という立場。二つ目はITをバイオにどう取り入れるかということ。この二つの側面を同時に考える必要があると思う。 
 人材育成については、高校生からの教育も重要。大学の学部の新設も必要。米国のように、数学・物理・化学系の人にバイオを徹底的に教えるようなコースを設けることも考えられる。また、産業界における人材育成も必要。中国等のアジア・オセアニアの優秀な頭脳をどう取り込んでいくかも考えていくべき。国際的には、バイオインフォマティクスの分野はこれからであり、日本主導による世界標準をどう構築していくかが重要であり、バイオインフォマティクスサミットのようなものを日本主導で開催したい。拠点の整備が必要ではないか。

【発生・分化・再生プロジェクト関連】

(竹市委員)発生・分化は極めて複合的で複雑である。例えばSNPsとか特定の病気の遺伝子とかというのは目標が明快であるが、発生・分化・再生プロジェクトは、そういう意味では分かり難い。分類分けをして、横断的にまとめると、分野の進展状況が明快になるのではないか。

(西川委員)臨床のニーズがはっきりしているものについては、例えばパーキンソン病の治療という形で一度横断的に把握する必要があると認識している。シンポジウム等で結果を公表している。臨床のテーマとしては、神経・血管で横断的に今年中にまとめたいと考えている。ES細胞についてもまとめたいと考えている。

【イネゲノムプロジェクト関連】

(中西委員)イネに関する国際的な取り組みの現状はどうなっているのか。

(桂委員)イネについては海外民間企業によりシーケンスデータが公開されたという発表があったが、現状では公開されていないので、自由にアクセスできない。
 昨年、モンサント社が国際コンソーシアムに解読データを提供してきた。我が国は国際コンソーシアムの基本方針に基づいて解読データを今日表している。
 特許情報はまだ出てきていないので、米国の民間企業における機能解明が何処まで進んでいるか不明。
 DNAマーカー、交配材料等の研究資源を考慮すると、現在日本は世界のトップ水準と認識。

(大石委員)海外民間企業により公開されたデータを買ってきて、スタートラインを合わせて、機能解明に重点を置いてはどうか。

(桂委員)国際コンソーシアムの完全な形での解読は、比較ゲノム学、遺伝子の機能解明等の研究基盤の構築に貢献している。データを購入する場合、得られた成果の知的所有権等の問題が残るため必ずしも得策でない。
 解読を加速的に推進して、2?2.5年で終わるなら、日本を中心とした国際コンソーシアムで実施すべき。

(井村議長)イネゲノム研究では遺伝子の機能解明が重要なステップであるが、どのように選んでいるのか。

(桂委員)日本中のイネ関係の先生の協力を頂きながら(数十大学、約100研究室)総力を結集して推進中。
 植物関係は、従来、特許に疎い分野。特に大学での特許取得のサポート体制が必要。

【その他】

(中村(桂)委員)プロジェクトを外側で見ている人が期待しているのは、臨床で何ができるのかということ。日本は、研究成果が臨床に繋がりにくいが、臨床・創薬にどう繋がっていくのか、何をどう克服すればいいかということも併せて報告することが重要である。研究を行う側のプロジェクトとしての意識にも反映させる必要がある。

(西塚委員)物質から機能を解明することは非常に困難な作業。解明を行う際に、その行為を支える目的が重要。競争も重要だが、目的を見失うと意味が無くなる。
 生命科学の領域ではもっと個人の発想に基づく研究が非常に必要であって、新しいブレイクスルーをもたらすことが多い。そのような研究を守っていきたい。

(井村議長)国際競争が激しい当該分野において、日本独自のものが出せるよう大変良く成果が上がっていると思う。しかし、ミレニアム・プロジェクトは、特にヒトゲノムに関しては一番大きな研究費が投入されており、我々としては非常に責任が大きく、それに関し、知的財産を蓄積していかないといけない。また、故小渕元総理の「日本再生のため」という思いがあったことを忘れてはならない。