ゲノムプロジェクト

ミレニアム・ゲノム・プロジェクト平成12年度評価報告書





 ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)は、平成11年12月、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むこととして始まった。具体的には、夢と活力に満ちた次世紀を迎えるために、今後の我が国経済社会にとって重要性や緊要性の高い情報化、高齢化、環境対応の三分野について、技術革新を中心とした産学官共同プロジェクトを構築し、明るい未来を切り開く核を作り上げるものである。
 ミレニアム・プロジェクトの高齢化分野に該当する「高齢化社会に対応し個人の特徴に応じた革新的医療の実現」(ヒトゲノム)、「豊かで健康な食生活と安心して暮らせる生活環境の実現」(イネゲノム)においては、ゲノムに係る研究開発を、国家のイニシアティブの下に、研究者を結集して強力に推し進めることにより、来るべき新世紀を高齢者にとって活気ある社会への道を切り拓き、安全性の確保と国民の理解の増進を図りつつ、バイオテクノロジーの応用によって幅広い分野における新しい産業の創出を図っていくことを目指すとともに、新世紀の人類社会の発展に、大きく貢献していくこととしている。
 具体的な事業内容の構築に当たっては、府省横断的な取り組みと官民の十分な連携を図ることはもとより、明確な実現目標の設定、複数年度にわたる実施のための年次計画の明示や有識者による評価・助言体制の確立を図るとの新たな試みを取り入れている。
 本評価・助言会議は、「高齢化社会に対応し個人の特徴に応じた革新的医療の実現」(ヒトゲノム)、「豊かで健康な食生活と安心して暮らせる生活環境の実現」(イネゲノム)の両プロジェクトについて評価・助言を行うために設置されているが、平成12年度が終了したことに伴い、各評価・助言委員からの意見に基づき、今般中間評価として「初年度の評価書」を以下のとおり取りまとめた。
※本評価・助言会議の構成員及び開催経緯については、別紙参照。

I.ミレニアム・ゲノム・プロジェクトの概要

1.目標

 2004年度を目標に、

2.プロジェクトの概要

【実現目標】

<ヒトゲノム解析を突破口とした5大疾患の克服>
 2001年度までに、

<イネゲノムの解析による高機能作物及び低農薬作物の実現> 【個別プロジェクト】
 関係省間の強固な連携体制の下、プロジェクトの円滑かつ効率的な実施のため、各個別事業の研究代表者から構成されるプロジェクト・チーム(@ヒトゲノム多様性、A疾患遺伝子、Bバイオ・インフォマティクス、C発生・分化・再生、Dイネゲノム)を部門毎に設け、プロジェクトを推進する。

(ヒトゲノム多様性解析プロジェクト)

(疾患遺伝子プロジェクト)

(バイオ・インフォマティクスプロジェクト)

(発生・分化・再生プロジェクト)

(イネゲノムプロジェクト)

II.平成12年度評価・助言

 プロジェクト全体及び各プロジェクトについて、現状分析、実施目標の達成度、具体的
 改善点を中心に検討を行ったところ、その概要は以下(詳細は別紙)のとおり。

A.総括的評価

1.プロジェクト全般

zzプロジェクトはヒトゲノム関係、発生・再生関係、イネゲノム関係に大別できるが、それぞれにおいて全体な目標を設定するとともに、リーダー(分野によってはサブリーダー)を決めることで、研究の連携を図る体制が整ってきている。特に一部のチームでは実現目標を上回る成果が上がるなど、初年度としては、概ね順調にプロジェクトが進展しているものと評価できる。 zz一方で、欧米諸国における進捗状況など、国際的な研究開発動向を把握し、日本の優位性を生かした特長あるプロジェクトであるかを見極めた上で、今後の展開を検討することが重要であり、また、プロジェクト及び研究相互の連携の緊密化や、必要に応じた目標又は体制の見直し等によって研究開発の効率性を高めるとともに、得られた成果が円滑に産業化、実用化されることが不可欠である。

2.個別プロジェクト

 本プロジェクトは、プロジェクト・チーム(@ヒトゲノム多様性、A疾患遺伝子、Bバイオ・インフォマティクス、C発生・分化・再生、Dイネゲノム)を構成し、事業を実施していることから、個別プロジェクトはプロジェクト・チームを単位として評価をする。
  1. ヒトゲノム多様性解析プロジェクト
     ヒト遺伝子約3万個に対応する完全長cDNAの構造解析、個人間のヒトゲノムDNA配列上の異なる部分(SNPs)約15万箇所を目標にヒトのDNAの遺伝子部分の解析、疾患関連遺伝子の探索、疾患とSNPsとの関連性等の体系的な研究を実施しているところである。また、これら遺伝子解析を行う上での倫理的問題に関するガイドラインが確立された。
     既に10万の標準SNPが発見されるなど、達成度は目標どおり成果を上げており、順調にプロジェクトが実施されているものと評価できる。今後、完全長cDNA、標準SNPs、疾患関連SNPs、さらには疾患遺伝子プロジェクト、バイオ・インフォマティクスプロジェクトと一層強固な連携を取りながら、将来のテーラーメイド医療につなげていくことが重要である。

  2. 疾患遺伝子プロジェクト
     痴呆、がん、糖尿病等の疾患関連遺伝子及び薬剤反応性関連遺伝子について、SNPs解析手法や、発現異常の網羅的解析法等を用いて解明するとともに、新たな治療法、創薬に関する研究に着手したところである。また、前述のとおり、遺伝子解析を行う上でのガイドラインが確立された。
     初年度は、本プロジェクトの推進体制の構築、ヒトゲノム多様性解析プロジェクト・チームとの共同によるSNPs解析を開始するなど順調に立ち上がっており、今後のプロジェクトの進展が期待できる。今後、具体的な遺伝子同定に至る過程で、チーム間での遂行力の差が生じることもあり得、柔軟な対応が一層求められる。

  3. バイオ・インフォマティクスプロジェクト
     ヒトゲノム関連データベース、標準多型データベース、生物遺伝資源に関するデータベース等を構築し、ゲノム研究成果の共通研究基盤として、DNAデータバンクを含めてネットワーク化するとともに、バイオテクノロジー関連の膨大なデータの利用環境の高度化を図るため、統合データベースの開発・提供に着手したところである。
     多様なデータベースの構築は極めて有用であり、遺伝資源データベース、技術開発等も着実に進められており、今後の発展に期待ができる。一方で、当該分野は急速に進展が予想される分野であることから、国際的な我が国の先導的役割を見極め、適宜、適切な研究の見直し、柔軟な研究体制のもとプロジェクトを推進するとともに、人材の育成にも十分に配慮すべきである。

  4. 発生・分化・再生プロジェクト
     初期発生、組織・細胞の分化等の基礎研究(発生のしくみ及び分化・再生のしくみの領域)から、ヒトの組織等の再生医療や遺伝子治療等を視野に入れた臨床臨床応用(医療への応用の領域)まで、体系的に着手したところである。
     基礎研究の成果をスムーズに医療等の応用に結びつける基本コンセプトで研究計画の策定、実施体制の構築等行われていることは評価できる。発生・分化・再生は、基礎研究の必要な分野であり基礎研究の重視の取り組みとあわせ、臨床・医療の場での成果も把握し、当該分野の成果が実際の医療にいかに役立つか検討することも重要である。

  5. イネゲノムプロジェクト
     イネゲノムの有用遺伝子解明に必要な塩基配列の解析、完全長cDNAライブラリーの整備を行い、これらの成果をもとに機能性物質生成関連遺伝子や病虫害抵抗性遺伝子などの有用遺伝子の単離・機能解明、育種の効率化・高度化を図っている。また、イネゲノム研究の成果等の最新の知見をもとに実現目標の達成に向けた実用化技術の開発を実施している。
     社会的に非常に重要なプロジェクトであり、イネゲノム解読、cDNAライブラリー、機能解析は着々と進んでおり、一定の成果を上げているものと評価できる。しかしながら、外国企業が同一種イネゲノムのドラフトシーケンスが完成したとの報道もあり、もし、このデータが公表された場合には、その評価を行った上で、今後の本プロジェクトの方向性を検討していく際に考慮すべきである。

B.評価の詳細

  1. ヒトゲノム多様性解析

    (1)現状分析

    (2)実施目標の達成度

    (3)具体的改善点

    (4)その他

  2. 疾患遺伝子プロジェクト

    (1)現状分析

    (2)目標の達成度

    (3)具体的改善点

    (4)その他

  3. バイオインフォマティクス

    (1)現状分析

    (2)実施目標の達成度

    (3)具体的改善点

    (4)その他

  4. 発生・再生・分化

    (1)現状分析

    (2)実施目標の達成度

    (3)具体的改善点

    (4)その他

  5. イネゲノム

    (1)現状分析

    (2)実施目標の達成度

    (3)具体的改善点

    (4)その他