IT21(情報通信21世紀計画)プロジェクト


「IT21の推進」プロジェクト平成14年度評価報告書

 ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)は、平成11年12月、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むこととして始まった。具体的には、夢と活力に満ちた次世紀を迎えるために、今後の我が国経済社会にとって重要性や緊要性の高い情報化、高齢化、環境対応の三分野について、技術革新を中心とした産学官共同プロジェクトを構築し、明るい未来を切り開く核を作り上げるものである。

 ミレニアム・プロジェクトの情報化分野に該当する「IT21(情報通信技術21世紀)の推進」においては、かつての産業革命に匹敵する「デジタル革命」の時代を迎えつつあることを踏まえ、我が国としても、情報通信分野に対する積極的な研究開発投資こそが、我が国の経済を再生し、国際競争力を高めていくための重要な鍵であることを十分認識し、産学官の総力を挙げて、革新的な情報通信技術の開発を進めていくこととしている。

 本評価・助言会議は、「IT21の推進」プロジェクトについて評価・助言を行うために設置され、平成13年5月17日に第1回会合を開催し、各評価・助言委員の意見を踏まえ平成12年度の事業実施状況について、平成12年度評価報告書をとりまとめた。さらに、平成14年7月4日には第2回評価・助言会議を開催し、平成13年度評価報告書をとりまとめた。今般、平成14年度が終了したことに伴い、平成15年7月18日に第3回評価・助言会議を開催し、平成14年度事業実施状況について平成14年度評価報告書を以下のとおり取りまとめた。


I.「IT21の推進」プロジェクトの概要

1.目標
  2005年度までに、全ての国民が、場所を問わず、超高速のインターネットを自由自在に活用して、自分の望む情報の入手・処理・発信を安全・迅速・簡単に行えるインターネット&コンピューティング環境を創造する。
  このため、インターネットに関しては、現在のインターネットの1万倍の処理速度と3万倍の接続規模を有し、利用者を目的の情報に安全かつ的確に導くスーパーインターネットを実現するとともに、コンピューティングに関しては、キーボードといった特定のインターフェースに縛られることなく、安心して、誰もが、高度な情報処理とネットワーク接続を簡単に行える新世代コンピューティングを実現する。


2.個別分野の目標
 本プロジェクトは、「インターネット・ソフトウェア」「インターネット・ハードウェア」「コンピューティング・ソフトウェア」「コンピューティング・ハードウェア」の4つの分野に分かれ、さらに分野ごとに個別の技術開発テーマが設けられており、全体として前項の目標の達成を目指すこととしている。
 各分野ごとには、以下のとおり、実現目標を掲げ、個別の技術開発テーマを設けている。
(1) インターネット・ソフトウェア
(目標)
*ギガビットレベルの回線速度(現行の1000倍)の実現
*国民の誰もが1〜数台の情報通信端末をインターネットに接続できるネットワークの実現
*日本において数億を超える機器、世界レベルで兆を超える機器のインターネット接続を可能とするネットワークの実現
*情報家電を始め、あらゆる電子機器へ通信機能が付加され、インターネットに接続(現在の3万倍以上の接続規模を実現)
(個別テーマ)
1-1次世代インターネット
1.次世代インターネットに関する研究開発
2.情報収集エージェント技術に関する研究開発
3.次世代インターネット通信方式高度化に関する研究開発
4.不正アクセス発信源追跡技術に関する研究開発
5.情報通信不適正利用対策のための電気通信システムの開発
6.電脳空間(3次元画像)通信方式に関する研究開発
1-2情報家電インターネット
1.情報家電向けコンテンツ表現システムの研究開発
2.モバイル・eコマースシステムの研究開発
1-3スーパーインターネット
1.スーパーインターネットプラットフォームの研究開発
2.IPv6基本ソフトウェア体系の研究開発
3.短距離無線通信で構築されるネットワークに関する研究開発
(2) インターネット・ハードウェア
(目標)
*ネットワークの全光化のための光ソリトン伝送の実現及び超高速光ルータの開発(現行の1万倍以上の伝送速度の実現)
*1兆〜1000兆分の1秒単位での光のON/OFF機能の実現
(個別テーマ)
2-1光化技術
1.トータル光通信技術の研究開発
2.光ネットワーク技術の研究開発
3.光ルーティング技術の研究開発
4.超高速光ルータ技術の研究開発
5.フェムト秒テクノロジーの研究開発
2-2次世代LEO
2-3マルチメディアの高度化1
1.映像相互利用技術の研究開発
2.映像メタデータ技術の研究開発
3.超高精細静止画像入力技術の研究開発
4.高度三次元画像映像遠隔表示技術
5.空間共有コミュニケーション支援技術の研究開発
2-4マルチメディアの高度化2
1.オブジェクト連動データ放送システムの研究開発
2.デジタル放送用HDTV高圧縮技術に関する研究開発
3.次世代放送方式技術の研究開発
4.ISDB技術の研究開発
5.高精細・立体・臨場感コンテント技術の研究開発
6.ユーザーオリエンテッドマルチメディア技術の研究開発
7.マルチメディア・ネットワーク対応統合型デジタルケーブルテレビの研究開発
(3) コンピューティング・ソフトウェア
(目標)
*若年者の利用と同等以上の環境が実現できる高齢者用インターフェイス・ソフトウェアの開発
*コンピュータの実行処理性能を倍増させるコア・ソフトウェア技術の開発
*ほぼ全ての録画番組を対象として、短時間(現在の15分の1程度)・低コスト(現状の4分の1以下)で自動的に字幕を付与できるシステムの実現のための技術の開発
*高齢者、障害者の居場所を10cm単位の精度(現在の1000倍)で検出する技術の開発
*ソフトウェア・コンテンツ市場創造の鍵となる多機能オペレーティング等ソフトウェア、ソフトウェアの部品化技術、人工知能、論理的三次元画像処理技術等の開発
(個別テーマ)
3-1次世代ソフトウェア対応
未踏ソフトウェア創造事業
3-2アーキテクチャ対応
1.インタラクティブ情報網基盤技術の研究開発
2.アドバンスト並列化コンパイラ技術の研究開発
3-3高齢化対応
1.高齢者・障害者のためのコミュニケーションケア技術の研究開発
2.福祉支援情報通信システムの開発・展開
3.視聴覚障害向け放送ソフト制作技術の研究開発
(4) コンピューティング・ハードウェア
(目標)
*数千万分の1メートル以下(100ナノメートルレベル以下)の精度の半導体の極微細レーザー加工の実現
*超高集積LSIの総合設計効率を百倍向上する新技術の開発
*毎秒100ギガビットの信号処理を可能とする光・電気複合実装技術の開発
*数億分の1メートル(数ナノメートル)以下の精度の材料加工技術の開発
*記録密度100ギガバイト毎平方インチの光ディスクの実現を図るための信号処理、ディスク成形、高密度化技術の開発
(個別テーマ)
4-1半導体
1.革新的電子材料技術(強相関エレクトロニクス)の研究開発
2.クラスターイオンビームプロセステクノロジー
3.システムオンチップ先端設計技術の研究開発
4.次世代強誘電体メモリの研究開発
5.超高密度電子SI技術の研究開発
4-2光技術
ナノメータ制御光ディスクの研究開発


II.平成14年度事業の実績と評価

A.評価の方針
 本プロジェクトは、「情報の入手・処理・発信を安全・迅速・簡単に行えるインターネット&コンピューティングの実現」というある程度広がりを持った目的のため、多岐にわたる領域の研究開発を進めていくとの位置付けであり、全体としての進捗状況とともに、各個別分野ごとの事業実績を踏まえて評価を行う。
 この際、本報告書における評価が、今後のより望ましい事業実施につながるよう、全体の目的を効率的・効果的に達成するための目標設定や実施体制の在り方、各事業間の連携強化・成果の相互利用の促進に留意することとする。
B.平成14年度事業実績と総括的評価
 平成14年度も平成13年度に引き続き、あらかじめ定めた年次計画に基づき事業が進められた。その実績について、個別テーマごとに、事業実施報告書が提出されており、以下、この事業実施報告書に基づいて評価を行うこととする。
 各分野ごとの目標設定、進捗状況は異なっているが、国際的な研究開発動向を把握し、日本の優位性を生かした特長あるプロジェクトであるかを見極め、今後の展開を検討することが重要であり、プロジェクト又は研究者相互の適切な連携を図ることで、研究開発の効率を高めるとともに、得られた成果が円滑に産業化、実用化されることが求められる。
(現状)
全般的に、先端の研究開発に対する成果が順調に出ており、学会・論文レベルでは注目されているようである。また、昨年度の評価に基づき、改善点が示されている。
特に大きな問題点はないが、一部に目標設定や内容が現在の状況に合わなくなったと思われるものも見られた。このため、2年次、3年次の評価を強化し、内容の見直しや研究加速などを行うことが望まれる。
終了したテーマには、基礎研究段階が終了した状況で実用化レベルまでには到っていないものが多い。一方で、研究というより開発の例もある。
具体的な数値結果の記述、特許に関する出願件数や報告事項が少ない。
研究体制について、類似のテーマを複数に分ける例と異なるテーマを一つにする例が見られる。
(評価)
非常に成果が上がっており、本事業は極めて有意義であると高く評価する。評価した範囲では80%近くが期待通りであり、各研究は概ね順調に目標を達成した、あるいはしつつあると判断できる。画期的な成果を上げているテーマもあり、当プロジェクトの意義を高めている。今後は、国際的な評価も視野に入れた研究開発の取り組みを期待する。
全体として、テーマの目標は明確であるが、基礎研究の段階のみで終了した項目が多く、実用化に向けての研究が少ない。一方、開発に近い案件の場合には、民間との役割分担を十分検討する必要がある。
目標と同時に研究開発の問題点とその克服度を明記することが重要と思われる。また、実用化への課題や可能性を明らかにするため、終了したテーマのフォローアップが望まれる。
知的財産権の確保をもっと進める必要があり、さらに国内だけでなく海外へも出願していくことが重要。ただ、論文発表と知的財産の確保はかなり難しい問題であり、専門家を用意しコンサルトすることが望まれる。
内容が類似しているテーマについては、相互の位置づけを明確にし、ある程度の基礎研究が終了した段階で、プロジェクト間の連携や技術交流・協力等についても検討すべき。 
(その他)
デジタルコミュニケーションの基盤が予想を上回り急激に発展している現状から、様々な新しい挑戦や、これまでの研究の取組みに関して必要な見直し等を考慮することにより、さらに発展が期待できる。世の中の変化に対応できる柔軟性と方向性の積極的な見直しが、この分野の技術変化に対応するための非常に重要な要素である。
テーマの目標だけでなく、各プロジェクトにおける目標達成後の波及効果や、プロジェクトを国が支援する理由についての記述があることが望ましい。また、各プロジェクト終了後の成果について、実用化、事業化のインセンティブを与えられるように、Web等何らかの手段で公開できると良い。
最先端の技術開発は、通常異なる専門知識や得意な技術を持つ組織の協力によって行なわれるが、各テーマについてこの観点から点検することが望まれる。
現在の視点でみると、本プロジェクトだけでは必要な技術分野をカバーし切れていない。モバイル通信や情報セキュリティなどの強化が重要。
「ハードウエア分野」に分類されていても、ソフトウエアで実現する課題は「ソフトウエア分野」に変更すべきではないか。
C.分野別評価
 分野別の評価として、各委員からの意見に基づき、以下のとおり指摘する。


1.インターネット・ソフトウェア分野
1-1次世代インターネットに関する研究開発
<情報収集エージェント技術に関する研究開発>
(現状)
順調に推移している。計画に沿った研究開発が行われている。
昨年度の評価・助言を踏まえ、ビジネスモデルの確立、国際標準化への貢献等の成果が上がってきている。
研究課題の重要性は理解されるが、研究開発の推進体制や研究推進グループの独創性、また、研究内容についての優位性等が不明確である。
(評価)
設定した目標に対しては、順調に成果を挙げている。基盤技術としての個々の基本的技術開発はある程度目標を達している。
外部発表(6件:累積12件)や特許出願(2件:累積9件)により研究成果を公表しており評価できる。
OMGにおいての標準化への貢献、TSASとしての製品化などは評価できる。
関連する類似技術は多方面で進められており、これらとの比較・評価、連携・統合等、今後、ますます必要である。
全体システムとしての統合、既存技術との比較、実使用環境での評価に関しては不十分な点が見られる。
目標にある、「処理コスト低減」や「処理速度が実運用に耐えうる速度を目指す」点に関しては、今後、具体的に数値を示していくべき。
(その他)
標準化や商品化に向けた具体的な戦略などが示されるべき。実運用に展開するための努力を引き続き行うべき。
アプリケーションに特化したシステム化の取組を行うべき。
モバイルへの応用など成果的には期待できる。
<次世代インターネット通信方式高度化に関する研究開発>
(現状)
研究開発は順調に進んでいる。研究成果の公表に関しては,昨年度の指摘を踏まえて計画的に実施している。不正ネットワークの貴重なデータ収集を行い、研究成果が認められる。
高速・広帯域ネットワークの計測技術とそのデータの分析手法はネットワークの設計、運用に必要な基盤技術であり、テーマとしては重要な課題である。
広帯域インターネット通信品質観測およびデータ解析技術に関しては成果が上がっている。いわば,道具を手にした段階であり,これから,その道具を駆使し,通信品質向上を目指した技術開発に特化する必要がある。
データ収集的意味合いが強く、技術発展、独創性の見地からは物足りない。
推進体制、開発方法が不明確。
(評価)
開発に関する研究成果は達成されている。
各テーマに対する論文発表が十分に行われていることは高く評価できる。
通信品質観測技術、観測データ解析に関しては、一定の成果を上げている。これらの技術を活用して遂行する予定のデータ解析に基づくプロトコル設計、次世代ネットワークシミュレーションシステムの構築に関しては不十分であり、今後の進展が期待される。
新しいネットワーク技術の創造と、国際標準の場への提案が不足しており、さらなる成果が期待される。
(改善点)
特許などの知的財産の獲得や国際標準化への積極的な貢献が必要。人材補強を検討すべき。
本研究で開発する通信品質観測技術により既存インターネット技術の問題点を明らかにするだけでなく、明らかになった問題点を克服する新規技術開発も視野に入れ、具体的な研究計画を立てるべき。
開発項目毎に具体的な作業内容、実施結果と成果の達成度を評価できる検査内容を明確にすべき。
計測データの公開にあたっては、どういうデータをどう流すか、利用目的に沿った形でのデザインや明確な説明を行うべき。
測定対象のネットワークの混み具合などの状況と、測定した値との関係、例えば、その信頼性を明確にして盛り込んで欲しい。
(その他)
概ね、内容は充実している。個々の研究項目も積極的な取組の様子が伺える。
広帯域インターネットにおける通信品質を定量的に正確に観測計測する技術の開発が主目的であるが,その計測技術が実現されたとき,どのような新しい世界が拓かれるのか,具体的なイメージを示すべき。
インターネット通信の通信方式等のいわばソフト的な研究であるが,将来予想される広帯域ネットワークのハードウェア技術との整合性の観点から、通信メディアの多様性,通信制御機器の速度性能等の将来予測を十分に踏まえる必要がある。
国際標準の場で活躍を積極的に指導し、この方向での成果を出させるべき。
<電脳空間(3次元映像)通信方式に関する研究開発>
(現状)
興味深いコンテンツの作成や有用なアプリケーションの開発が行われていることを高く評価する。技術的には進展したと思われる。
計画に沿った研究開発が進められている。
推進体制が改善され、個々のテーマの取組も良好に推移したと見受ける。
研究成果としては十分であるが、知的財産権の確保がなされていない。
(評価)
研究目標は概ね達成されている。
モバイル環境については言及がないが、PC等ローエンド環境までを含む異機種環境での技術を開発した点は、高く評価できる。
3次元映像の通信技術の開発ということで、仮想融合空間映像のアプリケーションコンテンツや医療用データの表示について具体的に作成したのは、評価できる。ただし、インターネットでの基盤技術ということで、コンテンツ作成、あるいは医療用データの通信を行うときのデータの保護、暗号化とのマッチングを考慮するべきだと考えられる。
没入型3次元VRの構築技術、表示技術およびそれらの遺跡の再現や医用への応用については内外で多くの研究が行われており、本研究がそれらの類似研究に対してどのような優位性があるのか、その成果物がCAVEシステム(イリノイ大学)のソフトのように多くの研究者やユーザに利用されるプラットフォームになりえるのか、を見極める必要がある。
特許が出されていないとすれば問題。最先端でなかったか、論文発表を先行させすぎて特許にできなかったかどちらかと思われるが、前者であれば成果の創造性に問題があり、後者であっても特許が無ければビジネス化しにくい。
(その他)
本事業は平成14年度で終了となっているが、その成果を実用に結びつける方策などを明らかにすべきである。
本研究の成果を展開するのに最も重要となるコンテンツの作成や実用的なVRアプリケーションの構築などに関する課題を明確にすることが必要である。
具体的なシステムを構築するためには、コンテンツのアーカイブの開発が不可欠である。今後このシステムの実用化に着手するのなら、他の同様な成果を持っているグループとの連携が重要。
データ保護、暗号化との連携とともに時間軸に対する速さと画像の品質との関連をインターネットにおけるハードウェアの制約、具体的には、通信機器、通信速度等を考慮した上で事業化と結びつけることが望ましい。インターネットで術を使うプロバイダとの共同事業開発が望ましい。
成果が上がっているだけに、知的財産戦略に力をいれるべき。ミレニアム全体として戦略を徹底させる必要あり。
1-2情報家電インターネットに関する研究開発
<情報家電向けコンテンツ表現システムの研究開発>
(現状)
推進体制、研究開発の進展などは期待通り良好に進んでいる。開発を行った記述方式が国際標準化されつつあるなど、現状での効果は十分である。
映像コンテンツを多様な端末で有効に利用するためのコンテンツメタデータの仕様確立は重要な課題である。
急激に商用化が進んでいる分野での研究の先端性を検討すべき。
国際標準化活動と本研究の参加組織企業との因果関係が不明であり、各社の分担、役割など成果や推進方法、研究の先進性などを明確にする必要がある。
(評価)
論文発表や特許の取得、また、国際標準化への貢献など、十分な成果を達成しつつあると考える。市場の要求を捉えたとして評価されるべきである。
開発した記述方式の国際標準化という意味では、目標を達成しているといえるが、パソコン以外の情報家電機器に搭載するまでには至っていない。
映像コンテンツを中心としたメタデータの標準化はMPEG7およびMPEG21で活発に行われており、本研究成果がその標準に採用されていることは高く評価できる。本研究成果を利用した実システムの提供を期待したい。
(その他)
情報家電関係の研究開発は、主として企業において活発に行なわれているが、利用者の視点に立つと本研究のテーマの実現は極めて重要である。業界としての取組を推進すべき。
業界全体として、協調すべきものと競争すべきものを明確にする努力を行うべきである。
成果を早く事業化する意味でも自社製品等の情報家電機器への搭載を行い、市場での実証、実用化を急がれたい。
知的財産の確保、狙いの国際標準化への提言も順調で、結構と思われる。本プロジェクトが終了したあと、国際標準への提言のメンテナンスをどのようにするのか、ミレニアムプロジェクトとして具体策を練る必要がある。


2.インターネット・ハードウェア分野
2-1光化技術に関する研究開発
<幹線系超高速フォトニックネットワーク技術(旧トータル光通信技術)>
(現状)
最終的な目標を達成するのは、容易ではないと予想するが、この取り組みは極めて重要。基本的には目標を達成している。外部発表や論文投稿を通じた学会への貢献も大きい。
個々の研究開発の進展に関しては、報告書から判断すると、特に問題は無く、順調に進んでいると思われる。ただし推進体制に関しては、下記「その他」に記載したように、後出プロジェクト(整理番号2-1-2)「アクセス系超高速フォトニックネットワーク技術」参加機関との技術交流等が不可欠と思われる。
本テーマは当初光ソリトンの研究に重点を置いていたが、それを見直し、より広く超高速光伝送システムの研究に展開したことは妥当である。
推進体制、研究開発方法の内容、参加チームの役割分担など明確化すべき。
(評価)
これまでに得られた成果は高く評価される。引き続き研究開発を精力的に進めるべき。
H14年度の成果として、多重伝送技術は目標の10Tbpsに対して約3Tbps、変復調技術では目標の80Gbpsの目処が立ち、超高速WDM多重・分離技術では目標の160Gbpsを実証したなど、目標に向かって着実に進展している。
超高速DWDM伝送技術や光サブシステムの研究においては世界的な成果を挙げている。
実施内容は各項目ごとに具体的記述されており、成果として記述されている内容が極めてレベルの高い結果を得たものと評価できる。
(改善点)
得られた成果を適宜実用に移転するための検討も行うべき。
技術成果としての外部発表、論文が50件と多く、高く評価できるが、これに比較すると特許件数は3件と少ない。国家プロジェクトであるため、国家戦略の点からも、特許、特に外国出願を活発化されることを来年度は期待したい。
光ネットワークシステムの研究課題として光バーストスイッチネットワークを取り上げているが、他の研究テーマにおいて光バーストスイッチを用いたフォトニックネットワークの研究に広範囲に取り組んでおり、それとの研究の位置づけを明確化しておく必要があろう。
目標設定の具体的なスペックは不透明。総合的な結果の成果報告を行うべき。
(その他)
改善点に記載したことに関して、研究組織を拡大するなどの対策をとるべき。
開発内容におけるバックボーンフォトニックネットワーク技術は、後出プロジェクト(整理番号2-1-2)「アクセス系超高速フォトニックネットワーク技術」で実施された波長レベルトランスペアレント広帯域伝送技術と関連する内容が多いことから、プロジェクト間の差別化や技術交流・協力・統合等を検討すべき。
参加企業が具体的に成果をどのように共有して、実用化するかが重要。
このような高性能な技術を生かすビジネス環境をよくアセスして、いつ頃それがどういう形で使われるかのイメージを持ち、ビジネスとして成り立つことを把握しておいて貰いたい。
<アクセス系超高速フォトニックネットワーク技術(旧光ネットワーク技術)>
(現状)
研究は概ね順調に進展している。計画に沿った研究が行われている。
複数の開発内容の個々の進展に関して、大多数は順調に進んでいるようである。特に光バーストスイッチの基本デバイスに関しては、世界的に期待されているMEMSを用いた光スイッチの動作確認を成功させたことは高く評価できる。
アクセス系と称しているが、現在ではバックボーン系のフォトニックネットワークの研究課題に重点をおいて研究を進めており、重要な成果が得られつつある。
(評価)
研究開発の目標は概ね達成されている。
ノードルーティングに重要な波長変換技術の成果の定量的説明が不十分である。目標では数100波長と高い値が設定されているが、是非ともこれを凌駕するレベルを実証してほしい。
数十波一括波長変換技術、S,C,Lバンドにまたがってシームレスに超広帯域伝送可能な技術、新しいMEMS光スイッチによる光バーストスイッチの構成、光バーストスイッチネットワークの制御技術、バースト衝突回避技術など、広範囲に成果を上げている。
順調に推移していると見受けられる。
(改善点)
MEMSデバイスを光バーストスイッチとして実用化するには、精度と信頼性を飛躍的に高める必要があるため、これに関する諸技術も今後十分検討してほしい。
光バーストスイッチングについては「幹線系超高速フォトニックネットワーク技術の研究開発」においても研究しており、相互の位置づけを明確にしておく必要がある。
(その他)
実施内容における波長レベルトランスペアレント広帯域伝送技術は、前記プロジェクト(整理番号2-1-1)「幹線系超高速フォトニックネットワーク技術」で目指しているバックボーンフォトニックネットワーク技術と関連する内容が多いことから、プロジェクト間の技術交流・協力・統合等の必要がある。
本研究成果がメトロ系やアクセス系への適用が期待される。
部品開発が実用化の鍵となる。
<インターネットノード全光化技術の研究開発(旧 光ルーティング技術の研究開発+超高速光ルータの研究開発)>
(現状)
研究は概ね順調に進展している。計画に沿った研究開発が行われている。
6機関の共同研究体制を敷き、予定通り進捗している。取得済みの基本特許を含め特許を16件出願しており、その活用が期待できる。消費電力やサイズへの要求の大きい光送信器において、他の研究開発と比べて本方式は有望である。
光レイヤにおけるカットスルー光パスの構成法、オンデマンドで光パスを高速設定する技術、などに重点化して研究を展開している。
(評価)
これまでに得られた成果や研究結果の報告から、当初の目標を達成している。
インターネットノード全光化実現へ向けた要素技術の目標がそれぞれ達成されている。特に、40Gbit/s動作する低チップサイズ・低駆動電圧・低消費電力の光送信器を世界で初めて実証した点は評価に値する。
波長ルーティングのキーデバイスであるAOTFの開発において中間目標を達成するAOTFの開発に成功したことは評価される。
これを適用した波長ルーティングノードにより、波長VPN、波長LAN、波長貸しサービスノードなどへの適用が期待される。
(改善点)
平成13年度の指摘に従い、数値目標の根拠を検討している。高密度光波長ルーティング技術においては、波長資源を効率的に運用可能な値として波長パス切り替え速度の目標を100ms以下と設定し、それを達成した。
AOTFは小中規模の波長ハンドリングに適用領域があり、メトロ系やアクセス系への応用が期待される。それらの具体的システムの試作を進めることが必要である。
(その他)
中小規模を想定する本研究結果を実用化するには、低コストという条件が付加されると予想される。この点を十分に考慮した手法の開発を行うことが重要である。
他の2つの研究テーマで推進している光ノードの比較、位置づけの明確化が望まれる。
<フェムト秒テクノロジーの研究開発>
(現状)
多数の個別テーマにおけるいくつかの開発技術において最終目標と同等の高い水準に達しており、着実に成果が出ているように考えられる。
研究開発は極めて順調に進展していると判断する。
計画に沿った研究開発が行われている。
フェムト秒光パルスの発生・伝送技術に資する基本デバイスの基礎研究を推進しており、その成果をサブシステムやシステムに応用し、フォトニックネットワークの性能を格段に向上させるフェーズに来ている。
おおむね適切
(評価)
種々の基盤技術の基礎実験において、高いレベルの結果を出したことは高く評価できる。
目標は十分に達成されていると考える。
研究開発の目標はほぼ達成されている。
第1期では基礎的なデバイス技術の研究において学会で評価される成果を上げている。第2期ではその成果を利用可能なデバイスやモジュールとして実現し、システム性能を格段に改善することを実証することが必要であるが、まだ必ずしもそれが明確になっている段階とはいえない。
目標を達成していると見受ける。
(改善点)
特許等に関する記述が無い。国家プロジェクトとして進められている以上、我が国の国際競争力の向上に貢献する基本特許の外国出願が不可欠である。
ITシステム技術の適応は、さまざまな要素が入るため、より広範な意見を求めることが必要である。特に戦略性の強い研究であるため、より強力な体制を組むことも必要である。研究成果に期待する。
研究されたデバイスがキーとなってシステムの性格が変わるくらいのインパクトのある適用例を開発することが望まれる。
(その他)
光発生・伝送グループにおいて開発中の光時間多重(OTDM)伝送技術等は、前記プロジェクト「幹線系超高速フォトニックネットワーク技術」で目指しているバックボーンフォトニックネットワーク技術と関連する内容が多いことから、プロジェクト間の技術交流・協力・統合等の必要がある。
実用化につなげるためには、政府調達を含めた積極的な競争政策を採ることが必須である。
光伝送システムやフォトニックネットワークの研究を推進している他の事業との交流をより進め、当研究で開発されたデバイスの良い適用例を発見することが必要である。
2-2次世代LEO
(現状)
本事業を取り巻く環境の変化に適切に対応し、概ね順調に進展している。計画に沿った研究開発が行われている。
多くの組織が本プロジェクトに参加している。それぞれの組織がどのような研究開発を行ったかが不明瞭である。
現状では特許出願が1件のみとなっている。海外出願を含め、特許を多く出願して欲しい。
指摘に対処し、成果が出るプロジェクトとなった。
次世代LEOシステムに必要な要素技術を研究するフェーズIから、その技術をベースとして実証衛星搭載機器の開発と実証衛星の打ち上げによる実証実験に向けたフェーズIIの開発に予定通り移行し、系統的な研究開発を展開しつつある。
(評価)
研究全体としては、目標の見直しを含め順調に進展している。
衛星間および地上―衛星間の高速通信(2.5Gbps)の実現へ向け、搭載機器及び搭載アンテナ・光衛星間通信技術・通信方式等の要素技術の研究開発を行い、それぞれ一定の成果が得られている。
打ち上げ衛星計画の予定変更に伴い、周囲状況に応じて計画を見直し、着実に開発を進捗させている。
(改善点)
搭載衛星の変更により搭載機器の要求仕様が厳しくなり、一部の要素技術については衛星搭載機器の開発は行わないこととしているが、社会環境の変化にも対応できるように技術開発目標を設定し、着実に全ての要素技術開発を行い、衛星ネットワークを確実に実現して頂きたい。
現方針で研究を進めるべき。
インターネットプロトコルを前提とした精度および信頼性の検討が必要ではないか。
ネットワークシステムとしての開発課題が見受けられない。トラヒック条件やプロトコルの目標方針を検討されたい。
情報通信分野の技術進歩は極めて早いのに対して、衛星の開発、打ち上げ、それによる実証実験にいたるまで長期間を要するので、開発が終了する段階で必要な技術レベルや、ユーザニーズが当初の目標から大きくずれてしまう倦厭が大きい。その例がイリジウムなどの衛星移動通システムの失敗である。本研究がその二の舞にならないように、目標設定や採用技術を常に見直す姿勢が極めて重要である。
(その他)
LEOを必要とする地域からの、強力な支援を取り付けるべき。技術的な開発だけでは実用に結びつけることは困難ではないか。
要素技術の価値を他のアプリへの適用可能性で述べるのでは不十分である。
発表活動の割には知的財産確保への意欲が低いように思われる。ミレニアムプロジェクト全体としての知的財産戦略の徹底をはかる必要有り。
具体的なネットワーク事業のイメージを明確化することを期待する。
2-3マルチメディアの高度化に関する研究開発
<映像相互利用技術の研究開発>
(現状)
問題なく推移。計画に沿った研究開発が行われている。進行具合もよい。
3つの研究目標は具体的であり、それに向けて着実に研究を進捗させている。
平成14年度では、動画像のビットレート変換を行うゲートウェイを構築し実証実験を行い、ロスレス圧縮での性能向上を実現しており、色再現管理技術では、標準化提案準備を行っている。
研究体制と研究課題には、不整合がある。すなわち、圧縮技術、トランスコーディングの技術と色再現技術を結びつける基本理念が不明確である。さらに、これらのテーマ分担がどのようになっているのかも不明確。
従来技術に視点がありすぎて、創造性が不足。
(評価)
平成14年度までの研究開発目標は、概ね達成されている。
トランスコーディング、ロスレス映像符号化、色再現空間拡大、の3技術について所期の目標をほぼ達成しつつある。
技術開発の目標として掲げられている3つの項目の実現に向けて各種実験等がなされているので問題ない。
目標設定が平板であり、具体的な達成度を評価できるスペックになっていない。
期待に応えるためさらに研究レベルを上げるべき。
(改善点)
色再現については、「ナチュラルビジョンと適宜情報交換をしている」「ナチュラルビジョンはクローズにしなければならない」旨記述があるが、この点は事実と異なっている。より密な交流を図るなどして、より正確な理解を求める。
ロスレス映像符号化技術の検討では、Motion JPEG-2000との比較を行うべき。
従来技術から脱却した創造性のある符号化技術研究に取り組むべき。
企業が受託している研究開発であり、そうした視点から、実用的な課題(アプリケーション)の要求条件を明確にして、研究目標のスペックを明確にすべき。
目標とする各々の技術については成果をあげつつあるが、今後これらの要素技術が実際にブロードバンドインターネット、デジタル放送、3G携帯などにおいてどのように活用されるのかについては総論的・抽象的な説明。具体的な応用について実証すべき。
(その他)
本研究開発事業のテーマは、ナチュラルビジョンときわめて強く関連する。同じようなテーマを競争して推進することも重要だが連携も必要。特に実用化へ向けた開発や有効性の実証では、相互に強く協力すべき。
MPEG−4の世界でも、ロスレス符号化の世界でも新しい方式がすでに出されており、色彩に関する研究も別途進められている。成果を出せる体制・方針が必要。また、応用対象を積極的に検討することを期待する。
具体的な事業化のアプリケーションのイメージを明確にすることを期待する。
<映像メタデータ技術の研究開発>
(現状)
研究の進捗については、概ね順調である。計画、進行具合はよい。
AVコンテンツの特長情報を圧縮データのまま抽出する技術、その情報をメタデータとして記述・生成する技術を目標に研究を進めており、順調に成果を挙げている。
取組内容並びに得ようとしている成果は時宜を得た物である。
課題の設定は一般的に理解されている内容であり、項目の書き方が観念的である。そのため研究推進の姿勢は最終成果として完結するイメージが明確でない。
(評価)
各研究テーマの目標達成度は、概ね良好。目標達成に向け各種実験等がなされており問題ない。
メタデータのフォーマットの標準化や有効な利用法は極めて重要な課題と考える。
「ショット分類が高い精度で行える」ことのより正確な表現が望まれる。
発表件数、特許件数とも増加させるよう、努力すべき。
課題の設定は適切だが、目標に達成度を評価できる具体的なスペックを設けることが必要
MPEG符号化されたAVコンテンツをショット単位であらかじめ定義されたジャンルに分類する技術を開発するなど一定の成果を上げている。これらはMPEG7で標準化されたメタデータの生成やその利用に貢献するものである。
(改善点)
MPEG-7を用いる有効性、特に実用化時のメリットを明確化すべき。
知的財産を確保したうえで、対外発表を増加すべき。
具体的なアプリケーションを明確にし、ブレイクスルーする技術の数値的な目標設定を明確化すべき。
本研究が実際のAVコンテンツビジネスでどの程度利用可能なものなのか実証すべき。
想定される利用者との連携を図り、そのニーズを反映すべき。
(その他)
最終年度で活動レベルを大幅に引き上げるべき。
標準化作業で討議されている内容をベースにしている、作業報告としての学会発表やアイデアの特許があるが、具体的なシステムイメージを構築することを期待する。
<超高精細静止画像入力技術の研究開発>
(現状)
研究開発自体は概ね良好。計画、進行具合はよい。
平成14年度では、タイル化ウェーブレット変換方式に関して、タイルサイズ変換方式とその高速化を提案し、その有効性を確認している。また、高精細静止画像の階層的部分伝送実験を行い、高精彩モニターだけでなく、PDAのようなモバイル端末でも高速に高精細画像が表示できることを確認している。
研究の計画、進行具合はよく、また、指摘にも対処し、成果を上げており、研究開発自体は概ね良好と判断する。
電子美術館、航空写真、医療用画像などに必要な超候精細静止画像を効率的に扱うための技術開発を目標としており、今後重要な技術である。
(評価)
目標は十分に達成されている。超高精細静止画像入力技術の成果としては非常に高く評価できる。
技術開発の目標として掲げられている3つの項目の実現に向けて各種実験等がなされているので問題ないと判断する。
静止画の処理としてタイル化ウェーブレット変換に注目し、タイルサイズ変換方式、タイルひずみ軽減方式、について新しい手法を提案している。特許も16件と成果を上げている。
具体的なスペックを示し、達成度の評価を行うことが必要。
やればできる技術に近い。実用的な有用性を明示する工夫が必要。
(改善点)
応用しやすくすることを最後に検討して欲しい。
本研究成果を標準化にどのように反映するのか、あるいは特許を抑えてビジネスとして展開するのか、明確にする必要がある。
研究項目の終了目標が明確でない。技術的な条件の下で数値的な達成目標を明確にし、研究推進のシナリオが必要。
階層的部分伝送のプロトコルなどは、重要な標準化の課題であるので、対応すべき。
(その他)
実用化に向けた具体的な準備の主体等を明確化すべき。
作成ソフトのパッケージ化など、普及/ビジネス化方策を明確とし、早期に応用できるよう配慮していただきたい。
<高度三次元動画像遠隔表示技術>
(現状)
研究は概ね順調に行なわれたと判断する。計画にそった研究が行われ、進行具合もよい。
3次元動画像表示システムを実現するために、撮像・視差補完処理・表示の必要となる要素技術を幅広く取り扱っている点は他にはない特徴である。立体映像テレビ・医療等の大きな市場もしくは社会的波及効果を見込める分野であり注目に値する。
立体テレビジョンの実現を目標に、表示技術、処理技術、人間の立体視に与える影響、など系統的に研究を展開した。
眼鏡なし多視点3次元ディスプレイはすでにビジネス化されているが、本プロジェクトは実用化には程遠いようである。
(評価)
研究目標は確かに達成されているが、試作のレベル。実用化をめざすべき。
目標設定は概ね適切であり、要素技術開発は達成しているようだが、具体的な数値データを明確化すべき。競争・技術革新の激しい分野であるだけに技術開発と並行してもっと積極的に特許出願すべき。
超多眼立体表示方式を対象とし、DMD素子によるディスプレイ、FAPO立体ディスプレイ、立体画像処理システムなどの試作機を開発・評価し、超多眼立体表示に関して基礎的な成果が得られ、この分野の先駆的研究と評価できる。当初の目的は多人数観察可能な超多眼立体表示を目標としたが、技術的ハードルが高く、中間評価以降、1〜3人が観察可能な技術の研究に目標を修正した。中間評価が役割を果たしたと考えられる。
目標を絞り込んだことは良かった。基礎研究としてのデータに注目したい。
期待レベルに対しては不十分。
(その他)
研究開発により得られた成果を、具体的なアプリケーションへ展開することが必要である。
開発スケジュール・体制を明確にすべきである。
知的財産の確保がなされるべきであった。
応用分野の焦点をやや明確にすることが望まれている。
学会発表などの研究報告件数は多いが特許がない模様。実用的なシステムとなるアプリケーションの開拓を期待する。
<空間共有コミュニケーション支援技術の研究開発>
(現状)
研究は概ね順調に進んだと判断する。計画に沿った研究開発が行われており、進行具合もよい。
3大学が連携することで全体の研究開発が加速しているようである。今後、企業とも組んだ研究開発の加速・事業化に期待する。
神奈川大、慶應大、成蹊大による共同研究体制で遠景自然画像、中景建物画像、近景人物画像、の入力・処理・表現、画像とのマルチモーダルなインタラクション手法の研究を展開した。
創造性、新規性にかけるとの評価をうけていたはずであるが、改善されないままである。
(評価)
さまざまなテーマが上手く連携してプロジェクトを成立させている。テーマ毎に目標の達成度に違いはあるものの、概ね良好。空間を共用したコミュニケーション支援技術としてその応用も期待できる。
空間共有コミュニケーションの基礎技術に関する目標は達成されており、今後、システムとして実用化されることを期待する。
特に3次元音場生成技術に関して、企業に技術供与が行われたことは評価できる。今後、他の成果も実用化されることを期待する。論文9件は評価に値する。今後、論文だけでなく特許出願を期待する。
空間共有コミュニケーションの実現を3つのフェーズに分けて、本プロジェクトでは第2フェーズまでの技術確立を目指した。いくつかの要素技術についてプロトタイプ試作による可能性の一例を示した。各要素技術を総合化して示す段階にはいま一歩である。
(その他)
指摘どおり研究開発内容を充実させ、創造性・新規性を向上させるべき。さらに、今後の応用先を積極的に検討すべき。
汎用的な手法の開発が今後の課題と見受けられる。
<オブジェクト連動データ放送システムの研究開発>
(現状)
研究としては興味深く、研究状況は概ね良好。計画、進行具合はよい。
研究課題の分担と、各課題に対しての進展は問題ない。
オブジェクト連動データ放送サービスの実現を目標にシステムの開発を推進。
(評価)
設定された目標は、概ね達成されている。時宜を得た研究であり、成果も期待以上である。
研究成果をベースにデモや展示会を通して放送サービスのイメージを明確にし一般視聴者にアピールしていることは評価できる。
モデルに面白さがあるが、その実用性(放送としての有用性)チェックが望まれる。
(改善点)
本研究開発が実用化されるためには、抽出したオブジェクト毎の情報の入力手法などについても具体的に検討を進めるべき。
ユーザからのフィードバックを反映した開発の実施など、応用面への展開を視野に入れた研究開発を行うべき。
客観的なスペックの目標を示し、データを取るべき。
(その他)
本事業の意義とビジネスモデルの明確化に取り組むべき。
放送番組との連携のシナリオなどを示すべき。
本オブジェクト連動データ放送システムが最も有効に作用する具体的な事例などを掲げたりしながら、目標の設定や課題の抽出を行い報告を行うべき。
<デジタル放送用HDTV高圧縮技術に関する研究>
(現状)
研究は概ね順調に進展。計画、進行具合はよい。
研究成果に対して推進体制、進展を見た場合、問題はない。
デジタル放送において品質を確保しながら圧縮符号化の確立を目指し、具体的な数値目標を設定して開発を推進している。
(評価)
発表件数、特許出願状況も良好であり、画質目標に対してほぼ達成している。
おおむね目標を達成している。
MPEG2互換という目標の範囲内で目的を達成したが、有用性を向上させることが必要である。
1.5〜2倍の圧縮率を達成したということであるが、この圧縮率が実際のデジタルHDTVサービスでどのような効果を発揮するのかについて具体的に記述された方がよい。
(その他)
応用が限定されるが、圧縮率が2倍になるのであれば、実用面でも十分な価値を持つと予想されることから、実用化に関する課題の明確化とその解決による開発成果の活用について努力されたい。
目標値の設定においてトレードオフとなる項目を明確にして実用化のためのシナリオを期待したい。
本研究目標の達成による波及効果の数値化などに取り組まれるとなお良い。
<次世代放送方式の研究開発>
(現状)
研究は概ね順調に進んでいる。計画、進行具合はよい。
平成14年度は、平成13年度までに確立したソフトウエア放送方式技術を発展させる受信ナビゲーションと、受信ハードウェアにあわせてコンテンツの提示形態を変換するスケーラーブルソフトウェア技術の開発を分担して行うなど、研究開発の進展に対して積極的に活動が進められている。
課題の技術的困難さ、ブレイクスルーが必ずしも明確ではない。
ハードウェアの変更を伴わずコンテンツに合わせた放送提示方式について、ソフトウエアのダウンロードにより放送提示方式の変更に対応可能な技術について研究を進め、シミュレーションおよび試作開発と検証を行いつつある。
(評価)
期待通り進んでいる。
目標もほぼ達成している。
研究は順調に行われているが、客観的な達成度の評価には、具体的なスペックや数値目標を記述すべき。
(改善点)
受信ナビゲーション技術については、その重要性に鑑みて、技術の標準化などを行うことで利用の拡大が期待できるため、将来の展開に対しての具体的な目標を検討されたい。
番組コンテンツのスケーラブル配信・提示変換技術については、放送品質を決める重要な要素であり、技術的な判断基準となる目標数値の明確化、あるいは効果の数値化を検討されたい。
(その他)
PCやテレビ、PDA端末など、放送の受信形態には様々なものが現れてきており、ハードウェアが変わったとしても相当の品質で放送を受信できることに対して需要は大きいと考えられる。放送システムとしての標準化も念頭に入れた、知財戦略、標準化などを考慮した研究開発が行われればさらに本研究開発の意義は大きい。
実用的なシステムイメージの発表を期待する。
放送電波に依存しない制御方法の検討も行ったらどうか。
実際の商用への適用の困難さについての検討・評価を期待する。
<ISDB技術の研究開発>
(現状)
研究は概ね順調に進展している。研究の計画、進行具合はよい。
ISDBの概念の提案はかなり古く、本研究は内容的にも過去のものを多く取り入れている。本開発に関する斬新さを示すためには、参加企業の役割分担・開発スケジュール・実用化時期を明確にすることが必要である。
ISDBにおけるコンテンツの重要度に応じて階層化し、伝送する技術と、異なる特性のコンテンツを性能の異なる端末でその性能に応じて受信、選択表示可能な技術を目標に研究を進めている。
(評価)
設定された研究目標に向けて着実に達成されていると考える。関連特許13件、外部発表17件は評価される。
期待以上に成果を上げている。
技術開発の目標は、初期のISDBのものと似ており、観念的であるが、作業報告の内容は一応の成果が認められる。
(改善点)
研究目標に対し、成果を定量的なデータで示すことを検討されたい。
積極的に国際的なアピールを行うなど、注目を集める努力を期待する。
ブロードバンドネットワークやTCP/IPなどとの融合やすみわけの視点からも検討してほしい。
(その他)
本件のような国際的にアピールする方が技術貢献度が高い内容は、ミレニアムプロジェクトとして海外発表の場を用意すべきではないか。
ADSLやFTTH の商用化に伴いISDNが役割を終えたのと同様にISDBも飛躍したサービス概念が必要と思われる。
事業化に関するスケジュール等の検討を期待する。
<高精細・立体・臨場感コンテント技術に関する研究開発>
(現状)
研究は順調に進展している。計画、進行具合はよい。
基礎的な研究が終わった段階。
物体を立体映像画像として部品化する技術の開発と、部品化した立体物映像データと実写映像を合成するコンテント製作技術の二つのテーマが明確に進んでいる点は評価できる。
課題設定は具体的かつ基本的なもので極めて適切であるが、具体的な手法の報告が必要。
(評価)
期待よりやや低いが、目標は概ね達成されている。
物体を立体映像情報として部品化する技術としての、場所の違う任意の2点における特徴点のずれを1画素以下に改善した点、データを数MB程度に圧縮する点などは十分に評価できる。
各々の開発項目について具体的成果を上げつつある。それらの総合化が今後の課題である。
(改善点)
照明状況の違いの処理については、正確なモデルに基づく手法の検討も必要。
実際の高速化、処理時間の短縮化を数値で示すなどによる目標の達成度の明確化を検討されたい。
このような研究分野ではより多くの特許出願が可能であると思われるので、積極的に出願を行うべき。
(その他)
3次元モデリング・レンタリング技術は今後、放送分野において重要な技術と考えられ、よりデータ処理の高速性に重点をおいて研究をすすめるべき。
立体映像部品から再構成した映像と実写映像の違和感はHDRI技術を用いて完全に解決できるのか疑問。
CG画像の画品質向上に的を絞って成果を一層向上させる方向についても検討されたい。
<ユーザーオリエンテッドマルチメデイア技術の研究開発>
(現状)
研究は概ね順調に進展しているが、具体的な手法に関する説明が不足している。研究の計画、進行具合は良い。
ユーザの嗜好によって映像の一部を非表示にしたり、隠蔽したりすることができる技術の確立を目標に、3項目の具体的要素技術の開発とそれらを総合化し、実証する研究を進捗させている。
研究の難易度は高くないが、モデルの設定に面白みや有用さがある。
TV Anytime ForumやMPEG-7で課題になっているテーマであり、開発方法はユニーク。
(評価)
当初の目標は達成されつつある。
3年間の研究によって、基本アルゴリズムの実装と基礎実験を行い、当初の目標に沿って研究を進捗させている。
目標の達成は比較的容易であると考えられるので、成果のレベルを一層上げることを検討されたい。
ユーザの嗜好をどのように表現するあるいは登録するかも重要な課題であり、具体的な方法の報告が必要。
(改善点)
リアルタイムと記載されているが、動画の場合、実際の画像処理は何秒かかるのか、またコンテンツのなかでも、認識をしやすいもの、しにくいものもあるはずである。認識の難しい画像については、今後の課題として新たな対処法の必要性についても検討すべき。
応用分野とマーケットモデルを明確にして研究開発を進めるために、例えば、一般の方々をモニターとする評価などを行い、ユーザの意見を活用したらどうか。
(その他)
今後は総合システムの構築に重点をおき、実用化を達成させるべきである。アプリケーションの具体化に向けたシナリオがほしい。
<マルチメディア・ネットワーク対応統合型デジタルケーブルテレビの研究開発>
(現状)
研究は概ね順調に進展している。計画、進行具合はよい。
多チャンネルの伝送の高度化技術、双方向伝送技術共に当初の目標を達成しており、十分に評価できる。
ケーブルテレビを対象とし、6MHz帯域でハイビジョン2番組伝送可能な技術、および上り回線のトラフィック輻輳を低減しえる通信プロトコルの開発を目標に研究を推進した。
時代においていかれた感がある。
(評価)
研究目標の達成度については、一定の成果を得たと考える。
多チャンネルの伝送の高度化技術について、既存の商用ケーブルテレビ施設を用いて1024QAM伝送方式の実験に成功(ケーブルテレビ1チャンネルで(6MHz帯域幅)ハイビジョン2番組相当の伝送を可能)したことは評価できる。受信機の試作に成功したことを考えると、実用化への壁もそれほど高くないと思われるが、CATVの実利用環境下で、提案の多チャンネル高度化技術のフィージビリティをよく検討すべきではないか。
双方向技術について、セッション層による再送制御機能を有するUDPプロトコルによりTCPに比べてデータ量を1/3に低減することを可能にしたが、この状態で双方向のトラフィック特性問題を十分に解決できているか不安である。プロジェクトは終了しているが、引き続き研究すべき。
(その他)
得られた研究成果は、単に公開するだけで広く普及するとは考え難く、実用化につなげる努力を行うべき。
実現手法を明確にして、システムとして実現するシナリオを明確にすることを期待する。


3. コンピューティング・ソフトウェア分野
3-1次世代ソフトウエア対応
<未踏ソフトウエア創造事業>
(現状)
成果物の知的財産権を開発した個人に帰属させるという体制をとることで、ソフトウェア開発の人材育成に焦点を絞っている点が評価できる。
大変成果を挙げている。
新しい自由度を高め、評価意識を強化するプロジェクトであり継続を望む。
極めてチャレンジングな事業であるが、概ね順調に進展していると判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
ユニークな方法であり、制度として定着することを期待する。
わが国のソフトウエア開発力が米国にくらべて差があることが指摘されおり、本事業が優れたソフト開発人材を育てることに貢献することは大変重要である。
事業は着実に遂行されている。
(評価)
応募件数は増加傾向にあり、この事業の認知度も上がってきていると思われる。事業化・会社創業に結びつくケースも多く、成果も着実に上がっている。
十分達成できるであろう。息長く、このようなプロジェクトを続けることで、我が国のソフト人口の底上げに十分つながるものと思う。
順調である。すこし成果評価が甘くないか。
目標は総じて達成されつつあると判断する。
目標もほぼ達成している。斬新なモデルでの研究開発の推進であり、ユニークなソフトウエア開発に関する成果があがっている。
達成度はいまの時点で評価は早い。継続した結果で成功事例が出ることを期待する。
本事業により若いソフト開発者にインセンティブを与え、すぐれた開発者を発掘しつつあることは評価できる。
スーパークリエーター100人、プロジェクトマネジャー40人という数値目標は高目に設定されたものであり、この数値と実際の数値とを対比すべきではない。本事業は着実に当初目標に沿って進められており、高く評価できる。
(改善点)
わが国のソフトウェア人材育成・発掘のため、継続して展開すべき。本事業の終了後におけるソフトウェア人材育成発掘の展望のため、情報処理振興事業協会(IPA)・プロジェクトマネジャー・開発者・サポート組織からなる体制の問題点の抽出を抜かりなく行って欲しい。
世界的な観点での評価を取り入れるべきである。
事業成果をさらに拡大するために、得られたノーハウを知識データベース化するとともに、その分析にも着手していただきたい。
常に反省点をフィードバックする体制が肝要
採択されたソフト開発者達が実際にどのように育ち、活躍していくか、今後フォローしていくことが必要ではないか。
本制度は今後も続けるべきであり、我が国におけるプロジェクトマネジャー制度の確立を目指すべきである。
(その他)
重要な位置付けなので慎重な審議のもとに強力に継続して欲しい。
事業成果に期待する。
どういう人がプロジェクトマネージャーとして適当なのか、見極められると良い。
3-2アーキテクチャ対応
<インタラクティブ情報網基盤技術の研究開発>
(現状)
グリット技術のインフラの構築に加え、その応用として分子軌道計算を取り上げ使いやすい形でユーザに提供する取り組みは評価できる。
順調に推移している。
方針そのものは良い。
研究は概ね順調に進展していると判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
推進体制の分担は不明、目標や研究事業の概念の説明は饒舌に記述されているが、開発方法や手法の具体的な記述がない。
研究目標としてグリッドコンピューティングと複数人物に対する位置フリー・非装着・非接触なヒューマンインターフェースの構築、を対象とし、13年度評価にしたがってそれらの具体的な数値目標を新たに設定し、研究を進めている。
当初計画に従って研究開発が行われているようである。
(評価)
基幹技術の構築はおおむね順調であると思われる。
グリッド技術は特に問題ないであろうが、ヒューマンインターフェース技術は目標が高度であり、実用に至る迄の到達点を意識してデモを作る必要があるのではないか。
知的財産の確保、発表など計画的に考えて欲しい。現状では成果が対外的には見えない。
目標は十分に達成しつつあると考える。研究レベルとしては、極めて興味深い課題であり、その成果に期待する。
目標もほぼ達成している。
概念的な目標は丁寧に記述しているが、解決したり、検討したり、構築することを目標としているため、評価を客観的に行える目標になっていない。
つくばWANなどの高速ネットワーク上で開発したグリッド技術を実装し、いくつかの科学計算を実行させて性能を評価しており、予定通り進捗していると考えられる。ヒューマンインターフェースの研究では複数台のステレオカメラによる複数人物の動作検出システムを試作して評価中であり、具体的成果がでつつある。
部分的には目標に到達していないものもあるが、ほぼ目標は達成しているようである。しかし、2台でグリッドというのはいかにも淋しい。
インターフェイスの研究はとても面白い研究なので、今後とも積極的に進めて頂きたい。
(改善点)
グリッド基幹技術および応用技術にかかわる、知的財産権の取得を戦略的に行うべきである。
重要な項目であり、知的財産確保戦略をしっかりして欲しい。話者トラッキングに重点が置かれているかに見えるが今の目標値では有効性は低そうなので、グリッドセキュリティの方へ力をいれるよう変更を希望する。
二つのテーマの関連性を明確にしていただきたい。
研究の達成度を評価できる定量的な目標を明確にすることが望まれる。
グリッドコンピューティングについても、没入型高精細3次元空間ディスプレイによるコミュニケーションや、話者トラッキング技術についても現在活発に研究開発が行われている研究領域であり、本研究がそれら他の研究との差異や優位性を明確にする必要がある。
外部に積極的に発表すると共に国際標準を取りに行って頂きたい。
研究内容の意義づけを明確にしておくことが重要である。
他のグリッド研究との違いをもう少し積極的にアピールすべきである。
(その他)
グリッド技術とヒューマンインターフェース技術は、かなり異なる技術と考えられる。テーマであるアーキテクチャ対応からみると、後者のテーマはこれに合致していないと思われる。
本課題についてはコンピュータ分野の研究者・技術者ばかりではなく、多くのインターネットやマルチメディア分野の研究者が研究に携わっており、それらの異なる人脈間の相互認識と連携が重要である。
<アドバンスト並列化コンパイラ技術の研究開発>
(現状)
従来の2倍の性能を持つ並列コンパイラの開発に加え、客観評価の指標の確立を目標としている点が評価できる。
研究は概ね順調に進展したと判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
おおむね適切
本研究は共有メモリ型並列コンピュータの性能を従来の2倍以上とすることを目標にして並列コンパイラ技術とその性能評価技術について研究を進めてきた。8機関が参加する大型のプロジェクトであり、14年度に終了した。
コンピュータソフトウェアの中核に位置するコンパイラで世界最先端の技術開発が行われたことに対し敬意を表すると共に高く評価する。
(評価)
前年度までの個別コンパイラ技術の統合を行い、並列化コンパイラを完成させた。評価結果は目標を上回るものであり、成功をおさめていると考えられる。またコンパイラ技術分野における人材育成に貢献している。
当初の目標を、十分以上に達成している。コンパイラという困難な分野で世界に冠たる成果を出したのは、実に素晴らしい。ベーシックソフトにおける大きな仕事である。
研究テーマの重要性から、これまでに得られた知見を基に更なる研究の必要性を明確にすることが必要である。実施目標は概ね達成されていたと判断する。
目標もほぼ達成している。
目標は明確であり、成果も目標を達成したと見受けられる。
プロジェクト最終年度に逐次型FORTRANプログラムを入力すると並列化されたFORTRANプログラムを生成する自動並列化コンパイラ(APCコンパイラ)を開発した。このコンパイラをできるだけ客観的に評価し、3.7倍という所期の目標を上回る性能を達成できたことは高く評価できる。これらの成果は米国のこの分野のキーパースンからも評価されており、従来米国に相当遅れているといわれていたこの分野において米国を凌駕する並列コンパイラ技術を構築したことは、本プロジェクトの成果である。
ソフトウェアの中核技術であるコンパイラ開発技術で優れた成果を上げ、当初目標を達している。
(その他)
今後、これを企業のソフトとして使い込み、知的財産として役立てることを希望したい。
引き続き研究を継続していただきたい。
実用化のシナリオを検討することを期待する。
コンピュータメーカ、複数大学、産総研、情報処理開発協会の連携したソフト開発のプロジェクトの成功はどのようにしてもたらされたのか、を記録にとどめておくことも必要であろう。
3-3高齢化対応
<福祉支援情報通信システムの開発・展開>
(現状)
研究は順調に推移している。計画、進行具合は良い。
障害者や高齢者の自立・社会参加を支援する高度な機能を持つ福祉支援情報通信システムの実現を目標に研究を進めている。
研究課題については、福祉支援に余り関係ないものが含まれている。
(評価)
具体的なスペックなどの目標があいまいだが、技術開発の目標として掲げられている3つの項目の実現に向けて各種実験等がなされており、目標はほぼ達成されていると判断する。
安全看視機能と外部電子メール受信機能の研究評価のため独居高齢者をモニターとする実証実験を数ヶ月にわたって実施したことは評価できる。
発表、特許等については成果が十分ではなく、一層の取組が必要。
(改善点)
福祉支援にフォーカスさせるためには、現場とのより密接な連携が必要。
被験者の数を増やし、ネットワーク負荷を増大させた場合の予想される問題点の抽出と対策を行う必要がある。具体的なアプローチ及び目標に対してどの程度の達成が出来ているのかなどの評価を行うべき。
開発の目標に対して、実際に福祉・介護に役立つ事項とが一致していないので、技術課題を明確化すべき。
目的を整理し、既存の技術は使い、研究すべきものを絞ることが必要。
今後は、安全確認(監視)とプライバシーの関係に的を絞って活動すべき。
(その他)
音声処理方式開発の目標・内容、CATVネットワークシステム下でのネットワーク技術の予想される問題点などの課題と解決方法、データベースの解析・推論方法の詳細などを明確化すべき。
プロジェクトのタイムスケジュールなど研究開発の進め方、技術開発の実施内容・課題・解決手段などもう少し詳細に報告すべき。
<視聴覚障害者向け放送ソフト制作技術の研究開発>
(現状)
研究は概ね順調に進展している。計画、進行具合は良い。
字幕番組を作成する際に時間がかかり過ぎていた問題に対し、自動的に字幕を作成する技術の開発・評価を、実用モデルシステムを利用して評価等を行っている。また、実用化のための基本要素技術を予定通り終了しているなど、開発進捗・成果などに問題はないと推測される。
(評価)
当初の目標は期待通り達成されている。着実に研究を進捗させていると評価できる。
要素技術の開発をほぼ終了し、今後1年間は実用化に向けた開発に向けた開発をしていることから、特に問題はなく順調に進んでいる。
正確さと同時にさらなる時間の短縮とジャンルの拡大をはかる努力を引き続き行うべき。
(改善点)
アジアでの応用を今後の検討にいれられないか検討すべき。
研究成果の具体的な応用可能性を最重点に開発し、その成果に対する放送業界など利用者側のフィードバックのメカニズムを確立すべき。
(その他)
これまでの研究成果・課題・全体及び今後のタイムスケジュール等についてまとめられており、分かりやすい内容である。
デジタル放送の開始やインターネットによるブロードバンド配信など放送をめぐる環境は大きく変わろうとしており、本研究成果もそのチャンスを活かし変革の一環として弱者に優しい番組として登場の機会が得られるものと期待する。


4.コンピューティング・ハードウェア分野
4-1半導体
<革新的電子材料技術(強相関エレクトロニクス)の研究開発>
(現状)
研究推進体制における企業側の参加が積極的でないと感じる。アプリケーションを見据えた研究を行うためにも企業側の参加者がもう少し増えた方が良いのではないか。
研究は極めて順調に進展していると判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
おおむね適切
(評価)
良い。
多くの研究成果も得られており、目標は達成されつつあると考える。
目標もほぼ達成している。
おおむね目標に達している。
(改善点)
研究開発を達成するために必要な要素技術の最終目標及び年度目標値を数値化した一覧表を作成し、成果を書き込んでいただくと、より成果が明確になり議論しやすい。
国際的な評価を通じた研究成果の展開をめざすべきである。
(その他)
研究成果に大いに期待する。
<クラスターイオンビームプロセステクノロジー>
(現状)
研究開発は順調に進展している。
順調である。
研究は概ね順調に進展していると判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
おおむね妥当
(評価)
技術的成果は順調であると読み取れるが、技術的成果に対してあまりにも特許の出願件数が少なすぎる。
多くの応用が考えられる新技術の開発であるが、目標は達成しつつあると考えられる。
目標もほぼ達成している。
おおむね目標に達成している。
(改善点)
知的財産権の確立強化のためにプロジェクトとしてのあらゆる面を再検討願う。知財部門の人的補強。また、予算措置など。
国際的な評価を通じた研究成果の展開をめざすべきである。
(その他)
研究成果に期待する。
<システムオンチップ先端設計技術の研究開発>
(現状)
次世代の半導体産業においては少量多品種のニーズに対応することは最も重要であり、この実現のためには設計生産性の大幅な向上が不可欠である。システムオンチップ設計図を短期間で開発することを目指しており、研究の推進体制、さらには根本的な目標設定においての土台が確立されている。
研究は概ね順調に進展したと考える。
研究の計画、進行具合はよい。
推進体制の分担など不明だが、開発方法などおおむね適当
(評価)
Vコアベースの設計技術、および、Vコアデータベース技術についての機能限定版プロトタイプの評価結果を得ており、研究開発の方針を明確化している。さらに、これを実際に次期システムであるフル機能版プロトタイプ開発にフィードバックし、その仕様設計を完了している。すなわち、実施目標に対して、着実に進展しておりほぼ目標を達成していると評価している。この事業は、社会システムから日常の電子機器に至るまで幅広く利用が期待されるシステムオンチップの設計技術を向上させるための研究であり、その重要性は極めて高い。よって、今後のさらなる研究の進展に期待を寄せている。
当初の予定より少し遅れぎみではあるが、第2段階に移れる為の基礎を固めることができている。
当初の目標は達成されたといえるが、その成果を用いて実用化するためのフォローアップが必要である。
目標もほぼ達成している。
おおむね目標に達している。
(その他)
現在、半導体産業は大きな転換期にさしかかっている。これまでの単純な微細化、大量生産の時代は終焉をむかえ、情報通信機器は、多機能化、高性能が求められ、システムオンチップが必要不可欠となる。本事業は、これらの研究を推進させる極めて重要な技術の開発を担っており、今後のさらなる研究の進展に期待が寄せられている。
<次世代強誘電体メモリの研究開発>
(現状)
1T型強誘電体トランジスタの保持特性において、最大で16日間の保持特性を達成しており、1T型強誘電体メモリの実現に向けてさらに期待が寄せられる。1T型強誘電体メモリの性能向上の障害となっている問題点の認識、またそれに対する課題も明確になっており、研究体制および研究開発方法も充実している。
研究は順調に進展していると判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
おおむね妥当
(評価)
強誘電体ゲート構造トランジスタの容量値を用いた保持特性において、16日間の保持特性が得られており、基本構造における目標はほぼ達成している。これは今後の1T型強誘電体メモリ開発をさらに加速させる成果が得られたものである。
基礎データを着実に集めつつあり、目標へ近づきつつある。
目標は達成しつつあると判断する。
目標もほぼ達成している。
おおむね目標に達している
(改善点)
引き続き、次世代型強誘電体メモリの実現に向けて、強誘電体膜の膜質改善、さらには機能分離型新メモリの提案という様に、材料と構造の両方から改善を図ることが重要と考える。材料に関しても、新材料の探索・開発を精力的に行い、さらに強誘電体膜の膜質を改善する新プロセス技術の開発を積極的に行うべきである。
実用化につながる努力をお願いしたい。
具体的な応用性とその成果が期待できるため、目標設定の前倒しが考慮できないか検討してほしい。
(その他)
1T型強誘電体メモリの開発においては、これまで保持時間が数秒から数十分という報告がほとんどであり、データ保持特性の向上が強く期待されていた。本事業においては、最大で16日のデータ保持特性を得ており、次世代の究極のメモリである、1T型強誘電体メモリの実現に向けて非常に大きな期待が持てる。
FRAMを用いた大容量(1MB以上)のスマートカードの需要が近いうちに顕在化すると予想される。
<超高密度型電子SI技術の研究開発>
(現状)
個々の研究開発は順調に進展しているようである。実施目標はほぼ達成されており、推進体制、研究開発方法の妥当性が伺える。
研究は概ね順調に進展していると判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
おおむね妥当
(評価)
超高密度3次元LSIチップ積層実装技術
目標は十分達成されている。
光・電気複合MCM技術等からなる光・電気複合実装技術
目標は十分達成されている。
電磁干渉を低減する最適配線構造設計技術
磁気光プロービング技術に関しては、目標は達成されている。最適配線構造設計技術については、一つの不要輻射発生要因に対する対策を示しただけであり、目標を十分達成したとはいえない。
目標は達成できる見込みである。
技術移転もスタートしていることからも、目標は順調に達成しつつあると判断する。
目標もほぼ達成している。
おおむね目標に達している
(改善点)
超高密度3次元LSIチップ積層実装技術
LSIチップを積層化した場合、放熱の問題が顕在化する。放熱について十分検討していただきたい。
電磁干渉を低減する最適配線構造設計技術
プリント基板配線からの不要電磁輻射低減は重大な課題である。複数の主な不要輻射発生要因に対してその対策を明らかにし、可能であればそのクライテリアを反映したプリント基板自動設計ツールを開発していただきたい。電磁輻射はプローブを用いて計測しなくても電磁界シミュレーションにより正確に把握できる。開発した磁気光プロービング技術を、どのように応用し、実用化に結びつけるかが重要。用途によっては、帯域1GHzでは足りないのではないか?
研究の重要性から成果に期待する。
(その他)
特に、電磁干渉を低減する最適配線構造設計技術開発に関しては、技術的シーズはよいがターゲットの有用性が明確に伝わってこない。日本の経済競争力を高めるために貢献できる製品開発に目標を絞り、その実用化のために必要な技術開発を計画的に進める必要があるのではないか。
4-2光技術
<ナノメータ制御光ディスクシステムの研究開発>
(現状)
ナノメータ制御光メモリ技術、磁区応答3次元光メモリ技術、超精密ピット描画技術など個々の技術開発は高いレベルで達成されており、推進体制、研究開発方法の妥当性が伺える。本プロジェクトの遂行により、ストレージシステムに携わる欧米各社に対して、光ディスクの記録再生技術や媒体技術に関して優位性を得ることができた。
研究は順調に進展したと判断する。
研究の計画、進行具合はよい。
(評価)
超精密ピット描画技術に関しては、描画精度が目標値の1.5nmに達していないが、他の技術開発目標に関しては十分達成されている。目標設定と研究開発方法の妥当性が伺える。達成した技術内容に関して高く評価できる。
大変優れた成果をあげた。
当初の目標は十分に達成されたと判断する。
目標もほぼ達成している。
(その他)
実用化に向けた更なる技術革新を期待する。
国際的な研究評価を得る中で、本研究の先端性を示す努力をしてほしい。