IT21(情報通信21世紀計画)プロジェクト


「IT21の推進」プロジェクト平成16年度評価報告書

 ミレニアム・プロジェクト(新しい千年紀プロジェクト)は、平成11年12月、新しいミレニアム(千年紀)の始まりを目前に控え、人類の直面する課題に応え、新しい産業を生み出す大胆な技術革新に取り組むこととして始まった。具体的には、夢と活力に満ちた次世紀を迎えるために、今後の我が国経済社会にとって重要性や緊要性の高い情報化、高齢化、環境対応の三分野について、技術革新を中心とした産学官共同プロジェクトを構築し、明るい未来を切り開く核を作り上げるものである。

 ミレニアム・プロジェクトの情報化分野に該当する「IT21(情報通信技術21世紀)の推進」においては、かつての産業革命に匹敵する「デジタル革命」の時代を迎えつつあることを踏まえ、我が国としても、情報通信分野に対する積極的な研究開発投資こそが、我が国の経済を再生し、国際競争力を高めていくための重要な鍵であることを十分認識し、産学官の総力を挙げて、革新的な情報通信技術の開発を進めていくこととしている。

 本評価・助言会議は、「IT21の推進」プロジェクトについて評価・助言を行うために設置され、平成13年5月17日に第1回会合を開催し、各評価・助言委員の意見を踏まえ平成12年度の事業実施状況について、平成12年度評価報告書をとりまとめた。さらに、平成14年7月4日に第2回、平成15年7月18日に第3回、平成16年6月21日には第4回評価・助言会議を開催し、年度ごとに評価報告書をとりまとめた。今般、平成16年度が終了したことに伴い、平成17年6月23日に第5回評価・助言会議を開催し、平成16年度事業実施状況について平成16年度評価報告書を以下のとおり取りまとめた。


I.「IT21の推進」プロジェクトの概要

1.目標
 2005年度までに、全ての国民が、場所を問わず、超高速のインターネットを自由自在に活用して、自分の望む情報の入手・処理・発信を安全・迅速・簡単に行えるインターネット&コンピューティング環境を創造する。
 このため、インターネットに関しては、現在のインターネットの1万倍の処理速度と3万倍の接続規模を有し、利用者を目的の情報に安全かつ的確に導くスーパーインターネットを実現するとともに、コンピューティングに関しては、キーボードといった特定のインターフェースに縛られることなく、安心して、誰もが、高度な情報処理とネットワーク接続を簡単に行える新世代コンピューティングを実現する。

2.個別分野の目標
 本プロジェクトは、「インターネット・ソフトウェア」「インターネット・ハードウェア」 「コンピューティング・ソフトウェア」「コンピューティング・ハードウェア」の4つの分野に分かれ、さらに分野ごとに個別の技術開発テーマが設けられており、全体として前項 の目標の達成を目指すこととしている。
 分野ごとに、以下のとおり、実現目標を掲げ、個別の技術開発テーマを設けている。

(1)インターネット・ソフトウェア
(目標)
*ギガビットレベルの回線速度(現行の1000倍)の実現
*国民の誰もが1〜数台の情報通信端末をインターネットに接続できるネットワークの実現
*日本において数億を超える機器、世界レベルで兆を超える機器のインターネット接続を可能とするネットワークの実現
*情報家電を始め、あらゆる電子機器へ通信機能が付加され、インターネットに接続
(現在の3万倍以上の接続規模を実現)
(個別テーマ)
1−1 次世代インターネット
1. 次世代インターネットに関する研究開発
2. 情報収集エージェント技術に関する研究開発
3. 次世代インターネット通信方式高度化に関する研究開発
4. 不正アクセス発信源追跡技術に関する研究開発
5. 情報通信不適正利用対策のための電気通信システムの開発
6. 電脳空間(3次元画像)通信方式に関する研究開発
1−2 情報家電インターネット
1. 情報家電向けコンテンツ表現システムの研究開発
2. モバイル・eコマースシステムの研究開発
1−3 スーパーインターネット
1. スーパーインターネットプラットフォームの研究開発
2. IPv6基本ソフトウェア体系の研究開発
3. 短距離無線通信で構築されるネットワークに関する研究開発


(2)インターネット・ハードウェア
(目標)
*ネットワークの全光化のための光ソリトン伝送の実現及び超高速光ルータの開発
(現行の1万倍以上の伝送速度の実現)
*1兆〜1000兆分の1秒単位での光のON/OFF 機能の実現
(個別テーマ)
2−1 光化技術
1.トータル光通信技術の研究開発
2.光ネットワーク技術の研究開発
3.光ルーティング技術の研究開発
4.超高速光ルータ技術の研究開発
5.フェムト秒テクノロジーの研究開発
2−2 次世代LEO
2−3 マルチメディアの高度化1
1.映像相互利用技術の研究開発
2.映像メタデータ技術の研究開発
3.超高精細静止画像入力技術の研究開発
4.高度三次元画像映像遠隔表示技術
5.空間共有コミュニケーション支援技術の研究開発
2−4 マルチメディアの高度化2
1.オブジェクト連動データ放送システムの研究開発
2.デジタル放送用HDTV高圧縮技術に関する研究開発
3.次世代放送方式技術の研究開発
4.ISDB技術の研究開発
5.高精細・立体・臨場感コンテント技術の研究開発
6.ユーザーオリエンテッドマルチメディア技術の研究開発
7.マルチメディア・ネットワーク対応統合型デジタルケーブルテレビの研究開発


(3)コンピューティング・ソフトウェア
(目標)
*若年者の利用と同等以上の環境が実現できる高齢者用インターフェース・ソフトウェアの開発
*コンピュータの実行処理性能を倍増させるコア・ソフトウェア技術の開発
*ほぼ全ての録画番組を対象として、短時間(現在の15分の1程度)・低コスト(現状の4分の1以下)で自動的に字幕を付与できるシステムの実現のための技術の開発
*高齢者、障害者の居場所を10cm単位の精度(現在の1000倍)で検出する技術の開発
*ソフトウェア・コンテンツ市場創造の鍵となる多機能オペレーティング等ソフトウェア、ソフトウェアの部品化技術、人工知能、論理的三次元画像処理技術等の開発
(個別テーマ)
3−1 次世代ソフトウェア対応
未踏ソフトウェア創造事業
3−2 アーキテクチャ対応
1.インタラクティブ情報網基盤技術の研究開発
2.アドバンスト並列化コンパイラ技術の研究開発
3−3 高齢化対応
1.高齢者・障害者のためのコミュニケーションケア技術の研究開発
2.福祉支援情報通信システムの開発・展開
3.視聴覚障害向け放送ソフト制作技術の研究開発


(4) コンピューティング・ハードウェア
(目標)
*数千万分の1メートル以下(100ナノメートルレベル以下)の精度の半導体の極微細レーザー加工の実現
*超高集積LSIの総合設計効率を百倍向上する新技術の開発
*毎秒100ギガビットの信号処理を可能とする光・電気複合実装技術の開発
*数億分の1メートル(数ナノメートル)以下の精度の材料加工技術の開発
*記録密度100ギガバイト毎平方インチの光ディスクの実現を図るための信号処理、ディスク成形、高密度化技術の開発
(個別テーマ)
4−1 半導体
1.革新的電子材料技術(強相関エレクトロニクス)の研究開発
2.クラスターイオンビームプロセステクノロジー
3.システムオンチップ先端設計技術の研究開発
4.次世代強誘電体メモリの研究開発
5.超高密度電子SI技術の研究開発
4−2 光技術
ナノメータ制御光ディスクの研究開発


II.平成16年度事業の実績と評価

A.評価の方針
 本プロジェクトは、「情報の入手・処理・発信を安全・迅速・簡単に行えるインターネット&コンピューティングの実現」というある程度広がりを持った目的のため、多岐にわたる領域の研究開発を進めていくとの位置付けであり、全体としての進捗状況とともに、各個別分野ごとの事業実績を踏まえて評価を行う。
 この際、本報告書における評価が、今後のより望ましい事業実施につながるよう、全体の目的を効率的・効果的に達成するための目標設定や実施体制の在り方、各事業間の連携強化・成果の相互利用の促進に留意することとする。

B.平成16年度事業実績と総括的評価
 平成16年度も平成15年度に引き続き、あらかじめ定めた年次計画に基づき事業が進められた。その実績について、個別テーマごとに、事業実施報告書が提出されており、以下、この事業実施報告書に基づいて評価を行うこととする。
 各分野ごとの目標設定、進捗状況は異なっているが、国際的な研究開発動向を把握し、日本の優位性を生かした特長あるプロジェクトであるかを見極め、今後の展開を検討することが重要であり、プロジェクト又は研究者相互の適切な連携を図ることで、研究開発の 効率を高めるとともに、得られた成果が円滑に産業化、実用化されることが求められる。
 総括的評価として、各委員からの意見に基づき、以下のとおり指摘する。

(現状)
どのプロジェクトにおいても、研究開発はおおむね順調に進展していると判断する。
ほぼ順調に推移している。
全般的に、計画を遂行する推進体制などが整っており、実証実験によって、成果が確認されている。
一部環境的に不利だったプロジェクトや目標が明確化されていないプロジェクトもあるが全体としては順調である。
平成16年度に終了したもの及び平成17年度終了予定のものが大部分であり、全体として最終段階にあり、その結果が明らかとなってきている。その成果を実用化にいかに結びつけるかが課題となっている。
昨年度の評価に基づき、改善点を示している点は評価できる。プロジェクト発足から5年が経過しているが、依然として基礎的な研究が多い点が残念である。基礎的な要素技術の開発に比べ、システム化、実用化への研究が増加するように望む。
1)通信、放送、コンピュータの産業の急速な進歩の背景に対応して、各研究テーマの設定の視点がすでに過去のものとなっているものが散見する。
2)国が関与する研究開発課題であることの論理的必然性において我田引水的論述が見られる。
3)多数の機関の協力で行う巨大プロジェクトの推進において、結果的に細分化した項目の研究費の配分作業で成果がまとめられている手法がとられている。
(評価)
目標はおおむね達成されていると判断する。
目標達成度は予定通りである。
目標に対する達成度については、全体として5段階評価で4以上と評価できる。研究成果を実用化に移行させるには、更なる改良や小型化、機能の絞り込みなどを必要とするものが多い。この部分は国の支援を頼らず、各企業がビジネスとして遂行すべきところである。
当初の研究目標はほぼ達成したと考えられるが、実用化に向けての提案にはさらなる研究開発が必要である。普及に対する見通しが明確に示されることにより、より精度の高い成果が得られることを期待する。国際的に評価されるような成果が求められる。
目標が元々明確な研究は順調と言えるが、デバイス関連の基礎研究のように、少しでも進めば成果が挙がったと述べるのは無理がある場合もある。この種の研究は評価法を工夫する必要があるように思う。
総体的に実施目標を達成していると評価できるが、部分的に次のことが言える。
1)企業や事業者の法人営業の業務が主導するテーマにおいては、研究目標の設定において観念的な表現なっているため、達成度の評価がしにくい面がある。
2)個々の項目の記述だけで評価するため、実態との乖離の恐を抱く。
3)標準化に関係する技術開発のテーマの推進の場合、担当グループの構成に偏りがあるのは避けられないが、達成度の評価のフィードバックを得られる、成果の公開の仕組みが必要と思われる。
1)全テーマに共通していえることであるが、テーマの目標については明確であるが、具体的な数値結果の記述が少ない。
2)個々のテーマの目標はクリアしているが、個々の技術をシステム化するところまでは開発が完了していないテーマが多い。時間がかかる研究ではあるが善処してもらいたい。
3)特許に関して、国家プロジェクトであるため国内だけでなく終了したテーマに関してはもっと海外への出願があっても良かったのではなかろうか。
(その他)
ミレニアム・IT21・プロジェクト全体として、論文・特許・表彰・特筆すべき成果を集計することが望まれる。
プロジェクトによって実用化への道のりに差があることは理解されるが、学術的な興味だけではなく、実用化へのシナリオを念頭におくことが重要である。また最終年度には残された課題を解決するための具体的な対応を記すべきである。
1)報告書に関して、テーマの目標だけでなく、各プロジェクトにおける目標達成後の波及効果についての記述があっても良いのではないか。
2)各テーマ事に関して、類似する内外の研究については、テーマの差異を示すことに加えて、競合するテーマに対してどのような優位性があるかを明確に示すことが必要である。競合優位性が、製品化へのキーポイントとなるためである。特に海外の類似するテーマとは、優位性を更に明確にすべきである。
3)製品化に対して、どの程度の事業分野になるかを示してもらいたい。
全体として、成果の継承体制の具体化が遅れている。また成果の数値(特許数、論文数)などは絶対値では評価できず、一人当たり、予算1000万円当たりの数字に直して表示すべきである。また査読付きといっても評価の低い学会もあり、世界的に通用しているインパクトファクタを掛けた数字で評価すべきである。ミレニアム事務局でインパクトファクタ表を配布し、それにない学会・海外発表は成果から削除し、単なる広報活動としての件数とすべきである。また年数がたったので特許の成立度を明記する必要がある。
国の資金使う事業において、契約の概念を明確にして、成果の発表の著しく低い成果に対し、対象組織からの研究費の返還などの制度を設けるなど検討を要する。

C.分野別評価
 分野別の評価として、各委員からの意見に基づき、以下のとおり指摘する。


2. インターネット・ハードウェア分野

2−1 光化技術

<幹線系超高速フォトニックネットワーク技術(旧トータル光通信技術の研究開発)>
(現状)
本研究開発は、順調に遂行されていると判断する。
着実な成果を挙げている。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である。
推進体制、研究開発方法に関しては、期待される研究成果の達成を阻害するような問題点は特に見当たらない。また、個々の研究開発に関しては、定量的に明確な成果だけでなく、定性的な成果も多いが、全体としては着実に最終目標に進んでいると思われる。
本プロジェクトは極めて長期にわたる研究課題であり、スタート時点ではソリトン伝送に焦点を当てていたが、途中から研究テーマを広げ、超高速光伝送全般を対象とした。
計画を遂行する推進体制などができている。
全般的に「バックボーンフォトニックネットワーク技術の研究開発」と「フォトニックサブシステム技術の研究開発」の二つの主課題とも、分担者の責任遂行がよくなされており。秩序ある研究管理が行き届いている。分担内容が細分化されているため、ここの成果の内容が平面的な記述になっていることは否めない。
(評価)
研究目標は達成されつつあり、最終年度の成果に期待する。
計7つのサブテーマの個々の達成度に関しては、定性的な内容の成果も多いが、全体として最終的な事業目標に向かって着実に進んでいると推察される。ただし、全光クロック抽出技術、超高速変復調技術、及び光増幅器技術は、既に事業目標を達成したり、同等の成果が得られているようであり、これらは非常に高く評価できる。
ソリトン光伝送の実現から超高速光伝送技術に目標を変更し、10Tb/sの当時としては世界一の伝送速度を達成した。
ほぼ達成している。
統制の取れた研究推進管理がされている印象であり。それぞれ個々の目標は達成していると認められる。研究の目標設定が、極めて妥当性の高いものであり、意外性のある結果を期待できるようにはなっていない。共同研究作業のノルマを各担当者がこなしている。
目標達成度は予定通りである。しかしながら一部今後の進め方が遅いのではないかと考えられる。
光ネットワークシステム:技術移転体制の整備
超高速変復調技術:実用LSI設計に関する指針は不十分
(改善点)
H15年度評価・助言に対しては、全項目に対して具体的改善が見られるが、特に実用化に重要な低コスト化に関する検討では、デバイス実証レベルで行われている点が高く評価できる。
幹線系は今後爆発する画像トラフィックを支えるために重要である。使われる仕様にしなければ価値がなく、技術移転・実用化に対する活動の強化を行い、終了前に実用化推進を表明する組織を明確とすることが必要。
10年にわたるプロジェクトであり、当初の研究目標、研究テーマを維持するのは困難であり、研究テーマの見直しを行った。しかし、研究対象を広げすぎたところもある。
平面的な研究作業の報告の感がある。チャレンジ目標が明確でないように見える項目もある。理論的検討と実験的検証、製造上の技術、実用化のためのシステムなど、横断的に立場を明確にして、成果をまとめてほしい。
(その他)
特許等の知財を数多く取得していることは認められるが、研究から実用化への技術移転と我が国の国際競争力強化を十分に意識してもらいたい。
既に最終目標に達成したサブテーマに関しては、これで終了することなく、もしも海外との競争上、必要と考えられる分野では、さらに高い目標を設定して進んでほしい。あるいは製品化へ向けた検討も早期に開始することが望まれる。
通信事業者の立場でのユーザーへ提供できるサービスとの位置付けがあると、本研究の意義がよりわかりやすくなると思われる。
光系3テーマ(幹線系、アクセス系、インターネット)は共通する技術があってしかるべきであり、3テーマでの重なりを再検討し共通部分の活用をはかって無駄な重複開発がなくなるよう努力すべき。例えば1000波WDMなどはそれぞれ異なる方式を検討中である。学問的成果を認めた上で実用的には多少目的には合わない部分があっても使えないかとの検討が必要。
技術的な到達目標と成果は大変結構なものであるが、これらの成果の継承をどのようにしていくのかについて具体策が必要。
これらの研究を国の予算として実施するのであれば、例えばこれらの研究成果を外国に売る等、国策としての目的を明確にする必要があるのではないか。
 
<アクセス系超高速フォトニックネットワーク技術(旧光ネットワーク技術の研究開発)>
(現状)
推進体制、研究開発方法に関しては、期待される研究成果の達成を阻害するような問題点は特に見当たらない。個々の研究開発の進展に関しては、世界記録を更新する一括波長変換技術の見通しが得られたり、光バーストスイッチング技術においても、世界でトップレベルのスイッチング時間を実証した成果などが特に高く評価できる。
幹事会社を中心に各参加グループが定期的会合を開催し緊密な連携をとりながらプロジェクトを推進し、共同で実証実験を行うなど良いプロジェクト体制で研究を推進している。
本研究開発は、順調に遂行されていると判断する。
計画を遂行する推進体制などができている。実証実験によって、成果が確認された。
15年度指摘事項への対応はほぼOKであるが、標準化への取り組みをもっと強化されたい。成果も順調である。
比較的順調に成果が出ている。
システム設計段階での目標設定が重要なファクターとなっており、導入結果によって明らかになった性能試験およびその評価は実用化に向けて重要なデータとなる。本システムを社会システムに組み入れるためには、事業体のあり方を含めて、運用上の未解決のテーマにチャレンジすべき課題の足がかりとなるものと期待できる。
(評価)
1000波長WDMの126km伝送を達成し、また、光バーストスイッチ構成・制御技術については世界のOBS研究グループの中でトップレベルの成果を上げている。
研究開発目標は、達成されつつあると判断する。
装置製作、実装、性能試験の一連の作業として目標を達している。
波長多重信号の一括変換に関しては目標レベルに達する大きな成果が得られたようであるが、広帯域伝送技術に関しては、目標レベル以上の多波長光を発生した点は評価できるが、事業目標である伝送技術として早急に確立されることが望まれる。また、個々の試作デバイスの性能に関しては、世界でトップレベルを達成したものが多く、全体的に極めて高く評価できる。
目標達成度は予定通りである。しかしながら一部今後の進め方が遅いのではないかと考えられる。具体的には、波長レベル広帯域光伝送技術、光バーストスイッチ技術などは国際の場でのコンセンサス作りが重要であり、そのための体制作りが遅れていると思われる。
研究体制について、大学とキャリアがほぼ同格のメンバー構成になっているなど大変斬新な組織であり、評価したい。
(改善点)
H15年度評価・助言に対しては、全項目に対して具体的改善に向けて進み出しているようであり、評価できる。
プロジェクト参加機関がバラバラではなく、強い連携体制を持って実証実験に取り組んでいる。
プロジェクトのまとめ役が通信事業者であることを考えると、本研究開発を基礎とした実事業への適応可能性を検討するなど、他のメンバーとの役割分担を明確にすべきである。
アクセス系はe-Japan計画を支えるために重要である。世界に対し日本発の技術として使われる仕様にしなければ価値がなく、技術移転・実用化に対する活動の強化を行い、終了前に実用化推進を表明する組織を明確とすることが必要。
本研究の課題の同じ発想は過去にいくつか提案されてきているが、いずれもアイデアの段階であり、本研究のように実システムを構築して、実用化を意識した結果は他に見受けられない。本研究成果の大学による発表は応分になされているが、実用化の可能性を切り開いた技術内容を開示した論文の公表も期待する。
(その他)
本研究開発は、先端技術の追求に重点が置かれているよう思われるが、成果をより早く製品にフィードバックできるように事業化体性を整える必要がある。場合によっては開発の終了前からでも、製品化に向けた設備開発等を開始する必要があり、製品化で海外メーカに遅れをとるようなことが生じないように留意するべきである。
バースト転送時の伝送路有効使用時間はどれ位か?衝突回避策はどんなものか?なども明らかにして欲しい。
光系3テーマ(幹線系、アクセス系、インターネット)は共通する技術があってしかるべきであり、3テーマでの重なりを再検討し共通部分の活用をはかって無駄な重複開発がなくなるよう努力すべき。例えば1000波WDMなどはそれぞれ異なる方式を検討中である。学問的成果を認めた上で実用的には多少目的には合わない部分があっても使えないかとの検討が必要。
個々の研究については評価しているところ。問題点、目標をより明確化して頂きたい。
様々な他技術との兼ね合いについて、そろそろどの技術を活かすのかという絞り込みの議論も進めていくべき。
 
<インターネットノード全光化技術の研究開発(旧 光ルーティング技術の研究開発+超高速光ルータの研究開発)>
(現状)
推進体制、研究開発方法に関しては特に問題は認められない。個々の研究開発の進展については、3つのサブテーマすべてで進捗が見られることは評価できる。特に光レイヤにおけるIPカットスルー技術では、6ノードテストベッドを用いて、短期的トラフィック変動に対して輻輳検出し、輻輳回避の動的光パス再設定の高速化を実施したことは高く評価できる。
プロジェクト構成機関は競合的ベンダ4社から成るので、それらの連携体制、共同実証実験などの取組みが懸念されるところであるが、研究推進委員会等の開催により連携した開発を進めている。
研究開発は順調に進んでいると判断する。今年は最終年度であることから、参加企業のより密な連携を期待する。
それぞれのポイントで着実な進歩を見せている。
計画を遂行する推進体制などができている。
急速な市場ニーズに対応した実用化を目指す製造技術の課題に取り組んでいる。協力機関との連携の効果が明確でないように思われる。
15年度指摘事項への対応はほぼOKであるが、成果の数値化が明快でない点がやや不満である(例えば光波長ルーティングはコスト勝負であるがその達成度ないし目標値は示されていない)。成果は順調である。
(評価)
光レイヤにおけるIPカットスルー技術では、6ノードテストベッドの評価実験を実施し、短・長期的トラフィック変動に対応する動的パス設定の連動動作方式を、高密度光波長ルーティング技術では、AOTFの低消費電力化・低コスト化を、光エッジノード制御技術では、40Gb/sのパラレル送受信器でエラーフリー動作・光結合損失4dBを達成した事は高く評価できる。
光密度波長ルーティング技術のキーデバイスであるAOTFの開発とそれを用いた波長ルーティングノードの試作と評価実験を進め、実施目標をほぼ達成していると考えられる。
設定された研究開発目標は、達成されつつあると判断する。
おおむね達成されている。
このカットスルー技術で、ルータの負荷をどの程度下げられるかの見通しが欲しい。
目標達成度は予定通りである。しかしながら一部今後の進め方が遅いのではないかと考えられる。具体的にはエッジノード技術が諸外国に受け入れられるよう外国との仲間作りが遅れていると考えられる。この点強化されたい。
(改善点)
実用化に向けた課題を明らかにすべきである。
光レイヤにおけるIPカットスルー技術では、実用化を視野に入れて、様々なトポロジ網、より多ノードのテストベッドで高速に光パス再配置できるよう実験実施・技術進展することが望ましい。光エッジノード制御技術では、40Gb/sインターフェースの小型化と、フォトニックネットワークの高速復旧の実現に向けて更なる技術向上を行なうことが望ましい。
比較的ショートレンジの研究目標であり、今後実用化につなげることが必要である。そのための改良、機能の絞り込み、適用マーケットの明確化が必要である。
市場動向の課題を整理する必要があるように思われる。
インターネットへの全光応用、特にエッジノードは通信網系課題の最大の目玉である。本プロジェクトの成果を商品とする企業を内外で具体化して欲しい。
(その他)
今年度の特許出願数は15件増えて全部で49件となり、最終目標の56件に向けて着実な進歩が認められる。また、海外発表や学会大会・研究会や展示会も最終目標に近づいており高く評価できる。一方で、論文(査読有り)については、今年度新たに発表された論文はなく、平成17年度に目標に到達するよう期待する。提案技術の権利化や、実用化に向けての技術の適用性や改善点に関する議論・検討に加えて、査読有り論文による知の体系化に期待する。
ネットワークの機能として総合的なシステムを実現するために必要な実装をする計画が求められる。
光系3テーマ(幹線系、アクセス系、インターネット)は共通する技術があってしかるべきであり、3テーマでの重なりを再検討し共通部分の活用をはかって無駄な重複開発がなくなるよう努力すべき。例えば1000波WDMなどはそれぞれ異なる方式を検討中である。学問的成果を認めた上で実用的には多少目的には合わない部分があっても使えないかとの検討が必要。
この種の研究開発に当たっては、国としてネットワーク全体の将来像を計画し、全体の見通しを立てた上で、それぞれの要素技術につき研究を行っていくべきである。
個々の研究は非常に良くやっている。ただし、戦術としての個々の研究も必要だが、戦略としての研究の方向性を明確にすることも大切。
 
<フェムト秒テクノロジーの研究開発>
(現状)
出願・取得特許数が多く、さらに多数の招待公演や論文発表を行い、学会で高い評価を受けている点が特筆に価する。
16年間にわたる戦略的プロジェクトであった。フェムト時間領域の超高速光パルスの発生、伝送スイッチを構成する光デバイスの基盤的研究推進プロジェクトであり、いくつかの先端的成果が得られた。
主要産業界と国の基礎研究機関とを束ねた秩序の統制が取れた研究体制である。産業界の得意分野を効果的に引き出して成果を出している。
研究開発は、順調に遂行されたと判断する。
計画を遂行する推進体制などができていた。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である
(評価)
光時多重分割方式を用いた超高速光デバイス開発(超高速光源、光スイッチおよび分散補償技術等)において成果を上げ、システム技術者が扱えるデバイスを提供している。これらの開発により、160Gb/sの光通信実現のための要素技術はほぼ完成している。
極めて計画的に目標を達成している。
目標達成度は予定通りである。また成果の継承が具体化されている点も評価に値する。
設定された技術開発の目標は、達成されたと考える。
フェムト時間領域の光パルスをコントロールするデバイス技術については目標を達成しているものが多い。一方、そのデバイス技術を適用した実用システムの開発は今後の課題である。10年間の戦略プロジェクトによってこのようなシステムが実用化されたというインパクトのある適用例が望まれるところである。
それぞれに進んだとは言え、それらがどれ程のリードをもたらしているのか明らかにして欲しい。
(その他)
得られた成果を実用に結びつける努力を引き続き行ってもらいたいが、もし難しいのであれば、問題点を明らかにしてもらいたい。
個々の開発された要素技術を用いて、トータルでの光通信システム具現化を検討しながら開発を進め、最終的に光時多重分割方式を用いた1〜10Tb/s級の光通信システムを実現して欲しい。また、実用化する技術の市場創出規模を検討して欲しい。
国の費用で達成した研究成果の産業界及び事業者にどのようにフィードバックするか、政策的な方向付けが必要思われる。民間産業界が自由競争で研究開発すべき技術内容に対し、国の機関がどのように関与するか、また公的資金をどのように注入するか、真剣に検討する必要がある。

2−2 次世代LEO

(現状)
研究開発は極めて困難な課題もあるが、十分に努力してきていると考える。
宇宙開発環境の変化により、プロジェクト期間中の光衛星通信装置の衛星搭載を断念し、地上実証実験に目標を切り替えている。衛星搭載用の光衛星間通信装置については、重量40kg,消費電力120W以下となる衛星側からの要求仕様を満たす設計を終えている。
地上実験に切り換えた。
課題の設定は周回衛星群の衛星ネットワークの実現に向けてのフィージビリティスタディである。4項目に分けて、研究機関で分担して実施している。分担項目の実施状況は了解できるが、総合的な視点でのフィージビリティスタディの実施体制がわかりにくい。
計画は大幅に変更され、研究計画の再定義が求められている。
15年度指摘事項への対応は不十分である。衛星全体構造の明確化にもっと発言すべきで、明確とならない内は研究開発を止め、リソースの有効利用を提言する決意が必要。同じ衛星でもっと緊急にリソースの必要な分野あり(例えばここで重点化されなかったP2Pなど、このプロジェクトで取り組めないなら、リソースを他に譲るべき)。特許への取り組みは相変わらず遅い。
(評価)
周回衛星を使わずにできる範囲での目標は、おおむね達成されていると判断する。
多くの研究機関での総合的な協力分担体制がひかれている。個別の実施目標はおおむね達成していると評価できるが、総合的な機能としての課題に対する見通しも良くできている。
当初の研究計画の進行としては、成果がみとめられる。
自ら立てた目標達成度は予定通りである。しかしながらそれが本当に必要なことかのアセスメントはまだ弱い。
宇宙搭載へ向けて窒化ガリウム系FETの放射線耐性の評価を行い、良好な結果を得たとあるが、放射線種や照射強度・時間およびFET特性評価項目の記述が無い。衛星ネットワーク技術、クライアント端末技術に関しては机上検討を行い、マルチバンド化衛星-地上通信方式を提案し、0.4GHz/Hzの改善を見込んでいる。
地上実験に切り換えした結果、成果の限界、意味を明確にすべき。
(改善点)
宇宙通信と地上のネットワークとを結びつける点を意識した研究開発を行ってほしい。搭載機器の熱設計や振動衝撃試験について、実際に搭載可能なスペックを満たしたか不明瞭である。また、特許出願を多く行って欲しい。
計画変更に際して同種の研究動向との関連に対する見直しが必要。
終了後の成果活用の見通しがすべて「期待される、考えられる」となっていて、ここでの開発成果を商品化しようとの意気込みが感じられない。環境が味方しなかったので難しいとは思うが、一部でもよいから継承しようとする具体的活動・体制を作ることが出来なければ、プロジェクトとしては不成功と言えよう。
(その他)
引き続きNICTのプロジェクトとして当初の目標を達成し、実用に繋がることを期待する。
実現する衛星ネットワーク技術、衛星地上間通信システムの具体的なアプリケーションや創出される市場規模の検討も行いながら研究開発を行って欲しい。
拠点研究制度の活用とともに、衛星搭載実証の検証も望まれる。その際、将来の実用化に向けての経済的見通しやビジネスモデル、又は、国際的政策的側面からの効果の見通しに立脚した、今後必要な経費の計算根拠を明確にする必要がある。
災害時の通信確保に当たっては、最終的には衛星を使用するのが通常であり、また電話網ではなくインターネットを使用することになるため、衛星におけるインターネット系技術の必要性をより主張して行くことが大切。

2−4 マルチメディアの高度化2

<オブジェクト連動データ放送システムの研究開発>
(現状)
画像内から10程度の動オブジェクトを抽出してリアルタイムに追跡することのできるオブジェクト抽出技術を開発することで、ユーザーの指定するオブジェクトに関連する情報が表示されるオブジェクト連動データ放送サービスを実現しようとするものであり、発表、特許など多くの成果が得られていることは評価に値する。
研究の項目はすべて行われ、完了している。
研究開発は、おおむね順調に遂行されたと考える。
計画を遂行する推進体制などができている。
デジタル放送のコンテンツと連動して、メタデータの配信、受信者側からのデータ要求など、放送機能と双方向通信機能の複合化を実現する技術である。
15年度指摘事項への対応不十分。回答はオブジェクト抽出の技術的課題解決に終始しており、オブジェクト抽出が何の役にたち、誰が必要としているかに対する回答なし。自らたてた目標に対して成果は順調である。
(評価)
試作システムを実際に放送に用いた実験を行うなど、積極的な実験により、目標はほぼ達成されていると考えられる。
この成果を今後使う人々につなげる為に、幾つかの結果について、その問題点・限界点を考察し、記述しておいて欲しい。
おおむね達成している。放送情報の製作環境にとって革新的な思考が必要であったと思われるが、インターネットのブロードバンド化に伴い、ビジネス環境で必然的に発生する技術である。本研究で実現している技法はアイデアによるひとつの試みであり、今後より完成度の高い技法の提案が発生するものと思われる。
設定された目標はほぼ達成されていると判断する。
おおむね当初の予定通りの研究成果があがっている。
目標達成度は予定通りである。しかしながら、この技術を誰がどのように使いたいか、人間心理からみての有効性についての解析が不十分であるために、技術開発者の押しつけになるのではないかと恐れる。精度をあげることよりもユースケースの豊富化をはかって欲しい。
(その他)
バリアーフリーに資する各種のリモコン等の主観実験から得られた結果を十分に分析し、実用化に繋がる努力をしていただきたい。単なる研究開発で終わらせずに、実用に結びつける道筋を明らかにすべきである。
現状の類似技術としては、インターネット上のコンテンツ間リンクや、HDD内蔵レコーダーなどによるダイジェスト抽出、テレビとインターネットの間のコンテンツリンクなどがあるが、いずれも利用に際しては、映像内のオブジェクトに対して必要なリンクキーワードを利用者側で考慮する必要が有り、スムーズな連携のためには、利用者のトレーニングが必要である。一方で、本研究課題においてはテレビ放送の動画像内のオブジェクトに対して常に情報がリンクされるため、利用者のトレーニング無しにある程度の情報を取得できるメリットがある。こうした中で、本研究課題の成果をより実りあるものにするためには、実用化に際してオブジェクト情報が連動した放送に対応した新たなコンテンツが多数必要であり、コンテンツやコンテンツ作成者のメリットも考えた新たなビジネスモデルの構築が不可欠である。
国が関与する理由として、国際的に協調すべき課題であり、国際的競争力をつける必要があるとあるが、携帯電話のサービスの市場と同様に、この手の放送系のメディアのコンテンツ市場創出の新しい環境の整備に重点を置くのが肝要と思われる。
今後は技術の微細化ではなくユースケースを豊富化し、個々のユースケースに適応する方向での展開をはかっていただきたい。
 
<次世代放送方式技術の研究開発>
(現状)
視聴者の好みに応じて、迅速かつ容易に希望する番組にアクセスすることのできるナビゲーション技術と各種受信機に対応したメディア変換技術の開発である。平成16年度までにこれらを可能とする成果をほぼ固めつつあり、評価できる。
受信環境の多様化(通常TV放送、CATV、衛星放送、地上波デジタル放送、携帯端末向け放送、IP無線端末コンテンツ配信、IP−TV、などなど)に伴い、同じコンテンツをそれぞれの受信環境に合わせた配信する技術の確立であり、少ない人数で効果的な体制が取れている。
所要目的をほぼ達成したと考えられる。
研究開発はおおむね順調に遂行されたと判断する。
研究体制そのものが、現状の放送技術の範囲にとどまっている。
(評価)
試作システムを用いて、ユーザビリティに関する実験を行うなど積極的な研究活動により、計画されていた研究をほぼ終了していると考えられる。
設定された目標はおおむね達成されたと判断する。
当面の目標は達成されている。
受信ナビゲーション技術に関しては、様々な取り組みをさらに始めることが必要となる可能性がある。今回の結論に至る評価内容を広く展開し、次に継げてもらいたい。
受信ナビゲーションシステムの実用化において、普及に対する見通しが明確に示されていないのではないか。
目標達成度は平凡である。
(その他)
受信ナビゲーション、スケーラブルメディア変換について、基本的な研究はほぼ終了できていると考えられる。開発された技術については、さらに積極的に実用化のフェーズに載せることを望みたい。ナビゲーション技術においては、各受信機メーカー(ソニー、松下、NECなど)で独自の仕様で既に進み始めているが、このような技術は、ユーザーの多様な好みに合わせた形で、製品の種類も多様化することが多い。ユーザーを選ばないユニバーサルなナビゲーション技術として、いち早い標準化、製品への実装を開始し、ユーザーの支持を得ることではじめて類似技術に対しての優位性が得られる。また、スムーズなナビゲーションをより確実にするためには、コンテンツ作成側の協力も必要である。スケーラブル変換に関しては、単なるメディア変換ではなく、ユーザーの好みに応じた情報の取得に着眼し単一のメディアにおいても、部分的に拡大ができるなど、有用な技術として認められるが、国家プロジェクトとして本研究の成果を広く普及させるために、早急に実用化されることを希望する。
来るべき、IP系コンテンツ配信事業に生かされることを期待する。
得られた研究成果を実用化につなげる努力を引き続き行っていただきたい。
本プロジェクトの製品化がどのように行われるのか継承方法、体制等具体化して頂きたい。
 
<ISDB技術の研究開発>
(現状)
基本的に当初の計画はほぼ予定通り遂行されたと判断できる。これは、各要素技術における個々の研究成果を統合したシステムを構築し、さらにその評価まで行っている。これをもとに、3社が共同して作製したシステムの事業化へ進んでいるものと考えられる。
研究開発はおおむね順調に遂行されたと判断する。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である。
抽象的ではあるが、目標を達成した。
研究体制は整っている。
ISDBの開発の発想はNHKグループが構想を提案してから久しい。電話網におけるISDNに対応して放送系の衛星電波を利用した多重化サービスである。電話網のISDNはブロードバンドIP網(NGN)の実現により、終息の方向に向かっている。NGN(次世代ネットワーク;ITUでの課題)は基幹回線とアクセス系回線の光、衛星、モバイル系をNGNとしてシームレスに接続するサービスの計画であり、ISDBの必要性もNGNに吸収されるのが自然と思われる。
(評価)
重要度を付して階層化する技術に関しては、ソフトウェアによるオブジェクト抽出を可能とし、特殊な装置を導入せずに2つ以上のオブジェクトに分割する技術を確立している。また、統合化技術に関しても、広域局と地域局が連携し、ロケーションに応じた適応型放送機能を実現できるコンテンツ表示方式、コンテンツ取得方式などを確立している。研究の連携体制も取れており、3種類の性能の異なる端末向けコンテンツを用いて、実際に3社統合システムによりその有効性を確認している。以上より、評価としては良好である。
構想の整理と基幹サービスのモデルの実装において、おおむね目的を達成している。
設定された目標はおおむね達成されたと考える。
目標達成度は予定通りである。
マルチメディアの諸特性をうまく調整する技術がすべて確立されたのであろうか? 未だの部分を明確にされたい。
実用化に向けた具体的な見通しが示されていない。
(その他)
他事業に対する調査も行っていると考えられる。階層化技術に関しては、個別の研究分野では、画像に関する国際会議などで見受けられるが、ISDB技術の枠組みの中での検討例は見当たらない。よって、事業目的・内容の変更の必要性などはないといえる。ISDB技術の確立は、映像、音声、文字、データなど異なる特性をもつさまざまなデータをデジタルデータとして統合的に取り扱い、その組み合わせや使い方を柔軟に変更できる可能性が高いため、さらなる研究の遂行が期待される。
実用化に向けた課題を明らかにし、継続的な努力をしていただきたい。
放送系における実用化は、受信端末の標準化とともに、コンテンツの需要の喚起がシステムの実用化の鍵である。H.264符合に携帯向け放送コンテンツの配信サービスの実用化が目前にあるので、過去のISDB構想は解消の時期を迎えている。
成果活用の見通しが具体性にかけるので、継承方法、体制とも具体化していただきたい。
 
<高精細・立体・臨場感コンテント技術に関する研究開発>
(現状)
研究開発は順調に遂行されたと考える。
複雑な形状の3次元計測技術、立体物映像の合成システム技術において、一定の到達度が見られている。
先端的な研究で、多くの課題があるが、それぞれに成果が出ている。
立体映像に関する重要な研究であり、研究成果があがっていると認められる。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である。
放送用コンテンツの製作環境の利用される強力なツールの開発と位置つけられる。ツールそのものの普遍的な技術開発ではなく、コンテンツ製作者側からの現状で手に入るツールの使い方の技法の研究開発である。
(評価)
目標達成度は予定通りである。
目標はおおむね達成されたと判断する。
当初の研究目標はほぼ達成したと考えられるが、実用化に向けての提案にはさらなる研究開発が必要である。
複雑な形状の立体物に対して、約30分で外形形状の計測を可能にした点で、従来の1/10以下に時間を短縮できた点で評価できるが、さらなる短縮化が必要である。この点に関しては、実用化にはまだ遠いレベルであり、今後の開発が望まれる。
テレビスタジオ内における収録作業にもとづく映像製作現場のニーズに対する答には、おおむね目的を達している。
定量評価に関し、示されている方法はその一部である。このような「抽象的な達成度(%)」以外に、条件を具体的に数値として与え、そういう環境下での結果を明示するとともに、その条件の感度などに対する評価考察が明記されることを望みたい。
(その他)
研究成果に関して、Web上に公開したことにより、外部より問い合わせが多いようである。今後の実用化への開発を期待したい。国際会議や論文の発表は19件あり、評価できる。
立体は重要であり、今後とも国が力をいれるよう働きかけて頂きたい。
今後の映像コンテンツ作成を支える重要な技術であるが、多くの人に使ってもらうために行うべき課題を明らかにし、その解決に注力していただきたい。
放送コンテンツ制作費にかかる現状の経費は、他の産業の生産の経済的環境に比して、旧態の体質があるように見える。本研究の諸経費の支出で製作されたコンテンツの再利用など(フリーコンテンツとして公開するなど)の検討が望まれる。
 
<ユーザーオリエンテッドマルチメデイア技術の研究開発>
(現状)
動画において、個人が思う不快な画像のみを抽出し、隠すことができる。60分の映像に対し、対象を検索するのに約30秒と短く。画像抽出の技術としても評価できる。
目的としていた活動はすべて行われた。
研究開発はおおむね順調に遂行されたと考える。
計画を遂行する推進体制などができている。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である。
コンテンツの製作における環境や技法を、コンテンツ受信者端末機能に導入することで、本研究の大部分の機能は実現される。受信者の個別の趣向による受信コンテンツの加工の手法は今後次々と様々なアイデアが提案され多様化するもの考えられる。
(評価)
目標達成度は予定通りである。特にモニター調査は秀逸。
成果の詰めなど、きちんと行われている。実用性を見すえた良いまとめ方である。
目標はおおむね達成されたと判断する。
おおむね当初の予定通りの研究成果があがっている。
当初の目標をほぼ達成しており、その点は評価できる。成果に対して、外部からどのような評価を受けているのか、不明である。
目的設定に本来標準化技術になじまないものを、放送システム(コンテンツ配信システム)に導入して標準化する思考に乖離があるように思える。そのため、当初意図した目的に的確に答えていないように思える。
(その他)
技術の内容に関しては、内外の同種の研究とは明確な差異が示されており、技術として今後も必要となってくるであろう。累積論文・国際学会での発表回数は、論文4件、学会発表8件であり、また特許出願も15件と多く評価できる。
コンテンツの受信者による再構成、コンテンツの再利用等の手法は、今後多種多様なアイデアが出るものと考えられる。自由な発想を市場に反映させる仕組みの創出が必要と思われる。
製品化への見込みの具体化を加速して頂きたい。
本技術の実用化に関するニーズを明確にすべきである。特に、研究成果が速やかに製品に実装されていく見込みは相当あると期待するではなく、主体性を持って取り組んでいただきたい。もし困難であれば、何が原因なのかを明らかにすべきである。


3. コンピューティング・ソフトウェア分野

3−1 次世代ソフトウエア対応

<未踏ソフトウエア創造事業>
(現状)
与えられた助言等にも積極的に対応しており、事業は良好に遂行されていると判断する。
IPA・プロジェクトマネージャ・開発者・プロジェクト管理組織が一体となった体制であり、順調に推移している。事業化/起業化などで市場や研究機関において高い評価を受ける事業が継続的に生まれている。
定常的な面白い活動として定着して来た。
着実に事業を進めている点は評価できる。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である。
新しいタイプのソフトウェア人材の開発である。
本プロジェクトの視点、とその意図は極めて賛同できるものであるが、実行手段、体制において、限られた人間関係の方針に依存している。このことは悪いことではないが、両刃の剣の問題がある。
(評価)
斬新な発想でスタートしたものであり、当初の目的は充分達成したと思われる。
さまざまな成果が散発的にあがっており、新しい試みは評価されてよいと思う。
そろそろ最初のフェーズから脱して、今までの活動を評価し、優れたソフトウェア生成の「こつ」を明らかにする活動を併行させてはどうか。
(その他)
大変意義あるプロジェクトであり、成果も上がっているので拡大して続けられたい。広報活動の強化につとめられたい。
本事業の重要性を考えると、プロジェクト終了後の体制維持を含めた事業の継承を検討していただきたい。
事業目的・内容の変更点は無い。今後もソフトウェア技術者に対する支援を行って欲しい。クリエータの中には、自身の仕事を行いながら本プロジェクトに参加している者もいるため、イベントなどの日程調整には留意すべきである。PMの公募対象によるのだと思うが、応募者数が偏る傾向が見受けられる。応募者数が多い場合、(幅広い分野から発掘するという理念から外れるかもしれないが)その分野の採用枠をある程度柔軟に広げてみてはどうか。
PD、PO、PMといった制度が米国の表層的な面だけを導入し進められているのが現状であるように感じられるが、PM制度の草分けとして、この制度の健全な発展の模範となれるよう一層の努力をすべきである。
若手研究者の発掘に有効な手段として評価できるが、この制度を定着させるとともに、次の落とし穴もある。
1)形骸化して予算を配るだけの作業になる。
2)一部の人間関係での価値観に偏る。(評価者にいつも同じ顔が並ぶ、など)
3)本物の研究素質のある人材と詐欺師的思考の人材を見極める評価が困難。
4)流動的で意外性のある課題の評価。
このような問題を直視するオープンな環境が必要とおもわれる。

3−2 アーキテクチャ対応

<インタラクティブ情報網基盤技術の研究開発>
(現状)
研究開発は、基礎研究的な要素が大きいことを考慮すると、順調に遂行されていると判断できる。
グリッド技術、ヒューマンインターフェース技術ともに順調に推移していると思われる。
予定通り研究が進んでいる。
大きく分けて4課題のようであるが、それぞれ着実に研究を進められているようである。
日米間の競争と協調を意識したグリット技術の実現に重点を置いた研究課題である。FTTH網や、ITUのNGN計画が派生する以前の地球規模のコンピュータネットワークの構築の延長線上にある構想である。
15年度指摘事項への対応は一部不十分、具体的にはグリッドのユースケースがロボットのネットワーク化しか考えられておらずもっとユースケースを増やしてグリッドの効用と限界を明示して頂きたかった。成果は順調である。
(評価)
グリッド技術に関しては、1793プロセッサで6.7テラフロップスが達成され、また大規模な6208プロセッサの環境を構築しており、最終目標である10テラフロップスの実現が期待される。ヒューマンインターフェース技術に関しては、特に音声インターフェースについては技術の完成度や知的財産の確保等、高く評価できる。
目標はおおむね順調に達成されていると考える。
スーパーコンピュータのネットワーク分散化の視点に巨大プロジェクトであるが、情報産業の古い体質での発想のプロジェクトとして評価すると、当初の目的は達成している。
グリッドは、先導的な活動であり、評価できるが、現位置が外から見え難い。インターフェースは先進的な研究で優れている。
目標達成度は予定通りである。しかしながら、グリッドの限界に関する検討が不十分と思われる。すなわち不均質環境におけるグリッドの効用に関する検討を行い、グリッドの限界を明らかとして頂きたい。
たとえば、グリッド技術についていえば、台数が多いことを誇るのか、アプリケーションを実行できたことを誇るのか?本来は、何をどこまでこのプロジェクトの研究成果が寄与できたのかを具体的に示し、それを誇るべきではないのか?また、ベンチマークを示し、本プロジェクトの位置を明確に示す必要がある。
(改善点)
重要な研究テーマであるので、国際的に評価されるような成果があがることを期待する。
次世代ヒューマンインターフェース技術については、力ずくで解決しているような印象を受ける。必要となるCPUパワーとアルゴリズム等の並列可能性などなどとの関係を明らかにし、実用化の可能性を検討すべきと考える。
グリッド技術と音声インターフェースに関しては明確な技術目標が設定されているが、同様に、ステレオカメラデバイスと高臨場情報端末についても具体的な数値目標を設定して欲しい。単に「開発を行う」という目標だけでは、最終段階で評価基準が不明確となってしまう。知的財産に関しては今後も抜かりなく行って欲しい。
通信と放送の融合の語感の中にあるハイビジョンレベルの画像を取り扱うIPサービス事業出現のための研究の視点と本研究の目標との融合整理が必要である。
高性能コンピューティングはやはり高速プロセッサを中心とすべきと考えており、グリッドではなく並列/局所集中分散コンピューティングに本技術を生かすべきではないか。ネットワーク分散は不用。
(その他)
グリッドでは、セキュリティを保ちながらアカウント管理を容易にすることが目標に掲げられているが、ここで言うセキュリティは、具体的に何を意味しているのかを明確にすべきである。また、未だ顕在化していないグリッド技術の実用化に向けた課題についても検討すべきである。
ステレオカメラデバイスと高臨場情報端末について、具体的数値目標を設定するのが望ましい。
インターフェースは難しい技術である。実用性は実施に移らぬと解らない。現企業との協力を続けて欲しい。
1)国家事業として行う研究課題でグリッドコンピュータが必要な課題を明確にする必要がある。
2)民間の市場で発展することが主流となるテーマに対してグリッドコンピュータが必要であるものなら、其の市場規模と其の経済効果の目標を明確にして国の費用を注入する必然性をオープンにすべきである。


4.コンピューティング・ハードウェア分野

4−1 半導体

<革新的電子材料技術(強相関エレクトロニクス)の研究開発>
(現状)
研究開発は、順調に遂行されていると判断する。
事業概要・技術開発の目標は極めて妥当なものであり、ここのグループの研究の取り組みの姿勢も望ましいものと理解する。
これまでの評価助言に対して実用化に向けた取り組み等の改善されている点は評価できる。
15年度指摘事項への対応がなされている。成果も順調である。
進歩はある。
計画は大幅に変更され、研究計画の再定義が求められている。
(評価)
意欲的かつ、精力的に目標を達成している。すなわち、各技術課題について、動作原理の提唱からデバイスモデルの構築による機能の実証は優れた成果として評価できる。
酸化物のSrTiO3、およびKTaO3ペロブスカイトFETのプロセスを詳細に検討することにより、さらなるデバイス特性の向上に期待する。
目標はおおむね達成されていると判断する。
目標達成度は予定通りである。
当初の研究計画の進行としては、成果がみとめられる。
目標が余り明確でない。何でも進歩があれば成功という訳ではなかろう。先をより明示すべきである。
(改善点)
引き続き、研究開発を鋭意継続していただきたい。同時に、研究成果の実用化への道筋を明確にしていただきたい。
強いて改善点を注文すれば、産業化へのプロセスの研究開発作業のチームを作る必要がある。
成果継承の具体的体制を明確化していただきたい。
計画変更に際して同種の研究動向との関連に対する見直しが必要。
実用的な技術として不揮発性メモリを例示されているが、具体的ターゲットを見据えた形での研究が望まれる。例えば強誘電体メモリで誘電率が2000〜3000もあると強誘電率膜に全く電界が印加されず、とんでもない大電圧動作が要求されてしまう。強誘電性を維持しながら2桁の誘電率の低減が必要。抵抗電界0.5[kV/cm]では強誘電率膜の分極は短時間で消滅してしまう。1桁の抵抗電界の増加が必要。
(その他)
あれも、これもやるのではなく、実用化されるのに必要な要件を、それぞれのターゲットに対して明確にして、その要件を満足する開発に集中すること。CMR、CER、強誘電メモリを例にして話していただきたい。
国の巨大開発費の注入に頼ることなく、ベンチャーキャピタル資本で行う事業化の方策を採ることも肝要と思われる。