教育の情報化プロジェクト
ミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」評価・助言会議
平成17年度評価報告書(最終評価報告書)
平成19年3月
近年の著しい情報通信技術(IT)の発達に伴い、社会のあらゆる分野で情報化が急速に進み、それが世界的な大勢ともなりつつある。政府では、教育の情報化は日本の教育における最重要課題の一つであるという認識の下、総理直属のバーチャル・エージェンシー「教育の情報化プロジェクト」の報告(平成11年12月)を踏まえ、平成11年12月にミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」を策定した。
本プロジェクトでは、「2005年度(平成17年度)を目標に、全ての小中高等学校等からインターネットにアクセスでき、全ての学級のあらゆる授業において教員及び生徒がコンピュータを活用できる環境を整備する」こと等により、
| ○ | 「子どもたちが変わる」(「子どもたち」の論理的な思考力・創造力・表現力などの飛躍的な向上) |
| ○ | 「授業が変わる」(「授業」の形態の根本的な変革) |
| ○ | 「学校が変わる」(学校・家庭・地域間の連携をはじめ「学校」運営の在り方そのものの変革) |
という状況をつくり出すことを目指し、各施策を講じることとされた。
その後、平成17年度までの6年間にわたり、関係府省庁が連携して関連する諸施策を推進してきた。
ミレニアム・プロジェクト「教育の情報化」評価・助言会議(議長:坂元 社団法人日本教育工学振興会会長、実務能力認定機構理事長。以下「評価・助言会議」という)では、本プロジェクトについて、平成17年度における各施策の進捗状況を関係府省庁から聴取するとともに、過去6年間にわたる評価・助言会議の評価・助言を踏まえ、プロジェクト全体の総括的評価を行った。
平成17年度までの目標を設定している各施策の実施状況について、評価・助言を以下のとおり行った。
| 1. | 公立学校のコンピュータ整備・インターネット接続等 |
| (1) | 実施状況の評価 |
| | 「2005年度(平成17年度)までに全ての小中高等学校等からインターネットにアクセスできるようにする」という目標に対し、平成18年3月現在、公立学校のインターネット接続率はほぼ100%、高速インターネット接続率も89.1%となっており、当初目標を概ね達成している。
一方、「2005年度(平成17年度)を目標に、全ての小中高等学校等が、各学級の授業においてコンピュータを活用できる環境の整備を行えるようにする」という実現目標については、平成18年3月現在、コンピュータの台数は児童生徒7.7人に対し1台、普通教室のうちLANに接続している教室数の割合は50.6%にとどまっており、当初目標の達成には至っていない。
また、整備状況は地域によって差があり、さらに、新旧のコンピュータ、OSが混在しており、使用しづらい環境であると考えられる。このような状況の詳細を把握するためには、整備状況を調査する際の調査内容の改善も必要であり、今後のコンピュータ整備に当たって十分留意すべきである。
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| (2) | 助言 |
| | 教育用コンピュータやネットワークの整備に必要な経費については、地方財政措置がなされており、各地方公共団体が自主的判断により予算化することになる。教育の情報化を進めるためには、各地方公共団体が主体的に教育の情報化のための予算措置を行うよう、国としても整備の方向性や目標を示すなど、各地方公共団体の取組を後押しする必要がある。たとえば、その時点で考え得る、IT機器を活用した最先端の学習環境を備えた理想の学校や教室の姿を提示するなど、具体的な利用イメージと目指すべき方向性を示すことも有効であろう。
学校のネットワーク環境は、今後ますます高度化することが予想される。このため、ブロードバンド環境を生かした、レンタルサーバによる学校のサーバ機能のアウトソーシングや遠隔保守、シンクライアント(コンピュータ端末に最低限の機能しか持たせず、サーバ側でアプリケーションソフトやファイルなどの資源を管理するシステム)の活用など、新しい技術を有効にとり入れた低コストのモデルを示すことも検討すべきである。
授業等におけるコンピュータ等の活用や校務の情報化の観点から、教員用コンピュータの整備も非常に重要である。その際、児童生徒の個人情報の外部漏洩等を防止するためのセキュリティの確保に万全を期す必要があり、指導主事や教員とは別の情報教育にかかわる専門家の確保も検討すべきであろう。 |
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| 3. | 私立学校のコンピュータ整備等 |
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| (1) | 実施状況の評価 |
| | 「2005年度(平成17年度)までに全ての小中高等学校等からインターネットにアクセスできるようにする」という目標に対し、平成18年3月現在、私立学校のインターネット接続率はほぼ100%、高速インターネット接続率も94.6%(公立学校は89.1%)に達しており、当初目標を概ね達成している。
私立学校と公立学校の整備状況を比較すると、上述の高速インターネット接続率のように私立学校の方が進んでいる項目や、児童生徒数に対するコンピュータ台数の割合(平成18年3月現在、公立学校では児童生徒7.7人に1台であるのに対し、私立学校では8.8人に1台)のように遅れている項目もあるが、全体としてはほぼ同水準となっている。
我が国の学校教育における私立学校の役割と重要性は極めて大きい。一時期、主に予算面から私立学校のコンピュータ整備が公立学校よりも遅れていると懸念されていたが、国の助成の充実により公立学校と遜色のない水準となったことは評価できる。
私立学校ではそれぞれの多様な教育方針に沿って教育が行われることが重要である。したがって、支援のあり方としては、各学校の教育方針を尊重した方式が適当であり、現行の特別補助の更なる充実が望まれる。 |
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| (2) | 助言 |
| | 調査結果からは、公立学校とほぼ同水準の整備状況となっていることがうかがえるが、引き続きIT環境の整備に向けた取組と進捗状況の調査を実施するとともに、今後は校内LANの敷設状況や教員のIT活用能力についてもより詳しく把握する必要がある。
また、私立学校の中には先進的な情報教育を実践しているところもある。そのような事例については国公私立の区別なく教育関係者間で積極的に情報の共有化を図ることが重要である。
さらに、教職員の研修などについても、公立学校等との共同実施や情報の共有が望まれる。 |
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| 5. | 学校教育用コンテンツの開発 |
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| (1) | 実施状況の評価 |
| | 「2005年度(平成17年度)までに、学習資源を活用した学校教育用コンテンツの開発、普及を図る」という実現目標については、平成17年度に、新たに学校体育及び健康教育のコンテンツを配信する「健康教育情報システム」の公開や、舞台芸術に関する教育用コンテンツを配信する「文化デジタルライブラリー」におけるコンテンツの拡充などが進められており、当初の目標は達成されていると評価できる。 |
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| (2) | 助言 |
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| 1) | 開発されたコンテンツの活用促進
| | 実際の教育現場における学校教育用コンテンツの認知度は未だ低く、コンテンツが広く活用されるようにするためには、現場の教員等への情報の周知や、コンテンツを効果的に用いた実践事例の紹介等に一層の工夫が必要である。
また、学校教育用コンテンツが各授業で教員・児童生徒によりどの程度活用され、効果を上げているかについて実態把握や評価等を行い、それらをもとに今後の活用促進策のあり方を検討することが重要である。たとえば、PISA(Programme for International Student Assessment:OECD(経済協力開発機構)による生徒の学習到達度調査)等の調査結果も参考にしつつ、これからの学校教育で育成すべき学力に焦点を当てたコンテンツの開発を重点的に行うことなどが考えられる。
教材等の整備のための経費については地方財政措置がなされているが、現実には必ずしも十分に予算化されていない実態があり、地方公共団体への一層の働きかけも必要である。
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| 2) | 今後のコンテンツ開発
| | たとえば特別支援教育関連のコンテンツのように、採算性が低く民間による開発が期待し難いような分野のコンテンツ開発については、引き続き公的機関による取組の推進が望まれる。
また、各学校や地方公共団体において、どこにどのような有用なコンテンツがあるのかという情報や具体的なURL等が十分掌握されていない。せっかく開発されたコンテンツが死蔵されたり四散したりすることのないような対策を講ずる必要がある。
さらに、学校教育用コンテンツの水準を確保しつつ普及を図る観点から、目的、用途、形態、位置付け、品質、機能等について、国が方向性を示すことも重要である。
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| 6. | 教育情報ナショナルセンター機能の整備(教育情報ポータルサイトの開設 に係る研究開発) |
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| (1) | 実施状況の評価 |
| | 「2005年度(平成17年度)を目標に全国的な視野から教育の情報化を推進する教育情報ナショナルセンター機能の整備を目指し、2000年度(平成12年度)からポータルサイトの研究、コンテンツ流通・管理プラットフォーム等の各種開発を行い、サイトを開設する」という実現目標については、国立教育政策研究所が運営する教育情報ナショナルセンターにおいて、ポータルサイトの教育素材、授業実践事例を着々と増やし、平成18年3月には教育用コンテンツ等の情報数が27万件に達しており、当初の目標は達成されているといえる。
各学校段階区分ごとに情報が分類され、生涯学習関係情報も13万件追加されており、アクセス数も増加していることは評価できる。今後も一層の拡充が望まれる。
さらに、漢字を十分に学習していない児童でも利用できるようにするための漢字かな自動変換機能や、教科書の目次から検索できる機能は、特に小学校において高い効果を発揮しているものと考えられる。 |
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| (2) | 助言 |
| | 教育用コンテンツの登録数が順調に増える一方で、利用者が利用したい教材になかなかたどり着きにくいという問題が生じている。このため、たとえば、利用頻度の高い教材を優先的に抽出できるようにしたり、あるいはコンテンツを登録する際に評価し、精選された教材を学年・教科別に抽出しやすくする等の仕組の検討が望まれる。
また、当初はインターネット上で提供される教育用コンテンツを収集し提供することが目標となっていたため、教科や学習指導要領に示された領域ごとに見るとバランスがとれていない。今後は、ユーザーの視点をより重視し、学校が求めているコンテンツで欠けているものを重点的に開発する等の目標を設定すべきである。
何より重要なのは、有用な情報が各学校現場等において有効に活用されるようにすることである。そのためには、広報等の普及施策に更に力を入れ、情報の周知を図ることが望まれる。たとえば、教科書や教材に教育情報ナショナルセンターのURLが記載されるようにしたり、各種研修の際に教育情報ナショナルセンター機能を利用した模擬授業の実演を行うこと等も考えられる。 |
| (1) | 全計画期間(平成12〜17年度)を通しての評価 |
| | 本プロジェクトの計画期間であった6年間を通じ、学校におけるコンピュータやインターネット環境の整備等のハード面、学校教育用コンテンツの開発や教育情報ナショナルセンター機能の整備等のソフト面、そして、それらに関係する技術開発等についての関係府省庁の連携の強化事業の実施など、全体としては目標達成に向け着実に進展したと評価できる。
他方、当初の目標には十分達しなかった項目や、新たに生じた課題もあり、引き続き積極的な取組が必要である。
「教育の情報化」プロジェクトで掲げられた目標(平成11年12月)の達成状況について、全計画期間(平成12〜17年度)を振り返っての評価は、以下のとおりである。 |
「教育の情報化」プロジェクトに掲げられた目標(1)
・2001年度(平成13年度)までに、全ての公立小中高等学校等がインターネットに接続でき、全ての公立学校教員がコンピュータの活用能力を身につけられるようにする。さらに、2002年度(平成14年度)には、我が国の教育の情報化の進展状況を、国際的な水準の視点から総合的に点検するとともに、その成果の国民への周知を図るため、国内外の子供たちの幅広い参加による、インターネットを活用したフェスティバルを開催する
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上記の目標の達成状況を評価するため、「教育の情報化」プロジェクトに掲げられた各事業に対応する実現目標の達成状況について、以下のとおり評価を行った。
【公立学校のインターネット接続】
「2001年度(平成13年度)までに、全ての公立小中高等学校、盲・ろう・養護学校等(約39,700校)がインターネットに接続できるようにする」という当初の目標は、平成13年度末でほぼ100%となり、概ね達成された。
【教員研修の実施】
「2001年度までに、すべての公立学校教員(約90万人)がコンピュータの活用能力を身につけられるようにする」という目標については、当初の計画どおりに研修が行われたものの、コンピュータを活用して指導できる教員は平成18年3月現在で76.8%であり、一層の努力が必要である。また、日常の授業でコンピュータ等が更に有効に活用されるよう、今後の教員研修に資するような環境整備や教材の提供、教員研修カリキュラムのあり方などについて検討すべきである。
「2002年度(平成14年度)には、我が国の教育の情報化の進展状況を、国際的な水準の視点から総合的に点検するとともに、その成果の国民への周知を図るため、国内外の子供たちの幅広い参加による、インターネットを活用したフェスティバルを開催する」という目標については、平成14年度に高速回線等を利用することにより、インターネットを活用したモデル授業や交流等の各種イベント等を行う「eスクール(インターネットフェスティバル)」が開催された。その後、毎年度継続して実施されている。
以上のとおり、公立学校のインターネット接続、インターネットを活用したフェスティバルの開催に係る目標は概ね達成されているが、公立学校教員のコンピュータの活用については、研修は当初の計画どおり行われたものの、コンピュータを活用して指導できる教員の割合をさらに高めるため、一層の努力が必要である。
「教育の情報化」プロジェクトに掲げられた目標(2)
・2005年度(平成17年度)を目標に、全ての小中高等学校等からインターネットにアクセスでき、全ての学級のあらゆる授業において教員及び生徒がコンピュータを活用できる環境を整備する。
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上記の目標の達成状況を評価するため、「教育の情報化」プロジェクトに掲げられた各事業に対応する実現目標の達成状況について、以下のとおり評価を行った。
【公立学校のコンピュータ整備等】
【公立学校の校内LANの整備】
【私立学校のコンピュータの整備等】
「2005年度を目標に、すべての公立小中高等学校等が、各学級の授業においてコンピュータを活用できる環境の整備を行えるようにする」、「2004年度を目標に、公立小中高等学校が、校内ネットワーク(LAN)機能の整備を行えるようにする」、「2004年度を目標に、私立の小中高等学校等が、公立学校と同程度の水準の整備を目指して、コンピュータの整備及びインターネットへの接続を行えるようにする」という目標のもと、各事業を実施してきた。
その結果、インターネット接続については、平成17年度末現在、公立・私立学校ともほぼ100%、高速インターネットについても公立学校89.1%、私立学校94.6%となっており、概ね達成している。コンピュータの整備状況は、公立学校では児童生徒7.7人に対しコンピュータ1台、私立学校では8.8人に対し1台の割合である。校内LANについては、公立学校の普通教室のうちLANに接続している教室数の割合が50.6%にとどまっているため、地方公共団体の一層の取組が望まれる。
【学校教育用コンテンツの開発】
「2005年度(平成17年度)までに、学習資源を活用した学校教育用コンテンツの開発、成果の普及を図る」という目標については、平成12年度から17年度までに、各教科の授業及び総合的な学習の時間に活用できるコンテンツや、学校スポーツ・健康教育用コンテンツ、文化デジタルライブラリーのコンテンツが開発され、ネットワーク上で提供されている。これらは、様々な教育関係機関が学校教育用コンテンツを開発するにあたってのモデルともなっている。一部コンテンツの開発が計画より遅れたものの、当初の計画・目標は概ね達成されたと評価できる。
今後の課題としては、コンテンツの開発が未だ不十分な教科や分野の補強が挙げられる。開発されたコンテンツについて、第三者機関が評価した上で、国として体系的な学校教材のデータベースを構築することも重要である。
【教育情報ナショナルセンター機能の整備(ポータルサイトに係る研究開発)】
「2005年度(平成17年度)を目標に全国的な視野から教育の情報化を推進する教育情報ナショナルセンター機能の整備を目指し、2000年度(平成12年度)からポータルサイトの研究、コンテンツ流通・管理プラットフォーム等の各種開発を行い、サイトを開設する」という目標については、平成13年に教育情報ナショナルセンターの基本となるサイトが開設され、運用を開始しており、サイトに掲載されている情報の件数が27万件(平成18年3月現在)に達していることは評価できる。今後、これらの情報が各学校現場で更に有効に利用されるようにするための広報や、サイトの充実が望まれる。
これらに関連する技術開発については、当初の計画通り、校内LANのネットワークセキュリティ技術、学校教育用コンテンツの管理技術、教育情報ナショナルセンターの整備、ヘルプデスク運用向上機能の研究開発等が実施されていることは評価できる。これらの成果の学校現場への普及・浸透が今後の課題である。
以上のように、全ての小中高等学校等からインターネットにアクセスでき、全ての学級のあらゆる授業において教員・生徒がコンピュータを活用できる環境の整備という目標に対し、公立学校・私立学校のコンピュータ整備、国による教育用コンテンツの開発、教育情報ナショナルセンター機能の整備については目標が概ね達成されているが、公立学校の校内LANの整備、教育用コンテンツ開発の全国的な広がり、教育情報ナショナルセンターに係る広報等には、なお課題が残されている。
| (2) | 全計画期間(平成12〜17年度)を振り返っての、今後の留意点についての助言 |
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| 以上の評価に加え、今後の施策の推進に当たり留意すべき課題として、次の点を指摘しておきたい。 |
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| まず、本プロジェクトの目標設定と評価のあり方についてであるが、今日振り返ってみると、数値目標の設定とその達成状況の量的な評価に終始してしまった感がある。将来的には、教育の情報化によって学校教育にどのような効果や影響があったのかについて、光と影の両面を質的な面から多元的に評価することが重要となる。そのためには、しかるべき専門家で構成される特別の委員会等による評価の仕組が必要であろう。めまぐるしいIT技術革新の速度を考えると、プロジェクトの中間で目標を見直すことも必要であったと思われる。
また、国として教育の情報化推進についての明確な基本理念を策定し、将来のビジョンを地方公共団体の関係者等に示すことによって、必要な予算が確保されるよう働きかけることも必要である。
高等教育の領域では、新しいIT技術を利用したeラーニングや、モバイルラーニングも盛んに行われてきており、オープン・コースウェア(高等教育機関において正規に提供された講義および関連情報のインターネット上での無償公開)などの活用も広がっている。また、Web2.0時代を迎え、コンテンツの製作者と利用者の一体化も進んできている。このようなITに関する新しい発想や最新の技術を、初等中等教育にも積極的に活用することを考えるべきである。
さらに、セキュリティ対策や無線LANへの対応等、新しい技術をとり入れた校内ネットワーク環境の整備を提案していくことも必要である。
教育の情報化に関しては、常に5年、10年先を見通した計画の立案と、技術の進展等に対応した弾力的な見直しが不可欠である。このような視点に立って、政府が策定した「IT新改革戦略」(平成18年1月IT戦略本部決定)等に基づき、今後のIT環境の整備、ITの利活用方策について引き続き検討していくことが必要である。
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平成11年12月のミレニアム・プロジェクトの策定から6年余りが経過し、教育の情報化をめぐる状況は、当時と比べて大きく変化した。本プロジェクトで取り組まれた事業の中には、当初の目標を達成して新たな段階に移行し、さらに高い目標を掲げて推進している施策も増えつつある。
政府は、本プロジェクト以降、平成13年に「e-Japan戦略」を策定し、その5年間の実績を踏まえ、平成18年1月には新たに「IT新改革戦略」を策定し、引き続き積極的な取組を進めている。「IT新改革戦略」では、ミレニアム・プロジェクト発足当時には言及されていなかった高度IT人材の育成、情報化の影の部分への対応等も盛り込まれている。さらに、「IT新改革戦略」をより確実に実施するため、政府が迅速かつ重点的に実施すべき施策を取りまとめた「重点計画-2006」に従い、具体的施策を推進している。
また、IT戦略本部に置かれた有識者による「評価専門調査会」が、政府のIT戦略についてPDCAサイクルによる評価を行っている。
今後とも、教育の情報化をはじめとする情報化への対応については、国家戦略としての積極的な推進が望まれるところである。
評価・助言会議としては、6年間にわたるミレニアム・プロジェクトについての本評価報告書が、今後の教育の情報化に係る政府の施策に活かされることを期待している。
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