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第5回成層圏プラットフォーム評価・助言会議 議事概要


1.日 時: 平成16年7月30日(金)10:00〜12:00

2.場 所: 中央合同庁舎4号館4階第2特別会議室

3.出席者(順不同敬称略):

(委 員)
 小林修議長、住明正委員、中澤高清委員、李家賢一委員
(事務局)
 内閣府
(実施府省・機関)
 文部科学省、総務省、宇宙航空研究開発機構、情報通信研究機構、海洋研究開発機構

4.議 事

 (1)平成15年度事業の実施状況等について

  • 飛行船分野(大気採取システムを含む)における研究開発の進捗状況について、文部科学省及び宇宙航空研究開発機構より説明があった。

  • 引き続き、追跡・管制分野における研究開発の進捗状況について、総務省及び情報通信研究機構より説明があった。


(2)最終報告書について

  • 最終報告書について、事務局より説明があった。


(3)質疑・応答

  • 各委員から提出された個別評価報告書に沿って、以下のような質疑応答がなされた。

  (今後の取組について)

  • 住委員から技術的な問題、開発可能性や資金計画、李家委員から固定翼航空機の利用の可能性を含む将来の成層圏滞空飛行の展望について質問があった。

    ○文部科学省:16年度は、定点滞空飛行試験に全力で取り組んでいく。その後なるべく早い時期に本年度の結果を含め、これまでの取り組み全体について、総務省との連携の下、しっかりした評価を行いたい。資金計画などもこの中で議論することとなる。行政としては、評価結果を踏まえ、今後の取り組みを検討したい。

    ○住委員:今の説明は非常に重要である。次の展開はパブリック・コメントを受けながら判断すべきで、ミレニアム・プロジェクトについても、とりまとめを是非お願いしたい。

    ○李家委員:定点滞空飛行試験では、試験前に定点滞空能力を予測し、実際の飛行試験の結果と比較することが重要である。そこから将来の展望を明確に出すことにより、将来につながっていく。

    ○小林議長:説明の中にあった技術実証機について、検討はどのぐらい進んでいるのか。この検討はミレニアム・プロジェクトの作業の中に含まれているのか。

    ○文部科学省:直接的にはミレニアム・プロジェクトの作業ではない。今後の取り組みの一つのオプションとして、実証機の検討はあり得るが、それはまた別の問題である。

    ○小林議長:膜材などの新しい技術は、従来型の飛行船にも適用できるのではないか。ペイロードを増大させたりや推進装置を大きくして耐風性能を向上させたりできると思う。成層圏プラットフォーム以外のニーズの掘り起こしなど、前向きに検討したほうが良い。

    ○住委員:成層圏プラットフォームというプロジェクトについては、人によって受け取るイメージが異なっている。例えば、飛行船技術の応用、画像通信などを実施するときに、どのようなプロジェクトでどのように実施するかなど、混乱がないように、一度、プロジェクト全体を整理した方がよいと思う。

  (大気の直接採取について)

  • 小林議長及び住委員からの定点滞空試験での大気の直接採取や測定機を積み込んだ実証試験実施に関する質問があった。

    ○文部科学省:成層圏滞空飛行試験において、大気取得試験で不具合が生じたことについは大変残念であった。合同調査チームの提言を今後の教訓として生かしていきたい。航空機にシステムを搭載し高度3,000〜7,000mにおいて二酸化炭素の連続測定と大気採取を実施して成功したことから、実際の高高度における大気採取測定システムの動作確認ができたと考えている。挙げられた不具合原因は直接定点の滞空飛行試験と関連するものではなく、今後、不具合が生じないシステムを作っていきたい。今後、条件が整い、成層圏に技術実証機などを打ち上げる機会ができたら、成層圏の大気の直接取得を行いたい。

    ○住委員: 実証機はいつ出来るのかわからない。今後はどのようにフォローアップの実験等を進めていくのか。

    ○海洋研究開発機構: 予備機が1台あり、実験に使える状態にある。また、現在、今回取得したノウハウ・知見を用いて洋上及び海中の二酸化炭素測定装置を検討中である。

    ○小林議長: 実用プロジェクトの場合は失敗したらどうするかの対策を事前に考えているケースが多いが、開発研究等のプロジェクトの場合はあまり考慮されていないように思う。リスクマネージメントとして、当初から失敗後の対処方針を考えておくことが望まれる。

    ○中澤委員: 定点滞空飛行試験のときに再挑戦はしないと理解したが、今回搭載したシステムは単体の動作確認はとれているが、船体に搭載して測定して初めて成功となるわけで、バラックで確認したから良いということで済ませて良いのか。

    ○海洋研究開発機構:システム全体のインターフェースを単純化してほとんど単体で動くシステムにしていたが、単体で動作する装置を起動する部分が動かなかったことが不具合原因だと思われる。システム全体の中で動く一部分というやり方がよかったのかもしれない。また、定点滞空試験機に搭載したとして、それに生ずるコストと時間、ミレニアム・プロジェクト全体が与える国益を考えたとき、どこまで実施するべきかの判断は難しい。

  (過疎地対策用の携帯電話への対応)

  • 本日欠席の辻井委員より、高度4kmで過疎地対策用の携帯電話等への応用は考えられないかとの質問があった。

    ○総務省:通信・放送分野では成層圏高度における無線基地として利用を想定している。高度4kmの運用では、高度20kmに比べ25倍の機体が必要でコストがかかり、また、機体が気象の影響を大きく受ける。現段階ではすぐに実用化とはいかず、デジタルデバイドの解消策としては、鉄塔の整備等の代替策も検討しつつ、研究を進めていくことが必要である。

    ○住委員:実用化に時間がかかるのであれば、現在確立された技術を社会にフィードバックしながら、最終段階に向けて展開していくという方法も考えられる。

    ○小林議長:アプリケーションの経済性を定量的に表す例示であり、参考になる。

  (その他)

  • ○李家委員:飛行試験でよくある不具合として、システムを全体として組み立てたときにうまくいかないことがある。今回の経験を通じて、成層圏プラットフォームだけではなく、飛行試験全体で、何か役立つような提言なりアドバイスを出せないだろうか。

    ○情報通信研究機構:飛行船側もミッション側も十分に気をつけていたが、それに対応したシステム設計や確認が不十分だった。定点試験機では、運用システム、気象観測、シミュレーションそれ自体が技術研究課題だが、うまくいかなかったときにばったり止まってしまっては仕方がない。飛行試験では失敗があることを十分念頭に置いて、失敗してもひるまずに進んでいくという実施体制を組むことが重要である。

    ○中澤委員:科学気球の実験でも同様である。一番重要なのは、だれが指揮を執るのかである。それから、チェックするときに相手方を信用し過ぎてはいけない。特に、今回の場合は、多くの機関にまたがっており、調整が非常に難しいと思うが、ピラミッドのような指揮命令系統が必要だと思う。

    ○情報通信研究機構:ご指摘のとおりであり、成層圏滞空飛行試験よりも定点滞空飛行試験の方が困難であろう。そのため、それに見合った実施体制を組んでいくべきだと思っている。

    ○中澤委員:体制の問題は非常に重要である。

    ○宇宙航空研究開発機構:システムが重要であることは十分認識しており、できる限りのことは実施した。しかしながら、気象などの問題でスケジュール的に厳しい状況でもあり、残念ながら最後のところで少々抜けがあった。

    ○中澤委員:私も科学実験で失敗したことがある。一生懸命やっても失敗することがあるということは理解できる。

    ○小林議長:こういう抜けは、デザインレビューでも見つかりにくい。体制や管理の強化も大切だが、実際に作業する実務者が心を込めて注意を払いながら作業しているかということが重要である。マネージングとして、実務者が本当にそうなるような環境や雰囲気を作り出せているのかという問題がある。実務担当者に適切なモチベーションを与えて、プロジェクトのグループ全体がベクトルを合わせて前に進むようにする配慮が必要である。

    ○宇宙航空研究開発機構:ご指摘のとおりであり、いくら体制ができていても、人間が車輪を常に動かして、モチベーションを持ってやらなければどうにもならず、最後は人材だと思う。最近、経験と実績を積んでモチベーションが上がってきていると感じている。これから先も助言をお願いしたい。

  (4)最終報告書の取りまとめについて

  • 最終報告書の取りまとめに当たり、下記意見を踏まえ、修文は小林議長に一任された。また、議事要旨を作成し、公開することが了承された。

    ○住委員:報告書(案)の最後の「(2)まとめ」で、例えば、得られた成果に反省点があったことを書いたほうが良い。

    ○小林議長:ご指摘のとおりであり、いろいろな反省点等があるとの含みを入れた文章にしたほうが良い。具体的なことを再び記述する必要はなく、気を引き締めて臨んでいることがわかるような表現にしたい。

    ○李家委員:燃料電池の開発状況と将来への展望はどのようになっているのか。

    ○宇宙航空研究開発機構:この1年の間に、1キロワット級一体型モデルを試作しているが、予算の問題もあり、機能を優先し、軽量化は要求していない。現在、これをベースに机上で検討を行っており、ある程度の軽量化は可能だと考えている。

    ○小林議長:技術実証機構想を考える場合、再生型燃料電池が実用化になるまでの期間はこれまでの成層圏プラットフォーム技術を適用した従来型飛行船の性能アップの技術実証を行い、その後に成層圏プラットフォームの技術実証を行う、といった展開も考えられるように思う。

    ○中澤委員:これでミレニアムそのものは終わるが、いろいろな技術ができており、今後、何かこれをベースにして進みそうなプランはあるのか。

    ○文部科学省:既定路線で自動的に次に進むという考え方ではなく、これまでの成果を第三者的に厳しく評価し、その評価結果に従って判断をしたいと考えている。今の時点でこうしようと思っていることを申し上げるのは適当ではない。