循環型経済社会構築のための調査研究


循環型経済社会調査研究評価・助言会議(第5回)議事概要



1.平成14年5月7日(火)18:00〜20:30

2.場所:内閣府5階特別会議室

3.出席者
・委員
 天野明弘議長、大塚直委員、庄子幹雄委員、永田勝也委員、盛岡通委員、渡部徳子委員
・政府側
 内閣官房副長官補室、内閣府、環境省、経済産業省、文部科学省

4.議事
(1)今後の進め方及び評価・助言の方法等について
(2)ミレニアム・プロジェクト「循環型経済社会構築のための大規模な調査研究」事業の実施状況及び今後の課題について
(3)質疑及び評価・助言

5.議事経過
(1)内閣官房からの説明に引き続き、以下のとおり各府省から説明を行った。

1:世界の先進事例調査、2:基礎データの収集整備、経済・社会制度的課題の解明調査研究(内閣府経済社会総合研究所)

○ 事業の内容としては、平成12年度と同様、平成13年度においても国際フォーラムを開き、本プロジェクトに参加する共同研究機関・研究者から、それぞれの研究テーマに基づき報告を頂くとともに、外部の専門家を招き、「循環型経済社会構造」の在り方に関する活発な議論を行った。

○ 平成14年2月には、2年間にわたる本プロジェクトの締めくくりとなる国際フォーラムを開催し、共同研究に参画する内外の研究者が一堂に会し、各研究機関・研究者の最終報告の発表及び報告に関する議論を行った。

○ 平成14年3月には、東京国際フォーラムにおいて、環境問題という21世紀の世界が直面するであろう課題をより身近な問題として考えてもらう機会を提供するとともに、本プロジェクトの研究成果を簡単に報告する場として一般公開行事を開催した。約二百数十名の方にお集まりをいただいた。

○ 研究の内容について概要を説明すると、廃棄物の問題に関しては、モンスーン気候地帯に位置し、また都市の規模が大きいなどの特徴をもつ日本型のモデルがアジアにおけるモデルになり得るとの感想をもった。

○ 循環型経済社会とは、ある意味では日本型の持続可能性を考えていく上での1つのツールであり、循環型経済社会を構築していく上で、エネルギー、気候変動といった問題とどのように結び付けて考えていくかが重要な課題。

○ 廃棄物の処理は最終的に埋立によるのが一般的であるが、その処理には経済的手法がかなり有効であるという議論が多かった。

○ 持続性を考える際に、一つの重要な観点となるエネルギー問題については、シミュレーションモデルを用いて、再利用可能なエネルギー、例えば水素や風力を活用することによって、資源持続性の確保や環境への配慮が可能となるという分析もあった。

○ 気候変動に関しては、京都議定書で取り上げられた問題に関する議論が中心に行われた。ヨーロッパの研究者による研究が多かったため、京都議定書にある排出権取引やクリーン開発メカニズムなどの市場メカニズムの活用や他の手法とのポリシーミックスとともに、新しい技術の開発が欠かせないという議論があった。特に、研究開発については、研究開発投資が促進されるような仕組み、公的支援が必要ではないかとの指摘がなされた。

○ 環境政策と雇用の問題という観点について、従来、環境政策は経済的に負荷を高めるので、雇用面ではあまり望ましくないという議論があったが、本プロジェクトの中では、ヨーロッパの事例を中心に、環境政策や環境事業を育成することによって、雇用が拡大する可能性が指摘されていた。

○ 新しい技術やエネルギーの開発が、エコ産業のような新しい産業を育成し、それが経済成長の新しい源となり、同時に、地球環境にもやさしいものとなるという観点が重要。

○ 本プロジェクトの研究成果と政策の結びつきについては、経済財政諮問会議の下にある、循環型経済社会に関する専門調査会の事務局との密接な意見交換を通じて、政策立案に多少とも寄与したのではないかと考えている。今後ともそういった活動を続けていきたい。同時に、研究成果については、ホームページへの掲載、CD−ROMの配布等を行う予定。

3:欧米のリサイクル先進国における関連制度、国民意識等調査(環境省)

○ 諸外国の廃棄物・リサイクル政策のうち、特に我が国の参考となる法制度、廃棄物の定義、区分、規制、関係行政機関のEPRや経済的手法の導入状況等について調査を行った。現在、中央環境審議会において廃棄物の基本的問題−定義・区分の見直しなどに関する検討を行っており、その検討のための重要な参考資料として活用している。

4:循環型社会の構築のための基礎的情報収集整理(環境省)

○ 循環資源の発生量、循環資源からアプローチしており、その発生・再生利用・処分に係る現状の把握、及び将来の変化の予測を行っている。廃棄物等からものの流れを捉えていく試みであり、データの整備等はかなり進んできている。成果については、循環型社会形成推進基本計画の数値目標を設定する際などに活用したいと考えている。

5:廃棄物対策を中心とした循環型社会に向けての展望と政策効果に関する定量的分析(環境省)

○ 本研究は、マクロ的な視点を用いた経済分析とミクロ的な視点を持ったリスク分析をあわせた分析となっている。

○ マクロ的な視点の経済分析では、特にCO2 の排出量をより正確に評価するためにエネルギーをより詳細に分割したり、廃棄物等のフローをより精緻化する等の改善をマクロ経済モデルを加え、改善したモデルをもとにしてさまざまな政策評価を行っている。

○ シミュレーションの結果からは、環境制約は確かに経済活動を縮小させるが、適切な環境政策はこういう制約を緩和させ、経済活動を回復させるということが分かる。その際、需要と供給両面からのアプローチがより効果的である。その一方、問題として明らかになったのは、例えば廃棄物だけを非常に重点的に行うと今度はCO2 の問題がより大きくなってくるというように、どういった環境問題に取り組むのかバランスをとる必要があるのではないかということである。このマクロ経済モデルはトップダウン型のモデルで、部門間の整合性を再現しているが、よりリアリティを表現するためにはボトムアップ型の技術モデルと組み合わせることが必要となってくる。そこで、昨年度構築した下水汚泥処理を対象としたボトムアップモデルをマクロ経済モデルに統合してシミュレーションを行った。さらに本年度は、一般廃棄物処理のボトムアップモデルを構築し、マクロモデルに統合して評価を行っている。

○ ミクロ的な評価としては、昨年度に引き続き、どういった化学物質が重要になるかというランキングを評価している。評価方法を見直したり、あるいは重みづけを変えても常に上位で評価される物質が重要になってくるということがわかる。鉛を対象にしたサブスタンスフローアナリシスでは、部品別に詳細に鉛の含有量を調査し、鉛がどの部門でどれくらい取り扱われてるのか、どれくらいの鉛が製品中に蓄積されるのかを明らかにし、定常状態における鉛の各部門への蓄積量を評価している。さらに、鉛フリーのハンダが導入されたときの各部門の鉛の蓄積量の変化について評価している。リスク早期警戒システム開発は廃棄物最終処分地の管理を、バイオアッセイにより評価を行している。

○ マクロ的な分析とミクロ的な分析の統合として、ミクロ分析で得られた鉛のフローをマクロ経済モデルに取り込み、鉛の環境中への放出量を分析するとともに、家電リサイクル法等による鉛リサイクル促進の効果として、経済的な変化と環境中への鉛の放出量の変化を評価している。

○ 全体的な総括としては、政策的に使うのであれば、今回リアリティを評価するために構築した技術モデルをさらにいろいろな分野に拡張していく必要があるが、それらを評価するための枠組みは今回の分析で構築されており、今回対象としたことについてはおおむね達成できたと考えている。

6:リサイクル向け排出物に係る要対策事項調査(環境省)

○ 初年度の12年度は主にテレビ、電池などのリサイクル時における環境負荷の分析等を実施したが、13年度は製品から素材に遡り、素材別のリサイクルコストを分析し、再生品市場の形成に関する課題抽出を行っている。素材別コストということで古紙にはじまって鉄スクラップから廃プラスチック等まで分析している。さらに、安全性の検討、それから業種別、製品別、要対策水準の検討というような構成になっている。例えば廃プラスチックについては、金属用の素材に比べて素材ごとの選別の困難性というものが挙げられているが、ペットについてはそもそも輸入超過の傾向にあるということで、ペットtoペットのリサイクルが進むことで市場形成が進む可能性もあるというような分析になっている。

○ また、鉄スクラップに関する日米比較のモデル分析を行った結果としては、日本では保有コストの問題があるためスクラップが発生するとすぐに放出されるが、米国では供給量調整による価格変動の回避が可能になるといったような特殊性も浮かび上がっている。

○ 全般的には、昨年度の指摘を踏まえ、本年度は工学、法学関係の専門家からなる検討会の設置を行うとともに、政策に活かすことを意図したまとめ方の工夫などに取り組んでいる。

○ 実際にはさらにライフサイクルコスト分析手法の開発から実際の解析まで行うことが課題となる。今後は、循環基本計画における参考資料として活用していく。

7:循環型社会構築のための静脈産業のあり方の検討(環境省)

○ 昨年度の指摘を踏まえ、静脈産業を狭義の廃棄物処理、リサイクル産業を中心としつつ、広義のリユース、リース産業などにも対象を広げて分析を行った。12年度は、主に古紙・繊維のリサイクルについての分析、それから家電リサイクルの海外との比較等を実施したが、13年度は産業廃棄物処理業における実態の把握と課題の抽出を特に実施した。産業廃棄物処理業について事業所の課題、それから契約方法、処理費用、企業の位置づけについて3,000 社にアンケート調査を行い、4割弱の回収率であった。

○ 主な結果としては、事業所の課題としては、約8割の事業所系は主に順調であるが、廃棄物処理量の減少、処理委託費の低下、法規制の強化、事務的な煩雑さ等が課題として挙げられている。契約方法についても、8割以上の企業が正式に契約書を交わすなど、従来必ずしも明らかではなかった業態のいわば構造改革への取組の一端がうかがわれる内容となっている。

○ 産業廃棄物処理業等の調査自体あまり類例のないものであり、今後の業種施策、基本計画の策定に有用である。

8:リサイクルシステム推進事業(a)容器包装廃棄物排出実態調査(環境省)

○ この事業は家電リサイクル法及び容器リサイクル法の評価を中心に実施した。

○ 容器包装リサイクル法に関する事業については、ごみステーションにおける排出実態、容器包装廃棄物の分類、市町村における費用負担等の調査及び基礎データの収集を行った。

○ 容器包装廃棄物の組成調査を見ると、ごみ全体に占める容器包装廃棄物の重量比は24.5%、容積比は60.9%となっている。また、市町村の実態調査として、平成12年度から対象としたプラスチック製の容器包装の分別収集を実施した977 市町村を対象にアンケート調査を実施し、462 市町村から回答を得たが、この結果として最終処分量の減少が確認されている。費用負担の実態については市町村の回答が少ないものの全体としては費用をきちんと分けることが難しい実態が浮き彫りとなっている。また、事業所サイドでは、容器包装の減量化対策としてペットボトルとガラスびんを見ると、ある程度の効果が見られるといえる。

○ 家電リサイクル法の市町村収集運搬円滑化の事業については、特定家電4品目について市町村の取り組み状況等をアンケート等によって調査しており、実際にアンケート調査に回答のあった約400 都市から6都市を抽出し、法施行前後における家電4品目を含む粗大ごみの収集、運搬、選別、破砕、焼却、埋立の各プロセスそれぞれにおいて、処理量の変化、処理コストの変化等についてデータをとっている。

○ 両調査ともに実際の容器包装リサイクル法、それから家電リサイクル法の今後の施行ないしは制度のあり方を考える上で大変に有効な資料が多く含まれており、引き続きこういった調査内容を活かしていきたい。

9:環境ビジネス発展促進等調査研究(経済産業省)

a)環境管理会計

○ 環境省が行っている環境財務関係、いわゆる一般的な環境会計とは違い、企業の内部の経営管理を目的とするいわゆる環境管理会計手法の開発ということを目的にしている。要するに、企業が効率的な設備投資を行うため、すなわち経済と環境のバランスをうまくとるための手法、そして特に設備投資、それからマテリアルフロー、材料がいかにその過程で有効に利用できるかという手法の開発。

○ 調査は11年から13年まで3年間にわたって検討し、11年の初年度は主に海外調査を目的としており、具体的には平成12年〜13年にわたり、複数のワーキンググループ(環境配慮型の設備投資決定手法、環境配慮型原価管理手法、マテリアルフローコストの会計手法、ライフサイクルコスティング手法)に分け、具体的な検討をそれぞれ進めてきたところ。

○ いずれにしても、我が国企業が実際に導入できるような環境管理会計を開発するということで、6月くらいにはこれを精査して、環境管理会計のワークブックと称して発表したいと考えている。

○ それとともに、こういった環境管理会計の普及をすることが非常に重要であり、シンポジウム等あるいはインターネット等を通じて普及に努めたいと考えている。また、ライフサイクルコスティング(LCC)についても課題が残っており、このワークブック自体の見直しも含め、引き続きさらなる検討をしていきたいと考えている。

b)地域の調査研究

○ 地域における資源循環経済システムをどう構築していくかということで、平成13年度については中部地域と九州地域を調査している。まず、中部地域について。調査テーマはエコイノベーション推進のための環境行動プログラムを策定調査すること。具体的には、例えば環境報告書を出している企業が増えており(全国で500以上)、自社がやっている環境配慮活動をアピールしたい企業(見せたい側)、他社の優れた環境への取組を見て、学びたい側(見たい側)のニーズとシーズのマッチングの調査(相乗効果等)をしたところ。

○ 約500 社程度の企業にアンケートをしたところ、実際に見せたいといった積極的な企業も10社以上出てきたところであり、出てきた企業について既存の工場見学を進化させたインダストリアルエコツアーというようなことの必要性などもうたっているところ。また、循環型の経済社会は非常にキーワードになるわけで、環境コミュニケーションをどうやって実現していくのかというための調査研究。

○ もう一つが九州局について。九州局ではアジア資源循環型ネットワーク構築可能性調査ということ。九州は中国、韓国、タイ、マレーシア等アジア地域に非常に近いということもあり、エコタウンでいえば北九州市にエコタウンがあるわけであるが、日本だけで循環型社会を目指すよりも九州が率先してアジア全体で循環型社会をみる、あるいは循環型社会を構築していくためにはどういった問題点があるのか、どういった課題があって何を克服していかなければならないのかということを分析・調査したもの。

○ 海外における日系企業、日本の工場も多くあり、その部分のリサイクルをどうしていくのか、あるいは日本の企業の現地における役割をどうするのかということもアジア全体の循環型構築に向けて大きな課題になる、我々としても非常にいいデータであったと考えている。13年度についてはこの2点の報告書をまとめたところ。

10:環境研究技術の情報収集及び評価体制に関する調査(環境省)

○ 循環型経済社会の実現や他の環境問題の解決においては環境技術を普及させていくことが重要であるが、環境技術のユーザーが適切な環境技術を選択していく上で必要な技術の評価、技術に関する情報提供を適切に進めていくにはどのような手法、体制で実施すれば良いかについての調査である。

○ 環境技術の評価については、その手法や体制、例えば評価手順、評価項目、総合的評価の方法、評価の実施者、手続等について、既に他の機関で実施されているような技術評価の事例についての調査を昨年度に行った。今年度はそれを踏まえ、評価を行う手法と体制についての「あり方」をつくり、フィージビリティスタディを行った。具体的には、バイオマスエネルギー利用技術と生分解性プラスチックの2つをテーマに選び、既存の情報を収集し、「あり方」に基づいての評価を行い、その結果を踏まえて最終的に「あり方」を取りまとめた。

○ 環境研究・環境技術情報整備の「あり方」についても、情報収集のフロー、収集する情報の範囲、情報源と利用者、収集した情報の加工方法などについて他の機関で実施されている事例についての調査・検討を行い、その「あり方」案を作成し、フィージビリティスタディの実施結果を踏まえて最終的な「あり方」をまとめた。

○ 昨年度の評価・助言会議の際に、研究開発に対するインセンティブを高めるための方策についても調べるよう助言があったので、産・学・官の研究開発主体に対してヒアリング調査を行い、その結果をもとにインセンティブとして何が重要かについて取りまとめを行った。

○ 今後、実際に、情報収集、評価体制の構築の際に今回の調査結果を活用していく。

11:廃棄物等による環境汚染修復技術実証調査(環境省)

○ 硫化水素の発生ポテンシャル評価、硫化物の吸収材試験等について、大型の模擬埋立槽を用いた埋立実験を行っている。

○ この調査結果を踏まえ、硫化水素の発生機構、改善対策及び未然防止策等の方針案を取りまとめている。

12:環境低負荷型資源循環型の水環境改善システムに関する調査研究(環境省)

○ 富栄養化湖沼等でどのように効率的な負荷削減のあり方を検討していくかというのがこの研究の目的である。

○ そのため、流域からの負荷をどのように削減していけば良いのか、その削減したシナリオの中で湖の方でどのような応答があるのか、と言ったところがこの研究の主要な部分となる。本研究では代表的な富栄養化湖沼である霞ヶ浦流域を事例として、その中での水循環モデルを明らかにし、それをベースとして、流域における有機物とか栄養塩類としての流域の物質循環モデルを明らかにしていくが、その場合に栄養塩類を指標として地表面の流出、地下水系の吸着脱着、溶出等を入れ込んでモデル化する検討を行った。

○ 昨年の指摘にもあった物質循環を明らかにするため、技術の導入評価をするために、有機物、窒素・リンの資源循環フローの現況特性を明らかにしている。これらを一つの踏台として、次に削減をどのようにすれば良いのかという、現状として対応可能なシナリオを作成して削減効果、費用効果を解析している。

○ 例えば、生活排水の対策シナリオとしては、未処理の部分について高度合併処理浄化槽の普及を進めていく。その普及割合として、人工整備率のようなものをパーセンテージでとっていく。

○ 単独浄化槽を合併・高度合併処理浄化槽方式に置き換えた場合の効果、合併処理化浄化槽の後ろに高度処理として土壌処理を組み入れた場合について検討を行った。

○ 河川浄化のシナリオについても、霞ヶ浦で実績のある植栽の浄化方式を入れた場合について検討している。昨年度の指摘にあった、流域の資源循環とリサイクルを組み入れたらどうなるかという点については、霞ヶ浦の周りは畜産の負荷が非常に多いため畜産廃棄物のリサイクルに注目して検討を行い、いわゆる流域での窒素、リンの受け入れ可能量を循環可能量として回した場合について検討している。

○ 最終的な削減効果については、いわゆる発生源対策についてかなり進めてもパーセンテージとしては非常に低い部分もあるが、それに直接浄化を組み入れていくとその効率は上がっていく。

○ また、資源循環を入れた場合の削減効果が明からになり、このような検討結果から、発生源対策と面的対策を組み合わせて、さらに循環を的確に組み合わせればかなり効果が出ると思われる。

○ 現状では比較的単純なシナリオについてデータをまとめているが、これらのベストミックスについては、今後詰めていきたい。

○ 昨年度の指摘で、「このような技術のあり方を開発途上国の部分に持っていくのは極めて重要である」という助言があったが、現在、中国の太湖でJICAの水改善技術のプロジェクト技術協力を実施しており、その中にこのような考え方を適用していければと考えている。また、中国政府の新しい水環境改善方策に対する5カ年計画があり、協力の依頼をされているため、その中でここで得られた研究成果を中国で発展させていければと考えている。

14:資源循環型社会の実現に資する環境負荷を低減する物質・材料に関する調査研究(文部科学省)

○ 資源循環型社会を支えるという観点から、どのような技術を開発すべきか、また、その際の研究課題を明確化するため、現状及び動向の調査を実施した。

○ リサイクルして元と同じ製品を作れるかどうか、国際的に使える技術なのかどうか、リサイクルに伴う環境負荷を定量評価できるかどうか、といったことを視点に、リサイクル技術や有害物質の除去技術について国内外で調査を行った。

○ 12年度は北米を中心に、13年度は欧州及び国内で調査・ヒアリングを行った。また、評価・助言会議での指摘を踏まえ、産学官各界の参加を得てワークショップを開催するなどしている。

○ 環境負荷の解析については、「関与物質総量」という新しい概念を導入して分析を進めるとともに、そこから重点技術課題を抽出し、或いは今後の研究開発の方向性として、「リサイクルループ地域の形成」ということで、小さなループからグローバル化していくことが必要ではないか、また、「製品設計と材料設計の融合」ということで、リサイクルすることを念頭に初めからシステム化された材料開発が必要ではないか、といったことが示された。

○ 調査研究全体を通しては、(1)フレキシブルな素材製造技術の開発の必要性、(2)資源としてのゴミの統計調査の必要性、(3)国際共同研究の必要性が提言される。

○ 今後については、ホームページでの情報公開や国際シンポジウムの開催など、積極的に成果が普及できればと考えている。

(2)各府省からの説明に引き続き、各委員からの主な発言は、以下のとおり。

(盛岡委員)

○ 前回の助言会議では「循環型経済社会を構築する」という大命題にそれぞれの研究成果を結び付けてまとめてほしいということを申し上げ、そういう面ではかなり改善されたと評価したいが、この大命題に対する私たちの知恵のストックがどれくらいできたかという点で見ると、まだまだ物足りない。そのためには、循環型社会の構築という大命題について今後ともこういった研究を形を変えて進めていくための第1段階としての到達点を、各省庁の関心事を超える形で結びつけてまとめてもらいたい。

○ 「我々の社会をどのように構造的に変えていくのか」というシナリオ誘導型の問題意識とそれに応じたコンセプトの提案が欲しい。必ずそのような問題意識があるはずなので、どういう形で具現的に国民に対して明らかにすることができるかという点から考えてもらいたい。その場合に、長期的展望をどのように考えのか、ローカルな知見がどのようにグローバルにつながっていくのか、技術システムと経済社会システムとの連動をなどについて、常に注意しなければならない。

○ 循環型社会の到達度を測るための様々なツールや手段が開発され、今回のプロジェクトでは環境会計が扱われているが、評価ツールに対する前進はどの程度あったのかということもこのプロジェクトを通じて考えてもらいたい。

○ また、どうしても目の前で出たごみをどうするかというところからスタートしたが、川上から川下まで「ライフサイクルでものを見た」ということがプロジェクト全部で貫かれているという姿をぜひ見せてもらいたい。

○ プロジェクトで得られた成果が日本だけでなく、東アジア、世界に発信していくという目から見た場合にどの程度一般化し得るのか。長期に向かって考える場合には、ここで提案されている道具やデータベース、統計などについて、循環型社会の構築という面からどのような提案ができたのか、これらを各省庁挙げて共通のインフラとして構築していくというスタンスが3年間の研究で生まれたかどうか、ということも非常に大事なポイントではないか。

○ 科学技術や調査研究がやがて産業化のプロセスに織り込まれていくことが、私たちの社会を活力ある環境と調和した社会に導いていく最大のポイントだと思うが、中には産業化と直接の関係がないがために、この点に関する言及が非常に弱い事業があるように感じた。


(永田委員)

○ 資料の「自己評価」欄について、調査を実施したこと、テーマを選定したこと自体を評価する旨の記述があるが、これでは内容を評価したことにはならない。

○ 別の省庁などの専門家が違った視点から見る「ピア・アセスメント」によって、政策展開に引き出せるものがあったかどうか、というような視点から評価することも重要ではないか。

○ 全体的に、「市民の視点」とか「小企業の視点」みたいなものが抜けているので、これからの政策展開の中で考えて欲しい。先端的な部分だけでなく、それをどうやって日本の中で根づかせていくか、広げていくかという話は非常に重要。

○ 生産現場を海外へシフトしていく中で、輸入が多くなってくるという状況の想定はどこできちんと取り上げられているのか。例えばブラウン管ガラスは、この2、3年で日本での生産が3分の1に減ると言われており、そうするとリサイクルで回収されたものを国内で利用する対象製品はなくなるわけで、こういう状況はこれからいろいろな製品について起こってくる。こういう視点は、例えば経済モデルや将来予測などに入っていないのではないか。

○ かけた予算と成果の問題。容器包装のアンケート調査について、他に成果が何かあるのかもしれないが、説明を聞いただけでは調査結果をまとめましたというだけのレベルであり、これに何千万もかかったというのでは説明がつかないのではないか。

○ プロジェクトを全体的に見て、本当にこれが将来どのくらい生かせられるものなのかという点から考えれば、若干、私は問題ありというふうに思う。ただ、その中では、この調査研究が一つのきっかけになって、発展形としてさらに深みや広がりを増すように変わっていってくれれば、それはそれで大きな評価になってくるのではないかと思っている。このような視点で各省の方々もこの問題をとらえ、自己評価していただく方がいいのかなと思う。


(渡部委員)

○ 去年は「調査した」とか「今データを収集している」というような話が多かったが、今回はそれに分析したというような評価もあり、まとめる方向に進んできた。

○ 気になるのは、この調査が現状を解決するための短期的な展望で行われたものなのか、長期的な展望で行われたものなのか、はっきりしないこと。今、リサイクルするごみがあるときには研究成果があてはまるが、将来的になくなってくるときには、この研究自体の結果がどのように有効利用されるのかということがわからなくなってしまう。その意味で、もう少し長期的な展望を含めて、現在得られた結果を解析したり、結論としてまとめたり、提言したりするなどのことが必要ではないか。

○ 前回、調査の成果を日本から開発途上国に発信したり、役立てたりするような方向にできないかということを申し上げ、一部そういう点から報告がなされたが、一層一層そういう点を含めて最後に報告して欲しい。


(庄子委員)

○ 非常によく全体的にまとめられており、このミレニアム・プロジェクトでまとめられたベースで、政府の方たちがぜひともOECDの会議などで説明されたらよい。

○ 産業界から見ると少しビジネスとの協調が足りないように思う。各企業は環境管理会計を暗中模索で進めており、ミレニアム・プロジェクトの中でも環境管理会計などの事業は産業界が渇望しているが、是非、早めに各企業に周知していってもらいたい。

○ 社内で12年度のプロジェクトを勉強させてもらったが、今回はその内容が更に深まったように思う。


(大塚委員)

○ 指標の話で、環境会計やライフサイクルコスティングという新しい概念が出てきているのは注目される。ただし、新しい指標が次々と出てきて、何を使えばよいのか混乱するようなことでは困るので、省庁間の共通インフラにして、産業界が安心して使えるような統一的なものを作って欲しい。

○ 経済財政諮問会議がよく出しているエネルギーとの関係とか、あるいはコストとの関係の議論が最近かなり強く出てきているので、その面からの調査を強化してもらいたい。


(永田委員)

○ 成果として「人的情報の集約」、こういう研究に関して携わった方々の何が専門でどういうことに対して興味を持っているかということを整理してもらえれば、新しい問題が起こった時に活用できる。

○ 環境技術の調査について、何年かごとにお金をかけて調査するのではなく、自律的に集まるようなシステムを考えて欲しい。できるだけお金をかけずに効率的なシステムを国としてつくり上げていくことが大切だと考える。

○ 今回の調査研究は、申し訳ないが、他の調査のレポートを寄せ集めてデスクワークでまとめた、あまり新鮮味がないものが多い。全体的に見てコストべネフィット、コストパフォーマンスはあまり高くなかったなというのが私自身の印象。

○ そういう中にあって、もう少しソフトの方の社会実験的な要素を取り入れ、社会実験を行った上で、そこに参加した人たちの評価を聞きながら改善していくことを、これだけの予算をつけたのであればできたのではないか。そういう意味でもう少しこういう問題を扱うときには社会実験をお願いしたい。

○ 例えば、容器包装でも、表示を付けたらどのくらい分別の純度が上がるのかという議論があったが、そういう社会実験はなかなかできない。ただ、そういう実験が本当は必要であり、循環型社会に向かっていくという流れを実験によってちゃんと証明していかなくてはいけないと思う。


  (天野議長)

○ こういう大がかりな研究をすると、やったことだけでなく、わかったことやわからなかったこと、つまり今後の課題として残ったことを含めたエグゼクティブサマリーをつくるのが、国際的な常識。非常に専門的な研究が多いが、国民に対してわかるような言葉で内容の説明をするということが必要であり、あわせてエグゼクティブサマリーの作成を是非お願いしたい。これだけの予算を使い、これだけのことをやったのだから、そのくらいのことをしないとアカウンタビリティがないと思う。

○ 今回おもしろしかったのは、循環型社会形成という非常に大きなテーマに対して、最初はその考え方がまちまちだったのが、だんだんと収斂し、動脈産業や静脈産業という言い方、あるいはリサイクルとクローズドサイクルとを混同している、そういう混乱がかなり解消されて、全体的に循環型社会はどういうものか、何を目的にするのかということが省庁間で意見が割合共通してきたこと。

○ メーカーと回収業者や、製品の設計と材料の設計を一緒にやるという考え方が非常に明確に出てきたことは、大変収穫があったことではないか。具体的な形で製品の設計と材料の選択というのを一緒に考えれば、非常に難しいプラスチックのリサイクルでもあまり難しくなくなるという事例もあるので、そこの部分を同じ会社が連携しながらやるという発想が出てきたことは非常に進歩しているのではないか。


(永田委員)

○ 表層をなめたレポートになり過ぎている気がするので、エグゼクティブ・サマリーの作成もそうであるが、社会実験をお願いしたいといった趣旨の一つは、その効果として日本のシンクタンクの育成につながるのではないかということ。

○ ミレニアム・プロジェクトは終わりだが、今後実施する際には、「これからの日本」や「これからの世界」のこのような問題に対してどういう戦略を立て、そのためにこういう調査が必要という形で調査を組み立てていってもらえればと思う。いい機会だったので、次の発展につなげていっていただければありがたい。

6.今後の進め方等
 本評価・助言会議の今後の進め方として、6月中下旬頃に第6回評価・助言会議を開催し、評価報告書のとりまとめを行うこととされた。また、本会議の議事概要については、官邸ホームページに掲載することとされた。