(盛岡委員)
○ 前回の助言会議では「循環型経済社会を構築する」という大命題にそれぞれの研究成果を結び付けてまとめてほしいということを申し上げ、そういう面ではかなり改善されたと評価したいが、この大命題に対する私たちの知恵のストックがどれくらいできたかという点で見ると、まだまだ物足りない。そのためには、循環型社会の構築という大命題について今後ともこういった研究を形を変えて進めていくための第1段階としての到達点を、各省庁の関心事を超える形で結びつけてまとめてもらいたい。
○ 「我々の社会をどのように構造的に変えていくのか」というシナリオ誘導型の問題意識とそれに応じたコンセプトの提案が欲しい。必ずそのような問題意識があるはずなので、どういう形で具現的に国民に対して明らかにすることができるかという点から考えてもらいたい。その場合に、長期的展望をどのように考えのか、ローカルな知見がどのようにグローバルにつながっていくのか、技術システムと経済社会システムとの連動をなどについて、常に注意しなければならない。
○ 循環型社会の到達度を測るための様々なツールや手段が開発され、今回のプロジェクトでは環境会計が扱われているが、評価ツールに対する前進はどの程度あったのかということもこのプロジェクトを通じて考えてもらいたい。
○ また、どうしても目の前で出たごみをどうするかというところからスタートしたが、川上から川下まで「ライフサイクルでものを見た」ということがプロジェクト全部で貫かれているという姿をぜひ見せてもらいたい。
○ プロジェクトで得られた成果が日本だけでなく、東アジア、世界に発信していくという目から見た場合にどの程度一般化し得るのか。長期に向かって考える場合には、ここで提案されている道具やデータベース、統計などについて、循環型社会の構築という面からどのような提案ができたのか、これらを各省庁挙げて共通のインフラとして構築していくというスタンスが3年間の研究で生まれたかどうか、ということも非常に大事なポイントではないか。
○ 科学技術や調査研究がやがて産業化のプロセスに織り込まれていくことが、私たちの社会を活力ある環境と調和した社会に導いていく最大のポイントだと思うが、中には産業化と直接の関係がないがために、この点に関する言及が非常に弱い事業があるように感じた。
(永田委員)
○ 資料の「自己評価」欄について、調査を実施したこと、テーマを選定したこと自体を評価する旨の記述があるが、これでは内容を評価したことにはならない。
○ 別の省庁などの専門家が違った視点から見る「ピア・アセスメント」によって、政策展開に引き出せるものがあったかどうか、というような視点から評価することも重要ではないか。
○ 全体的に、「市民の視点」とか「小企業の視点」みたいなものが抜けているので、これからの政策展開の中で考えて欲しい。先端的な部分だけでなく、それをどうやって日本の中で根づかせていくか、広げていくかという話は非常に重要。
○ 生産現場を海外へシフトしていく中で、輸入が多くなってくるという状況の想定はどこできちんと取り上げられているのか。例えばブラウン管ガラスは、この2、3年で日本での生産が3分の1に減ると言われており、そうするとリサイクルで回収されたものを国内で利用する対象製品はなくなるわけで、こういう状況はこれからいろいろな製品について起こってくる。こういう視点は、例えば経済モデルや将来予測などに入っていないのではないか。
○ かけた予算と成果の問題。容器包装のアンケート調査について、他に成果が何かあるのかもしれないが、説明を聞いただけでは調査結果をまとめましたというだけのレベルであり、これに何千万もかかったというのでは説明がつかないのではないか。
○ プロジェクトを全体的に見て、本当にこれが将来どのくらい生かせられるものなのかという点から考えれば、若干、私は問題ありというふうに思う。ただ、その中では、この調査研究が一つのきっかけになって、発展形としてさらに深みや広がりを増すように変わっていってくれれば、それはそれで大きな評価になってくるのではないかと思っている。このような視点で各省の方々もこの問題をとらえ、自己評価していただく方がいいのかなと思う。
(渡部委員)
○ 去年は「調査した」とか「今データを収集している」というような話が多かったが、今回はそれに分析したというような評価もあり、まとめる方向に進んできた。
○ 気になるのは、この調査が現状を解決するための短期的な展望で行われたものなのか、長期的な展望で行われたものなのか、はっきりしないこと。今、リサイクルするごみがあるときには研究成果があてはまるが、将来的になくなってくるときには、この研究自体の結果がどのように有効利用されるのかということがわからなくなってしまう。その意味で、もう少し長期的な展望を含めて、現在得られた結果を解析したり、結論としてまとめたり、提言したりするなどのことが必要ではないか。
○ 前回、調査の成果を日本から開発途上国に発信したり、役立てたりするような方向にできないかということを申し上げ、一部そういう点から報告がなされたが、一層一層そういう点を含めて最後に報告して欲しい。
(庄子委員)
○ 非常によく全体的にまとめられており、このミレニアム・プロジェクトでまとめられたベースで、政府の方たちがぜひともOECDの会議などで説明されたらよい。
○ 産業界から見ると少しビジネスとの協調が足りないように思う。各企業は環境管理会計を暗中模索で進めており、ミレニアム・プロジェクトの中でも環境管理会計などの事業は産業界が渇望しているが、是非、早めに各企業に周知していってもらいたい。
○ 社内で12年度のプロジェクトを勉強させてもらったが、今回はその内容が更に深まったように思う。
(大塚委員)
○ 指標の話で、環境会計やライフサイクルコスティングという新しい概念が出てきているのは注目される。ただし、新しい指標が次々と出てきて、何を使えばよいのか混乱するようなことでは困るので、省庁間の共通インフラにして、産業界が安心して使えるような統一的なものを作って欲しい。
○ 経済財政諮問会議がよく出しているエネルギーとの関係とか、あるいはコストとの関係の議論が最近かなり強く出てきているので、その面からの調査を強化してもらいたい。
(永田委員)
○ 成果として「人的情報の集約」、こういう研究に関して携わった方々の何が専門でどういうことに対して興味を持っているかということを整理してもらえれば、新しい問題が起こった時に活用できる。
○ 環境技術の調査について、何年かごとにお金をかけて調査するのではなく、自律的に集まるようなシステムを考えて欲しい。できるだけお金をかけずに効率的なシステムを国としてつくり上げていくことが大切だと考える。
○ 今回の調査研究は、申し訳ないが、他の調査のレポートを寄せ集めてデスクワークでまとめた、あまり新鮮味がないものが多い。全体的に見てコストべネフィット、コストパフォーマンスはあまり高くなかったなというのが私自身の印象。
○ そういう中にあって、もう少しソフトの方の社会実験的な要素を取り入れ、社会実験を行った上で、そこに参加した人たちの評価を聞きながら改善していくことを、これだけの予算をつけたのであればできたのではないか。そういう意味でもう少しこういう問題を扱うときには社会実験をお願いしたい。
○ 例えば、容器包装でも、表示を付けたらどのくらい分別の純度が上がるのかという議論があったが、そういう社会実験はなかなかできない。ただ、そういう実験が本当は必要であり、循環型社会に向かっていくという流れを実験によってちゃんと証明していかなくてはいけないと思う。
(天野議長)
○ こういう大がかりな研究をすると、やったことだけでなく、わかったことやわからなかったこと、つまり今後の課題として残ったことを含めたエグゼクティブサマリーをつくるのが、国際的な常識。非常に専門的な研究が多いが、国民に対してわかるような言葉で内容の説明をするということが必要であり、あわせてエグゼクティブサマリーの作成を是非お願いしたい。これだけの予算を使い、これだけのことをやったのだから、そのくらいのことをしないとアカウンタビリティがないと思う。
○ 今回おもしろしかったのは、循環型社会形成という非常に大きなテーマに対して、最初はその考え方がまちまちだったのが、だんだんと収斂し、動脈産業や静脈産業という言い方、あるいはリサイクルとクローズドサイクルとを混同している、そういう混乱がかなり解消されて、全体的に循環型社会はどういうものか、何を目的にするのかということが省庁間で意見が割合共通してきたこと。
○ メーカーと回収業者や、製品の設計と材料の設計を一緒にやるという考え方が非常に明確に出てきたことは、大変収穫があったことではないか。具体的な形で製品の設計と材料の選択というのを一緒に考えれば、非常に難しいプラスチックのリサイクルでもあまり難しくなくなるという事例もあるので、そこの部分を同じ会社が連携しながらやるという発想が出てきたことは非常に進歩しているのではないか。
(永田委員)
○ 表層をなめたレポートになり過ぎている気がするので、エグゼクティブ・サマリーの作成もそうであるが、社会実験をお願いしたいといった趣旨の一つは、その効果として日本のシンクタンクの育成につながるのではないかということ。
○ ミレニアム・プロジェクトは終わりだが、今後実施する際には、「これからの日本」や「これからの世界」のこのような問題に対してどういう戦略を立て、そのためにこういう調査が必要という形で調査を組み立てていってもらえればと思う。いい機会だったので、次の発展につなげていっていただければありがたい。