内閣総理大臣演説等

平成十二年沖縄全戦没者追悼式における森内閣総理大臣あいさつ



 本日ここに、平成十二年沖縄全戦没者追悼式が挙行されるに当たり、先の大戦で犠牲となられた沖縄県民を始めとする戦没者の方々の御霊に対し、謹んで哀悼の意を表します。

 先の大戦が終わりを告げてから今日まで、早くも五十余年の歳月が過ぎ去りました。二十一世紀を半年後に控え、今、私たちは「日本新生」に果断に取り組んでいるところであります。このような時にこそ、私たちは、将来を担う私たちの子孫に、二十世紀を生きてきた先輩として、我が国の歴史をしっかりと語り継いでいく責務を有していることを思い起こさねばなりません。

 ここ沖縄の地においては、苛烈極まる地上戦が行われ、多くの尊い人命が失われました。最愛の肉親を失われた御遺族の方々の深い悲しみと沖縄県民の皆様が負われた心の痛手は、想像するに余りあるものがあります。

 我が国の幸福、そして世界の恒久平和を考えるためにも、私たちは、このような戦争の悲惨さや皆様の悲しみを深く心に刻み、直視しなければなりません。

 戦後、沖縄は、戦禍の中から、復興と再生に向けて力強く立ち上がりました。県民の皆様方が、深い悲しみを乗り越えて払われてきたたゆまざる御努力により、沖縄は着実な発展を遂げてまいりました。沖縄の方々が二十一世紀に向けて明るい希望を持ち、力強く歩んでいかれることは、国民全ての願いでもあります。政府におきましても、皆様の御理解も賜りながら、沖縄の特性を活かした産業の振興や我が国における南の国際交流拠点の形成などに努めてまいりたいと考えております。

 また、日米安全保障体制の下、我が国とアジア・太平洋地域の平和と安定に極めて重要な役割を担っている沖縄の米軍施設・区域は、他方において、沖縄の皆様に様々な御負担をおかけしていることもまた事実であります。政府におきましては、こうした御負担を軽減すべく、皆様方の御理解と御協力を得ながら、米軍施設・区域の整理・統合・縮小に向けて、SACO最終報告の着実な実施に努めてまいりたいと考えております。

 小渕前総理が万感の思いを込めて決断された九州・沖縄サミットの開催まであと一ヶ月となりました。この地におけるサミットは、二十一世紀における沖縄の飛躍に向けた大きな一歩となるものと確信しております。そして、小渕前総理の御遺志を実現すべく、世界中の全ての人々が二十一世紀に一層の平和と繁栄を享受し、心の安寧を得、より安定した世界に生きる上で、各国、そして国際社会は何をなすべきか、というテーマにつきまして、沖縄から力強いメッセージを発信したいと考えております。

 先の大戦で亡くなられた方々を追悼申し上げる本日、この地で犠牲となられた方々の御遺志に応えるためにも、ここ沖縄に夢と希望にあふれた明るい未来を築いていくこと、そして、世界の平和の確立と豊かな社会の実現のために全力を尽くすことを改めて固く誓うものであります。

 終わりに、この地に眠る御霊の御冥福と御遺族の皆様の今後の御平安を心からお祈りし、また、沖縄の今後のますますの御発展を切に祈念いたしまして、私のあいさつといたします。

     平成十二年六月二十三日

内閣総理大臣  森 喜朗