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首相官邸 Prime Minister of Japan and His Cabinet
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平成24年9月7日野田内閣総理大臣記者会見

 

 

【野田総理冒頭発言】
 1月から始まりました通常国会も、229日間という長丁場でありましたけれども、会期末を迎えるに至りました。
 国会冒頭の施政方針演説において、私は、決められない政治からの脱却を目指すと申し上げました。その象徴的な課題である、社会保障と税の一体改革の8つの関連法案を成立させることができましたのは、この国会の最大の成果であると思っております。
 8つの一体改革関連法案は、社会保障を安定財源で支え、将来につけ回しを続ける社会を変える先鞭をつけるものであります。子ども・子育てで3本、年金で2本、改革推進法と税法2本により、社会保障の機能強化にも大きな一歩を踏み出すことができました。
 ほんの数カ月前までの国会の情景を思い浮かべていただければと思います。昨年末に素案をまとめ、その時点では、与野党が話し合いをする道筋すら見えておらず、野党に協議を呼びかけることから始めなければなりませんでした。ねじれ国会の荒波にもまれ、政局は紆余曲折をたどり、責任与党、民主党の同志、連立与党の一翼を担う国民新党、そして谷垣総裁、山口代表のリーダーシップによる自公両党の御賛同により、紆余曲折はございましたが、一体改革関連法案は成立をいたしました。この事実は、政治家が使命感と覚悟を持ち、大局に立って取り組めば、政治の停滞は打破できることを証明していると思います。やればできるのであるということを体感することができました。これを契機として、これからも決断する政治を、日本の政治の日常的な光景として定着させなければならない。そうした思いを新たにしているところでございます。

 今国会においては、一体改革関連以外にも様々な分野で意義ある法律が数多く成立していることを強調したいと思います。身を切る改革の1つ、国家公務員の給与削減法、地域を支える郵便局の利便性を高め、復興財源の捻出にも資する郵政改革法、非正規雇用の安定に資する労働者派遣法、労働契約法の改正、全員参加型社会の実現に向けた高齢者雇用安定法の改正、沖縄振興の新機軸を打ち出した沖縄振興特措法と跡地利用法、先日の記者会見でも申し上げさせていただきましたけれども、我が国の離島の監視保全に不可欠な海上保安庁法改正などなどであります。
 社会保障と税の一体改革は、経済再生、政治・行政改革と同時に包括的に進めるべき課題だと、これまで繰り返して申し上げてまいりました。社会保障のあるべき姿のうち、さらなる議論の詰めが必要な点については、国民会議での検討に委ねられています。1年間という国民会議の設置期限のカウントダウンは既に始まっております。早急に先の三党合意を踏まえ、議論を始めなければなりません。

 また、消費税引き上げの前提条件である経済の好転を実現すべく、日本経済の再生にも確かな道筋をつけていかなければなりません。
 さらに、震災復興の取組みと原発事故との戦いは、1日たりとも中断をするわけにはいきません。
 そして、我が国の周辺海域で主権に関わる事象が相次いでいる最中に、政治的な対応に空白をつくることは、国益の観点から絶対に避けなければなりません。
 この会見後、APEC首脳会議に参加をするため、ウラジオストクに向けて出発をいたします。アジア・太平洋地域の貿易投資の自由化の課題について、首脳同士の議論に参加し、我が国の立場を発信するとともに、国益の観点から果たすべき重要な職責の一つだと思っております。

 国会の最終盤の局面において混乱もあり、決めるべき課題のいくつもが残されたまま、残念ながら国会を閉じなければならなくなってしまいました。今国会の会期内に成立がかなわなかった重要法案の処理を、急がなければならないと思います。
 第一に、特例公債発行法案であります。一般会計の約4割は特例公債によって賄われており、どんな政権であっても特例公債なしで財政運営を行うことは不可能であります。今国会において残念ながら野党の御協力をいただけませんでした。このため、国民生活の影響が出ないよう配慮しつつ、経費の執行を可能な限り後ろ倒しするという対応をとらざるを得ません。このままでは様々な分野で大きな影響が出てくる恐れがあります。野党にも危機感を共有してもらい、次期国会において速やかに可決していただくよう願ってやみません。
 第二に、一票の格差の是正と国会議員の定数削減を含む選挙制度改革であります。これらの実現はまさに国民の声であり、早急に各党会派の理解と協力を得ていきたいと思います。
 政治に対して、そして民主党に対して、実に厳しい声があることは肌身で感じています。今、やるべきことを粛々と一つ一つ実行に移していくことで、国民の信頼を勝ち得ていくしかありません。経済再生、行政・政治改革と包括的に進めるべき一体改革はまだまだ未完成であります。震災復興と原発事故との戦いも、道半ばであります。
 これらを最終的に成就させる道筋をつけるために、依然として多くの課題が残っています。私には、こうした国政の重要な諸課題を中途半端な形で放置することはできません。この未完の一体改革や道半ばの震災復興をはじめ、日本が抱えている残された課題とこれからも格闘をし、克服していくという職責を引き続き担ってまいりたいと思います。
 そうした決意を新たにしたことを申し上げ、私からの冒頭発言とさせていただきます。
 ありがとうございました。

【質疑応答】

(内閣広報官)
 それでは、質疑に移ります。
 指名された方は、まず所属と名前をおっしゃってから質問をお願いします。
 それでは、山口さん、どうぞ。

(記者)
 TBSの山口です。よろしくお願いします。
 解散について3つ、御質問させてください。
 まず、総理は今国会で、マニフェストにない消費税増税を含む一体改革案を成立させました。だとすれば、今国会中、すなわち今日、衆議院を解散して国民の信を問うべきだという意見があります。これについてどうお答えになりますか。
 それから、野党の問責決議案が成立した状況の中では、いくら言っても、今後、重要法案とか重要案件の処理は、今までよりも厳しくなると思われます。それでも解散しない理由はなぜか。解散した方が、例えば特例公債、選挙制度も結果的にはより早く進むのではないかという見方は多いと思います。こういう意見についてどうお考えになるか。
 3つ目は、こういう状況の中でも解散をしないのは、今、選挙をすれば民主党が惨敗をするだろうという予測の下で、総理が国民生活よりも永田町の論理を優先しているのではないかと考えている国民は多いと思います。こういう疑問にどうお答えになりますか。
 3つ答えてください。

(野田総理)
 3つということですが、すなわち解散についてどう考えるかだと思います。いろんな観点からの解散についてのお尋ねがございますが、これは言うべきことは1つであります。やるべきことをしっかりやり抜いた後、然るべきときに国民の信を問う、それ以上、それ以下でもありません。

(記者)
 今国会でマニフェストにない消費税増税法案を成立させたら、今国会で解散する方がわかりやすいと思うのですが。

(野田総理)
 そういう御意見もあるかもしれませんが、やらなければいけない課題はさっき申し上げました。やらなければいけないことをちゃんと責任を果たして行う、その暁に信を問うということであります。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 松尾さん、どうぞ。

(記者)
 毎日新聞の松尾と申します。よろしくお願いします。
 エネルギー政策について、3つお伺いします。
 民主党が今日、2030年代の原発稼働ゼロを目標とする提言を総理に提出されたと思いますけれども、政府が正式に方針を決めるのは、今後のエネ・環会議になるということは承知をしていますが、現在の総理のお考えとして、国民の間から原発ゼロを求める声が非常に多いということも踏まえて、こうした党の方針に足並みをそろえる形で政府の方針を決めるべきだとお考えでしょうか。それが1つ。
 2つ目は、党の提言には、原発ゼロを達成するための具体的な工程表というのがあまりないのではないかという声もあるわけですけれども、現在、原発を補っている火力発電に加えて、特に将来伸びが未知数な再生可能エネルギーの開発で、どこまで原発を補えると総理はお考えなのでしょうか。
 3つ目に、原発ゼロを目指す場合に、これまで蓄積された使用済み核燃料が青森県などから返還したいと言われる可能性もありますが、核燃料サイクル政策を維持しないという選択肢は政府として取り得るものなのでしょうか。
 以上、3点をお伺いします。

(野田総理)
 まず、将来のエネルギー政策をどうするかということは、去年ああした事故もあった中で、国民の皆様も高い関心を持っていらっしゃいます。そして、今、国民的な議論が展開をされているという状況でございますが、少なくとも過半の国民が原発に依存しない社会を望んでいるということ。その一方で、その実現時期であるとか、実現可能性については様々な意見があるということが確認をされていると思います。
その中で民主党においても、昨日、精力的な御議論をいただいた暁に、原発ゼロ社会を目指してという御提言をまとめました。こうした御提言をしっかりと受け止めて、これから政府として方向性を定めていきたいと考えております。
 その中で、御指摘いただいたように、長年、国の原子力政策であるとか、あるいは核燃料サイクル政策を支えていただいた青森県を始め、立地自治体からの御意見も今お伺いをしているところであります。御指摘の再生可能エネルギーの導入拡大については、7月から固定価格買取制度が導入されたところであります。これはなかなかいいスタートを切っていると思いますけれども、日本再生戦略においても主要な柱として掲げているところであり、今後もその導入拡大に向けて、思い切った取組みを進めていきたいと考えております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方どうぞ。
 ディッキーさん、どうぞ。

(記者)
 フィナンシャル・タイムズのミュア・ディッキーです。
 最近、竹島と尖閣問題が出ている中で、玄葉外務大臣によると、APECサミットで総理は、韓国や中国の首脳と正式な会談を行わないそうです。この理由を御説明いただけますか。また、ロシアのプーチン大統領とは領土問題について、話し合いをされますか。

(野田総理)
 まず、韓国の李明博大統領及び中国の胡錦濤国家主席との正式な会談は、今のところは予定はされておりませんが、いわゆる立ち話などの機会があれば、我が国の立場を改めてお伝えをすることもあろうかと考えております。
 それから、ロシアのプーチン大統領とは、明日お会いをする予定でございまして、これは日程が固まっております。北方領土問題について、しっかりと協議をするとともに、経済を始めとする、あらゆる分野で日ロ関係を発展させていくための具体的なお話をさせていただきたいと考えております。

(内閣広報官)
 それでは、次の方、加納さん、どうぞ。

(記者)
 産経新聞の加納です。
 尖閣の国有化の問題についてお聞きしたいのですけれども、国有化、閣議決定は最終的には11日にやるのでしょうか。それと、石原都知事が、尖閣に施設整備をして保全管理を進めろという主張をされていますけれども、国としてはそういった方策をとる可能性はあるのか。また、領域警備の法整備の必要性について、どう認識されているのか、お聞かせください。

(野田総理)
 まず、尖閣については尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理を継続をするという観点から、協議を進めさせていただいているところではございますが、その中身の詳細は所有者の権利利益にも関わる部分がございますので、詳細は申し上げられませんが、あるいはその日程についても、現段階で申し上げられるという段階ではございません。
 一方で、その警備の問題は、先ほどの冒頭の発言でも触れさせていただきましたとおり、海上保安庁の機能強化をするような法律が、今国会のぎりぎりのところで通らせていただきました。まずはこういう形で、海保でしっかりと対応をできるようにするということが、まずは現実的な第一歩だと思っております。

(記者)
 もうひとつ、施設整備の必要性についてですが。

(野田総理)
 
尖閣諸島の平穏かつ安定的な維持管理をするという観点が第一でありますので、その後のどうするかということは、その後の検討事項だと思いますが、まずは維持管理をしっかりやっていくということであります。

(内閣広報官)
 それでは、次の方、湯本さん。

(記者)
 読売新聞の湯本です。
 総理は先ほど、やるべきことをやり抜いた後に解散されると繰り返しおっしゃいましたけれども、非常に重要な法案である特例公債法案は、問責が可決をされたとはいえ、その後、国会の最終盤にわたって、政府や民主党から野党に対して、本気で成立させるという姿勢が余りにも見られないのではないかと。つまり、やるべきことをやられるとおっしゃいながら、やるべきことをやる姿勢がちょっと見えなかったような気がするのですね。同じように、一票の格差も、0増5減をまず自民党も求めていることを考えれば、そこからまずやるということも一つの選択肢としてあるのではないかと思います。
 そういった考えに総理は立たれるのかどうか、本当にやるべきことをやられていたと言えるのかどうか、その点を教えてください。

(野田総理)
 特例公債がいつまでも成立をしないということは、さっきは執行の抑制のお話をさせていただきましたけれども、国の財布が空っぽになってしまえば、これは国は立ち行きません。その危機感は、我々は強く持っています。従って、本来ならば3月の段階で、予算は4月にずれ込みましたが、予算と一緒に、この歳入に関わる部分も一体的に成立を果たしたいという強い気持ちを持っていました。その前後からずっと一貫して与野党協議を真摯に呼びかけてきておりましたし、その姿勢に私は疑いを持たれることは大変辛いことであります。一生懸命、協議を呼びかけてまいりました。特に後半の国会においても、まさにそのとおりであります。
 そして、一票の格差と定数削減の話でありますが、一票の格差は違憲・違法状態という、これは一刻も早く是正しなければならない段階です。一方で、多くの国民の皆様は定数削減を、まず隗より始めよ、身を切る改革をやれという、この要望も強いのです。それを一体的に合わせた選挙制度改革案で、これを私どもは提案をしていますし、これも樽床代行、輿石幹事長、あるいは城島国対委員長含め、相当長い間、協議呼びかけをし、御理解をいただく努力をしてまいりました。この中身は御案内のとおり、民主党を利するものではありません。むしろ中小政党に配慮したものであって、決して党利党略ではありませんので、引き続き御理解をいただくように粘り強く努力をしていきたいと思いますが、国会は閉じてしまいますけれども、閉会中も、今、申し上げた2つの大事な点については、これはやり抜かなければいけないことの重要なものだと思っておりますので、閉会中も誠心誠意、協議を呼びかけていきたいと思っております。

(内閣広報官)
 時間が来ておりますので、最後の御質問とさせていただきます。
 それでは、神保さんどうぞ。

(記者)
 ビデオニュースの神保です。
 総理、原子力規制委員会の人事についてお伺いします。
 今国会の重要な案件の一つが、原子力安全・保安院に代わる新しい原子力規制庁あるいは原子力規制委員会の発足だったと思いますが、現在、未だにそれが発足しておりません。総理は、この原子力規制委員会の設置法の7条にある例外規定をお使いになって、国会が閉まれば国会の同意を得ないでも発足できるということを使って26日までに発足をされるおつもりかどうかがまず1点目。
 そして、それがそのような形で、既に国会に人事が提案されているにも関わらず、同意が得られないからといって、閉会を待って、そのような形で閉会中の指名を国会の同意を得ずに得るという行為が、この委員会の正当性に非常に疑問符をつけるのではないかという見方があると思います。これは非常に福島の反省を受けた重要な委員会だと思いますので、なぜ、それがこのような形をとらなければならなくなったのか、それを教えてください。

(野田総理)
 やはり規制と推進をする側を分離していくということは、ほとんど多くの皆様に御賛同いただく話だったと思います。しかも、規制をする責任ある司令塔としての役割は独立性の強い機関でしなければいけないということが国会の審議の中でまとまりました。それを受けまして、早急にこの規制委員会・規制庁を、早急にというか、9月に予定どおりスタートさせることがまずは何よりも大事だと思います。
 残念ながら、その規制委員会の人事については、十分に御了解を国会の中で得られる状況では現時点においてはないということがございましたので、少なくとも、この組織をスタートさせて、現時点において、より安全規制する基準をつくるとかという大事な役割を、放っておいて空白にすることはできないと思います。従って、これは私の指名という形でスタートさせていただいて、然るべきときに国会の同意を得られるように努力をさせていただきたいと考えております。

(内閣広報官)
 それでは、以上をもちまして、総理会見を終わります。
 ありがとうございました。

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