内閣総理大臣演説等

内閣総理大臣談話

平成十年七月三十一日




 私は、この度、内閣総理大臣の重責を担うことになりました。内外ともに数多くの困難な課題に直面する中、わが身は明日なき立場と覚悟して、この難局を切り拓いていく決意であります。

 先の参議院議員通常選挙において、国民が何にもまして日本経済の一刻も早い回復を求めていることが明確に示されました。またアジアをはじめ世界の国々が強い関心をもってわが国の経済運営に注目しています。私は、日本経済の再生をこの内閣の最重要課題と位置づけ、金融機関の不良債権の抜本的な処理や税制改革など景気回復に向けた政策の実行に全力投球いたします。

 わが国を取り巻く現下の諸情勢を直視して、国民の皆様の声に謙虚に耳を傾け、財政構造改革法は当面凍結いたします。しかしながら、前内閣が取り組んでこられた諸改革は、二十一世紀の本格的な少子高齢社会に対応できる明るい未来を切り拓くためには、何としてもやり遂げなければならない課題であり、これを継承していきます。特に、中央省庁再編をはじめとする行政改革はスリムで効率的な行政や民間活力の活性化のために不可欠のものであり、不退転の決意で実行してまいります。

 外交については、日本の安全と世界の平和の実現に向けて、国際社会における日本の地位にふさわしい役割を積極的かつ誠実に果たします。日米両国の友好関係を基軸にして、アジア太平洋地域の平和と安定を確保していくとともに、沖縄をめぐる諸課題の解決にも最大限の努力を傾けます。日露関係については、橋本前総理が築いてこられた成果を手がかりにして、二○○○年までの平和条約の締結を目指し、粘り強く努力いたします。

 わが国は今、二十世紀から二十一世紀への時代の大きな転換点に差し掛かろうとしています。来るべき新しい時代は、私達や私達の子孫にとって明るく希望に満ち溢れた時代にしなければなりません。私は「鬼の手、仏の心、鬼手仏心」を政治信条にして、国民の英知を結集し、この難局を政治主導で乗り越え、次の時代の礎を築く決意であります。闇深ければ曉も近し。明日を信じて、共に前進しましょう。

 国民の皆様のご理解とご協力を心からお願いいたします。