内閣総理大臣演説等

内閣総理大臣説示

平成十年七月三十一日




 初閣議に際し、私の所信を申し述べ、閣僚各位の格別のご協力をお願いする。

 この内閣の使命は、先の参議院議員通常選挙において、わが国経済の停滞が続く中で国民が一刻 も早い景気の回復を求めたことを真剣に受け止め、日本経済の再生を最重要課題として位置づけ、 国民の要求と期待に的確に応えていくことである。

 景気回復のために直ちに取り組むべきことは、景気回復の足かせとなっている金融機関の不良債 権の抜本的な処理であり、今国会に所要の法案を提出し、早期成立に努力してまいりたい。また、 税制についても早急に具体的な検討を行い、所得課税、法人課税の恒久的な減税を実施するなど、 総合的な経済構造改革を果断に実施してまいりたい。

 二十一世紀を目前に控え、少子高齢化の急速な進展を踏まえて、わが国の様々な社会システムを 改革していくこともこの内閣の重要な課題である。特に、前内閣が心血を注いで取り組んできた行 政改革については、中央省庁の再編や地方分権、規制緩和の推進などスリムで効率的な体制の確立 に向けて、一層の努力を傾けていく所存である。その際、閣僚各位は、所管行政という狭い視野に とらわれることなく、国政全般に対する高い識見を発揮し、事務当局を強力に指導していただきた い。

 国民の行政に対する信頼を取り戻すためには、国家の主権は国民にあることを常に念頭に置き、 国民本位の行政を徹底していくことが何より重要である。公務員の綱紀の保持に万全を期すととも に、情報の公開など行政の透明化に努め、国民に信頼される内閣となるよう、ご尽力いただきたい。  また、政策の遂行に当たっては、国民に対して分かり易い言葉で、率直かつ十分な説明をお願い したい。

 内閣は、憲法上国会に対して連帯して責任を負う行政の最高機関である。国政遂行に際して活発 な議論を行うとともに、内閣として方針を決定した場合には一致協力してこれに従い、内閣の統一 性及び国政の権威の保持にご協力願いたい。