内閣総理大臣演説等

内閣総理大臣説示

平成十年十月二十三日

 金融再生担当大臣として任命するに当たり、私の考えを述べ、格段のご協力をお願いする。

一. 今般、金融機能再生法、金融機能早期健全化法を「車の両輪」とする新たな法的枠組みが整えられ、本日施行となる。今後は一刻も早くその執行体制を確立することが重要である。
 金融再生委員会の発足は、本年十二月十五日までに行うこととされており、極めて短時日ではあるが、この間、委員の人選をはじめとする諸準備について、遺漏なく進めていただきたい。

二. 金融再生委員会発足までの間は、法律上、私自身がその役割を担うこととなっている。現下の金融経済情勢を踏まえれば、委員会発足までの間、行政の空白を生じさせることなく、的確、着実な執行を行う必要がある。
 特に、金融機関の資本増強については、金融システム安定、景気対策等の観点から新たな法制の趣旨ができるだけ早く実現するよう、進めていかなければならない。その際、金融市場への影響にも配意しつつ、資本増強制度と検査監督行政の双方の運用を効果的に連携させていくことが必要である。
 担当大臣の任命は、とりわけ、この総理代行期間中の私の補佐役の重要性を考えたからであり、よろしくお願いしたい。

三. また、金融本来の健全な資金仲介機能が発揮されるよう、金融機関のいわゆる貸し渋り対策も重要である。これまでも種々の対応を図ってきたが、新たな法制に関していえば、金融機能早期健全化法における資本増強の申請の審査に当たり、借り手に対する融資の姿勢を重視することにしたいと考えている。中小企業等に対する信用収縮の問題への対処は、金融機能再生の大きなポイントであり、この点にも十分留意されたい。
 なお、通産省、大蔵省には、別途公的金融の分野での対応を強化するよう指示するつもりである。

四. 更に、先の国会での議論を踏まえても、金融システムの安定に関しての国民の幅広い理解の必要性は改めて痛感されるところであり、広報の充実等にも意を用いる必要がある。

五. いずれにしても、以上の施策や課題については、私自身先頭に立ち、内閣の総力をあげて取り組む考えであるが、特に、貴職には、官房長官ともよく相談し、金融再生委員会設立準備室、臨時金融再生等担当室、金融監督庁、大蔵省等関係行政部局の調整を強力に進めることにより、これらの施策が円滑に推進されるよう取り組んでもらいたい。